訳あり物件

一軒家の訳あり物件とは?該当する4つのケースと見分け方・売却の選択肢を解説

一軒家の訳あり物件とは?該当する4つのケースと見分け方・売却の選択肢を解説

相続した実家や長く空き家になっている家について、不動産会社から「訳あり物件になります」と言われて戸惑う方は少なくありません。
訳あり物件と聞くと事件や事故があった家を思い浮かべがちですが、実際にはもっと広い範囲を指す言葉です。

訳あり物件には法律上の定義がありません。
一軒家の場合は4つの事情で判断します。
建物の不具合・土地の法的な制約・過去の人の死・周辺環境のどれかに当てはまるかどうかが基準です。
マンションと違って土地とセットで扱われるため、戸建てならではの論点も加わります。

本記事では、一軒家が訳あり物件に該当する4つのケースを整理します。
あわせて自分で確かめる方法・売るときに必要な告知義務・手放す3つの選択肢も扱う構成です。
読み終えるころには、自分の家がどの区分に当たるのかを判断でき、次に何をすればよいかが見えている状態になります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

目次

訳あり物件の一軒家とは|法律上の定義はなく「何らかの瑕疵がある家」の総称

訳あり物件とは、買主が購入をためらう事情を抱えた物件の総称です
法律で定められた用語ではなく、不動産業界で慣用的に使われている呼び方にすぎません。

不動産取引では、物件が抱える欠陥や不具合のことを瑕疵(かし/法的な欠陥・不備)と呼びます。
訳あり物件は、この瑕疵を抱えた物件を日常的な言葉で言い換えたものと捉えるのが自然です。
ただし、訳ありとされる事情の全てが法律上の責任に直結するわけではありません。

一軒家の場合、瑕疵の対象は建物だけにとどまりません。
敷地の形状、前面道路との接し方、境界の状況といった土地の事情も判断材料です。
そのため、建物自体はしっかりしていても訳あり物件として扱われることがあります。

「訳あり物件」「事故物件」「瑕疵物件」の3語の違い

3つの言葉は範囲が異なります。
訳あり物件が広い概念で、そのなかに瑕疵物件があり、さらにその一部が事故物件という関係です。

指す範囲一軒家での代表例
訳あり物件買主が敬遠する事情を抱えた物件全般再建築できない家、嫌悪施設が近い家
瑕疵物件取引上の欠陥・不具合がある物件雨漏りする家、違法建築の家
事故物件過去に人の死があった物件(心理的瑕疵)自死や他殺があった家

事故物件は訳あり物件の一部でしかありません。
訳あり物件と言われた時点で事故物件だと思い込むと、実際には修繕で解決する程度の話だったという場合でも、売却をあきらめる判断につながります。
まずはどの区分に当たるのかの切り分けが出発点です。

なお、瑕疵物件という言い方は法改正によって使われる場面が減りました。
2020年4月に施行された改正民法では、引き渡された物件が契約の内容に適合しない状態を契約不適合として扱う整理に変わっています。
契約書や重要事項説明書では契約不適合という表現が使われる一方、日常の会話では瑕疵という言葉が残っているため、両方を目にすることになります。

一軒家がマンションより訳あり物件になりやすい2つの理由

一軒家はマンションに比べて訳あり物件になりやすい構造を持っています。
理由は土地とセットで取引される点と、管理を個人が担う点の2つです。

1つ目として、土地の事情が上乗せされます。
マンションの購入者が気にするのは主に建物と管理状況です。
一軒家ではこれに加えて、前面道路の幅、敷地が道路に接する長さ、地盤の状態まで検討の対象になります。
土地側に制約があると、建物が新しくても買主は慎重になります。

2つ目は、管理の担い手が所有者個人だという点です。
マンションには管理組合があり、修繕積立金によって共用部分の維持が続きます。
一軒家では所有者が動かなければ管理が止まり、老朽化と空き家化が進みます。
総務省の令和5年住宅・土地統計調査によれば、賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家のうち、一戸建は285万1千戸(80.9%)です。

【参考】総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」

一軒家が訳あり物件に該当する4つのケース

一軒家の訳ありは、4区分で整理できます

区分ごとに、買主が購入をためらう理由が違います。
修繕費の問題か、建て替えができない制約か、気持ちの問題かで、取るべき対処も価格への影響の出方も別物です。

なお、1つの家が複数の区分に重なって該当することは珍しくありません。
老朽化した空き家が再建築不可の土地に建っている、といった組み合わせは実務でよく見られます。
重なっている場合は、価格への影響が大きい区分から手を打つのが定石です。
4区分を順に確認していきましょう。

①物理的瑕疵|雨漏り・シロアリ・傾き・旧耐震基準

物理的瑕疵は、建物や敷地そのものに不具合がある状態を指します。
4区分のなかで買主が金額に換算しやすく、修繕費として価格交渉の材料になりやすい瑕疵です。

代表的な例は、雨漏り、シロアリによる食害、基礎のひび割れです。
ほかに建物の傾きや給排水管の劣化も挙げられます。
いずれも生活に直結するため、買主は修繕見積もりを取ったうえで購入判断をおこないます。

築年数に関わる論点が、旧耐震基準の問題です。
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で建てられており、現行基準を満たしていない場合があります。
耐震診断や補強工事の費用を見込む必要が生じるため、買主が慎重になる要因になります。

物理的瑕疵の難しさは、床下や小屋裏など見えない部分に潜みやすい点です。
売主が気づかないまま引き渡し、あとから発覚するという流れが起こりやすいため、売却前の把握が重要になります。

【参考】国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」

②法的瑕疵|再建築不可・接道義務違反・違法建築

法的瑕疵は、法律上の制約によって建物の建て替えや利用が制限される状態です。
一軒家では、価格への影響が大きく出ます。
建て替えができない家は買主が住宅ローンを組みにくく、購入希望者そのものが限られるためです。

中心にあるのが接道義務です。
建築基準法では、建物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。
ここでいう道路は、原則として幅員4メートル以上のものです。
ただし幅員4メートル未満でも道路として扱われる例外があるため、道幅だけで判断することはできません。

接道義務を満たさない敷地は再建築不可となり、家を取り壊すと新しい建物を建てられません。

ほかに、建ぺい率や容積率の上限を超えている建物も法的瑕疵の一種です。
建築時は適法だった既存不適格と、当初から違反していた違法建築とでは扱いが異なります。

【参考】e-Gov法令検索「建築基準法」

③心理的瑕疵|自殺・他殺・孤独死があった家

心理的瑕疵は、買主が心理的な抵抗を感じる事情を指します。
過去に人の死があった家がこれに当たり、一般に事故物件と呼ばれています。

典型的なのは、自死、他殺、そして特殊清掃が必要になった孤独死です。
一方、国土交通省のガイドラインは自然死を別に扱っています。
取引の対象不動産で発生した自然死や、日常生活のなかでの不慮の死(転倒事故、誤嚥など)は、原則として告げなくてよいと整理されています。
つまり、家で人が亡くなった事実だけでは事故物件と扱われない整理です。

一軒家に特有の論点として、建物の中だけでなく敷地内で起きた事案の扱いがあります。
庭や車庫で発生した事案をどう伝えるかは個別の判断になるため、売却を依頼する不動産会社に状況を正確に伝えたうえで相談する形になります。

④環境的瑕疵|嫌悪施設が近い・騒音・異臭

環境的瑕疵は、物件そのものではなく周辺環境に起因する事情です。
建物にも権利関係にも問題がないのに買主が敬遠するという点で、ほかの3区分とは性質が異なります。

嫌悪施設と呼ばれるものには、墓地や火葬場、葬儀場があります。
ほかに下水処理施設やガスタンク、工場、廃棄物処理場も対象です。
生活環境に関わるものとして、幹線道路や線路に近いことによる騒音や振動、近隣事業所からの異臭、隣接する建物による日照の阻害も含まれます。

環境的瑕疵の特徴は、売主側の努力では解消できない点にあります。
建物を修繕しても、周辺環境はそのままです。
もう一つの特徴は、受け止め方に個人差が大きいことです。
線路の近さを敬遠する買主がいる一方で、駅に近いことを利点と考える買主もいます。
そのため価格への反映幅も物件ごとに開きが出ます。

自分の一軒家が訳あり物件か見分ける5つのチェックポイント

自分の家が訳あり物件に当たるかどうかは、手元の書類と現地の確認である程度まで判別できます
確認する対象は次の5点です。

確認する対象見るポイント訳ありのサイン
登記事項証明書所有者の名義、抵当権などの登記名義が亡くなった親のまま、抹消されていない抵当権がある
公図・測量図敷地の形状、隣地との境界境界標がない、実際の面積と登記面積が違う
前面道路道路の幅員、敷地が接する長さ幅員4メートル未満、接する長さが2メートル未満
建物の状態雨漏りの跡、床の傾き、外壁のひび天井のしみ、建具の建て付けの悪さ、床下の腐食
周辺環境半径数百メートル内の施設、音や臭い嫌悪施設が視界に入る、時間帯によって騒音がある

購入を検討している立場であれば、販売図面の「告知事項あり」という表記が最初の手がかりになります。
小さな文字で記載されていることもあるため、隅々まで目を通しましょう。

自分では判断がつかない場合、道路の種別や再建築の可否は自治体の建築指導を担当する窓口で確認できます。
登記事項証明書と公図は法務局で取得でき、オンラインでの請求にも対応しています。
過去の人の死については、売主や管理していた親族に直接たずねる以外に確かめる方法が限られるため、不動産会社を通じた調査の依頼が現実的です。

5点のうち1つでも当てはまれば、訳あり物件として扱われる可能性があります。
ただし該当したからといって売れないわけではなく、どの区分かによって取れる手段が変わるだけです。

訳あり物件の一軒家を売るときに欠かせない「告知義務」

訳あり物件を売却するときは、知っている不利な事情を買主に伝える必要があります
この告知義務を軽く扱うと、売却が終わったあとに責任を問われることになります。

告知義務は、買主が判断材料を持ったうえで購入を決められるようにするための仕組みです。
売主にとっては不利な情報を自ら明かす行為ですが、伝えたうえで成立した契約は、あとから覆されにくくなります。
結果として売主自身を守る役割も果たします。

区別しておきたいのは、売主が知らなかった事実と、知っていて伝えなかった事実の差です。
前者は売主の責任が限定される場合がありますが、後者は特約を結んでいても責任を免れません。

実務では、物件状況等報告書(告知書)という書面に売主が知っている事情を記入します。
雨漏りの有無やシロアリ被害の履歴、境界の状況などを記載する形式です。
記入した内容が買主への説明の土台になります。

告知義務の根拠は宅地建物取引業法にある

告知義務は、努力目標ではなく法律上の枠組みに支えられています。
根拠となるのは宅地建物取引業法の重要事項説明と告知に関する定めです。

同法は重要事項の説明を定めています。
宅地建物取引業者は、契約が成立する前に、宅地建物取引士をして買主に重要事項を説明させなければなりません。
物件の権利関係、法令上の制限、敷地と道路の関係などが説明の対象です。

あわせて同法では、業務に関して重要な事項について、故意に事実を告げない行為や不実のことを告げる行為が禁じられています。
都合の悪い事実を伏せたまま契約を進めることは、この規定に触れます。

なお、これらの定めが義務を課している相手は宅地建物取引業者です。
ただし業者は売主から提供された情報をもとに説明をおこなうため、売主が告知書を通じて正確な情報を渡さなければ、説明そのものが成り立ちません。
売主も実質的に情報提供の責任を負う立場にあります。

【参考】e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

人の死は国土交通省ガイドラインが判断の目安になる

過去に人の死があった場合は、国土交通省が令和3年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が判断の目安になります。
法律ではありませんが、実務の指針として用いられています。

取引の対象不動産で発生した自然死や日常生活のなかでの不慮の死(転倒事故、誤嚥など)は、原則として告げなくてもよいというのがガイドラインの整理です。

ここで誤解が生じやすいのが、よく知られている「概ね3年」という期間です。
ガイドラインがこの期間を示しているのは賃貸借取引についてであり、売買取引には期間による線引きが置かれていません。
一軒家を売る場面では、何年経過したかにかかわらず個別に判断することになります。

また、経過期間や死因を問わず、買主から事案の有無をたずねられた場合の告知は必須です。
社会的影響の大きさから買主が把握しておくべき事情があると認識した場合も同様です。

【参考】国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

告知しないと契約不適合責任を問われる

不利な事情を伝えずに売却した場合、買主から契約不適合責任を問われる可能性があります。
引き渡された物件が契約の内容に適合しないときに、買主が取れる手段を定めたものです。

買主が取れる手段は4つあります。
修補などを求める追完請求、代金の減額を求める請求、損害賠償の請求と契約の解除です。
代金が戻るだけでなく、買主が支出した費用の賠償まで求められる場合があります。

期間の制限として、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければならないと民法で定められています。
ただし、売主が不適合を知りながら告げなかった場合、この期間制限は適用外です。

買取業者との契約では、売主の契約不適合責任を免除する特約を設けることがあります。
有効な手段ですが、売主が知りながら告げなかった事実には及びません。

【参考】e-Gov法令検索「民法」

訳あり物件の一軒家の売却・活用に迷ったら無料査定で出口を確かめる

自分の家がどの区分の訳あり物件に当たるかが見えてきても、実際にいくらで売れるのか、そもそも買い手がつくのかは、査定を受けなければわかりません。
訳あり物件は一般的な査定の枠組みに収まりにくく、通常の仲介会社では取扱いそのものを断られることがあります。

再建築ができない土地、心理的瑕疵がある家、権利関係が整理できていない不動産は、扱った経験のある会社でなければ適切な評価が出ない領域です。

ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の無料査定と買取相談を申し込めます。
再建築不可の戸建てや相続した空き家、事故物件、共有持分など、一般の市場で動きにくい不動産を扱う会社に相談できます。

査定を受けても、売却の義務は生じない仕組みです。
まずは無料査定で、自分の家にどのような出口があるのかを確かめてみてください。

※査定の申し込みは無料です。
実際に売却する場合は、仲介手数料などの費用が発生することがあります。

訳あり物件の一軒家はいくらで売れる?価格の目安

はじめに押さえておきたいのは、訳あり物件の買取価格について公的な統計が存在しないという点です
国や自治体が下落率を調査・公表している事実はありません。
世の中に出回っている「相場の何割」という数値は、買取をおこなう事業者が自社の実績をもとに公表しているものです。
参考にする際は、どこが出した数値なのかを確かめる必要があります。

そのうえで、瑕疵の区分ごとに価格への影響の出方には傾向があります。

区分価格への影響の出方買主が気にする点
物理的瑕疵修繕費の見積額が価格から差し引かれる形で反映されやすい修繕にいくらかかるか、住みながら直せるか
法的瑕疵建て替えの可否と住宅ローンの利用可否によって大きく振れる将来売れるか、融資を受けられるか
心理的瑕疵事案の内容と経過期間によって幅が出る何があったか、周知されているか
環境的瑕疵買主の受け止め方に左右され、幅が読みにくい生活に支障が出るか、慣れられるか

同じ区分に当てはまる家でも、立地・築年数・土地の広さ・隣地との関係によって結果は別物です。
再建築不可の土地であっても、隣地の所有者が買い増しを希望していれば通常に近い価格で成立することがあります。
一般論としての目安より、実際の査定額のほうが判断材料として役に立ちます。

訳あり物件の一軒家を手放す3つの方法

訳あり物件の一軒家を手放す方法は、大きく3つあります
それぞれ、価格と期間のバランスが異なる方法です。

方法価格の目安期間の目安手間・向いている人
仲介相場に近い価格を狙える数ヵ月〜1年以上と読みにくい内覧対応が必要。急がず高値を目指したい人
買取仲介より下がる数日〜1ヵ月程度現状のまま売れる。早く手放したい人
解体して更地売却土地の価格から解体費を差し引く解体期間を含めて数ヵ月解体費の持ち出しが必要。建物に価値がない場合

どれか1つが常に正解というわけではありません。
瑕疵の種類と、どれだけ急いでいるかによって適した方法が変わります。
修繕すれば解消する程度の物理的瑕疵なら仲介で買主を探す余地がありますが、再建築不可の土地では買主が限られるため買取のほうが現実的です。

3つの方法のほかに、隣地の所有者へ譲る、自治体の空き家バンクに登録する、相続人の間で共有したまま賃貸に出すといった選択肢もあります。
隣地所有者への売却は、その土地と一体になることで価値が上がる場合に成立しやすい方法です。
それぞれの内容を順に見ていきましょう。

①仲介で一般の買主を探す

仲介は、不動産会社に依頼して一般の買主を探してもらう方法です。
相場に近い価格を狙える一方、訳あり物件では買主が見つからず長期化しやすいという性質があります。

仕組みとしては、不動産会社が広告を出して買主を募り、成約したときに仲介手数料を支払います。
売主には内覧の対応や、買主からの質問への回答が必要です。

価格面での利点は明確ですが、売却期間が読めない点が課題になります。
買主が現れなければ価格を下げて募集し直すことになり、結果的に当初の想定を下回る場合もあります。
固定資産税や管理の負担も、売れるまで続く支出です。

仲介が向いているのは、説明によって買主の納得を得やすいケースです。
修繕で解消できる物理的瑕疵、受け止め方に個人差がある環境的瑕疵などが当てはまります。
時間に余裕があり、価格を優先したい場合に選ぶ方法だといえます。

②買取業者に直接売る

買取は、不動産会社が直接買主となって物件を買い取る方法です。
価格は仲介より下がりますが、買主を探す工程がないため短期間で手放せます。

買主を探す必要がないため日程を確定しやすく、残置物や清掃、リフォームをしないままの現状売却も可能です。
仲介手数料もかかりません。
契約の内容によっては、売主の契約不適合責任を免除・限定する特約も設けられます。

向いているのは、仲介では動きにくい物件です。
再建築不可の戸建て、心理的瑕疵がある家、相続登記が済んでいない不動産などが該当します。
買取業者は再販や賃貸運用、隣地との交渉といった出口を持っているため、一般の買主が敬遠する物件でも査定の対象になります。

ただし、提示される価格は業者ごとにばらばらです。
買取価格は再販ルートや活用方法によって変わるため、複数社に同じ資料を渡して比較してください。

比較用の査定は、ベンナビ不動産売却からもまとめて依頼できます。

③解体して更地として売る

建物を取り壊して土地として売る方法もあります。
建物の状態が悪く価値が見込めない場合に有効ですが、解体費と税負担の増加を織り込んで判断する必要があります。

老朽化が進んだ建物は、買主にとって解体費の負担が発生する対象です。
あらかじめ売主が解体しておけば、土地として評価され買主の検討対象が広がります。

一方で、注意すべき点が2つあります。
1つは解体費が売主の持ち出しになることです。
もう1つは、建物を取り壊すと住宅用地の特例が外れ、翌年度から固定資産税の負担が増える点です。
売却まで時間がかかると、その間の税負担が重くなります。

そしてとくに重要な注意点として、再建築不可の土地では解体が逆効果になります。
更地にしても新しい建物を建てられないため、住むことも貸すこともできない土地が残るだけです。
解体を検討する前に、再建築が可能かどうかを確認しておきましょう。

訳あり物件の一軒家を放置する3つのリスク

判断を先送りして持ち続けるという選択にも、費用と責任が伴います
総務省の令和5年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・最高となりました。
放置された家は珍しい存在ではなくなっています。

放置期間が延びるほど、建物の資産価値は下がります。
人が住まない家は換気がされず、傷みの進みも早めです。
売れるうちに動かなかった結果、数年後には解体前提でしか売れなくなるという流れが起こります。

さらに、放置には税負担、対外的な責任、過料という3方向のリスクがあります。
いずれも時間の経過とともに重くなる性質で、対応を先延ばしにするほど選べる手段が減る構造です。
順に確認していきましょう。

①特定空家に指定されると固定資産税の負担が増える

管理されないまま放置された家は、自治体から特定空家等に指定される可能性があります。
指定を受けて勧告に至ると、税負担が大きく変わります。

そのまま放置すれば倒壊などの危険がある空家等が特定空家等、というのが空家等対策の推進に関する特別措置法の定義です。
衛生上有害となるおそれがある状態なども含まれます。
特定空家等になるおそれがある状態の空家は、管理不全空家等という位置づけです。

自治体から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象外です。
住宅が建っている土地に適用されていた固定資産税の軽減がなくなるため、税額が上がります。
管理を怠ったことが直接、毎年の支出増につながる仕組みです。

勧告に従わない場合は命令へ進み、それでも改善されなければ行政代執行によって自治体が建物を除却します。
この場合、要した費用は所有者に請求されます。

【参考】e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」

②建物の倒壊や不法投棄で所有者が責任を負う

放置した建物が原因で他人に損害を与えた場合、所有者が賠償責任を負う可能性があります。
管理していなかったこと自体は、免責の理由にならない扱いです。

民法では、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときの責任が定められています。
屋根瓦や外壁が落下して通行人がけがをした、老朽化した塀が倒れて隣家の車を壊したといった事態で責任を問われるのは所有者です。

敷地の樹木も問題になります。
隣地に枝が越境した場合、隣地の所有者が原則として求めるのは切除です。
ただし催告しても応じないときなどは、隣地所有者自身が切り取れると民法で定められています。
近隣との関係が悪化する原因になりやすい部分です。

このほか、人が出入りしない状態が続くと、敷地への不法投棄や放火といった問題も起こりやすくなります。
いずれも所有者が対応を求められます。

③相続登記をしないと過料の対象になる

相続した家の名義を親のままにしている場合、そのまま放置することはできません。
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。

不動産登記法により、相続で不動産の所有権を取得した相続人には、取得を知った日から3年以内の登記申請が義務です。
正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります。

義務化の前に発生した相続も対象に含まれます。
2024年4月1日より前に相続した不動産で登記が済んでいないものは、原則として2027年3月31日までが申請期限です。

期限内の申請が難しい場合には、相続人申告登記という簡易な手続きが用意されています。
自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、申請義務を果たしたものとして扱われます。
ただし売却する際は買主への名義変更が必要になるため、いずれ相続登記を済ませる流れです。

【参考】法務省「相続登記の申請義務化について」

訳あり物件の一軒家を「買う側」が確認すべき3点

ここまでは売る側の視点で整理してきましたが、訳あり物件は買う側にとって選択肢になり得ます
同じ立地、同じ広さの物件を相場より安く取得できる点が、訳あり物件の利点です。
周辺環境が理由の物件であれば、気にならない人にとっては単に割安な家になります。

ただし、価格の安さは相応の制約と表裏の関係にあります。
安く買えたことが有利に働くかどうかを決めるのは、購入後にかかる費用と、将来手放すときの見通しです。

購入を検討する場合に確認すべき点は3つあります。
資金計画、建物を更新できるか、そして取得後の費用です。
いずれも契約を結ぶ前に確かめておきたい項目で、引き渡しを受けたあとでは選択肢が限られます。
順に見ていきましょう。

①住宅ローンが使えないことがある

最初に確認したいのは、住宅ローンを利用できるかどうかです。
金融機関は物件を担保として評価するため、担保としての価値が見込めない物件では融資が下りません。

再建築不可の物件や違法建築の物件は、担保評価が出にくい典型例です。
将来売却するときに買主が限られると見込まれるため、金融機関は慎重な判断をおこないます。

融資を受けられない場合、現金で購入するか、金利の高い融資を利用することになります。
金利が変われば総支払額も変わるため、物件価格が安くても支払総額では割安にならないケースも現実的です。

対応としては、購入を決める前に金融機関へ物件の資料を持ち込み、融資の可否を確認する方法があります。
売買契約に融資特約を付けておけば、融資が下りなかったときに契約を解除できます。

②再建築不可なら建て替えができない

再建築不可の物件では、いま建っている家を取り壊して新しい建物を建てることができません。
住み続けるうえで、この制約が長期的に効いてきます。

建て替えができないということは、建物が老朽化しても更新する手段がないという意味です。
修繕を重ねて住み続けるか、住めなくなった時点で手放すかという選択になります。

リフォームで対応できる範囲にも線引きがあります。
内装の変更や設備の交換は可能ですが、建築確認が必要になる規模の増改築は制限の対象です。
柱や梁を含む大がかりな工事を検討している場合、事前に自治体の窓口で可否を確認する必要があります。

将来売却する場面でも、同じ制約がそのまま買主に引き継がれます。
購入時に安く買えた分、売却時も買主が限られる点を織り込んで判断しましょう。

③修繕費や解体費で安さが逆転することがある

購入価格の安さだけで判断すると、取得後の費用を足したときに一般的な中古住宅より高くつくことがあります。
総額で比較する視点が必要です。

取得後に判明しやすいのは、雨漏り、シロアリ被害、給排水管の劣化です。
いずれも表からは見えにくく、住み始めてから発覚します。
屋根や外壁の全面的な改修になれば、数百万円規模の支出になることもあります。

将来の解体費も見込んでおきたい費用です。
木造の一戸建てでも、建物の規模や作業条件によって費用は変わります。
狭い道路にしか接していない敷地では重機が入れず、費用が上がる傾向にあります。

購入前の対策として有効なのが、ホームインスペクション(建物状況調査)です。
建築士などの専門家が建物の劣化状況を調査するもので、修繕にどの程度かかるかを事前に把握できます。
費用はかかりますが、判断を誤るリスクを下げられます。

訳あり物件の一軒家の悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう

4区分のどれに当たるかが見えても、最後に必要なのは自分の家の実際の数字です。
同じ区分でも立地や隣地との関係で結果は大きく変わるため、一般論の目安だけでは売る・持つ・壊すの判断まではたどり着けません。

ベンナビ不動産売却は、訳あり不動産の買取に対応する会社を地域と物件の条件から探して比較できるサービスです。
再建築不可の戸建て・相続した空き家・事故物件・共有持分も対象です。

査定は無料で、複数社の金額と根拠を並べて検討できます。
通常の仲介会社に断られた家でも、まずは物件の情報を入力して相談できます。
売却を決めていない段階の相場確認にも使えるので、数字を手元に置くところから始めてください。

訳あり物件の一軒家に関するよくある質問

Q

Q1. 訳あり物件の一軒家でも売れますか?

A

売れる可能性があります。
仲介で買主が見つからない物件でも、訳あり物件を扱う買取業者であれば査定の対象になります。
再建築不可の戸建てや事故物件も取引の対象です。
ただし、価格は相場より下がることが一般的です。
複数社に相談して条件を比較しましょう。

Q

Q2. 売買での告知義務に期限はありますか?

A

売買取引について、国土交通省のガイドラインは期間による線引きを示していません。
よく知られている「概ね3年」という目安は賃貸借取引に関する整理です。
売買では経過期間にかかわらず個別に判断することになります。
買主からたずねられた場合は、期間を問わず伝える必要があります。

Q

Q3. 訳あり物件だと固定資産税は安くなりますか?

A

訳あり物件であることを理由に固定資産税が下がる仕組みはありません。
固定資産税は土地と建物の評価額に基づいて計算されます。
むしろ、特定空家等に指定されて勧告を受けると住宅用地の特例から外れ、税負担は増える方向です。

Q

Q4. 再建築不可の一軒家でもリフォームはできますか?

A

内装の変更や設備の交換はできます。
ただし、建築確認が必要になる規模の増改築には制限がかかります。
柱や梁に手を入れる大規模な工事を検討している場合は、着手前に自治体の建築指導を担当する窓口で可否を確認してください。

Q

Q5. 相続放棄すれば訳あり物件の管理義務もなくなりますか?

A

相続放棄をしても、その不動産を現に占有していた場合は、相続財産清算人へ引き渡すまで保存する義務が民法上残ります。
誰も相続しなければ管理する人がいなくなるため、放棄だけで問題が完結するとは限りません。
判断の前に専門家へ相談しましょう。

まとめ|一軒家の「訳あり」は4分類で整理すれば出口が見える

訳あり物件という言葉に法律上の定義はなく、一軒家では物理的瑕疵・法的瑕疵・心理的瑕疵・環境的瑕疵の4区分で整理できます。
自分の家がどれに当たるかの特定が判断の出発点です。

見分けるうえでは、登記事項証明書や公図、前面道路との接し方など5点を確認します。
とくに一軒家では、敷地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しているかが分かれ目です。

売却するときは、知っている事情を隠さないことが結果として売主を守ります。
売買では「概ね3年」の線引きがないため、経過年数を理由に伝えない判断は取れません。
そのうえで選ぶのは、仲介・買取・解体して更地売却の3つです。

自分の家にどのような出口があるのかは、査定を受けてはじめて具体的になります。
ベンナビ不動産売却では、再建築不可の戸建てや相続した空き家、事故物件といった訳あり不動産の無料査定・買取相談を申し込めます。
まずは今の価格を確かめるところから始めてみてください。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。