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私道の共有持分でよくあるトラブル7選|原因と対処法・手放す方法まで解説

私道の共有持分でよくあるトラブル7選|原因と対処法・手放す方法まで解説

自宅の前の私道を近所の人と共有していて、掘削の承諾が得られない、通行を妨げられる、固定資産税を誰が払うかで揉めている。
本記事では、私道の共有持分で起こる7つのトラブルの型と、話し合いから持分の売却までの対処の順番を解説します。

【私道の共有持分でこんな状況になっていませんか】

いまの状況確認したいこと
水道やガスの工事で共有者の承諾がもらえない承諾なしで工事を進める方法があるか
コーンや柵を置かれて車が通れない通行の根拠になる権利があるか
固定資産税を自分だけが払っている持分に応じた負担を請求できるか
共有者が誰なのかわからない登記から共有者を特定できるか
使っていない私道の負担だけが続いている自分の持分だけを売却できるか

私道や共有持分は取り扱いに慣れた不動産会社でないと査定が止まりやすい分野です。
「ベンナビ不動産売却」では、私道や共有持分に対応する不動産会社を条件で絞り込んで相談先を探せます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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私道の共有持分とは?公道との違いから整理する

私道の共有持分とは、複数の所有者が持分割合に応じて共有している私道の権利をいいます。
「私道持分」「共有私道」と呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。
公道との決定的な違いは、管理と費用の負担が所有者側にかかる点にあります。

項目私道公道
管理者所有者である個人や法人国・都道府県・市区町村
通行所有者の許諾が前提になる場合がある誰でも自由に通行できる
修繕費所有者が負担する管理者である行政が負担する
固定資産税原則として所有者に課税される課税されない
道路交通法一般交通の用に供されている道であれば適用される適用される

行政が代わりに直してくれない道を複数人で持ち合う、という構造そのものが、この先に並ぶトラブルすべての土台になります。
まず自分の私道がどういう道なのかを押さえてください。

管理者・通行・修繕費の負担が公道と異なる

私道は個人や法人が所有・管理する道路なので、舗装の補修も除草も除雪も所有者が費用と手間を負担します。
公道であれば、路面が割れても側溝が詰まっても行政が予算を組んで直してくれます。

一方、私道は、共有者が自分たちで業者を手配し、費用を出し合って直します。
除雪や落ち葉の清掃といった日常の手入れも、共有者の誰かが動かなければ放置されます。

固定資産税についても、私有地であるため原則として所有者に課税されます。

共有名義の場合は代表者に納税通知書が届き、共有者の間で負担を分け合う運用になります。
不特定多数の人が自由に通行できる状態の私道は、公共性が認められて道路交通法の適用対象になる場合があります。
「私道だから交通ルールの外」と考えて駐車や進入を自由にできるわけではない点に注意してください。

建築基準法上の道路にあたる私道は通行を妨げにくい

私道であっても建築基準法の「道路」として扱われる場合、その道の通行が日常生活上欠かせない人に対しては、所有者であっても通行を妨げにくくなります

最高裁も、位置指定道路について、通行を日常生活上不可欠とする人は、所有者に受忍限度を超える損害が生じるような特段の事情がないかぎり妨害の排除を求められるとしています(最高裁平成9年12月18日判決)。

代表的なものが位置指定道路です。
道路法や都市計画法などによらずに築造された、幅員4メートル以上の道が対象になります。
そのうえで、築造しようとする人が特定行政庁からその位置の指定を受けたものが位置指定道路です。

もうひとつがみなし道路、いわゆる2項道路です。
建築基準法の規定が適用されるようになった時点で、すでに建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものが該当します。

みなし道路では、道の中心線から水平距離2メートルの線が道路の境界線とみなされます。
自分の私道が該当するかどうかは、市区町村の建築指導課や道路管理課、自治体が公開する指定道路図で確認できます。

【参考】建築基準法第42条|e-Gov 法令検索

私道の共有形態と持分割合を特定する方法

共同所有型と相互持合型の違い

形態と持分割合は公図と登記事項証明書で確定できます。

形態によって同意を取る相手も使える解決手段も変わります。
記憶や近隣の話ではなく、登記の記載で確定しましょう。

共同所有型の私道|1本の道を共有者全員で持ち合う

共同所有型は、1本の私道を複数人が持分で共有している形態です。
分譲宅地の中央を貫く私道や、旗竿地の通路部分が典型例にあたります。

共有者はそれぞれ私道全体に対する権利を持つため、他の共有者の許可を得なくても通行できます
接道要件を満たす道として持分を確保しておけば、建替えのときに敷地が道路に接している状態も維持できます。

一方で、舗装のやり直しや街灯の設置といった行為には他の共有者の同意が必要になります。
たとえば、共有者が5人いれば5人の意向を揃えなければならず、1人が反対しただけで工事が止まります。

相互持合型の私道|区画ごとに単独で所有し合う

相互持合型は、1本の私道を区画に分けて各自が単独名義で所有している形態です。

各宅地の前面部分をその宅地の所有者が持つ形や、旗竿地の通路を隣接地同士で半分ずつ持つ形が典型例にあたります。

区画がつながって1本の道として機能していても、登記上は共有ではなく単独所有です。
そのため「自分の土地なのだから他人には使わせない」という主張が出やすい構造になっています。

しかし、実際には通行地役権が設定されていて互いに通行できる状態になっている場合が多くあります。
通行地役権とは、設定行為で定めた目的にそって他人の土地を自分の土地の便益に使う権利です。

形態と持分割合は公図と登記事項証明書で確かめる

自分の私道がどちらの形態かは、次の2ステップで確認できます。

  1. 法務局で公図を取得し、自宅の前面にある私道部分の地番を特定する
  2. 特定した地番の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する

なお、どちらも法務局の窓口だけでなく、インターネットからオンラインで交付請求できます。

判定基準はシンプルです。
登記事項証明書の権利部に「持分◯分の◯」という記載があれば共同所有型単独所有者1名だけが記載されていれば相互持合型です。
同時に、共有者の氏名と住所、それぞれの持分割合も読み取れます。

ただし注意したいのは、宅地の登記事項証明書だけでは私道の権利がわからない点です。
私道は宅地とは別の地番になっていることが多いため、公図で私道の地番を洗い出す作業を省略できません。

「私道持分1/5」の意味と割合の決まり方を読み取る

「私道持分あり 1/5」という登記の記載は、その私道全体の5分の1の権利を持っているという意味です。

道の一部を面積で切り取って持っているわけではなく、道全体に対して5分の1の割合で権利が及びます。

権利の割合は登記事項証明書にそのままの形で記載されます。

割合の決め方には決まった法令上のルールがありません。

そのため実際には、分譲時に区画数で均等に割る方法や、各宅地の面積に応じて割る方法が使われます。

たとえば、5区画の分譲地なら各区画が5分の1ずつ、宅地面積に差があれば6分の1と4分の1のように差がつくこともあります。
登記を見て自分の割合が均等でなくても、それ自体は珍しいことではありません。

【参考】
民法第253条|e-Gov 法令検索
民法第252条|e-Gov 法令検索

私道の共有持分でトラブルが起きやすい3つの理由

私道の共有持分が揉めやすい原因は、次の3つに整理できます。

  1. 行為の種類ごとに必要な同意が変わり意思統一が難しい
  2. 持分割合に応じた費用負担が守られず不公平感が生じる
  3. 利用ルールが書面化されておらず解釈がずれる

行為の種類ごとに必要な同意が変わり意思統一が難しい

私道に対しておこなう行為は、変更・管理・保存の3つに分かれます。
そして必要な同意の範囲が、行為の種類ごとに変わります。

行為の種類具体例必要な同意
変更行為私道全体の売却、道路幅の拡大・縮小共有者全員の同意
管理行為舗装工事、街灯やフェンスの設置持分の価格の過半数の同意
保存行為落ち葉やゴミの清掃、草刈り、除雪、簡易な補修単独でできる

たとえば、落ち葉を掃くだけなら1人で動けます。
ところが砂利道をアスファルトで舗装しようとすると、持分の過半数を集める必要があります。
道幅を変えたり私道全体を売ったりするには、共有者全員の同意が必要です。
共有者が多いほど、この過半数集めに時間がかかります。

【参考】
民法第251条|e-Gov 法令検索
民法第252条|e-Gov 法令検索

持分割合に応じた費用負担が守られず不公平感が生じる

共有者は、自分の持分に応じて管理の費用を支払い、そのほか共有物に関する負担を負います

対象になるのは固定資産税、舗装や補修の費用、排水設備や街灯の維持費です。
本来は全員が割合どおりに出すべきものです。
ところが実際には負担が偏ります。

ただし、固定資産税は共有者の代表者に納税通知書が届きます。
そのため代表者が一括で納付し、立て替えた分を後から他の共有者へ請求する流れになりがちです。
請求しても「自分は通っていないから払わない」と拒まれると、代表者が数年分を抱え込みます。

【参考】民法第253条|e-Gov 法令検索

利用ルールが書面化されておらず解釈がずれる

私道の使い方を細かく定めた法令はありません。
そのため通行や駐車のルールは共有者どうしの取り決めで決めます。
たとえば、工事車両が長時間停まることを許すのか。

法律には書かれていないので、取り決めがなければ各自の解釈がそのまま行動になります。

争いを防ぐ方法は、決めた内容を管理協定書という書面にまとめ、共有者全員が署名しておくことです。
負担割合、修繕を実施する基準、通行と駐車のルールを1枚にまとめておけば、解釈のずれが起きたときに立ち返ることができます。

私道の共有持分でよくあるトラブル事例7選

私道の共有持分で起きるトラブルは、次の7つの型に集約されます。

  1. 掘削の承諾が得られずライフライン工事が止まる
  2. 共有者に通行を妨げられる
  3. 共有私道への駐車をめぐって揉める
  4. 固定資産税を負担しない共有者がいる
  5. 修繕費の分担がまとまらず私道が劣化する
  6. 相続で共有者が増えて権利関係がわからなくなる
  7. 共有者が所在不明で売却も名義整理も進まない
トラブルの型起こりやすいケース主な解決の入口
掘削の承諾が得られない共同所有型で一部の共有者が反対している事前通知による設備設置
通行を妨げられる相互持合型で通行の根拠が書面化されていない通行地役権・承諾書の確認
駐車で揉める通行と駐車のルールを決めていない管理協定書の作成
固定資産税を払わない自分が代表者で立て替え続けている持分に応じた負担の請求・非課税の確認
修繕費がまとまらない実施基準と分担方法を決めていない過半数決定の要件確認
相続で共有者が増えた数世代にわたって登記を放置している相続登記による持分の確定
共有者が所在不明相続人が把握できず連絡先も不明裁判所への申立て

複数の型が同時に起きているケースも多くあります。

掘削の承諾が得られずライフライン工事が止まる

水道やガスを引き込むために私道を掘る場面は、7つの型のなかでとくに揉めやすい局面です。

新築や建替で給水管を私道に埋設しようとして共有者に承諾を求めたところ、道路が傷むことを理由に拒否された場合、その間に着工が止まり、住宅ローンの契約や引渡しの時期にまで影響が及びます。
地面を掘り下げる工事の承諾が得られない場合でも、目的と場所と方法を事前に通知することで工事を進められる余地があります。

ただし、設置の場所と方法は他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならず、他の土地に生じた損害に対しては償金を支払う義務があります。
通知を経ずに工事を強行する自力救済は認められていません。
妨害を受けたときは、裁判所の手続きを経て進めます。

【参考】民法第213条の2|e-Gov 法令検索

共有者に通行を妨げられる

共有者の1人がコーンや柵、車止めを置いて車の進入を妨げ、通勤や買い物に支障が出るケースです。

共同所有型であれば共有者全員が私道全体に権利を持つため、他の共有者の通行を妨げる行為には根拠がありません。
相互持合型でも、通行地役権が設定されていたり通行承諾書が交わされていれば、それを示して妨害をやめるよう求められます。

ただし、私道での通行妨害は当事者間の民事の問題として扱われることが多く、警察が撤去まで動くとは限りません。
一方で、道路交通法上の駐車違反にあたる場合や、往来の妨害によって危険が生じている場合には、警察の対応の対象になることもあります。

そのため、自分で権利の根拠を示す必要があります。

私道が位置指定道路やみなし道路として建築基準法の道路にあたる場合、その道の通行が日常生活上不可欠であれば、所有者に対して妨害の排除を求められる余地があります。

【参考】建築基準法第42条|e-Gov 法令検索

共有私道への駐車をめぐって揉める

持分を理由に共有私道へ自由に駐車できるわけではありません
例えば、自宅前の共有私道に日常的に車を停めていて、ほかの共有者から通れないと苦情が出るケースがあります。

逆に、他人が自宅前に停めていて自分の車が出せないケースもあります。
道幅・車庫の位置・停める時間帯によって妨げになるかどうかが変わるため、駐車の可否は共有者どうしの取り決めで決めるべき事項です。

一時的な荷下ろしは認め、常時の駐車は認めないといった線引きを協定書に書いておくと争いになりません。
不特定多数が通行できる状態の私道では、道路交通法上の駐車違反として扱われる余地があります。

自力で相手の車を動かしたり、車体に張り紙を貼る対応は避けてください。

【参考】道路交通法|e-Gov 法令検索

固定資産税を負担しない共有者がいる

固定資産税は持分に応じて負担するのが原則です。

ところが共有名義の固定資産税には連帯納付の義務があり、納税通知書は代表者に届きます。
代表者が全額を納付して後から他の共有者に請求する流れになるため、負担が代表者に偏ります

請求を拒まれるパターンは決まっています。
たとえば「自分は通行していないから払う義務はない」「自宅前の部分は使っていない」という言い分です。

話し合いが平行線をたどると、数年分の税額を代表者1人が抱え込む状態になります。
代表者が納付を止めれば延滞金が発生し、滞納処分の対象にもなるため、事実上止められません。

【参考】地方税法第10条の2|e-Gov 法令検索地方税法第348条|e-Gov 法令検索

修繕費の分担がまとまらず私道が劣化する

舗装が剥がれて雨のたびに水たまりができているのに、修繕が進まないケースです。

見積りを取って共有者全員に費用負担を求めたところ、「車を持っていないから必要ない」「自宅前は壊れていないから払わない」と拒まれることもあるでしょう。

例えば、砂利道のアスファルト舗装や路面の補修、段差の解消は、道の形状や効用を大きく変えるものではないため管理行為として持分の価格の過半数で決められます。

一方、道幅を広げる工事は変更行為にあたり、共有者全員の同意が必要です。
全員の同意が要ると思い込んで断念していた工事が、過半数で通ることもあります。

相続で共有者が増えて権利関係がわからなくなる

私道の持分は相続を重ねるたびに分散します。

そのため、登記が古いまま残っていると、誰がどれだけ持っているのかを共有者自身が把握できなくなります
分散が加速する原因のひとつが登記漏れです。

しかし、相続の手続きでは自宅の宅地と建物には目が向くのに、前面の私道の持分は見落とされがちです。
私道は宅地とは別の地番になっているため、公図で洗い出さないと存在自体に気づきません。
遺産分割協議書に私道の記載がないまま何十年も経ち、被相続人名義のまま残っている私道は各地にあります。

そこで、相続をする際の最初の作業は権利関係の確定です。
公図と登記事項証明書を取り寄せて現在の名義と持分割合を洗い出し、必要な相続登記を済ませてください。
相続人が多い場合は司法書士に登記記録の調査から依頼すると早く進みますので、ぜひ相談してみましょう。

共有者が所在不明で売却も名義整理も進まない

  • 登記簿に十数名の共有者が並んでいて、手紙を送っても返答がなく電話番号もわからない。
  • 買主から共有者全員の承諾書を求められたものの揃えられず、売買契約が流れる。

共有者の所在不明は、売却の直前でつまずく典型的な型です。

まず実施するのは所在調査です。

登記簿に記載された住所をもとに住民票の写しや戸籍の附票をたどり、現住所を追跡します。
共有者が亡くなっている場合は戸籍から相続人を特定します。

追跡しても見つからないときは、裁判所へ申し立てて所在等が不明な共有者の持分を取得したり譲渡したりする制度を使う方法があります(民法第262条の2・第262条の3)。

所在不明者を抱えたまま放置すると、私道は使うことも売ることもできない負担だけの資産になります。

私道の共有持分トラブルが起きたときの対処法5つ

指導の共有持分トラブル対処の5ステップ

私道のトラブルは、次の順番で段階を上げていきます。
前の段階を飛ばすと費用と時間が膨らみます。

①共有者と話し合い、決めた内容を管理協定書にする

最初の一手は共有者どうしの話し合いです。

引っ越さないかぎり近隣としての付き合いは続くため、まず穏便な合意形成を目指す価値があります。
話し合いの場では、決める項目を先に用意しておくと進みます。

決める項目取り決めのポイント
管理費用の分担方法持分割合で負担することを明記し、滞納時の対応も決める
修繕工事の実施基準どの程度の損傷で工事をするか、費用の上限をいくらにするか
通行と駐車のルール大型車の可否、来客や業者の通行、常時駐車の扱い
日常管理清掃・除草・除雪の頻度と担当の回し方
見直しの時期何年ごとに内容を確認し直すか

まとまった内容は管理協定書として書面にし、共有者全員が署名押印します。

さらに公正証書(公証役場で作成する公的な証明力を持つ文書)にしておくと、合意があったこと自体を後から争われにくくなります。
相続で共有者が入れ替わったときにも、協定書があれば前提を引き継げます。

②私道を使う権利を書面で確定させる

自分に通行や掘削の根拠があるかを確認し、なければ書面で作ります

通行の根拠には以下の3種類があります。

権利の種類内容使える場面
隣地通行権他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者が、囲んでいる他の土地を通行できる権利。条文上は「公道に至るための他の土地の通行権」で、囲繞地通行権とも呼ばれる。通行する土地の損害に対して償金を支払う義務がある袋地で公道に出る手段がない
通行地役権設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自分の土地の便益に供する権利相互持合型で他人の区画を日常的に通る
賃貸借契約に基づく通行権通行したい部分の土地を所有者から借りて得る通行権対価を払って通行を確保する
掘削承諾ライフライン工事のために私道を掘ることへの承諾を書面化したもの給排水管やガス管を引き込む

【参考】
民法第210条|e-Gov 法令検索
民法第280条|e-Gov 法令検索
民法第601条|e-Gov 法令検索

③市区町村に私道の法的な位置づけを確認する

私道が建築基準法の道路にあたるかどうかで結論が大きく変わります。

位置指定道路やみなし道路に該当すれば、その道を日常生活上欠かせない人の通行を所有者であっても妨げにくくなるためです。

窓口は市区町村の建築指導課や道路管理課で、自治体が公開する指定道路図でも確認できます。
窓口で聞く内容を整理しておくと1回で済みます。

  • その私道が建築基準法上の道路に該当するか
  • セットバックの必要があるか
  • 過去に指導や苦情の履歴があるか

もうひとつ、共有者の同意が取れない私道の工事について、法務省が「所有者不明私道への対応ガイドライン」を公表しています。
共有者が所在不明で工事の同意が取れないなどの37事例について、改正後の民法での対処法が事例ごとに整理されています。
自分の状況に近い事例を探せるため、行政や専門家に相談する前の下調べに使えます。

【参考】所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)|法務省

④弁護士と司法書士に交渉と登記を切り分けて依頼する

依頼先任せられること向いている場面
弁護士共有者との交渉の代理、調停・訴訟の代理通行妨害や費用の不払いで争いになっている
司法書士相続登記、持分の移転登記、登記記録の調査名義が古く共有者の特定から必要
不動産会社持分の売却、買主探し、必要書類の確認や専門家への取次ぎ私道の持分を手放したい

交渉の依頼先は役割で切り分けると手戻りが少なくなります。

具体的には、紛争性のある交渉の代理は弁護士の業務で、登記申請の代理は司法書士の業務です。
自分の困りごとが「相手と争っている」のか「書類と名義が整っていない」のかで入口が変わります。

相続や不動産問題を得意とする弁護士を選ぶと、私道特有の論点にも話が通じます。
相談時には登記事項証明書、公図、共有者の一覧、これまでのやり取りの記録を持参してください。

⑤話し合いが尽きたら共有物分割請求を検討する

どの手も尽きたときの最終手段が共有物分割請求です。

共有者はいつでも共有物の分割を請求できるとされており、裁判所の手続きで共有状態そのものを解消できます。
5年を超えない期間で分割しない旨の契約を結んでいる場合は、その期間が明けてからになります。

分割の方法は3通りです。

  1. 現物分割|共有物を物理的に分けてそれぞれの単独所有にする
  2. 賠償分割|特定の共有者が他の共有者の持分を取得し、代金を支払う
  3. 換価分割|競売にかけて売却代金を持分割合で分ける

私道は1つの土地を複数に分けて登記すると通行の機能を損なうため、現物分割にはなじみません。
実際には賠償分割か換価分割に落ち着くことが多くなります。

もっとも、訴訟には時間と費用がかかり、判決が出ても共有者は近隣住民として残ります。
ほかの手段を尽くしたうえでの最終手段と位置づけ、費用と得られるものを比べてから判断してください。

【参考】民法第256条|e-Gov 法令検索

相続した私道の共有持分でやっておくべき手続き

相続で私道の持分を承継したら、次の3つを順に押さえます。

  1. 遺産分割協議書に私道の持分を書き漏らさない
  2. 相続登記は義務化されている
  3. 期限に間に合わないときは相続人申告登記を申し出る

遺産分割協議書に私道の持分を書き漏らさない

私道は宅地とは別の地番になっていることが多く、遺産分割協議書から抜け落ちやすい財産です。
亡くなった人が私道の持分を持っていたことに気づかないまま協議を終えてしまうケースがあります。
洗い出しの手順は次のとおりです。

  1. 法務局で自宅周辺の公図を取得し、宅地に接する道路部分の地番を特定する
  2. 特定した地番の登記事項証明書を取得し、被相続人の名義と持分割合を確認する

協議書に書く項目は、所在・地番・地目・地積・持分割合です。

私道の持分は、その私道に接する宅地を取得する相続人へ割り付けるのが一般的です。
宅地と私道の持分が別の相続人に分かれると、通行や工事のたびに協議が必要になり使いにくくなります。

記載が漏れると、その持分だけを対象にした遺産分割協議をあらためて開かなければなりません。

相続登記は義務化されている

不動産を相続で取得した人は、その登記を申請しなければなりません。

期限は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内です。
相続人に対する遺贈で所有権を取得した人も同様です。

また、正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料に処されることがあります(不動産登記法第164条第1項)。
過料は罰金と違って刑罰ではありませんが、金銭的な負担が生じる点は変わりません。
見落としやすいのが適用範囲です。

祖父母の代の名義のまま残っている私道の持分があるなら、まさに優先して確認すべき対象です。

【参考】不動産登記法第76条の2|e-Gov 法令検索

期限に間に合わないときは相続人申告登記を申し出る

遺産分割の話し合いがまとまらず、3年の期限に間に合わない場合もあります。

そのために用意されたのが相続人申告登記です。

登記官に対して、所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、自分がその相続人である旨を申し出ます
期限内に申出をすれば、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。

ただし、申出をすると相続人の氏名と住所が登記に付記されますが、誰がどれだけ持つかという持分割合まで確定するものではありません。

権利関係を確定させる登記ではなく、義務を果たしたことを示す暫定的な措置です。
その後の遺産分割で所有権を取得したときは、分割の日から3年以内に所有権の移転登記を申請する必要があります。

【参考】不動産登記法第76条の3|e-Gov 法令検索

私道の共有持分にかかる固定資産税と非課税の扱い

私道にも原則として固定資産税がかかりますが、公共の用に供する道路にあたれば非課税になります。
自分の私道がどちらなのかで、毎年の負担が変わります。

私道の状態固定資産税の扱い確認先
行き止まりで特定の人しか使わない私道課税されるのが原則市区町村の資産税課
不特定多数が通行する通り抜けの私道非課税の対象になる余地が大きい市区町村の資産税課
位置指定道路として指定を受けた私道公共性が認められ非課税になる場合がある建築指導課で指定の有無、資産税課で課税の扱い

なお、ここからは固定資産税ではなく、相続税や贈与税を計算するときの私道の評価の扱いです。
特定の人だけが使う専用道路にあたる私道は、自用地としての価額の30パーセント相当額で評価します。

一方、公園などへの通路や通り抜け道路のように不特定多数の人の通行に供されている私道は、評価しません。

【参考】No.4622 私道の評価|国税庁

私道にも原則として固定資産税がかかる

私道は私有地であるため、原則として固定資産税の課税対象です。
共有名義の場合は共有者に連帯納付の義務があり、納税通知書は代表者に届きます。
代表者は共有者の代表として全額を納付する立場に置かれます。
負担は持分に応じて分け合うのが原則です。

ただし、市区町村が持分ごとに分割して課税してくれるわけではないため、実際には代表者が立て替えて他の共有者に請求する形になります。

納税のトラブルを防ぐには先に書面化しておきましょう。
誰が代表者になるか、他の共有者はいつまでにいくらを代表者へ支払うか、支払わない場合はどう対応するかを管理協定書に書いておきます。

公共の用に供する道路は固定資産税が非課税になる

地方税法は、公共の用に供する道路、運河用地および水道用地を固定資産税の非課税財産と定めています。

自分の私道がこの要件を満たしていれば、そもそも課税されません。
非課税かの判断の中心になるのは、不特定多数の人が自由に通行できる状態かどうかです。
両端が公道につながっている通り抜けの道は認められやすく、行き止まりで特定の住民しか使わない道は認められにくい傾向があります。

もっとも、具体的な判断基準と申請の様式は市区町村ごとに定められているため、一律ではありません。
申請の流れは資産税課への事前相談から始まります。

求められる資料は次のとおりです。

  • 私道の位置図
  • 現況を写した写真
  • 公図
  • 所有関係を示す登記事項証明書

自治体によって追加の資料を求められることもあります。
現地調査を経て翌年度から非課税になる運用が多く、遡って還付されるとは限りません。
共有者全員の負担が毎年減るため、費用の分担をめぐる争いそのものを小さくできます。

【参考】地方税法第348条|e-Gov 法令検索

私道に接する不動産を売買するときの注意点

私道が絡む取引では、次の4点が売主と買主の共通の確認事項になります。

  • 建築基準法の接道要件を満たしているか確認する
  • 共有者から掘削承諾書を取得しておく
  • 私道持分がないと住宅ローンの審査で不利になりやすい
  • 買主に権利関係と維持費のルールを説明する

権利関係の説明不足は、引渡し後の紛争に直結します。
売主でも買主でも同じ4点を押さえてください。

建築基準法の接道要件を満たしているか確認する

建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければなりません。
そして道路とは、幅員4メートル以上のものをいいます。

特定行政庁が指定する区域内では6メートル以上となる場合もあります。
要件を満たさない土地は再建築ができず、市場での評価が大きく下がります

建物を解体したあとに新築できない、増改築もできないという制約が付くためです。

買主にとっては住宅ローンが組めない要因にもなります。
また、みなし道路では、道の中心線から水平距離2メートルの線が道路の境界線とみなされます。
建替えの際は境界線まで敷地を後退させるセットバックが必要になり、使える敷地面積が減ります。

ただし、幅員4メートル以上の道に2メートル以上接していて、行政が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認める場合など、接道義務が適用されない例外もあります。
判断は自治体ごとに運用が分かれるため、市区町村と不動産会社の双方に確認してください。

【参考】建築基準法第43条|e-Gov 法令検索

共有者から掘削承諾書を取得しておく

掘削承諾書があるかどうかで買主の判断は変わります

給排水管やガス管を引き込めるかどうかが、その土地に住めるかどうかを左右するためです。
掘削の承諾を取る相手は形態で変わります。
共同所有型なら共有者全員から、相互持合型なら掘削する場所の私道を所有している人から取得します。

分譲地では共有者が10人を超えることもあるため、売却を決めたら早めに動き始めてください。

承諾書がない状態でも売却はできますが、価格に影響が出る前提で考えてください。

承諾書に書き込む項目は次の3点です。

  • 承諾の対象となる私道の範囲
  • 認める工事の内容
  • 買主への承継の可否

私道持分がないと住宅ローンの審査で不利になりやすい

私道持分や通行掘削の承諾がない物件は、住宅ローンの審査で不利に働きやすくなります。

金融機関は担保としての価値を見るため、再建築の可否と権利関係の安定性を重視します。
審査で見られる論点は次の3点です。

  • 建築基準法の接道要件を満たしているか
  • 前面の私道の持分を持っているか
  • 持分がない場合に通行と掘削の承諾を得ているか

どれも欠けていると、担保評価が下がるか融資自体が難しくなります。

対処法は2つあります。
ひとつは私道の所有者から持分を買い取ることです。
もうひとつは、持分の取得が難しい場合に通行承諾書と掘削承諾書を取得して権利関係を書面で固めることです。

どちらも時間がかかるため、売却の準備段階から着手してください。
買主側では、資金計画を早めに金融機関へ相談しておくことが大切です。

買主に権利関係と維持費のルールを説明する

売主が引渡し後に責任を問われる余地を減らすには、私道の情報を書面で買主に伝えておくことです。

伝えるべき項目は次のとおりです。

  • 私道の形態が共同所有型か相互持合型かの区別
  • 自分の持分割合と共有者の人数
  • 通行と掘削の承諾の有無と承諾書の写しの有無
  • 維持管理費の分担ルールと直近の実額
  • 過去に起きたトラブルとその解決状況

なお、相互持合型ではとくに説明を丁寧にしてください。
売主が長年問題なく通行していたとしても、買主に代わったあとで無断通行だと主張されるおそれがあります。
可能であれば、あらかじめ地役権設定契約を結ぶか、承諾を買主へ承継する旨の合意を取り付けておくと安心です。

また、年間いくら積み立てているのか、直近の修繕でいくら出したのかがわかると、買主が資金計画を立てられて取引が進みやすくなります。
権利関係を隠さず開示する姿勢そのものが、買主の信頼を生みます。

私道の共有持分の売却先を探すならベンナビ不動産売却へ

話し合いを尽くしても解決しないなら、共有関係そのものから抜けるという選択肢もあります。

自分の持分だけなら他の共有者の同意なく売却できます。
話し合いが平行線をたどっている場合や使う予定がない場合の、現実的な出口です。

売り方同意が必要な範囲向いているケース
宅地と私道持分をまとめて売却自分の持分のみで同意は不要住み替えを予定している
私道持分のみ売却自分の持分のみで同意は不要住み続けるが私道の負担を切りたい
共有者全員で私道全体を売却共有者全員の同意共有者の意向が一致している
隣接地の所有者へ譲渡自分の持分のみで同意は不要隣接地の所有者が取得を希望している

ただし、私道や共有持分は通常の仲介では買主が見つかりにくく、査定の段階で断られることもあります。
取り扱いに慣れた不動産会社に相談すると次の点で違いが出ます。

【私道や共有持分に対応する不動産会社に相談する主なメリット】

  • 売却に向けた権利関係の資料集めや手続きの段取りを任せられる
  • 名義が未整理の状態でも査定と売却の見通しを立ててもらえる
  • 買主を自分で探す手間がなく、現金化までの見通しを立てやすい
  • 必要に応じて弁護士や司法書士への相談を案内してもらえる

そこで「ベンナビ不動産売却」では、私道や共有持分といった扱いの難しい不動産について、対応できる不動産会社へ無料で査定を依頼できます
なお、共有者との交渉そのものを不動産会社が代理することはできません。
紛争性のある交渉は弁護士の業務にあたるため、すでに揉めている段階であれば弁護士へ相談してください。

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私道の共有持分に関するよくある質問

Q

共有私道に自分の車を駐車してもいい?

A

持分を理由に自由に駐車できるとは限りません。
共有物の使用は他の共有者の使用を妨げない範囲に限られるため、道幅や停める時間帯によっては妨害と評価されることがあります。
また、自分の持分を超えて使った場合は、別段の合意がないかぎり他の共有者へ対価を償還する義務があります(民法第249条第2項)。
駐車の可否は共有者どうしの取り決めで決める事項です。
一時的な荷下ろしは認め、常時の駐車は認めないといった線引きを管理協定書に書いておくと争いになりません。

Q

私道持分あり1/5とはどういう意味?

A

その私道全体の5分の1の権利を持っているという意味です。
道の一部を面積で切り取って所有しているわけではなく、道全体に5分の1の割合で権利が及びます。
この割合は管理費用の負担割合と、舗装などの管理行為を決めるときの議決権の重みになります。
割合は分譲時の区画数や宅地面積に応じて決められるため、共有者ごとに差が付くこともあります。

Q

私道でも固定資産税はかかる?

A

私有地であるため原則として課税されます。
ただし公共の用に供する道路にあたる私道は、地方税法で非課税財産と定められています。
両端が公道につながる通り抜けの道は非課税が認められやすく、行き止まりの道は認められにくい傾向があります。
判断基準と申請の様式は市区町村ごとに定められているため、資産税課に問い合わせてください。

Q

私道の共有持分だけを売ることはできる?

A

できます。
私道全体を売るには共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分を処分することは単独でできます。
共有者が売却に反対していても、自分の持分だけなら手放せます。
ただし通常の仲介では買主が見つかりにくいため、私道や共有持分の取り扱いに慣れた不動産会社に相談してください。

Q

共有私道が誰のものか調べる方法は?

A

法務局で公図を取得して私道部分の地番を特定し、その地番の登記事項証明書を取得します。
権利部に所有者の氏名・住所と持分割合が記載されています。
持分の記載があれば共同所有型、単独所有なら相互持合型です。
どちらもオンラインで交付請求できるため、法務局に行かなくても確認できます。

Q

私道の名義変更にかかる費用はいくら?

A

相続登記の場合は、登録免許税として不動産の価額の0.4パーセントがかかります。
不動産の価額には固定資産課税台帳に登録された価格を使いますが、非課税の私道など台帳に価格が登録されていない土地では、近傍の宅地の価額をもとに登記官が認定した価額を使います。
なお、不動産の価額が100万円以下の土地を相続で取得した場合、その所有権移転登記は2027年3月31日まで登録免許税が免税されます。評価額の低い私道は対象になることがあるため、申請前に法務局へ確認してください。
このほか登記事項証明書などの取得費用が実費で必要です。
司法書士報酬は事務所ごとに異なるため、見積りを取って確認してください。
税率や特例は年度によって変わります。
【参考】登録免許税法 別表第一|e-Gov 法令検索租税特別措置法第84条の2の3|e-Gov 法令検索

さいごに|私道の共有持分のトラブルは形態の確認から動き出そう

私道の共有持分のトラブルは、まず自分の私道が共同所有型か相互持合型かを見分けることから始まります。
公図と登記事項証明書で形態と持分割合を確定させれば、誰の同意が必要かが決まります。

そのうえで、話し合いと管理協定書の作成から始めてください。
解決しなければ通行と掘削の権利の書面化、市区町村への位置づけの確認、専門家への依頼と段階を上げ、最後に共有物分割請求を検討します。

令和5年4月に施行された民法の改正で、ライフライン設備の設置権や所在等不明共有者の持分取得といった手段が加わりました。
相続で承継した私道の持分については、3年以内の相続登記という期限があることも忘れないでください。
それでも解決の糸口が見えないときや、使う予定のない私道の負担だけが続いているときは、持分を手放す選択肢があります。

「ベンナビ不動産売却」で私道や共有持分に対応する不動産会社を探して、まずは査定を依頼してみてください。

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