共有名義とは?共有持分との違い・できないこと・解消方法をわかりやすく解説
親から相続した実家の登記簿を取り寄せたら、自分と兄弟の名前が並んでいた。
あるいは、住宅を購入するときに不動産会社から「共有名義にしますか」と聞かれた。
共有名義という言葉に初めて向き合うきっかけは、多くの場合そうした場面です。
共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態のことをいいます。
所有権を人数分に切り分けるのではなく、1つの所有権を割合で分け合う仕組みです。
そのため、売る・貸す・建て替えるといった行為には、種類ごとに決められた同意が必要になります。
本記事では、共有名義の意味と共有持分との違い・持分割合の決まり方・1人でできる行為とできない行為の線引きを順に整理します。
さらにメリットとデメリット、共有状態を解消する5つの方法までを、民法の定めを踏まえた形で整理する構成です。
読み終えるころには、自分の不動産がいまどの状態にあり、動くべきか様子を見てよいかを判断できるようになります。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
共有名義とは1つの不動産を複数人で所有している状態のこと
共有名義とは、1つの不動産の所有権を複数人が分け合って持ち、登記簿にその全員の名前が記録されている状態のことです。
まずは似た言葉との違いから整理します。
- 共有名義と単独名義の違い
- 共有名義と共有持分の違い
- 持分割合は登記簿で確認できる
共有名義と単独名義の違い
単独名義は1人が所有権のすべてをもつ状態で、売却も賃貸もリフォームも自分の判断だけで進められます。
一方の共有名義では、行為の種類ごとに他の共有者の同意が必要になります。
登記上の違いは単純です。
登記簿の所有者欄に記載された人が1人であれば単独名義、2人以上であれば共有名義になります。
名義人が2人でも10人でも、複数であれば共有名義です。
違いが表面化するのは、売る、貸す、壊して建て替えるといった場面です。
単独名義であれば自分の意思だけで決められますが、共有名義では誰の同意がどれだけ必要かが行為ごとに変わります。
日常的に住んでいるあいだは違いを意識せず、売却を考えた段階で初めて制約に気づく人が多いのが実態です。
なお、分譲マンションの敷地利用権のように、法律上当然に共有になるものもあります。
ただしこの記事で扱うのは、相続や共同購入によって生じる共有名義です。
共有名義と共有持分の違い
共有名義は複数人で所有している状態を指す言葉で、共有持分はその中で各人がもっている所有権の割合を指す言葉です。
2つは同じものではありません。
使い方で示すと違いがはっきりします。
「この土地は兄と私の共有名義です」は状態を説明した文で、「私の共有持分は3分の1です」は割合を説明した文です。
共有名義という状態のなかに、各人の共有持分がある関係です。
共有持分は物理的な面積ではない点にも注意してください。
持分3分の1でも、敷地の3分の1の区画だけを使う権利という意味とは別物です。
民法では、各共有者は共有物の全部について持分に応じた使用ができると定められています。
そのため、1人が持分を超えて建物を独占して使っている場合、その共有者は他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を支払う義務を負います。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
持分割合は登記簿で確認できる
自分の持分割合は、法務局で取得できる登記事項証明書の権利部(甲区)に「持分2分の1」といった形で記載されています。
手元に権利証がなくても確認できます。
登記事項証明書は、所有者本人でなくても誰でも取得が可能です。
法務局の窓口で申請する方法のほか、オンラインで請求して郵送や窓口で受け取る方法もあります。
取得には物件の所在地と地番、または家屋番号が必要です。
住居表示の住所とは異なる場合があるため、固定資産税の納税通知書や権利証で地番を確かめておくと手続きが早く進みます。
固定資産税の納税通知書だけでは、持分割合はわかりません。
共有名義の不動産では通知書が代表者1人にしか届かない扱いになっており、そこに各共有者の持分が記載されているとは限らないためです。
なお、相続が起きたあとに登記をしていない場合、登記簿の名義は亡くなった人のままになっています。
この状態では登記簿を見ても現在の共有者はわかりません。
不動産が共有名義になる3つのケース
不動産が共有名義になるのは、相続で複数人が引き継いだ場合、夫婦や親子が資金を出し合って購入した場合、共有者の持分が第三者に渡った場合の3つがほとんどです。
多くは相続が入口になります。
- 相続で複数の相続人が引き継いだ
- 夫婦や親子が資金を出し合って購入した
- 共有者の持分が第三者に渡った
相続で複数の相続人が引き継いだ
相続人が複数いる場合、遺産は法律上いったん相続人全員の共有になります。
そのため、遺産分割協議で取得者を決めない限り、不動産は共有名義のままになります。
相続人が数人あるときは相続財産はその共有に属する、というのが民法の定めです。
誰かが手続きをしたから共有になるのではなく、相続が起きた時点で自動的に共有状態が発生します。
法定相続分どおりに相続登記をした場合も、そのまま共有名義の登記になります。
たとえば父が亡くなり、子2人が法定相続分どおりに実家を相続した場合、登記簿に記録されるのは子2人の名前と各2分の1の持分です。
争いがないケースほど「とりあえず法定相続分で登記しておこう」という判断になりやすく、共有名義が生まれます。
このとりあえずの共有が、次の代でさらに細分化していく起点になります。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
夫婦や親子が資金を出し合って購入した
夫婦がペアローンや収入合算で住宅を買った場合や、親子で資金を出し合った場合は、出した金額の割合に応じて共有名義で登記するのが原則です。
夫婦で住宅ローンを組む方法は2つに分かれます。
ペアローンは夫婦それぞれが債務者として別々にローンを契約し、互いに相手の連帯保証人になる形です。
収入合算は一方が主債務者となり、もう一方が連帯債務者または連帯保証人として収入を合わせる形になります。
ペアローンでは2人とも債務者になるため、共有名義にするのが自然な流れです。
親から資金援助を受けて購入する場合も注意してください。
援助分を親の持分として登記するのか、子への贈与として扱って子の単独名義にするのかで、登記の内容も税金の扱いも変わります。
実際に出した金額と登記した持分割合がずれると、差額が贈与とみなされる場合があります。
共有者の持分が第三者に渡った
自分の持分だけであれば他の共有者の同意なく売却できます。
そのため、共有者の1人が持分を売ったり、その持分が競売にかかったりすると、面識のない第三者が共有者になることがあります。
持分の処分は各共有者が単独でできる行為です。
他の共有者に相談する法律上の義務はなく、事前の通知も要りません。
売却が済んで登記が動いてから、他の共有者が初めて知るという流れも起こります。
共有者が自己破産した場合も同じ構図です。
破産手続では、その共有者の持分も換価の対象です。
売却されれば第三者の手に渡ります。
競売にかかれば、落札者が新たな共有者となります。
第三者が共有者になると、その相手からの持分買取の打診や、共有物分割の請求も想定される流れです。
相手は不動産を利用する目的ではなく、権利を整理して利益を得る目的で持分を取得しているためです。
共有名義の持分割合は出資額か相続での取り決めで決まる
持分割合は、購入なら出した資金の割合、相続なら遺言や遺産分割協議の内容で決まります。
どちらも決まっていない場合は、各共有者の持分は等しいものと推定されます。
- 購入した場合は出資額の割合で決まる
- 相続した場合は遺言・遺産分割協議・法定相続分の順で決まる
- 出資額と持分割合がずれると贈与とみなされることがある
| 共有名義になった経緯 | 持分割合の決まり方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 購入・ペアローン | 頭金とローン負担額を合わせた実際の出資額の比率 | 諸費用の負担も出資額に含めて計算する |
| 遺言がある相続 | 遺言で指定された割合 | 遺留分を侵害する内容だと請求を受ける場合がある |
| 遺産分割協議による相続 | 相続人全員の合意で自由に決められる | 協議書に持分を明記しないと登記できない |
| 贈与 | 贈与契約で定めた割合 | 受け取った側に贈与税がかかる場合がある |
| 取り決めがない | 各共有者の持分は等しいものと推定される | 推定であり、出資の証拠があれば実態で決まる |
購入した場合は出資額の割合で決まる
購入で共有名義にする場合の持分割合は、頭金と住宅ローンの負担額を合わせた実際の出資額の比率で決めるのが原則です。
具体例で確認します。
4,000万円の物件を夫婦で購入し、夫が頭金と自分名義のローンで2,400万円、妻が1,600万円を負担したとします。
この場合の持分は夫が5分の3、妻が5分の2です。
登記費用や仲介手数料などの諸費用も、どちらが負担したかを含めて計算します。
親からの資金援助分をどちらの出資として扱うかでも持分は変わります。
夫の親から500万円の援助を受けた場合、500万円を夫の出資として扱えば増えるのは夫の持分です。
妻への贈与として扱う場合は、妻の出資に加えたうえで贈与税の申告が必要かどうかを確認します。
登記時に決めた持分は、後から自由に付け替えられません。
変更する場合は贈与や売買としての手続きになり、税金と登記費用も別途必要です。
相続した場合は遺言・遺産分割協議・法定相続分の順で決まる
相続の場合は、遺言があればその内容が優先します。
遺言がなければ遺産分割協議で自由に決められ、協議もしないまま登記すると法定相続分どおりの持分になります。
3つの経路の優先順位は次のとおりです。
第一に、有効な遺言書で不動産の取得者や割合が指定されていれば、その内容に従います。
第二に、遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議をおこない、全員が合意すれば法定相続分と異なる割合でも問題ありません。
第三に、協議をしないまま相続登記をする場合は、法定相続分どおりの共有名義です。
法定相続分の代表例を挙げると、配偶者と子が相続人であれば配偶者が2分の1、残りの2分の1を子が人数で等分します。
子が2人なら、それぞれ4分の1ずつです。
遺産分割協議そのものに法律上の期限はありません。
ただし、相続で不動産を取得した場合の登記申請には期限が設けられています。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
出資額と持分割合がずれると贈与とみなされることがある
実際に出した金額よりも大きな持分で登記すると、その差額分は他の共有者から贈与を受けたものとして扱われ、贈与税の対象になる場合があります。
よくあるのは、夫婦だから半分ずつでよいと考えて2分の1ずつで登記するケースです。
4,000万円の物件で夫が3,000万円、妻が1,000万円を負担したとします。
この場合、妻は本来1,000万円分の権利しか持ちません。
差額の1,000万円は、贈与とみなされる可能性のある部分です。
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
国税庁の資料によると、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与した場合は、基礎控除とは別に最高2,000万円まで控除できる特例もあります。
課税されるかどうかを分けるのは、資金の出所や返済の実態です。
個別の判断は税理士や所轄の税務署に確認してください。
【参考】No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
共有名義の不動産で1人でできることとできないこと

共有名義の不動産に対する行為は、全員の同意が必要な変更行為、持分の過半数で決められる管理行為、1人でできる保存行為の3つに分かれます。
自分の持分の処分だけは同意なしでできます。
- 全員の同意が必要な行為(変更・処分)
- 持分の過半数で決められる行為(管理)
- 1人でできる行為(保存)
- 1人でできる行為(自分の持分の処分)
| 行為の種類 | 具体例 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 変更・処分 | 不動産全体の売却、建物の取り壊し、増改築、全体への抵当権設定 | 共有者全員の同意 |
| 管理 | 賃貸借契約の締結、内装のリフォーム、管理者の選任 | 持分の価格の過半数 |
| 保存 | 雨漏りの修理、不法占拠者への明渡請求、相続登記の申請 | 単独で可能 |
| 自分の持分の処分 | 自分の持分だけの売却、持分への抵当権設定 | 単独で可能 |
全員の同意が必要な行為(変更・処分)
不動産全体の売却や建物の解体・建て替えなど、形や用途を大きく変える行為は、共有者全員の同意がなければできません。
民法では、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができないと定められています。
共有者が4人いれば4人全員、10人いれば10人全員の同意が必要です。
持分の大きさは関係ありません。
持分100分の1の共有者にも拒否権があります。
具体的には、不動産全体の売却・建物の取り壊し・大規模な増改築・不動産全体への抵当権設定が代表的です。
売却が進まない共有名義のトラブルは、この全員同意の要件から生まれています。
ただし、形状や効用の著しい変更をともなわない軽微な変更は、全員同意の対象から外れます。
2023年施行の民法改正で、軽微な変更は管理行為として持分の過半数で決められるよう整理されました。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
持分の過半数で決められる行為(管理)
賃貸に出す、内装をリフォームするといった管理行為は、共有者の人数ではなく持分の価格の過半数で決められます。
民法では、共有物の管理に関する事項は各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決するとされています。
人数の過半数と誤解しないように注意してください。
具体例で確認します。
Aが持分2分の1、BとCが持分4分の1ずつをもつ不動産で、BとCが賃貸に出すことに賛成し、Aが反対したとします。
人数では2対1で賛成が多数でも、持分ではBとCの合計が2分の1にとどまり、過半数には届かない計算です。
この場合、賃貸に出す決定はできません。
他の共有者が所在不明の場合や、期限を切って返答を求めても賛否を明らかにしない場合の制度もあります。
裁判所の裁判を経れば、その共有者を除いた残りの持分の過半数で管理を決められる仕組みです。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
1人でできる行為(保存)
雨漏りの修理のように現状を維持する保存行為や、不法占拠者への明渡請求は、他の共有者の同意なく1人でおこなえます。
保存行為に当たる代表例は、建物の修繕・老朽化した設備の交換・不法占拠者を排除するための請求・相続登記の申請です。
共有物の価値を守る行為であり、他の共有者の不利益にならないため、単独での実施が認められています。
ただし、単独でできる点と、費用を1人で負担する点は別の話です。
民法では、各共有者はその持分に応じて管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負うと定められています。
立て替えた修繕費は、後から他の共有者へ持分に応じて請求が可能です。
さらに、共有者が1年以内にこの負担義務を果たさない場合、他の共有者は相当の償金を支払ってその共有者の持分を取得できる制度もあります。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
1人でできる行為(自分の持分の処分)
不動産全体を売るには全員の同意が必要ですが、自分の持分だけを売ったり担保に入れたりすることは、他の共有者の同意なしにできます。
持分は各共有者が単独で処分できる財産です。
共有関係から自分だけ抜け出したい場合の現実的な選択肢になります。
他の共有者に売却の許可を得る必要はなく、通知の義務もありません。
ただし、売却先は限定的です。
持分だけを買っても買主は不動産を自由に使えず、他の共有者との交渉や共有物分割の手続きを引き受けることになるためです。
一般の仲介市場では買い手がつきにくく、共有持分の取り扱いに慣れた買取業者が主な売却先になります。
買取業者各社が公表している情報では、持分のみの売却価格は、市場価格に持分割合を掛けた金額の3割から5割程度の例が多めです。
実際の金額は物件の条件や共有者の関係によって変わります。
売却を考えるなら、共有持分の取扱実績がある会社の査定で金額を確かめてください。
共有名義にする3つのメリット
共有名義には、借入額を増やせる、住宅ローン控除を共有者ごとに受けられる、売却時の特別控除を各自が使えるという3つのメリットがあります。
いずれも購入時と売却時という限られた場面で効くものです。
- 借入額を増やして購入できる
- 住宅ローン控除を共有者それぞれが受けられる
- 売却時の3,000万円特別控除を各自が使える
借入額を増やして購入できる
夫婦や親子の収入を合わせて住宅ローンを組むと、1人の収入だけでは届かない価格帯の物件を購入できるようになります。
収入を合わせる方法は2つです。
ペアローンは夫婦がそれぞれ別のローン契約を結び、互いに連帯保証人になります。
収入合算は一方が主債務者となり、もう一方の収入を審査上の年収に加える形で、連帯債務型と連帯保証型に分かれます。
どちらも審査で見る年収が増えるぶん、借入可能額が上がる仕組みです。
一方で、借入額が増えるということは返済義務も増えるということです。
離婚したり、片方が仕事を辞めて収入が減ったりした場合、返済計画の立て直しが難しくなります。
またペアローンでは契約が2本になるため、事務手数料、抵当権設定の登録免許税、契約書の印紙税が2人分かかります。
完済時の抵当権抹消費用も2人分です。
住宅ローン控除を共有者それぞれが受けられる
ペアローンなどで共有者がそれぞれ住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン控除は共有者ごとに適用されます。
控除額は各自の年末時点のローン残高をもとに計算されます。
持分割合と借入額の対応が前提のため、登記の持分と実際の借入負担が食い違うと、想定どおりの控除を受けられないケースも出る点に注意してください。
控除率、借入限度額、控除期間は、入居した年や住宅の省エネ性能によって変わります。
国税庁が公表している要件を確認したうえで、自分のケースに当てはめてください。
制度の見直しが入ることもあるため、購入を検討する時点の最新情報で確かめる姿勢が要ります。
なお、適用を受ける初年度は共有者それぞれが確定申告をおこないます。
会社員であっても2年目以降の年末調整に切り替わるまでは、各自の申告が必要です。
【参考】No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
売却時の3,000万円特別控除を各自が使える
住んでいた家を売って利益が出た場合の3,000万円特別控除は、要件を満たす共有者それぞれが受けられます。
夫婦で共有していれば、合計6,000万円まで控除できる可能性があります。
国税庁の資料によると、この特例はマイホームを売ったときの譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
共有名義の場合は共有者ごとに判定するため、控除枠が人数分に広がります。
売却益が出やすい物件ほど効果が大きくなります。
ただし適用のためには要件を満たすことが前提です。
売った人が居住していたことが前提であり、建物を所有せず土地だけを共有している人は、原則としてこの特例を使えません。
単身赴任などで住んでいなかった期間がある場合も、個別の判定が必要です。
適用を受けるには、共有者それぞれが確定申告をおこないます。
売却した翌年の申告期間内に手続きしてください。
【参考】No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
共有名義の4つのデメリット
共有名義のデメリットは、全員の同意がないと動かせないこと、費用負担でもめやすいこと、相続のたびに共有者が増えることに集約されます。
メリットが購入時と売却時に限られるのに対し、デメリットは所有しているあいだずっと続きます。
- 1人でも反対すると売却も活用もできない
- 固定資産税は連帯して納める義務がある
- 相続のたびに共有者が増えて権利関係が複雑になる
- 離婚後も共有名義のまま残りやすい
1人でも反対すると売却も活用もできない
不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要です。
そのため、1人が反対したり連絡が取れなかったりするだけで、話は止まります。
よくあるのは、買主が決まって契約直前まで進んだ段階で、共有者の1人が思い直して同意を撤回する展開です。
売買契約は共有者全員が売主として署名押印して成立するため、1人が欠けると契約自体が成立しません。
買主にも迷惑がかかり、仲介を依頼した不動産会社との関係もこじれます。
連絡が取れない共有者がいる場合に必要なのは、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる手続きです。
申立てから選任まで数ヵ月かかり、裁判所へ前払いするお金の負担も生じます。
共有者が認知症などで判断能力を失った場合も同じです。
本人が有効に契約できないため、成年後見人を選任しなければ売却を進められません。
後見人が就くと、本人が亡くなるまで後見が続く点にも注意してください。
固定資産税は連帯して納める義務がある
共有名義の不動産の固定資産税は、共有者が連帯して納める義務を負います。
納税通知書は代表者1人に届くため、立て替えた人が他の共有者から回収できずにもめるのが典型例です。
地方税法では、共有物に対する地方団体の徴収金は納税者が連帯して納付する義務を負うと定められています。
連帯納税義務とは、誰か1人が全額を納めれば納税義務そのものが消える一方、自治体は持分に応じて分けて請求してはくれないという意味です。
持分3分の1しか持たない人にも、全額の納付を求められる場合があります。
代表者は自治体が決めますが、共有者全員で申し出れば変更できる自治体もあります。
立て替えた分の回収は可能です。
民法では、各共有者は持分に応じて管理の費用を負担すると定められているためです。
ただし請求しても支払われない場合は、裁判所の手続きが必要になります。
【参考】地方税法|e-Gov 法令検索
相続のたびに共有者が増えて権利関係が複雑になる
共有者が亡くなるとその持分は相続人へ引き継がれます。
そのため、代を重ねるごとに共有者が増え、全員の同意を取ること自体が現実的でなくなります。
数字で追うと変化は明確です。
兄弟3人で相続した実家を放置し、それぞれに子が2人ずついた場合、次の世代では共有者が6人になります。
さらにその次の世代では10人を超えることも珍しくありません。
持分も6分の1、12分の1と細分化していく計算です。
共有者が増えると、面識のない親族や、海外在住、所在不明の相続人が混ざります。
全員から売却の同意と必要書類を集めるだけで数ヵ月から1年以上かかり、専門家に依頼する費用も膨らみます。
さらに細かくなった持分は、売却したときの1人あたりの手取りも小さくなる要因です。
手間に見合わないと感じて誰も動かなくなり、問題が先送りされる状態に陥ります。
離婚後も共有名義のまま残りやすい
離婚しても不動産の名義は自動的には変わりません。
共有名義のまま放置すると、住宅ローンの連帯保証や将来の売却で長く影響が残ります。
財産分与で「家は夫が取る」と口頭やメモで合意しても、登記を変えなければ第三者との関係では共有のままです。
妻の持分が残っている限り、夫は単独で売却できません。
住宅ローンが残っている場合は、さらに手続きが増えます。
名義変更に必要なのは金融機関の承諾で、連帯保証人からも当然には外れられない決まりです。
元配偶者が返済を滞納すれば、家を出た側に督促が来ます。
そして時間が経つほど厄介になります。
元配偶者が亡くなれば、その持分の行き先は再婚相手や新しい家族です。
離婚した相手の家族と不動産を共有する状態になり、話し合いの相手すら特定しにくくなります。
共有名義の不動産をどうするか迷ったら、まず持分の価値を確かめる
共有名義を解消するかどうかは、自分の持分にいくらの値がつくかがわからなければ判断できません。
まず査定で金額の目安を把握することが出発点になります。
ベンナビ不動産売却は、共有持分や空き家といった訳あり不動産の無料査定と買取相談を受け付けるサービスです。
他の共有者に知られることなく、自分の持分だけについて相談できます。
査定を受けたからといって、売却が決まるわけではありません。
金額を知ったうえで、他の共有者に買い取ってもらう・当面は持ち続けるといった選択も可能です。
判断材料を1つ増やすための手続きだと考えてください。
査定額は物件の条件や共有者の状況によって異なり、一定の金額を保証するものではありません。
金額がわかると、共有者との話し合いも進めやすくなります。
「いくらで買い取ってほしい」という提案に根拠が生まれ、感情論になりにくいためです。
共有名義を解消する5つの方法

共有名義を解消する方法は、全員で売る・持分を売買する・土地を分ける・持分を放棄する・裁判所に分割を求めるの5つです。
他の共有者の同意が要るかどうかで大きく分かれます。
各方法の詳しい手順や費用は本記事では扱わず、選択肢の全体像を示します。
- 共有者全員で不動産全体を売る(換価分割)
- 持分を売買して単独名義にする(代償分割)
- 土地を分けて単独名義にする(現物分割)
- 自分の持分を放棄する
- 裁判所に共有物の分割を求める
| 方法 | 他の共有者の同意 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全員で売却(換価分割) | 全員必要 | 誰も住む予定がなく現金化したい | 1人でも反対すると選べない |
| 持分の売買・代償分割 | 相手方の同意が必要 | 誰か1人が住み続けたい | 買い取る側に資金が要る |
| 分筆・現物分割 | 全員必要 | 十分な広さの土地を分けたい | 建物やマンションには使えない |
| 持分の放棄 | 意思表示は単独/登記に協力が必要 | 対価より負担からの解放を優先したい | 対価を受け取れない |
| 共有物分割請求 | 不要 | 話し合いがまとまらない | 時間と費用がかかる |
共有者全員で不動産全体を売る(換価分割)
共有者全員が同意して不動産全体を売り、代金を持分割合で分ける方法です。
換価分割は、かんかぶんかつと読みます。
持分だけを売るより高く売れるため、手取りが大きくなります。
この方法の利点は公平性です。
現金は1円単位で分けられるため、持分割合どおりに正確に配分できます。
不動産をそのまま分ける場合と違い、誰かが得をして誰かが損をするという不満が生まれにくい方法です。
手続きは通常の不動産売却と同じ流れで進みます。
査定を受け、不動産会社と媒介契約を結び、買主と売買契約を結んで引き渡します。
売買契約書に署名押印するのは、売主である共有者全員です。
遠方に住む共有者がいる場合は、代表者に委任状を出してもらう形も取れます。
売却益が出た場合は、共有者それぞれが翌年に確定申告をおこないます。
持分に応じて譲渡所得を計算するため、申告は各自の責任です。
持分を売買して単独名義にする(代償分割)
共有者の1人が他の共有者の持分を買い取れば単独名義になります。
誰かが住み続けたい場合に適した方法です。
買い取る側には資金が必要です。
自己資金で払えない場合は金融機関の融資を検討しますが、共有持分の買い取りを目的とした融資は取り扱いが限られます。
相続に伴う持分の集約であれば、相続関連の融資商品を扱う金融機関に相談する道もあります。
価格の設定には注意してください。
相場と大きくかけ離れた安い価格で売買すると、その差額が贈与とみなされ、買い取った側に贈与税がかかる場合があります。
親族間の売買ほど価格が甘くなりやすいため、査定書などの根拠を残しておいてください。
逆に自分が共有関係から抜けたい場合は、他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう形になります。
第三者の買取業者に売るより高い価格になることも多く、まず打診してみる価値があります。
交渉を始める前に、査定で持分の相場を押さえておいてください。
土地を分けて単独名義にする(現物分割)
土地であれば、分筆して持分に見合う区画をそれぞれの単独名義にできます。
分筆とは、1つの土地を複数に分けて別々の土地として登記することです。
ただし建物やマンションでは物理的に分けられないため使えません。
分筆には測量が必要です。
土地家屋調査士に依頼し、隣接する土地の所有者と境界を確認したうえで、分筆の登記を申請します。
測量から登記まで数ヵ月かかり、土地の広さや境界の状況によって費用も変わります。
分けた結果、価値が下がる区画が生まれる点にも注意してください。
道路に接する幅が足りない区画は建物を建てられず、価値が大きく下がります。
面積を等分しても、日当たりや形状の差で価値が等しくなるとは限りません。
建物が建っている土地では、分筆だけで解決しない点が難点です。
土地を分筆しても建物の共有状態は残るため、結局は建物の扱いを別に決めることになります。
自分の持分を放棄する
共有者の1人が持分を放棄すると、その持分は他の共有者のものになります。
対価は得られませんが、管理の負担からは解放されます。
持分の放棄や、死亡して相続人がいない場合にその持分が他の共有者のものになることは、民法に定めのある扱いです。
放棄の意思表示は他の共有者に向けておこない、相手の承諾は要りません。
ただし、登記は自分だけでは完了しません。
持分の移転登記は放棄した人と受け取る共有者の共同申請となるため、相手が協力しなければ登記簿は変わらないままです。
協力を得られない場合は、登記引取請求の訴訟が必要になります。
また、持分を受け取った側に贈与税がかかる場合があります。
負担を押しつけられたと受け取られないよう、放棄する前に事情を説明しておいてください。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
裁判所に共有物の分割を求める
共有者は法律上いつでも共有物の分割を請求できます。
話し合いがまとまらない場合は裁判所に分割を求められますが、時間と費用がかかるため最終手段になります。
ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約も有効で、更新も可能です。
裁判所が命じる分割方法は3つです。
第一に、共有物の現物を分ける方法。
第二に、共有者の1人に取得させて他の共有者へ金銭を支払わせる方法。
第三に、現物では分けられない場合や分割で価値が著しく下がる場合に、競売にかけて代金を分ける方法です。
競売になると市場価格より低くなる傾向があるため、手取りは減ります。
なお、共有物の持分が相続財産に属し、共同相続人のあいだで遺産分割をすべき場合は、遺産分割の手続きが優先されます。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
共有名義の放置は過料の対象と共有者の増加につながる
共有名義を放置すると、相続登記の義務違反として過料の対象になるおそれがあります。
加えて共有者が増え、最終的には売るに売れない不動産になります。
何もしない選択に見えても、実際に発生しているのは期限つきの義務です。
- 相続登記をしないと過料の対象になる
- 共有者が増えて売るに売れない不動産になる
相続登記をしないと過料の対象になる
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。
不動産登記法では、相続で所有権を取得した人に登記の申請義務があると定められています。
起算点は、相続の開始と所有権の取得の両方を知った日です。
正当な理由なく申請を怠った場合の過料も、同じ法律に規定されています。
この義務は、義務化より前に発生した相続にもさかのぼって適用されます。
2024年3月以前に相続が起きて登記していない不動産は、2027年3月31日までが期限です。
遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記という簡易な手続きがあります。
相続人であることを法務局に申し出れば、いったん申請義務を果たしたものとして扱われます。
共有者が増えて売るに売れない不動産になる
相続が重なるたびに共有者が増え、全員の同意を取ることが難しくなります。
最終的には買い手がつかず、固定資産税と管理費だけがかかり続ける不動産になります。
理由は買主の立場から見ると明確です。
共有者が10人いる不動産は、全員から同意と書類を集められる保証がありません。
仲介で売りに出しても敬遠され、価格を下げても決まらない状態が続きます。
住んでいない家の放置は、老朽化の進行と隣り合わせです。
屋根や外壁が傷み、庭木が伸び、近隣から苦情が入るようになります。
管理が行き届かないまま放置され、自治体から特定空家等に指定されると、固定資産税の住宅用地特例から外れる場合があります。
特例から外れた場合の税負担の増加も無視できない水準です。
さらに、共有者の1人が認知症になったり所在不明になったりすると、裁判所の手続きを経なければ売却できません。
動ける共有者がそろっているうちに方針を決めておくことが、負担を軽くする現実的な対応です。
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共有名義の解消に動くと、持分の買い取り先や売却先など、相手のいる調整が発生します。
共有持分の買取に対応していない不動産会社も多く、どこへ相談するかで選べる手段と金額に差が出る領域です。
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まずは査定から始めてください。
共有名義に関するよくある質問
共有名義と共同名義は違うのですか?
共同名義は共有名義と同じ状態を指す日常的な言い方で、法律上の用語は共有です。
登記簿や民法の条文では「共有」と表記されます。
どちらの言葉で調べても、複数人で1つの不動産を所有している状態を指しています。
共有名義の夫婦で片方が亡くなったらどうなりますか?
亡くなった人の持分は相続財産となり、配偶者や子など相続人へ引き継がれます。
残された配偶者が自動的にすべてを取得するわけではありません。
子がいる場合は配偶者と子で持分を分けるため、増えるのはむしろ共有者の数です。
相続人がいない場合に限り、その持分は他の共有者のものになります。
共有名義にすると固定資産税は安くなりますか?
共有名義にしても固定資産税の総額は変わりません。
共有者間で負担を分け合うだけで、税額そのものが減るわけではありません。
住宅用地の特例などの判定基準も、名義人の数ではなく土地の使われ方です。
納税通知書は代表者に届くため、実際の負担割合は共有者間で取り決めておいてください。
共有者に無断で持分を売られていた場合はどうなりますか?
自分の持分の処分は各共有者が単独でできるため、売却自体を無効にはできません。
買い取った第三者と、持分の買取や共有物の分割について話し合うことになります。
買主からの共有物分割請求もあり得る展開です。
相手の提示額が妥当か判断できないときは、先に相場を確認してから対応してください。
共有名義の不動産から家賃収入がある場合、誰の所得になりますか?
家賃収入は持分割合に応じて各共有者の所得になり、それぞれが確定申告をおこないます。
1人がまとめて受け取っていても、持分に応じて分けるのが原則です。
受け取っていない共有者は、他の共有者に分配を請求できます。
申告の具体的な扱いは税理士に確認してください。
共有名義の相談はどこにすればよいですか?
登記の手続きは司法書士、共有者との争いは弁護士、税金は税理士が窓口になります。
売却や持分の価格を知りたい場合は、不動産会社への査定依頼が入口です。
持分の価格がわからないと解消方法も選べないため、まず査定で金額の目安をつかむ流れが現実的です。
ベンナビ不動産売却では、共有持分の無料査定を受け付けています。
まとめ|共有名義は同意の仕組みを押さえて早めに方針を決める
共有名義とは1つの不動産を複数人でもっている状態で、売却や活用に他の共有者の同意が必要になります。
放置するほど共有者が増え、解決が難しくなります。
この記事の要点は次のとおりです。
- 共有名義は所有している状態を指し、共有持分は各人がもつ所有権の割合を指す
- 持分割合は、購入なら出資額、相続なら遺言や遺産分割協議の内容で決まる
- 不動産全体の売却は全員の同意、賃貸やリフォームは持分の過半数、修繕は単独でできる
- 全員の同意が必要な行為があるため、1人の反対で売却が止まる
- 解消方法は、全員で売る・持分を売買する・土地を分ける・放棄する・裁判所に分割を求めるの5つ
いま急いで解消する必要がない場合でも、自分の持分割合と登記の状態だけは確認しておいてください。
相続で取得した不動産には登記の申請期限があり、放置すると過料の対象になります。
そのうえで、持分を手放す選択肢を検討するなら、まず金額を確かめるところから始めてください。
ベンナビ不動産売却では、共有持分や空き家などの訳あり不動産について、無料で査定と買取相談を受け付けています。
他の共有者に知られずに、自分の持分だけを相談できます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。