共有名義でローンは夫のみにできる?可否の条件と贈与税の境界線を解説
住宅の購入手続きが進むなかで、頭金は妻が出し、残りは夫の単独ローンで組むという資金計画になる夫婦は多くいます。
このとき「家は夫婦の共有名義にしたいが、ローンは夫だけで組んで問題ないのか」という疑問が出てきます。
結論から言えば、この組み合わせは可能です。
ただし成立するには条件があり、条件を外すと贈与税の対象になります。
この組み合わせが成立するかどうかは、妻が購入資金を出したかどうかで決まります。
資金を出さずに持分だけを分けると、贈与とみなされて課税される仕組みです。
本記事では、認められる条件と贈与税がかかる境界線を持分の計算式で示します。
あわせて住宅ローン控除と団体信用生命保険の扱い、離婚や相続で起きること、共有状態を解消する方法までを条文に沿って解説します。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
共有名義でローンは夫のみという組み合わせはできる

家の名義と住宅ローンの名義は別々に決まるため、登記は夫婦の共有名義で住宅ローンは夫の単独名義という組み合わせは可能です。
ただし妻も購入資金を出していることが条件になります。
ここでは2つの名義の違いと、認められる場合と認められない場合の分かれ目を確認します。
- 家の名義と住宅ローンの名義は別のもの
- 妻も購入資金を出していれば共有名義にできる
- 資金を出していないのに共有名義にすると贈与とみなされる
家の名義と住宅ローンの名義は別のもの
家の名義とは、不動産登記法にもとづいて登記簿に記録される所有者のことで、その不動産が誰のものかを示すものです。
法務局で登記事項証明書を取れば、誰がどれだけの持分を持つか確認できます。
一方、住宅ローンの名義とは、金融機関との金銭消費貸借契約における債務者を指し、誰が返済する義務を負うかを示します。
返済の義務を負うのは契約書に記載された債務者だけで、登記の持分とは無関係です。
この2つは別の制度で決まるため、家は夫婦2人の共有名義、ローンは夫1人という状態は制度上成り立ちます。
実際に、妻が頭金を出して夫が残額を借りる場合は、この形になります。
ただし融資の担保として、金融機関は不動産に抵当権を設定するのが通常です。
共有名義にすると妻の持分にも抵当権を設定する必要があるため、金融機関は事前の申告を求めます。
持分を分ける予定があるなら、審査の段階で伝えてください。
妻も購入資金を出していれば共有名義にできる
住宅ローンが夫の単独名義でも、妻が頭金や諸費用を負担していれば、その負担額に応じた持分で共有名義にできます。
判断の軸は「誰がいくら出したか」の一点です。
持分割合は資金の負担割合に合わせるのが原則です。
妻が総額の2割を出したなら妻の持分は5分の1、3割なら10分の3という形で、出した金額の分だけ持分に反映できます。
ローンを組んだ人の持分だけを大きくする必要はありません。
ここでいう妻の資金は、妻名義の預貯金、結婚前から妻が貯めていた資金、妻が親から受けた資金援助です。
反対に、夫の口座から出た資金や夫の収入から積み立てた資金は、名義が妻の口座であっても妻の負担とは扱われません。
資金の出どころは後から証明できるようにしておいてください。
振込記録の残る形で妻の口座から売主へ直接支払い、通帳と売買契約書、領収書を保管しておくと、税務署から問い合わせがあった場合に説明できます。
資金を出していないのに共有名義にすると贈与とみなされる
妻が1円も資金を出していないのに登記を2分の1ずつにすると、妻が得た持分の価値がそのまま夫からの贈与とみなされ、贈与税の対象になります。
理由は単純で、妻は自分で負担していない財産を取得したことになるからです。
3,000万円の家を夫の資金だけで買い、持分を半分ずつにすれば、妻は1,500万円分の財産を無償で受け取ったことになります。
贈与税は暦年課税で計算し、1年間に受けた贈与の課税価格から110万円を控除します。
控除後に残った金額に税率をかけるため、課税されるのは110万円を超える部分です。
登記の内容は法務局に記録され、その情報は税務署も把握できます。
不動産を取得した人には税務署から「お尋ね」という文書が届き、購入資金の内訳を回答する場面があります。
気づかれないという前提で持分を決めないでください。
共有名義でローンは夫のみになる4つのパターン
この組み合わせになる経路は4つあります。
妻が頭金を出した場合、妻が親から資金援助を受けた場合、相続や贈与で妻が持分を得た場合、そして資金を出していないのに共有名義にしてしまった場合です。
4つ目だけが税務上の問題を抱えるパターンです。
- 妻が頭金を出し、残りを夫のローンで支払う
- 妻が親から資金援助を受けて充てる
- 相続や贈与で妻が持分を取得する
- 資金を出していないのに共有名義にしてしまう
妻が頭金を出し、残りを夫のローンで支払う
妻が頭金を出し、残額を夫の単独ローンで支払う形が、実務でよくあるパターンです。
頭金の額を購入にかかった総額で割った割合が、そのまま妻の持分になります。
たとえば3,000万円の物件で妻が頭金600万円を出し、夫が住宅ローンで2,400万円を負担したとします。
妻の負担割合は600万円÷3,000万円で5分の1、夫は2,400万円÷3,000万円で5分の4です。
登記では妻の持分を5分の1、夫の持分を5分の4とします。
計算に使う総額は物件価格だけではありません。
仲介手数料、登記費用、住宅ローンの事務手数料といった諸費用も、購入にかかった費用として総額に含めるのが実務です。
頭金は妻の口座から売主へ直接振り込むと、資金の流れが1本の記録で説明できます。
いったん夫の口座に集めてから支払うと、妻から夫への贈与があったと見られる余地が生まれます。
振込先と振込元は最初から分けてください。
妻が親から資金援助を受けて充てる
妻が親から資金援助を受けて頭金に充てた場合も、その金額は妻の負担として持分に反映できます。
援助そのものには贈与税がかかりますが、非課税の特例を使える場合があります。
使えるのは、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、一定額まで課税価格に算入しない制度です。
対象は令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与で、非課税限度額は省エネ性能などの要件を満たす住宅で1,000万円です。
贈与を受ける人にも要件があります。
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上、その年の合計所得金額が2,000万円以下であることが必要です。
さらに、翌年3月15日までに資金の全額を住宅の取得に充てて居住することも要件です。
適用の可否は税理士に確認してください。
相続や贈与で妻が持分を取得する
購入時は夫の単独名義でも、その後の相続や生前贈与で妻が持分を取得すると、ローンは夫のままで登記だけが共有名義になります。
経路は2つあります。
1つは夫の親がその不動産の持分を持っていて相続で妻や子へ移る場合、もう1つは夫が自分の持分の一部を妻へ贈与する場合です。
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、居住用不動産またはその取得資金の贈与について、課税価格から2,000万円を控除できます。
基礎控除110万円と合わせると、2,110万円まで贈与税がかからない計算になります。
ただしこの控除を使えるのは、同じ配偶者からの贈与について一度だけです。
翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであることも要件です。
【参考】相続税法|e-Gov 法令検索
資金を出していないのに共有名義にしてしまう
夫の収入と夫のローンだけで買った家を、なんとなく夫婦2分の1ずつで登記するパターンです。
妻が得た持分の価値が贈与とみなされ、贈与税の対象になります。
「夫婦の家だから半分ずつ」「妻も家事で支えているから」という理由で持分を分ける夫婦がいますが、税務上の基準は資金の負担割合だけです。
家事労働や育児の貢献は、持分の根拠として扱われません。
3,000万円の物件を夫の単独ローンだけで購入し、持分を2分の1ずつにした場合、妻が取得した1,500万円分が贈与とみなされます。
課税価格は1,500万円から基礎控除110万円を引いた1,390万円です。
金額が大きいほど税額も上がります。
決済と登記の前であれば、持分割合はまだ変更できます。
登記申請書の持分を書き換えるだけで済むため、司法書士に依頼している段階で相談してください。
登記が完了した後の変更は、別の税と費用が発生します。
共有名義でローンは夫のみにするメリット
住宅ローンを夫の単独名義にすると、妻の借入余力を将来のために残せる、妻に返済義務が生じない、契約が1本で済むという利点があります。
いずれも、夫婦2人でローンを組むペアローンや連帯債務型と比べたときの相対的な利点です。
- 妻の借入余力と収入を将来のために残せる
- 妻に返済義務や連帯保証の責任が生じない
- 契約が1本で済み手続きと諸費用が軽い
妻の借入余力と収入を将来のために残せる
住宅ローンを夫だけが負うため、妻の借入余力は手つかずで残ります。
妻が退職や時短勤務、転職を選んでも、住宅ローンの返済計画を組み直さずに済みます。
ペアローンや連帯債務型は、夫婦2人の収入を前提に借入額を決める組み方です。
そのため妻の収入が半分になれば、世帯収入に対する返済額の割合が跳ね上がります。
借入時に無理のない返済計画に見えても、働き方が変わると計画そのものが崩れます。
夫の単独ローンなら、返済額は最初から夫の収入だけで負担できる水準です。
妻の収入は家計の余力として残るため、教育費の増加や親の介護といった支出の変動に対応しやすくなります。
妻が将来、自動車ローンや教育ローンを組む場合、あるいは自分名義で不動産を取得する場合にも、住宅ローンの債務がないぶん審査で不利になりません。
出産や育児で収入が変動しやすい時期に住宅を購入する夫婦とは相性のよい組み方です。
妻に返済義務や連帯保証の責任が生じない
住宅ローンの債務者が夫だけなら、妻は返済義務を負いません。
連帯債務者にも連帯保証人にもならないため、返済が滞っても妻に直接の請求はいきません。
連帯債務型は、1本のローンを夫婦2人が債務者として借り、2人とも全額の返済義務を負う方式です。
連帯保証型は、夫が主債務者となり、妻が連帯保証人として、夫が返済できないときに代わって返済する義務を負う方式です。
どちらも妻に返済の責任が及びます。
収入合算をせず夫の年収だけで審査を通した場合、妻が連帯保証人になることは通常ありません。
ただし共有名義にすると、金融機関は妻の持分にも抵当権を設定するため、妻を物上保証人として扱うケースが出てくる点に注意してください。
物上保証人とは、自分の財産を他人の債務の担保として提供する人のことです。
返済の義務は負いませんが、担保に入れた持分は競売の対象になります。
契約前に、自分がどの立場になるのかを金融機関に確認してください。
契約が1本で済み手続きと諸費用が軽い
住宅ローンの契約が1本で済むため、ペアローンのように契約書や事務手数料が2件分かかりません。
団体信用生命保険の申込みも1人分で完了します。
ペアローンは夫婦それぞれが契約を結ぶため、契約は2本です。
そのぶん、契約書に貼る印紙税と金融機関の事務手数料、抵当権設定登記の登録免許税と司法書士報酬が、いずれも2契約分必要です。
金額は借入額や金融機関で変わりますが、諸費用の差は数十万円に及ぶ場合もあります。
手続きの単純さが効いてくるのは、後になってからです。
離婚や住み替えで名義を整理する場面でも、債務者が1人であれば金融機関との交渉相手が1人で済み、話が進みやすくなります。
ただし、家の名義が共有である以上、売却や大規模な改修には妻の同意が必要です。
ローンの手続きが軽くなるだけで、不動産の処分が単独でできるようになるわけではありません。
共有名義でローンは夫のみにするデメリットと注意点
注意点は4つあります。
住宅ローン控除が夫の分だけになること、持分割合を誤ると贈与税がかかること、売却や改修に妻の同意が要ること、夫の返済が滞ると家全体が競売にかかることです。
前の2つは購入前に手を打てる項目、後の2つは購入後に効いてくる項目です。
- 住宅ローン控除は夫の分しか受けられない
- 持分割合と出資割合がずれると贈与税がかかる
- 売却や大規模な改修に妻の同意が必要になる
- 夫の返済が滞ると家全体が競売にかけられる
住宅ローン控除は夫の分しか受けられない
住宅ローン控除は住宅ローンを借りている本人にしか適用されません。
妻が持分を持っていても、ローンを借りていなければ控除を受けられません。
控除額は、その年の12月31日時点の住宅ローン残高に控除率をかけた金額です。
残高が借入限度額を超える場合は、借入限度額までで計算します。
令和4年から令和12年までの各年に居住した場合の控除率は0.7パーセントです。
年末残高が3,000万円なら、3,000万円×0.7パーセントで年間21万円が計算上の控除額になります。
夫婦2人がそれぞれローンを借りていれば控除の枠を2人分使えたところ、単独ローンではその枠が1人分に限られます。
ただし納めた所得税額を超える還付はない仕組みです。
夫の所得税額が控除額に満たない場合は、住民税から一定額まで控除されます。
枠を2人分使えることが常に得になるとは限りません。
持分割合と出資割合がずれると贈与税がかかる
登記した持分割合が実際の資金負担割合を上回ると、上回った分が贈与とみなされます。
夫婦の間でも扱いは変わりません。
贈与税がかからないのは、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものです。
生活費として必要な都度、直接その用途に充てる場合に限られるため、住宅の持分は対象になりません。
贈与税の申告と納付の期限は、贈与を受けた年の翌年3月15日です。
期限までに申告しないと、本来の税額に無申告加算税と延滞税が加わります。
登記から数年後に税務署の調査で判明する場合もあり、その時点では加算税と延滞税が積み上がっています。
ここで押さえるべき点は、ずれた分が課税の対象になるという事実です。
ずれに気づいたら、登記の前なら持分割合の修正、登記の後なら税理士への相談で対処してください。
売却や大規模な改修に妻の同意が必要になる
共有名義の家は、売却や建て替えのように形状や効用を著しく変える行為に、共有者全員の同意が必要です。
ローンを夫だけが払っていても、この扱いは変わりません。
民法では、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えられないと定められています。
売却や建て替え、間取りを変える規模のリフォームが変更の典型です。
一方、共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決めます。
建物を3年以内の期間で賃貸することや、外壁の塗り替えは全員の同意までは要りません。
費用の負担も、民法に定めのある事項です。
各共有者は、その持分に応じて管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います。
固定資産税や修繕費の負担は、住宅ローンを誰が払っているかとは別の話です。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
夫の返済が滞ると家全体が競売にかけられる
住宅ローンの抵当権は、家全体に設定されるのが通常です。
夫が返済できなくなると、妻の持分を含めた家全体が競売の対象になります。
金融機関は共有名義の不動産に融資する際、共有者全員の持分に抵当権を設定します。
そのため契約時に必要になるのが、妻の実印と印鑑証明書です。
妻はこの手続きによって、返済義務は負わないまま自分の持分を担保に差し出したことになります。
抵当権が設定されている以上、妻の持分だけを競売から外すことはできません。
妻が資金を出して取得した持分であっても、担保の効力が及ぶのは持分の全体です。
返済が苦しくなった段階で放置すると、選べる手段は減っていきます。
金融機関への返済条件の相談、住み替えを前提とした売却、任意売却の検討は、いずれも滞納が積み上がる前のほうが選択肢が広がります。
返済が厳しいと感じた時点で動いてください。
共有名義でローンは夫のみが向いている夫婦・向いていない夫婦
メリットとデメリットを踏まえると、向き不向きは夫婦の資金計画で分かれます。
判断の軸は、妻が資金を出すか、借入額を夫の収入だけで賄えるか、控除の枠をどこまで使いたいかの3点です。
- 向いているのは妻の収入や働き方が変わる可能性のある夫婦
- 向いていないのは借入額や控除枠を最大化したい夫婦
向いているのは妻の収入や働き方が変わる可能性のある夫婦
妻の収入が今後変わる可能性のある夫婦には、この組み方が向いています。
出産や育児、転職で妻の収入が減っても、返済計画は夫の収入だけを前提に組まれているため、見直しの必要がないからです。
具体的には、次のような夫婦に向いています。
- 妻が近い将来に休職や時短勤務を予定している
- 妻が頭金を出せる貯蓄を持ち、持分という形で家の所有に関わりたい
- 妻が将来、自分名義のローンを組む予定があり、借入余力を残しておきたい
前提になるのは、夫の収入だけで必要な額を借りられることです。
審査で認められる借入額は夫の年収で決まるため、物件価格が夫の借入可能額に収まるかを先に確かめてください。
足りない場合は、妻の頭金で埋められるかを含めて資金計画を見直します。
向いていないのは借入額や控除枠を最大化したい夫婦
借入額を増やしたい夫婦や、住宅ローン控除の枠を2人分使いたい夫婦には向いていません。
単独名義のローンは、借入額も控除の枠も夫1人分が上限になるためです。
次のような夫婦は、ほかの組み方の検討が必要です。
- 夫の収入だけでは希望する物件の借入額に届かない
- 夫婦とも収入が安定しており、控除の枠を2人分使って税負担を抑えたい
- 妻が資金を出さないまま持分を持ちたい
借入額や控除の枠を優先するなら、ペアローンや連帯債務型が選択肢になります。
ただし妻にも返済義務が生じ、収入が変わったときの負担は重くなります。
妻が資金を出さない場合は、贈与税の問題を避けるため、家も夫の単独名義にするのが安全です。
どの組み方でも、持分は資金の負担割合に合わせる原則は変わりません。
共有名義の家をどうするか迷ったら持分の価格を先に確かめる
共有名義を続けるか解消するかという判断は、その家と自分の持分がいくらになるかを知らないまま決められません。
持分を買い取る話をするにも、売却して精算する話をするにも、金額が出発点です。
ベンナビ不動産売却では、共有名義の不動産や共有持分、空き家といった訳あり不動産の買取に対応する会社へ無料で査定を依頼できます。
査定の依頼に費用はかかりません。
買取の可否と金額は物件の条件や共有者の状況によって各社の判断が分かれるため、複数社の査定を比べてください。
査定を受けても、売却を決める必要はありません。
金額を知ってから配偶者と話し合う、持ち続ける、売るという選択肢を比べられるようになります。
まず数字を手元に置くところから始めてください。
贈与税がかかるかどうかは資金の負担割合と持分割合で決まる

贈与税がかかるかどうかは、登記した持分割合が実際に出した資金の割合と一致しているかで決まります。
一致していれば課税されず、ずれた分だけが贈与とみなされます。
ここで見るのは、持分の計算方法・ずれた場合の税額・使える控除・直し方の4点です。
- 持分割合は出した金額を総額で割って決める
- ずれた場合にかかる贈与税を計算してみる
- 婚姻20年以上なら配偶者控除で2,000万円まで引ける
- 登記の前なら持分割合はやり直せる
持分割合は出した金額を総額で割って決める
持分割合は、その人が出した金額を購入にかかった総額で割って計算します。
総額には物件価格だけでなく、仲介手数料や登記費用などの諸費用も含めます。
4,000万円の物件で妻が頭金800万円、夫が住宅ローン3,200万円を負担した場合の計算は次のとおりです。
| 負担した人 | 負担額 | 計算式 | 持分割合 |
|---|---|---|---|
| 妻 | 頭金800万円 | 800万円÷4,000万円 | 5分の1 |
| 夫 | 住宅ローン3,200万円 | 3,200万円÷4,000万円 | 5分の4 |
| 合計 | 4,000万円 | 800万円+3,200万円 | 1 |
住宅ローンで支払う分は、借りた人の負担として扱います。
割り切れない金額になる場合は、分母を大きくして実際の割合に近い分数に合わせます。
たとえば負担割合が23.7パーセントなら、1,000分の237という形です。
端数の扱いは司法書士と相談してください。
ずれた場合にかかる贈与税を計算してみる
持分割合が資金の負担割合とずれた場合、ずれた分の金額から基礎控除110万円を引いた残りに税率をかけて贈与税を計算します。
贈与税は暦年課税で、1年間に受けた贈与の課税価格から110万円を控除します。
この110万円は、相続税法が定める60万円の基礎控除を特例で引き上げたものです。
4,000万円の物件を夫の住宅ローンだけで購入し、持分を2分の1ずつにした場合、妻が取得したのは2,000万円分の財産です。
ここから基礎控除110万円を引くと、課税価格は1,890万円になります。
税率は贈与した人と受けた人の関係で分かれ、夫婦間の贈与には一般税率が適用されます。
税額の計算は個別の事情で変わるため、税理士に確認してください。
申告と納付の期限は、贈与を受けた年の翌年3月15日です。
【参考】相続税法|e-Gov 法令検索
婚姻20年以上なら配偶者控除で2,000万円まで引ける
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、課税価格から2,000万円を控除できます。
要件は次の3つです。
- 贈与した配偶者との婚姻期間が20年以上である
- 贈与された財産が、専ら居住の用に供する土地、借地権、家屋またはその取得資金である
- 翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みである
この控除は、同じ配偶者からの贈与について一生に一度しか使えません。
基礎控除110万円と併用できるため、合計2,110万円までが控除の対象になります。
適用を受けるには、控除を受ける金額と、前年以前にこの控除を受けていない旨を記載した書類を申告書に添付して提出することが必要です。
控除で税額が0円になる場合でも、申告そのものは必要です。
【参考】相続税法|e-Gov 法令検索
登記の前なら持分割合はやり直せる
登記を申請する前であれば、持分割合は資金の負担割合に合わせて決め直せます。
登記後の変更は持分の贈与または売買として扱われ、別の税と費用がかかります。
決済と登記の前なら、司法書士に依頼する登記申請書の持分を修正するだけです。
追加の税金はかからず、費用も発生しません。
売買契約書に持分の記載がある場合は、売主と調整して契約書も直します。
登記の後に持分を移すときにかかる税は、経路しだいです。
無償で移せば贈与として贈与税、対価を払って移せば売買として売主側に譲渡所得税がかかります。
どちらの場合も、登記の名義を変える登録免許税と司法書士報酬が必要で、贈与や売買では不動産取得税も課されます。
税額の最終判断は税理士、登記の手続きは司法書士の担当です。
決済日から逆算すると持分を決められる期間は短いため、資金の内訳が固まった段階で早めに相談してください。
住宅ローン控除を受けられるのは債務者である夫だけ
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りている本人が受ける制度です。
正式には住宅借入金等特別控除といい、妻が持分を持っていても、ローンを借りていなければ控除の対象になりません。
控除額の計算方法、適用の要件、手続きの流れを確認します。
- 控除額は年末残高に0.7パーセントをかけて計算する
- 適用を受けるには所得と償還期間の要件を満たす
- 初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で手続きする
控除額は年末残高に0.7パーセントをかけて計算する
控除額は、その年の12月31日時点の住宅ローン残高の合計額に控除率をかけて計算します。
残高が借入限度額を超える場合は借入限度額を上限とし、計算した金額の100円未満は切り捨てます。
控除率を決めるのは居住した年です。
令和4年から令和12年までの各年に居住した場合は0.7パーセントです。
借入限度額は、居住した年と住宅の性能によって変わります。
令和8年から令和12年までの各年に居住する場合は、エネルギー消費性能向上住宅であることを条件に3,000万円です。
年末残高が3,000万円で控除率が0.7パーセントなら、計算上の控除額は年間21万円です。
ただし控除は納めた所得税額の範囲でおこなわれ、所得税から引ききれない分は住民税から一定額まで控除されます。
残高が大きくても、所得税額が小さければ控除額はその分にとどまります。
適用を受けるには所得と償還期間の要件を満たす
控除を受けるには、所得、借入金の内容、居住の時期について複数の要件を満たす必要があります。
主な要件は次の3つです。
- その年分の合計所得金額が2,000万円以下である
- 借入金の契約で、償還期間10年以上の割賦償還と定められている
- 住宅を新築、取得または増改築した日から6ヵ月以内に居住する
除外される取得もあります。
配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得と、贈与による取得は対象外です。
夫婦の間で持分を売買しても、その分について住宅ローン控除は使えません。
控除を受けられる期間は原則10年です。
ただし令和4年または令和5年に居住し、住宅の取得が新築や買取再販住宅の取得に当たる場合は、13年間になります。
初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で手続きする
控除を受ける最初の年は、夫が確定申告をします。
会社員であれば、2年目以降は年末調整で手続きできます。
初年度の確定申告に必要な書類は、次の6点です。
- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 年末残高等証明書
- 登記事項証明書
- 売買契約書または請負契約書の写し
- 本人確認書類
住宅の性能に応じた証明書が別途必要になる場合もあります。
2年目以降は、税務署から送られてくる年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書と、金融機関の年末残高等証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で処理できます。
自営業の場合は、毎年の確定申告が必要です。
妻は持分を持っていても、住宅ローンを借りていなければ控除の申告対象になりません。
その住宅から家賃収入などを得ていない限り、妻が不動産について申告する項目はありません。
団信は夫だけが加入するため妻に万一があってもローンは残る
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が死亡または高度障害の状態になったときに、保険金で住宅ローンが完済される保険です。
加入するのは債務者である夫だけのため、夫が亡くなればローンは完済されますが、妻が亡くなってもローンは残ります。
- 夫が亡くなるとローンは完済され持分は相続される
- 妻が亡くなるとローンは残り持分だけが相続される
- ペアローン・連帯債務型・連帯保証型との違い
夫が亡くなるとローンは完済され持分は相続される
夫が亡くなると団体信用生命保険の保険金でローンは完済されます。
ただし夫の持分は相続の対象になり、家の名義は自動的に妻へ移りません。
その後の権利関係を左右するのは、相続人が誰になるかです。
相続人が配偶者と子であれば、法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1です。
夫の持分が5分の4だった場合、その5分の4がさらに分かれて登記されます。
相続登記には期限があります。
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、3年以内の登記申請が義務です。
起算点は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日です。
誰がどの持分を取得するかは、遺産分割協議で決めます。
妻が家に住み続けるなら、妻が夫の持分をすべて取得する内容でまとめる方法があります。
妻が亡くなるとローンは残り持分だけが相続される
妻は住宅ローンを借りていないため、団体信用生命保険の対象になりません。
妻が亡くなってもローンは夫に残り、妻の持分だけが相続人へ移ります。
夫は返済を続けながら、妻の持分について相続の手続きを進める立場です。
相続人が夫と子であれば、妻の持分は夫と子で分けます。
問題になるのは子がいない場合です。
相続人となる子がいないときは、妻の直系尊属が相続人になり、直系尊属もいないときは妻の兄弟姉妹が相続人になります。
この結果、夫が義理の親や義理の兄弟姉妹と家を共有する状態になります。
共有者が増えれば、売却や建て替えの同意を取る相手も増える構図です。
この事態を避けたいなら、備えは2つあります。
1つは妻を被保険者とする生命保険に加入し、持分を買い取る資金を確保する方法です。
もう1つは、妻の持分を夫に相続させる内容の遺言を残しておく方法です。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
ペアローン・連帯債務型・連帯保証型との違い
夫婦で住宅ローンを組む方法には、単独名義のほかにペアローン、連帯債務型、連帯保証型があります。
団信と控除の枠が変わります。
| 組み方 | 契約の本数 | 返済義務を負う人 | 団信の加入 | 住宅ローン控除の枠 |
|---|---|---|---|---|
| 単独名義 | 1本 | 夫 | 夫のみ | 夫のみ |
| ペアローン | 2本 | 夫と妻それぞれ | 夫と妻それぞれ | 2人分 |
| 連帯債務型 | 1本 | 夫と妻 | 主債務者のみが多い | 条件により2人分 |
| 連帯保証型 | 1本 | 主債務者 | 主債務者 | 主債務者 |
連帯保証型は収入合算で借入額を増やせる一方、連帯保証人に持分の根拠や控除の枠は生まれない組み方です。
この立場を理由に妻へ持分を分けると、資金を出していないのに共有名義にした状態になります。
団信の取り扱いは金融機関しだいです。
連帯債務型でも、夫婦2人で加入して保障の割合を分け合う商品を用意する金融機関があります。
契約前に確認してください。
離婚するときは家の名義もローンも自動では変わらない

離婚しても、登記された共有名義と住宅ローンの契約者は自動的に変わりません。
手続きをしないまま放置すると、売ることも名義を変えることもできない状態が続きます。
離婚に向けて確認すべき順番は次のとおりです。
- まずアンダーローンかオーバーローンかを確かめる
- 誰が住み続けるかで整理の方法が決まる
- 名義変更には金融機関の承諾がいる
まずアンダーローンかオーバーローンかを確かめる
家の売却見込額がローン残債を上回る状態をアンダーローン、下回る状態をオーバーローンと呼びます。
どちらの状態かが、選べる整理の方法の分かれ目です。
アンダーローンなら、売却代金でローンを完済したうえで手元に現金が残ります。
残った金額は財産分与の対象になり、夫婦で分けられます。
分け方は持分割合どおりとは限らず、婚姻中に築いた財産として2分の1ずつが一般的です。
オーバーローンなら、売却してもローンが残ります。
不足分を手元の資金で埋めるか、金融機関の同意を得て抵当権を外す任意売却を検討します。
任意売却は金融機関との交渉が前提のため、時間のかかる手続きです。
判定に必要な数字は2つです。
1つは不動産会社の査定額、もう1つは金融機関の残高証明書に記載された残債です。
どちらも費用をかけずに取得できるため、話し合いを始める前に揃えてください。
共有名義に対応する会社への査定の依頼は、ベンナビ不動産売却からも進められます。
誰が住み続けるかで整理の方法が決まる
離婚後に誰が家に住み続けるかで、必要な手続きが変わります。
整理のしかたは大きく3つです。
夫が住み続ける場合は、妻の持分を夫へ移して単独名義にします。
財産分与として移す方法と、代償金を払って買い取る方法があります。
ローンの契約者はもともと夫のため、金融機関との調整は比較的単純です。
妻が住み続ける場合は、手順が多くなります。
家とローンの両方を妻の名義に移すのが原則で、妻が単独で借り換えの審査を通せるかどうかが分かれ目です。
借り換えができないまま夫名義のローンで妻が住み続けると、契約に定められた居住の条件に反する状態になります。
金融機関から一括返済を求められる可能性もあります。
夫婦のどちらも住まない場合は、家を売却してローンを完済し、残りを分ける方法が後々のやり取りを残さない形です。
共有名義も債務も同時に整理できるため、離婚後に元配偶者と連絡を取り合う必要がなくなります。
名義変更には金融機関の承諾がいる
抵当権が設定された家の名義を金融機関に無断で変更すると、契約違反として一括返済を求められる可能性があります。
名義を動かす前に、金融機関へ相談してください。
住宅ローンの契約書には、担保となる不動産の所有者を変更する際に金融機関の承諾を必要とする条項が置かれているのが一般的です。
金融機関にとって、担保の所有者が誰であるかは融資の前提だからです。
離婚協議書で名義変更を決めても、それだけでは登記を動かせません。
協議書は夫婦の間の合意にすぎず、金融機関を拘束しないためです。
順番は、金融機関に相談して承諾の見込みを確認してから、協議の内容を固める流れです。
協議で決めた内容は公正証書にしておくと、支払いが滞ったときに裁判を経ずに強制執行の手続きへ進めます。
離婚条件の交渉は弁護士、登記の手続きは司法書士が担当します。
相談先を分けて考えてください。
共有名義を解消する4つの方法
共有名義を解消する方法は4つあります。
相手の持分を買い取る、家全体を売る、自分の持分だけを売る、共有物分割を請求するという手段です。
相手の同意が必要かどうかで性質が分かれます。
| 解消の方法 | 相手の同意 | 手取りの目安 | かかる期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 相手の持分を買い取る | 必要 | 持分相当額に近い | 数週間〜数ヵ月 |
| 家全体を売る | 必要 | 市場価格 | 数ヵ月 |
| 自分の持分だけ売る | 不要 | 持分割合に応じた額より下がる | 数週間〜1ヵ月 |
| 裁判所に共有物分割を請求する | 不要 | 分割方法による | 年単位 |
このうち相手の同意なしに進められるのは、自分の持分だけを売る方法と共有物分割の請求です。
相手の持分を買い取って単独名義にする
相手の持分を買い取れば単独名義になります。
住宅ローンが残っている場合は、買い取り資金と残債をまとめて借り換えるのが一般的な進め方です。
買い取り価格は、不動産全体の価格に相手の持分割合をかけた金額が目安です。
離婚に伴う財産分与として移す場合は、対価を払わずに移すこともできます。
財産分与によって取得した財産には、原則として贈与税がかかりません。
ただし、課税される例外が2つある点に注意してください。
分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額などを考慮しても多すぎる場合と、贈与税や相続税を免れる目的で離婚した場合です。
名義を移した後には費用がかかります。
所有権移転登記の登録免許税と司法書士報酬は、どの経路でも必要です。
贈与や売買によって取得した場合は、不動産取得税も課されます。
買い取り資金だけでなく、登記費用と不動産取得税も見込んでおいてください。
家全体を売ってローンを完済し精算する
共有者全員が合意すれば、家全体を市場価格で売却できます。
手取りは4つの方法のなかで大きくなりますが、1人でも反対すれば進められません。
共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が必要で、売却も変更に含まれる行為です。
夫婦2人の共有なら、2人の合意で足ります。
相続で共有者が増えている場合は、全員から合意を取らなければ進みません。
売却の流れは通常の不動産売却と同じです。
売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消したうえで買主へ引き渡します。
残った金額は持分割合または夫婦の取り決めにしたがって分けます。
オーバーローンなら、不足分を手元資金で埋めるか、任意売却の検討が必要です。
共有者のなかに認知症などで判断能力を失った人がいる場合は、成年後見人の選任が必要です。
家庭裁判所の手続きを経るため、売却までの期間は数ヵ月単位で延びます。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
自分の持分だけを売る
共有持分は各共有者が単独で処分できる財産のため、自分の持分だけなら相手の同意なしに売却できます。
ただし価格は、不動産全体の価格に持分割合をかけた金額より下がります。
各共有者は、共有物の全部について、持分に応じた使用ができる立場です。
持分は自分の財産として第三者へ譲渡でき、他の共有者の同意も事前の通知も法律上は必要ありません。
持分を買っても単独で家を使えず、他の共有者と協議するか共有物分割の手続きが必要です。
この手間と費用を織り込むため、買い手は持分相当額より低い価格を提示します。
買い手の中心は、共有持分の取扱いに慣れた買取会社です。
なお抵当権が設定された持分は、金融機関の同意を得て抵当権を外さない限り売却が困難です。
ローンが残っている段階では、まず残債の扱いを整理してください。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
売却を検討する段階になったら、共有持分の取扱実績がある会社の査定で金額を確かめてください。
裁判所に共有物分割を請求する
話し合いがまとまらない場合は、共有物分割の請求という手段があります。
各共有者はいつでも共有物の分割を請求できますが、裁判になると年単位の時間がかかります。
ただし5年を超えない期間で分割をしない旨の契約も結べて、更新も可能です。
分割の方法は3種類です。
現物を分けて単独所有にする現物分割、一方が他方の持分を取得して代金を支払う賠償分割、不動産を売却して代金を分ける換価分割があります。
1棟の建物は物理的に分けられないため、実際には賠償分割か換価分割が選ばれます。
裁判所を使う手続きは費用と時間の負担が大きく、他の3つの方法が取れないときの最終手段です。
訴訟を検討する段階になったら、弁護士に相談してください。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
共有名義の家に関する悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう
共有名義を解消したい、持分だけでも手放したいと考えたとき、結果を左右するのは依頼先の会社選びです。
共有持分の買取には対応していない会社も多く、対応できる会社の間でも査定額と進め方に差が出ます。
ベンナビ不動産売却は、共有名義の不動産や共有持分といった訳あり不動産の買取に対応する会社を探して比較できるサービスです。
地域と物件の条件から、共有持分の取扱実績がある会社を絞り込めます。
査定は無料で、複数社へ依頼して金額と根拠を並べて比べられます。
売却を決めていなくても、査定だけの依頼が可能です。
離婚や相続の話し合いを進めている段階でも、持分の金額がわかれば協議の材料になります。
まずは自分の持分がいくらになるかを確かめてください。
共有名義でローンは夫のみに関するよくある質問
家は共有名義でローンは夫のみでも組めますか
組めます。
ただし妻も購入資金を出していることが前提です。
金融機関は担保に入る持分に抵当権を設定するため、契約時に妻の実印と印鑑証明書が必要になります。
持分を分ける予定があるなら、審査の段階で担当者に伝えてください。
専業主婦の妻でも共有名義にできますか
できます。
判断の基準は収入の有無ではなく、購入資金を出したかどうかです。
妻名義の預貯金、結婚前から貯めていた資金、妻の親からの資金援助は、いずれも妻の負担として持分に反映できます。
反対に、夫の収入だけで買った家の持分を分けると贈与とみなされます。
家事や育児の貢献を持分の根拠にはできない扱いです。
共有名義でローンは夫のみの場合、妻は連帯保証人になりますか
収入合算をしていなければ、連帯保証人になることは通常ありません。
ただし共有名義にすると、金融機関は妻の持分にも抵当権を設定するため、妻が物上保証人になる場合があります。
物上保証人は返済義務を負わないものの、担保に入れた持分は競売の対象です。
契約前に自分の立場を金融機関に確認してください。
後から夫の単独名義に変更できますか
変更できます。
ただし税と手続きの負担が発生します。
無償で移せば贈与税、対価を払って移せば譲渡所得税がかかり、いずれの場合も登録免許税と司法書士報酬が必要です。
抵当権が設定されているため、金融機関の承諾も要ります。
なお離婚に伴う財産分与として移す場合は、原則として贈与税がかかりません。
共有名義のローンは夫のみでも確定申告は必要ですか
控除を受ける最初の年は、夫が確定申告をします。
妻は持分を持っていても、住宅ローンを借りていなければ申告する項目はありません。
夫が会社員であれば、2年目以降は税務署から届く証明書と金融機関の残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整での処理が可能です。
持分を2分の1ずつにしたいのですが問題ありますか
資金の負担割合が2分の1ずつでなければ、ずれた分が贈与とみなされます。
2分の1ずつで登記したいなら、妻も購入にかかった総額の半分を負担する必要があります。
頭金や親からの資金援助を組み合わせて、負担額を調整するのも1つの方法です。
登記の前なら持分は決め直せるため、決済前に司法書士へ相談してください。
夫が住宅ローンを滞納したら妻の持分はどうなりますか
家全体に抵当権が設定されているため、妻の持分も含めて競売の対象になります。
妻に返済義務がなくても、担保に入れた持分だけを競売から外すことはできません。
滞納が積み上がるほど、選べる手段は少なくなる一方です。
返済が厳しいと感じた段階で、金融機関に返済条件を相談してください。
まとめ|持分を資金の負担割合に合わせれば両立できる
家は共有名義でローンは夫のみという組み合わせは成立します。
条件は1つで、妻も購入資金を出していることです。
登記した持分が実際の資金負担割合を上回ると、上回った分が贈与とみなされます。
住宅ローン控除を受けられるのは債務者である夫だけで、団体信用生命保険に加入するのも夫だけです。
共有名義の家は売却や建て替えに全員の同意が必要で、夫の返済が滞れば妻の持分も含めて競売の対象になります。
購入前であれば、持分割合を資金の負担割合に合わせて決め直せます。
すでに共有になっている場合の分岐は、共有を続けるか解消するかです。
どちらの分岐でも、判断の材料になるのは家と持分の金額です。
ベンナビ不動産売却では、共有名義の不動産や共有持分といった訳あり不動産の買取に対応する会社へ無料で査定を依頼できます。
買取の可否と金額は個別の事情によって異なりますが、金額を確かめたうえで持ち続けるか手放すかを決められます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。