共有名義不動産

東京都で共有持分を売却する4つの方法と同意の要否・金額の目安を解説

東京都で共有持分を売却する4つの方法と同意の要否・金額の目安を解説

東京の実家や土地を兄弟と共有名義で相続したまま、固定資産税と管理の負担だけが続いている方は少なくありません。
話し合いが止まってしまい、何年も動かせないままということもあります。
共有持分は、自分の持分だけであれば他の共有者の同意がなくても売却できる制度です。
売り先は4つあり、どれを選ぶかで手取りも現金化までの期間も変わります。

本記事では、東京で共有持分を売却する4つの方法を比べます。
そのうえで金額の目安と査定を左右する東京固有の条件、手続きの流れ、税金と注意点までを順に整理する内容です。
読み終えるころには、自分の持分をどの方法で手放すのが合っているのか、次に何をすればよいのかがはっきりします。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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目次

東京で共有持分を売却する4つの方法

共有持分の売り先は「専門の買取業者」「他の共有者」「共有者全員での全体売却」「共有物分割を経てからの売却」の4つです。
どれを選べるかは、他の共有者と話し合いができるかどうかでほぼ決まります。

売り方他の共有者の同意おおよその手取り水準現金化までの期間向いているケース
専門の買取業者に持分だけ売る不要持分相当額の3割〜5割数週間話し合いが止まっている
他の共有者に持分を買ってもらう相手の合意が必要持分相当額に近い数週間〜数ヵ月相手に購入の意思と資金がある
全員で不動産全体を売る全員必要持分相当額とほぼ同じ数ヵ月共有者全員が売却に前向き
共有物分割を経て売る不要・裁判所を使う事案により変動1年以上協議が決裂している

同意がまったく要らないのは、買取業者へ自分の持分だけを売る方法と、共有物分割を裁判所に請求する方法の2つです。

専門の買取業者に自分の持分だけを売る

自分の持分だけを買取業者へ売る方法は、他の共有者の同意も協力も要らないため、話し合いが止まっている状態でも単独で進められます。
持分だけを買い取る会社があるのは、その後の権利調整そのものが事業になるからです。
買い取ったあとに他の共有者と調整し、不動産を全体化したり分割したりして価値を回復させます。
一般の買主にとって使い道のない持分でも、調整のノウハウを持つ会社にとっては仕入れの対象になります。

買取業者に売る利点は次の3つです。

  • 他の共有者の同意がいらない
  • 数週間程度で現金化できる場合がある
  • 買主が業者自身のため仲介手数料がかからない

一方で、業者は権利調整のコストとリスクを負うため、買取価格は持分相当額から減額されます。
4つの方法のなかでは手取りが低くなりやすい選択肢です。
東京は共有持分や再建築不可物件を扱う会社が集まっており、売り先の候補自体は確保しやすい環境です。

他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう

他の共有者が買い取る意思と資金を持っているなら、業者へ売るより高い金額になりやすく、権利関係も単独名義に整理できます
他の共有者への売却が成立する条件は次の2つです。

  • 相手に持分を購入する意思がある
  • 購入資金または金融機関からの融資の見込みがある

どちらかが欠けると話が進みません。
相手にとって、あなたの持分の買い取りは共有の解消につながる話です。
とくにその不動産に住み続けている共有者は、単独名義にすれば自由に建て替えや売却ができるようになるため、購入の動機を持ちやすい立場にあります。

ただし、身内だからといって相場からかけ離れた安い金額で売ると、税務上の問題が生じることがあります。
第三者の査定書など、価格の根拠になる資料を残しておいてください。
価格の根拠になる資料は、ベンナビ不動産売却の無料査定でも取り寄せられます。

共有者全員で不動産全体を売る

共有者全員の同意が取れるなら、不動産全体を市場で売って代金を持分割合で分ける方法が、手取りの面でいちばん有利になります。
全体売却は、単独名義の不動産を売るのと同じ取引です。
買主は不動産をそのまま使えるため、持分だけを売るときのような減額が生じません。
売却代金から仲介手数料と税金を差し引いた残りを、持分割合に応じて分け合うかたちになります。

一方で、民法では共有物に変更を加える行為に他の共有者の同意が必要です。
不動産全体の売却はこの変更にあたるため、共有者が1人でも反対すると成立しません。
共有者に高齢で判断能力に不安がある方がいる場合や、所在のわからない共有者がいる場合には、成年後見や不在者財産管理人といった追加の手続きが必要になります。

【参考元】民法|e-Gov 法令検索

共有物分割を経てから売る

協議がまとまらない場合には、共有物分割の手続きを通じて共有状態そのものを解消してから売る道があります。
共有物分割の方法は次の3つです。

  • 土地を実際に分けて単独名義にする
  • 1人が不動産を取得して他の共有者へ金銭を支払う
  • 売却して代金を分ける

どの方法になるかは、不動産の形状や当事者の希望をもとに決まります。
民法は、各共有者がいつでも共有物の分割を請求できること、協議が調わないときは分割を裁判所に請求できることを定めています。
話し合いに応じない共有者がいても、手続きを進める道が残っている状態です。

ただし、解決までに1年以上かかることも珍しくなく、弁護士費用も発生します。
まず持分の売却や全体売却を検討したうえでの最終手段と位置づけるのが現実的です。
分割と売却のどちらが自分の状況に合うかは、ベンナビ不動産売却の無料査定で条件を出してから比べられます。

【参考元】民法|e-Gov 法令検索

東京でも自分の持分だけなら他の共有者の同意なく売却できる

持分の処分は各共有者が単独でできる行為です
民法が同意を求める共有物の変更にはあたらないため、他の共有者の承諾がなくても自分の持分は売却できます。

もっとも、法的に売れることと、売ったあとに何も起きないこととは別です。

【参考元】民法|e-Gov 法令検索

持分の処分は各共有者が単独でできる

共有物に変更を加えるときは他の共有者の同意が必要ですが、自分の持分を売る行為はこの変更にあたりません。

同意が必要になるのは、あくまで共有物そのものに変更を加える場合です。
共有物の使用については、各共有者が持分に応じた使用をできると定められています。
管理に関する事項は、持分の価格に従って過半数で決めるしくみです。

一方、持分の処分だけは各共有者が自分の判断でおこなえます
自分の持分を誰に売るかは自分で決められる建て付けです。

そのため「兄が反対しているから自分の持分も売れない」というのは誤解です。
反対によって止まるのは不動産全体の売却であって、持分だけの売却は止まりません。

ただし、持分を取得した会社は共有者の1人になり、残った共有者へ買い取りや分割を打診します。

売却後の打診まで見込んだうえで進めるかどうかを決めてください。

【参考元】民法|e-Gov 法令検索

東京の一般的な仲介では共有持分の取扱いを断られやすい

持分だけを買っても買主は不動産を単独で使えず、住宅ローンも組みにくいため、一般消費者向けの仲介では買い手が現れにくくなります。
持分を取得した買主が使えるのは、持分に応じた部分だけです。
リフォームをするにも賃貸に出すにも他の共有者との調整が必要で、自分の判断だけでは動かせません。
取得しても自由に住めない不動産に、一般の買主が値段をつけにくいのはこのためです。

金融機関の側から見ても、持分は担保として評価しにくい資産です。
住宅ローンの対象になりにくく、購入は現金が前提になります。
買える人の範囲が現金購入層に限られるため、仲介の市場そのものが成立しにくいのです。

結果として、都内の街の不動産会社に持ち込んでも取扱いを断られることがあります。
ただし、断られたことは売れないことを意味しません。
持分を扱う会社に相談すれば買取の話が進む見込みです。
対応できる会社は無料査定で絞り込めます。

同意なく売っても他の共有者にはいずれ伝わる

法的に同意は不要でも、買主となった業者から他の共有者へ連絡が入るため、売却の事実はいずれ伝わります。
持分を取得した買主は、その後の活用を進めるために他の共有者へ協議を持ちかけるのが通常です。
持分を買い増したい、逆に自分の持分を買ってほしい、あるいは全体を売却したいといった提案が届きます。
売却を伏せ続けることは、現実には難しいと考えてください。

先に伝えておく利点は次の2つです。

  • 他の共有者が自分で買い取る選択肢が出てくる
  • 知らない会社から連絡が来る事態を避けられ、関係の悪化を抑えられる

逆に伝えない利点は、売却を妨げようとする働きかけや引き延ばしを受けにくい点にあります。
どちらを選ぶかは相手との関係次第で、正解は1つに決まらない問題です。
伝え方に迷う場合は、買取相談の段階で会社に共有者への対応方針を聞いておくと判断しやすくなります。
他の共有者から強い反発が予想されるなら、売却の前に弁護士へ相談し、伝える順序と対応を決めておいてください

東京で共有持分を売ったときの金額の目安|持分売却は持分相当額の3〜5割

同じ持分でも、全体売却なら持分相当額に近い金額、業者への持分売却なら持分相当額の3割から5割程度が一般社団法人共有持分支援協会の公表値です。
東京では原資となる地価が区部と多摩で3倍以上違うため、金額の幅も大きくなります。

共有持分の買取価格に公的な統計はないため、以下の目安は出典とともに幅で示します。

売り方によって手取りは大きく変わる

全体の市場価格6,000万円・持分2分の1という同じ条件で比べます。
全体売却なら約3,000万円、業者への持分売却なら900万円から1,500万円程度です。
選ぶ方法で手取りに2倍以上の差が出ます。

まず、計算の出発点は「不動産全体の市場価格×持分割合=持分相当額」という考え方です。
業者買取の目安は、一般社団法人共有持分支援協会が公表する「実勢価格×持分割合×評価割合(30%〜50%)」です。

売り方計算のもとになる金額おおよその手取り備考
共有者全員で全体売却6,000万円約3,000万円仲介手数料と税金が差し引かれる
他の共有者へ売却3,000万円2,000万円〜3,000万円相手の資金力で決まる
専門業者へ持分売却3,000万円900万円〜1,500万円仲介手数料はかからない
共有物分割を経て売却6,000万円事案により変動弁護士費用と1年以上の期間が加わる

ただし、上の金額はあくまで目安です。
とくに他の共有者へ売る場合は、相手の資金力によって持分相当額を下回ることがあります。
話し合いができるなら全体売却か他の共有者への売却、どちらも難しければ業者への持分売却を軸に考えてください。
手取りの実額は無料査定で出せます。

区部と多摩では原資になる地価が3倍以上違う

東京都財務局が公表した令和8年地価公示によると、住宅地の平均価格は区部全域が1平方メートルあたり856,400円です。
多摩全域は248,200円で、3倍以上の開きがあります

地区住宅地の平均価格 円/㎡対前年平均変動率 %
都心5区2,138,700
区部全域856,4009.0
多摩全域248,2003.9
東京都全域565,1006.5

出典:東京都財務局「令和8年地価公示価格(東京都分)」(調査基準日 令和8年1月1日)

また、同じ持分2分の1でも、地価の差はそのまま持分相当額の差になります。
土地の面積が同じであれば、区部の物件は多摩の物件の3倍を超える金額になる計算です。

さらに区部のなかでも幅があり、世田谷区が779,900円、葛飾区が387,500円と2倍の開きがあります。
多摩でも武蔵野市が692,200円、青梅市が98,600円と差は小さくありません。
都内か都外かではなく、どの区市かで金額が決まると考えてください。

なお地価公示は標準地の価格であり、個別の物件の価格そのものではありません。
目安として使ってください。

【参考元】不動産情報ライブラリ|国土交通省

金額は持分割合と共有者の顔ぶれで上下する

金額を大きく動かすのは、持分割合と共有者の顔ぶれです。
上振れする条件は次の3つです。

  • 持分割合が2分の1以上ある
  • 共有者が2名以内で権利関係が単純である
  • 将来の全体売却に他の共有者が前向きである

一方、下振れする条件も3つあります。

  • 共有者が多数で、高齢または所在がわからない人が含まれる
  • 他の共有者が居住していて明渡しの交渉が必要になる
  • 再建築不可や境界未確定といった物件側の事情がある

上振れ側の条件が効くのは、買主が取得後の出口を描きやすくなるためです。
持分割合が過半に届けば単独で決められる場面が増えます。

条件は組み合わせで効きます。
持分割合が2分の1あっても、共有者が5名いれば評価が下がる計算です。

逆に持分が4分の1でも、共有者が2名だけなら評価は上がります。
その後の調整の見通しが立ちやすいためです。

もっとも、下振れする条件があっても売却はできます。
下振れする条件のある物件を扱ってきた会社であれば買取の話は進みます。
条件が複数重なる物件ほど会社ごとの評価の差が開くため、複数社の査定を並べて確かめてください。

東京の共有持分がいくらになるかはまず無料査定で確かめる

上で示した計算式や地価はあくまで目安です。
実際の金額は共有者の人数や占有の状況、接道の条件といった個別事情で動くため、無料査定で今の価格を確かめるのが選択肢を比べる近道になります。
どの方法を選ぶにしても、自分の持分の値段がわからなければ比較できない状態です。

ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の買取に対応する会社へ無料で査定を依頼できます。
対象になるのは共有持分のほか、空き家や再建築不可物件、事故物件です。
査定に費用はかかりません。
依頼しても売却の義務は生じないため、金額を見てから売るか持ち続けるかを決められます。

※査定は無料ですが、売買契約を結んだ場合の登記費用や税金は別途必要です。
査定額や買取の可否は物件と権利関係によって異なり、結果を保証するものではありません。
他の共有者に話を持ちかけるかどうかは、金額を知ってから決めても遅くありません。

東京の共有持分で売却額を左右する4つの条件

東京では次の4つの条件が査定額を大きく分けます。
接道義務を満たさない再建築不可、私道の共有持分、借地権や底地の共有、旧耐震の相続空き家です。

いずれも東京の古い市街地で重なって発生しやすい条件です。
該当していても売却できます。

接道義務を満たさず再建築ができない

建物の敷地は、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません
接道義務を満たさない敷地は、原則として建て替えができない状態です。

そのため、接道義務を満たさない敷地は、現に建っている建物を使い続けることはできても、取り壊すと新しい建物を建てられなくなります
買主から見れば、建て替えの選択肢がなく、住宅ローンの担保としても評価されにくい不動産です。
持分の評価はさらに下がります。

実際、23区内には細い路地の奥に敷地が広がる旗竿地や、幅2メートルに満たない通路にしか接していない敷地が残っています。
戦前からの区画が残る地域では珍しくない状況です。

一方で、隣接地の一部を買い取って接道を確保する、既存の建物を活かして賃貸に回すといった出口を描ける会社であれば、買取の対象になります。
公図と登記事項証明書で前面道路の幅員と接道の長さを確かめ、査定を依頼するときに伝えてください。

【参考元】建築基準法|e-Gov 法令検索

私道の共有持分がセットになっている

東京の古い住宅地では、敷地の前面道路が近隣の数世帯で共有する私道になっていて、宅地の持分と私道の持分をセットで持っているケースが多く見られます。
宅地だけを売って私道の持分を手元に残すと、買主は通行や水道管の引き込み工事について承諾を得られません。
土地は取得できても使えない状態になるため、通常は宅地の持分と私道の持分をまとめて売る扱いです。

私道の共有者が10名を超えるような場合には、通行承諾書と掘削承諾書を全員から取得する作業に時間がかかります。
承諾書取得の手間の分が査定額に反映されます。
私道の持分を持っているかどうかは、法務局で取得する登記事項証明書と公図で確認が可能です。
宅地の登記事項証明書とは別に、私道部分の地番の登記事項証明書を取ってください。
私道持分を含む物件を扱えるかどうかは、買取相談の段階で確かめられます。

土地と建物で権利者が分かれている

借地の上に建つ建物を兄弟で共有している場合や、逆に底地を共有している場合には、地主または借地人という第三者の関与が加わるため、手続きが一段複雑になります。
借地権付き建物の持分を売る場合、建物の譲渡にともない借地権も移転します。
借地権の譲渡には通常、地主の承諾が要り、承諾料の支払いを求められる場合が一般的です。
地主が承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続きが用意されています。

底地の共有持分は、地代の収入が続く一方で、借地人がいるため土地を自由に使えません。
買い手は投資目的の会社に限られ、更地の持分より流動性が下がる傾向です。
いずれの場合も、共有持分と借地の両方を扱った経験のある会社に相談してください。
該当する会社は、ベンナビ不動産売却の無料査定でまとめて探せます。

旧耐震の相続空き家として放置されている

相続してから誰も住まないまま数年が経った建物は、老朽化と管理が行き届かないことによって評価が下がります。
さらに税制上の優遇から外れかねない点が懸念です。

とくに1981年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた建物は、買主が耐震改修または解体を前提に見積もります。
改修費用や解体費用の分が査定額から差し引かれるため、減額の幅は大きくなりがちです。
東京都内の解体費用は資材と人件費の上昇を受けて上がっており、解体費用の上昇分も金額に表れます。

さらに、管理が行き届かない状態が続くと、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく特定空家等または管理不全空家等への指定が懸念される状況です。
指定を受けて勧告まで至れば、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
土地の固定資産税が最大で6倍になる計算です。
持ち続けるほど不利になりやすい条件が重なるため、方針を決める時期そのものが価格に影響します。
該当する建物を持っているなら、解体費用の見積もりと査定を同時に取り、売る場合と持ち続ける場合の負担を数字で比べてください。

東京で共有持分を売却する手続きの流れ|査定から決済まで6ステップ

査定の依頼から決済までは6つの段階で進みます。
書類が揃っていれば、数週間で現金化まで到達することもあります。

ただし、相続登記が済んでいないと入口で止まるため、最初に登記の状況を確認してください。

査定の依頼から決済までの6ステップ

手続きは、登記事項の確認から始まり、決済と持分移転登記で終わります。

  • 登記事項証明書を取得し、持分割合と共有者、抵当権の有無を確認する
  • 複数の会社へ査定を依頼する
  • 現地調査と権利関係の調査を受ける
  • 提示された条件を比較し、交渉する
  • 売買契約を結ぶ
  • 決済を受け、持分移転登記をおこなう

なお、登記事項証明書は法務局の窓口のほか、登記・供託オンライン申請システムでも請求できる書類です。
オンラインで請求して郵送で受け取る方法のほうが手数料は安く済みます。
複数社に査定を依頼するときは、同じ情報を渡してください。
伝える内容が会社ごとに違うと、返ってきた金額を横に並べても比較になりません。

また、決済と持分移転登記は同じ日におこなうのが一般的です。
登記の申請は司法書士が担当し、費用は買主側が負担する取引が多く見られます。
登記手続きの流れをどこまで代行してもらえるかは、無料査定の段階で確認できます。

売却に必要な書類|登記識別情報と本人確認書類が基本

必要な書類は下の表のとおりです。
登記識別情報や登記済権利証、本人確認書類、固定資産税の納税通知書が基本の組み合わせになります。

書類入手先備考
登記識別情報または登記済権利証手元の保管書類再発行はできない
本人確認書類と印鑑証明書市区町村の窓口印鑑証明書は発行から3ヵ月以内
固定資産税納税通知書または課税明細書毎年届く通知評価額の確認に使う
登記事項証明書法務局誰でも取得できる
公図および地積測量図法務局私道持分の確認にも使う
遺産分割協議書相続人が作成相続で取得した場合

なお、登記事項証明書と公図は所有者でなくても法務局で取得できます。
手数料を払えば誰でも請求できるため、現状を調べる目的でも利用可能です。
登記識別情報を紛失している場合でも売却はできます。
司法書士による本人確認情報の作成などで代えられますが、作成手続きの分の費用と日数が加わります。

また、印鑑証明書と本人確認書類は決済の当日までに揃えれば十分です。
一方で、登記識別情報と遺産分割協議書は探すのに時間がかかることがあるため、査定を依頼した時点で所在を確かめておくと手続きが滞りません。
書類の一部は買取会社や司法書士が代わりに取得できる場合もあります。
どこまで任せられるかは会社ごとに違うため、買取相談のときに聞いてください。

複数社に査定を依頼して条件を比べる

共有持分の査定額は会社ごとの評価の考え方で差が出るため、同じ情報を渡したうえで複数社に依頼して比べるのが基本になります
差が出るのは、買い取ったあとの権利調整をどこまで自社でできるかによって、会社が織り込むコストが変わるためです。
他の共有者との交渉を自社で完結できる会社は、外注を前提とする会社より高い金額を出せます。
1社の提示だけでは、提示額が妥当かどうかを判断できません。

そこで、比較するときに揃える情報は次の4点です。

  • 持分割合
  • 共有者の人数と自分との関係
  • 現在誰が使っているかという占有の状況
  • 相続登記が済んでいるかどうか

また、金額だけでなく提示額から差し引かれる費用があるかどうか、そして契約までに考える時間をくれるかどうかも並べて見てください。
査定額の根拠を説明できるかどうかも判断材料になります。
他の共有者との調整をどう進めるつもりかを聞けば、提示額の裏づけがあるかどうかは見えてきます。

相続登記が済んでいないなら先に登記する

不動産が亡くなった方の名義のままでは持分を売却できません。
先に相続登記を済ませる必要があり、相続登記は2024年4月1日から義務です。

具体的には、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。
2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産で登記がされていないものについては、2027年3月31日までが期限です。
正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の範囲で過料が科されることがあります。

また、遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たせます。

ただし申告登記だけでは持分の売却はできないため、売却を進めるには遺産分割または法定相続分での登記が必要です。
登記は司法書士に依頼できます。
買取会社が紹介する場合もあるため、登記が未了であることは最初に伝えてください。

【参考元】不動産登記法|e-Gov 法令検索

共有持分の売却でかかる税金|課税されるのは売却益

税金は売却代金ではなく売却益にかかります。
相続で取得した持分は亡くなった方の取得費と取得時期を引き継ぐため、税額が増減する仕組みです。

なお、売買契約書には印紙税がかかります
売却代金が1,000万円を超え5,000万円以下の契約書では、軽減措置の適用時で1万円です。

譲渡所得税は売却代金ではなく売却益にかかる

課税されるのは「売却代金-取得費-譲渡費用」で計算した売却益です
所有期間が5年を超える長期譲渡所得なら、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた税率は20.315%になります

ただし、長期と短期の区分は譲渡した年の1月1日時点の所有期間で判定します。
5年を超えていれば長期譲渡所得で、所得税15%、復興特別所得税が所得税額の2.1%、住民税5%の合計20.315%です。
5年以下であれば短期譲渡所得となり、合計39.63%まで上がります。
具体的な税額は取得費の資料や特例の適用可否で変わるため、最終的な判断は税理士に確認してください。

また、売却益が出た場合は、売却した年の翌年に確定申告をおこなうことが必要です。
共有者が複数いても申告は一人ひとりがおこないます。
取得費がわからない場合は、売却代金の5%を概算取得費として計算できます。
ただし実際の取得費より低くなることが多く、税額が増えやすい方法です。

相続で取得した持分は取得費と取得時期を引き継ぐ

相続や贈与で取得した不動産は、亡くなった方が取得したときの購入代金と取得日をそのまま引き継ぎます。
相続の直後に売っても長期譲渡所得になることが多いのはこのためです。

たとえば親が30年前に購入した土地を相続し、相続から1年後に売却した場合でも、所有期間は親の30年間が通算されます。
5年を超えているため、適用される税率は長期譲渡所得のものです。

一方で、引き継ぎには逆方向の影響もあります。
親が数十年前に購入した土地は取得費が現在の価格より大幅に低いため、売却益が大きくなりやすい構造です。
地価が上昇してきた東京の物件では、取得費と時価の差が税額に表れます。

購入時の売買契約書が残っていれば取得費の証明になります。
概算取得費との差が税額を左右するため、実家の書類を探す価値は大きいと考えてください。
書類が見つからない場合の取得費の計算は、売却の前に税理士へ確認してください。

3,000万円の特別控除は売り方によって使えるかが変わる

租税特別措置法の居住用財産の3,000万円特別控除は、要件を満たせば共有者ごとに適用できます。

ただし売り先が親族なら対象外になる場合があるのが原則です。
国税庁は、共有のマイホームを売った場合の特例を共有者ごとに判定するとしています。
控除額は適用を受けられる共有者1人につき最高3,000万円です。

具体的には、配偶者や直系血族、生計を一にする親族などへの譲渡は、特別の関係がある人への譲渡として対象から外れます。
兄弟姉妹への売却では、生計を一にしているかを個別に確認してください。

一方、自分が住んでいない相続空き家なら、被相続人の居住用財産の特例を検討します。
1981年5月31日以前の建築であることや、耐震基準に適合させるか取り壊してから売ることが要件です。
適用期限は2027年12月31日までとなります。
2024年1月1日以後の譲渡は、相続人が3人以上なら控除額が1人あたり2,000万円です。

【参考元】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

東京で共有持分を売却するときの3つの注意点

東京で共有持分を売却するときは、次の3点を押さえておいてください。
買主と他の共有者の間で協議が起きること、親族間で安く売ると贈与とみなされうること、契約前に会社の免許と条件を確認することです。

いずれも売却そのものを止める理由ではなく、契約を結ぶ前に確認できる内容です。

売却後に買主と他の共有者の間で協議が始まる

持分を買い取った会社は、他の共有者に対して持分の買い取りや売却の提案をおこなうのが通常です。
話がまとまらなければ、共有物分割請求に進むこともあります。

実際、買主が取る行動には順序があります。
まず他の共有者へ連絡して協議を申し入れ、次に持分の売買や全体売却といった条件を提示する流れです。
協議がまとまらないときに、裁判所へ共有物分割を請求する段階へ進みます。

一方、他の共有者にとっては、面識のない会社が突然共有者になる出来事です。
心理的な反発が生じやすく、反発が売主本人への不満に向かうことがあります。
関係の悪化を抑えたいのであれば、売却の前に他の共有者へ買い取りの意向を確認しておく順序が有効です。
売却後に他の共有者から抗議や使用料の請求を受けたときは、自分で対応せず弁護士に相談してください。
共有持分の案件を扱う弁護士であれば、相手の主張のどこまでが法的に通るかを切り分けて対応できます。

親族間で相場より安く売ると贈与とみなされることがある

他の共有者である兄弟や親に著しく安い金額で持分を売ると、時価との差額が贈与とみなされて贈与税の対象になることがあります。
相続税法は、著しく低い価額で財産を譲り受けた場合に、時価との差額に相当する金額を贈与により取得したものとみなすと定めています。
身内だから安くしてよいという判断が、思わぬ課税につながる流れです。

対策としては、価格の根拠を残しておく方法が実務で使われます。
第三者の会社から取得した査定書や、不動産鑑定士による鑑定評価書があれば、査定書や評価書の金額を前提に売買したという説明ができます。
いくらであれば問題にならないかは、物件の状況によって変わる個別の判断です。
親族間で売買を進める前に税理士へ確認してください。
適正価格の目安は、ベンナビ不動産売却の無料査定で第三者の評価として押さえられます。

【参考元】相続税法|e-Gov 法令検索

契約前の確認を省くと不利な条件を飲むことになる

宅地建物取引業法は、宅地建物取引業を営むには免許を受けなければならないと定めています。
免許番号は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムや各社のサイトで確認できます。

免許番号の括弧内の数字は更新回数を示す数値です。
数字が大きいほど営業を続けてきた年数が長いという目安になります。

ただし新しい会社が信頼できないという意味ではありません。
サイトに免許番号が見当たらなければ問い合わせ、答えられない会社は候補から外してください。
契約前に確認したい条件は次の3点です。

  • 提示額から差し引かれる費用があるかどうか
  • 契約後に減額される条件が定められていないか
  • 契約を急がせず、考える時間をくれるか

あわせて、相談を受けた会社と実際に買い取る会社が同じかどうかも確かめてください。
仲介として別の会社へつなぐかたちであれば、手数料の負担が生じることがあります。
契約書の条件に判断がつかないときは、署名の前に弁護士へ確認してください。

【参考元】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

【参考元】建設業者・宅建業者等企業情報検索システム|国土交通省

東京の共有持分を売らずに持ち続けると共有者が増えて負担だけが残る

共有のまま放置すると、相続が起きるたびに共有者が増えて合意形成が難しくなり、固定資産税と管理の負担だけが持分割合に応じて残り続けます。

いますぐ売る必要はありませんが、現在の価格と選択肢を把握しておく意味は小さくありません。

相続のたびに共有者が増えて合意が取れなくなる

共有者の1人が亡くなると、亡くなった人の持分は相続人に分かれて承継されます。
共有者2名だった不動産が次の相続で4名、さらに次の相続で8名と増えていく構造です。

たとえば兄弟2人で2分の1ずつ共有している実家があり、それぞれに子が2人いるとします。
兄弟がともに亡くなれば、共有者は子4人になり、持分は1人4分の1です。
さらに次の世代へ移れば、持分は8分の1、16分の1と細かくなっていきます。

共有者が増えるほど、全体売却に必要な全員の同意は取りにくくなります。
面識のない親族や、連絡先のわからない親族と協議する場面も出てくる状況です。
民法は、共有物の管理に関する事項を持分の価格に従って過半数で決めると定めています。
持分が細分化されると、自分の意向はさらに通りにくくなります。
共有者が増える前に動けるかどうかで選べる手が変わるため、早い段階で買取相談に出してみてください。
共有者がすでに多く、話し合いの入口が見えない場合は、弁護士に協議の進め方を相談してください。

【参考元】民法|e-Gov 法令検索

固定資産税と管理の負担は持分割合で残り続ける

住んでいなくても、固定資産税や都市計画税、建物の維持管理の責任は共有者として持分割合に応じて残ります。
固定資産税は共有者全員の連帯納税義務です。
代表者に納税通知書が届くしくみのため、自分に通知が来ていないことをもって負担を免れているわけではありません。
代表者が立て替えた分は、他の共有者へ持分に応じて請求できる仕組みです。

さらに、建物が老朽化して外壁や瓦が落ち、通行人や隣家に損害を与えた場合には、所有者としての責任を問われます。
草木が隣地に越境したときの対応も、共有者として関わる場面です。

加えて、区部の住宅地では地価の上昇が続いており、令和8年地価公示の住宅地の変動率は区部全域で9.0%でした。
土地の評価額が上がれば固定資産税の負担も増えていきます。
使っていない不動産の維持費だけが積み上がる状態になります。
負担を止める判断材料として無料査定を使ってください。

【参考元】不動産情報ライブラリ|国土交通省

東京の共有持分でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ

他の共有者と話し合いができない、持分を勝手に売られた、買主から使用料を請求されたという段階では、査定より先に弁護士に相談してください。
共有物分割請求への対応や、持分に応じた使用の対価をめぐる交渉は、不動産会社が代理できない領域だからです。

弁護士に依頼すれば、協議の申し入れから調停や訴訟までを任せられ、相手との直接のやり取りを避けられます。
共有持分の案件を扱う弁護士であれば、分割の方法ごとに手取りがどう変わるかまで見通したうえで交渉を組み立てられます。

ベンナビ不動産売却では、権利関係の調整で弁護士や司法書士と連携している会社を掲載しており、相談の入口が1か所にまとまる仕組みです。
相談したからといって売却を決める必要はありません。
まず自分の立場でどこまで請求できるのか、どこからが相手の権利なのかを整理するところから始めてください。

東京の共有持分の売却に関する悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう

売り先を比べたい、いくらになるか知りたい、手続きをどこまで任せられるか確かめたいという悩みは、ベンナビ不動産売却でまとめて相談できます。
ベンナビ不動産売却は、共有持分や空き家、再建築不可物件といった訳あり不動産の買取に対応する会社を探せる媒体です。
掲載している会社には、弁護士や司法書士と連携して権利関係の調整まで進められる会社が含まれます。

会社によっては、弁護士費用や登記費用、残置物の処分費用を負担したうえで買い取る条件を出しています。
費用をどちらが持つかは会社ごとに違うため、査定を受ける段階で確認してください。
掲載会社の対応地域や得意分野を見比べたうえで、複数の会社に同じ条件で査定を依頼できます。

東京の共有持分は、区市や共有者の人数、権利関係によって金額が大きく動きます。
1社の提示だけで決めず、複数の会社の条件を並べて比べるところから始めてください。
相談や査定に費用はかからず、売却の義務も生じません。

東京の共有持分の売却に関するよくある質問

Q

共有持分を他の共有者に黙って売却しても違法になりませんか

A

違法にはなりません
自分の持分の売却は各共有者が単独でできる行為で、民法が同意を求めているのは共有物への変更だからです。
ただし、買主となった会社から他の共有者へ連絡が入るため、売却の事実はいずれ伝わります。
事前に伝えるかどうかは、相手との関係を踏まえて別に判断してください。
【参考元】民法|e-Gov 法令検索

Q

共有持分だけを売ると相場よりどのくらい安くなりますか

A

持分相当額の3割から5割程度が一般社団法人共有持分支援協会の公表値です
全体売却と比べると、手取りは半分以下になります。
公的な統計はないため、あくまで同協会が公表している値の幅です。
持分割合や共有者の人数、占有の状況によって、幅のなかのどこに着地するかが変わります。

Q

共有持分を売らずに共有状態を解消する方法はありますか

A

他の共有者の持分を買い取って単独名義にする、土地を分筆する、共有物分割請求で裁判所に解消を求める、持分を放棄するの4つがあります
いずれも他の共有者の協力か裁判所の手続きが必要で、自分の持分を売るより時間がかかります。
すぐに現金化したいなら売却、共有関係そのものを整理したいなら分割と、目的で選び分けてください。

Q

東京の物件だと現金化までどれくらいかかりますか

A

書類が揃っていれば、査定の依頼から決済まで数週間で完了するケースがあります
相続登記が未了の場合は先に登記が必要で、登記の分だけ期間が延びる計算です。
私道持分の承諾書を取得する必要がある物件や、境界の確認が要る物件でも長くかかります。

Q

共有持分を売却したら確定申告は必要ですか

A

売却益が出た場合は、売却した年の翌年に確定申告をおこなうことが必要です
売却益が出ていない場合でも、特例の適用を受けるなら申告が要ります。
相続で取得した持分は取得費と取得時期を引き継ぐため、まず購入時の資料を探すところから始めてください。

Q

共有者と連絡が取れない場合でも売却できますか

A

売却できます
自分の持分の売却に他の共有者の関与は要らないため、連絡が取れない状態でも進められます。
ただし、全体売却や他の共有者への売却は相手の関与が前提となるため選べない方法です。
所在のわからない共有者がいる場合、買主側で調査や手続きを進めることがあります。

Q

住宅ローンが残っている共有持分でも売却できますか

A

抵当権が付いたままでは売却が難しく、残債の扱いを先に整理しなければなりません
売却代金で完済できるかどうかで進め方が変わります。
ペアローンで元配偶者と共有している場合は、金融機関との調整が前提です。

まとめ

東京で共有持分を売る方法は4つあり、自分の持分だけなら他の共有者の同意なく売却できます。
ただし業者へ持分だけを売ると手取りは全体売却の3割から5割にとどまるため、方法の選択がそのまま金額の差になります。

令和8年地価公示の住宅地の平均価格は区部全域が856,400円、多摩全域が248,200円と3倍以上の開きがあり、地域による差が大きい状況です。
東京特有の4条件が査定に影響します。
接道義務を満たさない再建築不可、私道の共有持分、借地権や底地の共有、旧耐震の相続空き家です。
売らずに持ち続けると相続のたびに共有者が増え、固定資産税と管理の負担だけが残ります。

まず自分の持分にいくらの値段がつくかを確かめるところから始めてください。
ベンナビ不動産売却では、共有持分や空き家、再建築不可物件といった訳あり不動産の買取に対応する会社へ無料で査定を依頼できます。
査定に費用はかからず、金額を見てから売るかどうかを決められます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。