空き家

不動産売却で空き家を手放す方法と、売る前に整える3つの前提

不動産売却で空き家を手放す方法と、売る前に整える3つの前提

誰も住まなくなった実家をそのまま持ち続けていて、固定資産税や庭木の管理だけが毎年かかっている方は少なくありません。
空き家の不動産売却は、住んでいる家を売る場合と手順が同じではなく、売り方を選ぶ前に整えておく前提があります。
本記事で整理するのは、空き家で選べる4つの売り方と向いている物件の条件です。

あわせて、売り出す前に整える3つの前提と、価格が決まる要素、費用と引き渡しまでの流れを解説します。
空き家は持ち続けるだけで税と管理の負担がかかり、建物の傷みも進みます。
売ると決めた時点でどの順序で動くかを決めておくことも、交渉材料を減らすうえで有効です。

読み終えるころには、自分の空き家をどの方法で売るかを絞り込み、査定を依頼する段階まで進められます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

目次

空き家の不動産売却で選べる4つの売り方

空き家の不動産売却で選べる4つの売り方

空き家を売る方法は、中古住宅としてそのまま売る・古家付き土地として売る・解体して更地にして売る・買取業者に直接売るの4つに整理できます。
どれを選ぶかは、建物がいま住める状態かどうかと、どのくらいの期間で現金化したいかの2点でほぼ決まります。

売り方向いている物件引き渡しまでの目安手取りの傾向売主の負担
中古住宅としてそのまま売る設備が使えて雨漏りがない買主が見つかるまで数ヵ月〜1年高い残置物の撤去
古家付き土地として売る老朽化が進み建物に値が付かない買主が見つかるまで数ヵ月〜1年中くらい残置物の撤去
解体して更地にして売る倒壊のおそれがある、土地の需要が高い解体後に買主を探すため長め中くらい解体費を先に負担
買取業者に直接売る仲介で反応がない、遠方で管理できない数週間〜2ヵ月程度低め少ない

まず建物が住める状態かを確認し、住める状態なら中古住宅、住めない状態なら古家付き土地か更地が候補です。
そのうえで、相続人が早く現金で分けたい事情があるなら買取を候補に加えてください。
自治体の空き家バンクや個人間の売買という方法もありますが、買主を自分で見つけて契約書まで用意する必要があるため、本記事では仲介と買取を中心に扱います。

4つのうち上の3つは不動産会社に買主を探してもらう仲介にあたり、最後の1つだけが不動産会社自身に買ってもらう取引です。
どちらを選ぶかで手取りと期間が入れ替わるため、まずは4つの違いを押さえてください。

①中古住宅としてそのまま売る

設備が使えて雨漏りがない住宅であれば、修繕もリフォームもせずにそのまま売り出せます。
向いているのは、築年数が比較的浅く、水回りの設備が生きていて、買主がすぐに住み始められる物件です。
費用をかけずに売却活動へ入れるため、手元の資金を減らさずに進められます。

実際の建物を見てもらえるので、購入を検討する人が判断しやすい点も利点です。
一方で、引き渡したあとに雨漏りや給排水の不具合が見つかると、売主が契約不適合責任を問われる場合があります。
長く空き家だった住宅は所有者自身も建物の状態を把握しきれていないため、把握している不具合は契約書に書き込み、責任を負う範囲を売買契約で決めておいてください。

売り出す前に室内の換気と清掃をおこない、庭木を刈っておくだけでも内見での印象は変わります。

②古家付き土地として売る

建物にほとんど値が付かない物件は、古家を残したまま土地として売り出せます。
古家付き土地とは、経済的な価値がほぼなくなった建物が建っている状態の土地を指します。
向いているのは、老朽化が進んで住むための修繕費が大きく、それでも土地としての需要がある物件です。

売主が解体費を負担せずに済むため、手元から現金を出さずに売却活動を始められます。

ただし、建物のない同じ広さの土地と比べると、売却価格は低くなることがあります。
買主は解体費を自分で負担する前提で価格を提示してくるため、解体費を差し引いた金額での交渉です。

また、古家付き土地として売り出しても、建物が住める状態だと判断されれば、中古住宅として買いたい人が現れることも考えられます。
どちらの見せ方で売り出すかは、不動産会社に現地を見てもらったうえで決めてください。

③解体して更地にして売る

建物を取り壊して更地にすると、買主の幅が広がり、売主は建物の維持管理から離れられます。
向いているのは、倒壊や外壁の落下のおそれがあって放置できない物件と、新築を建てたい人からの需要が見込める立地の物件です。
更地であれば、住宅を建てたい人だけでなく、駐車場などほかの使い道を考えている人にも検討してもらえます。

一方で、解体費は売主が先に負担することになり、売却代金を受け取る前に現金が出ていきます。
建物を取り壊すと土地にかかる固定資産税の軽減が外れ、売れるまでの間の負担も増えがちです。
解体を選ぶかどうかは、費用と税の両面を確かめてから決めてください。

建物を取り壊したあとは、1ヵ月以内に建物滅失登記を申請することが求められる点も忘れないようにしましょう。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

④買取業者に直接売る

買取は、買主を探さずに不動産会社へ直接売る方法です。
向いているのは、仲介に出しても問い合わせがない物件、遠方にあって管理に通えない物件、相続人が早く現金にして分けたい場合です。
買主が現れるのを待たずに済むため、査定から引き渡しまでが数週間から2ヵ月程度で終わることもあります。

仲介手数料がかからず、契約後に不具合が見つかっても売主が責任を負わない契約になっている場合が多い点も利点です。
その代わり、買取価格は仲介で売れる想定の価格より低くなります。
どの程度下がるかは物件の状態と会社によって幅があるため、1社だけの提示で決めず、複数社の査定額を並べて確かめてください。

買取を扱う会社は得意な物件の種類が分かれているので、空き家や再建築不可の土地を扱った実績があるかもあわせて確認しましょう。
空き家の買取に対応する会社への査定は、ベンナビ不動産売却からまとめて依頼できます。

空き家の不動産売却が一般の不動産売却と違う3つの点

いま住んでいる家を売る場合と比べると、空き家の売却には3つの違いがあります
建物の評価がほとんど残らないこと、登記の名義が親のままになっていることが多いこと、管理されていない期間が価格と手間に響くことの3点です。
どれも売り出す前に手当てできるものですが、手当てをしないまま売却活動を始めると、価格の交渉で不利になるか、そもそも契約に進めません。

住んでいる家であれば名義も設備の状態も所有者が把握しているため、査定を受けてそのまま売り出せる状態です。
これに対して空き家は、相続で引き継いだ物件が多く、所有者自身が現地の状況を正確に知らないまま売却を考え始めます。
違いを先に把握しておけば、どこから手を付ければよいかが見えてきます。

建物の評価がほぼゼロになりやすい

空き家の査定額は、建物ではなく土地の価格が中心になります。
不動産の価格は土地と建物に分けて評価され、木造の住宅は年数が進むほど建物側の評価が下がっていくためです。
長く使われていない住宅は給排水や電気設備の劣化が進んでいるため、買主が引き渡し後に必要とする修繕費の見込みが査定額から差し引かれます。

築年数が古い空き家では、建物にほとんど値が付かないという結果になることも珍しくありません。

そのため売り方を選ぶときは、建物にいくら付くかではなく、土地にいくら付くかを軸に考えてください。
土地の価格が見えれば、解体して更地にする意味があるかどうかも判断できます。

査定書を受け取ったら、土地と建物それぞれにいくらの評価が付いているかを確認してください。

所有者の名義が親のままになっていることが多い

登記上の所有者と売主が一致していないと、売買契約を結べません。
相続した実家は、名義を変えないまま数年たっている例が多く、売ろうと決めた時点で名義変更が済んでいないことがあります。
2024年4月からは相続登記が義務化され、期限は不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。

正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料の対象となる場合があるため、売却の予定にかかわらず早めに進めてください。
兄弟で共有名義になっている場合は、全員が合意しなければ物件全体を売ることはできません。
自分の持分だけであれば単独で売れますが、買主が限られるため、まずは共有者と売却の方針をそろえることをおすすめします。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

管理されていない期間の長さが価格と手間に響く

放置していた期間が長いほど、建物は傷み、売り出すまでの手間が増えます。
雨漏りを直さずにいると内部の木材が傷み、庭木が伸びて隣地へ越境すると、引き渡しの前に処理を求められます。
空家等対策の推進に関する特別措置法にあるのは、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある建物を管理不全空家として指定できる仕組みです。

指定を受けて改善の勧告に至ると、土地にかかる固定資産税の軽減が外れる場合があります。
室内に家具や家電が残ったままだと、内見での印象が下がり、撤去費用の分だけ価格を下げる交渉をされやすくなります。
売ると決めたなら、傷みが進む前に動くことが、売り方の選択肢を保つ条件です。

遠方に住んでいて自分で通えないなら、空き家の管理を代行するサービスを使って状態を保つ方法もあります。

【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索

空き家を売りに出す前に整える3つの前提

空き家を売りに出す前に整える3つの前提

売却活動に入る前にやることは、名義、残置物、境界と建物の状態の3つです
いずれも査定の依頼と並行して進められるため、査定を待ってから着手する必要はありません。
3つが整っていると、買主は物件の状態を判断しやすくなり、価格を下げる交渉の材料が減ります。

逆に、名義が親のままや家財が残ったままの状態は、買主が現れても契約の直前で止まる原因です。
順序としては、名義を先に動かし、並行して家財を片づけ、最後に土地と建物の状態を確認する流れが進めやすい形です。
名義の変更には戸籍の収集が必要で数週間から数ヵ月かかるため、いちばん時間のかかる作業から先に着手します。

家財の片づけと現地の確認は、名義の手続きと同時に進められます。
3つのうちどれが自分の物件に残っているかを、まず洗い出してください。

①相続登記で名義を自分に移す

相続した空き家を売るには、まず登記の名義を相続人へ移します。
遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議をおこない、誰がその不動産を取得するかを決めたうえで、法務局へ登記を申請します。
申請には被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続人の住民票などが必要で、収集だけでも時間のかかる作業です。

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内という期限が定められているため、売却の可否を決める前に着手してください。
書類の収集や申請書の作成が難しい場合は、司法書士に依頼できます。
登記の手続きと不動産会社への査定依頼は同時に進められるので、名義が終わるまで待つ必要はありません。

なお、遺産分割の話し合いがまとまらない場合でも、相続人の申し出によって登記名義人の氏名などを登記できる制度の利用が可能です。

②残置物を撤去して引き渡せる状態にする

家財や家電は、原則として売主が撤去し、室内が空の状態で引き渡します。
まず仏壇や写真、通帳などの残しておくものを仕分け、残らないものを処分の対象として分けてください。
処分の方法は、自治体の粗大ごみに出す方法と、不用品回収業者にまとめて依頼する方法があります。

量が多い場合は業者に任せるほうが早く終わりますが、料金は業者ごとに差があるため、複数社から見積りを取って比べてください。
買取業者に売る場合は、家財を残したまま引き取る契約になることもあります。
撤去の費用を自分で負担するか、撤去費を差し引いた価格で買い取ってもらうかで手取りが変わるので、査定の段階で確認しておきましょう。

片づけの途中で権利証や測量図が見つかることもあるため、書類は捨てずにまとめて保管してください。

③境界と建物の状態を確認する

土地の境界と建物の不具合は、買主から確認を求められる項目です。
現地では、境界を示す杭や金属標が残っているか、塀や庭木、屋根が隣地へはみ出していないかを見てください。
境界がはっきりしない土地では、買主から確定測量を求められることがあります。

測量は隣地の所有者の立ち会いが必要で、費用も期間もかかるため、求められる可能性があるなら早めに不動産会社へ相談してください。
建物については、雨漏り、シロアリの被害、給排水の詰まりの3点を中心に確認します。
把握している不具合を隠さず伝えて契約書に記載しておくことが、引き渡し後のトラブルを避ける方法です。

現地に行った際は、建物の外周と室内を写真に撮っておくと、不動産会社との打ち合わせがそのまま進みます。
写真があれば、遠方に住んでいても電話やメールで状況を共有できます。

売り方を決める前に確認する3つの判断材料

売り方を選ぶときに判断を誤りやすいのが、お金と期限にかかわる3つの論点です
解体費を売却価格で回収できるとは限らないこと、更地にすると土地の固定資産税の軽減が外れること、相続から3年を過ぎると使えなくなる控除があることの3つになります。
いずれも売り方を決めて動き出したあとでは取り返しがつきにくく、特に解体はやり直しがききません。

迷ったときは、まず現況のまま査定を取り、提示額を見てから解体するかどうかを決める順序が安全です。
3つはいずれも金額として表れるため、感覚ではなく数字で比べられます。
解体費の見積り、更地にした場合の税額、控除を使える期限の3つを並べれば、いつまでに何を決めればよいかがはっきりします。

解体費用を売却価格で取り戻せるとは限らない

解体費をかけても、かけた額だけ売却価格が上がるとは限りません
解体費は建物の構造と広さのほか、前面道路の幅や重機を入れられるかどうかといった現地の条件で大きく変わります。
道路が狭くて重機が入らない場所では手作業の割合が増えるため、同じ広さでも費用は高めです。

判断の手順としては、古家付き土地のまま売った場合の査定額と、更地にした場合の査定額の両方を不動産会社に出してもらってください。
2つの金額の差が解体費を上回るなら更地にする意味がありますが、差が小さければ現況のまま売り出すほうが手元に残ります。
査定を依頼するときに、両方の想定を伝えておくと比べやすくなります。

自治体によっては、危険な空き家の解体に使える補助金の制度も利用可能です。
補助を使う場合は工事の契約前に申請が必要なことが多いため、着工を決める前に窓口へ確認してください。

更地にすると土地の固定資産税の軽減がなくなる

住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽くする住宅用地の特例が適用されます。
面積が200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減される仕組みです。
建物を取り壊して更地にすると、住宅用地特例の対象から外れ、翌年度から土地の税額が上がります

固定資産税は毎年1月1日時点の状況で判定されるため、年をまたいで売れ残ると、軽減のない状態で1年分を負担することになります。
買主の見込みが立たないうちに先に解体した場合に生まれるのは、税負担だけが増える期間です。
解体するなら、買主のあてがついてから時期を決めるほうが負担を抑えられます。

買主が更地での引き渡しを希望する場合は、売買契約を結んでから解体する取り決めにできることもあります。

【参考】地方税法|e-Gov 法令検索

相続から3年を過ぎると使えなくなる控除がある

相続した空き家を売るときには、譲渡所得から一定額を差し引ける特別控除が用意されています。
被相続人が住んでいた家屋とその敷地を売った場合に使える制度で、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です
要件は細かく定められています。

昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、売却代金が1億円以下であること、相続のときから売るまで事業や貸付けに使っていないことなどが求められます。
耐震基準を満たすように改修するか、家屋を取り壊してから売ることも要件の1つです。
税額の計算や申告の詳細は状況によって変わるため、要件に当てはまりそうなら税務署や税理士に確認してください。

期限がある制度なので、売るかどうか迷っている段階でも、いつまでに動けばよいかだけは把握しておきましょう。

【参考】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

自分の空き家がいくらで売れるかはベンナビ不動産売却の無料査定で確かめる

3つの判断材料は、どれも「いまいくらで売れるか」がわからないと決められません。
解体するかどうかも、買取に切り替えるかどうかも、実際の金額が出てはじめて比べられます。
ベンナビ不動産売却は、空き家をはじめとした訳あり不動産を扱う買取会社へ無料で査定を依頼できるサービスです。

長く放置していて仲介では買主が見つからなかった物件、共有名義のままの物件、再建築ができない土地なども相談できます。
現況のまま売った場合と、家財を片づけてから売った場合など、条件を変えて相談することも可能です。
査定の依頼は無料で、依頼したからといって売却を決める必要はありません。

売り方を決めてから査定を取るのではなく、査定を取ってから売り方を決めてください。

空き家の売却価格が決まる3つの要素

空き家の価格は、土地の広さと形状や接道の条件、建物の築年数と建て替えができるかどうか、買主が引き受ける修繕や撤去の負担の3つで決まります
査定額の中心は土地の価格になるため、同じ広さの土地でも条件によって金額に差が出ます。
複数の会社に査定を依頼すると金額が分かれることがありますが、金額の高さだけで選ぶのは早計です。

どの要素をどう評価してその金額になったのかを説明できる会社かどうかを見てください。
根拠のない高い査定額を出されても、実際にその価格で売れなければ意味がありません。
同じ地域で似た条件の物件がいくらで成約したかを示してもらえると、提示された金額の妥当性を確かめられます。

3つの要素のうち自分の物件で不利になっている点が分かれば、価格が下がる理由も明確です。

土地の広さと形状・接道の条件

土地の価格を左右するのは、面積よりも接道の状況と土地の形です。
建築基準法では、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地には建物を建てられないと定められています。
接道の条件を満たさない土地は再建築不可となり、買主が住宅ローンを使いにくくなるため、買える人が大きく限られます。

また、道路まで細い通路でつながる旗竿地や不整形地、傾斜のある土地も評価が低めです。
いずれも建てられる建物の形や配置が限られるためです。
逆に、正方形に近い形で幅の広い道路に接している土地は、買主の使い道が広がるため評価が上がります。

自分の土地がどちらに当たるかは、査定のときに不動産会社へ確認してください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

建物の築年数と再建築の可否

建物側で価格を分けるのは、築年数そのものよりも、いま住める状態かどうかと建て替えられるかどうかです。
木造の住宅は年数が進むほど評価が下がるため、築年数が古い空き家では建物の価格をほとんど見込めません。
1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で建てられているため、買主が耐震改修の費用を見込んで価格を判断します。

建て替えができる土地であれば、建物を取り壊す前提で購入する人が現れるので、建物の状態が悪くても土地の価格での売却が可能です。

一方、再建築ができない土地は買主が限られるため、仲介では時間がかかります。
その場合、早く決まりやすいのは買取です。

自分の土地が再建築できるかどうかは、市区町村の窓口や不動産会社に道路の種別を調べてもらえば判断できます。

買主が引き受ける修繕・撤去の負担

買主が引き渡し後に払う費用は、そのまま査定額から差し引かれます。
差し引かれる代表的な費用は、室内に残った家財の撤去費、建物の解体費、雨漏りやシロアリの修繕費の3つです。
たとえば家財が残ったままの状態で査定を受けると、撤去にかかる金額を見込んだうえでの価格が提示されます。

売主が先に家財を片づけておけば、撤去費の差し引きが減り、手取りが変わる場合があります。
査定額を比べるときは、金額だけを並べるのではなく、何をいくら差し引いた結果の金額なのかを聞いてください。
差し引きの内訳がわかれば、自分で片づけたほうが得か、そのまま引き取ってもらったほうが得かを判断できます。

撤去や修繕にかける費用が、上がる査定額を超えてしまっては手取りが減ります。

空き家の不動産売却にかかる費用の内訳

空き家の売却では、仲介手数料・印紙税・登記にかかる費用が共通してかかり、解体費と残置物の撤去費は売り方と物件の状態で変わります
売却代金がそのまま手元に残るわけではないため、手取りを見積もるには先に費用の全体像を押さえておきましょう。
特に金額が大きいのは仲介手数料と解体費の2つで、どちらも売り方の選択によって発生するかどうかが決まります。

仲介を選べば手数料がかかり、更地にすると決めれば解体費がかかるという関係です。

費用の項目目安かかる場面
仲介手数料売買価格の3パーセント+6万円に消費税を加えた額が上限(売買価格400万円超の場合)仲介で売ったとき。買取では発生しない
印紙税契約金額に応じて数千円から数万円売買契約書を作成したとき
登録免許税不動産1個につき1,000円抵当権が残っている場合の抹消登記
相続登記の費用登録免許税と司法書士報酬名義が被相続人のままのとき
解体費構造・広さ・現地の条件で変動更地にして売るとき
残置物の撤去費量と処分方法で変動家財が残っているとき

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、上限を超える金額を請求することは認められていません。
買取業者へ直接売る場合は仲介にあたらないため、仲介手数料はかかりません。
解体費と撤去費は物件ごとの差が大きいので、金額を想定に入れる前に見積りを取ってください。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

売り方を決めてから引き渡しまでの5ステップ

売り方が決まったあとは、査定・媒介契約・売却活動・売買契約・引き渡しの5段階で進みます
どの段階でどれだけ時間がかかるかを知っておくと、解体や名義変更をいつ始めればよいかを逆算できます。
期間が読みにくいのは買主を探すSTEP3で、物件の条件によって数ヵ月単位の差が出る工程です。

反対に、契約から引き渡しまでの手続きは日程を決めて進められます。
査定の依頼は複数社に同時に出せるため、1社ずつ順番に回る必要はありません。
名義の変更が済んでいない場合は、STEP1と並行して登記の準備を始めてください。

ステップやること目安期間
STEP1 査定複数の不動産会社に査定を依頼し、金額と根拠を比べる1週間から2週間
STEP2 媒介契約依頼する会社を決めて契約を結ぶ(買取では売買条件の交渉)数日
STEP3 売却活動広告を出し、内見に対応する買主が決まるまで
STEP4 売買契約条件を決めて契約を結び、手付金を受け取る1日
STEP5 引き渡し残代金を受け取り、鍵と書類を引き渡す契約から1ヵ月前後

仲介では買主が見つかるまでの期間を読みにくく、条件によっては1年近くかかることもあります。

一方、買取は査定から引き渡しまでが短く、時期を決めて動きたい場合に向いています。
売却して利益が出た場合は、翌年の確定申告が必要です。

空き家の売却を急ぐなら「ベンナビ不動産売却」で買取査定を比べよう

仲介で買主を待つ時間を取れない場合や、固定資産税や管理の負担を早く終わらせたい場合は、買取の査定を並べて比べるところから始めてください。
買取は査定から引き渡しまでの期間が短く、引き渡しの時期も決めやすい売り方です。

ベンナビ不動産売却では、空き家や再建築不可の土地といった訳あり不動産を扱う買取会社に、無料でまとめて査定を依頼できます。
仲介で反応がなかった物件や、家財が残ったままの物件も相談可能です。

各社から提示された金額と引き渡し時期などの条件を並べれば、仲介を続けるか買取に切り替えるかを数字で判断できます。
査定を受けても売却の義務は生じないため、まずは自分の空き家のいまの買取価格を確かめてください。

空き家の不動産売却でよくある質問

Q

空き家をそのまま売ることはできますか

A

売れます。
設備が使える住宅であれば中古住宅として、老朽化が進んでいれば古家付き土地として、建物を残したまま売り出せます。
ただし家財の撤去は、原則として売主の負担です。
残したまま引き取ってもらえるかどうかは、買取業者との交渉次第です。

Q

空き家が売れるまでにどのくらいの期間がかかりますか

A

仲介では、買主が見つかるまでに数ヵ月から1年程度かかることがあります。
立地や価格の設定によって差が大きく、期間を正確に見通すことは困難です。
買取であれば、査定から引き渡しまで数週間から2ヵ月程度で終わる場合もあります。

Q

兄弟と共有名義の空き家を自分だけの判断で売れますか

A

物件全体を売る場合は、共有者全員の合意が必要です。
自分の持分だけであれば単独で売却できますが、持分の買主は限られます。
まずは共有者と方針をそろえ、全員で売る形を目指すほうが手取りは大きくなります。

Q

値段が付かない空き家はどうすればよいですか

A

仲介で反応がない場合は、買取業者へ相談する方法があります。
再建築ができない土地や、傷みが激しい建物を扱う会社もあるためです。
複数社に査定を依頼し、買い取れる条件と金額を比べてください。

Q

空き家を売却したら確定申告は必要ですか

A

売却して利益が出た場合は、翌年の申告が必要です。
相続した空き家の特別控除を使う場合は、控除の結果として税額がゼロになるときでも申告します。
必要な書類は制度ごとに異なるため、税務署や税理士に確認してください。

まとめ|空き家の売却は名義と残置物を整えてから売り方を選ぶ

空き家の不動産売却は、名義と残置物を整えてから売り方を選ぶ順序で決まります。
売り方は4つあり、中古住宅としてそのまま売る方法と古家付き土地として売る方法、解体して更地にして売る方法、買取業者に直接売る方法に分かれます。
建物が住める状態かどうかと、どのくらいの期間で現金化したいかの2点が絞り込みの基準です。

解体するかどうかは、現況のままの査定額と更地にした場合の査定額を比べてから決めてください。
先に壊してしまうと、土地の固定資産税の軽減が外れたまま売れ残る期間が生まれます。
相続した空き家には、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという期限つきの控除があるため、迷っている段階でも期限だけは確認しておきましょう。

まずはベンナビ不動産売却の無料査定で、いまの空き家がいくらで売れるかを確かめることから始めてください。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。