空き家

空き家売却の相談はどこにする?悩み別7つの窓口と選び方を解説

空き家売却の相談はどこにする?悩み別7つの窓口と選び方を解説

使っていない実家を売りたいと考えても、最初にどこへ連絡すればよいのか決めきれず、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
空き家の相談先は一つではありません。
売ること自体を扱う窓口・名義や税金を整える専門家・費用をかけずに使える公的窓口の3系統です。
つまり、自分の悩みがどの種類なのかを見極めれば、相談先は自然に絞り込めます。

相談先を先に決めておけば、査定の前に何をそろえればよいかも見えてきます。
本記事で整理するのは、空き家の売却で使える7つの窓口です。
無料で相談できる範囲とその限界、相談前にそろえておく書類、業者を選ぶときの見極め方も解説しました。
読み終えるころには、自分が最初に連絡すべき相手が一つに決まります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

目次

空き家売却の相談先は悩みの種類で決まる

空き家売却の相談先は悩みの種類で決まる

空き家の相談先を一つに絞るには、自分の悩みが「売ること」「権利」「税金」「管理・制度」のどれに当たるかを先に見極めてください。
売却そのものを扱えるのは不動産会社と自治体の空き家バンクで、名義や税金の問題は司法書士・税理士・弁護士・土地家屋調査士がそれぞれ担当します。
悩みの種類と窓口がずれていると、相談しても担当ではないと伝えられ、別の窓口を案内されるだけで終わってしまいます。
空き家を放置したまま時間を置くと、条件は不利になりがちです。

自治体から管理不全空家等として勧告を受けた土地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れる場合があるためです。
売る意思が固まっていない段階でも、窓口を一つ決めて話を聞くところから始めると、判断に必要な材料がそろいます。
まずは下の表で、自分の悩みに対応する窓口を確認してください。

悩み相談先費用の目安解決できること
早く手放したい不動産買取業者査定・相談は無料業者が直接買い取り、買い手を探す期間が不要になる
時間をかけても高く売りたい不動産仲介会社査定・相談は無料一般の買い主を探し、相場に近い価格を狙う
地域に引き継ぎたい自治体の空き家バンク登録は無料空き家情報を公開し、移住希望者などにつなぐ
名義が故人のまま司法書士初回無料の事務所あり相続登記を済ませ、売却できる状態にする
税金と確定申告が不安税理士初回無料の事務所あり譲渡所得の計算と特別控除の適用可否を判定する
共有名義でもめている弁護士初回無料の事務所あり遺産分割や共有関係の解消を法的に進める
隣地との境界があいまい土地家屋調査士見積もりは無料確定測量で境界を確定し、買い主が付く状態にする

【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索

【参考】地方税法|e-Gov 法令検索

空き家を売りたいときに相談する3つの窓口

空き家を売りたいときに相談する3つの窓口

売ること自体の相談先は、不動産買取業者・不動産仲介会社・自治体の空き家バンクの3つに整理できます。
判断の軸は次の3点です。

  • 速さ:いつまでに手放したいか
  • 価格:どこまで手取り額にこだわるか
  • 引き継ぎ先:地域や移住希望者に渡したいか

急いで現金化したいなら買取、価格を優先したいなら仲介、地域での活用を望むなら空き家バンクが軸になります。
下の表で3つの違いを整理しました。

比較項目不動産買取業者不動産仲介会社自治体の空き家バンク
買い主業者自身一般の個人・法人移住希望者など登録者
売却までの期間数日〜1ヵ月程度3ヵ月〜6ヵ月程度定まらない
価格の傾向市場価格の5割〜8割程度市場価格に近い当事者間の交渉による
仲介手数料発生しない発生する原則発生しない
老朽化・残置物そのまま引き取る例が多い片付けを求められる例が多い物件により登録できない

※期間と価格の目安は、買取業者や仲介会社が自社サイトで公表している数値の幅をまとめたものです。
公的な統計は存在せず、物件の状態と所在地で大きく変わります。

早く手放したいなら不動産買取業者

とにかく早く手放したい場合は、不動産買取業者が有力な選択肢になります。
業者自身が買い主となるため、一般の買い主を探す期間が要らないからです。
買取業者が公表する目安では、査定から引き渡しまで数日〜1ヵ月程度で完了する例が多いとされています。
一方で、買取価格は市場価格の5割〜8割程度にとどまる傾向があります。

業者は買い取った後に修繕や再販の費用を負担し、負担分が価格に反映されるためです。

ただし、残置物が残ったままの家や老朽化した建物、再建築ができない土地でも、そのまま引き取ってもらえる例があります。
仲介では買い手が付きにくい空き家ほど、買取を検討する意味が大きくなります。
契約前には、引き渡し後の不具合について売主がどこまで責任を負うのかを書面で確認してください。

時間をかけても高く売りたいなら不動産仲介会社

価格を優先するなら、不動産仲介会社に買い主探しを依頼します。
一般の個人や法人が買い主になるため、市場価格に近い金額で成約する可能性があるからです。
仲介を依頼するときは媒介契約を結び、契約の種類は一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3つから選びます。
専任媒介と専属専任媒介では、依頼を受けた会社に販売状況を報告する義務があり、報告の頻度が契約の種類ごとに定められています。

仲介では成約時に仲介手数料が発生しますが、売買代金が800万円以下の空き家については、2024年7月から手数料の上限が別枠で定められました。
安い物件ほど手数料の負担割合が重くなる点は、見積もりの段階で確認しておくと安心です。
仲介は買い手が見つかるまで売却が確定しないため、引き渡し時期を先に決めたい場合には向きません。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

地域に引き継ぎたいなら自治体の空き家バンク

売却益より地域での活用を重視するなら、自治体が運営する空き家バンクに登録する方法があります。
市区町村が空き家の情報を集めて公開し、移住希望者や利用希望者につなぐ仕組みだからです。
登録そのものは無料で、国土交通省が全国の情報を横断して探せる仕組みも用意しています。
成約までの期間は読みにくく、買い手が現れないまま登録が続く例も少なくありません。

実際の売買では地元の宅地建物取引業者が間に入る運用が多く、仲介手数料の発生が通例です。
自治体によっては移住者向けの補助制度と組み合わせられるため、買い手側の後押しになることがあります。
売り急ぐ事情がないときの選択肢として押さえておいてください。

売却の前提を整えるために相談する4つの専門家

名義・税金・共有・境界の4つは、不動産会社に持ち込む前に片づけておく必要があります
確認しておきたい論点は次の4点です。

  • 名義:登記上の所有者が故人のままになっていないか
  • 税金:売却益にかかる税金と使える控除がないか
  • 共有:相続人や共有者の間で話がまとまっているか
  • 境界:隣地との境界が確定しているか

いずれも売却の途中で発覚すると、契約や引き渡しが止まります。
心当たりがあれば、対応する専門家に早めに話を持ち込んでください。

名義が故人のままなら司法書士

登記上の所有者が亡くなった親のままなら、まず司法書士に相談します。
相続登記が済んでいない不動産は、売買契約を結んでも所有権を買い主へ移せないからです。
2024年4月から、相続で取得を知った日から3年以内に登記を申請する義務が定められました。
正当な理由なく怠った場合には、過料の定めもあります。
相続人が多い場合や、連絡が取れない相続人がいる場合は、戸籍の収集だけで数ヵ月かかることがあります。

司法書士に依頼すれば、戸籍の取り寄せから遺産分割協議書の作成、登記申請までまとめて依頼可能です。
所有権移転登記の報酬は5万円〜10万円程度を目安として公表している事務所が多く、初回相談を無料としている事務所もあります。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

税金と確定申告なら税理士

売却益が出そうなら、契約前に税理士へ相談してください。
譲渡所得として課税され、売却した翌年に確定申告が必要になるからです。
相続した空き家については、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が用意されています。
主な要件は3点です。

昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、売却代金が1億円以下であることの2点に加え、売却の時期にも制限があります。
売る期限は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。

令和6年1月1日以後の譲渡には、人数の定めもあります。
家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円です。
特例が使えるのは令和9年12月31日までの譲渡に限られるため、適用の見込みは早い段階で確かめておいてください。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

【参考】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

共有名義や遺産分割でもめているなら弁護士

兄弟姉妹との共有名義になっている、遺産分割の話し合いが止まっているといった場合は、弁護士に相談します。
共有している不動産の全体を売るには共有者全員の同意が要るため、一人でも反対すると売却が進まないからです。
話し合いがまとまらないときは、裁判所に共有物分割を求める手続きがあります。
遺産分割が終わっていない不動産は、誰が取得するかを確定させないと売却の準備に入れません。

自分の持分だけを売る方法も制度上は取れますが、買い手が限られるため価格は下がり、残った共有者との関係への影響も避けにくいところです。
相談料を初回無料としている事務所もあるので、費用と期間の見通しは早めに聞いておいてください。
共有者と直接やり取りすると感情的な対立が長引くこともあり、代理人を立てるだけで話が動く例もあります。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

共有名義や遺産分割の問題を抱えた空き家でも、権利関係の処理に慣れた会社なら査定に応じる場合があります。
弁護士や司法書士と連携する会社へ無料で相談できるのが、ベンナビ不動産売却です。

隣地との境界があいまいなら土地家屋調査士

隣地との境界が決まっていない土地は、土地家屋調査士に相談します。
境界が確定していない土地は買い主が引き受けにくく、売却の交渉で不利になるからです。
確定測量では隣地の所有者に立ち会ってもらい、境界の位置について書面で同意を得ます。
相手の都合に左右されるため、着手から完了まで数ヵ月かかることがあります。

費用は隣接地の数や状況で変わり、30万円〜80万円程度が事務所公表の目安です。
古い空き家では、法務局に備えられた公図と現在の敷地の形が合っていない例もあります。
売り出す前に登記事項証明書と公図を取り寄せ、気になる点があれば測量の要否を相談してください。
買い主が決まってから測量に入ると、引き渡しの時期が数ヵ月ずれ込みます。

費用をかけずに相談できる公的窓口とその限界

公的な窓口は無料で使えますが、値段を出す、買い主を紹介するといった役割は担っていません
無料で使える窓口には次の種類があります。

  • 自治体:管理・活用・補助制度の入口を案内する
  • 空き家ワンストップ相談窓口:専門家団体と連携して順につなぐ
  • 法務局:登記手続の方法を案内する
  • 税務署・国税局電話相談センター:税の一般的な取扱いを説明する

いずれも制度の説明と情報の整理までが守備範囲です。
何から手を付けるか決まっていない段階で使うと効果が出ます。

公的窓口費用相談できること対応できないこと
自治体の担当課無料管理・活用・補助制度の案内価格の査定、買い主探し
空き家ワンストップ相談窓口無料専門家団体への取り次ぎ売却の代理、契約の締結
法務局の登記手続案内無料相続登記の必要書類と書き方申請書類の代理作成
税務署・国税局電話相談センター無料税の一般的な取扱い個別の税額計算、特例適用の最終判断

自治体の空き家相談窓口と空き家ワンストップ相談窓口

まず頼れるのが、空き家がある市区町村の担当課です。
管理の方法、活用の選択肢、解体や改修の補助制度といった入口を無料で案内してもらえます。
自治体によっては、弁護士会・司法書士会・宅地建物取引業協会などと連携し、一つの窓口で複数の専門家に順につなぐ仕組みを用意しています。
東京都は住宅政策本部が空き家ワンストップ相談窓口の案内を公開しており、所有者だけでなく活用を希望する側も相談可能です。

ただし、多くは予約制で相談日が限られており、電話の受付時間も平日の日中に設定されています。
訪ねる前に、物件がある自治体の公式サイトで受付方法と持ち物を確かめてください。
遠方に住んでいる場合は、電話やオンラインでの相談に対応しているかどうかも合わせて確認しておくと移動の手間を省けます。

【参考】東京都空き家ワンストップ相談窓口|東京都住宅政策本部

法務局の登記手続案内と税務署の電話相談センター

手続きの方法だけを確かめたいなら、法務局と税務署の無料窓口が使えます。
法務局の登記手続案内では、相続登記に必要な書類や申請書の書き方の説明が受けられる仕組みです。

ただし、案内されるのは手続きの進め方までで、職員が代わりに書類を作成することはありません。
予約制で1回あたりの時間にも上限があるため、聞きたい点を絞ってから出向いてください。

税金については、税務署や国税局電話相談センターで一般的な取扱いを確認できます。
こちらも個別の税額計算や、特例が使えるかどうかの最終判断までは扱いません。
金額に踏み込む段階では、税理士への引き継ぎが必要です。

どちらの窓口も、自分の状況を紙にまとめてから電話すると短時間で必要な答えを得られます。
確定申告の時期は電話がつながりにくくなるため、早めに問い合わせてください。

公的窓口では対応できない3つのこと

無料の公的窓口には、制度上できないことが3つあります。
価格の査定、買い主探し、売却の代理です。
報酬を得て不動産の売買の媒介や代理をするには、宅地建物取引業の免許が必要と定められているためです。
自治体の職員や法務局の担当者は免許を持つ事業者ではないため、いくらで売れるかを答える立場にありません。

空き家バンクも、情報を公開する場を提供するところまでが役割です。
したがって、値段の話に入る段階では民間の不動産会社に移る必要があります。
無料窓口で制度と手続きを押さえ、金額の交渉は不動産会社と進める、という役割分担で考えてください。

相談先を一つに絞れないまま複数の窓口を回ると、同じ説明を繰り返すことになり時間だけがかかります。
売る意思が固まっているなら、最初から不動産会社に当たるほうが早く進みます。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

空き家がいくらで売れるかは「ベンナビ不動産売却」の無料査定で確かめる

相談先を選ぶ前に、自分の空き家に値段が付くかどうかを先に確かめると、その後の判断が早くなります。
金額が分かれば、費用をかけて解体するのか、そのまま買い取ってもらうのか、当面は保有を続けるのかを具体的に比べられるからです。
ベンナビ不動産売却では、一般の仲介では扱いにくい不動産の査定と買取の相談を無料で受け付けています。

長く使っていない空き家や荷物が残ったままの家、建て替えができない土地も対象です。
査定を受けたからといって売却が決まるわけではありません。

提示された金額を見てから、仲介に切り替える、買取で進める、いったん保有を続けると選び直せます。
まずは物件の所在地と状況を伝えて、査定額を確かめるところから始めてください。

相談前にそろえておく5つの書類と情報

手元の資料がそろっているほど、初回の相談で具体的な話まで進められます
物件の広さや権利関係が分からないままだと、査定額も概算の域を出ないからです。
用意しておきたい書類と情報は5点あります。
内訳は、登記事項証明書・固定資産税の納税通知書・公図と測量図・建築時の書類・残置物と鍵の状況です。
全てそろわなくても相談は始められます。
登記事項証明書と納税通知書の2点があると、話が早く進みます。

登記事項証明書は法務局の窓口だけでなくオンラインでも請求できるため、遠方に住んでいても取り寄せが可能です。
建築時の書類が見つからない場合は、市区町村の建築担当課で建築計画概要書を確認できることがあります。
残置物については、部屋ごとに写真を撮っておくと処分費の見積もりが具体的になります。
下の表で、それぞれの入手先を確認してください。

書類・情報入手先なくても相談できるか
登記事項証明書法務局の窓口またはオンライン請求できるが、あると精度が上がる
固定資産税の納税通知書毎年送付されるもの、または市区町村の窓口できるが、あると土地の評価が分かる
公図・測量図法務局の窓口またはオンライン請求できる
建築時の書類自宅の保管書類、または市区町村の建築担当課できる
残置物と鍵の状況現地の確認、または管理を頼んでいる相手できるが、写真があると判断が早い

相談先を選ぶときに確認したい3つのこと

同じ空き家でも、提示される金額と最終的な手取り額は相手によって変わります
見極めたい観点は次の3点です。

  • 免許:宅地建物取引業の免許を受けている事業者か
  • 実績:空き家や訳あり物件を扱った実績があるか
  • 手取り額:手数料や諸費用を引いた後にいくら残るか

1社だけで決めず、複数の会社から条件を出してもらい、同じ物差しで並べて比べてください。
査定額そのものより、差し引かれる費用の内訳をそろえて比較するほうが、実態に近い判断ができます。

宅地建物取引業の免許番号を確認する

最初に確かめるのは、相手が宅地建物取引業の免許を受けているかどうかです。
報酬を得て不動産の売買の媒介や代理をするには免許が必要で、無免許の業者との取引は後々の争いにつながりかねません。
免許番号は「国土交通大臣(3)第○○号」「東京都知事(5)第○○号」のように表示され、カッコ内の数字は免許の更新回数です。
免許は5年ごとに更新されるため、数字が大きいほど営業年数が長いと読み取れます。

国土交通省が公開している建設業者・宅建業者等企業情報検索システムなら、免許の有効期間や行政処分の履歴の確認も無料です。
会社の公式サイトに免許番号の記載がない場合は、候補から外して構いません。
訪問や電話で勧誘を受けたときも、社名と免許番号を聞き取って検索システムで照合すると安全です。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

空き家・訳あり物件の取扱実績で選ぶ

次に見るのは、空き家や条件の悪い物件を扱った実績です。
一般的な中古住宅の売買と、長く空いていた家の売買では、必要になる手当てが変わるからです。
荷物が残っている物件や道路に接していない土地、共有持分になっている不動産を扱った経験があるかどうか、相談の場で直接聞いてください。
実績のある会社は、片付けや解体の手配、隣地との調整まで含めた進め方を具体的に説明できます。

1社に断られたからといって、売れない物件と決まるわけではありません。
取扱いの範囲は会社ごとに違うため、条件の悪い物件が得意な会社に当たれば値段が付く可能性も十分です。
相談の際は、似た条件の物件をどのように扱ったのかを具体的に説明してもらってください。
過去の進め方を語れる会社ほど、引き渡しまでの段取りも明確です。

手数料を引いた「手取り額」で比較する

最後に、提示価格ではなく手取り額で並べて比べます。
仲介手数料や解体費、残置物の処分費といった支出を引いた後に残る金額が、実際に受け取れる額だからです。
仲介手数料には上限が定められており、売買代金が800万円を超える場合は「売買代金×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限になります。

一方、売買代金が800万円以下の空き家などは、2024年7月1日から30万円に消費税を加えた33万円が上限になりました。
媒介契約を結ぶ前に、金額を説明して合意することも求められています。

買取では仲介手数料が発生しない代わりに提示額が下がるため、両方を同じ表に並べて比べてください。
査定書を受け取ったら、差し引かれる費用の内訳を項目ごとに書き出すと差が見えます。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

相談から引き渡しまでの5ステップ

相談から引き渡しまでの5ステップ

相談を起点に、査定から契約へ進み、決済と引き渡しを経て確定申告で完了します
全体像をつかんでおくと、いまどの段階にいるのかが分かり、次に用意すべき書類も見当が付きます。
仲介の場合は買い主を探す期間が入るため、相談から引き渡しまで半年前後が目安です。
買取の場合は買い主探しが不要で、1ヵ月程度で完了する例もあります。

査定は1社で終えず、条件をそろえて複数社に依頼してください。
契約の段階では、仲介なら媒介契約の種類、買取なら引き渡し時期と代金の支払い方法を決めます。
決済と引き渡しは同じ日にまとめておこなうのが一般的で、鍵と関係書類を渡して完了します。

売却益が出た場合は、翌年の申告期間に確定申告が必要です。
各段階で決めることは次のとおりです。

①相談では、物件の状況を伝えて売却の方針を決めます。

②査定では、複数社に依頼して金額と条件を比べます。

③契約では、仲介なら媒介契約、買取なら売買契約を結びます。

④決済と引き渡しでは、代金を受け取って鍵と書類を渡します。

⑤確定申告は、売却した翌年の申告期間におこないます。

空き家の売却相談によくある質問

Q

Q1. 空き家の売却相談は無料でできますか?

A

不動産会社への査定と相談は無料で受け付けているところが大半です。
自治体の空き家相談窓口、法務局の登記手続案内、税務署の電話相談も無料で使えます。
司法書士・税理士・弁護士は有料が原則ですが、初回30分などを無料としている事務所もあります。

Q

Q2. 荷物が残ったままでも相談できますか?

A

そのまま相談できます。
買取業者のなかには、家財を残した状態で引き取り、処分まで引き受ける会社があります。
仲介で売る場合は片付けを求められることが多いため、処分費の見積もりを含めて相談してください。
写真を用意しておくと判断が早く進みます。

Q

Q3. 相続登記が終わっていなくても相談できますか?

A

相談は可能です。
ただし、登記上の所有者が故人のままでは売買契約を結んでも所有権を移せません。
売却の相談と並行して、司法書士に相続登記を依頼してください。
相続で取得したことを知った日から3年以内の申請義務があります。

Q

Q4. 相談してから売れるまでどのくらいかかりますか?

A

売り方によって変わります。
買取業者に依頼した場合は、査定から引き渡しまで数日〜1ヵ月程度で終わる例が多いとされます。
仲介で一般の買い主を探す場合は、3ヵ月〜6ヵ月程度が目安です。
境界の確定や相続登記が必要なら、さらに数ヵ月加わります。

Q

Q5. 相談したら売らなければいけませんか?

A

相談や査定を受けても、売却する義務は生じません。
媒介契約や売買契約を結ぶまでは、話を聞いた段階で断れます。
金額に納得できなければ、別の会社に査定し直してもらう、当面は保有を続けるといった選択も可能です。

まとめ|空き家の売却相談は悩みの種類で窓口を選ぶ

空き家の売却で迷ったときは、悩みを「売ること」「権利」「税金」「管理・制度」の4つに分けて、対応する窓口を一つに絞ります。
売却そのものは不動産買取業者・不動産仲介会社・空き家バンクが扱います。
名義は司法書士、税金は税理士が担当し、共有や遺産分割は弁護士、境界は土地家屋調査士の管轄です。
自治体や法務局の無料窓口の役割は、制度の説明と手続きの案内までです。
価格を出すことはできません。

相談の前に登記事項証明書と固定資産税の納税通知書をそろえ、複数の会社から条件を取り寄せて手取り額で比べてください。
まず金額を知りたいなら、ベンナビ不動産売却の無料査定を使えば、空き家や訳あり不動産でも査定額と買取の可否を確かめられます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。