空き家の買取相場は市場価格の5割〜8割!築年数別の目安と査定額の見極め方
親から相続した実家が空き家のまま残っている場合、まず知りたいのはいくらで手放せるのかという金額の目安です。
買取を検討し始めた段階で、相場の水準がわからないまま査定を受けるのは不安が残ります。
結論から書くと、空き家の買取価格は仲介で売れる価格の5割〜8割が目安です。
ただし、買取相場を示す公的な統計は存在しません。
本記事で示す数値は、不動産の売却査定サービスや買取事業者が公表している目安であり、幅のある目安として扱います。
本記事で整理するのは、買取相場の水準と仲介より安くなる理由、築年数別の目安、相場を左右する4つの要素です。
自分で相場を調べる4つの方法と、提示された買取価格が妥当かを確かめる3ステップも扱いました。
読み終えるころには、査定額の妥当性を自分で判断するための材料がそろいます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
空き家の買取相場は市場価格の5割〜8割が目安

空き家の買取価格は、仲介で売れる価格の5割〜8割が目安です。
仲介で1,000万円の値がつく見込みの空き家であれば、買取では500万円〜800万円程度が提示される計算です。
ただし、買取相場を示す公的な統計は存在しません。
国や自治体が買取価格の平均値を集計して公表した資料はなく、目安として流通しているのは不動産事業者が自社の取引実績をもとに公表している数値です。
複数の公表値を重ねると、下限は市場価格の5割、上限は8割に収まります。
幅が生じるのは、建物の状態によって業者が見込むリフォーム費用が変わるためです。
手直しだけで再販できる物件は8割に近づき、解体が必要と判断された物件は5割前後まで下がります。
空き家の買取相場が仲介より安くなる3つの理由
買取価格が仲介を下回るのは、業者が再販を前提に買い取る構造から生じる結果です。
理由は次の3つに分かれます。
業者が再販前のリフォーム費用を負担するため
買取業者は、買い取った空き家に手を入れて再販する前提で金額を決めます。
そのため、査定の段階で原状回復やリフォームにかかる費用を先に見込み、その分を買取価格から差し引きます。
不動産の情報サイトが公表する目安では、業者が再販までに負担する費用は市場価格の20%〜30%程度です。
仲介で1,000万円の値がつく空き家なら、200万円〜300万円程度が工事費として見込まれる計算です。
長く放置された空き家では、雨漏りやシロアリの被害が進んでいる例も見られます。
工事の範囲が広がるほど見込み費用も増えるため、管理されずに傷んだ物件ほど買取価格は下がります。
逆に、定期的な換気や清掃をしてきた物件なら工事の範囲は狭く、差し引かれる金額も小さめです。
再販までの諸経費と売れ残りリスクを価格に織り込むため
買取業者が負担するのは工事費だけではありません。
所有権移転登記の費用、再販時の広告費、保有している間の固定資産税や管理費も業者側が負います。
さらに、買い取った物件がすぐに売れるかどうかも不確実です。
再販までの期間が延びれば保有費用が積み上がり、値下げを迫られる場面も出てきます。
売れ残ったときの損失を業者が引き受ける構造になっているため、損失に備える余裕を見込んだ金額が提示されます。
空き家の需要が少ない地域ほど、見込み分は厚めです。
仲介では、リフォーム費用と売れ残りの損失を負うのは買主です。
売主は買主が見つかるまで待つ代わりに、市場価格に近い金額で売れます。
買取と仲介の価格差は、期間と手間を業者に肩代わりしてもらう対価という側面を持ちます。
買主が業者1社に限られ価格競争が働かないため
仲介では複数の購入希望者が同じ物件に関心を示すことがあり、条件次第では価格が上がる余地があります。
人気のある立地や状態のよい物件ほど、競合によって成約価格が押し上げられます。
一方、買取は業者1社との相対の交渉です。
競合する買主がいないため、提示された金額がそのまま成約価格になりやすい構造です。
売主の側から価格を引き上げる材料が乏しく、交渉の余地も限られます。
再販を前提に値付けされる構造を踏まえると、複数の業者に査定を依頼する意味が大きくなります。
業者ごとに再販のルートや得意な物件の種類が違うため、同じ空き家でも提示額が分かれるのが通常です。
1社だけの査定で判断すると、提示額が相場より低いのかどうかを見分けられません。
【築年数別】空き家の買取相場の目安

空き家の価格は、土地の価格と建物の価格に分けて考えます。
土地の価格は年数では下がらない一方、建物の価格は築年数とともに下がる構造です。
国土交通省の資料「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」では、木造戸建て住宅の価値は築20年〜25年でほぼゼロになるとされています。
国土交通省の資料をもとにした、築年数ごとの建物価値の目安は次のとおりです。
| 築年数 | 木造戸建ての建物価値の目安 | 買取価格の考え方 |
|---|---|---|
| 築10年 | 新築時の5割前後 | 建物と土地の両方が評価される |
| 築15年 | 新築時の2割程度 | 土地の価格が大半を占める |
| 築20年〜25年 | ほぼ評価されない | 実質的に土地の価格で決まる |
| 築30年以上 | 評価されない | 土地の価格から解体費が差し引かれる |
築30年を超えた木造戸建てでは、解体費を差し引いた金額が提示される場合があります。
一方、鉄筋コンクリート造のマンションは木造より価値の下がり方がゆるやかで、築30年でも建物部分の評価が残るのが一般的です。
空き家の買取相場を左右する4つの要素
同じ築年数でも買取価格に差が出るのは、再販の見込みを判断する材料が物件ごとに違うためです。
要素は次の4つに分かれます。
| 要素 | 査定額への影響 | 売主が動かせる余地 |
|---|---|---|
| 立地 | 大きい | ない |
| 建物の状態と管理状況 | 大きい | ある |
| 土地の条件 | 大きい | 限られる |
| 残置物の量 | 小さい | ある |
4つのうち、売主の側で査定前に手を打てるのは建物の管理状況と残置物です。
立地と土地の条件は変えられないため、2つの要素で評価が下がる物件では、扱いに慣れた業者を選ぶことが金額に直結します。
立地(最寄り駅からの距離と周辺の需要)
買取価格への影響がとりわけ大きいのは立地です。
業者は再販できる見込みから金額を決めるため、買い手が見つかりやすい地域ほど高い査定額を提示します。
判断の材料になるのは、最寄り駅からの徒歩分数と周辺の生活利便施設です。
学校や病院までの距離、スーパーの有無も評価に加わります。
駅から徒歩15分以内の住宅地であれば、建物が古くても土地に対する需要が見込めるため、査定額は落ちにくくなります。
一方、公共交通の便が乏しい地域や、人口が減り続けている地域では、再販までの期間が読みにくい状況です。
読みにくさのぶん業者が慎重な金額を提示するため、買取価格は下がります。
同じ市内でも、地域によって水準が変わる点は押さえておきましょう。
建物の状態と管理状況
建物の状態は、業者が見込むリフォーム費用に直結する要素です。
雨漏りや外壁のひび割れ、シロアリの被害があると査定額が下がります。
給排水設備の不具合も、工事の範囲を広げる要因になります。
管理の状況も評価を左右する要素です。
人が住まなくなった家は換気がされず、湿気がこもって傷みが早く進みます。
定期的に窓を開け、庭木の手入れをしてきた空き家は、同じ築年数でも状態がよく保たれています。
売却を決める前でも、月に1回程度の換気と通水が状態の悪化を抑える手立てです。
庭木が伸びて隣地にかかっている場合は、査定前に切りそろえておきましょう。
査定前に大がかりな工事をする必要はありませんが、日常的な管理の有無は査定額に表れます。
土地の条件(再建築の可否と接道状況)
土地の条件のうち、査定額への影響が大きいのは再建築ができるかどうかです。
建築基準法では、原則として幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければ建物を建てられません。
接道の条件を満たさない土地は再建築不可物件と呼ばれ、買取価格が大きく下がります。
再建築ができない土地では、建物を取り壊したあとの新築が不可能です。
買主が住宅ローンを組みにくいため、再販の相手が現金で購入できる層に限られる点も価格を押し下げます。
ただし、一般の不動産会社で値がつかないと言われた物件でも、再建築不可物件や共有持分を専門に扱う業者では評価が変わることがあります。
買い手が限られる物件ほど、扱いに慣れた業者かどうかが金額の分かれ目です。
【参考】建築基準法第42条・第43条|e-Gov 法令検索
残置物の量
家財道具や仏壇がそのまま残っている空き家では、残置物の処分費が査定額から差し引かれます。
処分費の目安は物量によって変わり、戸建て1棟で数十万円に達する場合もあります。
残置物がある状態でも、買取自体は可能です。
買取では現状のまま引き渡せるため、片づけが済んでいなくても取引を進められます。
仲介では買主が内覧するため、残置物の撤去を求められる点と対照的です。
ただし、差し引かれる処分費が実際の相場より高く見積もられていないかは確認しておきましょう。
見積もりの内訳を示してもらい、自分で処分した場合の費用と比べてください。
家財の量が少なければ、自分で処分したほうが手元に残る金額は増えます。
自治体の粗大ごみ回収を使えば、費用をさらに抑えられます。
買い手がつきにくい空き家ほど、複数社の無料査定で金額差が出る
相場を左右する4つの要素は、どの業者も同じように評価するわけではありません。
買取価格は、業者が持つ再販のルートによって変わります。
地域の実需向けに販売する会社と、投資家向けに転売する会社では、同じ空き家でも評価の仕方が別物です。
1社の査定額が相場を表しているとは限りません。
とくに評価差が大きいのは、築年数が古い物件や再建築ができない土地です。
共有持分になっている不動産でも、業者によって金額が分かれます。
一般の不動産会社では断られた物件でも、訳あり不動産を扱う業者なら買取に応じる場合があります。
ベンナビ不動産売却は、株式会社アシロが運営する訳あり不動産の査定サービスです。
空き家、共有持分、再建築不可物件など、買い手がつきにくい不動産の無料査定と買取相談に対応しています。
複数の業者の評価を比べたうえで手放す先を決めたい場合に活用できます。
自分でできる空き家の相場の調べ方4つ
公的機関や業界団体が公開している情報を使えば、費用をかけずに市場価格の当たりを付けられます。
方法は次の4つです。
| 調べ方 | わかる価格 | 運営元 |
|---|---|---|
| 不動産情報ライブラリ | 実際の取引価格 | 国土交通省 |
| レインズマーケットインフォメーション | 成約価格 | 不動産流通機構 |
| 不動産ポータルサイト | 売り出し価格 | 民間事業者 |
| 空き家バンク | 掲載価格 | 自治体 |
不動産情報ライブラリ(国土交通省)で実際の取引価格を調べる
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営する不動産の取引価格の検索サービスです。
従来の土地総合情報システムの後継にあたり、実際に成約した価格を地域や種類で絞り込んで確認できます。
掲載されているのは、取引をした当事者へのアンケートをもとに集計された価格です。
所在地は町名までの表示にとどまります。
ただし土地の面積や建物の延床面積のほか、築年数と最寄り駅からの距離も併記されています。
自分の空き家と条件の近い取引を複数拾い、1平方メートルあたりの単価を出す方法が比較には有効です。
取引価格は売り出し価格ではなく成約価格のため、市場価格の目安として信頼できます。
四半期ごとに更新されるため、直近の水準を確認できる点も利点です。
レインズマーケットインフォメーションで成約価格を調べる
レインズマーケットインフォメーションは、不動産流通機構が運営する成約価格の公開サービスです。
宅地建物取引業者が利用するレインズに登録された取引のうち、成約したものが匿名で公開されています。
戸建てとマンションについて、地域や最寄り駅からの絞り込みに対応しています。
面積や築年数、成約時期を指定した検索も可能です。
直近1年間の成約価格をグラフで確認できるため、地域の相場が上がっているのか下がっているのかも読み取れます。
不動産情報ライブラリと合わせて確認すると、片方だけでは判断しにくい地域でも件数を確保できます。
両方で条件の近い取引が見つかれば、市場価格の見当をつけるのに十分です。
件数が少ない地域では、対象の期間を2年程度まで広げて集めましょう。
不動産ポータルサイトで売り出し価格を調べる
不動産ポータルサイトには、現在売りに出されている物件の価格が掲載されています。
自分の空き家と同じ地域、同じくらいの築年数と面積の物件を探すと、いま市場でいくらの値がついているかがわかります。
ただし、掲載されているのは売主が希望している売り出し価格であり、掲載額で成約するかどうかは別問題です。
実際の成約価格は売り出し価格を下回ることが多く、そのまま相場として受け取ると高く見積もりすぎます。
売り出し価格は、地域の水準を大づかみにする用途で使いましょう。
掲載期間が長い物件が多い地域は、買い手が見つかりにくい地域と判断できます。
同じ物件が値下げを繰り返しているかどうかも、需要を測る材料になります。
値下げが続く地域では、買取価格の提示も控えめです。
空き家バンクで地域の相場感をつかむ
空き家バンクは、自治体が空き家の情報を集めて公開する制度です。
自治体のサイトや国土交通省の全国版空き家バンクから、地域ごとの登録物件を確認できます。
登録されているのは、仲介の市場では買い手が見つかりにくい物件が中心です。
そのため、掲載価格を見ると、その地域で流通が難しい空き家がどのくらいの金額帯で扱われているかがわかります。
ただし、成約したかどうかまでは公開されていない場合が多く、掲載価格だけで相場を判断するのは避けたほうが安全です。
登録数が少ない自治体では、そもそも比較の対象が見つかりません。
取引価格を扱う2つのサービスを主軸にして、空き家バンクは補助的な材料として使いましょう。
地域に空き家がどれだけ滞留しているかを知る手がかりにはなります。
提示された買取価格が妥当か確かめる3ステップ

査定額が相場に見合っているかは、次の3段階で確かめられます。
STEP1 周辺の成約価格から市場価格の当たりを付ける
最初に、仲介で売った場合にいくらになるかを見積もります。
不動産情報ライブラリとレインズマーケットインフォメーションで、自分の空き家と条件の近い成約事例を3件から5件ほど集めます。
次におこなうのは、集めた事例の土地面積と成約価格から1平方メートルあたりの単価を出す計算です。
算出した単価に自分の土地面積を掛けると、土地部分の市場価格の目安が出ます。
築20年を超えた木造戸建てであれば、建物部分は加算せず土地の価格を基準にして差し支えありません。
条件の近い事例が見つからない場合は、隣接する町名まで範囲を広げるのが有効です。
それでも件数が足りないときは、その地域自体の流通が少ないと判断できます。
流通が少ない地域では業者が再販に時間を要するため、査定額が下がりやすくなります。
STEP2 リフォーム費用と業者の諸経費を差し引いて試算する
次に、STEP1で出した市場価格から、業者が見込む費用を差し引きます。
公表されている目安では、業者が負担する費用は市場価格の20%〜30%程度です。
業者の利益が加わるため、買取価格は市場価格の5割〜8割に収まります。
たとえば市場価格が1,000万円と見積もれた空き家であれば、500万円〜800万円が試算上の買取価格の範囲になります。
提示された金額が試算した範囲の下限を大きく割り込んでいる場合は、理由を業者に確認しましょう。
確認するときは、査定額の内訳を示してもらうのが有効です。
工事費や解体費、残置物の処分費のどれがいくら差し引かれているかがわかれば、金額の妥当性を判断できます。
内訳の開示に応じない業者は、比較の対象から外して差し支えありません。
STEP3 複数社の査定額を並べて水準を比べる
最後に、3社以上の査定額を並べて水準を確かめます。
1社だけでは比較の基準がなく、提示額が高いのか低いのか判断できません。
3社の金額が近い範囲に収まっていれば、示された水準が対象物件の買取相場です。
1社だけ大きく低い金額を出している場合は、扱いにくい物件と判断した可能性があります。
逆に1社だけ突出して高い場合は、条件面に違いがないかを契約前に確認しましょう。
査定額の比較では、金額だけでなく引き渡しの時期や残置物の扱いもそろえて見ます。
契約不適合責任を免責とするかどうかも、引き渡し後の負担を左右する条件です。
金額が同水準なら、負担の少ない条件を提示した業者を選ぶ判断ができます。
査定額に有効期限が設けられている場合もあるため、比較は同じ時期にまとめて進めましょう。
複数社への査定の依頼は、ベンナビ不動産売却からまとめて進められます。
空き家の買取で手元に残る金額を増やす4つの方法
買取価格そのものを大きく引き上げるのは難しくても、手元に残る金額には工夫の余地があります。
観点は次の4つです。
相続した空き家の3,000万円特別控除を確認する
相続した空き家を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります。
租税特別措置法に定められた制度で、被相続人の居住用財産を売ったときの特別控除と呼ばれます。
適用の前提は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることです。
区分所有建物でないこと、相続の開始直前に被相続人が1人で住んでいたことも要件です。
譲渡の対価が1億円以下であることも条件に含まれます。
2024年1月1日以降の譲渡では、相続人が3人以上いる場合の控除額が1人あたり2,000万円に変わりました。
適用の可否は物件ごとに判断が分かれるため、売却を決める前に税務署か税理士に確認しておきましょう。
【参考】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
【参考】租税特別措置法第35条第3項|e-Gov 法令検索
残置物の処分は自分で決める前に業者へ相談する
家財道具の処分を自分で手配してから査定を受けると、費用が二重にかかる場合があります。
買取業者が残置物ごと引き取る前提で査定するケースがあり、その場合は片づけの費用を売主が負担する必要がありません。
処分を業者に任せるか自分で手配するかは、見積もりを比べてから決めましょう。
査定額から差し引かれる処分費と、専門業者に直接依頼した場合の費用を並べると、どちらが手元に残るかを判断できます。
仏壇や神棚、写真や手紙のように処分の判断が難しいものは、引き渡し前に自分で対応しておく必要があります。
業者に任せる範囲は事前に取り決めておきましょう。
取り決めがないまま引き渡すと、あとから追加の費用を請求される場合があります。
リフォームや解体は査定を受けてから判断する
売れやすくするために工事をしてから査定を受けると、かけた費用が買取価格に反映されないことがあります。
買取業者は再販に合わせた仕様で自ら工事をするため、売主が施した内装の変更が評価されるとは限りません。
解体についても同様です。
更地にすれば売れやすくなると考えて先に取り壊すと、解体費を自己負担したうえに、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる可能性があります。
工事や解体が必要かどうかは、査定を受けたあとに業者と相談して決めましょう。
現状のまま買い取る前提の金額と、工事をした場合の想定額を比べれば、費用をかける意味があるかどうかを判断できます。
多くの場合、かけた費用ほどには買取価格は上がりません。
買取と仲介でかかる費用を比べてから決める
買取と仲介では、売却時にかかる費用の内訳が異なります。
買取は成約価格が下がる代わりに、仲介手数料や工事費の負担が軽めです。
ただし、節約できる費用の合計より価格の下落分が上回るのが一般的なため、手元に残る金額での比較が必要です。
両者の費用を並べると次のようになります。
| 費用の種類 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 原則かからない | 400万円超は価格の3%+6万円+消費税が上限 |
| 残置物の処分費 | 業者負担の場合がある | 売主負担になりやすい |
| 解体費 | 原則不要 | 更地渡しの場合は発生 |
| 譲渡所得税 | 所有期間5年超で20.315% | 税率は買取と同じ |
仲介手数料の上限を定めているのは、宅地建物取引業法にもとづく国土交通大臣の告示です。
2024年7月には、800万円以下の売買を仲介する際の報酬上限が30万円(税別)に引き上げられました。
買取では手数料自体がないため、低額の物件ほど差は縮まります。
売らずに空き家を持ち続けた場合の年間の維持費
提示された買取価格が低くても、持ち続ける選択との比較が必要です。
空き家は保有するだけで毎年費用が発生し、累積は年数とともに膨らみます。
| 費目 | 年間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 課税標準額の1.4%が標準税率 | 住宅用地の特例で6分の1に軽減 |
| 都市計画税 | 課税標準額の0.3%が上限 | 市街化区域内の物件が対象になる |
| 管理や清掃の委託費 | 数万円〜十数万円 | 遠方に住んでいる場合に利用が多い |
| 火災保険料 | 数万円 | 空き家は保険料が高くなる場合がある |
管理が行き届かない状態が続くと税負担が増えかねません。
空家等対策の推進に関する特別措置法が管理不全空家等と定めるのは、放置すると特定空家等になるおそれのある空き家です。
市町村から勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、固定資産税の軽減がなくなります。
年間20万円の維持費がかかる空き家を10年持ち続ければ、支出は200万円に達します。
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維持費を払い続けるか手放すかを決めるには、自分の物件に対する実際の査定額という判断材料が必要です。
相場の計算だけでは、自分の空き家に値が付くかどうかまでは分かりません。
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空き家の買取相場に関するよくある質問
空き家の買取相場はいくらですか?
仲介で売れる価格の5割〜8割が目安です。
不動産の売却査定サービスや買取事業者が公表している数値では、市場価格の5割〜8割の範囲に収まっています。
買取相場を示す公的な統計はないため、幅のある目安として扱ってください。
空き家に値段が付かないこともありますか?
再建築ができない土地や、解体費が土地の価格を上回る物件では、値がつかないと判断される場合があります。
ただし業者によって扱える物件の種類が異なり、一般の不動産会社で断られても訳あり不動産の専門業者なら買取に応じることがあります。
空き家の買取に費用はかかりますか?
買取では仲介手数料が原則として発生しません。
ただし、所有権移転登記に伴う費用、相続登記が未了の場合はその費用、売却益が出た場合の譲渡所得税が必要です。
残置物の処分費は査定額から差し引かれる形で負担する場合があります。
国や自治体が空き家を買い取る制度はありますか?
国や自治体が直接買い取る制度は一般的ではありません。
自治体が運営するのは、売主と買主をつなぐ空き家バンクという情報提供の仕組みです。
売却の相手は民間の個人や事業者になるため、買取を希望する場合は不動産会社に依頼します。
買取価格の交渉はできますか?
交渉は可能です。
ほかの業者の査定額を示したうえで、金額の根拠を尋ねる方法が実務的です。
ただし査定額には業者の再販計画が反映されているため、大幅な上積みは期待しにくくなります。
複数社から見積もりを取り、条件面も含めて比較するほうが効果的です。
まとめ|空き家の買取相場は複数社の査定で確かめる
空き家の買取相場は、仲介で売れる価格の5割〜8割が目安です。
価格が下がるのは、業者が再販前のリフォーム費用と諸経費、売れ残りの損失を織り込んで金額を決めるためです。
木造戸建ては築20年〜25年で建物の価値がほぼなくなり、築25年を過ぎると土地の価格が評価の中心になります。
提示された金額が妥当かどうかは、自分でも確かめられます。
公的な取引価格のデータで市場価格の当たりを付け、市場価格から業者の費用を差し引いて試算し、3社以上の査定額と並べる手順です。
手元に残る金額を増やすには、相続空き家の3,000万円特別控除の要件確認が有効です。
買い手がつきにくい空き家ほど、業者によって評価が分かれます。
ベンナビ不動産売却では、空き家や共有持分、再建築不可物件といった訳あり不動産の無料査定と買取相談に対応しています。
まずは複数の業者の評価を比べ、納得できる条件で手放す判断につなげてください。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。