訳あり物件

訳あり物件と事故物件の違いとは?4つの瑕疵の分類と告知義務・買取相場を解説

訳あり物件と事故物件の違いとは?4つの瑕疵の分類と告知義務・買取相場を解説

訳あり物件とは、何らかの事情によって買い手がつきにくい不動産を広く指す言葉で、事故物件はそのうち人の死が起きた物件を指します。
つまり、2つは並び立つ別々の分類ではなく、事故物件は訳あり物件の一部にあたります。

違いがあいまいなままだと、自分の物件について告知が必要なのか、いくらまで下がるのかの判断が不可能です。
相続した実家で親が亡くなっていた場合のように、事故物件に当たるかどうかで扱いが分かれる場面も多くあります。

本記事を読めば、自分の物件が4つの瑕疵のどれに当たるかを判別でき、告知義務の要否と価格への影響を理解したうえで、売却に向けた次の一歩を選べるようになります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

目次

訳あり物件と事故物件の違い|事故物件は訳あり物件の一種

訳あり物件も事故物件も、法令で定義された用語ではありません
いずれも不動産取引の現場で慣習的に使われている呼び名で、訳あり物件のほうが指す範囲は広く、事故物件はその内側に含まれます。

呼び方指す範囲法的な受け皿となる考え方
訳あり物件建物の欠陥、法令上の制限、周辺環境、人の死など、買い手が敬遠する事情を抱えた物件全般民法の契約不適合責任、宅地建物取引業法の告知義務
事故物件訳あり物件のうち、人の死によって買い手が心理的な抵抗を覚える物件心理的瑕疵として、上記に加え国土交通省のガイドラインが判断基準を示す

売主として確認すべきことは、どの瑕疵に当たるか・買主に告知が必要か・価格にどう影響するかの3点です。

訳あり物件とは|買い手が敬遠する事情を抱えた物件の総称

訳あり物件に明確な定義はなく、何らかの瑕疵によって通常の物件より買い手がつきにくいものを広く指します。

瑕疵とは、不動産取引において買主にとって不利益となり得る事情のことです。
建物の傷だけでなく、心理的・法律的な問題まで含みます。

2020年4月施行の改正民法により、法律用語としての「瑕疵」は「契約不適合」に改められました。

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。

【引用元】民法第562条

つまり、条文上は「契約不適合」として整理されています。
ただし現場では今も瑕疵という言葉が使われ、トラブル時は契約不適合責任として扱われます。

事故物件とは|人の死により心理的な抵抗が生じた物件

事故物件も法令用語ではなく、心理的瑕疵物件の代表例として使われている呼び名です。
国土交通省は「人の死」に関する告知の問題として、判断の枠組みを整理しています。

事故物件として扱われることが多いのは、次のような物件です。

  • 他殺があった物件
  • 自死があった物件
  • 火災などの事故死があった物件
  • 遺体が長期間放置され、特殊清掃が必要になった物件
  • 心霊現象があるといわれている物件

「事故」という語感から交通事故や設備の事故を思い浮かべる方もいますが、不動産取引の実務で問題になるのは、ほぼ全てが人の死に関わる事案です。
設備の故障や雨漏りは、物理的瑕疵という別の区分で扱われます。

なお、事故物件という呼び方にも法令上の線引きはないため、どこまでを含めるかは不動産会社によって幅があります。
実務での共通の判断材料は、国土交通省が示した整理です。

瑕疵物件・告知事項ありという呼び方との関係

瑕疵物件は、訳あり物件をより実務的に言い換えた呼び名で、両者はほぼ同じ意味で使われています。
不動産会社との会話では瑕疵物件、一般の記事や広告では訳あり物件という語が選ばれやすい程度の差です。

一方、物件広告に記載される「告知事項あり」は、買主や借主へ伝えるべき事情があることを示す表示です。
何が告知事項なのかは広告に書かれないため、内容は不動産会社に問い合わせて確認します。

広告に「告知事項あり」と記載されていても、内容が人の死に関するものとは限りません。
中身が設備の不具合や周辺環境に関する事情、という例も多めです。

訳あり物件、瑕疵物件、告知事項ありと呼び方は分かれますが、売主が確認すべきことは「どの瑕疵に当たるか」「告知が必要か」の2点に絞られます。

訳あり物件に含まれる4種類の瑕疵

訳あり物件の瑕疵は、心理的瑕疵・物理的瑕疵・法律的瑕疵・環境的瑕疵の4種類に大別できます
事故物件はこのうち心理的瑕疵に当たります。
1つの物件に複数の瑕疵が重なることも珍しくない点に注意してください。

心理的瑕疵|事故物件が該当する

心理的瑕疵は、買主や借主が心理的な抵抗を覚える事情を指し、事故物件はこの分類に含まれます。

具体的には、他殺や自死があった物件、火災による事故死が起きた物件が挙げられます。
特殊清掃を要した孤独死の物件や、心霊現象があるとされる物件も同じ区分です。

心理的瑕疵の特徴は、物理的な損傷がなくても価格に影響する点です。
設備も内装も問題なく使える状態であっても、過去の出来事を理由に買い手が限られてしまいます。

どこまでが心理的瑕疵に当たるかは、死因や発生からの経過期間、周辺への知られ方によって変わり、一律には決まりません。

売主の立場では、過去の出来事を思い出したくないという理由から申告をためらいがちです。
心理的瑕疵は買主の判断に直結するため、伝えるかどうかを自分だけで決めない進め方が安全です。

物理的瑕疵|雨漏り・シロアリ・地盤の不具合が該当する

物理的瑕疵は、建物や土地そのものに生じた欠陥や不具合を指します。
修繕にかかる費用の見積もりが、そのまま価格の差につながります。

該当するのは次のようなものです。

  • 雨漏りや外壁のひび割れ
  • シロアリによる被害
  • 給排水管の故障や漏水
  • 建物の傾きや基礎の劣化
  • 地盤沈下、土壌汚染、地中埋設物 など

物理的瑕疵には、内見で目視できるものと、調査しなければわからないものがあります。
後者は引き渡し後に発覚して紛争になりやすいため、売却前に建物状況調査を実施して、状態を書面で明らかにしておく方法もあります。

物理的瑕疵は修繕によって解消できる性質のものが多く、心理的瑕疵と比べると価格の下がり方は緩やかです。
修繕にいくらかかるかが分かれば、下がる幅もおおよそ見通せます。

法律的瑕疵|再建築不可・共有持分・違反建築が該当する

法律的瑕疵は、法令や権利関係の制限によって、物件を自由に使えない状態を指します。
建て替えができない、単独で売却できないといった制約が、価格を押し下げる要因になります。

該当するのは、再建築不可物件・共有持分・借地上の建物・建ぺい率や容積率を超えた違反建築物などです。

再建築不可物件とは、いま建っている建物を取り壊すと新たに建物を建てられない土地上の物件のことで、建築基準法が定める接道義務を満たしていないことが主な原因です。

共有持分については、自分の持分だけであれば他の共有者の同意がなくても売却できます。
買主は単独で物件を使えず、他の共有者との調整が必要になるため、買い手は共有持分を専門に扱う業者や投資家に限られます。

環境的瑕疵|嫌悪施設・騒音・異臭が該当する

環境的瑕疵は、物件そのものではなく周辺の施設や環境が理由で敬遠される状態を指します。
建物に欠陥がなくても価格に影響します。

具体例は、墓地や火葬場、刑務所などの嫌悪施設が近くにある物件です。
工場や線路の騒音や振動がある物件、異臭が発生する物件、暴力団事務所が近隣にある物件も同じ区分です。

なお、ゴミ屋敷や立ち退き交渉が進行中の物件のように、上の3分類に収まらないものも、実務ではこの区分に含めて扱われます。

環境的瑕疵は受け止め方の個人差が大きい領域です。
告知が必要かどうかは、不動産会社に事情を伝えたうえで個別に確認します。

登記簿にも建物の図面にも現れないため、売主自身が周辺の状況を書き出して伝えるほかない領域です。
近隣にどのような施設があるか、時間帯によって音や臭いが出るかを整理しておきます。

事故物件に当たるかどうかの判断基準|死因で扱いが変わる

人が亡くなったという事実だけで事故物件になるわけではありません
他殺、自死、火災による事故死は該当する一方、老衰や病死などの自然死は原則として該当しません。

判断の拠り所は、国土交通省が2021年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。

扱い具体的な死因
事故物件として扱われる他殺、自死、火災などの事故死
原則として扱われない老衰、持病による病死、自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥

ガイドラインは死因の別を「自然死・他殺・自死・事故死等」として整理しています。
判断に迷うときは自分で切り捨てず、不動産会社に事実を伝えて確認するほうが安全です。

参考:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

事故物件として扱われる死因

ガイドラインは、死を「自然死又は日常生活の中での不慮の死」とそれ以外に分けています。
他殺や自死、火災による事故死は後者にあたり、買主の判断に重要な影響を及ぼすため事故物件として扱われます。

他殺や自死などは日常生活のなかで当然に予想される死と区別され、買主への告知が原則です。

なお、発生した場所によっても扱いは分かれます。
隣接する住戸や、日常生活で通常使用しない集合住宅の共用部分で起きた事案は、売買・賃貸のいずれでも原則として告げなくてよいとされています。
ただし、事件性や社会に与えた影響が特に大きい事案は例外です。

いつまで告知が必要かも、事件性や周知の程度によって変わります。
報道された事案や近隣で広く知られている事案は、時間が経っても告知の対象として扱われます。

事故物件として扱われない死因

老衰や病死のように、日常生活のなかで起こり得る死は、原則として事故物件には当たりません。

ガイドラインが挙げる例は、老衰と持病による病死のほか、自宅の階段からの転落・入浴中の溺死や転倒事故・食事中の誤嚥です。
転落や溺死のように事故死に近いものであっても、日常生活で生じた不慮の事故による死は自然死と同じ扱いになります。

ガイドラインは人口動態統計を根拠に、自宅での死亡のうち老衰や病死が9割を占めると示しています。
老衰や病死まで全て事故物件として扱うと、住宅の取引そのものが成り立たなくなるためです。

相続した実家で親が亡くなっていたとしても、死因が老衰や病死であれば、直ちに事故物件になるわけではありません。

ただし、あくまで原則の扱いです。
買主から尋ねられた場合の扱いは別に定められています。

老衰・病死でも事故物件として扱われる例外

老衰や病死であっても、発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームを行った場合は、事故物件として扱われます。

特殊清掃とは、孤独死などが発生した住居で、原状回復のために消臭や消毒、清掃をおこなうサービスのことです。
総務省の調査報告書がこの定義を示しており、ガイドラインもこれを引用しています。

長期間人知れず放置され、特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は別扱いです。
ガイドラインは、原則として告げなくてよい対象から外すと定めています。
清掃や改装を行った事実そのものが、買主の判断に影響すると考えられているためです。

リフォームで内装を一新しても、過去にそうした事情があったという事実が消えるわけではありません。

訳あり物件・事故物件を売るときの告知義務

訳あり物件を売るときは、抱えている瑕疵を買主に伝える必要があります
根拠は宅地建物取引業法が定める故意の不告知の禁止にあり、伏せたまま売却すれば契約の解除や損害賠償に発展しかねません。
押さえるべきは、法的な根拠・期間の目安・違反した場合の結果の3点です。

告知義務の根拠は宅地建物取引業法の禁止事項にある

宅地建物取引業法は、契約の勧誘をするに際して一定の事項を故意に告げない行為を、宅地建物取引業者に禁じています。
事実と異なることを告げる行為も同じく禁止の対象です。

宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、(中略)故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

【引用元】宅地建物取引業法第47条

同条第1号ニは、対象を「宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」と定めており、人の死に関する事案もここに含まれます。
重要事項説明(同法第35条)の法定列挙事項として明記されているわけではありません。

宅地建物取引業者が正しく告げるための前提は、売主からの情報提供です。
そのため売主には、不動産会社へ事実を正確に伝える責任が事実上生じます。

賃貸は概ね3年、売買は期間の目安が示されていない

国土交通省のガイドラインが示す「概ね3年」は、賃貸借取引についての目安です。
売買取引には、同じような期間の定めは置かれていません。

ガイドラインは、賃貸借取引の対象不動産で自然死等以外の死が発生した場合について、発覚から概ね3年を経過した後は原則として借主に告げなくてよいと整理しています。
3年という目安を売買にも当てはめる説明が広く流通していますが、原文の対象は賃貸借取引だけです。

売買に、期間の経過による免除の定めはありません。
何年も前のことだから伝えなくてよい、という判断は取れません。

さらにガイドラインは、発覚からの経過期間や死因にかかわらず、買主から事案の有無を問われた場合には、調査で判明した点を告げる必要があるという整理です。

告知せずに売ると契約解除や損害賠償につながる

瑕疵を伏せたまま売却して後から発覚すると、契約の解除や損害賠償の請求を受けます。

契約不適合責任とは、引き渡した物が契約の内容に適合しない場合に売主が負う責任のことです。
買主は修補や代金の減額を求められるほか、損害賠償の請求や契約の解除もできます。

前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

【引用元】民法第564条

売却代金を受け取った後に返還を求められると、手元に残るはずだった資金が失われ、損失は伏せて売ったことで得た差額を上回ります。

判断に迷う事情ほど、伏せるのではなく不動産会社に事実として伝え、告知の要否と書き方を相談するほうが安全です。

訳あり物件・事故物件の買取相場|瑕疵の種類別の目安

買取価格は、瑕疵を解消するためにかかる費用を差し引いて決まります
そのため瑕疵の種類ごとに下落幅が変わり、事故物件は通常価格の5割から7割程度が一つの目安とされています。

以下は瑕疵の種類別の買取相場の目安です。
訳あり物件の買取相場について公的な統計は存在しないため、数値は訳あり物件を扱う事業者の情報メディアが公表している目安を引用しています。

物件の種類買取価格の目安
事故物件通常物件の50〜70%程度
共有持分通常物件の30〜50%程度
借地に建てた物件通常物件の50%程度
再建築不可物件通常物件の50〜70%程度
欠陥住宅通常物件の70〜80%程度
老朽化した空き家通常物件の50〜80%程度
ゴミ屋敷通常物件の50〜70%程度

実際の金額は立地や築年数によって大きく動きます。
上の数値は幅のある目安で、正確な金額は査定で確認するのが確実です。

瑕疵の種類で下落幅が変わる理由

買取業者は、周辺相場から一律の割合を引くのではなく、瑕疵を解消するために必要な費用を差し引いて価格を算出します。
必要な費用の差が、そのまま下落幅の差になります。

瑕疵ごとに必要な費用は次のとおりです。
事故物件なら特殊清掃や供養、ゴミ屋敷なら残置物の撤去にかかる費用です。
共有持分なら他の共有者との交渉や持分の集約、再建築不可物件なら隣地の買収や接道の確保に、費用と時間の両方がかかります。

立ち退き交渉が進行中の物件では、交渉が決裂して裁判になった場合の費用や、物件を長期間動かせない時間的な負担も価格から差し引かれます。
通常の物件の半値以下まで下がる例もあるほどです。

費用差し引きの構造を知っておくと、提示された査定額について何をいくらと見積もったのかを業者に確認しやすくなります。

事故物件の価格を左右する条件

同じ事故物件でも価格には差が出ます。
差を生むのは、出来事の内容・経過期間・立地・用途の4点です。

出来事が他殺なのか自死なのか事故死なのかによって、買主が覚える抵抗の度合いは変わります。
発生からの経過期間が長く、周辺に知られていない事案ほど、価格への影響は小さくなる傾向があります。

立地の影響も大きい要素です。
住宅需要の厚い都市部では下落幅が抑えられ、需要の薄い地域では買い手そのものが限られます。

用途の変更も評価を動かす要素です。
建物を解体して土地として売る、居住用ではなく賃貸用や事業用として再生するといった選択で、買い手の層が広がることがあります。

査定を依頼するときは、4点について分かっている情報をあらかじめ整理しておいてください。
同じ条件を伝えられれば、業者ごとの提示額を横並びで比べられます。

訳あり物件の売却は価格なら仲介・確実さと早さなら買取

価格を優先するなら仲介、確実さと早さを優先するなら買取が向いています
訳あり物件は仲介では買い手が見つかりにくいため、買取が現実的な選択肢になりやすい点は押さえておきます。

売却方法売却価格期間の目安契約不適合責任手数料
仲介市場価格に近い金額を狙える買い手が現れるまで数ヵ月以上かかることもある売主が負うのが原則仲介手数料が発生する
買取仲介より下がりやすい1週間から10日ほどで売却できるのが一般的免責の特約が設けられる例が多い仲介手数料は不要

仲介は市場価格に近い金額を狙える一方、瑕疵が理由で買い手が現れず時間だけが過ぎるリスクと隣り合わせです。
買取は不動産会社が直接買い取るため、買い手を探す工程がありません。

仲介が向いているケース

立地がよく瑕疵の程度が軽い物件は、仲介でも買い手が見つかり、買取より高い金額で売却できます。

該当するのは、駅から近い・住宅需要のある地域にある・瑕疵が軽微・売却期限に余裕があるといった条件を満たす物件です。

判断するときは、提示された金額そのものではなく、仲介手数料を差し引いた後に手元へ残る金額と、売却までにかかる期間を合わせて比べます。

仲介では、購入希望者に対して瑕疵の内容を説明する場面が生じます。
近隣に事情を知られたくない場合は、説明が生じる点も判断材料です。

一定期間売れなければ買取に切り替える進め方もあります。
媒介契約の期間は3ヵ月が一般的なため、まず1期分で市場の反応を見て、動きがなければ買取へ移す形が取りやすくなっています。

買取が向いているケース

買い手が限られる瑕疵を抱えている、早く手放したい、周囲に知られたくないといった事情があるなら、買取が向いています。

共有持分や再建築不可物件のように買主が限定されるもの、相続税の納付期限が近いもの、遠方にあって管理の負担が続いているものが該当します。
広告を出さない売却のため、近隣に事情を知られたくない場合にも向く方法です。

買取では契約不適合責任を免除する特約が設けられる例が多くあります。
全ての業者が一律に免責としているわけではないため、契約書の特約条項は事前に確認します。

一般の不動産会社に断られた物件の受け皿になるのも、専門の業者です。
査定の段階で瑕疵の内容を伝えても取り扱いを断られる可能性が低く、話が途中で止まりにくい点も利点になります。

訳あり物件を専門の買取業者に売るメリット

専門の買取業者は、瑕疵のある物件を再生して再販するための知識と販路を持っています
そのため一般の不動産会社では断られた物件でも、相談先になります。

買い手を探さずに売却できる

買取では業者自身が買主になるため、買い手が現れるかどうかを気にせず売却できます。

訳あり物件を仲介に出すと、内見の申し込みすら入らないことがあります。
買主が見つからないまま媒介契約の更新を繰り返し、固定資産税や管理費だけが出ていく状態も起こりがちです。

売却の時期が読めるようになると、相続税の納付や住み替えの資金計画を具体的に立てられます。
内見への立ち会いや広告掲載の準備といった手間がかからない点も、遠方に住んでいる場合には負担の差になります。

仲介では購入希望者との価格交渉や引き渡し時期の調整が発生しますが、買取では相手が1社のため、やり取りの回数そのものが少なめです。
現地へ何度も足を運べない事情がある場合、やり取りの少なさは大きな差になります。

特殊清掃や残置物の処理を任せられる

専門業者は現状のまま買い取ることが多く、特殊清掃や残置物の撤去を売主が先に負担せずに済みます。

売却前に自費でリフォームや清掃を済ませても、買取価格に上乗せされるとは限りません。

何にどこまで費用をかけるかは、査定額への反映度合いを不動産会社に確認してから決めてください。
家財が残ったままでも相談できる業者があります。
片付けを終えてから連絡する、という順番にこだわる必要はありません。

家財や仏壇の扱いに迷う場合も、そのまま査定を受けてから、どこまで自分で処分するかを決めれば十分です。
処分費用を売主が負担するのか買取価格に織り込むのかは業者によって分かれるため、査定時の確認事項です。

訳あり物件を専門の買取業者に売るデメリット

メリットと引き換えに生じる負担もあります
買取のデメリットは、価格と業者選びの手間の2点に集約されます。

売却価格が仲介より下がりやすい

買取業者は買い取った物件を再生して再販するため、再生費用と利益をあらかじめ差し引いた金額を提示します。
仲介での成約価格と比べると、差し引いた分が価格の低さとして表れます。

ただし、価格の低さは売却の確実さと早さを得るための交換です。
仲介で長期間売れ残った場合、固定資産税や管理費、遠方であれば往復の交通費が積み上がります。

どの程度下がるかは瑕疵の種類によって変わります。
修繕で解消できる物理的瑕疵より、権利関係の調整が必要な共有持分のほうが下げ幅は大きめです。

価格の数字だけで判断せず、売却が完了するまでにかかる費用と時間を含めて、手元に残る金額で比べます。
仲介と買取の両方で査定を取れば、差を金額として確かめられます。

業者選びに手間がかかる

訳あり物件は業者ごとに得意分野と再販ルートが異なるため、依頼先を絞り込むまでに調べる手間がかかります。

事故物件の再生に強い業者、共有持分の集約に強い業者、再建築不可物件の隣地交渉に強い業者というように、扱える範囲は業者によって分かれます。
自分の物件の瑕疵に合う業者を1社ずつ探すのは、時間のかかる作業です。

訳あり物件の買取をうたっていても、実際には特定の種類しか扱っていない業者もあります。
問い合わせの段階で、自分の物件と同じ条件の取り扱い実績があるかを確認しておくと、やり取りの空振りを減らせます。

複数の業者へまとめて査定を依頼できる仕組みは、業者探しの工程の短縮に有効です。
査定額の根拠を説明できるかどうかも、業者を見極める材料になります。

訳あり物件・事故物件の売却はベンナビ不動産売却の無料査定へ

瑕疵の種類が分かっても、実際にいくらで売れるかは物件ごとに異なります。
金額を確かめる最短の方法は、複数の買取会社へのまとめて査定です。

ベンナビ不動産売却は、訳あり不動産の買取に対応する会社へ無料で査定を依頼できるサービスです。
事故物件・共有持分・再建築不可物件・空き家といった物件の種類や所在地から、瑕疵に対応できる会社を絞り込めます。

人が亡くなった事情や近隣との関係など、一般の不動産会社には切り出しにくい事情も、はじめから前提として扱われます。
相談の入口として使いやすいサービスです。
まずは査定で、自分の物件がいくらになるかを確かめられます。

査定は無料で、金額を確認してから売るかどうかを決められます。
実際に売却する際の費用や条件は会社ごとに異なるため、契約前に確認してください。

訳あり物件を売る前にやってはいけないこと

売却を進めるうえで避けたい行動は、事実を伏せること、費用を先にかけすぎること、1社だけで決めることの3つです
いずれも売主自身の損につながります。

事実を伏せたまま売り出す

伏せたまま売り出しても、発覚すれば契約の解除や損害賠償に直結します。

過去の出来事は、近隣住民との会話や当時の報道、インターネット上の記録から買主に伝わります。
隠し通せるという前提は、周辺に事情を知る人がいる時点で不成立です。

事実を伝えたうえで価格に反映するほうが、取引としては安定します。
判断に迷う事情ほど、不動産会社に先に共有しておきます。

売買契約書に告知書を添付する形で事実を記載しておけば、後から聞いていないと主張される余地は小さめです。
何をどこまで書くかは不動産会社が整理するため、売主は把握している事実を漏れなく伝えることに集中します。

査定を受ける前に高額なリフォームをする

先にリフォームをしても査定額へ十分に反映されず、手元に残る金額が減ります。

買取業者は自社で再生する前提で価格を算出するため、売主が施した改装が評価されにくい構造があります。
仲介の場合でも、かけた費用がそのまま成約価格に上乗せされるとは限らない点は同じです。

費用をかける前に、予定する工事が査定額にどれだけ反映されるかを不動産会社に確認します。
清掃や不用品の処分のように、低い費用で印象が変わる範囲にとどめるのが現実的です。

特に事故物件では、特殊清掃を済ませてから売るべきか迷う場面も出てきます。
買取業者は清掃や供養を自社の工程に組み込んでいることが多く、先に手配すると費用が二重になりかねません。
査定を先に受けて、必要な工事を後から判断する順番が安全です。

1社の査定額だけで契約する

訳あり物件は業者ごとの評価差が大きいため、1社だけで決めると相場より低い金額で手放すことになります。

急いでいるときほど最初の1社で決めがちですが、複数社への査定依頼は同時並行で進められます。
数日の差で提示額が大きく変わることもあるためです。

比較するのは価格だけではありません。
契約不適合責任の免責特約の有無、引き渡しの時期、残置物の扱いといった条件も判断材料になります。
その場での即決を強く求める業者には、慎重な対応が無難です。

査定額が高いという理由だけで選ぶと、契約直前になって金額を引き下げられることもあるため注意が要ります。
金額とあわせて、提示の根拠と契約条件を書面で確認しましょう。
複数社に依頼しても、断る手間は連絡1本で済みます。
まとめて依頼するなら、ベンナビ不動産売却の無料査定が使えます。

訳あり物件と事故物件に関するよくある質問

Q

訳あり物件は事故物件と同じ意味?

A

同じ意味ではありません。
訳あり物件は買い手が敬遠する事情を抱えた物件全般を指し、事故物件はそのうち人の死が起きたものを指します。
事故物件は訳あり物件に含まれる一部、という関係です。

Q

事故物件かどうかを自分で調べる方法はある?

A

事故物件情報サイトや近隣への聞き取りで確認する方法はありますが、掲載や記憶には漏れがあり、自力の調査だけでは判断しきれません。
売主の立場であれば、把握している事実を不動産会社に伝えて調査を依頼するのが確実です。

Q

訳あり物件の告知義務は何年で消える?

A

国土交通省のガイドラインが示す「概ね3年」は賃貸借取引についての目安で、売買には同様の期間が置かれていません。
売買では経過年数を理由に告知を省略できないため、事実を伝えたうえで取引を進めます。

Q

事故物件は何割くらい安くなる?

A

通常価格の5割から7割程度が一つの目安とされていますが、公的な統計はありません。
出来事の内容や経過期間、立地によって差が大きいため、実際の金額は査定を受けて確認します。

Q

訳あり物件でも本当に売れる?

A

専門の買取業者であれば再販や活用のルートを持っているため、売却できます。
特殊清掃や供養を経て再販する、隣地を買収して接道を確保するなど、瑕疵の種類ごとに解消の手段があるためです。

まとめ|事故物件は訳あり物件の一種・迷ったら査定で金額を確かめる

事故物件は訳あり物件の一種であり、両者は対立する分類ではありません。
売却を進めるうえで押さえておきたいのは次の4点です。

  • 訳あり物件の瑕疵は心理的・物理的・法律的・環境的の4種類に分かれ、事故物件は心理的瑕疵に当たる
  • 他殺や自死、火災による事故死は事故物件として扱われ、老衰や病死は原則として扱われない
  • 告知義務の根拠は宅地建物取引業法にあり、「概ね3年」の目安は賃貸借取引に限られる
  • 買取価格は瑕疵を解消する費用を差し引いて決まるため、瑕疵の種類ごとに下落幅が変わる

自分の物件がいくらになるかは、条件によって大きく変わるため、査定を受けなければわかりません。
訳あり不動産の買取に対応する会社へまとめて無料査定を依頼できるベンナビ不動産売却を使えば、瑕疵の内容に合う会社から金額の提示を受けられます。
売るかどうかを決めるのは金額を確認してからで問題ないため、まずは査定から始めてみてください。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。