共有名義不動産

共有持分の買取を東京で進めるには?相場の目安と業者の選び方・売却後の注意点

共有持分の買取を東京で進めるには?相場の目安と業者の選び方・売却後の注意点

東京の実家やマンションを相続したものの、兄弟との話し合いがまとまらないまま持分だけを持ち続けている方は少なくありません。
固定資産税だけを払い続ける状態が続くと、自分の持分だけでも現金化したいという考えに行き着きます。

なお、自分の持分の売却に、ほかの共有者の同意は不要です。

ただし東京には共有持分を扱う買取業者が数多くあり、広告の表現だけでは各社の違いが見えません。
金額の提示だけで判断すると、契約後に減額されたり、親族との関係がこじれたりすることがあります。

そこで本記事では、東京で共有持分を買取に出すときの業者選びの基準、宅地建物取引業の免許を自分で確かめる手順、相場の目安と手取りの計算方法を整理しました。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

目次

東京の共有持分買取の悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう

業者選びを誤らなければ、共有持分の買取をめぐるトラブルの多くは避けられます。
ベンナビ不動産売却では、共有持分などの売りにくい不動産の買取に対応し、弁護士など専門家と連携する不動産会社へ無料で査定を依頼できます。
どの業者に相談するか迷っている段階でも、まず候補を確認してみてください。

東京対応の共有持分買取業者を選ぶ5つの基準


東京対応の共有持分買取業者を選ぶ際に以下の5基準で比べると、各社の違いが明確になります

基準確認方法確認できないときの見方
宅地建物取引業の免許免許番号を国土交通省の検索システムで照合する免許番号の記載がない相手は候補から外す
東京都内の買取実績対象とする地域と取扱件数を質問する具体的な回答がなければ実績の裏づけが弱い
弁護士・司法書士との連携連携先の有無と役割を質問する登記や協議の担当者が不明なら進行が滞りやすい
査定根拠と減額条件査定書と契約書の該当条項を見せてもらう口頭説明のみなら金額が変わる余地が残る
相談先と買主の一致契約書の買主欄を確認する買主が別会社なら条件と責任の所在が変わる

なお、東京で共有持分を扱う業者のタイプは大きく3つです。
型ごとに得意な案件が違うため、自分の物件の条件に合う相手を選びます。

タイプ免許の区分得意とする案件
地域密着型東京都知事免許23区や多摩地域の物件で、現地の事情を踏まえた査定が必要な案件
全国展開型国土交通大臣免許複数の都道府県にまたがる相続財産や、資金力を要する高額案件
紹介・仲介型免許の区分は各社で異なる買主の候補を複数くらべたい案件

宅地建物取引業の免許番号と更新回数を確かめる

免許番号のかっこ内の数字を見れば、業者の営業年数の目安がわかります
宅地建物取引業の免許の有効期間は5年と定められています。

かっこ内が(3)なら2回の更新を経た業者で、営業は10年以上という計算です。

1つの都道府県のなかだけに事務所を置く場合はその都道府県知事の免許、2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣の免許を受けます。
東京都内だけで営業する業者なら、表示は「東京都知事免許」です。

更新回数が少ないことだけを理由に候補から外す必要はありません。
設立から日が浅くても、実務経験の長い担当者が在籍している会社はあります。

一方で、広告や名刺に免許番号を記載していない相手は候補から外してください。

東京都内の買取実績と現地調査の体制があるか

東京の物件を扱う業者を選ぶときは、現地を見たうえで査定する体制があるかを確かめます
都内の土地は、接道の状況や隣地との関係で評価が大きく動く土地柄です。

資料だけで金額を出す机上査定と、現地を確認したあとの正式査定で、金額が変わることも珍しくありません。
机上査定は登記事項証明書と公図、周辺の取引事例から概算を出す方法です。

なお、手軽に金額の見当がつく一方、境界の未確定や越境、前面道路の幅員といった条件が反映されません。
現地調査を経た正式査定で初めて、契約できる金額が固まります。
同じ東京都内でも、23区と多摩地域では取引の事情が別物です。

そこで、自分の物件がある地域での取扱いがあるかを質問し、件数や具体的な案件の型で答えが返るかを見てください。
「実績多数」という表示だけで判断せず、聞いた内容に具体性があるかで比べると差がわかります。

弁護士・司法書士と連携しているか

共有持分の取引は、登記の手続きと権利関係の調整をともないます

そのため司法書士による登記申請と、弁護士による法的判断の窓口をもつ業者を選ぶと進行が安定します。
連携先の有無は、問い合わせの段階の質問で確認可能です。
持分の移転登記は司法書士が担当します。

たとえば、決済の当日に代金の支払と登記申請を同時に進める段取りになるため、決済の流れを説明できるかどうかが実務経験の目安です。
段取りの説明があいまいな場合は、決済日が延びる可能性を織り込んでおいてください。
ほかの共有者との協議や、共有物の分割が視野に入る案件では、弁護士の関与が必要になります。

なお、買取業者自身が法律事務を代理することはできないため、連携する弁護士の存在が実質的な意味を持ちます。
連携先の名称まで答えられるかが、体制の実態を知る手がかりです。
ベンナビ不動産売却は、弁護士など専門家と連携する不動産会社を無料で探せるサービスです。
連携先を一から探す手間を省きたいなら活用してください。

査定の根拠と減額の条件を書面で示せるか

提示された金額が決済まで維持されるかどうかは、査定の内訳と減額条件を書面で確認すれば判断できます
査定書と契約書の該当箇所を見せてもらい、口頭の説明だけで契約を進めないでください。
査定書には、物件全体の評価額、持分の割合、持分であることによる価格の下がり幅の3点が、内訳として示されているかを見ます。

総額だけが書かれた査定書では、どの要素で金額が決まったのかを検証できません。
内訳があれば、ほかの業者の査定と条件をそろえた比較ができるためです。

契約書では、あとから代金が減額される条件を確認します。
境界の未確定、隣地との越境、残置物、ほかの共有者の状況といった項目が減額の理由になっている場合があります。

また、利益が出ることは確実だと誤解させる言い方は、宅地建物取引業者には許されない行為です。
「必ず高く売れる」といった説明を受けたときは、根拠を書面で求めてください。
減額条件の書き方に不安が残るなら、署名の前に弁護士へ契約書の確認を依頼してください

相談先と実際の買主が同じ会社か

問い合わせた会社が自社で買い取るのか、別の会社へつなぐだけなのかは、契約書の売主欄と買主欄を見れば区別できます
相談先と買主が違う場合、条件や責任の所在が窓口の説明と変わることがあります。

自社買取は、相談を受けた会社がそのまま買主になる形です。
金額の交渉相手が一貫しているため、決済までの期間も読みやすくなる点が利点です。

一方、買主を紹介する形では、査定額を出した会社と実際に契約する会社が別になります。
窓口で聞いた条件が、契約条件と一致するとは限りません。
判断のために、問い合わせの段階で「御社が直接買い取るのか、買主を紹介するのか」を質問してください。

どちらの形にも利点があり、紹介型は複数の買主候補を比べられるという長所があります。
大切なのは、自分がどちらの取引をしているのかを理解したうえで契約することです。

宅建業免許から共有持分の買取業者を確かめる3つの手順

買取業者の実在と免許の状況は、公的な情報から自分の手で確かめられます
免許番号の表記を読み取り、国土交通省の検索システムで照合し、必要に応じて東京都の名簿を閲覧する3手順で、いずれも費用はかかりません。
不動産の売買を業として営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が要る決まりです。

免許のない相手との売買は、そもそも制度の前提を欠いた取引になります。
3つの手順は、免許という前提を自分で確認する作業にあたります。

手順調べる場所わかること
手順1業者の広告・名刺・ウェブサイト免許の区分が知事免許か大臣免許か、および更新回数
手順2国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システム商号、代表者名、本店所在地、免許年月日、免許の有効期間、所属団体
手順3東京都または地方整備局の窓口役員、専任の宅地建物取引士、届出書類の内容

手順1|免許番号の表記を読み取る

免許番号は「東京都知事免許(3)第○○○○○号」のように表記され、都道府県知事免許か国土交通大臣免許かで事務所の置き方がわかります
かっこ内の数字は更新回数を示すため、営業年数の目安も同時に読み取れます。

事務所を1つの都道府県のなかだけに置く業者が受けるのは、都道府県知事の免許です。
2つ以上の都道府県に事務所を置く業者は国土交通大臣の免許を受けます。

表記の違いは営業の広がりを示すもので、業者の良し悪しを表すものではありません。
免許の有効期間は5年です。

かっこ内が(1)なら初回の免許から5年未満、(2)なら5年以上10年未満、(3)なら10年以上15年未満と見当がつきます。
数字は目安として扱い、次の手順で登録内容そのものを確かめてください。

手順2|国土交通省の検索システムで照合する

広告に書かれた免許番号と商号が公的な登録内容と一致するかは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確かめられます
大臣免許の業者と都道府県知事免許の業者のどちらも検索でき、利用に費用はかかりません。

まず、検索システムで確認できるのは免許番号と商号、代表者名と本店所在地です。
支店の所在地、免許年月日と有効期間、所属団体も確認できます。

2025年4月1日の更新により、従事者数と専任の宅地建物取引士の総数も表示されるようになりました。
照合するときは、広告やウェブサイトの記載と登録内容を1項目ずつ突き合わせます。

なお、商号や本店所在地が食い違う場合は、社名を変更した直後という事情もあれば、実態と表示がずれている場合もあります。
食い違いを見つけたら、理由を業者に質問してください。
説明に納得できないときは、契約を急がないという判断が取れます。

手順3|東京都の宅地建物取引業者名簿を閲覧する

検索システムだけではわからない情報は、窓口での名簿閲覧で確かめられます
宅地建物取引業者名簿と関係書類は一般の閲覧に供されると定められており、誰でも閲覧を請求できます。
東京都知事免許の業者の名簿閲覧は、東京都住宅政策本部の担当窓口です。

まず、閲覧できる書類は宅地建物取引業者名簿と略歴書です。
専任の宅地建物取引士設置証明書や宅地建物取引業経歴書、法人の場合の決算書も対象に含まれます。

役員の顔ぶれや、届け出られた事業の内容まで確認できます。
国土交通大臣免許の業者については、本店の所在地を管轄する地方整備局が窓口です。

なお、東京に本店がある大臣免許業者なら、関東地方整備局が対応します。
閲覧の方法や必要な手続きは窓口ごとに定められているため、行く前に各窓口の案内を確認してください。

【参考】e-Gov法令検索 宅地建物取引業法

【参考】国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム

東京で共有持分の買取を選ぶかどうかの判断軸

買取という選択肢は、得られるものと引き受ける負担を並べて見てから決めます
ほかの共有者の同意なしで自分の持分だけを現金化できる一方、価格は物件全体を売る場合より下がります。

両面を並べたうえで、自分の状況に合うかを判断してください。
判断の分かれ目になるのは、ほかの共有者との話し合いが続く見込みがあるかどうかです。

まず、協議が前に進む状態なら、全体を売る道を先に検討したほうが手取りは大きくなります。
連絡が取れない、話し合いが何年も止まっているという状態であれば、買取の利点が相対的に大きくなります。

数字の大小だけでなく、時間と人間関係の負担まで含めて比べることが、ぶれない判断のコツです。
手取りを最優先するなら全体売却、手放すことを優先するなら買取という軸になります。

また、共有者の年齢や資力によっては、待っているうちに相続が起きて共有者がさらに増えることもあります。
「半年協議して合意できなければ買取を検討する」というように、あらかじめ期限を区切って見極めてください。

東京で共有持分を買取業者に売る4つのメリット

共有持分を扱う買取業者に売る利点は次の4点です

区分内容
同意が不要自分の持分の処分は単独でできるため、ほかの共有者の同意を得ずに売却できる
現金化が早い買主が業者自身のため、買主を探す期間がかからない
仲介手数料が不要業者が直接買い取る形では、仲介手数料が発生しない
交渉から離れられる売却後は、ほかの共有者との協議の当事者ではなくなる

まず、所有者は法令の範囲内で自分の財産を自由に処分できます。
共有物の全体に変更を加える行為には共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分だけを売る行為はこれにあたりません。
同意を求めずに売却できる根拠は、財産処分の自由です。

また、東京は不動産の取引そのものが多く、共有持分を扱う業者の数もほかの地域より多くなっています。
買い手の候補が複数あるという状況は、査定を比べるうえで有利に働きます。
査定を1社に絞らず、条件をそろえて複数社に依頼してください。

ほかの共有者の同意を得ずに売れる

自分の持分だけを売る場合、ほかの共有者の同意も、印鑑証明書の提供も求められません
売買契約は自分と買主の2者で成立します。

持分移転登記も、売主である自分と買主の共同申請で完了する手続きです。
ほかの共有者が書類にかかわる場面はなく、連絡が取れない共有者がいても手続きは止まりません。

一方、同意が必要になるのは物件全体を売る場合や、建て替えのように共有物へ変更を加える場合です。
話し合いが何年も止まっている状態でも、自分の持分については単独で結論を出せます。
ただし売却後に買主からほかの共有者へ連絡が入るため、事前に伝えるかどうかは別に考えておいてください。

なお、売買契約そのものはほかの共有者に知られずに完了できます。
ただし登記が入れば、誰でも確認できる状態になります。

現金化までが早い

買取では業者が直接の買主になるため、買主を探す期間が不要です
書類がそろっていれば、相談から入金まで数週間で完了する場合もあります。

仲介では広告を出して買主を探し、内覧や条件交渉を経て契約に至る流れです。
一般的な不動産でも3ヵ月から6ヵ月かかり、共有持分では買主が現れないまま期間だけが過ぎることも珍しくありません。

ただし、期間を左右するのは登記の状態です。
名義が被相続人のままなら先に相続登記を済ませる必要があり、登記だけで数週間から数ヵ月かかります。
東京は法務局の管轄が細かく分かれているため、どの局が管轄かの事前確認が手戻りを防ぐコツです。

また、抵当権が残っている場合も、抹消の調整で日程が延びます。
借入先の金融機関へ早めに連絡しておいてください。

仲介手数料がかからない

買取では業者が買主になるため、仲介手数料が発生しません
仲介手数料の上限は、売買代金が400万円を超える場合で代金の3%に6万円を加えた額と消費税です。

東京の物件は金額が大きくなりやすく、手数料の差も広がります。
持分が2,000万円で売れた場合、仲介なら70万円前後の手数料がかかる計算です。

ただし、仲介の成約価格が買取価格を大きく上回るなら、手数料を払っても仲介のほうが手取りは多くなります。
手数料の有無だけで決めず、総額で比べてください。
共有持分は仲介で買主が見つかりにくいため、実際には買取の手取りが上回る場面が多くなります。

買取であっても、登記費用と譲渡所得にかかる税金は別に発生します。
手取りを見積もるときは、税金と登記費用も差し引いて考えてください。

共有者との交渉から離れられる

買取業者に売れば、その後の交渉相手は業者とほかの共有者になります
自分は当事者から外れ、話し合いや裁判所の手続きに関与せずに済みます。

共有物分割請求や持分の買い取り交渉は、結論まで年単位に及ぶことも珍しくない手続きです。
親族どうしの場合、金額の話が感情の対立に発展し、やり取りそのものが負担になります。

持分を売って共有関係から抜ければ、固定資産税の負担や管理の連絡からも離れられます。
金額だけを見れば仲介や全体売却に劣りますが、時間と精神的な負担を減らせる点が、買取を選ぶ実質的な理由です。

ただし、売却後に業者とほかの共有者の間で争いが起きても、自分から止めることはできません。
関係を保ちたい相手がいるなら、売る前に伝えておく判断が要ります。

東京で共有持分を買取業者に売るときの3つの注意点

買取を選ぶときの注意点は次の3つです

区分内容
価格が下がる持分だけでは物件を自由に使えないため、全体を売る場合より単価が下がる
親族との関係売却の事実は登記で公示されるため、いずれほかの共有者に伝わる
売却後の紛争買主とほかの共有者の協議が調わなければ、共有物分割の手続きに進むことがある

まず、価格が下がる仕組みは持分の性質にあります。
共有者は共有物の全部について持分に応じた使用ができるとされていますが、単独で建て替えたり全体を売ったりはできません

買主は取得後に他の共有者と交渉する手間と時間を負い、負担の分を差し引いたのが査定額です。
売却を内緒で進めることはできても、伏せ続けることはできません。

また、持分の移転は登記され、登記事項証明書は誰でも取得できます。
売却を決めたなら、事前にほかの共有者へ伝えるかどうかまで含めて考えておきましょう。

価格が物件全体を売る場合より下がる

持分だけを売る場合、価格は物件全体を売って持分割合で分ける場合より下がります
買主は取得後にほかの共有者と交渉する手間と時間を負うためです。

共有者は共有物の全部について持分に応じた使用ができるとされていますが、単独で建て替えたり全体を売ったりはできません。
買主にとって自由に使えない権利であることが、そのまま価格に反映されます。

具体的な目安は、条件による幅を含めて持分相当額の3割から7割です。
金額差をどこまで許容できるかが、買取を選ぶかどうかの分かれ目です。

なお、査定額の幅は共有者の人数や占有の状況でも動きます。
複数社に同じ条件で依頼し、金額の水準をつかんでから判断してください。

親族との関係に影響する

共有者が親族の場合、持分の売却は関係に影響します
とくに実家を相続で共有しているケースでは、住んでいる親族がいることも多く、売却がその生活に直結します。

買主となる業者が取得後に、建物を使っている共有者へ明け渡しや賃料の支払いを求める場合もあるためです。
売った本人には関係のない話に見えても、親族から見れば自分が招いた事態と受け取られます。

関係を保ちたいなら、売却の前にほかの共有者へ買い取りの意向を確かめる順序が有効です。
親族が買い取るなら、物件全体の価値に持分割合を掛けた金額に近い水準で取引できる可能性もあります。

断られてから買取業者に相談しても遅くはありません。
打診するときは、口頭ではなく金額と支払時期を書面で示すのが話を進めるコツです。
親族との協議の進め方や書面の作り方に迷うなら、弁護士に相談してください。
ベンナビ不動産売却では、弁護士など専門家と連携する不動産会社に無料で相談できます。

買主とほかの共有者の間で紛争が起きうる

持分を取得した業者は、物件全体を活用できる状態を目指します。

そのためほかの共有者との交渉が始まり、まとまらなければ共有物分割請求に進むことがあります
共有物分割請求とは、共有状態の解消を裁判所に求める手続きです。
裁判所が命じる分割の方法は現物分割と賠償分割の2つで、どちらも難しいときは競売が命じられます。
競売になれば、住んでいる共有者が住まいを失う可能性も残る点に注意してください。

売主である自分は当事者から外れますが、紛争のきっかけを作った立場にはなります。
買主が決まったあとに撤回はできないため、想定される展開を売却前に把握しておいてください。

紛争を避けたいなら、共有者との協議を尽くしてから売る順序にしてください。
協議の見通しや売却後の展開は、弁護士に相談すれば法的な根拠をもとに見立てられます。
ベンナビ不動産売却では、弁護士など専門家と連携する不動産会社に無料で相談できます。

東京の不動産事情が共有持分の買取に与える3つの影響

東京の物件には次の3つの事情があり、共有持分の扱いをほかの地域と分けています

  • 金額の大きさ
  • 建物の建てにくさ
  • 私道の権利

なお、3つとも一般の不動産会社では扱いにくい方向に働きます。
東京都が公表した令和8年地価公示(東京都分)によると、住宅地の対前年平均変動率は区部で9.0%、多摩地区で3.9%、都全域で6.5%の上昇でした。

地価が上がり続ける状況では、持分の一部でも金額が大きくなり、共有者間の利害の差も開きます。
自分の物件が3つのどれに当たるかを先に確かめておけば、業者に伝えるべき情報が整理されます。

また、敷地の形状と前面道路、私道の持分の有無は、登記事項証明書と公図でその場で確認できる情報です。

都心部は持分だけでも金額が大きく話し合いが長引きやすい

東京の住宅地は地価の水準が高いため、持分の一部でも数千万円になることがあります
金額が大きくなるほど共有者の考えは割れやすく、話し合いに時間がかかります。

物件全体を売るには、共有者全員の同意が必要です。
共有物に変更を加える行為は、ほかの共有者の同意を得なければおこなえないと定められているためです。

売却は共有物の処分にあたるため、1人でも反対すれば全体の売却は成立しません。
同意が取れない状態が続くと、誰も使わない不動産の固定資産税と管理費だけを払い続ける状況が生まれます。
区部の住宅地の地価は、前年から9.0%の上昇です。

資産としての価値が上がる一方で、共有者間の合意はいっそう難しくなります。
時間が解決する種類の問題ではないため、期限を決めて方針を選ぶ姿勢が要ります。

木造住宅密集地域や再建築不可の物件は仲介で買い手がつきにくい

建物を建て替えられない土地は、住宅ローンの対象になりにくく、仲介では買い手が限られます
接道の条件とは、幅員4メートル以上の道路に敷地が2メートル以上接していなければならないという建築基準法上の義務です。
東京には狭い道路に接する敷地が広く分布しており、建て替えできない物件が少なくありません。

木造住宅密集地域とは、狭い道路に沿って古い木造住宅が建て込み、道路の拡幅や建て替えが進んでいない地域を指します。
東京都は防災の観点から整備を進めていますが、接道の条件を満たさない敷地は今も多く残る状況です。
再建築ができない条件と、持分であるという条件が重なると、一般の仲介での売却はさらに難しくなります。

なぜなら、買主が住宅ローンを組めず、現金で買える相手に限られるためです。
訳あり物件を扱う買取業者は、取得後の活用方法を織り込んで査定するため、仲介で買い手がつかない物件でも取引が成立する場合があります。

【参考】e-Gov法令検索 建築基準法

私道の共有持分が絡むと権利の調整に時間がかかる

東京の住宅地では、敷地とは別に前面の私道の持分を持っている例が多くあります
私道の掘削や通行の承諾が売却の条件になることがあり、権利の調整に時間がかかります。

私道の共有持分は、敷地と一体でもつ権利です。
登記簿上は別の土地として記録されており、敷地の売買にあわせて移転します。

また、持分だけを売る場合も私道の持分をどう扱うかを契約で決めておく必要があります。
水道管やガス管の引き込み工事では、私道の共有者から掘削の承諾を得る場面もあるためです。
承諾が得られないと工事が進まず、買主にとっては取得後の負担になります。

そのため、私道の持分を含む案件の取扱いに慣れた業者かどうかで、査定の考え方も進行の速さも変わってきます。
問い合わせのときに、私道の持分があることを先に伝えてください。

東京の共有持分の買取相場は持分相当額の3割〜7割で条件により変動する

共有持分の買取価格には公的な統計がなく、各社が公表する目安は持分相当額の3割〜7割に分かれます
幅が広いことを前提に、複数の業者の査定を比べて判断してください。
相場を1つの数字で言えないのは、共有持分の価値が物件そのものだけで決まらないためです。

なぜなら、共有者の人数・居住者の有無・ほかの共有者と連絡が取れるかによって、買主が負う手間と時間が変わるためです。
同じ物件でも、条件が違えば査定額は大きく動きます。

公表主体のタイプ公表している目安
共有持分の情報を扱う専門媒体物件全体の市場価格×持分割合×2分の1〜3分の1程度
不動産の買取事業者持分相当額の4割〜7割程度
不動産・税務の情報媒体持分相当額の3割〜6割程度

つまり、数字が割れているという事実そのものが、複数社に査定を依頼すべき理由です。
1社の提示額だけでは、高いのか低いのかを判断できません。
査定を依頼するときは、同じ資料を各社へ渡し、算定の根拠まで説明を求めてください。

共有持分の買取価格に公的な統計はない

共有持分だけの買取価格は、国土交通省や国税庁が公表していません
世の中に出回っている「相場は○割」という数字は、各社が自社の取扱い実績をもとに示した目安にすぎません。
地価公示や不動産取引価格情報が対象とするのは、物件全体の価格です。

実際、持分だけを取り出したときの取引価格を集計した統計は公表されていません。
持分の取引は当事者間の事情に左右される部分が大きく、統計として整理しにくいという背景があります。
各社が示す目安は、自社が扱ってきた案件の性質の反映です。

また、権利関係の複雑な案件を多く扱う会社と、比較的整理された案件を扱う会社では、示す数字が変わります。
「相場は○割です」という断定を見かけたら、誰が何をもとに出した数字かを確かめる習慣を持ってください。
根拠を示せる業者は、査定額の説明も具体的になります。

各社が公表する目安は持分相当額の3割〜7割に分かれる

各社が公表する目安は、持分相当額の3割〜7割の範囲に分布します
自分の物件がその幅のどのあたりに来るかは、共有者の人数や占有の状況といった条件で決まります。

位置目安の水準前提としている条件
低め3割〜4割程度共有者が多い、連絡が取れない共有者がいる、ほかの共有者が居住している
中位4割〜6割程度共有者が2人〜3人で、連絡は取れるが合意に至っていない
高め6割〜7割程度共有者が2人で関係が良好、全体売却の見込みがある、物件に法的な制約が少ない

まず、査定額を左右する条件は主に次の6つです。

  • 共有者の人数
  • 建物に住んでいる人がいるかどうか
  • ほかの共有者との関係
  • 抵当権など担保の設定状況
  • 境界の確定や再建築の可否
  • 管理費や固定資産税の滞納の有無

なお、はじめの2つは買主が取得後にどこまで自由に使えるかを左右し、残りの4つは取得後に負う手間と支出を左右します。
買主が引き受ける負担の大きさが、価格にそのまま映る仕組みです。

また、東京の物件は取引の母数が大きく、条件が整っていれば幅の上側に寄りやすい傾向です。

ただし東京にも再建築ができない敷地や私道の権利が絡む物件が多く、条件次第では下側に寄ります。
所在地だけで有利不利は決まりません。

全体8,000万円・持分2分の1のケースで試算する

計算の手順は「物件全体の価格×持分の割合×目安の割合」です

たとえば、物件全体が8,000万円、持分が2分の1の場合なら、持分相当額は4,000万円です。
目安の3割〜7割を当てはめると、1,200万円〜2,800万円という幅になります。

目安の割合計算式買取価格の目安
3割8,000万円×2分の1×0.31,200万円
5割8,000万円×2分の1×0.52,000万円
7割8,000万円×2分の1×0.72,800万円

同じ物件でも、条件しだいで差は1,600万円です。
査定を1社だけで決めない理由も、幅の大きさにあります。

複数社に同じ資料を渡し、金額と算定の根拠を並べて比べてください。
持分の割合が3分の1や4分の1でも、計算の手順は変わりません。

なお、試算した金額がそのまま手元に残るわけではない点に注意してください。
利益が出た場合の譲渡所得にかかる税金と、登記に関する費用が差し引かれます。
手取りを見積もるときは、税金の分まで含めて計算してください。

東京の共有持分がいくらで売れるかを無料査定で確かめる

相場の幅は物件の条件で大きく動くため、実際にいくらで売れるかは査定を受けなければわかりません
ベンナビ不動産売却は、共有持分や空き家、再建築ができない物件といった訳あり不動産を扱う買取事業者に、無料で査定を依頼できるサービスです。

一般の不動産会社では取扱いを断られやすい物件でも、取得後の活用方法をもち、弁護士や司法書士と連携する事業者が査定に対応します。
共有者との協議が止まっている案件でも、権利関係の整理から相談してください。
東京23区の物件も多摩地域の物件も相談できます。

また、査定の依頼は無料です。
金額と条件を見たうえで、売るかどうかを決められます。

査定の段階でほかの共有者へ連絡が入ることは通常ないため、まず自分の持分にいくらの値がつくかを知りたいという段階でも利用できます。
相場の目安と実際の査定額の突き合わせが、次に取る行動を決める材料です。

東京で共有持分を買取に出すときの手順

相談から入金までは、おおむね5つの手順で進みます
書類がそろっていれば、数週間での現金化も現実的です。
全体の流れを先に把握しておくと、準備を前倒しできます。

手順おこなうこと期間の目安
問い合わせと状況の聞き取り当日〜数日
机上査定による概算金額の提示数日〜1週間
現地調査と正式査定1週間〜2週間
売買契約の締結数日
決済と持分の移転登記契約から数日〜数週間

なお、各段階で自分がすることと業者がすることを分けて把握すると、待ち時間の見通しが立ちます。
契約の前に、減額条件と決済日の2点を書面で確かめてください。

全体の期間を左右するのは書類の取得にかかる時間です。
とくに被相続人の名義のまま登記が残っている場合、先に相続登記を済ませる必要があり、登記だけで数週間から数ヵ月かかります。
売却を考え始めた段階で、登記の名義を確認しておいてください。

また、業者によっては③の現地調査を省いて②の机上査定のまま契約を求める場合があります。
金額を早く確定できる利点はありますが、決済前に条件を理由とした減額の余地が残る進め方です。
急ぐ事情がないかぎり、現地調査を経た正式査定を待ってから契約してください。

①問い合わせと聞き取り

最初の問い合わせでは、物件の所在地と持分の割合を伝えます
共有者の人数と関係、建物に住んでいる人の有無もあわせて伝えると、あとのやり取りが早く進みます。

問い合わせの段階で費用は不要です。
売ると決めていなくても、いくらになるかを知りたいという相談で問題ありません。

なお、ほかの共有者に知られたくない事情があれば、最初に伝えてください。
連絡方法や郵送物の送付先について配慮を受けられます。
電話がつながる時間帯や、書類を受け取れる住所も併せて伝えておくと、行き違いが起きません。

また、問い合わせの段階では登記事項証明書も不要です。
手元にある固定資産税の納税通知書だけでも、所在地と持分の手がかりになります。
まずは分かる範囲で伝えてください。

②机上査定

机上査定では、業者が登記事項証明書や公図をもとに概算の金額を出します
現地を見ない段階の査定のため、回答までは数日から1週間程度が目安です。

出てくるのは幅のある金額です。
物件全体の価格に持分割合を掛け、共有であることによる価格の下がり幅を織り込んだ範囲が示されます。

なお、机上査定の段階で3社以上に同じ条件で依頼しておくのが、金額の水準をつかむコツです。
1社だけの提示では、高いのか低いのかを判断できません。
金額とあわせて、算定の根拠を説明できるかどうかも見てください。

ただし、机上査定の金額は現地調査を経て動きます。
提示された額をそのまま契約金額として期待せず、あくまで目安として受け取ってください。
回答が遅い業者は、その後の対応も遅くなりがちです。

③現地調査と正式査定

現地調査では、業者の担当者が物件を確認します
接道や境界、建物の状態を見たうえで、正式な金額が提示されます。

机上査定の金額から動くのはこの段階です。
再建築ができない、越境がある、建物の傷みが大きいといった事情は減額の要因になり、想定より状態がよければ上がることもあります。

なお、建物に共有者が住んでいる場合、内部の調査は居住者の協力が前提です。
関係が悪く協力を得られないときは外観の確認だけで査定する扱いになり、金額は保守的に振れます。
事情を先に伝えておけば、調査の方法も調整可能です。

また、現地調査には1時間から2時間程度かかります。
立ち会いを求められる場合もあるため、日程は余裕をもって調整してください。

④売買契約の締結

売買契約では、代金の額と決済の日を書面で確認します
減額の条件と、契約を解除できる場合の定めも確かめるべき項目です。

宅地建物取引業者は、売買契約を結んだときに契約内容を記載した書面を交付しなければならないと定められています。
口頭の説明で済ませず、書面で受け取ってください。

なお、契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約の内容に合わないときに売主が負う責任です。
買取では契約不適合責任を免責とする特約が入るのが一般的で、免責の範囲は契約書の書き方で決まります。

その場で署名を求められても、いったん持ち帰って読み直す時間を取ってください。
日をあらためる余裕を渋る相手であれば、条件面でも譲歩は得にくいと考えたほうが安全です。

また、手付金の有無と解約する場合の取り決めもこの段階で確認します。
買取では手付を設けない契約も多く、条件は業者によって異なります。

⑤決済と持分の移転登記

決済では、代金の受け取りと持分の移転登記を同じ日に進めるのが一般的です
登記の申請は司法書士が担当します。

売主が用意するのは、印鑑証明書、登記識別情報、本人確認書類です。
印鑑証明書は発行から3ヵ月以内のものが求められます。

なお、振込であれば着金の確認まで当日中に終わるよう、午前中に決済を設定するのが通例です。
抵当権が付いている場合は金融機関との調整が必要になり、日程の確保に時間がかかります。
登記が完了したら登記事項証明書を取得し、自分の名義が外れていることを確認してください。

また、決済の場所は金融機関の会議室や業者の事務所が一般的です。
ほかの共有者が遠方にいても、自分の持分の決済には関係しません。
当日は本人確認があるため、代理人を立てる場合は事前に業者と司法書士へ伝えておきます。

東京で必要書類をそろえる窓口

必要な書類は、法務局、都税事務所、住所地の区市町村の3か所で取得できます
どの書類をどこで取るかを先に整理しておくと、査定から契約までの期間を短くできます。

書類取得窓口用途
登記事項証明書・公図東京法務局および各出張所持分の割合と権利関係の確認
固定資産税の課税に関する証明23区は都税事務所/多摩地域は市役所・町村役場評価額の確認
印鑑証明書・住民票住所地の区市町村契約と登記の手続き
登記識別情報または登記済証手元の保管書類持分の移転登記

なお、東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、証明書の窓口は都税事務所です。
多摩地域の市町村では、市役所や町村役場が窓口になります。
同じ東京都内でも窓口が分かれる点に注意してください。

また、登記の名義が被相続人のままなら、先に相続登記を済ませます。
相続により所有権を取得した者には、登記の申請義務があります。

期限は、相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内です。
2024年4月1日から義務化された手続きであり、売却の有無にかかわらず対応が要ります。

東京の共有持分を買取に出す前に検討したい3つの選択肢

買取を選ぶ前に、物件全体を売る、ほかの共有者に買い取ってもらう、共有物分割請求を申し立てるという3つの選択肢と比べておきます
手取りがもっとも大きくなりやすいのは、共有者全員で物件全体を売る方法です。

選択肢手取りの目安必要な合意期間の目安
全体を売る市場価格×持分割合に近い共有者全員の同意3ヵ月〜6ヵ月
ほかの共有者に売る当事者間の合意による相手の同意と資金1ヵ月〜3ヵ月
共有物分割請求分割の方法により変動不要。裁判所が判断する1年以上かかる場合がある

なお、どの選択肢を取れるかは、ほかの共有者と話し合いができる関係かどうかで変わります。
協議が成立する見込みがあるなら上の2つを先に検討し、成立しないときに買取や分割請求へ進むという順序が合理的です。

また、話し合いを続けるほど手取りが増えるわけではなく、協議の間も固定資産税と管理の負担は続きます。
期限を区切って見極める姿勢は、選択肢を比べるときも変わりません。

共有者全員で不動産全体を売る

物件全体を市場価格で売却できれば、持分だけを売るより手取りが大きくなります
実現の条件は、共有者全員が売却に同意することです。

共有物に変更を加える行為は、ほかの共有者の同意を得なければおこなえません。
売却は共有物の処分にあたるため、共有者全員の同意が要ります。

売却代金は、各自の持分割合に応じた分配です。
仲介で売れば買取業者への売却より単価が高くなり、手取りの差は大きくなります。

一方で、1人でも反対した時点で成立しない方法です。
相続で共有者が増えている場合、全員に連絡を取ること自体に時間がかかります。

まず共有者の顔ぶれと連絡先を確認し、同意を得られる見込みがあるかを確かめてください。
見込みがあるなら、話し合いを前提とする選択肢を優先する価値があります。

ほかの共有者に自分の持分を買い取ってもらう

ほかの共有者が自分の持分を買い取れば、物件は身内に残り、共有の問題そのものが解消します

ただし、価格の決め方と税務の扱いには注意してください。
共有者が1人になれば、共有物の使用や処分をめぐる制約はなくなります。

また、買い取る側にとっても単独所有になることで売却や建て替えの自由が得られます。
相手に資金があり、物件を残したい意向があるなら、有力な選択肢です。

価格が時価から大きく離れると、差額が贈与とみなされることがあります。
親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合、居住用財産を売ったときの3,000万円の特別控除は対象外です。

なお、特別の関係がある人には同じ家計で暮らす親族や、売却後にその家屋で同居する親族なども含まれます。
身内への売却を選ぶときは、価格の根拠を残し、税務の扱いを税理士に確認してください。

【参考】No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

共有物分割請求を申し立てる

話し合いがまとまらないときは、共有物の分割を裁判所に求められます
共有者の間に分割しない約束がなければ、いつでも請求できるという扱いです。

ただし、分割しない約束は5年を超えない範囲で有効とされ、合意がある期間中は請求できません。
約束の有無と期限は、共有者間の契約書や遺産分割協議書で確認してください。

裁判所が命じる分割の方法は2つです。
共有物の現物を分割する方法と、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法があります。

なお、後者が代金を支払って持分を取得する賠償分割です。
いずれの方法でも判決まで1年以上かかる場合があり、弁護士費用も発生します。
得られる金額と、かかる時間と費用を見比べて選んでください。

【参考】e-Gov法令検索 民法

共有持分を売却したあとに起こりうること

持分を売却したあと、買主はほかの共有者へ連絡を取ります
協議がまとまらなければ共有物分割の手続きに進むことがあり、相続がからむ場合は10年という期間が結論の分かれ目です。
買主となる業者は、持分を取得したあとに物件全体を活用できる状態を目指します。

そのための手段は主に次の3つです。

  • ほかの共有者の持分を買い取る
  • 取得した持分をほかの共有者に買い取ってもらう
  • 全体を売却して代金を分ける

なお、いずれもほかの共有者との交渉から始まります。
売却の前にほかの共有者へ伝えておくと、あとの摩擦は小さくなります。
突然知らない会社から連絡が届く形になると、感情的な対立が生じやすくなるためです。

また、売却の理由と経緯を自分の言葉で先に伝えておけば、相手が受け取る印象は変わります。

買主からほかの共有者へ連絡が入る

持分の移転は登記されるため、買主はほかの共有者が誰かを把握した状態になります
多くの場合、買主からほかの共有者に対して、持分の買い取りや全体売却の打診が届きます。
登記事項証明書は誰でも取得できるうえ、共有者の氏名と住所も記載された書類です。

具体的には、買主は取得した情報をもとに書面で連絡を取ります。
連絡の内容は、持分を取得した旨の通知と、今後の取り扱いについての提案が中心です。
ほかの共有者にとっては、見知らぬ会社が突然共有者になったという受け止め方になります。

なお、売却を決めた段階で、自分から事情を伝える選択肢もあります。
伝える義務はありませんが、伝えておくことが、あとで関係が決定的に壊れる事態への備えです。
連絡の時期は、契約の直前でも決済後でもかまいません。

共有物分割の手続きに進む場合がある

買主とほかの共有者の協議が調わないときは、買主が裁判所に共有物の分割を請求できます
共有物の分割について共有者間の協議が調わないとき、または協議ができないときは、各共有者は分割を裁判所に請求できると定められています。

裁判所が命じられる分割の方法は2つです。
共有物の現物を分割する方法と、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分を取得させる方法があります。

2つの方法で分割できないとき、または分割によって価格を著しく減少させるおそれがあるときは、競売を命じることができます。
持分を売却した本人は売却の時点で共有者から外れており、分割の手続きとは無関係です。

ただしほかの共有者にとっては、自分の意思とは関係なく手続きが始まることになります。
売却後の展開まで見通しを立ててから売りたいなら、契約の前に弁護士へ相談してください。
反対に、ほかの共有者が持分を売り、業者から分割請求を受けた立場でも、対応の窓口は弁護士です。

相続開始から10年経つまでは遺産分割が優先される

相続で取得した持分については、通常とは違う扱いになります
共有物の全部またはその持分が相続財産に属し、共同相続人の間で遺産の分割をすべきときは、共有物分割の手続きを取ることができません。
ただし、相続開始から10年経過後は、相続財産に属する持分の共有物分割も認められる扱いです。

つまり10年という期間が、手続きの選べる範囲を分ける境目になります。
買取業者が持分を取得しても、相続開始から10年が経っていなければ、共有物分割の裁判を起こせません。
相続人が遺産分割の請求をしたうえで共有物分割に異議を申し出れば、10年を経過していても優先されるのは遺産分割です。

ただし、異議の申出は裁判所から請求があった旨の通知を受けた日から2ヵ月以内におこなう必要があります。
相続がからむ持分を売却するときは、相続開始からの経過年数を確認してください。

共有者の所在がわからないときは2つの制度が使える

連絡が取れない共有者がいる場合、2023年4月1日に施行された改正民法の2つの制度が使えます
所在等不明共有者の持分を取得する裁判と、持分を第三者へ譲渡する権限を与える裁判です。

まず、1つ目の持分取得の裁判が対象とするのは、ほかの共有者が誰か分からない場合や、所在が分からない場合です。
裁判所は、請求した共有者に所在等不明共有者の持分を取得させる裁判ができます。
持分を失う側は、時価に相当する額の支払いを請求できます。

次に2つ目は、所在等不明共有者の持分を第三者へ譲渡する権限を、裁判所から与えてもらう制度です。
物件全体を売りたい場合に使います。

どちらの制度にも共通の制限がある点は要注意です。
持分が相続財産に属し、共同相続人の間で遺産分割をすべき場合は、相続開始から10年を経過するまで使えません。
どちらの裁判も申立ての要件と証明資料の準備が要るため、進め方は弁護士に相談してください。
ベンナビ不動産売却では、弁護士など専門家と連携する不動産会社に無料で相談できます。

【参考】民法|e-Gov法令検索

東京の共有持分を売ったときにかかる税金

共有持分を売って利益が出た場合、譲渡所得として課税されます
税率は所有期間で変わり、5年以下なら39.63%、5年を超えるなら20.315%です
課税の対象になるのは売却代金そのものではなく、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた利益です。

なお、取得費が売却代金を上回れば譲渡所得は生じません。
相続した持分では取得費の考え方が特殊なため、計算の前の確認が必須です。

区分所有期間税率内訳
短期譲渡所得5年以下39.63%所得税30%と復興特別所得税、住民税9%
長期譲渡所得5年超20.315%所得税15%と復興特別所得税、住民税5%

また、利益が出た年の翌年に確定申告が必要になります
申告の期限は原則として翌年の3月15日です。
売却によって利益が出なかった場合、申告の義務はありません。

ただし取得費を証明できないと利益が出ている計算になりやすいため、購入時の資料が残っているかを先に確かめてください。
相続で取得した持分については、取得費の考え方が通常と異なります。

譲渡所得の計算方法と税率

譲渡所得は「売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除」で計算します
所有期間は、売った年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで判定します。

取得費は、持分の取得にかかった金額です。
購入代金のほか、購入時の仲介手数料、登録免許税、不動産取得税などが含まれます。

なお、建物部分については保有期間中の減価償却費を差し引いた金額になります。
譲渡費用は売却のためにかかった費用で、仲介手数料や測量費、印紙税などが該当する項目です。

税率は所有期間で分かれます。
長期譲渡所得の税額は課税長期譲渡所得金額の15%が所得税、5%が住民税で、あわせて復興特別所得税が基準所得税額の2.1%かかります。

つまり、合計するとおよそ20.315%です。
短期譲渡所得は所得税30%と住民税9%を基礎とし、復興特別所得税を加えておよそ39.63%となります。
所有期間の判定を売却の日ではなく1月1日で見る点に注意してください。

相続した持分は被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐ

相続で取得した持分は、被相続人が取得した時期と取得費をそのまま引き継ぎます
相続した日を起点にして所有期間を数えるわけではないため、相続直後に売っても長期譲渡所得になる場合があります。
たとえば亡くなった人が20年前に購入した不動産なら、相続人の所有期間も20年です。

したがって相続してすぐに売却しても、税率は長期譲渡所得の20.315%が適用されます。
取得費についても、被相続人が支払った購入代金を引き継ぎます。
購入時の売買契約書が残っていない場合の代替は、売却代金の5%を取得費とみなす概算取得費です。

ただし実際の取得費が5%を上回るなら、実額を使うほうが税額は小さくなります。

亡くなった人の遺品のなかに売買契約書や領収書が残っていないかを、売却の前に確認してください。
書類が1枚見つかるだけで、税額が数百万円変わることもあります。

マイホームの3,000万円特別控除が使えないケース

自分が住んでいた家屋とその敷地を売る場合には、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特別控除があります

ただし親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合には適用されません。
適用の対象になるのは、現に自分が住んでいる家屋を売る場合です。
以前に住んでいた家屋も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になります。

売った年の前年および前々年に同じ特例を受けていないことなども条件になります。
適用されないケースとして押さえておきたいのが、特別の関係がある人への売却です。

同じ家計で暮らす親族や、家屋を売った後にその家屋で同居する親族などが含まれます。
共有の場合は売った人ごとに要件を判定するため、適用の可否は税務署または税理士に確認してください。

【参考元】マイホームを売ったときの特例(タックスアンサーNo.3302)|国税庁

【参考元】長期譲渡所得の税額の計算(タックスアンサーNo.3208)|国税庁

東京の共有持分の買取でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ

共有持分の買取は、ほかの共有者との協議や売却後の分割請求など、権利関係の争いに発展しやすい取引です。
共有者と連絡が取れない、住んでいる親族が売却に反対している、業者から提示された条件が途中で変わったという状況なら、契約の前に弁護士へ相談してください。

反対に、ほかの共有者が持分を業者に売り、見知らぬ会社から買い取りや明け渡しを求められている立場でも、対応の窓口は弁護士です。
弁護士は共有物分割の見通しや交渉の進め方を法的に整理し、不利な条件で合意してしまう事態を防ぐ助けになります。

ベンナビ不動産売却では、弁護士や司法書士と連携する不動産会社に無料で相談できます。
売るかどうかを決める前の段階でも、権利関係の整理から相談してください。
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東京の共有持分の売却先はベンナビ不動産売却で探せる

共有持分の買取は、業者によって金額も対応も差が出ます。
1社の提示額だけで決めると、比べる材料がないまま条件を受け入れることになります。

ベンナビ不動産売却は、共有持分や再建築ができない物件といった訳あり不動産を扱う買取事業者を探せるサービスです。
業者選びの5基準で挙げた弁護士・司法書士との連携も、相談の段階で確かめてください。
東京23区の物件も多摩地域の物件も、まとめて相談できます。

また、査定の依頼は無料です。
金額と条件を並べたうえで、売るかどうかを決められる仕組みです。
査定の段階でほかの共有者へ連絡が入ることは通常なく、自分の持分にいくらの値がつくかを知りたいという相談でも利用できます。

なお、相場の目安を読むだけでは、自分の持分の金額はわかりません。
まず査定を受けて、判断材料をそろえてください。

東京の共有持分の買取についてよくある質問

Q

Q1. 自分の共有持分だけなら、ほかの共有者の同意なしで売れますか

A

売れます。
所有者は法令の制限内で自由にその所有物を処分できるとされており、自分の持分の売却に共有者の同意は要りません。
共有者全員の同意が必要になるのは、物件全体を売る場合です。

Q

Q2. ほかの共有者に知られずに売却できますか

A

売却の手続き自体は知られずに進められます
ただし持分の移転は登記され、登記事項証明書は誰でも取得できるため、いずれ伝わります。
買主からほかの共有者へ連絡が入ることも一般的です。

Q

Q3. ほかの共有者がその家に住んでいても買い取ってもらえますか

A

多くの場合、買い取ってもらえます。
共有者が居住している状態でも、共有持分を扱う買取業者なら取扱いに対応できるケースが一般的です。
ただし買主にとって取得後の交渉の負担が大きくなるため、査定額は幅の下側に寄る傾向があります。

Q

Q4. 相談から現金を受け取るまでどのくらいかかりますか

A

書類がそろっていれば、数週間から2ヵ月程度が目安です
被相続人の名義のまま登記が残っている場合は、先に相続登記が必要になり、さらに数週間から数ヵ月かかります。

Q

Q5. 東京の物件を東京以外の業者に依頼しても問題ありませんか

A

問題ありません。
ただし東京の物件は接道や私道の権利が査定を左右するため、現地調査に来られる体制があるかを確認してください。
都内の取扱い実績があるかも、あわせて質問してください。

Q

Q6. 買取業者への売却と、法律でいう「買取請求」は同じものですか

A

別のものです。
買取業者への売却は当事者の合意による売買です。
一方、民法などが定める買取請求は、法律が定めた要件のもとで相手に買い取りを求める権利を指します。
広告で「買取」と書かれていても、実態は通常の売買です。

Q

Q7. 買取業者は買い取った共有持分をどうするのですか

A

買取業者は、取得した持分をもとに物件全体を活用できる状態を目指すのが基本です。
具体的には、ほかの共有者の持分を買い取る、取得した持分を共有者に買い取ってもらう、全体を売却して代金を分けるという3つの方法のいずれかを提案します。
いずれもほかの共有者との交渉から始まるため、売却前に共有者へ事情を伝えておくと摩擦が小さくなります。

Q

Q8. ほかの共有者が持分を買取業者に売ってしまった場合はどうすればよいですか

A

業者から持分の買い取りや明け渡しを求められても、その場で応じる必要はありません。
提案の内容と自分の持分の価値を確かめるため、返答の前に弁護士へ相談してください。
協議がまとまらなければ共有物分割請求に進むことがあるため、早い段階の相談が有効です。

まとめ

東京で共有持分を買取に出すときは、業者選びの5基準を押さえ、宅地建物取引業の免許を自分で確かめたうえで、複数社の査定を比べる順序が確実です
免許番号は国土交通省の検索システムで無料で照合でき、東京都知事免許の業者なら都の窓口で名簿も閲覧できます。

また、相場には公的な統計がなく、各社が公表する目安は持分相当額の3割〜7割に分かれます。
物件全体が8,000万円で持分が2分の1なら、1,200万円〜2,800万円という幅です。
買取以外に、全体売却やほかの共有者への売却という選択肢があることも忘れないでください。

なお、自分の持分に実際いくらの値がつくかは、査定を受けて確かめる以外に知る方法がありません。
ベンナビ不動産売却は、共有持分や空き家、再建築ができない物件を扱う買取事業者へ無料で査定を依頼できるサービスです。
金額を見てから売るかどうかを決められるため、まず相場を確かめたいという段階でも利用できます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。