共有名義不動産

共有持分とは?割合の意味・共有者ができることと共有状態の解消方法をわかりやすく解説

共有持分とは?割合の意味・共有者ができることと共有状態の解消方法をわかりやすく解説

共有持分とは、1つの不動産を複数人で共同所有するときに、それぞれの所有者がもつ所有権の割合のことです。

親が亡くなって実家や土地を兄弟姉妹で相続したときや、夫婦で住宅ローンを組んで家を購入したときに、不動産が共有名義になり共有持分が生まれます。

一方で、共有状態の不動産は自分だけの判断で売却や建替えができず、相続を重ねるほど権利関係が複雑になっていきます。

本記事では、共有持分の割合の意味や共有者ができること・できないこと、共有状態を解消する方法までわかりやすく解説します。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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共有持分とは?1つの不動産を複数人で所有するときの「所有権の割合」

共有持分とは、1つの不動産を複数人で共同所有するときに、各所有者(共有者)がもつ所有権の割合のことです。

まずは、持分割合が何を表すのか、なぜ共有が生まれるのかという基本から確認しましょう。

持分割合は「権利の割合」|2分の1でも不動産全体を使用できる

持分割合は、不動産を物理的に区切る線ではなく、あくまで権利の割合を表します。

たとえば兄弟2人が実家を2分の1ずつ共有する場合でも、「兄が家の右半分、弟が左半分に住む」という意味にはなりません。

法律上も、各共有者は持分割合にかかわらず、共有物の全部を使用できるとされています。
ただし、使用できる範囲は自分の持分に応じたものに限られます。

各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
【引用元】民法第249条|e-Gov 法令検索

つまり、持分が2分の1でも建物全体に住むこと自体は可能です。
他の共有者も同じ権利をもつため、独占はできません。

そのかわり、不動産から生じる賃料などの収益は持分割合に応じて分け合い、固定資産税などの負担も持分割合に応じて分担するのが原則です。

なお、2023年4月に施行された改正民法では、自分の持分を超えて共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者へ使用の対価を償還する義務を負うことが明文化されました(民法第249条第2項)。

共有持分が発生する主な原因は相続と共同購入

共有持分が生まれる場面は、大きく分けて「相続」と「共同購入」の2つです。

相続では、亡くなった方の残した実家や土地を複数の相続人が引き継ぐ場面で共有が生まれます。

遺産分割協議で分け方が決まらず、ひとまず法定相続分どおりに共有名義で登記するケースが典型です。

「実家は思い出があるから兄弟みんなの名義にしよう」と深く考えずに共有を選ぶ例もあります。

共同購入では、夫婦がペアローンを組んでマイホームを買う場合や、親子で資金を出し合って二世帯住宅を建てる場合に、負担額に応じた持分を設定します。

そのほか、分譲地の前面道路である私道を近隣の住民同士で共有する「私道の共有持分」もあります。

私道の持分がないと建替えの際に支障が出る場合があるため、購入時に確認しておきたいポイントです。

持分割合の決め方|相続では法定相続分・購入では負担額の割合が基準になる

相続で共有名義にする場合、持分割合は遺産分割協議で合意した割合か、法定相続分が基準になります。

法定相続分は相続人の組み合わせで次のように決まっています。

相続人の組み合わせ法定相続分
配偶者と子配偶者2分の1・子2分の1(子の人数で按分)
配偶者と直系尊属(父母・祖父母)配偶者3分の2・直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1

購入で共有名義にする場合は、頭金と住宅ローン負担額を合計した出資割合に、持分割合を合わせるのが原則です。

出資割合と異なる持分で登記すると、差額分が贈与とみなされて贈与税の課税対象になる場合があるため、割合の設定は税理士や税務署に確認しながら進めましょう。

自分の持分割合は、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿謄本)の権利部(甲区)で確認できます。

共有持分をもつ共有者ができること|行為の種類ごとに必要な同意が異なる

共有不動産に対する行為は「保存」「管理」「変更・処分」の3つに区分され、区分ごとに必要な同意が異なります。

売却のように影響が大きい行為ほど、多くの同意が必要になる仕組みです。

それぞれの区分でできることを確認しましょう。

保存行為|修繕など現状維持は単独でできる

保存行為とは、不動産の現状を維持するための行為です。

具体的には、雨漏りの修理や壁紙の交換、庭の草刈り、不法に占拠している人への明渡し請求などが挙げられます。

保存行為は共有者全員にとって利益になるため、各共有者が他の共有者の同意を得ずに単独でおこなえます。
「実家の屋根が傷んでいるのに、兄弟の許可がないと直せない」という心配はいりません。

ただし、単独でできることと費用を1人で負担することは別の問題です。
修繕にかかった必要費は、持分割合に応じて他の共有者に負担を求められます。

あとで精算をめぐる争いにならないよう、領収書を残して事前にひと声かけておくと安心です。
負担割合をめぐる認識のずれは、のちの共有解消の話し合いにも影響します。

管理行為|賃貸に出すには持分価格の過半数の同意が必要

管理行為とは、不動産の利用方法や改良に関する行為です。

空き家になった実家を賃貸に出すことや、賃料の改定、短期間の賃貸借契約の締結などが該当します。

管理行為をおこなうには、共有者の「持分割合」の過半数の同意が必要です。注意したいのは、人数の過半数ではない点です。

たとえば、持分が10分の3のAさん、10分の1のBさんとCさん、10分の3のDさん、10分の2のEさんの5人で共有しているとします。
BさんとCさんとEさんの3人が賛成しても持分の合計は10分の5にとどまり、過半数に届きません。
一方、AさんとDさんの2人の賛成なら持分の合計が10分の6となり、賃貸に出せます。

賛成が過半数に届かない場合は、賃貸以外の活用方法もあわせて検討することになります。

変更・処分行為|不動産全体の売却や建替えは共有者全員の同意が必要

変更・処分行為とは、不動産の形状や効用を大きく変える行為です。

不動産全体の売却、建物の取壊しや建替え、大規模な増改築、抵当権の設定などが該当します。

変更・処分行為には共有者全員の同意が必要です。
そのため、1人でも反対する共有者連絡のつかない共有者がいると、不動産全体を売ることはできません。

なお、2023年に施行された民法改正で、所在のわからない共有者がいる場合の特例が設けられました。これは、裁判所の決定を得たうえで、残りの共有者の同意によって変更行為ができる制度です。

連絡がつかない共有者がいて手続きが止まっている場合は、活用を検討してみてください。

自分の共有持分だけなら単独で売却・担保設定ができる

不動産全体の処分には全員の同意が必要である一方、自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意なく単独で売却や贈与、担保の設定ができます

共有持分は独立した権利であり、処分は各共有者の自由とされているためです。

法律上は他の共有者への通知や承諾も不要なため、話し合いがまとまらない場合でも、自分の持分を手放して共有関係から抜けるという選択肢が残されています。

ただし、見知らぬ第三者が共有関係に入ってくると、他の共有者との関係が悪化しやすいのも事実です。

持分の売却を考える際は、事前に他の共有者へ知らせるか、共有持分の取扱いに対応した不動産会社へ相談したうえで進めるのが現実的です。

査定のみであれば無料で対応している会社もあるため、まずは査定を依頼して条件を確認してみましょう。

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共有持分のメリット

共有持分にも、相続財産を公平に分けやすい、住宅購入の選択肢が広がるという実利があります。

ただし、メリットだけで共有を選ぶのは危険なため、デメリットとあわせて判断しましょう。

メリット① 相続財産を公平に分けやすくなる

不動産は、現金や預貯金と違って物理的に分けにくい資産です。

遺産の大半が実家1軒というケースでは、誰か1人が単独で相続すると他の相続人との間に不公平が生まれ、話し合いがこじれる原因になります。

共有持分を使えば、実家を兄弟2人で2分の1ずつ共有するというように、金額のうえで公平な遺産分割がしやすくなります

相続人同士の関係が良好で、不動産を売る予定も当面ないのであれば、共有が円満な選択肢のひとつになる場合もあります。

一方で、その後の売却や活用に全員の同意が必要になるという制約を引き受けることになります。

共有を選ぶ前に、将来の売却や利用の方針まで家族で話し合っておくことが大切です。
話し合いの結果は遺産分割協議書に残しておきましょう。

メリット② 夫婦・親子で住宅ローンを組みやすくなる

住宅の共同購入では、共有名義にすることで資金計画の幅が広がります

夫婦それぞれがローンを組むペアローンや、2人で1本のローンを負担する連帯債務の方式では、2人分の年収をもとに審査されるため、1人では届かない金額の借入れがしやすくなります。

また、要件を満たせば住宅ローン控除を夫婦それぞれが受けられる場合があり、世帯全体でみた税負担の軽減につながります。
適用の可否や有利になる持分の設定は個別の事情によるため、税理士や税務署に確認しましょう。

購入時には、出資割合と持分割合をそろえる原則を守ることも忘れないようにしてください。

共有持分のデメリット|不動産の売却・活用が制限され権利関係も複雑になる

共有不動産は「自由に動かせない資産」になりやすく、時間が経つほど扱いが難しくなります。

共有状態を続けるかどうかを判断するために、代表的な3つのデメリットを紹介します。

デメリット① 不動産全体の売却・建替えが自分だけの判断でできなくなる

共有不動産の全体を売却したり建て替えたりするには、共有者全員の同意が必要です。

1人でも反対する共有者や音信不通の共有者がいる場合、好条件の買い手が現れても売却を進めることはできません。

担保の設定にも全員の同意が必要なため、共有不動産を担保にお金を借りることも1人ではできません。
賃貸に出す場合も持分価格の過半数の同意が必要で、単独でできるのは修繕などの保存行為に限られます。

売りたいときに売れず、貸したいときに貸せない状態は、資産価値を活かせないまま固定資産税だけを払い続ける状態につながります。

共有名義の不動産が「動かせない資産」と呼ばれるのは、こうした流動性の低さが理由です。

デメリット② 相続を繰り返すたびに共有者が増えて権利関係が複雑になる

共有持分も相続財産であるため、共有者の1人が亡くなると、その持分はさらに複数の相続人へ引き継がれます。

相続が繰り返されるたびに共有者はねずみ算式に増え、権利関係は複雑になっていきます

たとえば兄弟2人で実家を共有していた場合でも、2人が亡くなればそれぞれの子どもたちが持分を相続します。面識の薄いいとこ同士が4人、6人と共有する状態になりかねません。

共有者が増えるほど全員の同意は取りにくくなり、所在のわからない共有者が現れると売却も分割も難航しやすくなります。

所在不明の共有者に対応する制度は2023年の民法改正で整いましたが、裁判所の手続きが必要で負担は小さくありません。

共有者が少ないうちに解消しておくことが、複雑化を防ぐ有効な対策です。

デメリット③固定資産税の負担や使い方をめぐって共有者間の対立が起きやすくなる

共有不動産の固定資産税は、持分割合に応じて負担するのが原則です。

ただし、納付書は代表者1人に届き、法律上は共有者全員が連帯して納付する義務を負います。

代表者が立て替えたまま他の共有者が精算に応じない、というお金の争いが起きやすい構造です。

また、共有者の1人が不動産を独占的に使っている場合でも、各共有者には持分に応じた使用権があるため、他の共有者がすぐに退去させることはできません。

その結果、住んでいる側は賃料を払わず、住んでいない側は税金だけ負担するという不満が蓄積しやすくなります。

ただし法律上は、自分の持分を超えて共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者へ使用の対価を償還する義務を負います(民法第249条第2項)。

無償で住み続けることを認める合意がなければ、賃料相当額の負担を求めることは可能です。

修繕費や管理の分担を決めていない場合も、押し付け合いから関係が悪化しがちです。
分担のルールは、共有を始める時点で書面に残しておきましょう。

相続でよくある共有持分のトラブル例|兄弟・夫婦・親子のケース別に解説

共有持分をめぐる問題は、誰と共有しているかによって典型的なパターンが決まっています。

自分のケースに近い例から、リスクの現実度を確認しましょう。

ケース① 兄弟姉妹で実家を共有した場合|売却したい兄と残したい弟で対立する

親から相続した実家を兄弟で共有するケースでは、実家に住む相続人と住まない相続人の利害が食い違いやすくなります

典型例は、弟が実家に住み続け、別に自宅をもつ兄が売却や賃料の支払いを求めるパターンです。

弟には持分に応じた使用権があるため、兄が単独で退去を求めることは難しく、話し合いが平行線のまま固定資産税の負担だけが続きます

実家への思い入れという感情面と、税負担という経済面が絡むため、当事者同士の話し合いだけでは解決しにくいのが実情です。

対立が深まる前に、遺産分割協議や共有物分割の協議の場を設けることが初期対応になります。

話し合いに紛争性がある場合、代理人として交渉や調停に対応できるのは、原則として弁護士です。
早めに弁護士に相談して進め方の道筋をつけましょう。

ケース② 夫婦で共有した場合|離婚時に売却もローン整理も進まなくなる

夫婦でペアローンを組んで購入した自宅は、離婚のときに大きな課題になります。

離婚しても共有名義とローンの関係は自動では解消されず、売却して清算するのか、どちらかが住み続けるのかを2人で決めなければならないためです。

売却には2人の同意が必要なうえ、ローンが残っている場合は金融機関との調整も欠かせません。

別居後に元配偶者がローンの返済を滞納したり、連絡が取れなくなったりすると、残された側が返済と税負担を抱え込むことになります。

離婚の際は、財産分与の協議のなかで共有関係の解消方法まで明確に決めておくことが重要です。

協議がまとまらない場合は、離婚問題とあわせて弁護士に相談しましょう。
住宅ローンの契約内容によっては、名義の変更自体を金融機関が認めない場合もあります。

ケース③ 親子で共有した場合|親の認知症で不動産が動かせなくなる

二世帯住宅の購入などで親子の共有名義にした不動産は、親の判断能力が低下したときに動かせなくなるリスクを抱えています。

売却などの変更・処分行為には共有者全員の同意が必要ですが、認知症が進んだ親は法律上有効な同意ができないためです。

親が同意できない状態になった場合は、成年後見人を選任して手続きを進めることになります。

ただし、本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要で、子どもの希望どおりに売却できるとは限りません。

また、子どもの転勤や結婚で二世帯住宅に住まなくなり、ローンの負担だけが残るケースもあります。

親子共有を選ぶ際は、親の高齢化と子どもの生活の変化まで見据えて判断することが大切です。
親が元気なうちに、持分の整理や家族信託などの対策を検討しておきましょう。

共有持分を解消する4つの方法

共有状態の解消方法は、「話し合いで分ける」「自分の持分を売る」「持分を放棄する」「裁判所に分割を求める」の4つです。

単独でできるかどうかと手元に残るお金が方法ごとに異なるため、比較して自分に合う出口を選びましょう。

方法① 共有物分割協議で分ける|現物分割・代償分割・換価分割から選ぶ

共有者全員で話し合いがまとまるなら、共有物分割協議による解消が円満に解決しやすい方法です。

分割の方法は次の3種類から選びます。

分割方法内容向いているケース
現物分割土地を物理的に分けてそれぞれの単独所有にする分筆できる広さの土地
代償分割1人が不動産を取得し、他の共有者へ代償金を支払う住み続けたい共有者がいる
換価分割不動産を売却して代金を持分割合で分ける誰も利用予定がない

相続の直後であれば、遺産分割協議の段階で単独取得や換価分割を選び、そもそも共有名義にしないことが有効な予防策になります。

協議がまとまらなければ、裁判所の手続きに進むことになります。

方法② 自分の共有持分だけを売却する|全員の同意なしで共有関係から抜けられる

他の共有者と合意できない場合でも、自分の共有持分だけを売却すれば、単独で共有関係から離脱できます。

話し合いによる解決が難しいときの、現実的な出口といえる方法です。

売却先は、他の共有者か、共有持分の買取に対応した業者・不動産会社が中心になります。

第三者へ売却する場合の価格は、不動産全体の市場価格に持分割合を掛けた金額の50%〜70%程度が目安とされています。

ただし、実際の価格は物件の状態や共有者の人数、買主の方針によって大きく異なります。
買主が単独では不動産を活用できず、制約の多い権利であることが値下がりの理由です。

一方、他の共有者に買い取ってもらう場合は、市場価格に近い水準で売却できる可能性があります。
まずは共有者への打診と業者への査定依頼を並行して進め、条件を比較してから決めましょう。

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方法③ 共有持分を放棄する|対価はないが単独の意思表示で共有から抜けられる

共有持分の放棄は、他の共有者の承諾なしに単独の意思表示でできます。

放棄された持分は、他の共有者へ持分割合に応じて帰属します。帰属先を自分で選べない点が贈与との違いです。

放棄には対価がないため手元にお金は残りませんが、買い手が見つからない山林や地方の土地などで、固定資産税の負担から抜けたい場合の最終手段になります。

注意点は、名義を変える登記が放棄した本人と他の共有者との共同申請になることです。他の共有者が協力してくれない場合には、裁判で登記への協力を求める登記引取請求という手段があります。

また、持分を受け取った共有者には贈与税がかかる場合があるため、実行前に税理士へ税額の見込みを確認しておくと安心です。

方法④ 共有物分割請求訴訟を起こす|協議が決裂したら裁判所が分割方法を決める

話し合いが完全に決裂した場合の最終手段が、共有物分割請求訴訟です。

法律上、共有者にはいつでも分割を求める権利が認められています。

共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
【引用元】民法第258条|e-Gov 法令検索

裁判所は、まず現物分割や代償金の支払いによる分割を検討し、それが難しい場合や分割で価値が大きく下がる場合には、競売による換価分割を命じます。

競売になると市場価格より安く落札される傾向があるため、手取りを重視するなら、訴訟の前に交渉や持分売却も含めて方針を検討しておくとよいでしょう。

訴訟の準備や進行には法律の知識が欠かせないため、共有物分割請求を検討する段階で弁護士に依頼しましょう。

共有持分の売却・放棄にかかる税金

共有持分を手放す際は、方法に応じて税金や登記の費用がかかります。
全体像は次のとおりです。

場面かかる税金・費用主な相談先
持分を売却した譲渡所得税・住民税税理士
持分を放棄した贈与税(受け取った共有者側)税理士
名義変更の登記登録免許税・司法書士報酬司法書士

売却時は譲渡所得税|所有期間5年超なら税率が下がる

共有持分を売却して利益が出ると、譲渡所得として所得税と住民税がかかります

譲渡所得は「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算し、税率は所有期間で変わります。

区分所有税率
短期譲渡所得5年以下39.63%
長期譲渡所得5年超20.315%

※税率は住民税・復興特別所得税を含みます。所有期間は、売却した年の1月1日時点で判定します。
※本記事の税率・控除額は2026年8月時点の税制に基づきます。最新の取扱いは国税庁の公表資料または税理士にご確認ください。

相続で取得した持分は、被相続人が取得した時期と取得費を引き継ぐため、長期譲渡所得の税率が適用されるケースが多くなります。

また、自分が住んでいた家の持分を売る場合は、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例を使える場合があります。

適用の可否や具体的な税額の計算は税務の相談にあたるため、原則として税理士に確認してください。
売却前に見積もりとあわせて確認しておきましょう。

放棄・登記の費用|受け取る側の贈与税と登録免許税に注意する

共有持分の放棄は「費用をかけずに手放せる」と思われがちですが、実際には税金や登記の費用が発生します。

まず、放棄された持分を受け取った共有者には、贈与を受けたものとみなして贈与税がかかる場合があります。

受け取った持分の価額とその年の他の贈与の合計が、年間110万円の基礎控除を超えると課税対象です。

また、持分放棄による移転登記には登録免許税がかかります。

税額は放棄した持分に対応する不動産の価額の1,000分の20で、価額は固定資産課税台帳に登録された価格が基準になるのが一般的です。

なお、相続を原因とする移転登記では税率が異なります。登記申請の代理は司法書士に依頼するのが一般的なため、依頼する場合は報酬もあわせて見込んでおきましょう。

放棄は費用のかからない方法ではないため、売却した場合の手取りと比較してから選ぶことが大切です。

共有持分の売却相談なら「ベンナビ不動産売却」へ

共有持分の売却は、一般的な不動産の売却と勝手が異なります

買主が不動産を単独で活用できないため、通常の仲介では買い手がつきにくく、相場を把握しないまま進めると、想定より低い価格で手放すことになる場合もあります。

そのため、共有持分や共有名義の不動産の売却に対応した会社へ相談し、条件を比較したうえで判断することが大切です。

ベンナビ不動産売却は、共有持分をはじめとした訳アリ不動産の売却相談先を探せるサービスです。

ベンナビ不動産売却を活用する主なメリット】

  • ・物件の査定を無料で依頼できる(※売却が成立した場合は仲介手数料などの費用が発生します)
  • ・共有持分など通常の仲介では扱いが難しい不動産の売却相談先を探せる
  • ・相続した実家や土地の売却相談にも対応している

なお、共有者との間で分割協議の決裂や使用をめぐる争いがすでに生じている場合は、売却より先に弁護士へ相談し、紛争の解決と並行して進めましょう。

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共有持分に関するよくある質問

Q

共有持分2分の1とはどういう意味?

A

不動産の所有権の半分をもっているという意味です。
土地や建物の「右半分・左半分」を所有するわけではなく、不動産全体に対する権利の割合を表します。持分が2分の1でも、使用は不動産の全体に及びます。

Q

共有持分は他の共有者に黙って売却できる?

A

自分の持分だけであれば、法律上は他の共有者の同意や通知なしで売却できます。
ただし、第三者が共有関係に入ると他の共有者との関係が悪化しやすいため、売却を決める前にひと声かけておくのが望ましい対応です。

Q

共有者と連絡が取れない場合はどうすればいい?

A

2023年施行の民法改正で、所在のわからない共有者がいても、裁判所の決定を得て残りの共有者だけで変更や管理をおこなえる制度が設けられました。
所在不明者の持分を取得する制度もあります。裁判所への申立てが必要なため、弁護士に相談して進めましょう。

Q

相続する不動産を共有名義にするのは避けたほうがいい?

A

将来の売却や管理の自由度を考えると、安易に共有名義とすることは避けたほうがよいでしょう。
遺産分割協議の段階で、単独取得や売却代金の分配を検討しましょう。
すでに共有名義になっている場合も、共有者が少ないうちに解消を検討することをおすすめします。

まとめ|共有持分は放置せず早めに解消を検討しよう

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有するときの権利の割合です。

共有状態では不動産全体の売却や活用に共有者の同意が必要になり、相続を重ねるほど共有者が増えて解消が難しくなっていきます

出口は、共有物分割協議・持分のみの売却・持分の放棄・共有物分割請求訴訟の4つです。

共有者が増える前、関係が悪化する前に動くほど、選べる手段は多くなります。

共有持分の売却を検討するなら、ベンナビ不動産売却で共有持分に対応した会社を探し、査定の相談から始めてみてください

共有者との争いがすでに生じている場合は、弁護士への相談も選択肢に入れながら、共有状態の解消へ一歩を踏み出しましょう。

放置する期間が長くなるほど、選べる手段は少なくなっていきます。
※弁護士に依頼した場合、別途弁護士費用が発生します。費用や見通しは相談時に確認してください。

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