土地の売却査定は4種類! 査定額の決まり方と依頼前に整える書類・権利関係を解説
親から相続した土地を使う予定がないまま、固定資産税と草刈りの負担だけが続いている。
売ると決めたものの、どこにいくらで頼めばよいか分からない。
同じ悩みで足踏みしている方は少なくありません。
売却に向けて最初に取りかかるのが売却査定です。
土地の売却査定は、机上査定・訪問査定・匿名査定/AI査定・買取査定の4種類に分かれます。
不動産会社に依頼するぶんは、いずれも費用が0円です。
査定を受けただけでは売却の義務も生じません。
本記事で解説するのは、4種類の違いと選び方、査定額を左右する7つの評価項目です。
あわせて依頼の流れと必要書類、相続した土地で先に整えておく権利関係も扱います。
読み終えたときには、自分に合う査定を1つ選び、書類と権利関係をそろえて申し込める状態になります。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
土地の売却査定は4種類 依頼する前に違いを押さえる

土地の売却査定には、次の4種類があります。
- 机上査定
- 訪問査定
- 匿名査定・AI査定
- 買取査定
精度を取るなら訪問査定、営業連絡を避けたいなら匿名査定、早さと確実さを取るなら買取査定を選びます。
| 査定の種類 | 現地確認 | 結果が届くまで | 精度 | 営業連絡 |
|---|---|---|---|---|
| 机上査定 | なし | 当日〜翌日 | 概算 | あり |
| 訪問査定 | あり | 数日〜1週間 | 高い | あり |
| 匿名査定・AI査定 | なし | 即時〜数日 | 粗い | なし |
| 買取査定 | あり | 数日 | 確定額 | あり |
机上査定|現地を見ずに資料だけで概算額を出す査定
机上査定とは、住所・面積・形状などの資料だけで概算額を出す査定を指します。
会社によっては簡易査定という呼び名です。
現地に足を運ばないため、最短で当日、遅くとも翌日には結果が届きます。
不動産会社が見るのは、登記情報と近隣で成約した土地の価格です。
地図と数字だけで組み立てるため、現地に行かなければ分からない条件は金額に入りません。
道路との高低差、隣地からの越境、地中の埋設物は反映されないと考えてください。
机上査定の使いどころは、依頼先を3社程度に絞り込む段階です。
金額の高さより、担当者がどんな根拠を添えてくるかを見比べます。
売り出し価格を確定させる段階ではなく、候補を減らす段階で使ってください。
無料のため、複数社へ同時に出しても金銭の負担はありません。
訪問査定|担当者が現地を確認して売り出し価格の根拠まで示す査定
訪問査定とは、担当者が現地と役所を調べたうえで、売り出し価格の根拠まで示す査定を指します。
現地の確認にかかる時間は1〜2時間、査定書が届くまでは数日から1週間が目安です。
現地では、接道の幅、道路との高低差、隣地との越境を確認します。
地中の埋設物や、残っている建物と家財の量も見ます。
役所での調査対象は、用途地域・建ぺい率・容積率・上下水道の引き込み状況です。
土地の価格は建てられる建物の大きさで決まるため、役所調査の結果が金額を大きく動かします。
実際に売り出す価格を決める段階では、訪問査定を受けてください。
机上査定の金額だけで媒介契約に進むと、現地確認の後に金額を下げられる展開になりやすくなります。
日程は申し込みから3日前後で調整できる会社が多数を占めます。
匿名査定・AI査定|個人情報を伝えずに相場感だけつかむ査定
匿名査定・AI査定とは、氏名や電話番号を伝えずに、物件情報だけで概算額を受け取る査定を指します。
電話がかかってこない代わりに、精度は机上査定より粗くなります。
金額を出す仕組みは、過去の取引事例と地価情報からの機械的な算出です。
人が現地を見ないうえに、個別の事情を聞き取る工程もありません。
旗竿地のような変形地、再建築ができない土地、借地権が付いた土地では、実際の取引価格と大きくずれます。
匿名査定・AI査定が向くのは、売るかどうかを決めかねている段階の情報収集です。
おおよその桁を知ったうえで、売る方向に傾いたら机上査定へ進んでください。
相続した土地を売るか貸すか迷っている段階でも、金額の目安があれば家族と話し合えます。
買取査定|不動産会社が直接買い取る前提で出す査定
買取査定とは、不動産会社が自ら買主となって買い取る前提で出す査定を指します。
買主を探す期間が要らないぶん、提示額は仲介での想定成約価格より低くなります。
仲介の査定額と買取査定額は、そもそも性質が別物です。
仲介の査定額は「3ヵ月ほどで売れるであろう価格」の予想にすぎません。
買取査定額は、買い取る会社が支払う金額として即座に確定します。
予想と確定額を同じ土俵で比べないでください。
境界が確定していない土地、接道が足りない土地、共有名義の土地は、仲介に出しても買主が付きにくくなります。
買主が見つからないまま媒介契約が切れた経験があるなら、買取査定を受けて確定額を確かめてください。
仲介と買取の両方を出してもらえば、金額の差と期間の差を並べて選べます。
土地の売却査定にかかる費用は0円 有料になるのは不動産鑑定だけ
不動産会社に依頼する売却査定の費用は0円です。
有料になるのは不動産鑑定士による鑑定評価だけで、土地のみでも20万円前後かかります。
費用を心配せずに申し込んでかまいません。
不動産会社の査定が無料な理由
不動産会社の査定が無料なのは、査定を媒介契約を取るための営業活動と位置づけているためです。
査定単体で利益を取る仕組みにはなっていません。
不動産会社に報酬が入るのは、売買が成立して仲介手数料を受け取る段階だけです。
査定に人件費と交通費をかけても、媒介契約につながらなければ回収できません。
だからこそ各社にとって、査定は自社の販売力を売り込む場です。
無料である以上、1社で決める理由はありません。
机上査定を3社前後に出し、金額の根拠と担当者の説明を並べて比べてください。
比べた事実が、後の価格交渉での判断材料になります。
1社だけの提示額で判断できないのは、高いか安いかを測る基準がないためです。
査定を断っても費用を請求される仕組みはありません。
不動産鑑定士による鑑定評価は20万円前後の有料
不動産鑑定士による鑑定評価は有料で、土地のみの案件では20万円前後が目安です。
鑑定事務所が公表する報酬表でも、更地の鑑定は20万円台から30万円台に分布しています。
物件の規模と権利関係の複雑さで金額は動きます。
鑑定評価を使う場面は、第三者に金額の根拠を示す必要があるときです。
遺産分割の調停、税務署への説明、裁判所への提出が当てはまります。
売るためだけであれば、不動産会社の無料査定で足ります。
相続人どうしで土地の評価額に折り合いがつかない場合は、鑑定評価を検討してください。
話し合い自体が止まっている段階なら、鑑定を発注する前に弁護士へ相談したほうが早く進みます。
鑑定を使うかどうかは、金額の根拠を誰に示す必要があるかで決めてください。
査定を受けても売る義務は生じない
査定を受けただけでは、売却の義務は生じません。
売買の権利義務が動き出すのは、媒介契約や売買契約を結んだ時点からです。
断りたいときは、媒介契約を結ばずに終えるだけで済みます。
「今回は見送ります」と伝えれば、以後の手続きは不要です。
書面に署名も押印もしていない段階であれば、金銭の負担も発生しません。
金額を知るためだけに査定を申し込んでかまいません。
売るか貸すか迷っている段階でも、まず数字を手に入れてから考えてください。
権利関係が複雑で断られないか不安な場合は、相続や共有の事情を伝えたうえで相談してください。
訪問査定を受けた後に断っても、出張費や調査費を求められる扱いにはなりません。
査定は依頼先を選ぶための材料集めと考えてください。
土地の査定額を左右する評価項目は7つ

査定額は、次の7つの条件で決まります。
- 面積と形状
- 接道状況
- 用途地域と建ぺい率・容積率
- 最寄り駅からの距離と周辺環境
- 境界の確定状況と越境の有無
- 地盤・高低差・埋設物
- 古家や残置物の有無
前半4つは土地の条件と周辺の条件、後半3つは引き渡しまでに片づける条件です。
査定書が届いたら、7つを1つずつ照らして根拠を確かめてください。
面積と形状
同じ面積でも、正方形や長方形に近い整形地は高く評価されます。
三角地や旗竿地は建てられる建物が制限されるぶん、低く評価されます。
整形地の評価が高いのは、建物の配置に無駄が出ないためです。
買主は購入前に間取りを想像します。
玄関の位置、駐車場の取り方、庭の広さまで見通しが立つ土地は、買い手が付くまでの期間も短くなります。
評価が下がる幅は、形の崩れ方しだいです。
旗竿地は路地部分に建物を建てられないため、実際に使える面積が登記面積より小さくなります。
傾斜地では造成費が加わります。
自分の土地の形は、法務局で取れる公図と地積測量図で確認してください。
登記面積と実測面積がずれている土地では、査定額も実測を前提に組み直されます。
接道状況
建築基準法43条1項は、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。
自動車だけが通る道路は、43条1項でいう道路の対象外です。
2メートルの条件を満たさない土地には建物を建てられないため、査定額は大きく下がります。
条件を満たしたうえで、接する方向が増えると評価は上がります。
角地は2方向から出入りでき、採光と通風の面でも有利です。
同じ面積・同じ用途地域でも、角地は中間の区画より1割前後高く評価される例が見られます。
接道が足りない土地は、仲介に出しても買主が付きにくくなります。
建て替えができない土地を住宅用として買う人は限られるためです。
再建築ができないと言われた土地は、買取査定を受けて確定額を確かめる方向へ切り替えてください。
用途地域と建ぺい率・容積率
用途地域は、指定された区域に建てられる建物の種類を決める都市計画上の区分です。
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の上限、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の上限です。
3つの指定が緩いほど買主の使い道が広がり、査定額は上がります。
市街化調整区域に指定された土地では、原則として新しく建物を建てられません。
農地や山林として使う前提の区域だからです。
同じ広さの土地でも、市街化区域の宅地と比べて評価は大きく下がります。
自分の土地の指定は、市区町村の都市計画課で確認できます。
都市計画の情報をインターネット上で公開している自治体も多数です。
査定を申し込む前に用途地域と建ぺい率・容積率を控えておくと、担当者の説明を検証しやすくなります。
最寄り駅からの距離と周辺環境
駅から徒歩10分以内の土地は高く評価されます。
不動産広告では道路距離80メートルを徒歩1分として計算するため、徒歩10分はおよそ800メートルに当たります。
加算されるのは、商業施設・学校・病院・公園が近い立地です。
減額されるのは、騒音や臭気を伴う施設、線路や幹線道路に接した区画です。
同じ町名でも、区画の位置で単価は変わります。
駅から遠い土地は、面積あたりの単価より総額で見られます。
郊外では買主の予算上限が先に決まっているためです。
広い土地を分割して売り出す提案が出た場合は、分筆にかかる費用と期間もあわせて確認してください。
駅からの距離は査定額に直結するため、査定書の記載が実際の徒歩分数と合っているかも確かめてください。
境界の確定状況と越境の有無
隣地との境界が確定していない土地は、査定額が下がります。
買主が引き渡し後の紛争を警戒するためです。
塀や樹木が隣地にはみ出していれば、はみ出しの解消が引き渡しの条件になります。
境界が確定しているとは、隣地の所有者が立ち会って署名した確定測量図がある状態を指します。
古い土地でよくあるのが、境界標そのものが失われている状態です。
確定測量にかかる期間は3ヵ月前後、費用は土地家屋調査士の事務所が公表する金額で40万円台から80万円台に分布しています。
隣地の数と官地との接し方で金額は動きます。
隣地と境界で揉めている場合は、測量より先に法的な整理を済ませてください。
立会いを拒まれた状態で測量を発注しても、確定測量図は完成しません。
相手方との交渉が止まっているなら、弁護士に相談して進め方を決めてください。
地盤・高低差・埋設物
軟弱地盤の土地や、道路との高低差が大きい土地は査定額が下がります。
買主が地盤改良費や造成費を負担するため、見込み額が先に差し引かれるからです。
地中に旧建物の基礎やコンクリート片が残っている場合も、撤去費の見込み額が引かれます。
引き渡し後に地中埋設物が見つかると、売主が撤去費を負担する展開になりやすくなります。
掘削を伴う工事をした記憶があるなら、査定の段階で伝えてください。
過去の地歴がわかる資料は、査定時に出したほうが有利に働きます。
古い航空写真、以前の建物の図面、地盤調査報告書が当てはまります。
不利な情報を隠すより、先に開示して価格に織り込んでください。
地盤調査を実施していない土地でも、周辺の造成履歴から地盤の強さは推定されます。
古家や残置物の有無
建物が残っている土地は、解体費の見込み額を差し引いて評価されます。
家財や庭木が残っていれば、処分費も同じように引かれます。
解体費の目安は、木造で1坪あたり3万円台から5万円台です。
解体工事業者の公表値に幅があるのは、重機を入れられる道幅かどうか、アスベストの有無で工事内容が変わるためです。
30坪の木造住宅であれば、100万円前後を見込んでおくと大きく外れません。
先に解体するかどうかの判断は、査定額を見てからで十分です。
更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年の固定資産税が上がります。
建物を残したまま売る道もあるため、解体費と税負担の両方を並べて判断してください。
家財の処分費を売主が負担するか買主が引き受けるかも、契約前に決めておいてください。
査定額の計算に使う3つの手法と自分で調べる4つの公的価格
不動産会社は、次の3手法で査定額を出します。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
土地の査定では取引事例比較法が中心です。
あわせて4つの公的価格を使えば、自分でも概算額を出せます。
自分の数字を持って査定に臨むと、提示額の妥当性を判断できます。
取引事例比較法|近隣の成約事例を補正して求める手法
取引事例比較法とは、近隣で実際に成約した土地の価格を集め、条件の差を補正して対象地の価格を求める手法を指します。
土地の査定で中心に使われる手法です。
補正の中身は、面積・形状・接道・駅距離の差です。
奥行きが極端に長い土地は使いにくいため、単価を下げる補正が入ります。
角地は逆に加算の対象です。
事例の取引時期が古ければ、地価の推移に合わせて時点修正を加えます。
査定書が届いたら、採用した事例が何件で、どの取引を使ったかを確認してください。
事例が1件しかない査定書は、根拠として弱いと判断できます。
3件以上の事例を挙げ、補正の理由まで書いてある会社を残してください。
近隣で取引が少ない地域では、範囲を広げた事例が使われるため誤差が大きくなります。
原価法|土地を造成し直す費用から求める手法
原価法とは、対象の土地を今から造成し直すといくらかかるかを積み上げ、経過年数ぶんを差し引いて価格を求める手法を指します。
計算の骨格は、造成前の素地価格に造成費を足す形です。
宅地として整った土地の単体査定では、補助的な位置づけにとどまります。
造成の手間が価値に直結する土地でこそ意味を持つ手法だからです。
原価法の数字が前面に出てくるのは、傾斜地を切り盛りして造成した土地や、大規模な区画整理を経た土地です。
査定書に原価法の記載があれば、造成費の内訳まで説明を求めてください。
内訳を示せない会社は、根拠が弱いと判断してください。
造成が終わってから年数が経つほど、差し引かれる額は大きくなります。
相続した農地や山林を宅地に転用して売る場合も、原価法の考え方が関わります。
収益還元法|土地が生む賃料収入から逆算する手法
収益還元法とは、駐車場や貸地として運用した場合の年間収入を利回りで割り戻し、価格を求める手法を指します。
対象となるのは、収益物件の敷地や事業用地です。
年間の賃料収入から管理費と固定資産税を引き、残った額を期待利回りで割ります。
住宅地の更地では買主が自分で住む前提のため、参考値にとどまります。
現在コインパーキングや資材置き場として貸している土地なら、収益還元法の数字も確認してください。
賃料収入が安定している土地は、取引事例比較法だけで測るより高く評価される場合があります。
借地契約が付いた土地では、契約の残存期間も価格に影響します。
借主がいる土地では明け渡しの可否も反映されるため、賃貸借契約書を用意しておいてください。
公示地価・基準地価・相続税路線価・固定資産税評価額で自分で概算する
4つの公的価格は国や自治体が公表しており、実勢価格との比率もわかっています。
査定を受ける前に自分で概算額を出しておけば、提示額が妥当かどうかを判断できます。
| 公的価格 | 公表主体 | 公表時期 | 実勢価格に対する水準 |
|---|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省 | 毎年3月 | ほぼ同水準 |
| 基準地価 | 都道府県 | 毎年9月 | ほぼ同水準 |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 毎年7月 | 公示地価の約80% |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 3年ごとに評価替え | 公示地価の約70% |
手元の資料から概算する式は2通りです。
固定資産税の納税通知書があれば「評価額 ÷ 0.7 × 1.1」で実勢価格の目安が出ます。
路線価図を使う場合は「路線価 × 面積 ÷ 0.8 × 1.1」で計算します。
自分で出した概算額を控えたうえで査定に臨んでください。
提示額が概算から大きく離れていた場合、差額の理由を担当者に説明してもらえば、根拠のある査定かどうかを見分けられます。
土地の売却査定を依頼する流れは5ステップ
査定の依頼は、次の5ステップで進みます。
1. 必要書類をそろえる
2. 机上査定で依頼先を絞る
3. 訪問査定で現地を見てもらう
4. 査定書の根拠を確認する
5. 媒介契約を結ぶ
媒介契約を結ぶまでは費用が発生しません。
まずは手元の書類を確認するところから始めてください。
必要書類をそろえる
査定の段階で求められるのは、登記事項証明書・公図・地積測量図・固定資産税納税通知書の4点です。
手元にそろっていなくても査定は受けられます。
| 書類 | 取得先 | 手数料の目安 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局/オンライン請求可 | 480円〜600円 |
| 公図 | 法務局/オンライン請求可 | 430円〜450円 |
| 地積測量図 | 法務局/備え付けがない場合あり | 430円〜450円 |
| 固定資産税納税通知書 | 毎年4月〜6月に市区町村から郵送 | 無料 |
相続した土地では、被相続人の名義のままの書類しか手元にない場合があります。
名義が変わっていなくても登記事項証明書は誰でも取得できるので、まず取り寄せてください。
境界に関する資料は、隣地との取り決めを記した覚書や過去の測量図が残っていないかを確認してください。
書類が1つもそろわない状態でも、住所と面積がわかれば査定は申し込めます。
不動産会社は登記情報を自社で取得できるためです。
机上査定で依頼先を絞る
まず机上査定を3社前後に出し、提示額と担当者の説明を見て、訪問査定に進む会社を絞ります。
3社という目安には理由があります。
1社では比較ができず、5社を超えると連絡対応だけで負担が重くなるためです。
同じ土地でも会社によって提示額は割れます。
得意な地域が違い、直近で扱った販売実績も違うからです。
近隣で似た条件の土地を売った実績がある会社は、買主の層まで具体的に説明できます。
提示額に開きが出たときは、根拠を具体的に説明できる会社を残してください。
「相場より高く売れます」としか言わない会社より、採用事例と補正の理由を挙げる会社のほうが、売り出し後の見通しも正確です。
担当者から折り返しの連絡が来るまでの早さも、比較の材料になります。
訪問査定で現地を見てもらう
訪問査定では、担当者が1〜2時間かけて現地を確認します。
査定書が届くまでは数日から1週間が目安です。
当日は立ち会って土地の履歴を伝えてください。
伝える情報は4点あります。
越境の有無、過去に何に使っていたか、地中の埋設物の心当たり、隣地の所有者との関係です。
井戸や浄化槽を埋めた記憶、以前建っていた建物の構造も価格に関わります。
土地の履歴を伝えるほど査定額の精度は上がります。
不利な情報を伏せたまま高い査定額を受け取っても、売買契約の後に減額交渉を受ければ無意味です。
立ち会える日程を先に押さえておいてください。
当日は境界標の位置と越境物も一緒に確認します。
立ち会えない場合は、確認してほしい点を事前に伝えておいてください。
査定書の根拠を確認する
査定書は金額ではなく根拠を見ます。
採用した取引事例、補正の内容、想定売却期間の3点が書かれていない査定書は、判断材料になりません。
3点がそろっていれば、金額の妥当性を自分で検証してみてください。
事例の所在地と成約時期を地図と照らせば、似た条件かどうかがわかります。
想定売却期間が6ヵ月を超えている場合、売り出し価格が高すぎる可能性を疑ってください。
根拠を説明できない担当者は候補から外します。
金額の高さだけで会社を選ぶと、売り出し後に値下げを重ねる展開になりやすくなります。
相続や共有で権利関係が入り組んでいる土地では、査定額の前に売れる状態かどうかを確認してくれる会社を選んでください。
説明を求めたときの対応の速さも、売却期間の見通しに関わります。
媒介契約を結ぶ
宅地建物取引業法34条の2第1項は、売買の媒介契約を結んだ業者に、所定の事項を記載した書面をすみやかに作成し依頼者へ交付するよう義務づけています。
記載事項には、物件の表示、売買すべき価額、有効期間と解除に関する定めが含まれます。
書面を出さない会社とは契約しないでください。
媒介契約は3種類です。
| 契約の種類 | 他社への同時依頼 | 自分で買主を見つける | 報告義務 | レインズ登録 |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | できる | できる | 定めなし | 任意 |
| 専任媒介契約 | できない | できる | 2週間に1回以上 | 契約から7日以内 |
| 専属専任媒介契約 | できない | できない | 1週間に1回以上 | 契約から5日以内 |
買い手が付きやすい市街地の整形地なら、一般媒介契約で複数社を競わせます。
買主が限られる郊外の土地は、1社に責任を持たせる専任媒介契約のほうが動きます。
親族に売る予定があるなら、自己発見取引ができない専属専任媒介契約は避けてください。
相続した土地は査定を受ける前に権利関係を整える
相続した土地では、次の3点を先に確認します。
- 相続登記が済んでいるか
- 共有者全員の同意を取れるか
- 遺産分割が終わっているか
査定自体はどの段階でも受けられます。
ただし売買に進むには、名義と同意が整っていることが前提です。
相続登記が済んでいない土地は名義変更ができない
不動産登記法76条の2第1項は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内の登記申請を、取得した人に義務づけています。
遺産分割で法定相続分を超えて取得した場合は、分割の日から3年以内が期限です。
登記が被相続人の名義のままでは、買主への名義変更ができません。
売買契約を結んでも、決済日に所有権を移せなければ引き渡しは成立しません。
相続登記は売買契約までに終えてください。
登記が済んでいない段階でも、査定は受けられます。
名義変更と査定は別の手続きだからです。
相続人が複数いる、戸籍の収集が進んでいないなど登記に時間がかかりそうな場合は、査定と並行して司法書士や弁護士に相談してください。
共有名義の土地を丸ごと売るには共有者全員の同意が要る
民法251条1項は、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができないと定めています。
形や用途が著しく変わらない範囲の行為は除かれますが、土地全体の売却は変更に当たります。
共有者が1人でも反対すれば、土地を丸ごと売るのは不可能です。
一方で、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意なく売却できます。
持分は各共有者が単独で処分できる権利だからです。
売却先は限られますが、持分の買取に対応する会社であれば査定を受けられます。
共有者と連絡が取れない、話し合いがまとまらないという場合は、弁護士に相談してください。
所在がわからない共有者がいる場合の裁判所の手続きや、共有関係を解消する手続きを取れる可能性があります。
査定額を手元に用意しておくと、話し合いも交渉も進めやすくなります。
遺産分割が終わっていなくても査定だけは受けられる
遺産分割の話し合いが続いている段階でも、査定を受けること自体に制限はありません。
査定は財産の処分ではなく、金額を調べる行為にとどまるからです。
相続人の1人が単独で査定を申し込んでも、他の相続人の権利は損なわれません。
後で「勝手に売ろうとした」と受け取られる展開は避けたいところです。
査定を申し込む前に、金額を調べる目的であると他の相続人へ伝えておいてください。
金額の根拠を共有すると、話し合いは前に進みます。
土地を売って現金で分けるか、1人が取得して他の相続人に代償金を払うかは、土地の価格がわからなければ決められません。
査定額は分割案を作るための材料です。
相続人が複数いる場合は、同じ会社の査定書を全員で共有すると認識のずれが出ません。
土地の売却査定で失敗しないための注意点
査定を受けた後につまずきやすい点は4つあります。
- 高い査定額だけで会社を選ばない
- 一括査定の営業連絡を織り込んでおく
- 査定額と成約価格を混同しない
- 境界を確定させてから売り出す
4点はいずれも、査定額の受け取り方に関わります。
依頼する前に頭に入れておいてください。
高い査定額だけで会社を選ぶと売れ残る
媒介契約を取るために、相場より高い査定額を出す会社があります。
高値で売り出すと問い合わせが入らず、値下げを重ねた末に相場より安く売れる展開になります。
高値査定が起きるのは、媒介契約を結ばなければ営業活動を始められないためです。
売主は高い金額を提示した会社に好印象を持ちます。
契約を結んだ後に現地の条件を理由として減額を提案されると、売主は他社へ切り替えにくくなります。
売り出しから3ヵ月で反応がなければ、次に来るのは値下げの提案です。
1回目の値下げで反応がなければ2回目が続きます。
各社の提示額が割れたときは、高い額ではなく、根拠を具体的に示した会社を選んでください。
値下げを重ねた土地は、買主から売れ残りと見られて交渉でも不利になります。
一括査定サイトは複数社からの営業連絡が集中する
一括査定サイトは1回の入力で複数社に情報が渡るため、申し込んだ直後から電話とメールが重なります。
日中に仕事がある方にとっては、対応が負担になります。
連絡が集中するのは仕組み上の必然です。
運営会社は提携する不動産会社から送客手数料を受け取ります。
会社側は他社より先に接触した順に媒介契約の可能性が高まるため、申し込み直後に連絡を入れます。
負担を抑える方法は3つです。
申込画面の備考欄で連絡手段をメールに限定する、連絡可能な時間帯を指定する、一括ではなく1社ずつ個別に依頼する、のいずれかです。
営業連絡を避けたい場合は、匿名査定から始めてください。
申し込む前に、提携している会社数と対応地域も確認しておいてください。
査定額と成約価格は一致しない
査定額は「3ヵ月ほどで売れると見込む価格」の予想です。
実際の成約価格は買主との交渉で決まるため、査定額どおりに売れる保証はありません。
土地の売買では、買主から値引きの申し出が入るのが通例です。
売り出し価格から数パーセントの値引きで着地する例が多く、条件に難のある土地ではさらに開きます。
査定額を手取り額として計算すると、資金計画が狂います。
先に決めるのは手取り額です。
手取り額に仲介手数料・登記費用・測量費・解体費を足し戻し、合計額から売り出し価格を逆算してください。
逆算した価格が相場を大きく超える場合は、仲介ではなく買取を含めて検討し直します。
値引き幅を織り込んだ売り出し価格にしておくと、交渉に応じる余地を残せます。
境界が未確定のまま売り出すと引き渡し後に揉める
境界標が見当たらない、確定測量図がないという状態で売り出すと、引き渡し後に隣地から越境や面積の指摘を受けます。
売買契約では境界の明示を売主の義務とするのが通例のため、指摘を受けた売主が対応を求められます。
起きる紛争は具体的です。
買主が建物を建てようとした段階で塀の越境が判明します。
実測面積が登記面積を下回り、代金の返還を求められるのも典型例です。
隣地が境界の位置を争って工事が止まる場合もあります。
確定測量には3ヵ月前後かかります。
売却を決めたら、売り出しの3ヵ月以上前には土地家屋調査士へ依頼してください。
隣地が立会いに応じない場合は、法務局の筆界特定制度や訴訟という手段があります。
隣地との関係が悪化している段階なら、測量の前に弁護士へ相談したほうが確実です。
土地の売却でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ
土地の売却で法的な整理が先に要る場面は3つあります。
共有者との対立、隣地との境界紛争、相続人の間で遺産分割が行き詰まった状態です。
いずれも査定や売却活動を進める前に片づける必要があります。
不動産会社は権利関係の争いを解決できません。
宅地建物取引業者の業務は媒介と代理であり、相手方との法的な交渉は弁護士の役割だからです。
共有者に売却を拒まれている状態で仲介を依頼しても、売り出しまで進みません。
弁護士に依頼すると、次の手段を取れます。
共有者や隣地所有者との交渉の代理、共有関係の解消を裁判所に求める手続き、境界の位置を確定させる手続き、遺産分割調停の申し立てです。
話し合いが止まっている期間にも固定資産税と管理費は出ていくため、早い段階で相談したほうが負担は軽くなります。
権利関係が絡む土地の売却は、弁護士と連携できる窓口へ相談してください。
土地の売却査定に関する悩みは「ベンナビ不動産」で解決しよう
ベンナビ不動産は、共有持分・相続した土地・空き家・再建築ができない土地といった、通常の仲介では買主が付きにくい不動産の無料査定と直接買取を扱っています。
司法書士・弁護士と連携しているため、権利関係が整っていない土地でも相談できます。
同社の案内では、査定の受付は24時間365日、費用は0円です。
買取に進む場合は最短3日で現金化できる例があり、買取が成立した場合の弁護士費用・登記費用・ごみの処理費用は0円です。
共有名義の土地であれば、他の共有者の同意を取らずに自分の持分だけを売却できます。
査定を受けたからといって売却を迫られる場面はなく、しつこい営業も行いません。
買取価格は土地の条件で決まるため、掲載された事例と同じ金額になるとは限りません。
相続した土地を持て余している、共有者と話がまとまらない状況なら、まず査定額を確かめてください。
土地の売却査定に関するよくある質問
土地の査定は何社に依頼すべきですか
机上査定を3社前後に出し、3社のうち1〜2社に訪問査定を依頼するのが目安です。
1社では金額の妥当性を判断できず、5社を超えると連絡対応の負担が重くなります。
査定は無料のため、比較の手間に見合う範囲で複数社に当ててください。
土地の査定にはどのくらいの日数がかかりますか
机上査定は当日から翌日、訪問査定は現地確認から数日から1週間が目安です。
訪問査定では役所調査と近隣の事例収集を挟むため、時間がかかります。
急いで金額を知りたい場合は、机上査定を先に受けてください。
相続人の1人が単独で土地の査定を頼んでもよいですか
査定を受けること自体に他の相続人の同意は不要です。
査定は財産の処分に当たらないためです。
ただし売却には相続人全員の同意が要るため、査定を申し込む前に金額を調べる目的であると伝えておいてください。
電話連絡なしで土地の査定を受けられますか
匿名査定やAI査定を使えば、氏名や電話番号を伝えずに概算額を受け取れます。
精度は机上査定より粗く、変形地や再建築ができない土地では実勢価格と開きます。
売る方向が固まった段階で、机上査定に切り替えてください。
査定額1,000万円の土地は1,000万円で売れますか
査定額は3ヵ月ほどで売れると見込む予想価格です。
買主から値引きの申し出が入るため、成約価格は査定額を下回る場合が多くなります。
手取り額を先に決め、諸費用を足し戻して売り出し価格を組み立ててください。
まとめ|土地の売却査定は4種類・机上査定3社から始める
土地の売却査定について、要点を整理します。
- 査定は机上査定・訪問査定・匿名査定/AI査定・買取査定の4種類に分かれ、不動産会社に頼むぶんは0円
- 査定を受けても売却の義務は生じない。有料になるのは不動産鑑定士による鑑定評価だけ
- 査定額は面積と形状・接道・用途地域・立地・境界・地盤・古家の7点で決まる
- 依頼の流れは、書類準備から媒介契約まで5ステップ
- 相続した土地は、相続登記・共有者の同意・遺産分割の3点を売買契約までに整える
まず机上査定を3社前後に出し、根拠を具体的に示した会社に訪問査定を依頼してください。
共有者との対立や境界紛争を抱えている場合は、査定と並行して弁護士に相談すると、売れる状態まで戻す道筋が見えます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。