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再建築不可物件はどうする?原因の特定から活用・売却までの進め方を解説
相続で引き継いだ実家が再建築不可物件だと知らされ、住む予定も建て替える予定もないまま固定資産税だけを払い続けている。
固定資産税だけを払い続けたまま、今後どうすればよいのかを調べ始める方は少なくありません。
再建築不可物件には、建て替えを可能にする方法も、建て替えないまま使う方法も、手放す方法もあります。
個別の方法から調べ始めると比較の軸が定まらず、判断がつかないまま時間だけが過ぎがちです。
順序を先に決めてから調べたほうが早く結論を出せます。
本記事は、検討すべき順序に沿って4つの手順を整理します。
最初に扱うのは、再建築不可になっている原因の特定と、再建築可能にする方法です。
そのうえで2025年4月施行の建築基準法改正の影響、建て替えないままの活用、売却までを順に確認できます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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再建築不可物件をどうするかは4つの手順で決まる

再建築不可物件の扱いは、次の4つの手順を上から順に検討すると絞り込めます。
| 手順 | 確認すること | 判断の分かれ目 |
|---|---|---|
| 手順1 | なぜ再建築不可になっているのか | 接道義務・道路幅員・市街化調整区域のどれか |
| 手順2 | その原因を解消できるか | 隣地所有者の協力または行政の許可を得られるか |
| 手順3 | 建て替えないまま使えるか | 立地に賃貸や駐車場の需要があるか |
| 手順4 | どのルートで売るか | 価格の高さと成約の確実性のどちらを優先するか |
手順を上から検討する意味があるのは、再建築可能にできるかどうかで物件の値段が大きく変わるからです。
建て替えられる土地になれば、周辺の一般的な相場に近い価格で扱われます。
原因を確かめないまま活用や売却の検討に入ると、本来なら解消できた制約を抱えたまま安く手放すことになります。
先に建物を解体してしまった場合も、選べる道は減る一方です。
どの手順で止まったとしても、そこで行き止まりになるわけではありません。
手順2で解消できなければ手順3が、手順3が難しければ手順4が残ります。
所有し続けるか手放すかという二択で考えるより、上から順に条件を確かめていくほうが結論を早く出せる進め方です。
手順1:再建築不可になっている原因を特定する

再建築不可という状態は、建築基準法の条件を満たしていないために建築確認が下りない状態を指します。
原因は次の3つです。
- 建築基準法上の道路に2m以上接していない
- 前面の道の幅員が4m未満である
- 市街化調整区域にある
どの原因かによって、使える方法が変わります。
接道義務を満たしていない
建築基準法43条1項は、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないと定めています。
建築基準法上の道路とは、同法42条1項が定める幅員4m以上のものです。
つまり「幅員4m以上の道路に、2m以上接している」という2つの条件を同時に満たす必要があり、どちらかを欠くと建築確認が下りません。
接道義務を満たさない状態になりやすいのが、周囲を他人の土地に囲まれた袋地と、通路部分が細長く伸びた旗竿地です。
旗竿地では、竿にあたる通路の幅がどこか1か所でも2mを下回ると条件を満たしません。
入口だけ2mあっても、途中が1.8mであれば足りない扱いになります。
接している道が私道である場合も、私道が建築基準法上の道路にあたらなければ同じ扱いです。
舗装されて車が通っていても、法律上の道路かどうかは別に判断されます。
【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索
前面道路の幅員が4m未満になっている
幅員が4mに満たない道でも、建築基準法42条2項の指定を受けていれば道路として扱われます。
指定を受けた道は2項道路と呼ばれます。
一方、指定を受けていない道は法律上の道路ではないため、いくら接していても接道義務を満たさない扱いです。
2項道路に接している場合、道の中心線から水平距離2mの線が道路の境界線とみなされます。
建て替えるときは、境界線まで敷地を後退させる必要があり、後退した部分には建物も塀も置けません。
ただし、道の向かい側が崖地や川などに沿っている場合は扱いが別です。
そちら側の境界線から4mの線が境界とみなされ、自分の側だけで4mを確保する形になります。
幅員不足の類型は、敷地を後退させることで解消できる余地が比較的大きい部類に入ります。
市街化調整区域にある
市街化調整区域は、都市計画法7条に基づいて市街化を抑制すると定められた区域です。
市街化調整区域の中で建築を伴う開発を行うには、原則として都道府県知事等の開発許可が必要になります。
すでに建物が建っていても、建て替えの際には改めて許可の審査を受けます。
許可が下りなければ建て替えられないため、接道の条件を満たしていても実質的には再建築不可です。
許可の要件は自治体ごとに運用が異なります。
市街化調整区域に指定される前から建っていた建築物の建て替えについて、緩やかな基準を設けている自治体もあります。
線引きの時期や過去の建築時期によって結論が変わるため、市区町村の都市計画課で自分の物件の扱いを確認してください。
【参考】都市計画法|e-Gov 法令検索
自分の物件が再建築不可かどうかを調べる方法
原因の特定は、市区町村の窓口で確認できます。
費用はほとんどかからず、当日のうちに判別できる場合もあります。
確認先と項目の対応は次のとおりです。
| 確認先 | 確認する項目 | わかること |
|---|---|---|
| 建築指導課 | 前面道路の種別・幅員・接道長さ | 3つの原因のどれに当たるか |
| 都市計画課 | 区域区分 市街化区域か調整区域か | 開発許可が必要かどうか |
| 法務局 | 公図・地積測量図・登記事項証明書 | 敷地の形状と権利関係 |
窓口へ行く前に用意しておきたい資料は、登記事項証明書・公図・住宅地図・固定資産税納税通知書の4点です。
手元にあると話が早く進みます。
特に公図があると、担当者が道路台帳と照らし合わせて即座に判断できます。
電話で回答してもらえる照会は、道路の種別までです。
接道長さが2mを満たすかどうかのように図面を見ながらでないと判断できない項目は、窓口で確認する必要があります。
購入時に交付された重要事項説明書が手元にあれば、前面道路の種別と幅員が記載されている場合もあるため、先に確かめてください。
手順2:再建築可能にする5つの方法を検討する
接道義務が原因の場合、解消する方法は次の5つです。
| 方法 | 解消できる原因 | 必要になる相手方の協力 | 費用の性質 |
|---|---|---|---|
| 隣地の一部を買い取る | 接道長さ・幅員 | 隣地所有者の売却の同意 | 土地代と測量・登記費用 |
| 隣地と等価交換する | 接道長さ | 隣地所有者の交換の同意 | 測量・登記費用が中心 |
| セットバックする | 幅員4m未満 | 不要 自分の敷地内で完結 | 工事費と測量費 |
| 43条2項2号の許可 | 接道義務全般 | 特定行政庁の許可 | 申請手数料と図面作成費 |
| 位置指定道路の申請 | 私道が道路でない | 私道の関係権利者全員の承諾 | 工事費と申請費用 |
5つに共通するのは、セットバックを除いて自分の一存では完結しない点です。
相手方の同意か行政の判断が挟まるため、実行できるかどうかは条件次第になります。
いずれも成立しなかった場合に備えて、並行して別の出口も検討しておいてください。
隣地の一部を買い取って接道義務を満たす
道路に接している隣地の一部を買い取り、自分の敷地が道路に2m以上接する形にできれば、接道義務を満たせます。
どこをどれだけ買うかの基準は、道路までの間にある土地のうち幅2mの通路を確保できる部分です。
買い取りに伴って、境界確定測量、分筆登記、所有権移転登記が必要になります。
測量は土地家屋調査士が、登記は司法書士が担当するのが一般的です。
土地代のほかに測量費と登記費用がかかる点を見込んでおいてください。
隣地所有者にとっても、自分の土地の一部を手放す代わりに現金が入り、境界が確定するという利点があります。
とはいえ、相手に売る意思がなければそこで終わります。
交渉が整わないときは、次の方法へ移ってください。
隣地と土地を等価交換する
買い取りの資金を用意できない場合は、自分の土地の一部と隣地の一部を交換する方法があります。
旗竿地どうしが竿の部分を隣り合わせている場合のように、互いに差し出せる土地がある形であれば成立します。
交換の前提になるのは、双方の土地を必要な範囲で切り分ける分筆登記です。
交換する土地の価値に差があるときは、差額を現金で清算する形をとります。
境界確定測量も併せて必要になるため、費用の中心は測量費と登記費用です。
一定の要件を満たす固定資産の交換については、所得税法58条により譲渡がなかったものとして扱われ、譲渡所得への課税が繰り延べられる特例があります。
要件は細かく定められているため、実行する前に税理士へ確認しておくと安全です。
セットバックして幅員4mを確保する
前面が2項道路である場合、道の中心線から2m後退した線まで敷地を下げれば建て替えができるようになります。
5つの方法のうち、相手方の同意を必要としない唯一の方法です。
後退した部分には建物も塀も置けません。
敷地面積が減ることで、建ぺい率と容積率から計算される上限も下がります。
建てられる建物が従前より小さくなる点は織り込んでおいてください。
道の向かい側が崖地や川に沿っている場合は、自分の側だけで4mを確保する一方後退になり、下がる幅が大きくなります。
後退部分を市区町村へ申告すると、後退部分の固定資産税と都市計画税の扱いが変わる場合があります。
申告しないと軽減を受けられない自治体もあるため、工事後の手続きまで確認しておいてください。
建築基準法43条2項2号の許可を申請する
接道義務を満たさない敷地でも建築できる場合があります。
周囲に広い空地があるなど一定の基準に適合する建築物が対象です。
許可が下りるのは、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認め、建築審査会の同意を得たときです。
かつて43条但し書きと呼ばれていた制度が、2018年の改正で43条2項2号の許可と2項1号の認定に整理されました。
許可の判断は特定行政庁が行います。
手続きが早く進むのは、一定の条件を満たすものについて建築審査会があらかじめ包括的に同意する基準を自治体が設けている場合です。
基準を設けていない自治体では、案件ごとに個別審査を受けます。
43条2項2号の許可は建築物ごとに与えられる点に注意してください。
今回許可を得られても、将来また建て替えるときには改めて申請と許可が必要になります。
私道について位置指定道路の指定を受ける
前面が私道である場合、建築基準法42条1項5号に基づいて特定行政庁から位置の指定を受けられれば、私道も建築基準法上の道路として扱われます。
指定を受けた私道を位置指定道路といいます。
指定の条件は、幅員4m以上であることなど政令で定める技術基準への適合です。
技術基準に加えて、私道の共有者をはじめとする関係権利者全員の承諾が求められます。
古い住宅地の私道は共有者が10名を超えることも珍しくなく、相続によって所有者が把握できなくなっている場合もあります。
承諾を揃える難度は、関係者の数に比例して上がる性質のものです。
着手する前に、私道部分の登記事項証明書を取得して共有者の人数と所在を確認しておいてください。
2025年4月の建築基準法改正でリフォームの扱いが変わった
2025年4月1日施行の改正建築基準法により、建築確認の審査を省略できる範囲が縮小されました。
改正前は木造で2階建て以下かつ延べ面積500平方メートル以下が対象でした。
改正後は、都市計画区域等の区域内で平屋かつ延べ面積200平方メートル以下に限られます。
国土交通省はこの区分を新3号建築物と呼んでいます。
審査省略の縮小が影響するのは、大規模の修繕や模様替えを行う場合です。
従来は確認申請を要しなかった2階建ての木造戸建てでも、改正後は申請が必要になりました。
申請を出せば接道義務への適合も審査されるため、再建築不可物件では確認が下りません。
柱や梁を大きく入れ替えるスケルトンリフォームは実行しにくくなっています。
一方、確認を要しない範囲の工事は改正後も可能です。
内装の更新、水回りの設備交換、屋根や外壁の一部補修などが当たります。
改正は執筆時点の2026年8月ですでに施行済みです。
【参考】建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し|国土交通省
手順3:再建築可能にできない場合の活用方法を検討する
再建築可能にできない場合でも、建物を残したまま使う道と、土地として貸す道があります。
| 活用方法 | 建物の要否 | 主な支出 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 自分が住む・賃貸に出す | 必要 | 改修費 | 確認申請を要する工事はできない |
| 駐車場・資材置き場 | 不要 | 整地費・舗装費 | 前面道路が狭いと車が入れない |
| 隣地所有者へ貸す | どちらでも | ほぼ不要 | 相手の意向次第で成立しない |
活用に踏み切る前に、立地に需要があるかどうかを確かめてください。
改修費や整地費を投じてから借り手が見つからないと、支出だけが残ります。
リフォームして自分が住む、または賃貸に出す
建物が使える状態であれば、改修して住むか貸す方法が、費用対効果の面で有力な選択肢になります。
再建築不可物件は土地の評価が低く抑えられる分、固定資産税の負担も相対的に軽めです。
ただし工事の規模によっては建築確認が必要になり、その場合は実行できません。
平屋かつ延べ面積200平方メートル以下に当たるかどうかを起点に、施工会社と工事内容を詰めてください。
対になる制約も押さえておく必要があります。
再建築不可物件は購入時に住宅ローンを組みにくく、賃貸に出す場合の入居者層も限定的です。
火災や地震で建物が滅失しても建て直せないため、改修費を回収し切れないまま土地だけが残る可能性があります。
投じる金額は、回収に要する年数から逆算して決めてください。
駐車場や資材置き場として土地を貸す
建物を使わない活用として、月極駐車場、資材置き場、トランクルームなどがあります。
初期投資を抑えやすく、管理の手間も比較的軽い方法です。
もっとも、再建築不可物件は前面道路が狭い立地に多いという事情があります。
駐車場として貸すには車両が出入りできる幅が要るため、通路が2m前後しかない旗竿地では成立しません。
資材置き場やトランクルームも、搬入経路を確保できるかどうかが条件です。
もう一点、建物を解体して更地にすると、地方税法349条の3の2が定める住宅用地の課税標準の特例が適用されなくなります。
固定資産税の負担が上がるため、解体費用と併せて収支を見積もってください。
舗装や整地の費用も先に出ていくため、回収までの期間は長めに見ておく必要があります。
隣地の所有者に貸す、または売る前提で相談する
隣地の所有者にとって、隣接する土地は自分の敷地を広げたり接道の状況を改善したりできる土地です。
第三者に比べて価値を見出しやすく、条件がまとまりやすい相手といえます。
話を持ちかける前に、境界と面積を確定させておいてください。
どこまでが自分の土地かが曖昧なままでは、相手も判断できません。
対になる制約は、相手に購入や賃借の意向がなければ成立しない点です。
関係が近いだけに、断られた後も近隣としての付き合いは続きます。
価格の目安を持ったうえで、譲りすぎない線を決めてから臨んでください。
相場観を持たないまま切り出すと、相手の提示額が妥当かどうかを判断できず、後から悔いが残ります。
先に査定を取って基準をつくっておくと交渉を進めやすくなります。
使い道が決まる前に建物を解体してはいけない
再建築不可物件では、使い道を決めないまま建物を解体することは避けてください。
更地にすると次の2つが同時に起こります。
ひとつは、新たに建物を建てられない土地になることです。
既存の建物が建っている間は、建物を改修して使う道が残ります。
解体してしまえば、建築確認が下りない以上その土地には何も建てられません。
もうひとつは、地方税法349条の3の2が定める住宅用地の課税標準の特例が外れることです。
住宅が建っている土地に適用されていた軽減がなくなり、固定資産税の負担が上がります。
つまり解体費用を負担したうえで、選択肢が減り税負担が増えるという二重の損失になります。
買主から解体を条件に持ちかけられることもありますが、契約が成立する前に応じないでください。
すでに更地になっている場合は、土地利用型の活用か売却が中心の検討になります。
判断を先送りして持ち続けた場合に生じる負担
何もしないという選択にも負担が伴います。
| 項目 | 内容 | 発生する条件 |
|---|---|---|
| 保有コスト | 固定資産税・都市計画税・火災保険料・管理費用 | 所有している限り毎年 |
| 税負担の増加 | 住宅用地の特例が外れる | 特定空家等・管理不全空家等の勧告を受けたとき |
| 損害賠償責任 | 土地工作物責任 | 建物の瑕疵で他人に損害が生じたとき |
負担が増える方向は、費用の面と法的責任の面の2つです。
建物の状態が悪くなるほど改修も売却も難しくなるため、先送りするほど選べる道が狭まります。
固定資産税と維持費が毎年かかり続ける
保有しているだけでかかる費用は4種類です。
固定資産税・都市計画税・火災保険料に加えて、草木の管理や見回りにかかる費用が生じます。
金額を左右するのは評価額と所在地です。
公的な統計は存在しません。
不動産会社が公表する試算例では、固定資産税が年10万円から15万円、都市計画税が年3万円から5万円、火災保険料が年数万円から数十万円とされています。
いずれも評価額と補償内容で変わるため、合計額は手元の固定資産税納税通知書と保険証券で確かめてください。
再建築不可物件は評価額が低く抑えられる傾向があるため、税額そのものは同じ広さの一般的な土地より小さくなります。
それでも、収益を生まないまま支出だけが続く構造は変わりません。
10年単位で見れば百万円を超える支出になる点は、判断の前に押さえておいてください。
管理不全のまま放置すると税負担が増える場合がある
空き家のまま管理せずに置いておくと、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づいて、市区町村から特定空家等または管理不全空家等に指定される場合があります。
倒壊のおそれがある、衛生上有害である、著しく景観を損なっているといった状態が判断の対象です。
手続きは助言・指導から始まり、改善されない場合に勧告へ進みます。
勧告を受けた時点で、土地は地方税法349条の3の2が定める住宅用地の課税標準の特例の対象から外れます。
軽減がなくなる分だけ固定資産税の負担が上がり、増加の幅は特例の区分と敷地面積しだいです。
勧告に従わない場合には命令が出され、それでも改善されなければ行政代執行によって解体が行われ、費用は所有者に請求されます。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索
建物が倒壊して損害が生じたときの責任
民法717条は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたとき、工作物の占有者が賠償責任を負うと定めています。
ただし、占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしていたときは、所有者が賠償しなければなりません。
条文上、所有者の側には占有者のような免責の定めを置いていない点が重要です。
空き家で自分が占有者を兼ねている場合、老朽化した建物が倒れて通行人や隣家に損害を与えれば、所有者が賠償の責任を負います。
工作物責任は相続によって次の世代へ引き継がれます。
判断を先送りしたまま放置することは、老朽化した建物と賠償の責任をそのまま子どもに渡す選択です。
建物の状態が悪いほど、引き継いだ側が取れる選択肢も減ります。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
手順4:売却する3つのルートと選び方

手放すと決めた場合、売り先は次の3つに分かれます。
| ルート | 想定される買い手 | 価格の傾向 | 成約までの期間の傾向 |
|---|---|---|---|
| 隣地所有者へ売る | 隣接地の所有者 | 高くなる場合がある | 相手の意向次第で長短が大きい |
| 仲介で探す | 現金購入できる個人・投資家 | 相場に近い水準を狙える | 長期化しやすい |
| 買取業者へ売る | 訳あり物件を扱う不動産会社 | 仲介より低くなる | 短い |
再建築不可物件は住宅ローンの審査が通りにくく、買い手は現金を用意できる層に限られる市場です。
通常の物件と同じ感覚で仲介に出すと、内覧すら入らないまま数ヵ月が過ぎることがあります。
どのルートを選ぶ場合でも、複数の見立てを比べてから決めてください。
隣地の所有者に売る
隣地の所有者は、隣接する土地を取得することで自分の敷地を広げられます。
旗竿地の竿の部分を取り込めば接道の状況が改善する場合もあるため、第三者より高い評価をつけられる余地が大きい相手です。
3つのルートの中では高値がつく可能性があります。
一方で、相手に購入資金と意向があることが前提です。
断られればそこで終わります。
隣地との交渉は成否が読みにくく、返事を待つ間に時間が過ぎがちです。
相手にも資金計画や家族の事情があり、検討に数ヵ月かかることもあります。
声をかけつつ、並行して他のルートも動かしておくのが現実的な進め方です。
持ちかける前に、境界確認書と地積測量図を揃えておいてください。
面積が確定していれば相手も価格を判断でき、話が具体的に進みます。
仲介で一般の買い手を探す
仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう方法です。
相場に近い価格を狙えますが、金融機関が担保評価を出しにくいため、買い手は現金購入できる個人か、金利の高い融資を使える投資家に限られます。
母数が小さい分、成約までの期間は長くなりがちです。
再建築不可であることは、宅地建物取引業法35条に基づく重要事項説明で買い手に伝えられます。
伏せたまま売ることは不可能です。
また、売主が個人であっても民法562条以下の契約不適合責任を負います。
雨漏りやシロアリなど建物の不具合は事前に把握し、契約書へ明記したうえで責任の範囲を取り決めておいてください。
古い建物ほど引き渡し後に不具合が見つかりやすく、取り決めがないと売却後に費用を請求されます。
訳あり物件を扱う買取業者に売る
買取は、不動産会社が自ら買主になる方法です。
買い手を探す期間が要らないため、早期に現金化できます。
買取業者各社が売却期間として示す目安は、1週間から1ヵ月程度です。
価格は仲介より低くなります。
業者が再販までのリスクと費用を負う分が差し引かれるためです。
買取価格の水準について公的な統計は存在せず、立地や接道の状況、建物の状態によって差が出ます。
価格差は業者ごとの再販の想定によっても生まれます。
隣地との交渉を前提に見積もる業者と、現況のまま転売する前提の業者とでは提示額が別です。
取り扱い実績の有無によっても評価は分かれます。
複数社に当たる意味が大きいのは、業者ごとの差があるからです。
売却でつまずきやすい点と用意しておく書類
売却の話が途中で止まる原因は、書類と権利関係の準備不足です。
次の書類を先に集めておいてください。
| 書類 | 入手先 | 用途 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局 | 所有者と権利関係の確認 |
| 公図 | 法務局 | 敷地と道路の位置関係の確認 |
| 地積測量図 | 法務局 | 面積と境界の確認 |
| 建物図面・各階平面図 | 法務局 | 建物の配置と規模の確認 |
| 固定資産税納税通知書 | 手元 毎年5月頃送付 | 評価額と税額の確認 |
| 境界確認書 | 隣地所有者との取り交わし | 境界の合意の証明 |
| 通行・掘削承諾書 | 私道の関係権利者 | 私道の使用と工事の可否の証明 |
つまずきやすい点は3つあります。
1つ目は、境界が確定していないまま話を進めることです。
買主から確定測量を求められてから着手すると、隣地所有者の立ち会いに数ヵ月かかります。
2つ目は、私道の通行・掘削承諾が得られない場合です。
前面が私道なら、水道管の引き込みや補修に掘削の承諾が要ります。
承諾書がないと買主が資金計画を立てられません。
3つ目は、相続登記が済んでいないまま売ろうとすることです。
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産登記法76条の2により、相続で不動産を取得した人は登記の申請をしなければなりません。
期限は、相続の開始があったことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内です。
名義が被相続人のままでは売却できません。
相続した物件では登記の状況を最初に確認してください。
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再建築不可物件に関するよくある質問
再建築不可物件は最終的にどうなるのですか?
何もしなければ建物の老朽化が進み、資産価値は下がり続けます。
管理を怠れば勧告によって税負担が増えることがあり、倒壊すれば賠償責任も生じます。
隣地との調整や訳あり物件を扱う業者への売却によって出口をつくることも可能です。
放置と手放しのどちらを選ぶかで結末は変わります。
再建築不可物件の買取相場はどのくらいですか?
買取価格の水準を示す公的な統計は存在しません。
立地、接道の状況、建物の状態によって差が大きく、同じ物件でも業者ごとに提示額が変わります。
一般的な相場の何割という目安を示す情報もありますが、根拠は各社の実績値です。
複数社の査定を取って比べるほかありません。
再建築不可物件はリフォームできますか?
建築確認を要しない範囲であればできます。
2025年4月の改正により、審査を省略できるのは平屋かつ延べ面積200平方メートル以下の建築物に限られました。
2階建ての木造戸建てでは大規模の修繕や模様替えに確認申請が必要となり、再建築不可物件では確認が下りません。
規模によっては実行できないと考えてください。
相続した物件が再建築不可だった場合、相続放棄はできますか?
民法915条1項により、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内であれば、家庭裁判所に相続放棄の申述ができます。
放棄すると預貯金など他の財産も一括して相続できなくなります。
物件単独で放棄することはできないため、遺産全体を見て判断してください。
自分の物件が再建築不可かどうかはどこで調べられますか?
市区町村の建築指導課で、前面道路の種別、幅員、敷地が道路に接している長さを確認すれば判別できます。
公図を持参すると担当者が道路台帳と照合しやすくなります。
市街化調整区域かどうかは都市計画課で確認してください。
まとめ|再建築不可物件は原因特定から売却まで4つの手順で決める
再建築不可物件をどうするかは、4つの手順を順に検討すると絞り込めます。
原因の特定から始め、再建築可能にできるかの判断、活用の可否、売却へと進む流れです。
原因は接道義務、道路幅員、市街化調整区域の3つで、市区町村の窓口で確かめられます。
解消の方法は5つあるものの、いずれも隣地所有者の同意か行政の許可が前提です。
2025年4月の改正で大規模なリフォームには確認申請が必要になり、建物に手を入れられる範囲は狭まりました。
先送りするほど建物の状態は悪くなり、保有コストと管理不全による税負担、倒壊時の賠償責任だけが積み上がります。
賠償の責任は相続によって子どもへ引き継がれます。
どの段階でも、判断の材料になるのは金額です。
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持ち続けるか手放すかを決める前に、まずは査定額を確かめてください。
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