再建築不可物件

再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?法改正後の判断基準と代替手段を解説

再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?法改正後の判断基準と代替手段を解説

相続した実家や長く所有してきた戸建てが再建築不可だと知り、リフォームで住み続けられるのか判断できずにいる方は少なくありません。
建て替えができない以上、手を入れる工事自体が許されないという誤解も根強いです。

実際には、再建築不可物件でもリフォームはできます。
線引きを決めるのは、工事が建築確認申請の対象になるかどうかの一点です。

本記事では、確認申請が不要な範囲と、2025年4月の建築基準法改正で変わった扱いを解説します。
あわせて取り上げるのは、費用と資金調達の目安、そして接道要件を満たす方法です。
読み終えるころには、自分の建物で通る工事と、通らない場合に取るべき選択肢を整理できます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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再建築不可物件のリフォームは建築確認申請が不要な範囲ならできる

再建築不可物件のリフォームは建築確認申請が不要な範囲ならできる

再建築不可物件のリフォームは、建築確認申請が不要な範囲であれば実施できます。
「再建築不可の建物には手を入れてはならない」という条文は、どこにも存在しません。

制限の実体は、建て替えの禁止ではなく確認申請を通せない点にあります。
接道義務を満たさない敷地では、確認申請を出しても適合と判断されません。
禁止ではなく、手続き上の壁です。

判断の起点になるのは、敷地と道路の関係、そして工事が建物のどの部分にどこまで及ぶかの2点です。
内装や設備の刷新のように主要構造部へ影響しない工事なら、再建築不可でも今日から着手できます。

実行できないのは、建物を解体して建て直す建て替えと、柱や壁の大部分を入れ替える工事です。
同じ「リフォーム」という言葉でも、扱いは工事の規模で正反対に分かれます。

まずは再建築不可という状態の意味と、確認申請が求められる工事の線引きを押さえてください。

再建築不可物件とは接道義務を満たさず建て替えができない土地建物のこと

再建築不可物件とはいまの建物を除却すると新たに建物を建てられない土地建物です。
敷地が建築基準法上の道路に十分接していない状態を指します。

建築基準法が求めるのは、建築物の敷地が道路に2メートル以上接することです。
建築基準法上の道路は、原則として幅員4メートル以上のものに限られます。
幅が足りない道にしか接していない敷地や、接する長さが2メートルに届かない敷地は、要件を満たしません。

典型的なのは、次の4パターンです。

  • 通路部分が細長い旗竿地で、通路の幅が2メートル未満になっている敷地
  • 周囲を他人の土地に囲まれ、道路に一切接していない袋地
  • 前面の道が幅員4メートル未満で、建築基準法上の道路として扱われていない敷地
  • 前面が私道で、位置指定などを受けておらず建築基準法上の道路に当たらない敷地

いずれも登記簿だけでは判定できません。
前面の道が建築基準法上の道路に当たるかは市区町村の道路種別で決まるため、役所の建築指導課か道路管理課で確認してください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

リフォームの可否を分けるのは建築確認申請が必要かどうか

建築確認申請とは工事に着手する前に計画を提出する手続きです。
建築基準関係規定に適合しているかどうかについて、建築主事等の確認を受けます。

建築基準法は、確認を受けた建築主に確認済証を交付すると定めています。
そして、交付を受けた後でなければ工事に着手できないとしました。
つまり、確認申請が必要な工事は、申請が通らない限り着工そのものができません。

再建築不可物件で変わらないのは、敷地が接道義務を満たしていないという事実です。
確認申請を出しても、適合とは判断されません。
よって、確認申請の対象になる工事は事実上できず、対象外の工事だけが可能な範囲として残ります。

工事の可否を検討するときは、工事の名前で考えず「確認申請が要るか」で切り分けてください。
同じ「リフォーム」という言葉でも、壁紙の張り替えと構造材の入れ替えでは扱いがまったく違います。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

主要構造部の過半に手を入れる工事は大規模の修繕・模様替に当たる

建築基準法の主要構造部とは壁・柱・床・はり・屋根・階段を指します。

主要構造部から外れるのは、構造上重要でない部分です。
間仕切壁・間柱・付け柱・揚げ床・最下階の床・小ばり・ひさし・局部的な小階段・屋外階段が該当します。

同法は、主要構造部の一種以上について過半の修繕を行うことを大規模の修繕、過半の模様替を行うことを大規模の模様替と定めています。
判断の分かれ目は「一種以上」と「過半」の2語です。

たとえば、屋根を全面的に葺き替えれば屋根という一種について過半に達します。
柱が10本ある建物で6本を取り替える工事も、柱については過半です。
逆に、10本のうち3本の補修にとどまれば過半には届きません。

過半かどうかは面積や本数で機械的に決まるわけではなく、建物ごとに判断されます。
見積書を受け取ったら、工事範囲の欄で「どの部位を、どれだけ」触るのかを必ず読み取ってください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件は2025年4月の法改正で確認申請が必要な工事の範囲が広がった

再建築不可物件は2025年4月の法改正で確認申請が必要な工事の範囲が広がった

2025年4月1日に改正建築基準法が施行されました。
建築確認・検査の審査省略制度は、対象が「平屋かつ延べ面積200平方メートル以下」へ縮小されています。
変わったのは工事の可否ではなく手続きの要否で、結論は建物の階数と延べ面積で分かれます。

【参考元】建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し|国土交通省

木造2階建て住宅は新2号建築物になり大規模リフォームに確認申請が必要

建築基準法が確認申請を求めるのは、階数が2以上の建築物、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物です。
新築だけでなく、大規模の修繕・大規模の模様替を行う場合も対象になりました。
改正後は木造でも同じ扱いで、新2号建築物と呼ばれます。

日本の木造戸建て住宅は2階建てが多数派です。
したがって、実務上は再建築不可物件の大半が新2号建築物に入り、確認申請の対象になります。

結果として、柱や梁を残して内部を全面的に解体するスケルトンリフォームは実施できません。
2024年までなら着工できた規模の工事が、2025年4月以降は手続きの段階で止まります。

自分の建物が該当するかどうかは、登記事項証明書の表題部で階数と床面積を確認してください。

【参考元】建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し|国土交通省

平屋かつ延べ面積200平方メートル以下なら大規模リフォームでも確認申請は不要

平屋かつ延べ面積200平方メートル以下の建築物は新3号建築物と呼ばれ、都市計画区域内などにある場合に確認申請の対象となります。
つまり対象は建築、すなわち新築・増築・改築・移転だけです。

大規模の修繕と大規模の模様替は新3号建築物の対象に含まれません。
よって平屋の再建築不可物件なら、屋根の全面葺き替えや柱の過半の取り替えも、手続き上は確認申請なしで可能です。

一方で、増築は建築に当たるため、防火地域と準防火地域の外で10平方メートル以内に収まる場合を除き、建築主は確認申請を出さなければなりません。
再建築不可の敷地では申請が通らないため、平屋であっても確認申請が必要な増築はできません。

まず登記事項証明書を取り寄せ、階数と延べ面積を確認してください。
平屋か2階建てかで、以降の計画の自由度が大きく変わります。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件で建築確認申請なしにできるリフォーム工事

再建築不可物件で建築確認申請なしにできるリフォーム工事

申請が要るかどうかは、工事の名前ではなく工事が及ぶ範囲で決まります。
共通する条件は、主要構造部の過半に達しないことの一点です。

見積書を受け取ったら、金額欄より先に工事範囲の欄を読んでください。

工事の種類確認申請判断のポイント
内装の張り替え・水回り設備の交換不要主要構造部に該当しない
屋根・外壁の改修範囲による主要構造部の過半に達するか
耐震補強・断熱改修範囲による壁の過半を入れ替えるかどうか
10平方メートル以内の増築防火地域等の外なら不要敷地の指定状況で変わる

内装や水回り設備の交換は主要構造部に触れないためできる

クロスや床材の張り替え、キッチン・浴室・洗面所・トイレの入れ替え、給排水管や電気配線の更新は、いずれも確認申請なしで実施できます。
主要構造部に該当しないためです。

間取りの変更も一律に不可となるわけではありません。
判断は壁の役割で分かれます。
構造上重要でない間仕切壁は主要構造部から外れるため、耐力を負担していない壁の撤去なら申請は不要です。

ただし、筋かいが入った耐力壁は別です。
上階の荷重を受けている柱を抜く工事も、建物の構造に直接影響します。
図面が残っていない古い住宅では、壁を開けてみるまで耐力壁かどうか判断できない場合もあります。

工事前に建築士による現況調査を入れ、撤去してよい壁と残す壁を書面で仕分けてもらってください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

屋根や外壁の改修は過半に達しなければできる

屋根と外壁のうち、屋根は主要構造部に含まれます。
したがって確認申請の要否を分けるのは、改修の範囲が過半に達するかどうかです。

国土交通省の通知は、屋根ふき材だけの改修について、大規模の修繕にも大規模の模様替にも該当しないと扱って差し支えないとしています。
既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるカバー工法も同じ扱いです。
外壁も、外装材だけの改修や内側からの断熱改修であれば対象から外れます。
ただし外装材だけの改修であっても、外壁の全てを改修する場合はこの限りではありません。

屋根と外壁の取扱いは、国土交通省が都道府県の建築行政主務部長あてに出した技術的助言で示されています。
運用は自治体ごとに細部が異なるため、判断は施工業者を通じて特定行政庁に照会してもらうのが確実です。

雨漏りを放置すると構造材が傷み、必要な工事の範囲が広がって申請が必要な規模に達します。
劣化を見つけた段階で早めに手を打ってください。

【参考元】屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて(国住指第355号)|国土交通省

耐震補強や断熱改修も範囲を区切ればできる

耐震補強では、基礎のひび割れ補修、基礎と土台をつなぐアンカーボルトの増設、柱と梁の接合部を金物で固める工事などが選べます。
いずれも主要構造部の過半に及ばなければ、確認申請は要りません。

断熱改修も同じ考え方です。
内側から壁をはがして断熱材を充填する工法や、既存の窓の内側に内窓を設ける工法があります。
構造材を入れ替えないため、いずれも申請の対象外です。

一方、壁の過半を解体して耐力壁を入れ直す本格的な耐震改修は、大規模の模様替に当たります。
2階建てでは確認申請が必要になるため、再建築不可の建物では実施できません。

進め方としては、まず耐震診断を受け、倒壊の危険度が高い箇所から優先順位を付けます。
多くの自治体が耐震診断や耐震改修の費用を補助しているため、住所地の建築指導課に補助の有無と申請時期を問い合わせてください。

防火地域と準防火地域以外なら10平方メートル以内の増築ができる

建築基準法は、防火地域および準防火地域の外での増築・改築・移転について例外を設けました。
対象部分の床面積の合計が10平方メートル以内であれば、確認申請を要しません。

10平方メートルはおよそ6畳分です。
物置、小さなサンルーム、玄関ポーチの拡張といった規模であれば、再建築不可物件でも増やせる余地があります。

ただし、防火地域と準防火地域の内側は例外の対象外です。
面積にかかわらず、建築主が確認申請を出さなければなりません。
住宅密集地の再建築不可物件は準防火地域の指定を受けている例が多く、実際には使えないケースも多いです。

自分の敷地がどの地域に指定されているかは、市区町村の都市計画課の窓口か、自治体が公開する都市計画情報の地図で調べられます。
増築を検討する前に指定状況を確認してください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件でできないリフォーム工事

できない工事はいずれも建築確認を前提とする工事です。
確認が下りない以上、工期や予算をどれだけ積んでも実行できません。

望む工事が該当するなら、計画そのものを組み替える必要があります。

建物を解体して建て直す建て替えはできない

既存の建物を解体して更地にすると、接道義務を満たさない敷地には新築の確認が下りないため、建て替えはできません。

解体工事そのものは建築確認の対象ではない点に注意してください。
届出を出せば実行できてしまうため、老朽化に困った所有者が先に解体してしまう事例があります。

更地になった時点で失われるのが、建物として使える資産です。
再建築不可の土地は買い手が限られるため、更地の評価額は建物付きの状態を下回るケースも多く、選択肢がかえって狭まります。

老朽化が進んでいても、自己判断で解体を発注しないでください。
空き家の管理に困っている場合でも、解体は最後の手段です。

解体前に、現況のまま売却できるか、賃貸や駐車場として活用できるかを先に確かめる順序が合理的です。
建物が残っていれば、住宅用地の特例により固定資産税の負担が軽い状態も維持できます。
ただし管理不全空家等や特定空家等として市町村長から勧告を受けると、住宅用地の特例からは外れます。

主要構造部の過半に及ぶスケルトンリフォームはできない

スケルトンリフォームとは構造体だけを残して新築同様に作り直す工事です。
柱と梁などを残し、内装・設備・間取りをいったんすべて解体します。

壁・床・屋根の過半に手を入れるため、大規模の修繕または大規模の模様替に当たります。
2025年4月以降は木造2階建ても確認申請の対象になったため、再建築不可の2階建てではスケルトンリフォームを実施できません。

やっかいなのは、解体を進めた後で構造材の傷みが見つかる場合です。
当初は過半に届かない計画でも、腐朽した柱や梁の交換が増えれば過半に達し、工事を進められなくなります。

全面的な刷新を優先するなら、接道要件を満たして再建築可能にするか、売却して条件の合う物件に住み替えるかの二択で考えてください。

【参考元】建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し|国土交通省

再建築不可物件のリフォーム費用は通常の物件より割高になる

再建築不可物件では、同じ工事内容でも一般の住宅より費用がかさみます。
理由は搬入経路にあります。
前面道路が狭く重機やトラックが入らないため、資材の搬入と廃材の搬出を人力に頼らざるをえないためです。

仮設の足場を組みにくい点も費用に影響します。
作業員の動線が限られ、工期が延びる要因も工事費を押し上げます。

工事区分費用の目安割高になりやすい理由
内装・設備の部分改修数十万円〜200万円程度搬入経路が狭く資材の運搬に手間がかかる
屋根・外壁の改修100万円〜300万円程度足場の設置場所が限られ仮設費が増える
範囲を区切った耐震補強100万円〜200万円程度現況調査と設計に追加費用が生じやすい
全面改修(事業者公表値)1,000万円〜2,000万円台工期が長期化し人件費が積み上がる

一般的なリフォーム資金の平均は154万円で中央値は48万円

国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査によると、リフォーム資金の平均値は154万円、中央値は48万円でした。
調査は令和6年9月から11月にかけて実施されたもので、リフォーム住宅については三大都市圏に住む世帯が対象です。

平均値と中央値が3倍以上開いているのは、少額の部分改修が件数の多くを占めるためです。
世の中のリフォームは、数十万円規模の設備交換や内装工事が主流だと読み取れます。

再建築不可物件でも、工事を内装と設備の部分改修に絞るのであれば、水準そのものはほぼ同じです。
搬入条件による割増を見込んでも、数十万円から200万円程度の範囲に収まる工事は十分に組めます。

見積もりを取るときは、部分改修と全面改修の2案を同時に出してもらってください。
金額差を見てから優先順位を決めれば、予算超過を防げます。

【参考元】令和6年度住宅市場動向調査|国土交通省

全面改修では1,000万円を超える例も事業者が公表している

再建築不可物件の全面改修費用について、国や自治体が公表する統計は存在しません。
金額の手がかりは、リフォーム事業者が自社サイトで公表している施工事例だけです。

事業者が公表する事例では、木造戸建ての全面改修が1,000万円から2,000万円台に達する例が示されています。
あくまで各社が個別の物件について公表した値であり、全国的な相場として確定した数字ではありません。

金額が膨らむ主因は、狭い前面道路による手運びと仮設費の増加です。
同じ延べ面積の一般住宅と比べ、工事費が2割から3割上振れするという説明も事業者から出ています。

見積もりが1,000万円を超えたら、リフォームを続ける判断は一度保留してください。
現況で売った場合の手取りと、工事後に住み続ける負担を並べて比べる段階です。
ベンナビ不動産売却では訳あり不動産の査定を無料で受けられます。

再建築不可物件のリフォームで使える資金調達の手段と補助金の調べ方

再建築不可物件は担保としての評価が低く、借入が通りにくいぶん自己資金の比率が高くなりがちです。

支援制度は年度ごとに予算と要件が組み替えられるため、調べ方を押さえておく価値があります。
工事内容を決める前に、まず資金の上限を固める順序で進めてください。

住宅ローンは担保評価が低く利用しにくい

金融機関は担保の価値を、建物を建て直した場合の価格ではなく、返済が滞ったときに処分できる金額から見積もります。
再建築不可物件は建て替えができず買い手も限られるため、処分価値の評価は低めです。

結果として、物件を担保に取る住宅ローンは審査に通りにくくなります。
担保を取らないリフォームローンであれば、利用の余地は残ります。
借入額は数百万円から1,000万円程度、返済期間は10年から15年程度に設定された商品が多く、金利も住宅ローンより高いのが一般的です。

審査の基準は金融機関ごとに差があります。
門前払いばかりではない点が救いです。
地域の信用金庫や、再建築不可物件の融資実績がある金融機関では、条件付きで応じる例もあります。

1行だけの回答で判断しないでください。
複数の金融機関に事前相談したうえで、借りられる上限と自己資金で埋める額を決めてください。

補助金は年度ごとに内容が変わるため国と自治体の両方を確認する

耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修は、国と自治体の双方で補助の対象になりやすい工事です。
とはいえ制度は年度単位で予算と要件が組み替えられるため、過去の情報をそのまま当てにはできません。

国の制度はその年度の要綱を確認する必要があります。
自治体独自の耐震診断助成や耐震改修補助については、住所地の市区町村の建築指導課が窓口です。

多くの制度が、着工前の申請を交付の条件にしています。
工事を始めてから申請しても対象外となるため、業者と契約を結ぶ前に窓口へ問い合わせてください。

補助を受けられるかどうかで自己負担額は大きく動きます。
見積もりを取る段階で、補助制度の利用実績がある業者かどうかも確認しておくと手続きが進めやすくなります。

再建築不可物件を再建築可能にすれば大規模リフォームもできる

再建築不可物件を再建築可能にすれば大規模リフォームもできる

接道要件を満たせば、大規模リフォームも建て替えも可能になります。
手段は隣地の買い取り、セットバック、建築審査会の同意を得た許可、位置指定道路の指定の4つです。

いずれも相手方との交渉か行政の審査を伴うため、着手前に見込みを確認してください。
敷地の形状と前面道路の種別によって採れる手段が変わるので、道路種別の確認から始めてください。

手段必要になる相手方の同意向いているケース
隣地の一部を買い取る隣地所有者道路に接する隣地に譲る余地がある
セットバックする不要(行政の指定が前提)前面が幅員4メートル未満の2項道路
建築審査会の同意を得て許可を受ける不要(行政の審査)敷地の周囲に広い空地がある
位置指定道路の指定を受ける私道の所有者全員前面が基準を満たしうる私道

隣地の一部を買い取って接道要件を満たす

道路に接している隣地の一部を買い取り、敷地が道路に2メートル以上接する形に整えれば、接道要件を満たせます。

必要なのは幅2メートル分の通路だけです。
隣地全体を買う必要はありません。
買い取り以外にも、自分の土地の一部と隣地の一部を交換する等価交換や、通行を目的とした地役権の設定で要件を満たせる場合があります。

交渉では、価格だけでなく分筆の負担、測量費用、登記の名義と時期まで詰めてください。
口頭の合意で工事を進めると、後日に代金や境界をめぐって紛争になりかねません。

隣地所有者との交渉と契約書の作成は、弁護士に依頼したほうが確実です。
ベンナビ不動産売却は提携する弁護士・司法書士と連携して権利関係の複雑な不動産を扱っているため、交渉の進め方から相談できます。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

セットバックして2項道路の幅員を確保する

都市計画区域の指定などにより規定が適用された際、すでに建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道があります。
建築基準法は、特定行政庁が指定したものを道路とみなすと定めました。
いわゆる2項道路です。

2項道路では、道の中心線から水平距離2メートルの線が道路の境界線とみなされます。
よって、接道要件を満たすには、中心線から2メートルの位置まで敷地を後退させてください。

道の反対側が崖地、川、線路敷地などである場合は扱いが異なります。
崖地等の側の境界線から道の側へ水平距離4メートルの線が、境界線とみなされます。
後退幅は自分の側だけで4メートル分を確保する形です。

後退した部分は敷地面積に算入できません。
建てられる建物の規模が小さくなるため、計画を立てる前に後退幅を測り、残る敷地面積を確かめてください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

建築審査会の同意を得て43条2項2号の許可を受ける

建築基準法には、接道義務の適用を受けない例外が用意されています。
対象は、敷地の周囲に広い空地をもつなど国土交通省令の基準に適合する建築物です。
特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可した場合に限られます。

同じ条文が用意しているのは、より簡易な認定の類型です。
敷地が幅員4メートル以上の道に2メートル以上接し、利用者が少数である建築物については、特定行政庁の認定で足ります。
許可より手続きの負担は軽く済みます。

許可は一件ごとの判断です。

もっとも自治体によっては、一定の要件を満たす案件をあらかじめ包括的に取り扱う運用基準を公表している場合があります。
基準に当てはまれば、審査の見通しは立てやすくなります。

申請の前に、市区町村の建築指導課で包括的な取扱基準の有無を確認してください。
基準が公表されていれば、自分の敷地が該当するかどうかを図面で照らし合わせられます。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

私道の所有者から同意を得て位置指定道路の指定を受ける

対象になるのは、土地を建築物の敷地として利用するために築造される道のうち、政令で定める基準に適合するものです。
築造しようとする者が特定行政庁から位置の指定を受ければ、建築基準法上の道路として扱われます。
位置指定道路と呼ばれる類型です。

指定を受けるには、道の幅員・形状・排水設備などの技術基準に加え、私道の所有者全員からの承諾も必要になるのが通例です。
行政の審査より、同意の取りまとめのほうが難所になります。

共有私道では、所有者が多数に分かれている例が一般的です。
相続が重なって持分が細分化し、現在の所有者が誰なのか登記からたどれない場合もあります。

同意が集まらないときは、持分の調査と所有者の特定から弁護士に依頼してください。
連絡が取れない共有者がいる場合でも、法的な手続きを使って解決できる余地があります。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件をリフォームする前に確認したい注意点

以下に挙げる3点は、いずれも着工前に手を打てば避けられる問題です。
判断を業者任せにすると、工事が途中で止まる事態も起こりえます。

費用をかけた後で気づくと取り返しがつきません。

工事の可否は着工前に特定行政庁と施工業者の両方へ確認しておく

主要構造部の過半に当たるかどうかの判断は、建物の構造と工事範囲によって変わります。
同じ内容の工事でも、自治体によって運用の細部が異なる場合もあります。

したがって、施工業者の見解だけで着工を決めないでください。
業者の判断と特定行政庁の見解を、着工前に突き合わせておく必要があります。

相談に行くときは、登記事項証明書・確認済証・検査済証・建物の図面を用意してください。
書類がそろっていれば、窓口で工事範囲を具体的に照らし合わせられます。

昭和期に建てられた住宅では、図面も検査済証も残っていない例が少なくありません。
書類がない場合は、建築士による現況調査から始めて、構造の実態を把握してから計画を立ててください。

確認申請が必要な工事を無申請で進めると是正命令の対象になる

建築基準法は、確認済証の交付を受けた後でなければ建築物の建築・大規模の修繕・大規模の模様替の工事に着手できないと定めています。
無申請で進めれば法令違反です。

違反が判明すると、特定行政庁から工事の停止や是正の命令を受ける可能性があります。
工事を止められれば、支払った着手金も、途中まで進めた工事も無駄です。

さらに、違反建築物になると売却時の影響が残ります。
買主へ違反の事実を説明する必要が生じ、買主側の住宅ローン審査も通りにくくなるため、売却先はいっそう限られます。

「申請なしでもできます」と説明する業者に出会ったら、根拠を書面で示すよう求めてください。
示せない業者には発注しない判断が、結果として自分を守ります。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

リフォーム費用は売却価格に反映されにくいと知っておく

再建築不可物件は、買主側も住宅ローンを利用しにくい不動産です。
担保評価が低いため、購入希望者は現金で買える層にほぼ限られます。

買い手が限られる以上、リフォームに投じた金額がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。
1,000万円をかけて全面改修しても、売却価格が同額上がる保証はないと考えてください。

判断の材料は、現況のままの査定額と、リフォーム後に見込まれる売却額の2つです。
両者の差額が工事費を下回るなら、手を入れずに現況で売るほうが手取りは大きくなります。

比較には現況の査定額が要ります。
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再建築不可物件のリフォームに関するよくある質問

Q

再建築不可物件のリフォームを業者から断られるのはなぜ?

A

工事車両を停める場所がなく、資材の搬入も人力になるため、採算が合わないと判断する業者がいるためです。
図面や検査済証が残っておらず、構造の実態を確かめられない点を理由に辞退する例もあります。
再建築不可物件の施工実績があるかどうかを、見積もりを依頼する前に確認してください。

Q

再建築不可物件のリフォームに補助金や助成金は使える?

A

使える場合があります。
耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修は国と自治体の補助対象になりやすい工事です。
制度は年度ごとに要件が変わり、着工前の申請を条件とするものが多いため、業者と契約する前に住所地の市区町村へ問い合わせてください。

Q

柱を1本だけ残せば建て替えと同じ工事ができる?

A

できません。
主要構造部の一種以上について過半を修繕または模様替すれば、大規模の修繕・大規模の模様替に当たります。
2階建てでは、建築主による確認申請が必要です。
柱を残す形にしても、壁や屋根の過半に手を入れる時点で対象になります。

Q

リフォームした再建築不可物件は賃貸に出せる?

A

出せます。
賃貸として貸す行為自体は、建築基準法上の制限の対象外です。
ただし戸建てを共同住宅や寄宿舎に用途変更すると特殊建築物に該当します。
規模によっては確認申請が必要になるため、区分して貸す計画は事前に確認してください。

Q

リフォームすると再建築不可物件の資産価値は上がる?

A

住み心地は上がりますが、評価額の上昇は限定的です。
建て替えができない事実は工事をしても変わらず、買主の住宅ローン審査が通りにくい状況も続きます。
投じた費用を回収できるかは、現況の査定額とリフォーム後の想定売却額を比べて判断してください。

まとめ|再建築不可物件のリフォームは建築確認が要るかどうかで決まる

再建築不可物件のリフォームは、建築確認申請が不要な範囲であればできます。
判断は確認申請が要るかどうかの一点で決まり、申請の要否は主要構造部の過半に及ぶかと、建物の階数・延べ面積の2要素で判定します。

2025年4月の建築基準法改正により、木造2階建て住宅は新2号建築物となりました。
大規模の修繕・大規模の模様替も確認申請の対象です。
平屋かつ延べ面積200平方メートル以下であれば、大規模リフォームでも申請は要りません。

全面的な刷新を望むなら、接道要件を満たすか、売却に切り替えるかを判断してください。
要件を満たす手段は、隣地の買い取り・セットバック・建築審査会の同意を得た許可・位置指定道路の指定の4つです。

次に取る行動は3つです。

  • 登記事項証明書で建物の階数と延べ面積を確認する
  • 市区町村の建築指導課で前面道路の種別と工事の可否を照会する
  • 現況のままの査定額を取り、リフォーム費用と並べて比較する

査定額と工事見積もりがそろえば、住み続けるか手放すかを数字で決められます。
権利関係の交渉が必要なら、弁護士に相談できる窓口を早めに確保してください。

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監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。