再建築不可物件

接道義務とは?2m以上の接道が必要な理由と例外、満たさない土地の売却方法を解説

接道義務とは?2m以上の接道が必要な理由と例外、満たさない土地の売却方法を解説

「接道義務を満たしていないので建て替えはできません」。
役所や不動産会社から告げられて、言葉の意味を確かめに来た方は多いはずです。
接道義務とは、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないルールです。
要件を欠く土地には、原則として新築も建て替えもできません。

ただし認定と許可という2つの例外があり、隣地の一部買取やセットバックで基準を満たせる場合もあります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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接道義務とは敷地が道路に2m以上接していなければならないルール

接道義務とは敷地が道路に2m以上接していなければならないルール

接道義務は建築基準法43条1項が定めています。
建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない、というのが定めの中身です。
2mを下回る土地には、原則として建物を新築できません。
定義・適用範囲・規定が置かれた理由の3点から押さえてください。

敷地は道路に2m以上接する必要がある

建築基準法43条1項は、建築物の敷地が道路に2m以上接することを求めています。
接する長さが1.9mであれば要件を満たしません。
なお条文でいう道路は、幅員4m以上で建築基準法42条に当たるものだけです。
目の前に舗装された道があっても、42条の道路でなければ接道の相手になりません。

2mは連続していなければならず、離れた2か所で1.2mと0.8mというように足し合わせる形は認められません。
道路に細長い通路で接する旗竿地の判定基準は、竿にあたる通路部分のもっとも狭い箇所です。
通路の途中が1.8mに絞られていれば、入口が3mあっても不適合と扱われます。

道路であっても、接道の相手として数えられないものが2種類あります。
自動車のみの交通に使われる道路と、地区計画で建築物の敷地として併せて利用すべき区域に定められた道路です。
高速道路に長く面していても、接道義務を満たしたことにはなりません。

適用されるのは都市計画区域と準都市計画区域の中だけ

接道義務は全国どこでも働くわけではありません。
建築基準法41条の2が、道路や用途地域に関する規定の適用範囲を都市計画区域と準都市計画区域の中に限っているためです。

区域の外にある山間部や農村部の土地なら、道路に接していなくても建築できる場合があります。

ただし区域外でも注意点は2つです。
都道府県知事が指定した区域では建築確認が必要になり、自治体が独自の条例で接道を求めている例もあります。

自分の土地が区域の内側か外側かは、市区町村の都市計画課で確認できます。
区域外だから何を建ててもよい、という理解は誤りです。
建築確認の手続きが省かれるだけで、建築基準法の実体的な基準自体は守らなければなりません。
将来の建て替えや売却を考えているなら、確認申請の要否まで建築指導課で押さえてください。

接道義務の目的は避難と消防活動の経路を確保すること

規定が置かれた理由は、火災や地震が起きたときの避難路と、消防車・救急車が入れる幅の確保です。

幅1.5mの通路しかない敷地では、担架を抱えた救急隊員がすれ違えません。
ホースを延ばす距離も長くなり、初期消火が遅れます。
建物単体の安全だけでなく、街区全体の安全を保つ狙いが接道義務の背景です。

2mという数字も、人が担架や資材を運びながらすれ違える最低限の幅から導かれています。
幅員4mの要件は、緊急車両が進入し、対向する歩行者が避けられる幅を想定したものです。

目的を理解しておくと、認定や許可が下りる条件もつかみやすくなります。
周囲に広い空地があるなら避難と消防活動に支障がない、という判断が例外の骨格だからです。
前面道路が私道で権利関係が入り組んでいる土地は、判定の前に弁護士へ状況を整理してもらうと手戻りを防げます。

【参考】建築基準法(e-Gov 法令検索)

接道義務でいう道路は建築基準法上の6種類に限られる

接道義務でいう道路は建築基準法上の6種類に限られる

日常語の「道路」と、接道義務でいう道路は一致しません。
建築基準法42条は、幅員4m以上で1項1号から5号までのいずれかに当たるものを道路と定義しています。
特定行政庁が指定した区域では6m以上が基準です。
幅員4m未満でも、指定を受けた2項道路は道路として扱われます。
6種類の中身を確認してください。

種別根拠幅員具体例
1号道路42条1項1号4m以上国道・都道府県道・市町村道
2号道路42条1項2号4m以上開発許可や土地区画整理事業で造られた道路
3号道路42条1項3号4m以上都市計画区域の指定時にすでに存在した道
4号道路42条1項4号4m以上2年以内に事業が執行される予定として指定された計画道路
5号道路42条1項5号4m以上特定行政庁から位置の指定を受けた私道
2項道路42条2項4m未満建物が立ち並んでいた狭い道として指定されたもの

1号道路|道路法にもとづいて造られた幅員4m以上の公道

1号道路とは道路法にもとづいて造られた幅員4m以上の道路を指します。
代表例は国道・都道府県道・市町村道です。

管理者が国や自治体のため、通行や掘削に他人の承諾を取る必要がありません。
上下水道やガスの引き込み工事も、道路管理者への申請だけで進みます。

もっとも1号道路でも、幅員が4mに満たない路線は残ったままです。
古い市町村道では3.5m程度の区間もあり、幅員が足りなければ42条2項の指定を受けているかが次の確認事項になります。

前面道路が1号道路で幅員4m以上なら、残る確認は接道幅だけで済みます。
市区町村の道路課で路線名と幅員の記録を取り寄せ、幅員が4mを下回っていた場合は建築指導課で2項道路の指定を確かめてください。

2号道路|開発許可や区画整理などの事業で造られた幅員4m以上の道路

2号道路とは都市計画法の開発許可や土地区画整理法の事業などによって造られた幅員4m以上の道路をいいます。
分譲地の中を走る道路が代表例です。

事業の完了後に自治体へ移管されて公道になっている場合と、事業者や住民の共有のまま私道として残っている場合があります。
登記事項証明書で所有者を確かめてください。
私道のまま残っていれば、通行と掘削の承諾が売却時の論点になります。

2号道路は事業の許認可を経て造られており、幅員や排水設備は基準を満たしているのが通例です。
分譲当時の開発許可の番号は、市区町村の開発指導課で照会できます。
分譲地内の土地を売るなら、道路の所有者と管理者を書面で確認したうえで買主へ伝えてください。

3号道路|都市計画区域の指定を受けた時点ですでに存在した幅員4m以上の道

3号道路とは都市計画区域や準都市計画区域の指定を受けた時点で、すでに存在していた幅員4m以上の道を指します。
別名は既存道路です。

古くからある集落の道や、宅地開発より前から使われてきた農道の一部が当てはまります。
指定の時点でどれだけの幅があったかが判定の分かれ目になるため、現況の実測だけでは結論を出せません。

幅員4m以上あって3号道路と認められれば、後退の負担は不要です。
4mに届かなければ2項道路として扱われ、セットバックが必要になります。
同じ「昔からある道」でも扱いが大きく変わるため、建築指導課が保管する道路種別図で種別と幅員を必ず確かめてください。
記録が残っていない道は、航空写真や旧公図をもとに個別に判断されます。

4号道路|2年以内に事業が執行される予定として指定された計画道路

4号道路とは道路法や都市計画法などにもとづく新設・変更の事業計画があり、2年以内に事業が執行される予定として特定行政庁が指定した道路をいいます。

現時点で道路の形になっていなくても、指定を受けていれば接道の相手です。
反対に、指定を受けていない計画道路は42条の道路になりません。
都市計画決定だけでは足りない点に注意してください。

4号道路に接する土地の扱いは、事業の進行しだいです。
事業が執行されれば1号道路や2号道路に切り替わります。

逆に計画が変更されれば、指定が外れる場合もあります。
名称が近い都市計画道路との取り違えも起きやすいため、指定の有無と事業の見通しを建築指導課で必ず確かめてください。
事業の予定地に敷地の一部がかかっていれば、将来の買収の対象になる点も併せて確認しておきましょう。

5号道路|特定行政庁から位置の指定を受けた幅員4m以上の私道

5号道路とは宅地として土地を使うために造られた道のうち、政令の基準に適合するとして特定行政庁から位置の指定を受けたものをいいます。
通称は位置指定道路です。

所有者は私人ですが、建築基準法上の道路として扱われるため接道義務を満たせます。
指定の有無は建築指導課の指定道路図で確認でき、指定年月日と幅員が記録されています。

注意したいのは、道路として扱われる点と、自由に通行や工事ができる点が別だという事実です。
所有者が他人なら、水道管を引くために掘る工事には承諾が要ります。
私道に接している土地なら、まず指定の有無を調べ、続いて登記事項証明書で所有者と持分を確認してください。
指定を受けた当時の図面には道の幅と延長が記録されており、現況と食い違っていれば工作物の越境が疑われます。

2項道路|幅員4m未満で建物が立ち並んでいた道として指定されたもの

2項道路とは建築基準法の規定が適用されるに至った時点で建築物が立ち並んでいた幅員4m未満の道のうち、特定行政庁が指定したものをいいます。
別名はみなし道路です。

道路の中心線から水平距離2mの線が道路の境界線とみなされるため、建て替えのときに敷地を後退させる必要があります。
片側が崖地や川、線路敷地に沿っている場合は、崖地等の側の境界線から4mの線が境界線です。
特定行政庁が指定した区域内では、中心線から3mが原則になります。

なお、土地の状況からやむを得ないと認められた場合の例外が、中心線からの距離を2m未満1.35m以上の範囲で別に指定する扱いです。
前面道路が狭い土地では、後退距離の確認が建て替え計画の出発点になります。
判断がつかない場合は無料査定と併せて専門家に見てもらってください。

【参考】建築基準法(e-Gov 法令検索)

自分の土地が接道義務を満たすかは4つの手順で判定する

自分の土地が接道義務を満たすかは4つの手順で判定する

判定に必要な材料は、前面道路の種別・実測した接道幅・自治体の条例の3つです。
登記事項証明書や公図だけでは足りず、市区町村の窓口で調べる工程が必ず入ります。
順番に進めれば、数日から2週間ほどで結論が出ます。

①前面道路が建築基準法上の道路かを市区町村の道路種別で確認する

最初に確かめるのは、目の前の道が42条の道路に当たるかどうかです。
市区町村の建築指導課で道路種別図または指定道路調書を閲覧し、路線ごとの種別と幅員を記録してください。
窓口によっては住所を伝えるだけで即日回答が得られます。

種別が空欄になっている道は、建築基準法上の道路ではありません。
位置の指定を受けていない私道や、農道・林道が典型例です。
道路でない道にいくら長く接していても、接道義務は満たせません。

自治体によっては道路種別をウェブ上の地図で公開しています。
窓口へ行く前に検索し、記載が見つからない場合だけ来庁してください。

照会するときは、住居表示ではなく地番を伝えてください。
道路の記録は地番で管理されており、住居表示だけでは隣接する複数路線のどれを指すか特定できない場合があります。
地番は登記事項証明書か固定資産税の納税通知書で確認できます。

②接道幅は連続して2m以上あるかを実測する

種別を確認したら、敷地が道路に接している長さを実測します。
登記簿の地積と実測面積が食い違う例は珍しくないため、書面の数字だけで判断しないでください。

測る位置は、道路の境界線と敷地の境界線が接している部分です。
ブロック塀や門柱、擁壁が境界の内側に出ていると、実質的な通行幅が2mを割り込む場合があります。
境界標が見つからない土地では、土地家屋調査士に境界確定測量を依頼してください。

2項道路に面している場合は、後退した後の境界線を基準に測ります。
現況で2.1m接していても、後退によって1.9mまで縮む場合があるためです。

実測の結果が2mを大きく上回るなら、接道幅の判定は完了です。
2mを下回る、あるいは2.0mから2.1mの範囲に収まる場合は、境界の位置がわずかにずれるだけで結論が変わります。
数センチの差で建て替えの可否が分かれるため、測量図を用意して建築指導課で扱いを確認してください。

③自治体の条例による上乗せ規制を確認する

建築基準法43条3項は、地方公共団体が条例で接道の制限を付加できると定めています。
対象となるのは、特殊建築物・階数が3以上の建築物・政令で定める開口部のない居室をもつ建築物・延べ面積1,000平方メートル超の建築物です。
袋路状道路にのみ接する延べ面積150平方メートル超の建築物も対象で、一戸建ての住宅は除かれます。

一般的な木造2階建ての住宅を建てるだけなら、上乗せ規制の対象から外れる場合がほとんどです。

ただし共同住宅や店舗併用の建物を計画しているなら、条例の確認を省略できません。
東京都の建築安全条例は、独自の基準を置いている代表例です。

条例の適用範囲は自治体ごとに異なります。
建築指導課で「計画中の用途と規模を伝えたうえで、条例の適用があるか」を確認してください。

④旗竿地は竿にあたる通路部分の幅で判定する

旗竿地とは道路に細長い通路で接し、奥にまとまった敷地が広がる形の土地をいいます。
判定は竿にあたる通路部分で行います。

見るべきは通路のもっとも狭い箇所です。
入口が2.5mあっても、途中で隣家の塀に押されて1.8mになっていれば要件を満たしません。
通路が長い場合は、数メートルおきに幅を測って最小値を記録してください。

通路部分の一部が隣地の所有になっている旗竿地もあります。
所有権の範囲は公図と地積測量図で確認し、境界が不明確なら測量を先に済ませてください。

通路を隣地と共有している場合は、自分の持分だけで2mを満たすかが問われます。
共有だから半分ずつ、という単純な割り方は不可能です。
隣地所有者との境界主張が食い違っている土地は、交渉に入る前に弁護士へ相談したほうが結果的に早く進む場合があります。

接道義務を満たさない土地は再建築不可になる

要件を欠く土地でも、すでに建っている建物を現状のまま使い続けられます。
建築基準法3条2項が、規定の施行時や適用時に現に存在する建築物には規定を適用しないと定めているためです。
既存不適格と呼ばれ、違法建築とは扱いが違います。
一方で、将来にわたって生じる制約は小さくありません。

すでに建っている建物は違法建築ではないが建て替えはできない

既存不適格とは建てた当時は適法だったものの、後年の法改正や区域指定によって現行基準に合わなくなった建築物をいいます。
是正命令の対象にはならず、住み続けることも売ることもできます。

一方で、建物を取り壊して新しく建て直す行為は新築です。
新築には現行の接道義務が適用されるため、43条2項の認定または許可を受けない限り建築確認が下りません。
既存不適格の建物が老朽化しても、建て替えという選択肢は使えません。

火災や地震で建物を失った場合も同じです。
同じ場所に建て直せないため、更地のまま活用先を探す事態になります。

既存不適格の状態が続くのは、建物が建っている間だけです。
取り壊した時点で土地は更地に戻り、接道義務を満たさない限り新しい建物は建てられません。
老朽化した家を「危ないから先に解体する」と決める前に、跡地の使い道まで決めておいてください。

増築も原則としてできなくなる

増築も建築確認の対象となるため、接道義務を満たさない敷地では原則として認められません。
二世帯化のために部屋を足す、離れを新たに建てるといった計画は進められないと考えてください。

例外は、防火地域および準防火地域の外で、増築部分の床面積が10平方メートル以内にとどまる場合です。
建築基準法6条2項が確認申請を不要としています。
もっとも確認が不要になるだけで、接道義務自体が免除されるわけではありません。

10平方メートルは、およそ6畳分です。
物置や小さな縁側の増設は収まりますが、居室を1部屋足す規模には届きません。

防火地域と準防火地域の中では、面積にかかわらず確認申請が必要になります。
市街地の住宅密集地は指定を受けている場合が多いため、まず自分の土地が指定区域の内側かどうかを都市計画課で確かめてください。

2025年4月からは大規模な修繕にも建築確認が必要になった

2025年4月施行の改正で、建築確認の対象となる建築物の区分が変わりました。
改正後の建築基準法6条1項2号は、階数が2以上あるか、延べ面積が200平方メートルを超える建築物を対象としています。
木造2階建ての住宅も広く含まれます。

2号に当たる建築物は、大規模の修繕や大規模の模様替をする際にも建築確認を受けなければなりません。
該当するのは、主要構造部の一種以上について過半にわたる修繕や模様替です。
屋根の全面葺き替えや構造壁の大半の入れ替えを伴うリフォームは対象になり得ます。

改正前は木造2階建ての多くが確認不要の区分にあり、フルリフォームで住み続ける選択が取りやすい状況でした。
工事の範囲によっては確認申請が必要になるため、着工前に建築士へ計画を見てもらってください。

建て替えができないため住宅ローンの担保評価が下がる

建て替えができない土地は、金融機関の担保評価が低く見積もられます。
将来にわたって建物を更新できない土地は、担保としての回収可能性が読みにくいためです。

買主側の資金調達にも影響します。
住宅ローンの審査が通らなければ、購入できるのは現金を用意できる層に限られます。
買主の母数が絞られる以上、売り出してから成約までの期間は長くなりがちです。

金融機関ごとに判断は分かれ、リフォームローンなら組める例もあります。
大手行の回答だけで結論を出す必要はありません。

売主としてできるのは、買主が資金を組み立てられる材料の準備です。
道路種別の記録と実測図を先に集めておけば、買主の金融機関に説明できます。

建て替えができない土地を持ち続けるか手放すかは、接道を確保する費用と売った場合の手取りを並べて判断しましょう。
隣地所有者や私道の共有者との交渉が絡むなら、査定と並行して弁護士に状況を整理してもらってください。

【参考】建築基準法(e-Gov 法令検索)

接道義務の例外は認定と許可の2つがある

接道義務の例外は認定と許可の2つがある

建築基準法43条2項は、要件を満たさない敷地でも建築を認める2つの道を用意しています。
1号の認定と2号の許可です。
かつては同条のただし書きに置かれていたため「43条但し書き」と呼ばれていましたが、2018年の改正で1号と2号に再編されました。
難易度も手続きも異なります。

項目43条2項1号の認定43条2項2号の許可
対象幅員4m以上の道に2m以上接し、利用者が少数の建築物敷地の周囲に広い空地をもつ建築物など
建築審査会の同意不要必要
想定される道道路に該当しない幅員4m以上の通路・農道など空地や広場に接する敷地

43条2項1号の認定|幅員4m以上の道に2m以上接する利用者が少数の建築物

1号の認定とは、敷地が幅員4m以上の道に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数のものを対象とする制度です。
特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上の支障がないと認めれば建築できます。

対象となる道は、42条の道路には当たらないものの、避難と通行の安全上必要な国土交通省令の基準に適合するものだけです。
建築物の用途と規模についても省令の基準があり、延べ面積は原則として500平方メートル以内です。
一戸建ての住宅や長屋のように、利用者が限られる建物が想定されています。

建築審査会の同意が不要な分、2号の許可より軽い手続きです。
標準的な処理期間を数週間と公表している自治体もあります。

前面が幅員4m以上の農道や通路なら、認定の対象になるか建築指導課で確かめてください。
窓口では、道の幅員を測った図面と敷地の配置図を求められます。
計画中の建物の用途と規模も併せて伝えると、判断が一度で済みます。

43条2項2号の許可|周囲に広い空地があり建築審査会の同意を得たもの

2号の許可とは、敷地の周囲に広い空地をもつ建築物など国土交通省令の基準に適合するものについて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可する制度です。

判断の軸は、避難と消防活動に実際の支障がないかどうかです。
隣接して公園や広場、農地が広がっている敷地は許可が通りやすくなります。
反対に、建物が密集して逃げ道が確保できない敷地や、私道の所有者が通行を認めない敷地では下りません。

建築審査会に諮る手続きが入るため、事前相談から許可まで数か月を見込んでください。
建築審査会の開催は月1回程度の自治体が多く、日程を外すと次回まで待つことになります。

自治体によっては一括同意基準を公表しており、基準に当てはまる案件は個別の審議を経ずに処理されます。
基準はウェブ上で公開されている場合が多いため、事前相談の前に目を通しておいてください。

「43条但し書き」は2018年の法改正前の呼び方

43条但し書きとは、2018年改正前の建築基準法43条1項ただし書きを指す通称です。
改正によって規定は同条2項へ移り、1号の認定と2号の許可に整理されました。

古い解説記事や不動産広告では、いまも但し書き道路・但し書き申請という表記が残っています。
呼び方が違うだけで制度がなくなったわけではないため、旧称で情報を集めていた方も現行の1号・2号に読み替えて問題ありません。

申請の窓口は、いずれも敷地を管轄する特定行政庁です。
市区町村に建築主事が置かれていれば市区町村の建築指導課、置かれていなければ都道府県の建築事務所が受け付けます。

売買の場面では、仲介会社が「但し書き物件」と説明する例もあります。
呼び方に関係なく確認すべきは、過去に認定または許可を受けた実績があるか、次の建て替えでも同じ判断が得られる見込みがあるかの2点です。

認定や許可を受けても次の建て替えでは再度申請が必要になる

認定と許可は、いずれも個別の建築計画に対して与えられます。
土地自体に恒久的な資格が付くわけではありません。

一度許可を受けて建てた家を将来また建て替えるなら、建て替え時点で再申請が必要です。
周辺の状況が変わって空地が宅地に転換していれば、次は下りない可能性があります。
許可の実績を根拠に「今後もいつでも建てられる」と説明する売主側の言い方は正確ではありません。

売却する際は、過去の認定や許可の記録を建築計画概要書で確認し、買主へ経緯を伝えてください。
建築計画概要書は特定行政庁で閲覧でき、確認済証の交付日と建築主が記載されています。
制度の説明を誤ったまま契約すると、後から紛争に発展します。
契約条件で不安があるなら、締結前に弁護士へ内容を確認してもらってください。

接道義務を満たすようにする5つの方法

出口は大きく5つあります。
現実的に成立しやすいのはセットバックと隣地の一部買取で、隣地を借りる方法は建築確認の場面で使えない場面が目立ちます。
費用と交渉相手を並べて比べてください。

方法費用の考え方交渉相手
セットバック測量費と工作物の撤去費が中心原則として不要(自治体と協議)
隣地の一部を買い取る土地代に加えて測量・分筆・登記の費用隣地所有者
隣地を借りる賃料のみで初期費用は小さい隣地所有者
私道の承諾を得る承諾料が発生する場合がある私道の所有者・共有者
位置指定道路の指定を受ける道路築造工事費と申請費用道路予定地の所有者全員

セットバックして道路の幅員を4m確保する

セットバックとは2項道路に面する敷地の境界を後退させ、道路の幅員を4m確保する手当てをいいます。
道路の中心線から2mの線が境界線とみなされ、後退した部分は敷地から外れる扱いです。

後退部分には建物も塀も擁壁も置けず、建ぺい率と容積率を計算する敷地面積からも外れます。
幅員3mの道路なら、片側0.5mずつの後退です。
間口10mの敷地では5平方メートルが減る計算になります。

対向地が崖地や川に沿っている場合の基準線は、崖地等の側の境界線から4mの線です。
片側だけで4m分を負担する形になるため、減る面積は大きくなります。
自治体によっては後退部分の買い取りや助成の制度があるため、建築指導課で確認してください。

隣接する土地の一部を買い取って接道幅を2m以上にする

隣地の一部買取とは、道路に接する部分の土地を隣の所有者から買い、接道幅を2m以上まで広げる方法をいいます。
5つの方法のなかで接道要件を満たせる見込みがもっとも大きい一方、相手の同意が前提になります。

必要になるのは土地代のほか、境界確定測量・分筆登記・所有権移転登記の費用です。
金額は土地の面積と境界の状況で大きく変わるため、土地家屋調査士と司法書士から見積もりを取ってください。
土地代は近隣の取引事例をもとに交渉します。

隣地所有者にとって、敷地が削られる提案を断るのは自然な反応です。
相手の土地が建ぺい率の上限に近い場合は、売った結果として相手の建て替えが不利になるおそれもあります。

交渉では、買いたい面積と価格の考え方を図面と数字で示すと話が進みやすくなります。
日頃の関係が良好でないなら、当事者同士でぶつからず不動産会社や弁護士を間に立ててください。

隣地を借りて通路を確保する

隣地の賃借とは、隣の土地の一部を借りて通路として使う方法をいいます。
買い取るより費用は小さく済みます。

ただし、接道義務の判定で認められるのは原則として敷地に対する権原が安定している場合です。
期間の定めがある賃貸借では、建築確認の段階で敷地として算入できないと判断される例があります。
使用貸借であればなおさら不安定です。

通行の実態を作るだけなら賃借でも足りますが、建て替えを目的にするなら買取や位置指定を優先してください。
借りた土地は相手の相続や売却で状況が変わり、契約が引き継がれないおそれも残ります。

借りる形で進めるなら、事前に建築指導課へ計画を持ち込んで可否を確認しましょう。
窓口の回答は自治体ごとに分かれるため、他の地域の事例をそのまま当てはめないでください。

私道の所有者から通行と掘削の承諾を得る

通行・掘削承諾とは、私道を通行し、上下水道やガス管の埋設工事のために私道を掘ることを所有者が認める合意をいいます。
書面で交わすのが通例です。

承諾がないと、水道管の引き込みや更新工事に着手できません。
建物を建てられても給排水が引けなければ住めないため、実務上は接道の確保と同じ重みを持ちます。
売買では買主から必ず求められる書類です。

承諾料を求められる場合があり、金額は当事者間の交渉で決まります。
相場を示す公的な統計はありません。
所有者が複数いる私道では全員分の承諾が要るため、着手から取得まで数か月かかる例もあります。
承諾書には、将来の所有者にも効力が及ぶ旨と、承諾の対象となる工事の範囲を明記してください。
取りまとめが進まないなら弁護士に交渉を任せてください。

位置指定道路の指定を受ける

位置指定道路の指定とは、宅地として使うために築造した道について、政令の基準に適合するものとして特定行政庁から位置の指定を受ける手続きをいいます。
指定を受けた道は42条1項5号の道路です。

基準は自治体ごとに細目が異なりますが、幅員4m以上・両端が他の道路に接続していること・排水設備が整っていることなどが共通して求められます。
行き止まりの道は延長や終端の形状に条件が付き、一定の長さを超えると転回できる広場を設けるよう求められます。

難所になるのは、道路予定地の所有者全員の承諾と、工事費・申請費用の負担です。
所有者が多い場合は合意形成に時間がかかるため、着手前に見通しを立ててください。
指定を受けた後は私道であっても勝手に廃止できなくなる点も、承諾を求める前に共有者へ説明しておきましょう。

【参考】建築基準法(e-Gov 法令検索)

前面道路が私道でも接道義務は満たせる

私道に接しているから再建築できない、と決めつける必要はありません。
私道であっても、位置指定道路か2項道路として指定されていれば接道義務を満たします。
判断を分けるのは所有形態ではなく、建築基準法上の指定の有無です。
一方で、持分と承諾の有無が、工事と売却の進み方を左右します。

私道でも位置指定道路か2項道路なら接道義務は満たせる

位置指定道路は42条1項5号の道路、2項道路は42条2項によって道路とみなされます。
いずれも所有者は私人ですが、建築基準法上は道路として扱われます。

確認するのは建築指導課の指定道路図です。
指定を受けた年月日と幅員、指定の区域が図面と調書に記録されています。
記載が見つからない私道は、42条の道路ではありません。

指定を受けていない私道に接している土地で次に調べるのは、43条2項1号の認定を使えるかどうかです。
幅員4m以上の道であれば、認定の対象になる余地が残ります。

指定道路図に載っていない道でも、古い位置指定の記録が紙の台帳に残っている場合があります。
窓口で「該当なし」と言われたら、指定年度をさかのぼって調べてもらえるか尋ねてください。
分譲が古い住宅地では、記録の電子化が及んでいない例があります。

私道の持分がない場合は通行と掘削の承諾書が必要になる

私道の持分とは私道を共有する各所有者が持つ所有権の割合をいいます。
持分があれば自分の権利として通行と掘削ができますが、持分がない場合は所有者から承諾を得る形になります。

承諾書に必要な要素は、通行を認める範囲・掘削を認める工事の内容・将来の所有者にも効力が及ぶ旨の3点です。
口頭の了解だけでは、所有者が代替わりした際に主張できません。

買主も同じ書面を求めます。
承諾書がないまま売り出すと、買主が住宅ローンの審査で提出を求められた段階で契約が中断します。

持分がある場合でも安心はできません。
私道は共有者全員の合意がないと工事に着手できない扱いが一般的で、持分の有無にかかわらず他の共有者への説明は必要です。
売却の前に承諾書がそろっているかを点検し、欠けているなら取得を先に済ませてください。

私道の共有者が多いと承諾を集めるだけで数か月かかる

私道が細かく分筆されて多数の共有者に分かれている土地では、承諾の取得が最大の難所になります。
1人でも所在が分からなければ、書面がそろいません。

相続が繰り返されて名義人が亡くなったままの私道も多く、相続人を戸籍から追う作業が必要になります。
相続登記は2024年4月から義務化されましたが、義務化より前に発生した相続にも猶予期間つきで適用されるため、名義が古いまま残る私道はしばらく減りません。

交渉が行き詰まったまま売り出すと、契約後に白紙解除となるおそれがあります。
所在の分からない共有者がいる場合は、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。
共有者との協議が止まっているなら、査定と並行して弁護士へ相談し、進め方を決めてください。

接道義務を満たさない土地を売却するときの注意点

売却自体は可能です。
ただし、伝えるべき事実を伝えないまま契約すると紛争になります。

価格の判断材料も、公的な統計ではなく複数社の提示額から組み立てる必要があります。
売り出す前に4点を確認してください。

重要事項説明で再建築の可否と私道の負担を必ず伝える

宅地建物取引業法35条1項は、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が書面を交付して説明すべき事項を並べています。
2号は、都市計画法・建築基準法その他の法令にもとづく制限のうち政令で定めるものの概要です。
接道義務を満たさず再建築ができない事実は、2号の説明に含まれます。

3号は、建物の賃貸借以外の契約であるときの私道に関する負担です。
私道の持分の有無、通行と掘削の承諾の状況、私道部分の固定資産税の扱いを説明します。

説明を怠れば宅地建物取引業法に違反し、契約の解除や損害賠償の対象です。
売主自身が業者でなくても、事実を仲介会社へ伝えなかった責任は契約不適合として問われる場合があります。
売主として不利な事実でも、仲介会社へ包み隠さず伝えてください。

買取価格に公的な統計はないため複数社の提示額を幅で比べる

再建築不可の土地について、成約価格の公的な統計は存在しません。
国土交通省の不動産価格指数や地価公示にも、接道の可否で区分した数値はありません。

不動産会社や買取事業者が公表している目安は、周辺の整形地に比べて相当程度低い水準にとどまる、という説明が中心です。
数値を出している事業者もありますが、算出の根拠と対象地域が示されていない例が目立ちます。
1社の提示額を相場と受け取らないでください。

現実的な進め方は、複数社に同じ条件で査定を出してもらい、金額の幅と根拠の説明を並べて比べる方法です。
査定書に金額の根拠が書かれているかを確認してください。

比べるのは提示額だけではありません。
測量費や解体費をどちらが負担するか、契約不適合責任を免責にするかで手取りは変わります。
金額と条件をそろえた表を自分で作り、手取りベースで並べて判断してください。

私道の共有者や隣地所有者と揉めたまま売り出さない

境界の主張が食い違っている、通行の承諾を拒まれている、隣地から越境を指摘されている。
紛争を抱えたまま売り出すと、買主が現れても決済まで進みません。

買主は決済後に自分が紛争を引き継ぐ立場になります。
仲介会社も紛争の存在を把握すれば買主へ説明する義務を負うため、隠し通すのは不可能です。

境界が確定していない土地は、そもそも測量図を添えた売買契約を結べません。
越境物がある場合は、将来撤去する旨の覚書を隣地所有者と交わしておくと、買主の不安を減らせます。

先に片づけてから売るか、紛争の内容を開示したうえで価格に織り込むか、どちらかを選んでください。
判断がつかないなら、査定を取る前に弁護士へ状況を整理してもらう方法もあります。

相続した土地は相続登記を済ませてから売る

相続によって取得した土地は、名義が被相続人のままだと売却できません。
買主へ所有権を移す前提として、相続人への登記が必要になるためです。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が求められます。
正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議で取得者を決めることが前提です。

登記に必要な戸籍の収集と協議の取りまとめには、数か月かかる例も珍しくありません。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があります。

売却を考えているなら、査定と並行して司法書士へ依頼してください。
買主が決まってから登記に着手すると、決済日を動かす事態になります。

【参考】宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)

【参考】不動産登記法(e-Gov 法令検索)

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接道義務についてよくある質問

Q

接道義務はいつから始まりましたか

A

接道義務は、1950年に制定された建築基準法によって定められました。
前身の市街地建築物法にも道路との関係を求める規定はありましたが、幅員4m・接道2mという現在の骨格は建築基準法で整えられています。
制定より前から建っていた建物が既存不適格として残っているのは、規定の施行時に存在していた建築物へは適用しないという扱いがあるためです。

Q

接道義務の2mと道路の幅員4mはどう違いますか

A

2mは敷地が道路に接する長さ、4mは道路そのものの幅を指します。
建築できるのは、両方を満たす土地だけです。
前面道路が幅員3.5mなら、接道幅が5mあっても要件を欠きます。
2項道路として指定されていればセットバックで手当てできるため、まず道路種別を確認してください。

Q

接道義務に違反するとどうなりますか

A

要件を満たさないまま新築すれば、建築基準法に違反し、工事の停止命令や是正命令の対象です。
特定行政庁が除却を命じる場合もあります。
一方、建てた当時は適法で、後年の指定や改正で基準に合わなくなった建物は既存不適格として扱われ、是正命令の対象にはなりません。

Q

接道幅が2mちょうどでも家は建てられますか

A

2m以上が要件のため、実測で2.00mを確保できていれば要件を満たします。
もっとも境界標の位置がずれていたり、塀や門柱が内側に出ていたりすると、実質的な幅が2mを割ります。
余裕がない土地では、境界確定測量を済ませたうえで建築士に計画を確認してもらってください。

Q

高低差がある土地は接道義務を満たしますか

A

道路と敷地に大きな高低差があり、擁壁で仕切られて出入りができない土地では、有効な接道と認められない場合があります。
判断は特定行政庁ごとに分かれます。
階段やスロープで通行できる状態を確保できるかが分かれ目です。
計画の段階で建築指導課へ現況の写真を持参し、扱いを確認してください。

まとめ|接道義務は2m以上の接道が要件・満たさない土地は再建築不可になる

接道義務とは、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないルールです。
判定に必要な材料は、前面道路の種別・実測した接道幅・自治体の条例の3点です。
市区町村の建築指導課と実測でそろえられます。

満たさない土地でも、43条2項1号の認定や2号の許可、セットバック、隣地の一部買取といった道があります。
いずれも隣地所有者や私道の共有者との交渉が前提になるため、話が止まったら早めに弁護士へ引き継いでください。

接道を確保して建て替えるか、現況のまま売るか。
判断するには、接道を確保する費用と売った場合の手取りの両方が要ります。
無料査定で金額を把握したうえで、隣地の買取や位置指定にかかる費用と並べて決めてください。

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監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。