【専門の業者への依頼】がおすすめ!
遺品整理の費用相場はいくら?間取り別の目安と内訳、安く抑える方法を解説
遺品整理を業者に依頼したときの費用は、1R・1Kで3万〜15万円、一軒家では50万〜100万円を超える例まで幅があります。
金額を決めているのは間取りそのものではありません。
総額を左右するのは、部屋に残された物の量と、家財を外へ運び出すまでの経路です。
見積書を受け取った遺族が抱える疑問は、おおむね3つに集まります。
提示された金額は妥当なのか、費用は誰が払うのか、片付けたあとの家をどうするのか、の3点です。
記事では間取り別の目安と見積書6項目の内訳を示し、金額が上振れする条件と抑える手順を整理します。
あわせて費用の負担者、相続放棄との関係、片付け後の不動産の出口までたどります。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
【専門の業者への依頼】がおすすめ!
遺品整理の費用は間取りではなく物量と搬出条件で決まる
遺品整理業者の料金表は、間取りごとに区切られた形で示されます。
間取りはあくまで物の量を推し量る目安で、同じ1LDKでも金額は2倍以上開きます。
総額を動かしているのは、残された物量と搬出経路の2つです。
まず幅のある目安を押さえ、続いて内訳をたどる順に進めましょう。
間取り別の費用目安は1Rで3万円台、一軒家で100万円超まで開く
遺品整理業者が公表している料金の目安は、間取りが広がるほど上限が伸びる形になっています。
複数の業者が公表している数値を重ねると、おおむね次の幅に収まります。
| 間取り | 費用の目安 | 作業人数の目安 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 3万〜15万円 | 1〜2名 | 数時間〜半日 |
| 1DK・2K | 7万〜30万円 | 2〜4名 | 半日〜1日 |
| 1LDK・2DK・3K | 15万〜50万円 | 3〜5名 | 1日程度 |
| 2LDK・3DK・3LDK | 20万〜80万円 | 5名以上 | 1〜2日 |
| 一軒家 4LDK以上 | 50万〜100万円超 | 5〜10名以上 | 1〜5日 |
注目したいのは、同じ間取りでも下限と上限が3倍以上離れる点です。
下限に近づくのは、家具や家電が少なく、日用品をあらかじめ減らしてある場合になります。
反対に上限へ向かうのは、収納が満杯で分別に時間がかかり、階段でしか運び出せない場合です。
自分の家がどちらへ寄るかを先に見立てておくと、提示された金額の妥当性を判断しやすくなります。
見立ての手がかりは収納の詰まり具合です。
押し入れとクローゼットに空きがあれば下限寄り、床にも物が積まれていれば上限寄りと考えてください。
【参考記事】遺品整理の費用相場はいくら?
料金体系と内訳をプロが徹底解説|日本郵便
同じ間取りでも金額が変わるのは物量と搬出経路の差
金額の差を生む1つ目の要素は物量です。
遺品整理業者は部屋の物量をトラックの積載量に換算し、必要な台数から運搬費を組み立てます。
したがって総額を直接左右するのは、間取りよりも収納にどれだけ詰まっているかです。
遺品整理業者が公表する目安では、2トントラックを複数台使う規模になると運搬費だけで10万〜30万円に達する例もあります。
差を生む2つ目の要素は搬出経路です。
エレベーターのない建物の上階、幅の狭い前面道路、玄関までの階段は、いずれも作業員の人数と時間を増やします。
同じ物量でも、トラックを横付けできる一戸建てと、階段で4階まで運ぶ集合住宅では人件費が変わります。
見積もりを依頼するときは、間取りだけでなく階数とエレベーターの有無、前面道路の幅まで伝えてください。
作業人数と作業日数の目安を押さえると見積額を検算できる
提示された金額が妥当かどうかは、人件費から逆算すると確かめられます。
遺品整理の見積額は、作業員の人数と作業日数の積に、運搬費と処分費を足した構造になっているためです。
1R・1Kなら1〜2名で半日、一軒家なら5〜10名で1日から5日が目安です。
数字を当てはめ、人日あたりの単価が2万〜3万円の範囲に収まるかを見てください。
たとえば3LDKで5名が2日という条件なら、人件費の概算は20万〜30万円です。
概算に運搬費と処分費を上乗せした金額から提示額が大きく離れていれば、根拠を尋ねる余地があります。
内訳の説明を求めても人数と日数を明かさない業者には、依頼を進めないでください。
遺品整理の見積書は6つの費用項目で構成される
見積書に「遺品整理一式」とだけ書かれていると、他社と比べる材料がありません。
遺品整理の料金は6つの項目に分解でき、6項目すべてが記載されているかどうかが業者を選ぶ最初の基準になります。
項目ごとに何の対価かを押さえていきましょう。
人件費は作業員の人数と作業日数で積み上げる
人件費は、遺品の確認から仕分けと梱包、部屋の外への運び出し、トラックへの積み込みまでを含みます。
作業の中身が幅広いため、6項目のなかで最も大きな割合を占める場合が多くあります。
積算は単純で、作業員1名あたりの日当に人数と日数を掛ける形です。
人数が増えるのは、物量が多い場合と搬出経路に負荷がある場合です。
エレベーターのない建物の上階では、階段で運ぶ人員が3〜4名増えると説明する業者もあります。
したがって見積書には、作業員が何名で何日という記載を求めてください。
人数と日数のない見積書は検算ができないため、記載を求めたうえで比較してください。
日当の水準には地域差もあります。
都市部は人件費が高く設定されるため、同じ物量でも地方より総額が上がります。
車両費と運搬費はトラックの台数とサイズで決まる
車両費は、一般廃棄物を積んで処分場まで運ぶトラックの費用です。
金額はトラックのサイズと台数、そして処分場までの運搬距離の3点で決まります。
軽トラックで足りる物量と、4トントラックが必要な物量では、車両費だけで数倍の開きが出ます。
台数が増える典型は、一軒家で家具と家電がそろって残っているケースです。
押し入れや物置、庭の物置小屋まで対象に入ると、想定より積載量が膨らみます。
また処分場が遠い地域では、往復の回数が増えるぶん運搬費が加算されます。
見積書では、車両のサイズと台数、往復回数が書かれているかを確かめましょう。
処分場が休みの日に作業を組むと、いったん保管する費用が加わる場合もあります。
日程を決める前に、搬出から搬入までを続けて行えるかを確かめておきましょう。
廃棄物処分費は一般廃棄物として処理する費用
故人の住まいから出る家財は、事業所のごみではなく家庭から出るごみにあたります。
したがって処分は一般廃棄物の枠組みで進み、業者が業として収集運搬するには市町村長の許可が要る仕組みです。
廃棄物処理法は、一般廃棄物の収集運搬を業として行おうとする者に許可の取得を義務づけています。
許可を出すのは、事業を行う区域を管轄する市町村長です。
許可の有無によって処分ルートが分かれます。
許可のある業者だけが自治体の処理施設へ搬入でき、許可のない業者が使える正規ルートはありません。
結果として不法投棄につながり、依頼した遺族側が説明を求められる事態も起こりえます。
処分費の安さだけで選ばず、許可の有無をあわせて確認してください。
なお同じ家財でも、事務所や店舗を兼ねた住居のうち事業に使っていた部分から出るものは、事業系の廃棄物として家庭ごみとは別の扱いになる場合があります。
【参考】廃棄物の処理及び清掃に関する法律|e-Gov 法令検索
資材費と作業費は梱包材と仕分け作業の対価
資材費に含まれるのは、次のような消耗品です。
- 段ボールとガムテープ
- ビニール袋
- 床や壁を保護する養生シート
金額そのものは大きくありませんが、養生の範囲が広い集合住宅では加算幅が広がります。
共用廊下やエレベーターの養生を管理規約で求められる建物では、事前に範囲を確認しておきましょう。
一方、作業費は仕分けと梱包の手間に対する対価です。
形見として残す品、買取に回す品、処分する品を分ける工程が中心になります。
業者によっては人件費に含めて示す場合もあれば、別建てで計上する場合もあります。
どちらの方式かで見積書の見え方が変わるため、二重計上になっていないかを確かめてください。
養生の要否は建物の管理規約で決まる場合が多く、事前に管理会社へ確認しておくと当日の追加を避けられます。
家電リサイクル料金は法律で対象4品目が決まっている
次の4品目は、通常のごみとして処分できません。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
なぜなら家電リサイクル法が、小売業者に引取りの義務を、製造業者に再商品化の義務を課しているためです。
回収された家電は部品や材料として再び使われ、再商品化にかかる費用を排出者が負担する仕組みになっています。
そして支払う金額は2階建ての構造です。
1階部分がメーカーごとに定められたリサイクル料金、2階部分が運び出しにかかる収集運搬料金になります。
遺品整理の見積書では、4品目の台数とリサイクル料金が別立てで記載されているかを見てください。
一式料金に含むと説明された場合は、対象4品目が何台分入っているかまで確認しましょう。
【参考】特定家庭用機器再商品化法|e-Gov 法令検索
オプション費用は供養・ハウスクリーニング・特殊清掃が中心
基本料金に含まれない作業は、オプションとして別に加算されます。
主なものは次のとおりです。
| オプション | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 遺品の供養・お焚き上げ | 仏壇や写真などを寺社で供養する | 数千円〜数万円 |
| ハウスクリーニング | 退去や売却に向けて室内を清掃する | 数万円〜十数万円 |
| 特殊清掃 | 孤独死などで生じた汚損を原状に戻す | 十数万円〜数十万円 |
| 遺品の配送 | 形見分けの品を親族へ送る | 実費 |
| デジタル遺品の整理 | 端末内のデータと契約を確認する | 数万円〜 |
金額の幅が最も大きいのは特殊清掃です。
業者の公表値では、通常の遺品整理に十数万円から数十万円が上乗せされます。
必要なオプションを先に決めておけば、当日の追加提案による上振れを防げます。
不要な項目は見積もりの段階で外すよう伝えてください。
オプションの単価は業者ごとに開きがあります。
供養だけを寺社へ直接依頼する、清掃を専門業者に分けて頼むといった組み替えでも総額は下がります。
見積書では、オプションが基本料金に含まれるのか別建てなのかを確かめてください。
特殊清掃を頼む場合は、消臭と除菌の工程が書面に書かれているかも見てください。
作業の範囲があいまいなまま契約すると、追加の請求につながります。
遺品整理の費用が高くなる4つの条件

見積額が想定を超える背景には、共通した条件があります。
物量、搬出経路、立地、そして特殊清掃の要否です。
自分の物件がどの条件に当てはまるかを確かめると、上振れの幅を事前に見積もれます。
遺品の量が多く分別に時間がかかる
物量は、トラックの台数と作業員の人数の両方を押し上げます。
金額への影響が最も大きい条件といえます。
とくに時間がかかるのは、書類や写真、小物が大量に残っているケースです。
1点ずつ中身を確かめる必要があり、家具の搬出よりも手間が積み上がります。
いわゆるごみ屋敷の状態になっている場合、作業の中心は分別そのものです。
床が見えない住戸では、通常の3倍近い日数が必要になる例も出ています。
見積もりを依頼するときは、部屋ごとの写真を送って現状を正確に伝えてください。
当日になって物量が判明すると、追加請求の理由を業者側に与えてしまいます。
物量を減らせば台数と人数の両方が下がるため、着手前の仕分けは総額を直接下げる手段です。
申告した量が実際と食い違うと、当日に見積もりを取り直す事態になります。
エレベーターのない集合住宅の上階にある
搬出経路の負荷は、人件費に直結します。
エレベーターのない建物の3階以上では、家具や家電を階段で下ろす人員が必要になり、3〜4名増える場合があります。
作業時間も伸びるため、日当と日数の両方が増える構図です。
階段搬出では養生の範囲も広がります。
共用部分に傷をつけると原状回復の責任が生じるため、手すりや壁面を保護する資材が追加されます。
エレベーターがある場合でも、管理規約で使用時間が限られていれば作業効率は低いままです。
見積もり時には階数、エレベーターの有無、使用時間の制限をあわせて伝えましょう。
マンションでは、エレベーターの内寸に入らない家具を階段で下ろす場合もあります。
大型のタンスやベッドがある住戸では、事前に搬出経路を確認してもらってください。
前面道路が狭くトラックを横付けできない
建物の前までトラックが入れない場合、荷物を手作業で運ぶ横持ちが発生します。
横持ちの距離が長いほど作業員の往復回数が増えるため、人件費と作業時間の両方が上振れする条件です。
旗竿地や私道の奥にある一戸建てでは、特に影響が大きくなります。
道幅が2メートルに満たない場合は、軽トラックへ荷物を積み替える対応が必要です。
一度に運べる量が減るため、処分場との往復回数が増えて運搬費も上がります。
現地見積もりでは、業者が前面道路の幅と駐車スペースの有無を必ず確認します。
写真だけの見積もりでは判明しないため、可能なかぎり現地で見てもらってください。
駐車の可否も費用に響きます。
路上に停められない地域では、時間貸し駐車場の料金が加算されます。
見積もりの段階で駐車スペースの有無を伝えましょう。
孤独死などで特殊清掃が必要になる
故人が亡くなってから発見までに時間が経った場合、通常の清掃では対応できない汚損が残ります。
特殊清掃では、専用の薬剤による消臭と除菌、汚染された床材や壁紙の撤去、害虫の駆除までを行います。
作業の専門性が高く、対応するのは資格を持つ作業員です。
費用は状態によって大きく変わり、業者の公表値では十数万円から数十万円が加算されます。
汚損が下地まで及んでいれば、内装の解体と復旧が別途必要です。
あわせて注意したいのが、物件の扱いへの影響です。
特殊清掃を行った住戸は、売却や賃貸の際に買主・借主へ告げるべき事情が生じる場合があります。
片付け後の出口は、記事の後半で扱うテーマです。
作業は消臭の効果を確かめながら段階的に進むため、日数も通常より延びます。
金額の幅が広い分野なので、必ず現地を見たうえで見積もりを出してもらってください。
自分で行う場合と業者に依頼する場合では総額と負担が変わる
遺品整理は、家族だけで進める方法と業者に任せる方法があります。
処分費だけを比べれば自力のほうが安く済みますが、日数と体力、廃棄物の持ち込み手続きまで含めると評価が変わります。
まず両者を並べて確かめましょう。
| 比較項目 | 自分で行う場合 | 業者に依頼する場合 |
|---|---|---|
| かかる費用 | 粗大ごみ手数料と家電リサイクル料金の実費 | 間取りと物量に応じた料金 |
| 所要日数 | 数週間〜数か月 | 1日〜5日程度 |
| 必要な手続き | 自治体への申込みと搬入予約 | 業者との契約のみ |
| 買取・特殊清掃 | 別の業者を自分で手配 | まとめて依頼できる |
| 向くケース | 物量が少なく期限に余裕がある | 物量が多い、期限が近い、遠方に住む |
自分で行う場合にかかるのは処分費と運搬の実費
家族だけで進める場合、支払うのは自治体の粗大ごみ手数料と家電リサイクル料金、加えて運搬の実費です。
粗大ごみは品目ごとに手数料が決まっており、1点あたり数百円から数千円の範囲に収まる自治体が多くあります。
事前に申込みをして手数料券を購入し、指定日に指定場所へ出す流れです。
家電4品目は粗大ごみに出せません。
購入した小売店に引き取りを依頼するか、郵便局でリサイクル券を購入して指定の引取場所へ持ち込みます。
レンタカー代やガソリン代、手伝いを頼んだ場合の謝礼も見込んでおきましょう。
実費の合計は、1R程度なら数万円に収まる場合が多くなります。
自治体によっては、粗大ごみの持ち込みを受け付ける施設も利用可能です。
自分で搬入すれば、収集を待つより手数料が安く済みます。
自分で行う場合の負担は費用ではなく日数と体力に出る
自力で進める最大の負担は時間です。
一軒家で家財が残っている状態では、週末だけの作業で数週間から数か月かかります。
分別、搬出、自治体への申込みと搬入をすべて自分で回すため、作業の総量が想像より大きくなります。
遠方に住む相続人であれば、往復の交通費と休暇の確保という負担も上乗せです。
片道3時間の実家に月2回通えば、交通費だけで数万円に達します。
賃貸物件で退去期限が迫っている場合は、作業が遅れるほど家賃が発生し続けます。
費用だけを見て自力を選ぶと、かえって総額が膨らむ結果です。
体力面の負担も見落とせません。
家具の運び出しは2人以上が必要で、けがを負えば作業自体が止まります。
高齢の相続人だけで進める計画は避けてください。
業者に依頼したほうがよいのは物量が多いケースと期限があるケース
業者への依頼を選ぶ基準は、次の3つのいずれかに当てはまるかどうかです。
物量が2トントラック1台を超える、退去や引き渡しの期限が1か月以内に迫っている、特殊清掃が必要である、の3点になります。
1つでも当てはまれば、自力での完遂は難しくなります。
業者にすべてを任せる形だけが選択肢ではない点も押さえてください。
貴重品の探索と形見分けだけを家族で行い、搬出と処分を業者に頼む分割発注も選べます。
作業範囲を絞れば料金も下がります。
物量と期限のどちらを優先すべきか迷う段階なら、片付けと不動産の処分をまとめて相談できる窓口で見通しを立ててください。
判断の目安として、部屋の床が見えない状態なら業者へ切り替えてください。
分別に要する日数が読めず、期限に間に合わなくなります。
遺品整理の費用を抑える6つの方法

見積額は工夫次第で下げられます。
効果が大きい順に並べると、物量を減らす、相見積もりを取る、買取で相殺するの3つが上位に来ます。
残る3つは日程と発注方法の調整です。
順に見ていきましょう。
自分で処分できる日用品を先に減らす
最も効果が大きいのは、業者が運ぶ量そのものを減らす方法です。
衣類や食器、書籍、寝具は自分で処分しやすく、量のわりに積載量を取ります。
自治体の可燃ごみと不燃ごみで出せる品目を先に処理すれば、トラックの台数を1台減らせる場合もあります。
粗大ごみに出せる家具も、期限に余裕があれば自分で申し込むのが現実的です。
着手前に確認したい点が1つあります。
相続放棄を検討している段階では、遺品に手をつける行為が後の選択肢を狭める場合があります。
放棄の可能性が少しでもあるなら、記事後半の相続放棄の項目を先に読んでください。
自治体のごみ収集は日程が決まっているため、着手は早いほど有利です。
回収日を確認し、逆算して仕分けを進めましょう。
買取のある業者を選んで作業費と相殺する
買取に対応する業者へ依頼すると、査定額を作業費から差し引けます。
対象になりやすいのは、次のような品物です。
- 貴金属とアクセサリー
- 骨董品や美術品
- ブランド品
- 状態のよい家電
- 未使用の贈答品
品数と状態によっては、買取額で作業費の一部をまかなえる場合もあります。
ただし買取を行うには、都道府県公安委員会の許可が必要です。
古物営業法は、中古品の売買を業として営もうとする者に許可の取得を義務づけており、無許可での営業を禁じています。
許可番号を提示できない業者に品物を渡すと、後から所在を確認できなくなります。
買取額を1点ずつ書面で示す業者を選んでください。
買取額は査定する業者によって差が出ます。
骨董品や貴金属がまとまってある場合は、専門の買取業者にも査定を依頼して比べてください。
【参考】古物営業法|e-Gov 法令検索
相見積もりを3社以上から取る
比較の最低ラインは3社です。
2社では高いほうと安いほうの判断しかできませんが、3社そろうと中央値が見え、極端に外れた提示を識別できます。
1社だけで決めると、相場から離れた金額でも気づけないままです。
比較を成り立たせるには、3社に同じ条件を伝える必要があります。
次の6点を共通の項目としてそろえてください。
- 間取り
- 階数とエレベーターの有無
- 前面道路の幅
- 家具と家電の台数
- 希望する作業日
- 買取とハウスクリーニングの要否
加えて、現地見積もりに対応する業者に限定しましょう。
電話だけの概算は、当日の追加請求につながりやすくなります。
見積書が出そろったら、総額ではなく項目ごとに並べて比べてください。
1社だけ極端に低い項目があれば、当日に追加される可能性を疑ってください。
繁忙期を外して依頼日を調整する
遺品整理業者の依頼が集中するのは、引っ越しシーズンにあたる3月から4月と、年末年始の前です。
時期が重なると人員の確保が難しくなり、価格の交渉余地も狭まります。
逆に依頼の少ない時期を選べば、日程の融通と価格の両方で有利になります。
平日を選ぶ方法も有効です。
土日を希望する依頼者が多いため、平日の枠は空きやすくなります。
賃貸物件で退去期限が決まっている場合は、日程調整より期限の順守を優先してください。
家賃が発生し続ける状況では、数万円の値引きより1か月分の家賃のほうが重くなります。
業者によっては、日程を業者側に任せると割引を適用する仕組みを設けています。
急がない案件なら、作業日を指定せずに見積もりを取る方法も有効です。
自治体の粗大ごみ回収を併用する
自治体の粗大ごみ回収は、業者の処分費より安く設定されています。
品目が数点で、指定場所まで自力で運び出せるなら、併用したほうが総額を抑えられます。
申込みは電話かインターネットで受け付け、手数料券をコンビニなどで購入する流れが一般的です。
一方で、自治体回収では扱えない品目もあります。
家電4品目やパソコン、消火器、タイヤ、ピアノは対象外とする自治体が大半です。
また収集日が2週間以上先になる地域もあり、期限が迫る場合には使えません。
自治体の案内で対象品目と収集日を確認したうえで、業者への依頼分と切り分けてください。
収集日の予約は、電話がつながりにくい時期もあります。
インターネットの申込みなら24時間受け付ける自治体が多く、早めに枠を押さえられます。
作業範囲と立ち会い条件を書面で確定させる
追加請求の多くは、作業範囲の認識のずれから生じます。
対象の部屋と庭や物置の扱い、ハウスクリーニングの有無、家電4品目の台数を書面に落としておけば、後から請求する根拠がなくなります。
契約書に「追加料金が発生する条件」を明記してもらう方法も有効です。
遠方に住んでいて立ち会えない場合は、貴重品が見つかったときの連絡方法と、判断を仰ぐ範囲を先に決めておいてください。
作業前後の写真を撮って共有するよう依頼すれば、確認の手間も減ります。
契約後に高額の追加請求を告げられた場合は、支払う前に弁護士へ相談してください。
契約内容によっては応じる必要がない場合もあります。
書面は作業当日ではなく、契約の前に受け取ってください。
当日に渡される書類では、内容を検討する時間がありません。
遺品整理を始める時期は持ち家か賃貸かで決まる
着手のタイミングに法律上の決まりはありません。
判断を分けるのは物件の種類です。
賃貸なら退去期限から逆算し、持ち家なら相続の手続きと足並みをそろえる形になります。
賃貸物件は退去期限から逆算して日程を組む
賃貸物件では、借主の地位が相続人に引き継がれます。
したがって明け渡しを終えるまで家賃は発生し続けます。
着手が1か月遅れれば、1か月分の家賃がそのまま負担として積み上がる計算です。
まず契約書で解約予告期間を確認し、明け渡し日から逆算して作業日を決めてください。
解約予告期間は1か月とする契約が多く見られます。
予告を出してから遺品整理の日程を押さえると、業者の空きが合わない場合があります。
順序としては、業者の見積もりと日程を先に確保し、続けて解約を通知するほうが安全です。
管理会社には、故人が亡くなった事実と相続人の連絡先を早めに伝えておきましょう。
連帯保証人がいる場合は、明け渡しの予定も共有しておきましょう。
連絡が行き違うと、保証人へ先に請求が届く場合があります。
持ち家は相続の手続きと足並みをそろえる
持ち家では家賃が発生しないため、賃貸ほど急ぐ必要はありません。
先に済ませておくべき作業があります。
遺言書の有無の確認と、相続人の確定です。
遺言書が後から出てくると、済ませた形見分けをやり直す事態になりかねません。
不動産を引き継ぐ場合は、相続登記の期限も確かめてください。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しなければならなくなりました。
売却まで見据えるなら、片付けと並行して登記の準備を進めると手戻りがありません。
登記の申請を怠ると過料の対象になります。
正当な理由がないまま期限を過ぎた場合、10万円以下の過料を科される定めです。
売却の予定があるなら、名義を移してから買主を探してください。
【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索
四十九日や相続放棄の期限を目安に置くと動きやすい
実務では、四十九日の法要にあわせて遺品整理を行う遺族が多くいます。
親族が集まる機会にあたるため、形見分けと処分の判断を一度に進められる利点があります。
遠方の相続人がいる家庭では、日程を合わせる手間も不要です。
相続放棄を検討している場合は、別の期限が優先します。
放棄の申述は、自分が相続人になったと知った時から3か月以内に行う必要があります。
期間内に財産の全体像がつかめないときは、家庭裁判所へ伸長を申し立ててください。
期限が重なって動けない状況なら、片付けに着手する前に弁護士へ相談してください。
親族が集まる機会に日程を決めるときは、業者の空き状況を先に確認しておきましょう。
法要の当日に業者を手配できないと、改めて集まる手間が生じます。
遺品整理の費用は原則として相続人が負担する

費用の負担者は、故人の財産を引き継ぐ人です。
負担するのは相続人です。
ただし遺産から直接支払えるか、いったん立て替えるかは、相続の進み方と物件の契約名義によって変わります。
遺産に現金があれば遺産から支出できる
故人の預貯金や現金から遺品整理費用を支払う方法は、相続人全員の同意があれば選べます。
遺産分割が済んでいない段階の預貯金は相続人全員の共有にあたるため、1人の判断で引き出すと後から精算を求められます。
まず全員の合意を取り付けてください。
合意は口頭でも成立しますが、記録に残す形が安全です。
支払う費用の上限、業者名、支払い方法をメモにまとめ、全員が確認した事実を残しておきましょう。
同意を得ずに引き出すと、遺産を処分したとみなされて相続放棄ができなくなる場合もあります。
金額の大小にかかわらず、手順を省かないでください。
金融機関によっては、相続人1人の請求で預貯金の一部を払い戻せる制度を使えます。
払い戻せる額には上限があるため、事前に窓口へ確認してください。
相続人が複数いる場合は法定相続分に応じて分けるのが基本
立て替えが必要な場合の分担は、法定相続分を基準に考えます。
配偶者と子が相続人なら配偶者が2分の1、子が残り2分の1を人数で分ける割合です。
基準にすると、誰も納得しやすい配分になります。
話し合いで別の割合に決めても差し支えありません。
実家を取得する相続人が多めに負担する、遠方から通って作業した相続人の負担を軽くするといった調整はよく行われます。
決めた割合は遺産分割協議書に書き込むか、別途の合意書に残してください。
口頭のままにすると、後から言い分が食い違います。
配偶者がおらず子だけが相続人なら、人数で等分するのが基準です。
兄弟姉妹が相続人になる場合も同じ考え方になります。
負担の割合は、遺品を誰が引き取るかとは切り離して決めてください。
立て替えた費用は領収書と作業前後の写真で精算の根拠を残す
1人が立て替えた費用を後から精算するには、金額と作業内容の両方を示せる資料が必要です。
業者の見積書と領収書、作業前後の室内写真、作業日報の3点をそろえておきましょう。
写真があると、どこまでの範囲を片付けたかを他の相続人に説明できます。
精算は遺産分割協議のなかで行うのが一般的です。
協議書に「遺品整理費用◯◯円を◯◯が立て替えたため、遺産から優先して精算する」と書き込む形になります。
他の相続人が支払いを拒み、話し合いが進まない場合は、弁護士を通じた協議へ切り替える方法があります。
感情的な対立に発展する前に相談してください。
立替の前に、他の相続人へ金額と業者名を知らせておく手順も有効です。
事後に伝えると、金額の妥当性そのものが争点になります。
賃貸物件では契約内容と連帯保証の有無で負担者が変わる
賃貸住戸では、借主としての地位が相続人に引き継がれます。
したがって家賃の支払い義務も、残置物を撤去して明け渡す義務も、相続人が負います。
管理会社から原状回復を求められるのは、相続人が義務を引き継いだためです。
連帯保証人がいる場合、貸主は保証人に請求できます。
保証人が支払った分は、後から相続人へ請求される関係にあります。
したがって最終的な負担者は相続人のままです。
相続放棄をすれば借主の地位も引き継ぎませんが、放棄しても占有している物については別の義務が残ります。
次の項目で整理します。
明け渡しが遅れれば、貸主から損害の賠償を求められる可能性も現実的です。
相続人が複数いるなら、代表者を決めて管理会社の窓口を一本化してください。
相続放棄を考えているなら遺品に手をつける前に確認する
相続放棄を選べるかどうかは、遺品への関わり方で変わります。
財産の処分にあたる行為をすると、相続を承認したものとみなされるためです。
片付けに着手する前に、線引きを押さえておきましょう。
財産の処分にあたる行為は単純承認とみなされる
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続を単純承認したものとみなすと定めています。
単純承認になれば、プラスの財産も借金もすべて引き継ぐ扱いです。
つまり遺品を売却したり、価値のある品を自分のものにしたりすると、放棄できなくなります。
判断が分かれやすいのは形見分けです。
写真や手紙、経済的価値のほとんどない衣類を持ち帰る程度なら、処分にあたらないという整理が一般的です。
貴金属や時計、骨董品、預金通帳の引き出しは処分と評価される可能性が高くなります。
迷った時点で手を止め、動かさずに保管してください。
腐敗した食品や明らかな不用品の廃棄は、保存に必要な行為として処分にあたらないと考えられています。
ただし線引きは事案ごとに判断されます。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
相続放棄をしても占有している財産には保存義務が残る
放棄が認められても、責任がすべて消えるわけではありません。
民法が定めるのは、放棄した者が放棄の時に相続財産を現に占有していた場合の義務です。
相続人または相続財産清算人へ引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければなりません。
2023年4月1日に施行された改正で、義務の範囲が明確になりました。
保存義務が生じるのは、放棄した時点で現に占有していた財産に限られます。
故人と同居していた自宅の家財は対象に入りますが、離れて暮らし一度も立ち入っていない実家の家財は含まれません。
同居していた場合は、勝手に処分せず現状のまま保ってください。
他に相続人がいなければ、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立て、引き渡して義務を終えます。
判断に迷う遺品は動かさずに弁護士へ相談する
放棄をするかどうかは、3か月の熟慮期間のうちに決めます。
起算点は、自分が相続人になったと知った時です。
故人と疎遠で財産の全体像がつかめない場合は、期間内に家庭裁判所へ申し立てて伸長を認めてもらえます。
期間内に判断できないまま遺品を処分すると、放棄の道を自ら閉ざす結果になります。
借金の有無がわからない段階では、家財を動かさないでください。
片付けの必要と放棄の検討が同時に迫っている状況は、法律の判断を伴います。
着手の前に弁護士へ相談し、どこまで手をつけてよいかを確認しましょう。
伸長の申立ては、熟慮期間が終わる前に行う必要があります。
期間が過ぎてからでは受け付けられません。
財産の調査に時間がかかりそうなら、早めに準備してください。
遺品整理の費用は相続税の計算では差し引けない
支払った費用を相続税から差し引けると考える遺族は少なくありません。
遺品整理費用は、実際には控除の対象に含まれません。
理由と、混同しやすい葬式費用との線引きを確認しておきましょう。
債務控除の対象は故人の債務と葬式費用に限られる
相続税法は、課税価格から差し引けるものを2つに絞っています。
故人(法律上は被相続人)の債務で相続開始の際に現に存在するものと、故人にかかる葬式費用です。
差し引ける範囲が2つに限定されている点が要点です。
遺品整理費用は、どちらにも当てはまりません。
故人が生前に負っていた債務ではなく、相続が始まったあとに相続人の判断で発生させた費用にあたるためです。
同じ理由で、家の解体費用やハウスクリーニング代も控除の対象外になります。
相続税の申告では、遺品整理の領収書を債務として計上しないでください。
故人が生前に契約していた施設の未払金や入院費の未払分は、債務にあたります。
領収書と請求書を分けて保管し、控除できるものだけを申告に反映してください。
【参考】相続税法|e-Gov 法令検索
葬式費用に含まれるものと含まれないものを区別する
葬式費用は控除できるため、どこまでが範囲に入るかを押さえておく価値があります。
国税庁による整理は次のとおりです。
| 区分 | 該当する費用 |
|---|---|
| 控除できる | 火葬・埋葬・納骨にかかった費用/遺体や遺骨の回送費用/通夜など葬式の前後に通常必要な費用/読経料などの寺への謝礼/遺体や遺骨の捜索・運搬費用 |
| 控除できない | 香典返しの費用/墓石や墓地の購入費・借入費用/初七日など法事の費用 |
遺品整理費用は、表のどちらの区分にも登場しません。
葬儀の当日に必要な費用ではなく、住まいの片付けにかかる費用として区別されるためです。
線引きに迷う支出があれば、領収書を分けて保管し、税理士に確認してください。
迷いやすいのは、通夜の飲食費と法要の費用の区別です。
通夜にかかった飲食費は控除の対象に入りますが、初七日以降の法要は対象外になります。
領収書には日付と名目が書かれているかを確かめておきましょう。
領収書が出ない読経料などは、支払った相手と金額、日付をメモに残せば控除の対象にできます。
判断に迷う支出は、遺品整理の費用と分けて保管してください。
【参考記事】相続財産から控除できる葬式費用|国税庁
不動産を売る場合は譲渡費用の扱いを個別に確認する
相続した不動産を売却する場合は、別の計算が関わります。
譲渡所得の計算では、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引きます。
譲渡費用にあたるのは、不動産を売るために直接かかった費用です。
仲介手数料、印紙税、測量費などが典型になります。
残置物の撤去費用は、扱いが分かれます。
売却の条件として更地または空室での引き渡しを求められ、引き渡しのために行った撤去なら譲渡費用と認められる余地が残る扱いです。
売却を決める前に遺族の判断で行った片付けは、譲渡費用に含めにくくなります。
判断が割れる支出は、契約書の条項と作業の時期がわかる資料をそろえ、税理士に確認しましょう。
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として計算する方法があります。
古い実家では、購入時の契約書が残っていない例も多くあります。
【参考記事】譲渡費用となるもの|国税庁
遺品整理業者は許可と見積書と契約の進め方で見極める
高額請求を避ける手立ては、契約前の確認に集約されます。
見るべきは3点です。
一般廃棄物の収集運搬に関する許可、項目別に金額が書かれた見積書、そして契約を急がせない姿勢になります。
一般廃棄物収集運搬業の許可がある業者に依頼する
遺品整理業者そのものに国家資格はありません。
したがって許可の有無が、実態を見分ける手がかりになります。
確認したいのは、一般廃棄物収集運搬業の許可を自社で持っているか、許可業者と提携して処分ルートを確保しているかです。
許可業者の一覧は、市区町村の公式サイトで公表されています。
業者から示された許可番号を、自治体の一覧と照らし合わせてください。
許可を持たない業者へ家財を渡すと、不法投棄された場合に排出者として説明を求められる可能性があります。
処分費の安さだけで判断しないよう注意しましょう。
自社で許可を持たない業者でも、提携先の許可業者名を明かせるなら問題はありません。
提携先を答えられない業者は避けてください。
【参考】廃棄物の処理及び清掃に関する法律|e-Gov 法令検索
見積書に項目ごとの金額が書かれているかを確かめる
見積書に記載されているべき項目は決まっています。
内訳は次の6項目です。
- 人件費(作業員の人数と日数)
- 車両費(トラックのサイズと台数)
- 廃棄物処分費
- 資材費と作業費
- 家電リサイクル料金(対象台数)
- オプション費用
6項目がそろって初めて、他社との比較が成り立ちます。
加えて、作業範囲の記載も欠かせません。
対象の部屋、庭や物置の扱い、ハウスクリーニングの有無を明記してもらいましょう。
追加料金が発生する条件が書かれているかも確認してください。
「一式」とだけ書かれた見積書は、比較もできず追加請求の余地も残るため、記載を求めたうえで再提出してもらってください。
作業当日に見積書と異なる金額を示された場合は、署名せずに一度持ち帰ってください。
支払いを終えてからの返還交渉は長引きます。
訪問した当日に即決を迫る業者とは契約しない
訪問して見積もりを出し、当日しか使えない割引を持ち出して契約を迫る手口があります。
比較の機会を奪う進め方であり、応じる必要はありません。
持ち帰って検討する意思を伝え、書面を残して帰ってもらいましょう。
自宅を訪問して契約した場合は、訪問販売にあたる可能性があります。
訪問販売として特定商取引法の適用を受ける取引には、契約を解除できる期間が設けられています。
解除できるのは、法定の書面を受け取った日から8日以内で、方法は書面または電磁的記録です。
すでに契約してしまった場合でも、期間内なら解除できる余地があります。
判断に迷う段階で弁護士へ相談してください。
解除の通知は、記録が残る方法で送ってください。
内容証明郵便を使えば、発信した日付と内容を証明できます。
【参考】特定商取引に関する法律|e-Gov 法令検索
依頼内容によって向いている業者の特徴は異なる
遺品整理業者にも得意分野があります。
物量、特殊清掃の要否、不動産の処分予定の3点で、選ぶべき型が変わります。
| 依頼内容 | 向いている業者の特徴 |
|---|---|
| 物量の多い一軒家 | 自社でトラックと作業員を抱え、複数台を同日に手配できる |
| 賃貸の明け渡しが迫る | 現地見積もりから施工までを1週間以内で組める |
| 孤独死があった住戸 | 特殊清掃の実績と、消臭・除菌の工程を書面で説明できる |
| 買取で相殺したい | 古物商の許可を持ち、買取額を1点ずつ提示できる |
| 片付け後に売却したい | 不動産の査定・売却まで窓口を一本化できる |
複数の型にまたがる場合は、対応範囲の広い窓口へまとめて相談するほうが手戻りの少ない進め方です。
業者ごとに見積もりを取り直す手間も省けます。
迷ったときは、片付けと不動産の処分をまとめて扱える窓口から当たると効率がよくなります。
物件の状況を1度伝えるだけで済む点も利点です。
表の特徴に当てはまる業者かどうかは、見積もりの場で実績を尋ねると確かめられます。
直近1年で同じ間取りを何件扱ったか、特殊清掃の作業写真を見せられるかを聞けば、実態がつかめます。
答えを濁す業者には依頼を進めないでください。
片付けたあとの実家をどうするかで総額は大きく変わる
遺品整理の費用だけを見て判断すると、総額を見誤ります。
片付けが終わったあとの建物には、固定資産税と管理の手間が残るためです。
出口を先に決めてから片付けの範囲を決めると、無駄な作業を省けます。
| 比較項目 | 仲介で売る | 買取で売る |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い | 仲介より低くなる |
| 売却までの期間 | 数か月〜1年以上 | 数日〜1か月程度 |
| 仲介手数料 | かかる | かからない |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 免除される契約が多い |
| 向くケース | 立地がよく時間に余裕がある | 訳あり物件、期限が近い、手間を避けたい |
訳あり物件にあたる5類型を先に確認する
訳あり物件とは、通常の物件と比べて売りにくい事情を抱えた不動産を指します。
事情の種類は5つに整理できます。
| 類型 | 一言説明 |
|---|---|
| 心理的瑕疵 | 事故物件など、買主に心理的な抵抗を与える事情がある物件 |
| 物理的瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下など建物や土地に不具合がある物件 |
| 環境的瑕疵 | 騒音、異臭、嫌悪施設の近接など周辺環境に問題がある物件 |
| 法的瑕疵 | 再建築不可、接道義務違反、既存不適格など法令上の制限がある物件 |
| 権利関係の瑕疵 | 共有持分、借地権、底地、相続登記が未了など権利が複雑な物件 |
遺品整理の場面で関わりやすいのは、心理的瑕疵と権利関係の瑕疵です。
故人が住戸内で亡くなり特殊清掃を行った場合は、売却や賃貸の際に買主・借主へ告げるべき事情が生じます。
相続人が複数いて共有のまま持ち続ける状態も、権利関係の瑕疵にあたります。
心理的瑕疵の有無は、告知の要否を分ける分岐点です。
国土交通省のガイドラインは、自然死や日常生活での不慮の死を原則として告げなくてよいとしています。
長期間放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、告げる必要があるという整理です。
賃貸ではおおむね3年で告げなくてよくなりますが、売買には期間の定めがありません。
判断に迷う場合は、査定の段階で状況を伝えて確認してください。
権利関係の瑕疵も同じで、相続登記が済んでいない不動産は名義を移すまで売却の手続きに進めません。
片付けと並行して、登記の状況も確かめておきましょう。
【参考記事】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン|国土交通省
空き家のまま持ち続けると固定資産税と管理費がかかり続ける
建物を残したまま放置すると、毎年の固定資産税と都市計画税が発生します。
火災保険料、電気・水道の基本料金、庭木の手入れや通風のための往復交通費も積み上がります。
使わない建物に年間で数十万円を払い続ける状態です。
放置が長引くと、税負担そのものが増える場合もあります。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、倒壊のおそれや衛生上の有害性が認められる建物は特定空家等に指定されます。
指定を受けて勧告に至ると、住宅用地に対する固定資産税の軽減が外れ、税額は増える計算です。
片付けを終えた時点で、保有を続けるか手放すかを決めてください。
解体して更地にすると、住宅用地の軽減が外れて税額が上がります。
解体の前に、売却先の見通しを立てておきましょう。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索
仲介と買取のどちらを選ぶかで手取りと期間が変わる
選び方の基準は単純です。
価格を優先するなら仲介、期間と手間を優先するなら買取になります。
表のとおり、仲介は市場価格に近い金額を狙える半面、売れるまで数か月から1年以上かかる場合があります。
訳あり物件で買取が選ばれるのは、仲介では買主が見つかりにくいためです。
心理的瑕疵のある住戸や、共有者が複数いる不動産は、住宅ローンの審査が通らず個人の買主が離れます。
買取なら共有者の同意がなくても自分の持分だけを売れるうえ、契約不適合責任を免除する契約も一般的です。
片付けの見積もりを取る段階で査定も受けておくと、総額で比べられます。
査定は複数の窓口から受けても問題のない手続きです。
仲介の査定額と買取の提示額を並べれば、期間と金額のどちらを取るかを数字で判断できます。
遺品整理を進めるときに注意する3つの点
最後に、後戻りできない失敗を避けるための注意点を挙げます。
貴重品の探索、デジタル遺品、相続人全員の同意の3つです。
順序を守れば、多くのトラブルは防げます。
貴重品と重要書類を先に探索する
搬出を始める前に探すべきものは決まっています。
探すべき品目は次のとおりです。
- 現金
- 預金通帳とキャッシュカード
- 実印と印鑑登録証
- 不動産の権利証
- 保険証券と年金手帳
- 遺言書
いずれも相続の手続きに直結するため、処分してしまうと再発行の手間が生じます。
探索は搬出の前日までに終えてください。
なお保管場所には傾向があります。
仏壇の引き出し、タンスの最下段、書棚の本の間、冷蔵庫の中に現金が入っていた例もあります。
自筆証書遺言を見つけた場合は、封を開けずに家庭裁判所へ検認を申し立ててください。
業者に探索を依頼するときは、探す品目のリストを渡し、見つかった時点で連絡をもらう取り決めをしておきましょう。
作業が始まると、家財ごと運び出される可能性があります。
デジタル遺品は解約手続きとセットで進める
スマートフォンやパソコンの中には、資産と負債の両方が眠っています。
ネット銀行の口座、証券口座、暗号資産は資産にあたり、サブスクリプションやクレジットカードの自動引き落としは負債の側です。
端末を処分してしまうと、契約の把握が難しくなります。
まずは端末とメールの受信箱、クレジットカードの明細から契約を洗い出してください。
定額課金は解約しないかぎり請求が続くため、早い段階で止めましょう。
有料のデジタル遺品整理サービスもありますが、明細の確認だけなら家族でも進められます。
端末は契約の整理が終わってから処分してください。
端末のパスワードがわからない場合は、通信事業者の窓口で相続人としての手続きを取れます。
契約者が亡くなった事実を証明する書類を持参してください。
相続人全員の同意を取らずに遺品を処分しない
遺品は故人の財産にあたり、相続人全員の共有になります。
したがって1人の判断で処分すると、他の相続人から損害賠償を求められる可能性があります。
価値のある品ほど争いに発展しやすいため、順序を守りましょう。
進め方は3段階です。
まず室内と品目の写真を撮り、次に主要な遺品の目録を作り、最後に処分してよいものを全員で確認します。
目録があれば、後から「あったはずの品がない」という食い違いも防げます。
話し合いがまとまらないまま期限が迫る場合は、処分を止めて弁護士に間へ入ってもらってください。
目録は簡単な一覧で足ります。
品名と数量、写真の番号を並べるだけでも、後の説明には十分です。
全員が離れて住んでいる場合は、共有のフォルダに写真を置くと確認が進みます。
遺品が残る家の売却の悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう
遺品が残る家の売却を検討しているなら、「ベンナビ不動産売却」の活用がおすすめです。
「ベンナビ不動産売却」は、事故物件をはじめとする訳あり物件を買い取るサービスです。
【ベンナビ不動産売却の特徴】
- 訳あり不動産を専門業者が直接買取
- 最短3日で買取に対応
- 弁護士費用・登記費用・ごみ処理費用が0円
- 司法書士・弁護士と連携し、複雑な権利関係にも対応
- 300万円以下から1億円超の物件まで対応
告知事項がある、特殊清掃が済んでいないなど、ほかの業者では断られやすい物件でも相談できます。
まずは「ベンナビ不動産売却」で、無料査定を申し込むところから始めましょう。
遺品整理の費用に関するよくある質問
遺品整理に50万円は妥当ですか
一軒家の2LDKから3LDKであれば、業者が公表する目安の幅に収まる金額です。
間取りだけでは判断できません。
作業員の人数と日数、トラックの台数、家電4品目の台数が見積書に書かれているかを確認し、他社2社の提示と並べて比べてください。
遺品整理の費用は誰が払うのですか
原則として相続人が負担します。
遺産に現金があり相続人全員の同意があれば遺産から支払え、同意が得られない場合は誰かが立て替えて後から精算する形です。
賃貸物件では、借主の地位を引き継いだ相続人が明け渡しまでの責任を負います。
一軒家を丸ごと片付ける費用はいくらですか
業者の公表値では50万〜100万円超の幅があります。
4LDK以上で家具と家電が残っている場合や、庭や物置まで対象に入る場合は上限寄りです。
事前に日用品を減らし、買取に対応する業者を選べば、総額を下げられます。
孤独死があった場合の費用は誰が負担しますか
所有物件では相続人が負担します。
賃貸物件では、借主の地位を引き継いだ相続人が第一次の負担者で、連帯保証人が支払った場合も後から相続人へ請求される関係です。
特殊清掃が必要になると、通常の遺品整理に十数万円から数十万円が加算されます。
遺品整理の費用は相続税から差し引けますか
差し引けません。
相続税の計算で控除できるのは、故人が生前に負っていた債務と葬式費用の2つだけです。
遺品整理費用は相続開始後に相続人の判断で生じた費用にあたるため、どちらにも当てはまりません。
相続放棄をしても遺品整理をしなければなりませんか
放棄した時点で遺品を現に占有していた場合は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存する義務が残ります。
故人と同居していた家財が対象です。
ほかに相続人がいなければ、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立てて引き渡してください。
遺品整理に補助金や助成金はありますか
遺品整理そのものを対象とする全国一律の制度はありません。
自治体によっては、空き家の片付けや解体に対する補助制度を設けている場合があります。
物件の所在地の自治体窓口で、空き家関連の補助制度の有無を確認してください。
まとめ|遺品整理の費用は間取りでなく物量と搬出条件で決まる
遺品整理の費用を判断する順序は3段階です。
第1に、間取り別の目安を幅で捉え、物量と搬出条件から自分の物件がどちらへ寄るかを見立てます。
第2に、見積書の6項目と作業員の人数・日数で提示額を検算し、3社の提示と並べましょう。
第3に、負担者を相続人の間で先に確定させ、立替分の精算方法まで決めておきます。
見落としやすいのは、片付けが終わったあとの不動産です。
空き家のまま持ち続ければ固定資産税と管理費がかかり続け、特定空家等に指定されれば税額が上がる場合もあります。
遺品整理の費用単体ではなく、実家の出口まで含めた総額で判断してください。
次にとる行動を1つ挙げるなら、遺品整理の見積もりと不動産の査定を同時に取ってください。
両方の金額がそろって初めて、手元に残る金額が見えます。
迷う場合は、「ベンナビ不動産売却」で無料査定を依頼してみてください。
【専門の業者への依頼】がおすすめ!

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。