事故物件を検索する4つのステップと検索では出てこない物件の見分け方
契約を決める前に、候補の物件で過去に人が亡くなっていないか確かめたい人は多くいます。
無料の公示サイトを開いて住所を入れるところまでは、誰でもすぐに実行できます。
ただしサイトに何も表示されなかったとしても、事故物件ではないと言い切るのは早計です。
公示サイトは投稿にもとづく情報で、届いていない事案は地図に載りません。
検索は4つのステップで進めると、契約前に判断を確定できます。
公示サイト、不動産ポータル、現地確認、不動産会社への質問の順です。
本記事では4ステップの具体的な手順と、検索しても出てこない物件を見分ける方法を解説します。
所有する物件が事故物件に当たった場合の売却先も併せて示しましょう。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
事故物件とは人の死が起きた物件の通称で4つの類型に分かれる
事故物件は法令で定義された用語ではなく、心理的瑕疵のある物件を指す通称にすぎません。
死因と発見の経緯によって、不動産会社が買主や借主へ告げる義務の有無が変わります。
| 類型 | 一言説明 | 告知の要否 |
|---|---|---|
| 心理的瑕疵 | 買主や借主に心理的な抵抗を与える事情がある物件 | 事情の内容によって変わる |
| 他殺・自死 | 事件性のある死が室内で起きた物件 | 必要 |
| 孤独死・特殊清掃 | 発見が遅れて特殊清掃が入った物件 | 必要 |
| 自然死・日常生活の不慮の死 | 病死や転倒事故など日常のなかで起きた死 | 原則として不要 |
心理的瑕疵|買主や借主に心理的な抵抗を与える物件
心理的瑕疵とは、建物や設備に不具合がなくても、過去の出来事が原因で住みたくないと感じさせる事情を指します。
国土交通省は令和3年10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。
ガイドラインは、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事案について、宅地建物取引業者へ告知を求めています。
心理的瑕疵の範囲は死因だけで決まりません。
近隣に嫌悪施設がある場合や、過去に火災が起きた場合も対象です。
土地の履歴として、以前に墓地や工場が存在した事実が含まれる例も少なくありません。
検索の対象を人の死に限定すると、判断材料を取りこぼします。
物件情報に「告知事項あり」と書かれていたら、指している事案の中身を不動産会社へ必ず確認してください。
他殺・自死|事件性のある死が室内で起きた物件
他殺・自死とは、事件性のある死が室内または共用部で起きた状態を指します。
ガイドラインが告知を求める代表的な事案で、買主や借主へ事案の内容を説明するのは宅地建物取引業者の義務です。
事件性のある死は近隣の記憶に残りやすく、住み始めてから経緯を知って後悔する例が絶えません。
報道された事案であれば、物件名や住所で検索して当時の記事にたどり着ける場合も少なくありません。
近隣で長く営業している商店や、同じ建物に長く住む住民も有力な情報源です。
売買では、告知が不要になる期間の目安が示されていません。
長い年月が経過していても、買主の判断に重要な影響を及ぼす事案は告げる必要があります。
賃貸の目安は発生から概ね3年で、期間の扱いが売買と大きく異なる点に注意しましょう。
賃貸を検討している場合、3年より前の事案は不動産会社から自発的に説明されない前提で調べてください。
孤独死・特殊清掃|発見が遅れて清掃が必要になった物件
孤独死は、単身の居住者が誰にも気づかれずに亡くなった状態を指します。
ガイドラインでは自然死自体は原則として告知が不要とされています。
ただし発見が遅れ、特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は告知の対象です。
特殊清掃の有無は、内見時の確認で手がかりをつかめます。
床材だけが新しい、壁紙が1面だけ張り替えられている、強い消臭剤の匂いが残るといった状態は、部分的な改修が入った証拠です。
気になる箇所を見つけたら、改修の理由と時期を不動産会社へ質問してください。
回答があいまいなまま契約を進めると、入居後に事実を知って揉める展開になります。
自然死・日常生活の不慮の死|原則として告知が不要な死
自然死とは、病死や老衰など、外部の要因によらない死を指します。
日常生活のなかで起きた転倒事故や誤嚥による死も同じ扱いです。
ガイドラインは、集合住宅で日常的に起こりうる死について、原則として告げなくてもよいと整理しました。
原則として告知が不要な死は、公示サイトにも不動産会社の説明にも表れません。
高齢者が長く住んでいた住戸では、自然死が起きていた可能性を前提に考えてください。
集合住宅では日常的に起こりうる出来事で、すべてを把握する手段は存在しません。
判断の軸を「人が亡くなったかどうか」ではなく「特殊清掃や事件性を伴ったかどうか」に置くと、調べる範囲が現実的な大きさに収まります。
気になる住戸を見つけたら、原状回復の範囲を不動産会社へ質問して裏を取りましょう。
事故物件の検索は4つのステップで進める

事故物件の調査は、無料で完結する順に進めると無駄がありません。
ステップ1と2はインターネットだけで完結し、ステップ3と4で人から直接情報を取ります。
| ステップ | 手段 | わかること | 費用 | 所要時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 事故物件公示サイトの住所検索 | 投稿された過去の事案 | 無料 | 5分 |
| 2 | 不動産ポータルのフリーワード検索 | 「告知事項あり」の表示 | 無料 | 10分 |
| 3 | 内見と近隣への聞き取り | 改修跡・居住者の入れ替わり | 無料 | 30分〜1時間 |
| 4 | 不動産会社へメールで質問 | 告知事項の有無と内容 | 無料 | 1〜3日 |
判断が確定するのはステップ4です。
ステップ1から3までで得られる情報は、いずれも網羅性のない断片にとどまります。
公示サイトは投稿の有無に左右され、ポータルサイトの記載は担当者の入力に左右される仕組みです。
現地での聞き取りにも記憶や伝聞が混ざります。
宅地建物取引業者は、買主や借主から問われた事項について事実と異なる説明をしてはならないと法律で定められています。
ステップ4まで進んで初めて、責任の所在がはっきりした回答を得られる仕組みです。
時間に余裕があれば、内見の前にステップ1と2を済ませておくと質問の精度が上がります。
インターネット上の情報源で住所と物件名を検索する
ステップ1と2にあたる調査は、自宅にいるまま5分から10分で終わります。
使う情報源は次の3つです。
- 事故物件公示サイトの住所検索
- 不動産ポータルサイトのフリーワード検索
- 物件名と住所での報道記事の検索
3つを突き合わせても網羅はできないため、何も出てこない結果を「白」と読み替えないでください。
事故物件公示サイトで住所を検索する
事故物件公示サイトの代表格が大島てるです。
パソコンでは検索窓に住所や物件名を入力し、スマートフォンでは地図を拡大して該当地点の炎のアイコンをタップします。
アイコンには発生時期と事案の概要が添えられており、部屋番号まで記載された投稿もあります。
一方で大島てるはユーザーの投稿にもとづく仕組みで、掲載内容の正確性は保証の対象外です。
届け出のない事案は当然載らず、逆に事実と異なる投稿が残っている場合もあります。
公的機関が運営するサイトも併用してください。
UR賃貸住宅の特別募集住宅は全国の物件を対象にしており、東京都住宅供給公社が運営するJKK東京は都内の物件を公開しています。
いずれも運営主体が確認した情報を扱うため、投稿型のサイトより信頼度は高めです。
不動産ポータルサイトで「告知事項あり」をフリーワード検索する
大手の不動産ポータルサイトには、物件条件のほかに自由入力の検索欄が用意されています。
検索欄へ「告知事項あり」または「心理的瑕疵」と入力してください。
備考欄に該当の記載がある物件だけが一覧に残ります。
エリアを絞ってから実行すれば、候補の物件が含まれるかどうかの確認は数分で十分です。
ただし「告知事項あり」の表示は人の死だけを指すとは限りません。
近隣の嫌悪施設、境界の未確定、再建築ができない敷地といった事情でも同じ文言が使われます。
表示を見つけた段階では原因を特定できないため、必ず不動産会社へ内容を照会してください。
表示がない物件でも、担当者が記載を省略している可能性は残ります。
ポータルサイトの掲載情報は各社の入力に依存しており、記載の粒度は担当者ごとに差があります。
表示の有無を判断の決め手にせず、候補を絞り込む道具として使ってください。
物件名と住所で報道記事を検索する
事件性のある死は、当時のニュースとしてインターネット上に残っている場合があります。
検索エンジンで「物件名 事件」「町名 丁目 事件」のように地名と組み合わせて調べてください。
マンション名が変更されていると当時の名称でしか記事が出てこないため、地図サービスの過去画像で旧名称の看板を確認する方法も有効です。
報道記事から得られるのは、事案の有無と時期という客観的な事実です。
個人が特定できる情報まで踏み込む必要はありません。
記事が見つかった場合は、掲載元と日付を控えたうえで不動産会社へ提示し、告知事項に該当するかどうかを回答してもらいましょう。
なお報道は事件性のある事案に偏るため、孤独死や特殊清掃の履歴は記事として残りません。
検索で何も出てこない結果は、事件性のある事案がなかった事実を示すにとどまります。
現地と不動産会社に確認して裏を取る
ステップ3と4では、インターネットに載らない情報を人から直接集めます。
進める順序は次の3段階です。
- 内見で室内の改修跡と臭いを確認する
- 近隣住民と管理人へ居住歴を聞く
- 不動産会社へメールで告知事項を質問する
とくにステップ4は記録が残る手段で行ってください。
口頭の説明だけでは、後から食い違いが起きたときに証明できません。
内見で室内の不自然な改修と臭いを確認する
内見では、部屋全体ではなく部分の差に注目します。
確認すべき箇所は次の4点です。
- 床材や壁紙が1部屋だけ新しくなっていないか
- 浴室や洗面所など水回りだけが交換されていないか
- 強い消臭剤や芳香剤の匂いが締め切った室内に残っていないか
- 建物の築年数に対して設備の更新履歴が不自然に新しくないか
該当する箇所を見つけたら、改修の時期と理由を内見の場で質問します。
通常の原状回復であれば、担当者はすぐに答えられます。
回答が濁った場合、改修の背景に説明を避けたい事情がある可能性を想定してください。
写真を撮って記録に残しておくと、後日メールで問い合わせる際に箇所を指定できます。
撮影の前には、管理会社または担当者へ一言断りを入れましょう。
近隣住民と管理人に居住歴を聞く
建物の管理人や長く住んでいる近隣住民は、公示サイトに載らない出来事を記憶しています。
聞き方は「以前どのような方が住んでいましたか」と入居者の変遷をたずねる形が適切です。
事件や自殺という言葉から入ると警戒されて会話が続きません。
聞き取りで得た内容は、あくまで参考情報として扱ってください。
記憶違いや伝聞が混ざるため、証拠として使える強さはありません。
集まった話は不動産会社への質問材料として使い、事実確認は次のステップに委ねてください。
聞き取りの相手は、管理人、長く住む住民、近隣の商店主の3者が有力です。
数年前から住んでいる相手を選べば、入居者の入れ替わりまで具体的に聞き出せます。
訪問の時間帯は、日中の在宅率が高い休日の午前中が向いています。
玄関先で長く話し込まず、要点を絞って短時間で切り上げましょう。
不動産会社にはメールで告知事項を質問する
最終確認は、不動産会社への書面での質問です。
宅地建物取引業法47条1号は、業者が重要な事項について故意に事実を告げない行為を禁じています。
事実と異なる説明も同じく禁止の対象です。
質問を投げて回答を受け取った時点で、業者側は事実にもとづく説明義務を負います。
質問文は具体的に書きます。
「告知事項はありますか」だけでは範囲があいまいなため、次の3点をまとめて送ってください。
- 過去に室内または共用部で人が亡くなった事実はあるか
- 特殊清掃または事故を理由とした改修が行われた履歴はあるか
- 直近5年間の入居者の入れ替わりの回数はどれくらいか
メールやメッセージアプリで送れば、回答が文面として残ります。
文面は契約後に問題が起きた場合の証拠になります。
回答を拒まれた物件や、書面での回答を避ける担当者に当たった場合は、契約を見送る判断が妥当です。
検索しても事故物件が出てこない3つの理由
4つのステップを踏んでも、過去の事案が表に出てこない物件は存在します。
理由は次の3つです。
- 賃貸では概ね3年で告知が不要になる
- 建物名やオーナーの変更で履歴が追えなくなる
- 事故後に短期入居者を挟んで告知を避ける手口がある
仕組みを知らないまま「何も出なかったから安全」と結論づけると、入居後に事実を知って後悔します。
賃貸は概ね3年で告知が不要になる
国土交通省のガイドラインは、賃貸借の取引について目安を示しました。
自然死や不慮の死以外の死は、発生から概ね3年が過ぎた後は原則として告げなくてよいと整理されています。
特殊清掃が行われた場合は、事案の発覚から数えます。
3年を過ぎた事案は、不動産会社が自発的に説明しない前提で考えてください。
売買の取引には期間の目安が示されていません。
売買では、事案から長い年月が経っていても、買主の判断に重要な影響を及ぼす場合には告知が必要という整理です。
賃貸と売買で扱いが分かれる点を押さえておくと、質問の重み付けを変えられます。
借主から問い合わせがあった場合や、社会的な影響が大きい事案では、3年を過ぎていても告知の対象です。
【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインの策定について|国土交通省
建物名やオーナーの変更で履歴が追えなくなる
事案の後にマンション名が変更されると、旧名称で投稿された情報や報道記事に現在の名称でたどり着けません。
所有者が変わって管理会社も入れ替わると、社内に残る記録が引き継がれない場合もあります。
対策として、地図サービスの過去の街並み画像を年代順にさかのぼり、建物の看板表記が変わった時期を特定してください。
旧名称が判明したら、旧名称で公示サイトと報道記事を検索し直してください。
建物の登記事項証明書を法務局で取得すれば、所有者の変遷を年月日つきで追えます。
取得費用は1通あたり数百円、オンライン請求にも対応済みです。
手数料の負担は軽く、判断材料としては十分な価値をもちます。
所有者が変わった時期と、名称が変わった時期が重なる物件では、変更の背景を必ずたずねてください。
登記の記録は公開情報のため、契約前でも誰でも取得できます。
事故後に短期入居者を挟んで告知を避ける手口がある
事案の直後に短い期間だけ人を住まわせ、次の入居者への告知を避ける手口が一部で問題になっています。
告知義務は次の借主までという解釈を根拠にした運用です。
ただしガイドラインは借主から問われた場合の説明義務を明確にしており、質問すれば回答を得られます。
見抜く手がかりは入居期間の不自然さです。
数か月単位で入居者が入れ替わっている住戸は、理由をたずねる価値があります。
管理人への聞き取りと、不動産会社へのメールでの質問を組み合わせて確認してください。
質問では「直近5年間で何人が入居したか」と人数まで踏み込みます。
回答を渋る相手に当たった場合、告知したくない事情を抱えている可能性が高まります。
判断に迷ったら、契約を急がず別の候補へ切り替えましょう。
検索結果から契約に進むかどうかを条件別に判断する
集めた材料をどう読むかで結論が変わります。
表の4パターンに当てはめれば、契約に進むかどうかを機械的に決められます。
判断の軸は、公示サイトの掲載有無ではなく、不動産会社から書面の回答を得られたかどうかに置いてください。
| 検索の結果 | 不動産会社の回答 | 推奨する行動 |
|---|---|---|
| 掲載なし | 書面で告知事項なしと回答 | 契約に進んでよい |
| 掲載なし | 書面での回答を避ける | 契約を見送る |
| 掲載あり | 事案の内容を具体的に説明 | 内容と価格差を比べて判断する |
| 掲載あり | 掲載は誤りと口頭で主張 | 根拠を書面で求め、得られなければ見送る |
賃貸を検討している場合は、3年を過ぎた事案が説明されない前提で、質問を必ず投げてください。
売買を検討している場合は、期間の目安がないぶん、書面の回答が後々の請求根拠として重い意味を持ちます。
掲載ありと出た物件を一律に外す必要はありません。
事案の内容と価格差を並べ、納得できる差であれば契約に進む判断も可能です。
冒頭で示したとおり、4つのステップを踏み切れば判断は確定します。
回答が得られない物件に対しては、迷わず見送る選択を取ってください。
所有する物件が事故物件に該当したときは売却を検討する
検索の結果、相続した実家や所有中の物件に事案が見つかる場合もあります。
告知を避けて売り抜ける発想は、後から重い負担として返ってきます。
告知したうえで、事情を織り込んで買い取れる相手を探す進め方が現実的です。
買主への告知を省くと契約不適合責任を問われる
引き渡した物件が契約の内容に適合していない場合、買主は売主へ追完や代金の減額を求められます。
民法は買主の手段を4つ用意しています。
修補や代替物の引渡しを求める追完請求、支払った代金を減らす減額請求、被った損害を埋める損害賠償、契約自体をやめる解除です。
追完請求は民法562条、代金の減額請求は563条が根拠です。
損害賠償と解除については、564条が民法415条にもとづく損害賠償請求と、541条・542条にもとづく解除を妨げないと定めています。
請求には期間の制限があります。
民法566条は、種類または品質に関する不適合に期限を設けました。
買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知すれば、権利は保たれます。
心理的瑕疵も品質に関する不適合として扱われるため、告知を省いた売却は数年後の請求につながりかねません。
【参考】民法|e-Gov 法令検索
仲介で売れない場合は買取での売却を検討する
事故物件は、仲介での売却で買い手が絞られます。
内覧の申し込みが入らないまま価格を下げ続ける展開になりやすく、売却期間が半年を超える例も珍しくありません。
買取であれば、業者が直接買い取るため、内覧を重ねる負担は不要です。
買取業者を選ぶ際は、実績の見せ方より対応範囲を見てください。
| 得意分野 | 業者の特徴 |
|---|---|
| 事故物件の再生が得意な業者 | 特殊清掃とリフォームの手配を自社で完結でき、清掃費用を売主へ請求しない |
| 権利関係の整理が得意な業者 | 弁護士や司法書士と提携し、共有名義や相続登記が未了の物件にも対応する |
| 早期の現金化が得意な業者 | 買取までの日数を明示し、決済までの流れを書面で示す |
なお買取価格の相場について、公的な統計は存在しません。
事業者が公表する事例では数百万円から2,000万円台まで幅があり、立地と事案の内容で大きく動きます。
金額だけを並べても比較にならないため、手数料や清掃費用を差し引いた手取りの額でそろえてください。
複数社へ査定を依頼し、金額の根拠を説明できる相手を選びましょう。
事故物件を検索するときの注意点
調査の進め方にも守るべき線があります。
集めた情報の扱い方を誤ると、調べた側が責任を問われる立場に回りかねません。
裏付けのない投稿情報を第三者へ広めない
公示サイトの投稿は、事実確認を経ていない情報を含みます。
裏付けのない内容を口コミ欄や会員制交流サイトへ書き込むと、責任を追及されかねません。
物件の所有者や管理会社から、名誉毀損や信用毀損を理由に訴えられる例です。
民法709条は、他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者へ損害賠償の責任を負わせています。
調べた内容は、自分の契約判断と不動産会社への質問に使う範囲にとどめてください。
近隣住民から聞いた話も同じ扱いです。
人づてに広めた結果、聞き取りに応じてくれた相手へ迷惑が及ぶ展開は避けましょう。
公示サイトへ自分で投稿する行為にも同じ責任が及びます。
事実と異なる投稿は削除を求められるだけでなく、損害賠償の対象にもなります。
家賃の安さだけで事故物件と決めつけない
周辺相場より安い賃料には、事故以外の理由も数多くあります。
代表的な理由は次の5つです。
- 最寄り駅から離れている
- 日当たりや眺望が悪い
- 旧耐震基準で建てられている
- 再建築ができない敷地に建っている
- 近隣に嫌悪施設がある
安さを見つけた段階では、原因を絞り込めません。
安い理由を確かめる順序は、まず物件情報の備考欄を読み、次に不動産会社へ理由を質問する流れです。
備考欄に「告知事項あり」の記載がなく、担当者が理由を具体的に説明できるなら、事故以外の要因と考えて差し支えありません。
値段だけで候補から外すと、条件のよい物件を取り逃がす結果になりがちです。
周辺相場と変わらない賃料でも、事案が起きている住戸は存在します。
価格は入り口の手がかりにとどめ、確認はステップ4の質問で完結させてください。
事故物件に関する悩みは「ベンナビ不動産」で解決しよう
事故物件は、仲介での売却に時間がかかる物件の代表例です。
ベンナビ不動産では、訳あり不動産の無料査定と直接買取に対応しており、共有者の同意がなくても持分だけの売却を進められます。
受付は24時間365日で、条件が整えば最短3日での買取に対応するとしています。
買取が成立した場合、弁護士費用・登記費用・ごみの処理費用はかからないとの案内です。
室内に家財が残ったままの実家でも、片付けを済ませずに査定を依頼できます。
査定の依頼後にしつこい営業の連絡はしないと案内されています。
相続した実家が事故物件に当たると分かった、売却を進めたいが共有者と話がまとまらない、といった段階でまず査定額を確かめてください。
金額が分かれば、保有を続けるか手放すかの比較ができます。
事故物件の検索に関するよくある質問
大手ポータルサイトで事故物件を見分けられますか
フリーワード検索で「告知事項あり」や「心理的瑕疵」と入力すると、備考欄に記載のある物件を絞り込めます。
ただし記載の原因は人の死に限りません。
嫌悪施設や再建築の不可といった事情も同じ文言で示されるため、必ず不動産会社へ内容を照会してください。
事故物件は何年で告知されなくなりますか
賃貸では、自然死や日常生活での不慮の死以外の死について、発生から概ね3年が経過した後は原則として告げなくてよいと整理されています。
特殊清掃が行われた場合の起算点は、事案の発覚時です。
売買には期間の目安がありません。
ただし賃貸でも、借主から問い合わせがあった場合や社会的な影響が大きい事案では、3年を過ぎても説明が必要とされています。
内見のときに不動産会社は教えてくれますか
買主や借主の判断に重要な影響を及ぼす事案であれば、業者側は説明する義務を負います。
ただし説明の範囲は業者の判断に委ねられる部分が残るため、内見の場で自分から質問してください。
口頭の回答は記録に残らないため、後日メールで同じ内容を確認しておくと安全です。
公示サイトに載った情報は削除してもらえますか
サイトの運営者が削除に応じるかどうかは、運営者の判断によります。
投稿内容が事実と異なる場合は、根拠となる資料を添えて削除を申し入れる方法があります。
応じてもらえない場合は、発信者情報の開示や削除の仮処分といった法的手段を弁護士へ相談してください。
事故物件を黙って売却するとどうなりますか
買主から契約不適合責任にもとづく請求を受けます。
民法562条から564条により、買主が求められるのは追完・代金減額・損害賠償・契約解除です。
請求は買主が不適合を知った時から1年以内の通知で保たれるため、売却から数年後に責任を問われる展開になります。
まとめ|事故物件の検索は4ステップ・最後は書面での質問で確定させる
事故物件の検索は4つのステップで進めます。
公示サイトでの住所検索、不動産ポータルでのフリーワード検索、現地と近隣での確認、不動産会社へのメールでの質問の順です。
判断が確定するのはステップ4で、書面の回答を得られない物件は契約を見送ってください。
検索しても事案が出てこない理由は3つあります。
賃貸では概ね3年で告知が不要になる点、建物名やオーナーの変更で履歴が追えなくなる点、事故後に短期入居者を挟む手口がある点です。
仕組みを踏まえたうえで、質問を投げて回答を書面で残す進め方が、判断の確度を高めます。
所有する物件に事案が見つかった場合は、告知を省かずに売却を進めてください。
告知を避けた売却は、契約不適合責任にもとづく請求として数年後に返ってきます。
仲介で買い手がつかない物件は、買取と提携専門家の関与を前提に出口を組み立てましょう。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。