事故物件

事故物件サイトの種類と使い方を解説!掲載されない物件の見抜き方と載った場合の対処法

事故物件サイトの種類と使い方を解説!掲載されない物件の見抜き方と載った場合の対処法

契約を決める前に、気になる物件の過去を自分で確かめておきたいと考える人は少なくありません。

事故物件サイトは運営する主体によって4種類に分かれ、調べられる範囲も掲載件数も変わります。
1つのサイトだけを見て判断すると、掲載漏れを見落としたまま契約へ進む結果になりがちです。

本記事では、4種類のサイトで何がわかるのかを種類ごとに整理しました。
サイトに載らない物件の見抜き方と、すでに事故物件を所有している場合の対処もあわせて解説します。

読み終えるころには、サイトでの検索と不動産会社への質問を組み合わせ、自分で判断できる状態になります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

事故物件に当たるのは人の死が発生した物件で4つの類型に分かれる

事故物件は法令上の用語ではなく、心理的瑕疵のある物件を指す通称です。
死因と発見の経緯によって、不動産会社が買主や借主に告げる必要があるかどうかが変わります。

  • 心理的瑕疵|買主や借主に心理的な抵抗を与える物件
  • 他殺・自死|事件性のある死が発生し告知が必要になる物件
  • 孤独死|発見が遅れて特殊清掃が入った物件
  • 自然死・日常生活の不慮の死|原則として告知の対象にならない死
類型内容告知の必要性
心理的瑕疵住む人に心理的な抵抗を生じさせる事情の総称事案の内容ごとに判断する
他殺・自死事件性のある死や自らの意思による死売買は期間の定めなし、賃貸は概ね3年
孤独死同居者のいない住戸で亡くなり発見が遅れた死特殊清掃が入った場合は必要
自然死・日常生活の不慮の死老衰や病死、転倒や誤嚥による死原則として告げなくてよい

心理的瑕疵|買主や借主に心理的な抵抗を与える物件

心理的瑕疵とは、建物や土地に物理的な欠陥がなくても、住む人に心理的な抵抗を生じさせる事情をいいます。

雨漏りやシロアリ被害のような物理的瑕疵と違い、外観や図面からは確認できません。
買主や借主が自力で気づく手立ては乏しく、不動産取引に告げる仕組みを用意しているのはそのためです。

なお、対象は建物内で人が亡くなった場合に限りません。
近隣に暴力団事務所がある、隣接地に嫌悪施設があるといった事情も、心理的瑕疵として扱われる場合があります。

民法が定めるのは、引き渡された目的物が種類や品質で契約の内容に適合しない場合に、買主が売主の責任を追及できるという枠組みです。
心理的瑕疵は品質の不適合として争われる領域です。

他殺・自死|事件性のある死が発生し告知が必要になる物件

他殺や自死とは、事件による死や自らの意思による死をいい、居住用の不動産で通常起こる出来事とはいえません。

国土交通省のガイドラインは、自然死と日常生活での不慮の死を告げなくてよい範囲としました。
範囲から外れる死は、宅地建物取引業者が買主や借主に告げる必要があります。
他殺と自死は告げる対象です。

一方、売買では告げる期間に区切りが置かれていません。
何十年も前の事案であっても、取引の判断に影響するなら伝える対象になります。

さらに、報道された事案は社会的な影響が大きく、期間が過ぎたあとでも把握しておくべき事情です。
事件性のある死が疑われる物件は、経過年数を理由に安心してはいけません。

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン|国土交通省

孤独死|発見が遅れて特殊清掃が入った物件

孤独死とは、同居者のいない住戸で亡くなり、しばらく誰にも発見されない状態をいいます。

孤独死という事実だけで告げる対象になるわけではありません。
分かれ目は、発見の遅れによって特殊清掃や大規模なリフォームが必要になったかどうかです。

たとえば、発見が早く、通常の清掃で原状回復できた場合は自然死として扱われ、原則として告げる必要がありません。
孤独死という言葉だけで判断を決めないでください。

一方、特殊清掃が入った物件では、床材や壁紙が一部だけ新しくなっている場合があります。
内見で張り替えの範囲を確かめておくと、あとで説明を求めるときの材料です。

賃貸では、特殊清掃が入った孤独死も事案の発覚から概ね3年が過ぎると、原則として告げる対象から外れます。
売買には期間の区切りがありません。

自然死・日常生活の不慮の死|原則として告知の対象にならない死

自然死とは、老衰や病死のように、加齢や疾病によって亡くなる場合をいいます。

ガイドラインは、自然死と日常生活での不慮の死を原則として告げなくてよいと整理しました。
階段からの転落や入浴中の事故、食事中の誤嚥による死も含まれます。
居住用の不動産では当然に予想される出来事だからです。

押さえておきたいのは、サイトの掲載基準と告げる基準が別物だという点です。
投稿型のサイトには自然死も投稿されます。

掲載されていた事案が告げる対象に当たるかどうかは、表示された日付と死因を読んで切り分けてください。
掲載があった時点で不動産会社に説明を求めれば、経緯まで確認できます。

たとえば、投稿の内容が老衰や病死であれば、取引の判断への影響は限定的です。
表示があるだけで候補から外すと、条件の良い物件を逃します。

事故物件サイトは運営主体で4種類に分かれる

事故物件サイトは運営主体で4種類に分かれる

事故物件を調べられるサイトは、運営する主体によって4種類に分かれます。
掲載件数が多い種類ほど裏取りが必要になり、運営元が公的な種類ほど掲載数が限られます。

  • 投稿型の公示サイト|利用者の投稿を地図上に集めたサイト
  • 公的機関の物件情報サイト|UR賃貸住宅やJKK東京が公開する住戸
  • 専門会社の販売サイト|心理的瑕疵の程度まで開示する売買物件のサイト
  • 大手ポータルサイト|告知事項ありの表示から絞り込むサイト
種類対象取引掲載件数確認できる範囲注意点
投稿型の公示サイト売買・賃貸最も多い発生日と事案の概要投稿が土台のため裏取りが要る
公的機関の物件情報サイト賃貸少ない事案の有無と家賃の割引条件各法人の管理住戸に限られる
専門会社の販売サイト売買少ない事案の内容と心理的な抵抗の程度自社の取扱物件だけが載る
大手ポータルサイト売買・賃貸多い告知事項ありという表示のみ事案の中身は問い合わせが要る

投稿型の公示サイト|利用者の投稿を地図上に集めたサイト

投稿型の公示サイトとは、利用者から寄せられた事案の情報を地図上に集めて公開するサイトをいいます。
国内で広く知られているのが大島てるです。

地図上のアイコンを開くと、発生した日付と事案の概要が読めます。
全国を対象にしているため、掲載件数は4種類のなかで最多です。

投稿が土台にあるため、運営者が内容を確認しても全件の裏取りまでは届きません。
古い情報や誤った投稿が混ざる前提で使ってください。

ただし、掲載がない地域は事案がないのか投稿がないだけなのかを判別できません。
地図が白いことを安心材料にせず、不動産会社への質問と必ず組み合わせましょう。

なお、利用は無料で会員登録も要りません。
スマートフォンのブラウザからも同じ地図を開けます。

公的機関の物件情報サイト|UR賃貸住宅やJKK東京が公開する住戸

特別募集住宅とは、前の入居者が亡くなった住戸を、事案があると明示したうえで募集する区分をいいます。

UR賃貸住宅は独立行政法人都市再生機構が運営し、該当する住戸を特別募集住宅として公開しています。
JKK東京の運営は東京都住宅供給公社で、同様の住戸は特定物件という区分です。

いずれも家賃の割引が設定される場合があり、割引の率と期間は住戸ごとに募集条件欄へ記載されます。
事案の有無が募集の時点で開示されるため、あとから知らされる不安がありません。

ただし、対象は各法人が管理する住戸だけです。
民間の賃貸物件は含まれないため、探している地域で候補が出ないケースも珍しくありません。

加えて、募集の一覧に事案の内容まで書かれるため、内見の前に判断材料がそろいます。

専門会社の販売サイト|心理的瑕疵の程度まで開示する売買物件のサイト

専門会社の販売サイトとは、心理的瑕疵のある物件を専門に扱う不動産会社が、自社の取扱物件を掲載するサイトをいいます。

事案の内容だけでなく、心理的な抵抗の程度を段階で表示するサイトもあります。
開示される情報の細かさは、4種類のなかでも際立つ水準です。

ただし、掲載は自社の取扱分に限られるため、地域や価格帯によっては候補がまったく出ません。
掲載数の少なさと引き換えに、1件あたりの情報が濃いと考えてください。

買う側は事案を承知したうえで比較できます。
売る側にとっても、心理的瑕疵のある物件を扱い慣れた会社を見つける手がかりです。

たとえば、掲載物件には特殊清掃や供養を済ませた状態で売り出されるものもあります。
工事の履歴が開示されていれば、購入後の手入れの見通しも立ちます。

大手ポータルサイト|告知事項ありの表示から絞り込むサイト

告知事項ありとは、物件情報の備考欄に置かれる表示で、契約前に伝えるべき事情があると示す表示です。

SUUMOやHOME’Sのフリーワード欄に「告知事項あり」や「心理的瑕疵」と入力すると、該当する物件だけを絞り込めます。
掲載物件数が多いぶん、選択肢は広めです。

ただし、備考欄には表示だけが載り、事案の中身までは書かれていません。
心理的瑕疵ではなく、再建築不可や近隣施設が理由で告知事項ありと表示される場合もあります。

気になる物件が出てきたら、掲載元の不動産会社へ理由を問い合わせてください。
回答が曖昧なまま契約を進めると、引き渡し後に争いへ発展します。
説明に納得できない段階で、不動産取引に詳しい弁護士へ相談すれば争点を先に整理できます。

事故物件サイトの種類別に調べる手順

サイトの種類ごとに入口が違います。
投稿型は地図から、公的機関は募集条件から、大手ポータルサイトはフリーワードから絞り込むと最短でたどり着けます。

  • 投稿型の公示サイトは地図を拡大して住所で絞り込む
  • 公的機関のサイトは募集条件から特別募集住宅を探す
  • 大手ポータルサイトはフリーワードで告知事項ありを絞り込む

投稿型の公示サイトは地図を拡大して住所で絞り込む

住所がわかっている状態から、次の3つの手順で確認します。

  • 検索窓に市区町村名または住所を入力して地図を表示する
  • 地図を番地が読める倍率まで拡大し、対象の建物を画面の中心に置く
  • 建物の位置にアイコンがあれば開き、発生した日付と死因まで読む

地図が表示されない場合は、通信環境、ブラウザの表示設定、アプリの再読み込みを順に見直してください。
サイト自体が閉鎖したという情報が流れる時期もありますが、2026年8月時点で運営は続いています。

ただし、アイコンが表示されないことは、事案がないという証明にはなりません。
投稿が寄せられていないだけの場合も同じ表示です。

なお、隣の建物や同じ番地の別棟にアイコンが立っている場合は、建物名まで開いて対象が一致するか確かめましょう。

公的機関のサイトは募集条件から特別募集住宅を探す

公的機関のサイトでは、次の順で該当する住戸を絞り込みます。

  • 募集中の物件検索ページを開く
  • 検索条件のなかから特別募集住宅または特定物件の区分を選ぶ
  • 表示された住戸の募集条件欄で、割引の率と適用期間を読む

割引の内容は住戸ごとに異なります。
1年で終わる住戸もあれば、3年続く住戸もあるため、募集条件欄を必ず開いてください。

対象エリアが限られている点も押さえておきましょう。
JKK東京は東京都内が対象で、UR賃貸住宅も管理住戸のある地域に限られます。

希望エリアに該当する住戸がない場合は、民間の賃貸物件を大手ポータルサイトで探す流れに切り替えましょう。

なお、募集は先着順ではなく抽選になる住戸もあります。
申込みの方式も募集条件欄で確かめてください。

大手ポータルサイトはフリーワードで告知事項ありを絞り込む

普段の物件探しの延長で、次の3つの手順を実行します。

  • 希望するエリアと間取りで通常どおり検索する
  • フリーワード欄に「告知事項あり」または「心理的瑕疵」と入力する
  • 表示された物件の備考欄を開き、記載の内容を読む

備考欄が「告知事項あり」の一言で終わっている物件は、掲載元へ「告知事項の内容を教えてください」と問い合わせてください。
メールで送れば、回答が記録として残ります。

ただし、事故以外の理由で告知事項ありと表示される物件も混ざります。
再建築不可、越境、近隣施設の存在などが理由になるため、内容を確認するまで事故物件と決めつけないでください。

問い合わせへの回答が得られないまま内見の日程だけが進む場合は、契約を保留して別の物件へ切り替える判断も必要です。

事故物件サイトだけでは調べきれない3つの理由

事故物件サイトだけでは調べきれない3つの理由

サイトの検索結果が白でも、事案がないという証明にはなりません。
裏取りの限界、賃貸の告知期間、名称の変更という3つの理由があります。

  • 投稿型サイトの情報は投稿者の申告に依存する
  • 賃貸は事案の発生から概ね3年で告知の対象から外れる
  • 建物名や所有者の変更で過去の記録をたどりにくくなる

投稿型サイトの情報は投稿者の申告に依存する

投稿型のサイトは、事案を知った利用者からの投稿を受けて掲載する仕組みで動いています。

運営者は投稿の内容を確認したうえで公開しますが、全国から寄せられる投稿を1件ずつ現地で裏取りする運用ではありません。
虚偽の投稿や誤った住所での投稿が公開される可能性は残ったままです。

一方、誤った掲載については、専用フォームからの訂正や削除の申し出を受け付けています。
申し出を受けると一時的に非公開とし、事実を確認したうえで削除するか再公開するかを判断する流れです。

掲載がない地域は、事案が起きていないのか、投稿する人がいなかっただけなのかを区別できません。
掲載の有無を判断の中心に置かないでください。

掲載の日付が古い投稿ほど、現在の建物の状況とずれます。

賃貸は事案の発生から概ね3年で告知の対象から外れる

不動産会社が「告知事項はありません」と答えたとき、事案が一度もなかったという意味とは限りません。

国土交通省のガイドラインは、賃貸借の取引に期間の目安を置きました。
自然死と日常生活での不慮の死以外の死が起きた場合でも、事案の発生から概ね3年が過ぎたあとは原則として告げなくてよいという整理です。
特殊清掃が行われた場合は、事案の発覚から数えます。

一方、売買には同じ期間の定めが置かれていません。
買主は高額な支払いをして所有権を得るため、期間で区切らずに判断すべきだという考え方が背景です。

ただしガイドラインは、買主や借主から事案の有無を問われた場合には、経過した期間にかかわらず告げる必要があると明記しています。
質問すれば、3年を過ぎた事案についても告げてもらえます。
契約条件に納得できないまま話が進むなら、弁護士へ相談して交渉を任せてください。

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン|国土交通省

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建物名や所有者の変更で過去の記録をたどりにくくなる

事案が報道された物件でも、建物名が変わると旧名称での記事が検索に出てこなくなります。
所有者が変われば管理会社も入れ替わり、当時を知る担当者に行き当たらない状態です。

旧名称を突き止める手がかりは2つあります。
1つは登記事項証明書で、建物の表示欄から過去の名称や所有者の変遷を追えます。
もう1つは地図サービスの過去画像です。
外観の看板から旧名称を読み取れる場合があります。

登記事項証明書は法務局の窓口やオンラインで誰でも取得でき、所有者本人でなくても請求できます。
手数料は請求の方法によって変わるため、法務局の案内で最新額を確認してください。

旧名称がわかったら、判明した名称で事案の検索と投稿型サイトの照合をやり直してください。

【参考元】登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局

サイトに載らない事故物件を見抜く5つの確認方法

サイトに載らない事故物件を見抜く5つの確認方法

サイトで見つからなかった物件も、5つの方法を重ねると事案の有無に近づけます。
最も確実なのは、不動産会社への書面での質問です。

  • 周辺相場より価格や家賃が安い理由を確かめる
  • 一部だけ新しい内装やリフォームの跡を内見で確かめる
  • 住所と建物名に事件関連の語を足して検索する
  • 管理人や近隣の住民に居住歴を尋ねる
  • 不動産会社に書面で質問して回答を残す

周辺相場より価格や家賃が安い理由を確かめる

価格の差は、疑うべき物件を絞り込む最初の手がかりになります。

同じエリア、同じ築年数帯、同じ間取りの物件を3件並べて比較してください。
対象の物件だけが2割以上安いなら、安さの理由を掲載元へ質問します。

ただし、安い理由は心理的瑕疵とは限りません。
再建築不可、接道の条件を満たさない土地、借地権付きの建物なども価格を押し下げる要因です。
理由を聞けば、事案かどうかを切り分けられます。

質問に対して明確な理由が返ってこない物件は、候補から外しましょう。
理由を説明できない相手と契約を結ぶと、引き渡し後の交渉も同じ調子になります。

なお、賃貸なら家賃、売買なら坪単価に直して比べると、間取りの違いに左右されません。
比較の材料は大手ポータルサイトの検索結果で十分です。

一部だけ新しい内装やリフォームの跡を内見で確かめる

内見では、部屋全体ではなく張り替えの範囲に目を向けます。

  • 壁紙が一面だけ新しく、継ぎ目の色が周囲と合っていない
  • 床の張り替えが部屋の一部だけで終わっている
  • 天井にシミを塗りつぶした跡が残っている
  • 換気設備が後付けで増設されている

実際に、特殊清掃が入った住戸では汚損した範囲だけを補修するケースが多く、新旧の差が残ります。
差を見つけたら、施工した時期と理由を仲介の担当者へ質問してください。

一方、全面リフォーム済みの物件では差が消えるため、内装だけで判断できません。
工事の完了時期を確認し、前の入居者が退去した時期と重なるかを照らし合わせましょう。

なお、異臭が残る住戸もあります。
窓を閉めた状態で数分過ごし、においの有無を確かめてから判断してください。

住所と建物名に事件関連の語を足して検索する

報道が残っている事案は、検索語の組み立て方次第で自力でも拾えます。

  • 建物名+事件
  • 住所+火災
  • 地名+番地+事故

報道機関の記事と個人のブログは分けて扱ってください。
報道機関の記事は日付と発生場所が特定できますが、個人の投稿は伝聞が混ざります。

さらに、検索の対象は建物だけに絞らず、同じ町名の範囲まで広げると、周辺で起きた事案も把握できます。
近隣の事案は原則として告げる対象になりませんが、住み心地の判断材料です。

ただし、検索で何も出てこなくても、事案がないと結論づけるのは早すぎます。
報道されない事案のほうが多いからです。

検索結果の日付は必ず確認してください。
10年以上前の記事でも、売買では告げる対象として扱われます。

管理人や近隣の住民に居住歴を尋ねる

現地でしか得られない情報は、人から聞き出すほかありません。

マンションでは管理人室を訪ね、「前の入居者はいつまで住んでいましたか」「救急車が来たことはありますか」と具体的に尋ねます。
抽象的な聞き方をすると、返ってくる答えは「わかりません」です。

一方、管理人が常駐しない物件では、近隣の商店や長く住む住民、自治会の役員が手がかりになります。
地域の事情に詳しい人ほど、告げる対象から外れた古い事案も覚えています。

ただし、聞き取った内容は噂と事実が入り混じったものです。
得られた話は不動産会社へ持ち込み、「近隣で以前の入居者について話を聞きました」と伝えて回答を求めてください。
裏が取れて初めて判断材料になります。

訪問は平日の日中が応対を得やすい時間帯です。

不動産会社に書面で質問して回答を残す

5つのうち最も確実なのが、不動産会社への質問です。
国土交通省のガイドラインは、買主や借主から事案の有無について問われた場合、宅地建物取引業者は告げる必要があると定めています。
経過した期間は理由になりません。

質問はメールや告知書など、あとから読み返せる形で送ってください。
物件名を挙げたうえで「過去に人の死亡や事件、火災はありましたか」と明確に書き、回答を保存してください。

宅地建物取引業法は、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、宅地建物取引業者が故意に事実を告げない行為を禁じています。
違反した業者は監督処分の対象です。
書面で質問しておけば、告げなかった事実を立証できます。

回答があいまいなまま契約日が近づく場合は、契約を保留しましょう。

事故物件と知らずに購入・相続した場合にとれる対処

すでに事故物件を抱えている場合、対処は告知漏れの有無で分かれます。
売主に責任を問えるなら請求を、問えないなら用途の変更か売却を検討します。

  • 告知漏れがあれば契約不適合責任で減額や解除を求める
  • リフォームや用途の変更で使い道を変える
  • 事故物件の取扱い実績がある買取業者へ売却を相談する

告知漏れがあれば契約不適合責任で減額や解除を求める

購入時に知らされていなかった事案が判明したときは、売主に対して契約不適合責任を追及できます。

民法は、引き渡された目的物が種類や品質で契約の内容に適合しない場合に、買主が売主へ請求できる内容を定めています。
請求できるのは次の4つです。

  • 修補などの追完の請求
  • 代金の減額請求
  • 損害賠償の請求
  • 契約の解除

心理的瑕疵は品質の不適合として扱われます。

民法には通知の期限が置かれ、種類や品質の不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、追完や減額を請求できなくなります。
判明したら、まず通知を済ませてください。

ただし売主が引き渡しの時に不適合を知っていた場合、または重大な過失によって知らなかった場合には、1年の制限が働きません。
売主が事案を知りながら黙っていたなら、期間が過ぎたあとでも請求の余地があります。

リフォームや用途の変更で使い道を変える

保有し続ける道を選ぶなら、内装を一新して賃貸に回す方法があります。

注意したいのは、工事をしても告げる必要は消えない点です。
壁紙や床を張り替えて印象を変えても、過去に起きた事案は残ります。
募集の際には引き続き明示が必要になります。

なお、賃貸に回す場合の賃料は周辺相場より抑える設定が一般的です。
相場との差をどこまで許容できるか、工事費を何年で回収できるかを先に試算してください。

用途を住宅から事務所や倉庫へ変えると、心理的な抵抗を持つ借り手が減ります。
ただし建築基準法の用途制限に触れる場合があるため、着工の前に自治体へ確認してください。

試算の結果、回収に10年以上かかると出たなら、保有し続ける選択は現実的ではありません。
売却へ切り替える判断を早めに下しましょう。

事故物件の取扱い実績がある買取業者へ売却を相談する

仲介は不動産会社が買い手を探す方式で、買取は業者が直接買い取る方式です。

そのため、心理的瑕疵のある物件は仲介では買い手が付きにくくなります。
事案を扱い慣れた業者への直接売却なら、買い手を探す期間が要りません。

得意分野業者の特徴向いている物件
心理的瑕疵のある物件特殊清掃や供養の手配まで自社で完結させる事案の発生から日が浅い住戸
権利関係が複雑な物件司法書士や弁護士と連携し登記まで対応する相続登記が済んでいない物件
再生・活用を前提とする物件買い取った後に改装して再販や賃貸に回す立地が良く需要の見込める物件

依頼する前に、宅地建物取引業の免許番号と取扱実績を国土交通省の検索システムで確認してください。
査定額だけで決めず、契約不適合責任を免責とする条項まで読んでから契約しましょう。

【参考元】建設業者・宅建業者等企業情報検索システム|国土交通省

事故物件で損をしないために避けたい3つの行動

調べる側と売る側のどちらにも、損につながる行動があります。
なかでも売主が事案を隠す行為は、損失が最も大きくなります。

  • サイトの掲載内容だけを根拠に契約を決める
  • 掲載情報の削除だけを目的にする
  • 売主として事案を隠したまま売却する

サイトの掲載内容だけを根拠に契約を決める

サイトの検索結果は判断材料の1つにすぎません。
掲載があった場合も、なかった場合も、契約前にもう一段の確認を挟んでください。

掲載があった物件では、表示された日付と死因を読み、告げる対象に当たるかどうかを切り分けます。
自然死が投稿されているだけなら、取引への影響は限定的です。

一方、掲載がなかった物件では、重要事項説明を受ける前に「過去に人の死亡や事件はありましたか」と書面で質問します。
説明の場で口頭のやり取りだけを重ねても、記録が残りません。

質問への回答が曖昧なまま契約日を迎えるなら、契約を保留してください。
保留による機会損失より、告知漏れを抱えたまま所有するほうが損失は大きくなりかねません。

売買契約を結ぶ前であれば、検討を止めても原則として違約金は発生しません。

掲載情報の削除だけを目的にする

所有する物件が投稿型のサイトに掲載されると、まず削除を考える人が多くいます。

削除の申し出自体は可能で、専用フォームや郵送で受け付けています。
申し出を受けたサイト側は一時的に非公開とし、削除するか再公開するかは事実関係を確かめたうえでの判断です。

ただし事実に基づく掲載は残る場合があります。
名誉毀損に当たるかどうかの判断軸は、公共の利害に関する事実か、公益を図る目的があるか、内容が真実かどうかです。
過去に実際に起きた事案の掲載であれば、違法とされないケースもあります。
削除できない前提で対応を考えてください。

掲載を消しても、売買や賃貸で告げる必要はなくなりません。
削除に時間をかけるより、事案を明示したうえで買い手を探すほうが、結果として早道です。

加えて、削除を待つ間も固定資産税の負担は続きます。
時間をかけるほど手取りは減ります。

売主として事案を隠したまま売却する

事案を隠して売る行為は、短期的に高く売れても長期的な損失につながりかねません。

宅地建物取引業法のもとでは、重要な影響を及ぼす事項を故意に告げなかった業者が監督処分の対象になります。
仲介を依頼した会社が処分を受ければ、売買の手続き自体が立ち行かない状態です。

さらに、売主本人にも民法上の責任が残ります。
買主から代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められれば、受け取った代金を返すうえに損害まで負担する結果になります。

買主から損害賠償を求められれば、弁護士費用の負担も必要です。
値引きに応じるより支出が膨らむ結果になりかねません。

事案を明示して、心理的瑕疵のある物件を扱い慣れた相手に売るほうが、手元に残る金額は安定しやすくなります。
隠す判断をやめ、告知を前提とした売却先を探しましょう。

【参考】宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)

事故物件でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ

事故物件をめぐる問題は、当事者どうしの話し合いだけでは決着しにくい場面があります。
次の3つに当てはまるなら、弁護士への相談を検討してください。

  • 購入後に事案が判明し、売主が告知漏れを認めない
  • 相続した事故物件の扱いで、相続人の間で意見が割れている
  • 買取の契約条件、とくに契約不適合責任の免責条項に納得できない

弁護士に依頼すると、相手方との交渉を代わりに進めてもらえます。
請求できる範囲や通知の期限も整理されるため、1年の通知期間を過ぎる失敗を避けやすくなります。
相談だけでも受け付けているため、請求できるかどうかがわからない段階で構いません。

【参考元】訳あり不動産の買取・査定|ベンナビ不動産

事故物件に関する悩みは「ベンナビ不動産」で解決しよう

調べた結果、所有する物件に事案があるとわかったら、次は売却先を決める段階に進みます。

ベンナビ不動産では、心理的瑕疵のある物件でも無料で査定を受けられます。
受付は24時間365日で、条件が整えば最短3日での買取に対応するとの案内です。
共有名義の物件では、ほかの共有者の同意がなくても自分の持分だけを売却できます。

仲介に出したものの買い手が現れず、販売期間だけが延びている場合にも使えます。
仲介と買取の両方を比較したうえで、条件の良い方法を選んでください。

なお、査定の依頼に費用はかからず、査定額を見てから断る判断もできます。
しつこい営業の連絡はしないとの案内です。

申込みは物件の所在地と種別を入力するだけで完了します。
手元に登記事項証明書がなくても進められます。

【参考元】訳あり不動産の買取・査定|ベンナビ不動産

事故物件サイトに関するよくある質問

Q

事故物件を調べるサイトで一番情報量が多いのはどこ?

A

投稿型の公示サイトが最も多くの件数を集めています。
全国を地図で網羅しており、読めるのは発生日と事案の概要です。
ただし掲載は利用者の投稿に依存するため、内容の正確さは保証されません。
情報量の多さと正確さは別の軸だと考え、不動産会社への質問と組み合わせてください。

Q

事故物件サイトに載っていない物件はどうやって調べる?

A

価格差の確認・内見での内装の見極め・報道の検索・近隣への聞き取り・不動産会社への書面質問の5つを重ねます。
最も確実なのは書面での質問です。
買主や借主から問われた場合、宅地建物取引業者は経過した期間にかかわらず告げる必要があります。
1つの方法だけで結論を出さないでください。

Q

スーモやホームズで事故物件を見分けられる?

A

フリーワード欄に「告知事項あり」と入力すれば、該当する物件を絞り込めます。
ただし備考欄には表示だけが載り、事案の中身までは書かれていません。
再建築不可や近隣施設が理由の場合もあるため、掲載元の不動産会社へ問い合わせて内容を確かめてください。

Q

自分の物件が事故物件サイトに載ったら削除してもらえる?

A

専用フォームや郵送で訂正や削除を申し出られます。
申し出を受けたサイト側は一時的に非公開とし、事実を確認したうえでの判断です。
ただし事実に基づく掲載は残る場合があります。
掲載が消えても売買や賃貸で告げる必要はなくなりません。
削除より売却先の確保を優先しましょう。

Q

事故物件は何年経てば告知しなくてよくなる?

A

賃貸では、事案の発生から概ね3年が経過したあとは原則として告げなくてよいとされています。
対象は、自然死と日常生活での不慮の死以外の死で、特殊清掃が行われた場合の起算点は事案の発覚時です。
売買には期間の定めがありません。
いずれの場合も、買主や借主から問われたときは経過した期間にかかわらず告げる必要があります。

まとめ|事故物件サイトは4種類・掲載なしでも調べ終えたことにならない

事故物件サイトは運営する主体によって4種類に分かれます。
投稿型は件数が多い代わりに裏取りが必要で、公的機関のサイトは掲載数が限られる代わりに事案が明示済みです。
1つのサイトだけでは判断材料が足りません。

サイトで見つからない物件は、価格差・内装の跡・報道の検索・近隣への聞き取り・不動産会社への書面質問の5つを重ねて確かめます。
買主や借主から問われた場合、宅地建物取引業者は経過した期間にかかわらず告げる必要があるため、最後は必ず質問で締めてください。

すでに事故物件を所有しているなら、隠して売る判断は避けましょう。
事案を明示したうえで、心理的瑕疵のある物件を扱い慣れた相手に売るほうが手元に残る金額は安定しやすくなります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。