事故物件

事故物件とは?定義と告知義務の判断基準・売却時の注意点をわかりやすく解説

事故物件とは?定義と告知義務の判断基準・売却時の注意点をわかりやすく解説

相続した実家で親が亡くなった。
所有するアパートの一室で入居者が自ら命を絶った。
売却を考えた段階で「事故物件として扱われるのか」「買主に伝える義務があるのか」を確かめたい方は少なくありません。

事故物件という言葉に、法律上の定義はありません。
実務でいう事故物件とは人の死などによって買主が心理的な抵抗を感じる物件です。
買主へ告げる必要があるかどうかは、死因・経過年数・発生場所の3点で判断します。

本記事では、訳あり物件5類型のなかでの位置づけと、国土交通省のガイドラインが示す告知の考え方を説明します。
告げずに売った売主が負う責任、価格の下がり方と手放す方法も取り上げました。
読み終えたときには、自分の物件の事案を告げるべきかを判断し、告知書に何を書いて売り出すかを決められる状態になります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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訳あり物件の5つの類型と事故物件が当てはまる位置

訳あり物件の5つの類型と事故物件が当てはまる位置

不動産の「訳あり」は、次の5つの類型に整理できます。
事故物件は1つ目の心理的瑕疵に当たります。

  • 心理的瑕疵
  • 物理的瑕疵
  • 環境的瑕疵
  • 法的瑕疵
  • 権利関係

類型が違えば、取るべき対処も別物です。

類型内容代表例主な対処
心理的瑕疵買主が心理的な抵抗を感じる事情がある自殺・他殺・火災による死亡、長期間放置された孤独死買主へ告げたうえで価格を調整する
物理的瑕疵建物や土地の状態そのものに欠陥がある雨漏り、シロアリ被害、基礎のひび割れ、土壌汚染修繕するか修繕費を見込んで値付けする
環境的瑕疵周辺環境が住み心地を損なう幹線道路の騒音、工場の異臭、墓地や火葬場の隣接買主の意向を先に確認する
法的瑕疵法令の制限で建て替えや利用ができない再建築不可、市街化調整区域、違法建築制限の内容を調べて売り方を選ぶ
権利関係所有権が単独でない、土地と建物の所有者が分かれている共有名義、借地権、底地、相続登記が未了共有者や地主と交渉して権利を整える

なお、5類型は法令が定めた区分ではなく、不動産取引の実務で使われてきた整理です。

心理的瑕疵|事故物件など買主に心理的な抵抗を与える物件

心理的瑕疵とは建物に物理的な欠陥がなくても、過去の出来事を知れば買主が契約をためらう事情がある状態を指します。

該当する代表例は次のとおりです。

  • 室内での自殺や他殺
  • 火災による焼死
  • 長期間人知れず放置された孤独死

いずれも建物の構造や設備には問題がありません。
しかし「知っていたら買わなかった」と買主が考える余地があるため、取引の判断に影響する事情として扱われます。

心理的瑕疵が他の4類型と異なるのは、修繕で消せない点です。
雨漏りなら防水工事で直り、騒音なら二重サッシで和らげられます。
過去に人が亡くなった事実は、内装を全面的に張り替えても消えません。
だからこそ、隠すのではなく告げたうえで価格を調整する売り方が基本です。

物理的瑕疵|雨漏りやシロアリ被害など建物そのものに欠陥がある物件

物理的瑕疵とは建物や土地に欠陥がある状態をいいます。

具体例として挙がるのは次の欠陥です。

  • 雨漏りやシロアリ被害
  • 基礎や柱のひび割れ
  • 給排水管の劣化
  • 土壌汚染や地中埋設物

建物の安全性や使い勝手に直接かかわるため、買主にとっては修繕費の見積もりが判断材料になります。

心理的瑕疵との最大の違いは、工事によって解消できる点にあります。
売主に残された道は、修繕して引き渡すか、修繕費相当額を値引きして現況のまま引き渡すかの2つです。
工事費が値引き額を上回るなら現況引き渡しを選び、見積書を買主へ渡して根拠を示しましょう。

引き渡し後に欠陥が見つかると、買主から補修や代金の減額を求められます。
売却前に建物状況調査(インスペクション)を受けておけば、劣化の程度を書面で示せます。
物理的瑕疵と心理的瑕疵は、同じ物件に重なる場合もある点に留意してください。

環境的瑕疵|騒音や異臭など周辺環境に問題がある物件

環境的瑕疵とは建物自体に問題がなくても、周辺環境が住み心地を損なう状態を指します。

代表例は、幹線道路や線路の騒音・工場や畜舎の異臭・墓地や火葬場の隣接・暴力団事務所の近接です。
原因が敷地の外にあるため、売主の努力だけでは解消できません。

環境的瑕疵の難しさは、受け止め方の個人差が大きい点にあります。
線路沿いを敬遠する買主がいる一方で、利便性を優先して気にしない買主もいるためです。
騒音のように数値で示せる要素なら、測定結果を提示して判断材料にできます。

売り出す前に不動産会社と相談し、周辺環境をどこまで説明するかを決めておきましょう。
買主の意向を早い段階で確認できれば、契約後に認識の食い違いが起きる場面を減らせます。
内見を平日と休日の両方で受け入れると、周辺環境を実際に確かめてもらえます。

法的瑕疵|再建築不可など法令の制限で自由に使えない物件

法的瑕疵とは法令の制限によって建て替えや利用が制限される状態をいいます。

代表例が、接道義務を満たさない再建築不可の土地です。
建築基準法は、建築物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています。
建築基準法がいう道路は、原則として幅員4メートル以上のものを指します。
幅1.5メートルの路地にしか接していない敷地は、建て直しができない土地です。

ほかに、市街化調整区域内の土地や、建ぺい率・容積率を超えた違法建築も法的瑕疵に当たります。
いずれも建て替えや増築が制限されるため、買主の層が限られます。
まずは役所の建築指導課で敷地と道路の関係を確認し、どの制限がかかっているかを把握しましょう。

【参考】建築基準法(e-Gov 法令検索)

権利関係|共有名義や借地権など権利が単独でない物件

権利関係の問題とは所有権が単独でない、または土地と建物の所有者が分かれている状態を指します。

民法は、共有物に変更を加える行為について、他の共有者全員の同意を必要としています。
売却は共有物の処分に当たるため、共有者の1人だけで物件全体を売るのは不可能です。
兄弟3人で相続した実家は、1人の判断では売却できません。

借地権付き建物や底地も同じ問題を抱えます。
建物だけ、あるいは土地だけを売ろうとすると、相手方の承諾や条件交渉が必要です。
相続登記が済んでいない不動産も、名義人が被相続人のままでは売却手続きに進めません。
売却を決めたら、まず登記事項証明書を取得して名義と権利の状態を確かめましょう。

【参考】民法(e-Gov 法令検索)

事故物件とは心理的瑕疵がある物件を指す通称で法律上の定義はない

事故物件は、法律用語ではなく取引実務の通称です。
だからこそ「どこからが事故物件か」を機械的に決める基準はありません。
次の4点を順に整理します。

  • 定義を置いた条文の不在
  • 通常の物件との違い
  • 似た言葉との使い分け
  • 判断のよりどころがない場面

事故物件という言葉を定めた法律の条文はない

宅地建物取引業法にも民法にも、事故物件を定義した条文はありません。
実務は、国土交通省が示した指針と過去の裁判例を手がかりに判断しています。

判断のよりどころは、国土交通省が令和3年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。
公表前は、心理的瑕疵の扱いが業者ごとにばらついていました。
人の死をすべて告げる会社もあれば、ほとんど告げない会社もありました。
ばらつきを縮めるため、裁判例と取引実務を踏まえた一般的な基準として取りまとめられています。

ただし、ガイドラインが決めたのは告知の要否であって、事故物件の定義ではありません。
告知の対象になる事案がある物件を、実務上「事故物件」と呼ぶ場面が多いだけです。
両者が完全に一致する概念ではない点を押さえておきましょう。

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

事故物件と通常の物件で変わるのは告知と価格と買主の層

事故物件でも、売買契約は通常どおり結べます。
変わるのは、買主への説明と価格と買主の層です。

項目通常の物件事故物件
買主への説明設備や境界の状況を説明する加えて人の死に関する事案を告げる
価格周辺相場を基準に決める周辺相場より低い水準で決まりやすい
買主の層実需・投資の双方に広がる気にしない実需層と再販業者に絞られる
売却期間3か月から6か月が目安買主が限られるぶん長引きやすい

売れなくなるわけではなく、条件が変わるだけです。
買主の層が狭まるぶん、仲介で売り出すと反響が集まるまでに時間がかかります。
売却に期限があるなら、買取という選択肢も並行して検討しましょう。

説明の場面も変わります。
通常の物件なら重要事項説明で設備や境界の状況を伝えれば足りますが、事故物件では人の死に関する事案も告げる必要があります。
告げる内容は書面に残し、買主の署名を受けておきましょう。

価格の決め方も変わります。
周辺の成約事例をそのまま当てはめると、問い合わせが集まりません。
訳あり不動産の取扱いに慣れた会社へ査定を依頼し、下げ幅の根拠を示してもらってください。

「告知事項あり」「訳あり物件」との言葉の違い

3つの言葉は、指す範囲が段階的に異なります。
最も広い総称が「訳あり物件」です。
訳あり物件のなかに「告知事項あり」と表示される物件があり、事故物件は主に人の死にかかわるものを指します。

「告知事項あり」は、買主や借主に伝えるべき事情があると示す広告上の表示です。
人の死とは限らず、給排水設備の不具合や近隣とのトラブル、境界未確定なども対象になります。
物件情報に「告知事項あり」と出ていても、内容は問い合わせなければわかりません。

3語の関係は次の表のとおりです。

言葉指す範囲使われる場面
訳あり物件売りにくい事情がある不動産の総称買取業者の広告や記事の見出し
告知事項あり買主や借主へ伝えるべき事情がある物件情報の備考欄・特記事項
事故物件主に人の死にかかわる心理的瑕疵がある取引実務の会話・記事の解説

自分の物件がどう表示されるかは、不動産会社の判断だけで決まるわけではありません。
売り出す前に、どの事情をどう表示するかを担当者と話し合って決めましょう。
表示の仕方によって、問い合わせの数も購入希望者の質問内容も変わります。

判断のよりどころが示されていない場面もある

国土交通省のガイドラインは、扱いを決めていない場面を明示しています。
次の3つです。

  • 人の死が生じた建物を取り壊した後の土地取引
  • 搬送先の病院で亡くなった場合
  • 転落により死亡した場合の落下開始地点の扱い

いずれも、一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や取引実務の蓄積がないため、対象から外されました。

対象外という記載は「告げなくてよい」という意味ではありません。
ガイドラインが示したのは宅地建物取引業者の義務の判断基準であり、売主が負う民事上の責任は別問題です。
更地にして売る場合も、買主から事案の有無を問われれば答える必要があります。
判断がつかない場面では、売却手続きに入る前に弁護士へ確認しましょう。
訳あり不動産を扱う弁護士に相談すれば、告げる範囲と契約書の条項を同時に整理できます。

事故物件かどうかは死因と経過年数と発生場所で判断する

事故物件かどうかは死因と経過年数と発生場所で判断する

告げる必要があるかどうかは、次の3つの軸で判断します。

  • 死因
  • 経過年数
  • 発生場所

3つのうち1つでも告げる側の条件に当てはまれば、買主へ伝える前提で売却を進めましょう。

判断軸告げる必要が高いケース告げなくてよいとされるケース
死因自殺、他殺、火災による焼死、事件性のある不審死老衰や病死などの自然死、階段からの転落や入浴中の溺死
経過年数売買取引(年数の区切りなし)、事件性や周知性が特に高い事案賃貸取引で事案の発生または発覚からおおむね3年が経過
発生場所取引の対象となる部屋、日常的に使う玄関やエレベーター隣接住戸、屋上や機械室など通常使わない共用部分

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

死因|自殺・他殺・火災による死は告げる対象になりやすい

老衰や病死などの自然死は、賃貸でも売買でも原則として告げなくてよいとされています。

理由は、自宅で人が亡くなる事態自体が当然に予想されるためです。
国土交通省も、自宅で亡くなる方の多くが老衰や病死である点を、ガイドラインを定めた背景として挙げています。
裁判例にも、自然死について心理的瑕疵への該当を否定したものがあります。

日常生活のなかで生じた不慮の事故死も、自然死と同じ扱いです。
具体例として挙げられているのは、自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒、食事中の誤嚥です。

一方で、自殺や他殺・火災による焼死・事件性のある不審死は、買主に心理的な抵抗が生じる可能性が高く、告げる対象になります。
ただし自然死であっても、特殊清掃が入った場合は扱いが変わる例外があります。

経過年数|賃貸はおおむね3年、売買には年数の区切りがない

おおむね3年で告げなくてよくなるのは、賃貸借取引だけです。
売買取引には、ガイドライン上の年数の区切りがありません。

賃貸の3年には起算点が2つあります。
自殺や他殺のように自然死以外の死が起きた場合の起算日は、死亡が発生した日です。
孤独死で発見が遅れ特殊清掃が必要になった場合は、事案が発覚した日から数えます。
混同すると起算日が数か月ずれるため、管理会社の記録で日付を確認しておきましょう。

売買に年数の定めが置かれなかったのは、購入した買主が長く住み続ける前提があり、判断への影響が続きやすいためです。
売却するなら、10年前の事案でも告げる前提で準備を進めてください。

事件性・周知性・社会に与えた影響が特に高い事案は、賃貸でも3年を過ぎて告げる必要があります。
報道された事件が典型例です。

発生場所|取引する部屋か隣戸・共用部分かで扱いが変わる

取引の対象となる部屋で起きた事案は告げる対象になり、隣接住戸で起きた事案は原則として告げなくてよいとされています。

共用部分は、使い方によって扱いが分かれます。
玄関・エレベーター・廊下・階段・ベランダのように住人が日常的に使う部分は、取引の対象と同じ扱いです。
屋上、機械室、立ち入りが制限された区画のように通常は使わない部分で起きた事案は、原則として告げなくてよいとされています。

分譲マンションの場合、共用部分の事案を売主が把握していないケースも珍しくありません。
売却を決めたら管理会社へ事案の有無を照会し、回答を書面で受け取っておきましょう。
書面が残っていれば、後日買主から指摘を受けても調査を尽くした事実を示せます。
回答が得られない場合は、不明である旨を買主へ伝えれば足ります。

国土交通省のガイドラインが示す告知の考え方

国土交通省は令和3年10月、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。
対象は居住用不動産に限られます。

  • 告げなくてよい場合
  • 例外的に告げる場合
  • 問われた場合の扱い

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

自然死と日常生活のなかの不慮の死は原則として告げなくてよい

自然死と日常生活のなかの不慮の死は、賃貸借取引と売買取引のいずれでも、原則として告げなくてよいとされています。

賃貸と売買で扱いが分かれない点が特徴です。
おおむね3年という期間の基準は賃貸だけに適用されますが、自然死の扱いは取引の種類を問いません。
老衰や持病による病死・自宅の階段からの転落・入浴中の溺死は、いずれも告げなくてよい側に整理されています。

背景にあるのは、自然死について心理的瑕疵への該当を否定した裁判例の蓄積です。
単身高齢者の入居が敬遠される状況を改める狙いも示されました。
人の死をすべて告知対象にすると、貸主が高齢者の受け入れをためらうためです。

ただし原則であって、絶対ではありません。
買主や借主から事案の有無を問われれば、自然死であっても答える必要があります。

特殊清掃や大規模リフォームをした場合は自然死でも告げる対象になる

自然死であっても、長期間人知れず放置された結果として特殊清掃や大規模リフォームを行った場合は、告げる対象になります。

特殊清掃とは孤独死などが発生した住居で原状回復のために行う消臭・消毒や清掃です。
通常のハウスクリーニングとは作業内容も費用も異なり、床材の撤去や下地の消毒まで踏み込む場合があります。

単身の親が持病で亡くなり、発見まで1か月かかったケースを考えてみましょう。
死因は病死で自然死に当たりますが、室内の汚損が進んで特殊清掃が入れば、買主の判断に重要な影響を及ぼす事案として扱われます。
死因だけで判断すると見落とすため、清掃の有無を必ず確認してください。

清掃業者へ発注する前に、不動産会社へ扱いを確認しましょう。
売却前に相談すれば、告知の要否と工事範囲を同時に決められます。
判断に迷う場合は、訳あり不動産に詳しい弁護士へ相談する方法もあります。

買主や借主から問われたときは経過年数や死因を問わず告げる

事案の発覚から経過した期間や死因にかかわらず、買主や借主から事案の有無を問われた場合は、調査で判明した点を告げる必要があります。

社会的影響の大きさから買主や借主が把握しておくべき特段の事情があると認識した場合も、同じ扱いです。
報道された事件のように、周辺住民の多くが知っている事案が該当します。

告げる内容は次の4点です。

  • 事案の発生時期(特殊清掃が行われた場合は発覚時期)
  • 発生した場所
  • 死因(不明な場合はその旨)
  • 特殊清掃などが行われた事実

亡くなった方の氏名・年齢・住所・家族構成・具体的な死の態様・発見時の状況までは告げる必要がありません。
亡くなった方と遺族の名誉および生活の平穏に配慮する趣旨です。
売主や管理会社から不明と回答された場合は、不明である旨を伝えれば足ります。

事故物件を告げずに売った売主が負う責任

告げるべき事案を隠して売ると、次の責任を負います。

  • 契約の解除や代金の減額を求められる
  • 損害賠償を請求される
  • 免責の特約を結んでも責任を免れられない
  • 仲介した不動産会社も監督処分の対象になる

【参考】民法(e-Gov 法令検索)

買主から契約の解除や代金の減額を求められる

引き渡した物件が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して、補修や代替物の引き渡しによって不足を補うよう請求できます。

追完を書面で督促しても相当の期間内に対応がなければ、買主は不適合の程度に応じた代金の減額を請求できます。
追完が不可能な場合や、売主が追完をはっきり拒んだ場合には、書面での督促を経ずに直ちに減額を請求することも可能です。
人の死という事実は補修で消せないため、実際には減額請求へ進むことが多くなります。

契約をした目的を達成できないほど重大であれば、買主は契約を解除できます。
売買代金を返還したうえ、登記を戻す手続きも必要です。

期間の面では、買主が不適合を知ったときから1年以内に売主へ通知しなければ、追完・減額・賠償・解除のいずれも主張できなくなります。
売主が引渡しのときに不適合を知っていた場合には、1年の制限が働きません。
隠していた売主は、長く責任を追及される立場です。

損害賠償を請求される

告げるべき事案を隠していた場合、買主は契約の解除や代金の減額とあわせて損害賠償を請求できます。

賠償の対象になりうる費目は次のとおりです。

  • 事案を知っていれば支払わなかった価格との差額
  • 買い直しや再売却にかかった費用
  • 仲介手数料や登記費用
  • 引っ越し費用や仮住まいの費用

訴訟に発展すれば、弁護士費用と解決までの時間も売主の負担です。
第一審の判決まで1年以上かかる例も珍しくありません。

告げたうえで価格を下げるほうが、後から争うより負担は小さく済みます。
仮に周辺相場3,000万円の物件を2割下げて2,400万円で売った場合、目減りは600万円です。
隠して売った結果、解除と賠償を求められれば、売買代金の返還に加えて費用の負担まで背負います。
告げる選択を取りましょう。

契約不適合責任を免除する特約を結んでも知りながら告げなかった事実には及ばない

売主が担保の責任を負わない旨の特約を結んでいても、知りながら告げなかった事実については責任を免れられません。
民法の明文による定めです。

中古住宅の売買では、個人が売主となる場合に契約不適合責任を免責とする特約が広く使われています。
築年数の古い建物で、引き渡し後の不具合まで売主が負いきれないためです。
免責特約があるなら人の死も伝えなくてよい、と考える売主がいますが、誤りです。

特約があっても責任を免れられないのは、売主が事案を認識していた場合に限られます。
相続した実家で、自分が生まれる前に起きた事案をまったく知らなかった場合まで責任を負うわけではありません。

把握している事案は、告知書(物件状況等報告書)に漏れなく記載してください。
書き漏らしがあると、免責特約を結んでいても後から争われます。
記載の範囲に迷う場合は、弁護士へ相談してから提出しましょう。

仲介した不動産会社も宅地建物取引業法違反に問われる

売主が責任を負うのと並行して、仲介した宅地建物取引業者も責任を問われます。

宅地建物取引業法は、契約の締結を勧誘する際の禁止行為を定めています。
相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げない行為と、事実と異なる内容を告げる行為の2つです。
人の死に関する事案が判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、業者は買主へ告げなければなりません。
違反すれば、業務停止などの監督処分を受けます。

一方で、売主が会社へ事案を伝えていなかった場合は事情が別です。
業者には、周辺住民への聞き込みやインターネット上の情報まで自ら調べる義務はありません。
売主・貸主・管理業者へ告知書などで照会すれば、調査義務を果たしたものと扱われます。
結果として、責任を負うのは伝えなかった売主だけです。

【参考】宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)

買う物件や借りる物件が事故物件かを調べる方法

購入や賃借を検討する側は、次の4つで確認できます。

  • 物件情報の備考欄や告知事項の記載を見る
  • 売主や管理会社に直接確認する
  • 事故物件公示サイトを参考にする
  • 価格や内装の特徴から推測する

もっとも確実なのは売主への直接確認です。

確認手段手間わかる情報の確かさ
備考欄・告知事項の記載小事情の有無だけで内容は不明
売主や管理会社への確認中発生時期・場所・死因まで確認できる
事故物件公示サイト小投稿情報のため裏取りが必要
価格や内装からの推測中可能性を示すだけで確定しない

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

物件情報の備考欄や告知事項の記載を確認する

物件情報の備考欄や特記事項に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」と書かれていれば、買主や借主に伝えるべき事情があるとわかります。

ただし、詳細まで書かれないのが通常です。
「告知事項あり」の4文字だけで、死因も発生時期も読み取れません。
表示は入口の目印であって、判断材料ではないと考えてください。

表示がない場合も、事案がないと確定するわけではありません。
売主が業者へ伝えていなければ、業者は事案を知らないまま募集を出します。
備考欄が空欄でも、気になるなら問い合わせで確認しましょう。

表示の位置は媒体によって異なります。
物件概要の「備考」欄に書かれる場合もあれば、間取り図の下の「特記事項」に小さく載る場合もあります。
1か所だけ見て判断せず、掲載ページ全体に目を通してください。
紙の資料を受け取ったら、裏面まで確認しましょう。

売主や管理会社に直接確認する

買主や借主から事案の有無を問われた場合、宅地建物取引業者は経過年数や死因にかかわらず、調査で判明した点を告げる必要があります。
売主や貸主に自発的な調査義務まではないため、聞かなければ出てこない情報もあります。
問われた場合の告知義務があるからこそ、直接聞くのがもっとも確実です。

聞き方は具体的にしましょう。

  • 過去にこの部屋で人が亡くなった事案はありますか
  • 特殊清掃が行われた記録はありますか
  • 隣接住戸や共用部分で事案が起きた記録はありますか

「事故物件ですか」とだけ尋ねると、担当者の解釈次第で答えが変わります。
死因と場所と清掃の有無に分けて聞けば、回答の幅が狭まります。

回答は口頭で済ませず、書面かメールで残してもらってください。
契約後に事案が判明した場合、書面が残っていれば説明の有無を証明できます。

事故物件公示サイトは参考情報として使う

事故物件の情報を地図上に集めた公示サイトは手がかりになりますが、内容の裏取りが欠かせません。

掲載情報の多くは利用者からの投稿で成り立っており、公的な記録ではありません。
投稿の正確性を確かめる仕組みも限定的です。
誤った投稿や、すでに解体された建物の情報が残っている場合もある点に注意してください。

国土交通省も、宅地建物取引業者の調査義務の範囲を整理しています。
近隣住民への聞き込みやインターネットサイトの調査を自発的に行う義務まではありません。
理由の1つが、正確性の確認が難しい点です。
亡くなった方や遺族の名誉と生活の平穏を不当に侵害しないよう、慎重な対応も求めています。

掲載を見つけたら、内容を信じ込まずに売主や管理会社へ事実関係を確認しましょう。

相場より極端に安い、内装の一部だけ新しいといった特徴から推測する

表示や回答が得られない場合は、物件の状態から可能性を見積もる方法があります。
手がかりは次の3点です。

  • 周辺相場より価格や家賃が大きく低い
  • 床や壁の一部だけ張り替えられている
  • 建物名や外観が変わっている

いずれも通常の改修や値下げでも起きる現象で、事故物件と確定させる材料にはなりません。
駅からの距離、築年数、間取りの条件が同じ物件と比べて2割以上安ければ、背景に何らかの事情がある可能性を疑う程度にとどめてください。

入居者の入れ替わりが極端に早い場合も手がかりになります。
募集広告が短期間で繰り返し出る物件は、住み続けにくい事情を抱えている場合があります。

推測だけで判断せず、売主や管理会社への確認で裏を取りましょう。

事故物件の価格に決まった下落幅はない

値下がりの幅は、次の2点で理解してください。

  • 公的な統計がなく、事業者の公表値が目安になる
  • 死因と経過年数と立地で幅が大きく動く

1社の提示額を相場とみなさない姿勢が、安く手放さないための前提になります。

下落幅に公的な統計はなく事業者の公表値では1〜3割程度とされる

国や自治体が事故物件の値下がり率を統計として公表した例はありません。
国土交通省の地価公示も、法務省の登記統計も、心理的瑕疵の有無で価格を集計していません。

流通している数値は、訳あり不動産を扱う不動産事業者が自社の取扱実績をもとに公表した目安です。
周辺相場より1〜3割程度低いとする発信が多く、自殺や他殺のように心理的な影響が大きい事案では5割前後まで下がるとする例もあります。
出どころが事業者である以上、幅のある参考値として受け取ってください。

価格が下がるのは、需要が絞り込まれるためです。
気にしない買主と再販を前提とする業者に買い手が限られるため、売り出し価格を下げなければ問い合わせが集まりません。

実額は個別査定でしか判明しません。
目安を頭に置いたうえで、複数社に査定を依頼して自分の物件の水準を確かめましょう。

下落幅は死因と経過年数と立地で変わる

同じ事故物件でも、条件によって下落幅は大きく動きます。

要因下落幅が大きくなる場合下落幅が小さくなる場合
死因他殺や自殺で報道された事案発見が遅れた自然死で報道もない事案
経過年数事案から数か月しか経っていない10年以上が経過し入居者が入れ替わっている
立地郊外で買主の母数が少ない都心部で賃貸需要が厚い
建物戸建てで居住空間が事案の現場と重なる区分マンションで住戸を特定しにくい

同じ事案でも、報道の有無で幅は大きく変わります。
地元紙やニュースサイトに載り、住所まで特定できる状態であれば、買主が事前に調べて把握しているのが前提です。
報道がなく近隣も知らない事案なら、下げ幅は小さく収まります。

建物を解体して土地として売ると、評価が変わる場合もあります。
ただし解体費用と固定資産税の増加を差し引くと手取りが減るケースもあるため、試算してから決めましょう。

まずは複数社の査定を取り、提示額の幅を確かめてください。
訳あり不動産の取扱いに慣れた会社と一般的な仲介会社では、同じ物件でも評価が数百万円単位で開きます。
査定の根拠に納得できない場合は、弁護士や不動産会社へ相談して判断材料を増やしましょう。

事故物件を手放す方法

事故物件を手放す方法

手放す方法は次の4つです。

  • 仲介で一般の買主に売る
  • 訳あり物件を扱う買取業者に売る
  • 解体して土地として売る
  • 隣地所有者や共有者に売る

価格を優先するなら仲介、早さと確実さを優先するなら買取を選びましょう。

方法価格の目安期間の目安向いている人
仲介相場の7〜9割6か月以上時間に余裕があり価格を優先する人
買取業者相場の5〜7割数日から1か月期限を決めて手放したい人
解体して土地土地相場から解体費を控除3か月以上建物の傷みが激しく再利用が難しい人
隣地所有者や共有者交渉次第1か月から3か月隣地と一体利用できる土地を持つ人

価格の目安は不動産事業者が公表する水準をもとにした幅で、物件ごとに変動します。

仲介で一般の買主に売る

仲介は、不動産会社に買主を探してもらう方法です。
市場価格に近い金額を狙えます。

売り出しでは「告知事項あり」と表示し、内見の段階で事案の内容を説明しましょう。
心理的な抵抗が小さい買主に出会えれば、相場に近い価格での成約もねらえます。
事案から年数が経ち、報道もされていない物件ほど成約の可能性は高くなります。

弱点は期間です。
買主が限られるため、通常の物件より問い合わせが集まりにくく、売却期間が長引きます。

売り出す前に、切り替えの判断時期を決めておきましょう。
「3か月で成約しなければ買取に切り替える」と先に決めておけば、値下げを重ねて時間だけが過ぎる展開を避けられます。
売り出し中も固定資産税と管理費の負担は続くため、期間が延びるほど手取りは目減りします。

訳あり物件を扱う買取業者に売る

買取は、業者が直接買い取る方法です。
仲介より価格は下がりますが、告げる相手が業者に限られ、売却までの期間が短く済みます。

事故物件の買取に対応する業者なら、特殊清掃やリフォームを済ませないまま引き渡せる場合があります。
売主が清掃費用を立て替える必要はなく、手取りの見通しを立てやすい点も利点です。
契約不適合責任を免責とする条件で契約する例も多く、引き渡し後に責任を追及される心配を減らせます。

業者を選ぶときは、次の特徴を確認してください。

確認したい特徴確認する内容
心理的瑕疵のある物件の取扱実績買取事例の件数と価格帯を公開しているか
宅地建物取引業免許免許番号と更新回数を明示しているか
査定根拠の提示金額の内訳を書面で示せるか
諸費用の負担者登記費用や残置物の処分費を誰が負担するか

免許番号を明示しない会社は候補から外しましょう。
実績と査定根拠を書面で示せる会社に絞って相談すれば、価格の妥当性を比べられます。
買取価格の提示だけでなく、引き渡し後に責任を負う範囲まで契約書で確認してください。

解体して土地として売る

建物を解体して更地にすると、買主の心理的な抵抗は薄れやすくなります。
ただし2つの負担が生じます。

1つ目が解体費用です。
解体業者が公表する目安では、木造戸建てで1坪あたり3万円から5万円とされ、30坪の建物なら90万円から150万円程度が目安になります。
事案があった住戸の内装材を分別して処分する場合、費用はさらに上がります。

2つ目が固定資産税です。
住宅が建つ土地には課税標準額を軽減する特例が適用されますが、更地にすると特例が外れて税額が上がります。
売却まで時間がかかると、負担が積み上がります。

なお、建物を取り壊した後の土地取引は、国土交通省のガイドラインが扱いを示していない領域です。
更地にすれば告げなくてよくなると断定はできません。
解体前に不動産会社と税負担を試算し、告知の扱いもあわせて確認しましょう。

隣地所有者や共有者に売る

隣地の所有者や共有者は、物件の事情を知ったうえで検討できる相手です。
事案があっても話が進みやすくなります。

隣地と一体で使えば価値が上がる場合もあります。
間口の狭い土地でも、隣地と合わさって整形地になれば建て替えを選べる状態です。
相手にとって買う理由が立つため、市場価格に近い金額で折り合う例もあります。

弱点は交渉のしにくさです。
今後も近隣関係が続くため、強気の価格提示や短期での決断要求がしづらくなります。
関係を保ちながら進める必要があります。

口頭の合意だけで進めないでください。
売買契約書を作成し、告げた事案の内容も書面に残しましょう。
親しい間柄でも、条件を文書化しておけば後日の行き違いを防げます。

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

事故物件を売却するときの注意点

売り出す前に決めておきたい点は次の3つです。

  • 告げた内容は告知書に書いて控えを残す
  • 特殊清掃とリフォームの範囲を査定前に決める
  • 1社の提示額だけで売却先を決めない

いずれも査定の前に手を打てば、価格と負担を抑えられます。

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

告げた内容は告知書に書いて控えを残す

伝えた内容は告知書(物件状況等報告書)に記載し、買主へ交付した控えを手元に残してください。
国土交通省も、事案の存在を告げる際は書面の交付などによる方法が望ましいとしています。

記載する項目は4つです。

  • 事案の発生時期(特殊清掃が行われた場合は発覚時期)
  • 発生した場所
  • 死因(不明な場合はその旨)
  • 特殊清掃などが行われた事実

亡くなった方の氏名、年齢、家族構成、発見時の詳しい状況までは書きません。
遺族の名誉と生活の平穏に配慮する必要があるためです。

契約を結んだ後、引き渡しまでの間に事案を知った場合も告知義務があるとした裁判例があります。
契約後に親族から事案を聞かされた場面でも、黙って引き渡さず不動産会社へ伝えましょう。
告知書の控えは、争いになったときの証拠になります。

特殊清掃とリフォームの範囲を査定前に決める

消臭や消毒までは売却前に済ませる価値がありますが、内装の全面リフォームは費用を回収できない場合が多くなります。

臭いや汚れが残る住戸は、内見の段階で敬遠されます。
数十万円の特殊清掃で内見時の印象が変わるなら、かける価値のある費用です。
100万円を超える全面リフォームを施しても、心理的瑕疵は消えません。
価格への反映は限定的です。

買取を選ぶなら、清掃前の状態で引き渡せる場合があります。
業者が自社で清掃と改修を行い、費用を買取価格に織り込む仕組みです。
売主が費用を立て替える必要がなくなります。

工事を発注する前に、不動産会社へ相談してください。
査定を受けてから範囲を決めれば、回収できない工事に踏み込まずに済みます。
判断に迷う場合は、訳あり不動産に対応する専門家へ相談しましょう。

1社の提示額だけで売却先を決めない

事故物件は相場が見えにくく、会社ごとの提示額が大きく開きます。
複数社の査定を取り、幅を確かめてから決めましょう。

差が出る理由は3つあります。
再販先を持っているか、清掃と改修を自社で行えるか、心理的瑕疵のある物件の取扱実績があるかです。
3つがそろう会社ほど高い金額を提示できます。

極端に高い提示額には注意してください。
契約後に「調査したら想定より汚損が進んでいた」として減額を求められる例があります。
金額の内訳を書面で示せない会社は候補から外しましょう。

査定根拠を書面で提示し、諸費用の負担者まで明記できる会社を選んでください。
金額だけでなく、引き渡し条件まで比べれば、手取りで有利な相手が見えてきます。

事故物件の売却の悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう

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告知事項がある、特殊清掃が済んでいないなど、ほかの業者では断られやすい物件でも相談できます。
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事故物件に関するよくある質問

【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

Q

事故物件は何年経てば告げなくてよくなる?

A

賃貸借取引なら、事案の発生または発覚からおおむね3年が経過した後は、原則として告げなくてよいとされています。
売買取引には年数の区切りがありません。
売却するなら年数が経っていても告げる前提で準備してください。
報道された事件のように事件性や周知性が特に高い事案は、賃貸でも3年を過ぎて告げる必要があります。

Q

事故物件だと住宅ローンは組めない?

A

事故物件だという理由だけで融資が受けられなくなるわけではありません。
金融機関が見るのは、建物と土地の担保価値です。
心理的瑕疵によって評価額が下がれば、借入可能額も抑えられます。
自己資金を上乗せするか、担保評価に理解のある金融機関へ相談する方法があります。

Q

建物を解体して更地にすれば事故物件ではなくなる?

A

更地にした土地取引の扱いについて、国土交通省のガイドラインは判断を示していません。
告げなくてよいと決まったわけではない点に注意してください。
買主から事案の有無を問われれば答える必要があります。
解体費用と固定資産税の増加も生じるため、手取りを試算してから判断しましょう。

Q

相続放棄すれば事故物件の管理義務もなくなる?

A

相続放棄をしても、相続財産を現に占有していた場合は、次に管理する人へ引き渡すまで保存義務が残ります。
空き家を放置すれば、近隣への損害について責任を問われる可能性もあります。
相続放棄と管理義務は別の話として整理し、引き渡し先が決まるまでの管理方法を確認しておきましょう。

Q

隣の部屋で自殺があった場合も事故物件になる?

A

隣接住戸で起きた事案は、賃貸でも売買でも原則として告げなくてよいとされています。
事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高い事案は例外です。
報道されて周辺住民の多くが知っている場合は、告げる必要があります。
買主から問われた場合も、把握している内容を答えてください。

まとめ|事故物件は死因・経過年数・発生場所の3点で告知の要否が決まる

事故物件を定義した法律の条文はありません。
告げる必要があるかどうかは、死因・経過年数・発生場所の3点で判断します。
自然死と日常生活のなかの不慮の死は原則として告げなくてよく、告げる対象になるのは自殺・他殺・火災による死です。

期間の扱いは取引の種類で分かれます。
おおむね3年で告げなくてよくなるのは賃貸だけで、売買には年数の区切りがありません。
売却するなら、把握している事案は告知書に記載して控えを残しましょう。
免責の特約を結んでも、知りながら告げなかった事実については責任を免れられません。

価格は周辺相場より下がりますが、公的な統計はなく、事業者の公表値で1〜3割程度が目安とされます。
複数社の査定を取り、仲介と買取のどちらが自分の事情に合うかを比べて決めてください。

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監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。