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特定空き家とは何か 4つの認定基準と固定資産税が上がる仕組みを解説
相続した実家を空き家のまま放置していて、市町村から通知が届いた方は少なくありません。
特定空き家とは、倒壊のおそれや衛生上の問題があり、周辺の生活環境を損なうと市町村長が認めた空き家を指します。
指定を受けた瞬間に税額が動くわけではなく、負担が変わるのは勧告を受けた段階からです。
本記事で整理するのは、特定空き家と管理不全空家等の違い、認定に使われる4つの基準、指定後に進む助言・指導から代執行までの流れです。
あわせて固定資産税が最大6倍になる条件と、指定を避けるための管理・活用・解体・売却の選び分けを法令の定めから解説します。
読み終えるころには、自分の空き家が該当するかを判定でき、次に取る手を選べるようになります。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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特定空き家とは周辺の生活環境に悪影響を及ぼすと認められた空き家のこと

空家等対策の推進に関する特別措置法は、使われていない建物を3つの段階に分けています。
単に使われていない状態が「空家等」です。
放置すれば危険になるおそれがあるものが「管理不全空家等」、危険がすでに認められるものが「特定空家等」にあたります。
段階が上がるほど市町村の取れる措置が強くなり、土地の税優遇も外れます。
打つべき手と残された時間を左右するのは、自分の空き家がどの段階にあるかという点です。
まず3つの違いを表で押さえてください。
| 区分 | 状態 | 市町村が取れる措置 | 住宅用地の特例 |
|---|---|---|---|
| 空家等 | 使われていない状態が常態の建物と敷地 | 実態調査・情報提供 | 適用される |
| 管理不全空家等 | 放置すれば特定空家等になるおそれがある | 指導・勧告 | 勧告で外れる |
| 特定空家等 | 倒壊や衛生上の危険が認められる | 助言・指導・勧告・命令・代執行 | 勧告で外れる |
空家等|使われていない状態が常態になっている建物と敷地
空家等とは建物やその附属工作物のうち、居住その他の使用がなされていない状態が常態であるものと、建物の敷地を指します。
国や地方公共団体が所有・管理するものは除かれます。
「常態」の目安として国土交通省が示すのは、おおむね年間を通して使用実績がない状態です。
月に数回、物置として出入りしている建物は空家等に当たりません。
年に一度の帰省でしか使っていない実家は、空家等と判断される可能性が高まります。
空家等に当たるだけであれば、罰則も増税もない状態です。
市町村は所有者を調べ、適切な管理を促す情報提供を行う段階にとどまります。
空家等は次の段階へ進む入口です。
庭木が伸び、郵便物があふれた状態を放置すると、次は管理不全空家等の指導対象です。
年1回でも通気と通水を行い、庭木を刈っておけば段階は上がりません。
管理不全空家等|放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家
管理不全空家等とは管理が行き届かず、放置すれば特定空家等になるおそれがあると市町村長が認めた空き家を指します。
2023年12月13日に施行された改正で新設された区分です。
改正前は危険な状態になるまで市町村が手を出せず、対応が後手に回っていました。
改正の狙いは、予防的に指導できる仕組みを作る点にあります。
市町村長はまず指導を行い、状態が改善されず特定空家等になるおそれが大きいと認めるときに勧告へ進みます。
勧告の内容は、修繕や立木竹の伐採など、特定空家等になることを防ぐための具体的な措置です。
勧告を受けた時点で住宅用地の特例が外れ、翌年度から土地の固定資産税が上がります。
屋根の一部が壊れている、雑草が繁茂しているといった段階でも対象になるため、危険が生じる前に手を打ってください。
特定空家等|倒壊や衛生上の危険がすでに認められる空き家
特定空家等とは放置すれば周辺の生活環境に実害が及ぶ状態にあると市町村長が認めた空家等を指します。
法律が挙げる状態は、倒壊のおそれ・衛生上の有害性・著しい景観の悪化・生活環境の保全上の不適切さの4つです。
いずれか1つに当てはまれば認定されます。
管理不全空家等との差は「おそれ」か「すでに生じているか」にあります。
管理不全空家等は将来危険になる見込みの段階、特定空家等は危険や悪影響がすでに認められる段階です。
措置の強さも変わり、特定空家等では助言・指導から命令、行政代執行まで進みます。
命令に違反すれば過料の対象となり、代執行にかかった費用は所有者へ請求されます。
認定を受けたあとでも、状態を改善して市町村の確認を受ければ指定の取り消しが可能です。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
特定空き家と認定される4つの基準
認定の判断は、建物のある市町村の長が行います。
都道府県や国ではなく、建物が所在する市町村が窓口です。
東京23区では特別区の区長が判断します。
市町村は近隣からの通報や定期的な実態調査で候補を把握し、外観目視調査と立入調査を経て判断する流れです。
判断のものさしは法律が定める4つの状態で、国土交通省のガイドラインが具体的な着眼点を示しています。
1つ該当すれば認定され、4つすべてを満たす必要はありません。
順に確認してください。
保安上著しく危険となるおそれがある状態
保安上著しく危険となるおそれがある状態とは、建物が倒壊したり部材が落下したりして、人に危害が及ぶ可能性がある状態を指します。
国土交通省のガイドラインが挙げる着眼点は次のとおりです。
- 基礎や柱の腐朽・破損
- 建物の傾斜
- 屋根や外壁の脱落
- 擁壁のひび割れ
判断の場面で重く見られるのは、危険が敷地の外へ及ぶかどうかという点です。
倒れかけたブロック塀が道路側へ傾いている、瓦が歩道へ落ちているといった状態は、通行人への危害が現実的なため認定されやすくなります。
木造家屋は20年を超えて手を入れないと、雨漏りから土台の腐朽が進みます。
年に一度でも屋根と外壁を点検し、傾きや割れを早めに直しておけば認定の対象外です。
著しく衛生上有害となるおそれがある状態
著しく衛生上有害となるおそれがある状態とは、健康被害を生む要因が敷地内にたまっている状態を指します。
着眼点は次の4つです。
- アスベストの飛散
- 浄化槽の破損による汚物の流出
- ごみの放置による悪臭
- ねずみや害虫の発生
近隣からの通報で目立つのは、ごみの不法投棄と害虫の発生です。
空き家の敷地は監視の目がないため、第三者がごみを捨てる場になりやすい傾向があります。
捨てられたごみが腐敗して悪臭が出れば、通報を受けた市町村が調査に入る流れです。
解体や改修の工事に着手する前は、建築時期を問わずアスベストの有無を調べる事前調査が義務づけられています。
2006年9月より前に建てられた建物では、屋根材や外壁材にアスベストを含む可能性が高い点に注意してください。
定期的にごみを片づけ、浄化槽を止めておけば衛生面の指摘は避けられます。
適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態
適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態とは、周囲の景観と調和しない外観になっている状態を指します。
着眼点は、屋根や外壁の汚損・落書き、窓ガラスの破損、立木の繁茂による建物の覆い隠しなどです。
景観計画や地区計画のルールを定めている地域では、ルールとの不適合も判断材料になります。
景観の悪化だけで認定に至るケースは多くないのが実情です。
割れた窓ガラスは、不法侵入や放火の入口になるため、保安上の危険と重ねて評価されます。
割れた窓を板でふさぎ、伸びた庭木を刈るだけでも指摘を受ける要因を減らせます。
管理を業者へ委託する場合の費用は月5,000円から1万円程度が目安です。
巡回頻度と作業範囲によって金額に差が出ます。
周辺の生活環境の保全を図るため放置が不適切な状態
周辺の生活環境の保全を図るため放置が不適切な状態とは、前の3つに当てはまらないものの、近隣の暮らしに実害が出ている状態を指します。
着眼点は、立木の枝が道路や隣地へはみ出している、動物のふん尿や鳴き声が発生している、不法侵入者が住み着いているといった場面です。
判断を分けるのは実害の有無です。
枝が敷地内に収まっていれば問題になりません。
道路へ張り出して通行の妨げになれば認定の材料になります。
野良猫が住み着いて周辺にふん尿被害が出ている、不審者の出入りで近隣が不安を訴えているといった状況も同様です。
近隣から苦情が届いた段階で現地を確認し、原因を取り除いておけば市町村の調査には至りません。
空き家が共有名義で単独では動けない場合は、不動産問題に注力する弁護士へ相談すると、持分の整理と管理責任の分担を同時に進められます。
特定空き家に指定されると起きること

指定を受けた瞬間に罰金が科されるわけではありません。
市町村は助言・指導から勧告、命令、行政代執行へと段階を踏みます。
各段階で所有者に改善の機会が与えられる仕組みです。
負担が重くなる分かれ目は勧告で、勧告を受けると土地の税優遇が外れます。
命令に違反した場合は過料の対象となり、最終的には市町村が代わりに工事を行って費用を請求します。
段階ごとに何が起きるかを順に確認してください。
助言・指導から代執行まで4段階で進む
市町村長はまず助言または指導を行います。
内容は、除却・修繕・立木竹の伐採など周辺の生活環境の保全に必要な措置です。
助言・指導で状態が改善されないと認めるときは、相当の猶予期限を付けて同じ措置を勧告します。
勧告された措置を正当な理由なく取らなかった場合、特に必要があると認めるときの段階が命令です。
命令の前には、命じようとする措置と理由を記した通知書が交付され、所有者は意見書を提出できます。
通知書を受け取った日から5日以内に請求すれば、公開による意見の聴取も可能です。
命令された措置を実行しないとき、実行しても十分でないときは、市町村が行政代執行へ進みます。
段階ごとに猶予期限が設けられるため、助言・指導の時点で動けば、代執行へ進む前に対応を終えられます。
勧告を受けると土地の固定資産税が最大6倍になる
住宅が建っている土地には、住宅用地の特例が適用されます。
200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に、超える部分は3分の1に下がる仕組みです。
地方税法は住宅用地の定義から、勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地を除外しています。
勧告を受けると特例が外れ、翌年度から課税標準が本来の評価額に戻ります。
200平方メートル以下の小規模住宅用地であれば、土地の課税標準は6倍です。
土地には負担調整措置があり、実際の税額の伸びは3倍から4倍程度に収まるケースが一般的です。
建物分の税額は変わらないため、土地と建物を合わせた納税額で見ると2倍前後にとどまります。
「6倍」は課税標準の話であり、納税通知書の合計額が6倍になるわけではありません。
【参考】地方税法|e-Gov法令検索
命令に違反すると50万円以下の過料が科される
命令に違反した場合、50万円以下の過料が科されます。
過料は前科の付く刑事罰ではなく、行政上の義務違反に対する金銭的な制裁です。
市町村が裁判所へ通知し、裁判所が金額を決めて所有者へ通知します。
過料の対象はもう1つあります。
市町村の職員による立入調査を拒んだり妨げたりした場合、20万円以下の過料の対象です。
報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合も同じ扱いです。
調査の連絡が来た時点で応じ、現地確認に協力してください。
命令を受けても資金がなく工事に着手できない場合は、解体費用の補助制度や、解体を条件としない買取という選択肢があります。
連絡を無視し続けると、代執行の工事費まで負担することになります。
行政代執行の費用は所有者へ請求される
行政代執行とは、命令された措置を所有者が行わないとき、市町村が代わりに工事を行う手続きです。
実務で多いのは老朽家屋の解体で、市町村が業者へ発注し、更地にしたうえで費用を所有者へ請求します。
請求される金額は工事費の実費で、木造家屋の解体では100万円から300万円程度が目安になります。
アスベストの除去が必要な場合や、重機の入らない狭い立地では金額がさらに高額です。
費用を払わない場合は、国税の滞納処分と同じ手続きで財産が差し押さえられます。
所有者が不明な場合や相続人がいない場合には、市町村の判断で略式代執行が行われ、後に判明した相続人へ費用が請求されます。
改善すれば指定は解除される
特定空家等の指定は、状態が改善されれば解除されます。
認定の理由になっていた危険や悪影響を取り除き、市町村へ報告して現地確認を受ける流れです。
屋根や外壁を修繕する、ごみを撤去する、庭木を伐採するといった措置で認定の要件を満たさなくなれば、市町村は指定を取り消します。
税の扱いも戻ります。
勧告が撤回されれば翌年度から住宅用地の特例が再び適用され、土地の課税標準は6分の1または3分の1です。
建物を解体して更地にした場合は、住宅がなくなるため特例が外れたままです。
解体を選ぶときは、更地になったあとの税額と維持コストを比べてから判断してください。
特定空き家への指定を避ける4つの選択肢

取れる手は、管理する・活用する・解体する・売却するの4つです。
空き家を使う予定があるかどうか、初期費用を出せるかどうかで選ぶ道が変わります。
維持費だけを抑えたいなら管理、収益を得たいなら活用を選びます。
危険を今すぐ取り除きたいなら解体、負担を終わらせたいなら売却です。
4つを費用と手間で比べてから決めてください。
| 選択肢 | 初期費用の目安 | 手間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 管理する | 月5,000〜1万円 | 小 | 数年内に使う予定がある |
| 活用する | 数十万〜数百万円 | 大 | 立地がよく賃貸需要がある |
| 解体する | 100万〜300万円 | 中 | 建物の倒壊リスクが高い |
| 売却する | 0円 | 小 | 使う予定がない |
定期的に管理して認定の要件を満たさない状態を保つ
管理とは、通気・通水・清掃・庭木の手入れを定期的に行い、建物の劣化を止める方法です。
認定は建物の状態で判断されるため、状態を保てば認定の要件に当たりません。
頻度の目安は月1回で、遠方に住んでいる場合は空き家管理サービスへ委託できます。
費用は月5,000円から1万円程度が相場で、巡回頻度と作業範囲によって金額に差が出る形です。
管理で止められるのは劣化の進行であり、建物の価値は毎年下がり続けます。
木造家屋の耐用年数を過ぎた建物は、管理を続けても買い手が付きにくくなります。
管理は使う予定が決まっている数年間のつなぎとして選ぶ手です。
出口のないまま続けると費用だけが積み上がります。
使う予定がないなら、早い段階で活用か処分へ切り替えてください。
賃貸や活用で人が使っている状態にする
活用とは、人が使う状態に戻す手です。
賃貸に出す、店舗や事務所へ用途を変える、空き家バンクへ登録するといった方法があります。
使われている建物は空家等に当たらないため、認定の対象から外れます。
家賃収入で固定資産税を賄えれば、保有コストの問題も同時に解消できる形です。
問題になるのは初期費用です。
長く空いていた建物は水回りと内装の傷みが激しく、貸せる状態にするまでに数十万円から数百万円かかります。
自治体によっては改修費の補助制度があり、上限50万円から100万円程度の助成を受けられる地域もあります。
立地に賃貸需要がなければ改修費を回収できないため、着手の前に周辺の家賃相場と空室率を確認してください。
解体して更地にする
解体とは、建物を取り壊して更地に戻す方法です。
建物がなくなれば倒壊や衛生上の危険も消えるため、認定の根拠そのものがなくなります。
近隣への迷惑を今すぐ止めたい場面で有効な手です。
注意すべきは税金です。
建物を解体すると住宅用地の特例が外れ、翌年度から土地の固定資産税が上がります。
勧告を受けて特例が外れる場合と、税負担は変わりません。
解体費用は木造家屋で100万円から300万円程度が目安です。
アスベストの除去が必要なら追加費用がかかります。
多くの自治体に老朽危険家屋の解体補助金があり、上限30万円から100万円程度の助成を受けられる場合があります。
解体後に土地を売る予定がないなら、更地の税負担が続く点を織り込んでください。
売却・買取で手放して負担そのものを終わらせる
売却とは、所有権を第三者へ移し、税負担と管理責任をまとめて終わらせる方法です。
使う予定のない空き家では、費用をかけずに負担を終わらせられる手です。
仲介で買主を探す方法と、買取業者へ直接売る方法の2つがあります。
仲介は市場価格に近い金額を狙える一方、買主が見つかるまで数ヵ月から1年が必要です。
老朽化した建物や再建築不可の土地では、買主が現れないケースも珍しくありません。
買取の価格は、買取業者の公表値では市場価格の6割から8割程度が目安です。
価格が下がる代わりに、現況のまま引き渡せます。
現金化までにかかる期間は数日から数週間です。
解体やごみの撤去を求められないケースも多くあります。
勧告が迫っている場面や、遠方で管理できない場面では、買取のほうが総支出を抑えられます。
相続登記が終わっていない、共有者と話がまとまらないといった事情を抱えるケースも多いです。
弁護士・司法書士と連携した窓口へ相談すれば、権利の整理と売却を同時に進められます。
特定空き家を手放すときの注意点
売却を決めても、権利や税の条件を確認しないまま進めると手続きが止まります。
名義が親のままなら登記を先に済ませる必要があり、共有名義なら他の共有者との調整が要ります。
税の特例には期限と要件があり、順番を誤ると適用外です。
契約の前に押さえる4点を確認してください。
相続登記が済んでいないと売却できない
不動産を売るには、売主が登記上の所有者である必要があります。
名義が亡くなった親のままだと売買契約を結べないため、相続登記を先に済ませてください。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められます。
正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。
登記に要る書類は次のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本と住民票
- 遺産分割協議書
- 固定資産評価証明書
登録免許税は固定資産税の評価額に0.4%を掛けた金額で、評価額500万円の不動産なら2万円になります。
司法書士へ依頼した場合の報酬は5万円から10万円程度が目安です。
相続人の数が多く戸籍の収集に時間がかかる場合は、査定と並行して着手してください。
共有名義でも持分だけなら単独で売却できる
相続した空き家が兄弟の共有名義になっている場合、建物と土地の全体を売るには共有者全員の同意が要ります。
1人でも反対すれば売却は進みません。
自分の持分だけなら話は別です。
他の共有者の同意なく単独で売れます。
持分は各共有者が自由に処分できる財産として扱われるためです。
持分だけの売却では買い手が限られるため、価格は下がります。
共有持分の買取を扱う業者へ売る形が現実的で、金額は全体を売った場合の持分相当額を下回ります。
共有者と話し合いがつかない場合の道は、裁判所への共有物分割請求です。
交渉や訴訟の代理は弁護士の業務にあたり、話がこじれた段階で相談すると選択肢を残せます。
解体すると翌年度から土地の固定資産税が上がる
建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れます。
翌年度から土地の課税標準が本来の評価額に戻り、税額は上がります。
売却が決まる前に解体を先行させると、売れるまでの間ずっと高い税額を払い続ける形です。
判定の基準日は毎年1月1日です。
1月1日時点で建物が建っていれば、当年度は特例が適用されます。
年明けすぐに解体すると、上がった税額を負担する期間がほぼ1年に伸びます。
解体を選ぶなら、買主が決まってから着手するか、更地渡しを求められた場合に限って動くほうが安全です。
建物を残したまま買い取る業者もあるため、査定を取ってから解体の要否を判断してください。
相続空き家の3,000万円特別控除は要件と期限を満たす場合だけ使える
相続した空き家を売って利益が出た場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
控除を使えば、譲渡所得税が0円になるケースも多くあります。
ただし要件は細かく定められており、1つでも欠ければ適用外です。
主な要件は次の3点です。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 区分所有建物でないこと
- 相続開始の直前に被相続人が1人で住んでいたこと
加えて、売却代金が1億円以下であることと、耐震基準を満たすよう改修するか建物を取り壊して売ることが求められます。
期限は相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、特例そのものの適用期限は令和9年12月31日です。
相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円に下がります。
要件の判定は税理士へ確認してください。
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特定空き家に関するよくある質問
特定空家と判断される基準は?
基準は4つあります。
保安上著しく危険となるおそれ、著しく衛生上有害となるおそれ、著しい景観の悪化、周辺の生活環境の保全のため放置が不適切な状態です。
1つでも当てはまれば認定されます。
判断は建物のある市町村の長が、外観目視調査と立入調査を経て行います。
空き家と特定空き家の違いは何ですか?
使われていない状態が常態である建物と敷地はすべて空家等に当たり、罰則も増税もありません。
特定空家等は、空家等のうち倒壊や衛生上の危険、景観の悪化といった実害が認められたものを指します。
特定空家等になると助言・指導から代執行まで市町村の措置が進み、勧告を受けた時点で土地の税優遇が外れる扱いです。
特定空き家になるとどうなるの?
市町村から助言・指導、勧告、命令、行政代執行の順に措置が進みます。
勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、翌年度から土地の固定資産税が上がります。
命令に違反すると50万円以下の過料の対象です。
代執行で解体された場合は工事費の実費が請求され、払わなければ財産が差し押さえられます。
誰も住んでいない空き家でも固定資産税はかかりますか?
空き家でも固定資産税はかかります。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者へ課される税金で、住んでいるかどうかは関係ありません。
電気や水道を止めていても納税義務は残ったままです。
建物が建っている間は住宅用地の特例が適用され、200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に下がります。
特定空き家の指定は解除できますか?
指定の解除はできます。
認定の理由になった危険や悪影響を取り除き、市町村へ報告して現地確認を受ければ指定は取り消されます。
該当する措置は、屋根や外壁の修繕、ごみの撤去、庭木の伐採です。
勧告が撤回されれば翌年度から住宅用地の特例も戻り、土地の課税標準は6分の1または3分の1に下がります。
特定空き家は誰が決めますか?
建物のある市町村の長が決めます。
都道府県や国は判断に関与しません。
市町村は近隣からの通報や実態調査で候補を把握し、外観目視調査のうえ必要に応じて立入調査を実施する流れです。
判断の際は国土交通省が示すガイドラインの着眼点が用いられ、市町村が置く協議会の意見を聞く場合もあります。
まとめ|特定空き家は4基準で認定され勧告で住宅用地特例が外れる
特定空き家とは、倒壊や衛生上の危険、景観の悪化といった実害が認められ、市町村長が指定した空き家を指します。
認定の基準は4つあり、1つでも当てはまれば対象です。
2023年12月の法改正で管理不全空家等の区分が新設され、危険が生じる前の段階でも指導と勧告を受けるようになりました。
税負担が変わる分かれ目は勧告です。
勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、翌年度から土地の課税標準が最大6倍に上がります。
命令に違反すれば50万円以下の過料が科され、代執行になれば解体費用の実費を請求されます。
取れる手は管理・活用・解体・売却の4つです。
使う予定がない空き家では、売却が費用をかけずに負担を終わらせる方法になります。
まず自分の空き家が4基準のどれに近いかを確認し、査定額と維持費を並べて比べてください。
相続登記が未了だったり共有者と話がまとまらなかったりする場合もあります。
弁護士・司法書士と連携した窓口へ相談すれば、権利の整理と売却を同時に進められます。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
【参考】地方税法|e-Gov法令検索
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