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空き家を相続したらどうする?やるべき手続きと放置リスク・使える特例を解説
親が亡くなって実家が空き家になり、何から手をつければよいのか分からないまま数ヵ月が過ぎてしまう方は少なくありません。
誰も住む予定がない、兄弟と誰の名義にするかの話がまとまらない、そもそも自分が相続人なのかも判然としない、という状態で検索にたどり着く方も多いはずです。
空き家の相続では、4つの締切が同時に走っています。
相続放棄の3ヵ月、相続税申告の10ヵ月、相続登記の3年、そして売却時の特例の期限です。
本記事では、空き家を相続したときにやるべき手続きと期限を整理します。
そのうえで、放置した場合に生じるリスクと、売却や解体といった出口の選び方を扱います。

ご依頼者さまが一人ひとり、ご納得をいただけるようなかたちでの解決を目指しており、円滑なコミュニケーションで連携し、ご対応させていただきます。
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空き家を相続したらまず何をする?やるべき手続きと期限の全体像

空き家を相続したときに最初に着手すべき手続きは、相続登記です。
相続放棄を選ぶ可能性が残っているなら、3ヵ月の熟慮期間が先に切れます。
そのため、放棄するかどうかの判断だけは登記より前に済ませてください。
確認する内容は次の3点です。
- 相続登記を最優先にする理由
- 同時に走る4つの期限と起算点
- 手続きを進める5つのステップ
空き家の相続では相続登記を最優先で進める
空き家を相続したら、まず相続登記から着手してください。
相続登記とは亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産の名義を、相続人へ変更する手続きです。
最優先にする理由は、登記が済んでいない空き家は売却も解体も賃貸も難しくなるという点です。
売買では買主へ所有権を移す登記が必要になるため、名義が被相続人のままでは決済まで進みません。
解体も所有者の意思決定が前提になるため、名義が確定していないと発注者が不明のままです。
2024年4月1日からは、相続で不動産を取得した相続人に対し、所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務づけられています。
つまり、出口をどれに決める場合でも登記が共通の前提条件になります。
空き家の相続では4つの期限が同時に走る
空き家の相続では、締切の異なる4つの手続きが並行して進みます。
先に来るのが相続放棄と限定承認です。
期限は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月です。
次に相続税の申告と納付で、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ提出します。
そして相続登記は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請する流れです。
売却して空き家の3,000万円特別控除を使う場合は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を終える必要があります。
起算点はそれぞれ異なるため、死亡日から一律に数えると期限を読み違えます。
2024年4月1日より前に開始した相続も登記の義務化の対象で、令和9年3月31日が期限です。
空き家相続の手続きは5ステップで進める
空き家の相続は、次の5つの順序で進めると手戻りが起きにくくなります。
- 遺言書の有無を確認し、戸籍をたどって相続人を確定する
- 空き家の評価額と預貯金、そして負債を調査する(不動産会社の査定と金融機関への照会)
- 相続するか、限定承認か、相続放棄かを決める(3ヵ月以内・家庭裁判所へ申述)
- 遺産分割協議で空き家の取得者を決め、相続登記を申請する(司法書士へ依頼可)
- 空き家の管理方法と出口(売却・活用・解体)を決める(税理士・弁護士へ相談)
3の判断を先送りすると、何も手続きをしないまま3ヵ月が過ぎ、負債も含めてすべてを承継したものとして扱われます。
遺品の整理や預金の解約を進めてしまった場合も同じ扱いになる可能性があるため、負債の有無が不明な段階では財産に手をつけないのが安全です。
空き家を相続するかどうかは単純承認・限定承認・相続放棄から選ぶ

空き家を相続するかどうかは、単純承認・限定承認・相続放棄の3つから選びます。
空き家だけを切り離して手放すことはできないため、どれを選んでも遺産全体に対する意思表示です。
つまり、預貯金やほかの不動産の扱いまで含めて決める必要があります。
- 単純承認の効果と法定単純承認
- 限定承認が向くケース
- 相続放棄の効果と申述の方法
単純承認は空き家も負債もすべて引き継ぐ
単純承認とは被相続人の権利と義務をすべて承継する選択です。
手続きは不要で、相続の開始を知った時から3ヵ月が過ぎると、単純承認をしたものとして扱われます。
期間内であっても、相続財産を処分したり隠したり自分のために使ったりすると、相続人は単純承認をしたものとみなされます。
たとえば、被相続人の預金口座から現金を引き出して生活費に充てた場合や、遺品を売却した場合が典型です。
一方で、財産の現状を保つための行為(保存行為)は単純承認には当たりません。
空き家の草刈りや通水、屋根が飛ばないようにする応急の修繕は保存行為に含まれるため、放棄を検討している間でも実施できます。
なお、葬儀費用や入院費の清算を相続財産から支払うような場合には、単純承認とは扱われないこともあります。
弁護士等の専門家に具体的な状況を伝えて確認するようにしましょう。
限定承認はプラスの財産の範囲内で負債を弁済する
限定承認とは承継した財産の限度で被相続人の債務を弁済することを条件に、相続を承認する方法です。
承継した財産を超える負債は負いません。
負債の総額が分からないケースでの選択肢です。
たとえば、空き家に一定の価値がありそうだが借入の全体像がつかめない、というケースが典型です。
ただし、相続人が複数いる場合は全員が共同で申述しなければならず、1人でも反対すると使えません。
申述の期限も相続放棄と同じ3ヵ月です。
手続きは財産目録の作成、官報での公告、財産の換価と続きます。
不動産は時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が課される場合があります。
手間と費用がかかるため、実務では利用件数が少ない選択肢です。
【参考】相続の限定承認の申述|裁判所
相続放棄では空き家だけを放棄することはできない
相続放棄とは相続の効果を全面的に拒否する意思表示です。
放棄をすると、はじめから相続人でなかったものとして扱われるため、預貯金などプラスの財産も一切承継できません。
「空き家だけ手放して預金は受け取りたい」という選択は制度上できません。
申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
提出書類は相続放棄申述書、被相続人の住民票の除票、申述人の戸籍謄本などです。
費用は収入印紙800円と連絡用の郵便切手で、続柄によって必要な戸籍が増えます。同順位の相続人全員が放棄をすると次順位の相続人へ相続権が移るため、被相続人の親や兄弟姉妹が新たに相続人になります。
事前に伝えていないと親族間の摩擦につながるため、放棄する前に連絡しておくのが無難です。
3ヵ月では判断できない場合は、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。
空き家を相続放棄すべきかどうかの判断基準
空き家を相続放棄すべきかどうかは、金額で判定します。
空き家の想定売却額とそのほかのプラスの財産を足した金額から、負債と解体費用、当面の維持費を引きます。
差し引いた金額がマイナスなら放棄を検討し、プラスであれば相続してから売却するほうが有利です。
想定売却額は不動産会社の査定、負債は信用情報機関への開示請求や郵便物の確認で洗い出します。
解体費用と当面の維持費も見積もりに入れてください。
維持費の中身は固定資産税と都市計画税、火災保険料、草刈りや通水にかかる費用です。
判断に迷う段階では、3ヵ月の期限までに弁護士へ相談してください。
負債の有無が不明なとき、相続人が多数いるとき、建物の価値がゼロに近いときが典型です。
放棄の可否は期限を過ぎると選べなくなるため、調査と判断を並行して進めます。
相続放棄を検討すべきケース
相続放棄が有利になるのは、承継する負担がプラスの財産を上回るケースです。
具体的には次の4つです。
- 被相続人に多額の借入や滞納税があり、空き家を売っても返済しきれない
- 建物が著しく損壊していて、解体費用が土地の価値を上回る
- 再建築不可の土地や接道がない土地で、売却先が見込めない
- 遠方にあって管理も売却も現実的に進められない
疎遠だった親族の空き家について、自治体やほかの相続人から突然「相続人だ」と通知を受けた場合も、放棄の検討対象になります。
通知を受けた場合は、まず戸籍で自分が法定相続人に当たるかを確認し、次に財産と負債を調査するのが順序です。
自分が放棄すると次順位の相続人へ問題が移るだけになることがあるため、親族全体で方針をそろえておいてください。
空き家でも相続したほうがよいケース
放棄を選ばないほうが手元に残るのは、財産の側が大きいケースです。
具体的には次の4つです。
- 土地に市場価値があり、建物を解体しても売却益が見込める
- 預貯金や有価証券などプラスの財産が残っている
- 相続してから3年以内に売却すれば、空き家の3,000万円特別控除で譲渡所得税を抑えられる
- 賃貸需要のある立地で、家賃収入が維持費を上回る
相続放棄は、家庭裁判所が申述を受理した後は撤回できません。
放棄してから土地の価値が判明しても、財産を取り戻せません。
放棄を決める前に不動産会社の査定を取り、土地と建物それぞれの価値を確認しておくと安全です。
査定は無料で受けられる会社が多く、3ヵ月の期間内でも間に合います。
複数社に依頼すれば価格の幅が見えるため、判断の精度が上がります。
空き家の相続登記(名義変更)の進め方
相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局へ申請し、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。
登記が終わらないと売却も解体も進まないため、義務だからではなく実務上の必要から着手します。
確認する内容は次の5点です。
- 2024年4月からの申請義務と期限
- 期限に間に合わないときの相続人申告登記
- 分割方法によって変わる必要書類
- 登録免許税の計算方法
- 登記しないまま放置した場合の実害
2024年4月から相続登記の申請が義務化された
相続登記は2024年4月1日から申請が義務になりました。
基本の義務は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請です。
遺産分割が成立した場合は、成立した日から3年以内に、分割内容にもとづく登記を申請します。
正当な理由がないまま申請を怠った場合の過料は、10万円以下です。
法務省は正当な理由の例を5つ挙げています。
- 相続人が極めて多数で、戸籍等の収集に時間を要する場合
- 遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合
- 申請義務者に重病その他これに準ずる事情がある場合
- 配偶者からの暴力を受けて、避難を継続している場合
- 申請義務者が経済的に困窮している場合
施行日前に開始した相続も対象で、期限は令和9年3月31日です。
つまり、10年以上前に亡くなった親の名義のままになっている実家も、放置できません。
すぐに動けないときは相続人申告登記で義務を果たせる
相続人申告登記とは、自分が相続人であることを法務局に簡易に申し出る手続きです。
相続人申告登記を申し出れば、3年以内の基本的な義務を果たしたものとして扱われます。
使いどころは、相続人が多数で戸籍の収集に時間がかかっている場合や、遺産分割の話し合いが長引いている場合です。
申出人以外の相続人の関与は不要で、単独で申し出られます。
あくまで暫定的な措置であって所有権の移転登記ではないため、相続人申告登記だけで空き家を売却することはできません。
遺産分割が成立した後は、成立日から3年以内に改めて所有権移転の登記を申請する必要があり、追加的な義務にはこの制度を使えません。
なお、相続人申告登記には登録免許税が課されない点も利点です。
申出は相続人の住所と氏名を報告する内容にとどまるため、遺産分割の結論を待たずに提出できます。
期限が迫っているのに戸籍がそろわない場合の受け皿として使います。
【参考】相続人申告登記について|法務省
相続登記の必要書類は分割方法によって変わる
相続登記の必要書類は、誰がどの根拠で取得するかによって変わります。
共通で必要になるのは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の現在の戸籍です。
| 書類 | 取得先 | 手数料の目安 | 必要になるケース |
|---|---|---|---|
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 本籍地の市区町村 | 1通450円〜750円 | 遺産分割協議で決めたとき 遺言書があるときは、原則、被相続人の死亡のある戸籍のみ |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(ふひょう) | 最後の住所地の市区町村 | 1通300円前後 | すべて |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各人の本籍地の市区町村 | 1通450円 | 遺産分割協議で決めたとき 遺言書があるときは、原則、取得者の戸籍のみ |
| 不動産を取得する相続人の住民票 | 住所地の市区町村 | 1通300円前後 | すべて |
| 固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村 | 1通400円前後 | すべて |
| 遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書 | 相続人が作成・市区町村 | 印鑑証明1通300円前後 | 遺産分割協議で決めたとき |
| 遺言書と検認済証明書 | 保管者・家庭裁判所 | 検認申立て800円 | 自筆証書遺言があるとき |
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた遺言又は公正証書遺言なら、家庭裁判所の検認は必要ありません。
単独で相続する場合や、法定相続分どおりに取得する場合は、遺産分割協議書と印鑑証明書は不要です。
被相続人が転籍を繰り返していると、複数の市区町村へ請求する必要があり、収集に1ヵ月以上かかることもあります。
戸籍は本籍地の市区町村へ郵送で請求でき、定額小為替と返信用封筒を同封します。
遠方の役所でも窓口へ出向く手間は不要です。
相続人が多い場合は、誰が誰の分を集めるかを先に決めておくと重複請求を避けられます。
法定相続情報一覧図の写しを法務局で交付してもらえば、戸籍の束を何度も出し直す手間を省けます。
登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で計算する
相続による所有権移転登記の登録免許税は、不動産の価額に1000分の4を掛けた額です。
不動産の価額には、市区町村が固定資産課税台帳に登録した価格(固定資産税評価額)を用います。
たとえば、土地の評価額が600万円、建物の評価額が200万円の空き家であれば、合計800万円に0.4%を掛けた3万2,000円が登録免許税です。
土地と建物の両方に課されるため、合算して計算します。
納付方法は、書面申請なら収入印紙の貼付、オンライン申請なら電子納付です。
司法書士へ依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬を支払います。
また、戸籍や住民票の取得実費も加算されるため、総額で見積もっておきます。
相続登記をしないと売却も解体も進められない
相続登記を先延ばしにすると、空き家を動かせなくなります。
売却では買主へ所有権を移す登記が必要になるため、名義が被相続人のままでは決済ができません。
さらに深刻なのが、登記をしないまま相続人の1人が亡くなった場合に起きる数次相続です。
たとえば、当初は子3人で共有していた実家が、そのうち2人が亡くなって配偶者と子に権利が移ると、権利者が8人に増えることもあります。
権利者が増えるほど全員の同意を取るのが難しくなり、売却も解体も事実上できなくなります。
解体の発注者も所有者であるため、共有者全員の同意がそろわないと着手できません。
さらに、名義が被相続人のままでは自治体の解体補助金も申請できないことがあります。
このように、登記の遅れは選択肢そのものを減らします。
空き家を誰が相続するかで揉めたときの進め方
空き家は共有名義を避け、単独名義にするのが原則です。
共有にすると売却も解体もできない状態を生むため、対立が固定化する前に弁護士へ相談してください。
確認する内容は次の4点です。
- 共有名義にしたときの弊害
- 単独名義にするための3つの分け方
- 遺産分割調停の申立て
- 相続人が所在不明のときの対応
空き家を共有名義にすると売却も解体もできなくなる
遺産分割が終わるまで、空き家は相続人全員の共有になります。
共有の割合は法定相続分に従い、子2人だけが相続人であれば各2分の1です。
問題になるのは、共有物の扱いに必要な同意の範囲です。
建物の売却や取壊しは共有物の処分や変更に当たるため、共有者全員の同意が必要になります。
一方で、原則、賃貸などの管理行為は持分の過半数で決められます。
1人でも売却に反対すれば、空き家は動かせないまま維持費だけが発生し続ける状態です。
固定資産税も共有者全員の連帯納付義務になるため、実際には1人が立て替えてほかの共有者から回収できない事態が起こります。
さらに共有者が亡くなると持分が次世代へ細分化し、連絡先の分からない共有者が生まれます。
遺産分割協議では現物分割・代償分割・換価分割から選ぶ
空き家を単独名義にしつつ公平さを保つには、3つの分け方から選びます。
| 分け方 | 内容 | 空き家に向くケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 財産ごとに取得者を決める | 空き家以外に預貯金があり、金額のバランスが取れる | 不動産の評価額で不公平が生じやすい |
| 代償分割 | 空き家を取得した人がほかの相続人へ金銭を支払う | 取得者に支払い能力があり、空き家を残したい | 代償金の原資と評価額の合意が必要 |
| 換価分割 | 空き家を売却して代金を分ける | 誰も住む予定がなく、現金化したい | 売却まで時間がかかり、譲渡所得税を検討する |
誰も住まない空き家で選ばれやすいのは、換価分割か代償分割です。
換価分割なら売却代金という明確な数字で分けられるため、評価額の争いが起きにくくなります。
一方の代償分割は空き家を残せますが、代償金の原資を用意できるかが前提です。
現物分割は、空き家以外に預貯金があって金額のバランスが取れるときに選びます。
遺産分割協議書には、対象の不動産を登記事項証明書のとおりに特定した記載が必要です。
土地は所在と地番、建物は所在と家屋番号を書き写し、住所表記で済ませないでください。
相続人全員の署名と実印の押印、そして印鑑証明書がそろわないと、法務局で受理されません。
協議がまとまらないときは遺産分割調停を申し立てる
話し合いで結論が出ないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
申立先は、相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所です。
必要書類は次の6点です。
- 遺産分割調停の申立書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の戸籍及び住民票(又は戸籍附票)
- 遺産目録
- 不動産登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
費用は被相続人1人につき収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手で、相続人の人数によって切手の額が変わります。
調停では調停委員が双方の主張を聞き取り、合意を目指します。
合意に至らないと審判へ移行し、分割方法を決めるのは裁判官です。
審判では空き家の競売による換価が命じられる場合があり、任意売却より価格が下がりやすくなります。
そのため、協議や調停の段階で解決したほうが手取りは大きくなります。
【参考】遺産分割調停|裁判所
相続人が所在不明のときは不在者財産管理人を選任する
相続人の1人と連絡が取れない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。
不在者とは、従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない人を指します。
戸籍の附票(ふひょう)で住所を追っても所在が判明しないときに使う手続きです。
選任された管理人は、家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加します。
申立てで必要になるのは、管理人の報酬などに充てる予納金で、金額を定めるのは家庭裁判所です。
相続人が誰もいない場合や全員が相続放棄をした場合は、不在者財産管理人ではなく相続財産清算人の選任という別の手続きになります。
どちらの手続きも書類が多く、家庭裁判所とのやり取りが続くため、弁護士へ依頼するケースが多くなります。
【参考】不在者財産管理人選任|裁判所
相続した空き家を放置する5つのリスク

相続した空き家を放置すると、5つの負担が順に現実化します。
行政の措置も段階的に重くなるため、放置期間が長いほど選べる手は減ります。
確認する内容は次の5点です。
- 資産価値の下落
- 固定資産税と維持管理費の負担
- 管理不全空家への勧告
- 特定空家の指定と行政代執行
- 近隣への賠償責任
建物の劣化が進んで資産価値が下がる
人が住まなくなった家は、築年数の経過とは別の要因で劣化が進みます。
換気が止まることで湿気がこもり、カビの発生と木材の腐食が進みます。
水を流さないと配管が固着し、封水切れによる臭気の発生も起こりがちです。
屋根や雨どいの点検が止まると、雨漏りが天井や壁の内部まで広がります。
劣化が進むと修繕費が積み上がり、買主の評価はリフォームまたは解体を前提とした物件です。
その結果、同じ土地でも売却価格が下がります。
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸で、2018年と比べて51万3千戸増えました。
売り手が増えている市場では、状態のよい物件から先に買主が付きます。
つまり、放置している間に競合する物件が増え、売れる順番が後ろへ回ります。
【参考】令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果|総務省統計局
固定資産税・都市計画税と維持管理費を負担し続ける
空き家を相続すると、住んでいなくても税金と維持費の負担が続きます。
固定資産税は標準税率が1.4%、都市計画税は市街化区域内の土地と家屋に対する制限税率が0.3%です。
どちらも毎年1月1日時点の所有者に課されるため、空き家のまま年をまたぐと翌年も納付書が届きます。
固定資産税と都市計画税に加えて必要になるのは、次のような維持管理費です。
- 草木の伐採や庭木の剪定
- 屋根や外壁の補修
- 通水と換気のための定期的な立ち入り
- 火災保険や施設賠償責任保険の保険料
- 遠方の場合の交通費、または管理代行サービスの利用料
空き家の劣化を防ぐ範囲の管理は、財産の現状を保つための保存行為に当たります。
ただし、被相続人の預貯金を引き出して支払うと処分行為と評価されるおそれがあるため、放棄の検討中は自分の資金で立て替えて領収書を残してください。
管理不全空家に勧告されると固定資産税の軽減が外れる
管理不全空家等とは適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等を指します。
令和5年12月13日に施行された改正法で新設された区分です。
市町村長はまず必要な措置をとるよう指導し、それでも改善されなければ具体的な措置を勧告します。
勧告を受けた敷地は、住宅用地に対する課税標準の特例から外れる扱いです。
特定空家に指定される前の段階で、土地の固定資産税の軽減がなくなります。
改正前は特定空家に指定されるまで税負担が変わらなかったため、2023年の改正は大きな変更です。
指導の対象になるのは、窓ガラスの破損、外壁の一部がはがれ落ちる状態、雑草や立木が伸び放題になった状態です。
早い段階で草刈りや修繕に対応すれば、勧告まで進まずに済みます。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法第13条|e-Gov 法令検索
特定空家に指定されると命令や行政代執行の対象になる
特定空家等に該当すると認められると、行政の措置は助言・指導から勧告、命令へと段階的に進みます。
住宅用地に対する課税標準の特例では、200平方メートル以下の小規模住宅用地の課税標準が6分の1に軽減されています。
勧告を受けて特例が外れると軽減分が戻るため、負担調整措置を考慮しても、土地の固定資産税は最大で約4倍程度に増えます。
命令に違反した場合は50万円以下の過料が科されます。
それでも改善されないときは行政代執行によって解体され、その費用は所有者に請求されます。
指定までの期間について、法律上の基準は置かれていません。
ただし、草木が伸び放題になる状態や外壁の損壊、郵便物の滞留といった状況が続けば、近隣からの通報を受けて自治体から連絡が入ります。
連絡が来た段階で対応すれば、命令や代執行まで進むことは避けられます。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について|国土交通省
倒壊や落下で近隣に損害を与えると賠償責任を負う
空き家の屋根や外壁が落下して他人に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を問われます。
土地の工作物の設置または保存に欠陥があったときは、まず占有者が責任を負います。
占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしていたときは、責任を負うのは所有者です。
遺産分割が終わるまで空き家は相続人全員の共有になるため、管理責任も相続人全員に及びます。
つまり、遠方に住んでいて一度も見に行っていない相続人も、責任を問われる立場にあります。
台風で瓦が飛んで隣家の窓を割った場合や、ブロック塀が倒れて通行人がけがをした場合が典型です。
さらに、老朽化が進んだ空き家では、火災保険や賠償責任保険の引受けを断られることがあります。
保険が使えない状態で事故が起きた場合、賠償額の全額が自己負担です。
傷みが進んで保険の引受けも難しい空き家は、持ち続けるほど賠償と税の負担が重くなっていきます。
老朽化した家や相続人の話し合いが続いている段階の不動産でも、無料で査定と買取の相談を受け付けているのがベンナビ不動産売却です。
相続した空き家の出口は売却・活用・解体・国庫帰属の4択から選ぶ

相続した空き家の出口は4つあります。
まず売却を検討し、難しければ解体して土地を活用し、土地も引き取り手がなければ国庫帰属を検討する順序です。
確認する内容は次の4点です。
- 仲介または買取で売却する
- 賃貸または自宅として活用する
- 解体して更地にする
- 相続土地国庫帰属制度を使う
仲介または買取で売却する
空き家を売却する方法は、不動産会社に買主を探してもらう仲介と、不動産会社が直接買い取る買取の2つです。
| 方式 | 売却価格の目安 | 期間 | 残置物や不具合の扱い |
|---|---|---|---|
| 仲介 | 市場価格に近い水準 | 3ヵ月〜1年程度 | 撤去や補修を求められることが多い |
| 買取 | 市場価格より低い水準 | 数週間〜2ヵ月程度 | 現況のまま引き渡せる場合がある |
建物の状態がよく、駅や商業施設が近い立地であれば仲介が向きます。
老朽化が進んでいる、家財が残っている、遠方で内覧の対応ができないという場合は買取が向きます。
どちらの方法でも、相続登記が済んでいないと決済ができないため、登記を先に終えるのが前提です。
相続人が複数いる場合は、換価分割として売却代金を分ける方法を選ぶことが多くなります。
市区町村が運営する空き家バンクへ登録して買主や借主を探す方法もあります。
移住希望者へ紹介してもらえる仕組みですが、登録しても買主が現れるとは限らない点が弱点です。
仲介や買取と並行して使う補助的な手段として考えます。
賃貸または自宅として活用する
空き家を手放さずに活用する方法は、賃貸に出すか、自分や家族が住むかの2つです。
人の出入りがあると換気と通水が続くため、劣化を抑えられます。
賃貸に出せば家賃収入も得られるため、都市部や学校の近くなど賃貸需要のある立地では有力な選択肢です。
一方で、原状回復やハウスクリーニング、設備の交換といった初期費用がかかります。
入居者が付かなければ収入は生まれず、固定資産税と維持費の負担だけが残る点に注意してください。
自宅として使う場合も、長期間空き家だった建物では耐震性や断熱性が現行の基準に合わないことがあり、改修費が必要になります。
また、空き家の3,000万円特別控除は、相続の時から譲渡の時まで事業や貸付け、居住の用に供していないことが要件です。
そのため、賃貸や居住を選ぶとこの特例は使えなくなります。
解体して更地にする
売却も活用も難しい場合は、建物を解体して更地にします。
解体すれば倒壊や落下のリスクがなくなり、特定空家に指定される可能性もなくなります。
解体費用を左右するのは建物の構造、延床面積、重機が進入できるかどうかです。
木造より鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほうが高く、前面道路が狭い土地では手作業が増えて費用が膨らみます。
自治体によっては、老朽危険家屋の除却に対する補助金や助成制度を設けています。
申請は解体工事の着工前が条件になることが多いため、空き家の所在地の自治体窓口へ先に確認してください。
ただし、建物を取り壊すと住宅用地に対する課税標準の特例が外れるため、土地の固定資産税は上がります。
解体後に駐車場や資材置き場として貸すのであれば、賃料収入と増税分を比べて判断してください。
相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
相続土地国庫帰属制度とは相続または遺贈で取得した土地の所有権を国へ移すことを、法務大臣に承認申請できる制度です。
令和5年4月27日から始まりました。
対象は土地だけで、建物が残っている土地は却下されます。
そのため、空き家がある土地でこの制度を使うには、先に建物を解体する必要があります。
建物以外に却下となる理由は次のとおりです。
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 通路など他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地
費用は、審査手数料が土地1筆あたり1万4,000円です。
承認を受けた後は、国有地の種目ごとに管理に要する10年分の標準的な費用を考慮して算定した負担金を納付します。
宅地は1筆あたり20万円が基準で、市街化区域内の宅地などは面積に応じて算定します。
空き家の相続でかかる税金と使える特例
空き家の相続で関係する税金は、相続税・登録免許税・固定資産税・譲渡所得税の4つです。
節税につながるのは、相続税を下げる小規模宅地等の特例と、売却益を下げる空き家の3,000万円特別控除になります。
| 税目 | 課される場面 | 税率または控除 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 相続税 | 遺産の総額が基礎控除を超えるとき | 基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数 | 相続開始を知った日の翌日から10ヵ月 |
| 登録免許税 | 相続登記を申請するとき | 固定資産税評価額の0.4% | 所有権の取得を知った日から3年 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年1月1日に所有しているとき | 固定資産税1.4%・都市計画税0.3% | 各自治体の納期 |
| 譲渡所得税 | 売却して利益が出たとき | 長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が異なる | 売却した年の翌年に確定申告 |
確認する内容は次の4点です。
- 相続税がかかる基準
- 小規模宅地等の特例
- 空き家の3,000万円特別控除
- 譲渡所得税の税率
相続税は基礎控除を超えたときにかかる
相続税は、遺産の総額が基礎控除を超えた場合にかかります。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円です。
空き家を含む遺産の合計額がこの金額以下であれば、申告も納税も必要ありません。ただし、小規模宅地等の特例を適用して初めて基礎控除以下となる場合は、申告が必要になります。法定相続人の数に含められる養子には上限があり、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。
申告と納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
空き家の相続税評価は、土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額によって計算します。
税務代理と税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務です。
小規模宅地等の特例で土地の評価額が下がる場合がある
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた宅地等の相続税評価額を減額できる制度です。
被相続人の居住用宅地(特定居住用宅地等)に当たれば、330平方メートルまでの部分について評価額が80%減額されます。
評価額3,000万円の土地であれば、600万円として計算できることになります。
配偶者が取得する場合は居住や保有の継続要件がなく、同居していた親族が取得する場合は申告期限まで居住と保有を続けることが要件です。
同居していない親族でも、いわゆる家なき子特例に当たれば適用の可能性があります。
家なき子特例では、相続開始前3年以内に自分または配偶者などが所有する家屋に住んでいないことなどが要件になります。
空き家の3,000万円特別控除とは別の制度であり、要件も判定時期も異なる点に注意してください。
適用できるかどうかは個別の事情で変わるため、税理士に確認してください。
【参考】No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
売却時は空き家の3,000万円特別控除で譲渡所得税を抑えられる

相続した空き家を売るときは、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
相続人が3人以上のときは、1人あたりの上限が2,000万円になります。
主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることです。
加えて、区分所有建物登記がされていないことと、相続開始の直前に被相続人以外に住んでいた人がいないことも求められます。
相続の時から譲渡の時まで事業や貸付け、居住の用に供していないことも要件です。
譲渡対価が1億円以下であることと、親子や夫婦など特別の関係がある人への譲渡でないことも要件になります。
売却の期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日です。
令和6年1月1日以後の譲渡では、翌年2月15日までに耐震基準への適合または取壊しが完了していれば、ほかの要件を満たす場合に適用を受けられます。
適用期間は令和9年12月31日までの譲渡です。
【参考】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
譲渡所得税の税率は所有期間が5年を超えれば長期になる
空き家を売って利益が出た場合、譲渡所得に対して所得税と住民税がかかります。
譲渡所得は「譲渡価額−取得費−譲渡費用」で計算します。
取得費が分からない場合に使えるのは、譲渡価額の5%を概算取得費とする方法です。
税率は所有期間で分かれ、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得になります。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
相続で取得した不動産は、被相続人の取得の日と取得費を引き継ぎます。
被相続人が長く住んでいた実家であれば、相続してすぐ売っても長期譲渡所得です。
空き家の3,000万円特別控除を使う場合は、譲渡所得から控除額を差し引いた残りに税率を掛けます。
復興特別所得税として、所得税額の2.1%が別に加算されます。
【参考】No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁
空き家を相続放棄したあとも管理義務は残るのか
相続放棄をしたあとの保存義務は、放棄の時にその財産を現に占有している場合に限られます。
「放棄しても管理責任から逃れられない」という説明は、2023年4月の改正前の理解にもとづくものです。
確認する内容は次の3点です。
- 保存義務を負う人の範囲
- 解体費用を負担する人
- 相続人全員が放棄した場合の扱い
相続放棄後の保存義務は現に占有している場合に限られる
改正後の民法では、保存義務を負う人が「放棄の時にその財産を現に占有している人」に限定されました。
義務の内容は、相続人または相続財産の清算人へ引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する点にあります。
改正前の条文は、放棄をした人に管理義務があると読める書き方でした。
そのため、放棄をしても空き家の管理から解放されないという説明が広まっていました。
2023年4月1日以後は、現に占有しているかどうかで線が引かれます。
占有があると考えられるのは、被相続人と同居していた場合や、鍵を持って出入りしていた場合です。
一方で、遠方に住んでいて一度も立ち入っていない場合は占有がないと整理できます。
相続放棄した空き家の解体費用は次順位の相続人が負担する
相続放棄をした人は、原則、空き家の解体費用を負担しません。
放棄によってはじめから相続人でなかったものとして扱われるため、所有者としての費用負担が生じないという理由です。
解体費用を負担するのは、次順位の相続人か、相続人がいない場合に選任される相続財産の清算人です。
清算人は相続財産の中から費用を支出して処理します。
行政代執行によって解体された場合の費用も、代執行の時点の所有者に請求されます。
放棄をした人が名宛人になることはない点に注意してください。
ただし、放棄の時に現に占有していて保存義務を負う場合は、必要な最小限の措置を怠って第三者に損害が生じれば、別途責任を問われる余地があります。
引き渡すまでの間は、施錠や危険箇所への注意といった対応を続けます。
相続人全員が放棄しても空き家はすぐに国のものにならない
相続人全員が相続放棄をしても、空き家は自動的に国のものになりません。
相続人がいるかどうかが明らかでないときは、家庭裁判所が清算人を選任します。
清算人は債権者へ被相続人の債務を支払い、必要に応じて財産を換価します。
清算後に残った財産は、最終的に国庫へ帰属する流れです。
選任の申立てができるのは、利害関係人、市町村長または検察官です。申立てには清算人の報酬などに充てる予納金が必要で、金額は家庭裁判所が事案に応じて定めます。
申立人が予納金を負担するため、近隣住民や自治体が動くまで時間がかかりがちです。
清算人が選任されるまでの間は、空き家が事実上放置される状態が続きます。
その間に建物が傷んで近隣に危険が及べば、自治体が空家法にもとづく手続きを進めます。
【参考】相続財産清算人の選任|裁判所
空き家の相続は誰に相談すればよいか
空き家の相続では、依頼先を業務内容で切り分けます。
意見が割れているなら弁護士、名義変更だけなら司法書士、相続税の申告が必要なら税理士が対応先です。
確認する内容は次の4点です。
- 自分で進められるケース
- 弁護士に相談すべきケース
- 4士業の役割分担
- 弁護士費用の確認方法
自分で進められるケースを見極める
相続人が1人、または全員の意見が一致していて相続税の申告も不要な場合は、相続登記の申請まで自分で進められます。
自分で進めやすい条件は次のとおりです。
- 相続人が少数で、全員が連絡を取れる距離にいる
- 遺言があり、誰が空き家を取得するか決まっている
- 空き家以外に不動産がなく、権利関係が単純である
- 遺産の総額が基礎控除以下で、相続税の申告が不要である
法務局では登記手続案内を実施しており、予約すれば申請書の書き方や必要書類を確認できます。
一方で、被相続人の名義のまま何代も経過して数次相続が発生している場合や、戸籍が手書きで判読しにくい場合は難易度が高めです。
難易度が上がる場合は司法書士へ依頼したほうが早く終わります。
弁護士に相談すべきケースを見極める
ほかの相続人と対立している場合や、相続人の所在が分からない場合は弁護士へ相談してください。
弁護士に相談すべきケースは次のとおりです。
- 空き家を誰の名義にするかで遺産分割が対立している
- すでに共有名義になっていて、解消したい
- 相続人が所在不明、または人数が多くて協議がまとまらない
- 遺言の有効性に疑いがある
- 遺留分侵害額請求をしたい、または請求を受けた
- 負債があり、相続放棄と限定承認のどちらを選ぶか迷っている
報酬を得る目的で他人の法律事件について代理や交渉を行えるのは弁護士だけです。
紛争性のある遺産分割の代理交渉は弁護士に限られます。
調停や審判へ移行する可能性がある段階では、協議の初期から弁護士が入るほうが主張を組み立てやすくなります。
相続登記は司法書士・相続税申告は税理士に依頼する
相続では4つの士業の業務範囲が交錯するため、依頼先を取り違えないよう整理します。
| 士業 | 対応できる業務 | 対応できない業務 | 空き家相続での出番 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 紛争性のある遺産分割の代理交渉・調停・審判、相続放棄の代理、相続登記の申請 | 相続税の申告(国税局長に通知を行った弁護士を除く) | 名義や分け方で対立したとき |
| 司法書士 | 相続登記の申請代理、裁判所提出書類の作成 | 相続税の申告、遺産分割調停や審判の代理 | 名義変更だけを任せたいとき |
| 税理士 | 相続税の申告、税務相談、税務代理 | 登記申請の代理、紛争の代理 | 遺産が基礎控除を超えるとき |
| 行政書士 | 遺産分割協議書などの書類作成 | 登記申請の代理、税務代理、紛争の代理 | 争いがなく書類だけ整えたいとき |
税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務です。弁護士(国税局長に通知を行った弁護士を除く)や司法書士に相続税の申告を頼むことはできません。
認定を受けた司法書士が代理できるのは、簡易裁判所で扱う民事の紛争のうち目的の価額が140万円以下のものに限られます。
家庭裁判所で行う遺産分割調停や審判の代理はできず、対応できるのは裁判所へ提出する書類の作成までです。
弁護士は相続登記の申請もできますが、実務では司法書士と連携して進めるケースが多くなります。
相続に注力する事務所なら、登記と申告の窓口をまとめて任せられます。
行政書士は遺産分割協議書などの書類を作成できますが、登記申請の代理と税務代理はできません。
弁護士に依頼した場合の費用を確認する
弁護士費用は事務所ごとに設定が異なるため、依頼前に内訳を確認してください。
| 費目 | 内容 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 相談料 | 初回の法律相談に対する費用 | 初回無料かどうか、時間の区切り |
| 着手金 | 依頼した時点で支払う費用 | 分割払いに対応しているか |
| 報酬金 | 解決した時点で、得られた経済的利益に応じて支払う費用 | 何を基準に算定するか |
| 日当・実費 | 出張や裁判所への出頭、印紙代や交通費 | どこまでが実費に含まれるか |
遺産分割の交渉や調停の代理は、着手金と報酬金を組み合わせる形が一般的です。
着手金は結果にかかわらず戻らないため、依頼する範囲を先に決めます。
報酬金は得られた経済的利益を基準に算定する事務所が多く、空き家の評価額の扱いで金額が変わります。
見積りと委任契約書で確認したいのは、対象となる業務の範囲と支払時期です。
そのうえで、解決までの見込み期間も聞いておくと、費用の総額を想定しやすくなります。
相続に注力している事務所なら、司法書士や税理士と連携して登記や申告まで対応できるのが強みです。
初回相談が無料の事務所を選べば、費用感を確かめてから依頼を決められます。
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空き家の相続に関するよくある質問
誰も住んでいない空き家を相続したらどうなる?
空き家を相続すると、遺産分割が終わるまで相続人全員の共有になります。
固定資産税の納付義務と建物の管理義務が生じ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務もかかります。
誰も住まない場合でも、通水や換気、草刈りといった管理は続けてください。
空き家を相続して3年以内に売るとどうなる?
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却し、要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
相続人が3人以上の場合は、1人あたり2,000万円が上限です。
建物を賃貸に出したり自分が住んだりすると要件から外れるため、売却するなら手を加えずに進めてください。
空き家だけを相続放棄できる?
空き家だけを選んで放棄することはできません。
相続放棄はすべての遺産を承継しないという手続きのため、預貯金などプラスの財産も手放す前提です。
空き家だけを手放したい場合は、いったん相続してから売却や解体を検討してください。
突然「空き家の相続人だ」と通知が来たらどうすればいい?
まず戸籍をたどって、自分が法定相続人に当たるかを確認してください。
次に調べるのは、空き家の評価額と負債です。
相続放棄を選ぶ場合は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。
相続人が多数いる空き家はどうやって処分する?
遺産分割協議で1人の単独名義にしてから売却するか、換価分割として売却代金を分けます。
協議がまとまらない場合の手段は、家庭裁判所への遺産分割調停の申立てです。
所在の分からない相続人がいるときは、不在者財産管理人の選任を申し立ててから協議を進めます。
空き家を相続したら罰金を払うことになる?
相続しただけで科されるものはありません。
正当な理由がないまま3年以内に相続登記を申請しないと10万円以下の過料、特定空家等として市町村長の命令に違反すると50万円以下の過料の対象になります。
いずれも刑罰ではなく、行政上の秩序を守るための金銭的な負担です。
さいごに|空き家の相続は期限を逆算して動こう
空き家の相続では、相続登記が最優先です。
所有権を取得したことを知った日から3年という期限があり、登記が終わらないと売却も解体も進みません。
登記の期限に加えて並行して走るのが、相続放棄の3ヵ月、相続税申告の10ヵ月、空き家の3,000万円特別控除を使う場合の売却期限です。
放置を続けると、管理不全空家への勧告で固定資産税の軽減が外れ、特定空家に指定されれば命令や行政代執行の対象へ進みます。
出口は売却・活用・解体・国庫帰属の4つで、早く動くほど選べる幅は広くなります。
まずは相続登記の期限を確認し、次に空き家の出口を決めてください。
名義や分け方で相続人の意見が分かれている場合は、自己判断で進めると調停まで長引くことがあります。
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まずは空き家にいくらの値が付くのかを確かめるところから始めてみてください。
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