空き家

空き家を売りたいときの相談先6つ|選び分けと無料査定前の準備を解説

空き家を売りたいときの相談先6つ|選び分けと無料査定前の準備を解説

誰も住まなくなった家を持ち続けていると、固定資産税の請求は毎年届き、草木の手入れや近隣への気遣いも終わりません。
売却したい気持ちは固まっているのに、最初の一歩が決まらないまま数年が過ぎる例は珍しくありません。

止まる理由の多くは、売り方を自分で決めようとしていることにあります。
そのまま売るのか、解体するのか、買取に出すのか。
情報を集めるほど選択肢は増え、判断の材料は逆に減っていきます。

先に決めるべきは売り方ではなく相談先です。
相談先が変われば、提示される金額も売却までの期間も変わります。
裏を返せば、相談先を1か所決めるだけで、売り方は相手から提案として返ってきます。

本記事で整理するのは、空き家の売却で使える相談先6つと、空き家の状態別の選び分けです。
あわせて無料査定を受ける前に整える準備3つ、相談から査定額が出るまでの流れ、相談前に避けたい4つのことも解説します。

クラルス法律会計事務所
監修者

クラルス法律会計事務所 久保 勇二

所属:大阪弁護士会

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空き家を売りたいときは売り方より先に相談先を決める

空き家を売りたいときは売り方より先に相談先を決める

空き家の売却では、相談先を決めた時点で結果の枠がおおむね決まります。
同じ家でも、仲介を扱う不動産会社と買取業者では、提示される金額も引き渡しまでの期間も変わるためです。

相談先で変わるもの内容
提示価格市場価格に近づくか、業者の買取価格になるか
売却期間数ヵ月単位か、数日〜1ヵ月単位か
費用負担仲介手数料が発生するか、解体費や撤去費を売主が持つか
進め方の自由度契約の種類によって、途中で方針を変えられる幅が変わる

売り方から先に決めようとすると、価格の見当がつかないまま解体や片づけの判断を迫られます。
金額を知らずに費用だけ先に出す形になり、結果として手元に残る額が減ります。

迷いが長引くのは、判断の順番が逆になっているためです。
売り方を決めてから相手を探すのではなく、相手を決めてから売り方を選ぶほうが、必要な情報は早く揃います。

まず相談先を決めて、金額と期間の見通しが立ってから売り方を選びましょう。
順番を入れ替えるだけで、判断に要る材料が先に手に入ります。

相談先が変えるのは価格と売却期間

相談先の違いは、価格と売却期間という2つの軸に集約されます。
高い金額を狙える相談先ほど時間がかかり、早く終わる相談先ほど金額は下がります。

仲介を扱う不動産会社の役割は、広告を出して買主を探すことです。
市場価格に近い金額を狙えますが、成約までは3ヵ月〜6ヵ月程度が目安です(不動産会社各社が公表している水準)。
売れるまでの間も、固定資産税と管理の負担は続きます。

不動産買取業者は、業者自身が買主になります。
買主を探す期間がないため、現金化までは数日〜1ヵ月程度です。
ただし価格は市場での売買より下がります。

どちらが正解という関係ではありません。
答えは、急ぐ事情があるかどうかと、管理を続けられるかどうかで分かれます。
売り急ぐ理由がないなら仲介、管理の負担を早く手放したいなら買取という分け方が出発点になります。

相談先を絞るには空き家を3つの型に分ける

自分の空き家がどの型に当たるかを先に見分けると、行くべき相談先は2つか3つまで絞れます。

1つ目は、そのまま買主が見つかりそうな型です。
築年数が浅い、駅や生活施設に近い、水回りが使える、すぐ住める状態にある家が当たります。

2つ目は、買主が限られる型です。
築40年を超えている家や、地方や山間部にある家が当たります。
家財が残ったまま、雨漏りや傾きがある、建て替えができない土地に建っている家も同じ扱いになります。

3つ目は、権利が整理されていない型です。
登記名義が亡くなった親のまま、相続人が複数いて話がついていない、共有名義になっている家が当たります。

型が重なることもあります。
重なる場合に優先するのは権利の整理です。

空き家を売りたいときの相談先6つ

空き家を売りたいときの相談先6つ

空き家の売却で使える相談先は、大きく6つに分かれます。
売る相手を見つける窓口が2つ、売れる状態に整える窓口が4つという内訳です。

相談先相談できること費用の目安向いている場合
不動産仲介会社査定、売り出し、買主探し、契約手続き成約時の仲介手数料時間をかけて市場価格を狙いたい
不動産買取業者査定、現況での買い取り無料・仲介手数料なし短い期間で手放したい
自治体の窓口補助金、空き家バンク、地域の制度無料解体費の補助や地域の受け皿を知りたい
司法書士相続登記、抵当権の抹消登記1時間あたり1万円程度名義が亡くなった親のまま
税理士譲渡所得、特例の適用可否1時間あたり1万円〜3万円程度売却後の税金を先に知りたい
弁護士遺産分割、共有者との交渉1時間あたり1万円程度相続人の間で話がまとまらない

売る相手を見つける窓口は、不動産仲介会社と不動産買取業者の2つです。
査定額を出し、実際に売買を成立させる役割を担います。

売れる状態に整える窓口は4つです。
自治体の窓口、司法書士、税理士、弁護士が当たります。
補助金の有無や名義、税金、相続人の合意といった売買の前提を扱います。

費用の目安は各士業が公表している相談料の水準です。
弁護士や司法書士の報酬は事務所ごとに決められるため、初回無料の窓口もあれば時間単位でかかる窓口もあります。
申し込む前に金額と課金の単位を確かめてください。
まず売る相手を見つける窓口に当たり、指摘された前提を整える窓口へ回る順番にすると、手戻りが減ります。
6つすべてを回る必要はなく、自分に当てはまる窓口だけで足ります。
名義や相続人の整理まで一度に見通しを立てたいなら、弁護士や司法書士と連携する買取会社へ査定を依頼し、権利の整理は弁護士に相談する組み合わせも有効です。

不動産仲介会社|市場価格に近い金額で買主を探したいとき

不動産仲介会社は、売主に代わって買主を探す窓口です。
時間に余裕があるなら第一の候補になります。

依頼したあとの担当範囲は、査定から売り出し価格の設定、広告の掲載、内見の対応までです。
契約手続きの立ち会いも役割に含まれます。
売主が現地に通えない場合でも、鍵を預けて内見を任せられます。

報酬は成約したときだけ発生する仲介手数料です。
宅地建物取引業法にもとづく告示で上限が決まっており、売買価格が800万円以下なら33万円(税込)が上限になります。
800万円を超える場合は、売買価格の3%に6万円を加えた額へ消費税を足した金額が上限です。
800万円以下で33万円という上限を使うには、現地調査などの費用を含めてあらかじめ売主に説明し、合意しておく手順が要ります。

契約の形は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類です。
複数の会社へ同時に依頼したいなら一般媒介を選んでください。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

不動産買取業者|短い期間で手放したいとき

不動産買取業者は、業者自身が買主になる窓口です。
買主を探す期間がなくなるため、売却までの日数が大きく縮みます。

家財が残っていても、雨漏りや傾きがあっても、現況のまま引き取れるのが買取の特徴です。
片づけや修繕を先に済ませずに済む点は、遠方に住む売主には大きな違いになります。

売却までの期間は数日〜1ヵ月程度が目安です(不動産の買取業者各社が公表している水準)。
仲介手数料はかかりません。

価格は市場での売買より低くなります。
買取価格には公的な統計がありません。
各社が公表している水準では、市場価格の5割〜8割程度という幅で示されています(不動産の買取業者各社が公表している目安)。
金額は物件ごとに上下するため、複数社に当たって幅を確かめてください。

自治体の空き家相談窓口|補助金と地域の受け皿を確かめたいとき

自治体の窓口では、売買の相手は紹介されません。
代わりに、補助金と空き家バンクの情報は自治体の窓口で確認できます。

空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、多くの市区町村が空き家の相談窓口を置いています。
所有者向けの制度をまとめて案内する部署が用意されています。

解体費や改修費の補助制度の多くは、工事に着手する前の申請が条件です。
先に業者へ発注すると対象から外れます。
金額の上限や助成の割合は市区町村ごとに違うため、窓口で確かめておいてください。

空き家バンクは、自治体が売り手と買い手をつなぐ仕組みです。
国土交通省が全国の情報を集めたサイトを整備しています。
登録は無料の自治体が多く、売却と賃貸のどちらでも使えます。

【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索/空き家を売る・貸す際に活用できる制度|国土交通省

司法書士|登記名義が亡くなった親のままのとき

登記名義が被相続人のままなら、司法書士が先の相談先になります。被相続人名義のままでは買主への所有権移転登記を申請できないためです。

登記の連なりが途切れていると、決済と引き渡しに進めません。
相続で取得した家は、まず相続人の名義へ移す必要があります。

相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されました。
不動産を取得したと知った日から3年以内という期限があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

戸籍の収集や遺産分割協議書の作成には日数がかかるため、売却を決めた時点で着手しましょう。
査定の依頼と並行して進めれば、売り方が決まるころには名義の準備も整います。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

税理士|売ったあとの税金の見込みを先に知りたいとき

売却後の税金は、売る前に見込みを聞いておくと判断材料が増えます。
税額しだいで、売る時期や売り方の選び方が変わるためです。

譲渡所得が出るかどうかは、売却価格と取得費の関係で決まります。
買ったときの金額がわかる資料が残っていない場合、売却価格の5%を概算取得費として扱う方法があります。

相続した家で使えるのは、要件を満たす場合に譲渡所得から控除を受けられる仕組みです。
適用できるかどうかは、建築の時期や譲渡対価の額、相続開始からの年数といった個別の条件で変わります。

本記事では税額の計算方法までは扱いません。
国税庁の情報を確認したうえで、税理士に相談してください。
売却の前に一度見込みを聞いておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。

【参考】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

弁護士|相続人同士で売却の話がまとまらないとき

売るか売らないかで相続人の意見が割れているなら、不動産会社ではなく弁護士の領域になります。

遺産分割が終わるまで、相続した家は相続人全員の共有状態にあります。
共有物を売るには全員の合意が要るため、1人でも反対すると家全体を売却することはできません。

話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停という手段があります。
調停には数ヵ月〜1年以上かかることもあり、その間も固定資産税と管理の負担は続きます。

合意ができていない段階でも、査定だけを取ることは可能です。
具体的な金額が示されると、抽象的だった話し合いが動くこともあります。
誰がいくら受け取れるのかが見えると、判断は早くなります。
共有名義のまま売る方法もありますが、契約から決済まで全員の関与が続く形です。

相続人の合意が取れていない段階でも、査定と弁護士への相談は並行して進められます。
ベンナビ不動産売却では、共有名義や遺産分割が絡む空き家でも無料で査定を依頼でき、弁護士や司法書士と連携する会社が対応します。
遺産分割そのものの進め方は弁護士に相談してください。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

空き家の状態別|どの相談先から行けばよいか

自分の空き家がどの型に当たるかがわかれば、最初に連絡する1か所は決まります。

空き家の状態最初に行く相談先次に行く相談先
築年数が浅く立地がよい不動産仲介会社反響がなければ不動産買取業者
築古・遠方・家財が残っている不動産買取業者補助金を確かめるなら自治体の窓口
名義や相続人が未整理名義は司法書士・合意は弁護士並行して仲介会社や買取業者へ査定を依頼

3つの型に共通するのは、価格の見当がつく前に解体や片づけへ着手しないという点です。
先に費用を出しても、出した分だけ高く売れる保証はありません。

型が変わっても、最初に必要な情報は同じです。
いくらで売れるのか、どれくらいの期間がかかるのか、2つがわかれば次の判断は自分でできます。

査定は無料で受けられるものが多く、金額を知ってから判断しても遅くはありません。
まず1か所に当たり、示された金額と説明を持って次の窓口へ回りましょう。

最初の1か所で結論が出なくても構いません。
相談を重ねるほど、自分の空き家の位置づけははっきりしていきます。

築年数が浅く立地がよいなら仲介会社から

すぐ住める状態の家で買主が見つかりそうなら、市場価格を狙える仲介から入ります。

条件の目安は3点です。
最寄り駅や生活施設に近いこと、水回りの設備が使えること、雨漏りやシロアリの被害がないことが当たります。
3つが揃っていれば、中古住宅として買主がつく見込みがあります。

売却期間は3ヵ月〜6ヵ月程度が目安です(不動産会社各社が公表している水準)。
売れるまでの間も、固定資産税と草木の手入れは続きます。
維持にかかる費用と時間も織り込んで判断しましょう。

売り出してから3ヵ月ほど経っても反響が少なければ、買取へ切り替える進め方もできます。
仲介と買取は排他的な関係ではありません。
切り替えの目安は、内見の申し込みが月に1件も入らない状態が続くかどうかです。

築古・遠方・家財が残っているなら買取業者から

仲介では買主が限られる家なら、現況で引き取れる相手に当たったほうが、手元に残る金額が増えることがあります。

買主が限られるのは、解体を前提とするほど古い家、傾きや雨漏りがある家、建て替えができない土地に建つ家です。
売り出しても内見が入らず、値下げを重ねる展開になりやすい物件です。

遠方に住んでいて内見の立ち会いに通えない場合も、買取が向きます。
家財がそのまま残っていても、撤去の費用を売主が負担せずに済むことがあります。

解体費や撤去費を自分で払ってから売る場合と、現況のまま売る場合で、手元に残る金額を比べて決めましょう。
売却価格が高くても、先に出した費用を差し引くと逆転する例があります。
手取りで比べる習慣をつけておいてください。

名義や相続人が未整理なら専門家が先

権利が整理されていない家は、査定までは進めても契約では止まります。
契約に進むには、名義と合意の2つが揃っている必要があるためです。

登記名義が亡くなった親のままなら司法書士、相続人の間で合意がまとまらないなら弁護士が先の相談先になります。
どちらも売買の前提を整える役割です。

並行して査定を取っておくと、遺産分割の話し合いで具体的な金額を示せます。
いくらで売れるのかがわかると、分け方の議論は進みやすくなります。

名義変更で要るのは、戸籍の収集と協議による場合は遺産分割協議書の作成です。相続人が多いほど書類のやり取りに時間がかかるため、着手から完了まで日数を見込んでおいてください。
遠方に住む相続人がいる場合は、郵送のやり取りだけで1ヵ月を超えることもあります。

相談先に迷ったら、まず無料査定で価格の幅を知るのが近道

どの相談先が正解か決めきれないなら、査定を先に取るという順番が近道になります。
金額の見当がつけば、仲介と買取のどちらで進めるかを自分で判断できます。

解体や片づけ、値下げは、価格の幅がわかってから判断しましょう。
査定は判断の材料であり、売却の確定ではありません。

ベンナビ不動産売却では、空き家や共有持分といった訳あり不動産の無料査定と買取相談を受け付けています。
築年数が古い家、遠方にある家、家財が残ったままの家も対象です。

査定は、売ると決める前に金額を確かめるための手続きです。
金額を確かめたうえで、保有を続ける判断もできます。
まずは自分の空き家がいくらになるのかを知るところから始めてみてください。

無料査定を受ける前に整える3つの準備

査定の前に自分で用意できるものが3つあります。
名義、資料、現況の3点です。

準備する項目入手先揃っていないと起きること
登記事項証明書法務局の窓口・郵送・オンライン名義人や抵当権の有無がわからず、契約直前で止まる
購入時の資料一式自宅の保管書類取得費や土地の範囲が不明で、査定が幅の広い概算にとどまる
家財と建物の現況現地で撮った写真訪問査定のあとで金額が下方へ修正される

3点のうち1つでも欠けていると、査定額は幅の広い概算にとどまります。
金額を比べる土台としては使いにくくなります。

3点は連動する関係です。
名義がわかると相続登記の要否が決まり、資料が揃うと土地の範囲が確定し、現況が伝わると建物の評価が固まります。
順に埋めていくほど、提示される金額の幅は狭くなります。

すべてが揃っていなくても、相談自体は可能です。
足りないものを教えてもらいながら進める形でも査定は前に進むため、準備が終わるまで待つ必要はありません。

書類が手元にないときは、どこで取れるのかを担当者に聞くところから始めても構いません。
取得の手順も案内してもらえます。

登記事項証明書で名義と権利関係を確認する

最初に確かめるのは、所有者が誰か、抵当権が残っていないかの2点です。
どちらも登記事項証明書で確認できます。

登記事項証明書の取得方法は、法務局の窓口、郵送、オンラインの3つです。
物件の所在地と地番がわかれば、相続人でなくても取得できます。
1通あたりの手数料は数百円です。

所有者の欄が亡くなった親のままなら、相続登記が必要になります。
売買契約の前に済ませておく手続きです。

住宅ローンを完済していても、抵当権の抹消登記がされていない例があります。
抹消にかかる登録免許税は不動産1個につき1,000円で、土地と建物は2個です。
手続きには金融機関から受け取った書類が要るため、見当たらなければ再発行を依頼してください。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

物件の資料を集めておく

買ったときの契約書と土地の図面があるかどうかで、査定の確度は変わります。

購入時の売買契約書と重要事項説明書は、取得費の証明にも、土地の範囲や制限の確認にも使います。
売却後の税金を計算する場面でも必要な書類です。

測量図や境界確認書があれば、土地の範囲が確定しているかどうかがわかります。
境界が未確定なら、確定測量に日数と費用がかかります。

固定資産税の納税通知書に載っているのは、評価額と地番です。
手元にあれば、査定を依頼するときにそのまま伝えられます。
毎年春に届く書類なので、直近のものを探しておきます。

古い家では、資料そのものが見つからないケースも多いです。
その場合も、見つからない旨を伝えれば査定は進みます。
法務局や役所で代わりの資料を取れることもあります。

家財と建物の現況を伝えられるようにしておく

残っている家財や建物の傷みは、隠さずに伝えたほうが結果的に得をします。
査定の修正も、引き渡し後の紛争も減るためです。

家財は部屋ごとに写真を撮り、量と種類を記録しておきます。
大型の家具や仏壇、農機具、車といった処分に手間がかかるものは写真とあわせて伝えてください。

査定額を左右するのは、雨漏りやシロアリの被害、床の傾き、隣地との境界の争いです。
わかっている範囲で先に共有してください。
現地を見れば担当者にはわかる内容なので、隠しても金額は下がります。

伝えずに売った場合のリスクは、引き渡し後に契約不適合責任を問われることです。
買主から修補や代金の減額を求められます。
現況のまま買い取る契約なら、責任の範囲を限定できる場合もあります。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

相談してから査定額が出るまでの流れ

問い合わせから査定額が出るまでは、机上査定だけなら数日、訪問査定を挟んでも2週間程度が目安になります。

段階やること目安の日数
①問い合わせ・ヒアリング所在地、面積、築年数、現況を伝える即日〜数日
②机上査定資料と取引事例から概算を受け取る数日
③訪問査定現地確認のうえ売り出し価格を詰める1週間〜2週間
④査定額の確認根拠と前提条件を聞いて比べる提示後すぐ

最初の連絡で聞かれるのは5点です。
内訳は所在地と面積、築年数、現況、売却の理由です。
手元に資料がなくても、わかる範囲で答えれば話は進みます。

売却の理由を聞かれるのは、詮索のためではありません。
期限があるのか、金額を優先するのかで、提案される売り方が変わるためです。

査定を受けても、媒介契約や売買契約を結ぶ義務は生じません。
金額を確かめる段階と、売ると決める段階は別のものだと考えておくと、身構えずに問い合わせられます。

複数社へ同時に依頼するのも自由です。
同じ時期に受け取った金額のほうが、比較の精度は上がります。

①問い合わせとヒアリングを受ける|即日〜数日

最初の連絡は、物件の所在地と現況を伝えるところから始まります。

電話、問い合わせフォーム、メールのいずれでも構いません。
伝える内容は4点です。
所在地、土地と建物の面積、築年数、いまの状態が当たります。
地番と面積は、固定資産税の納税通知書から読み取れる情報です。

売却の希望時期と、急ぐ事情があるかどうかも早い段階で共有してください。
期限がある場合、提案される売り方が変わるためです。

問い合わせの段階では金額は示されません。
査定の方法と日程を決める打ち合わせと考えておきましょう。
折り返しの連絡が来る時間帯を伝えておくと、やり取りが早く済みます。
連絡手段をメールに限定したい場合も、最初に伝えれば対応してもらえます。

②机上査定で概算を受け取る|数日

机上査定は、資料と取引事例から算出する概算です。
幅のある金額が数日で示されます。

算出に使うのは、周辺の成約事例と路線価や公示地価です。
築年数と土地・建物の面積も計算に入ります。
現地には行かずに机の上で計算するため、結果が早く出ます。

建物の傷みや境界の状況は対象外です。
実際に売り出せる金額とは差が出る前提で受け取ってください。

机上査定の段階で複数の会社に依頼しておくと、提示額の幅そのものが判断材料になります。
幅が大きいことは、物件の評価が会社ごとに分かれている証拠です。

提示された金額の根拠がその場でわからなくても構いません。
訪問査定に進む会社を絞る材料として受け取ります。
連絡が来るまでの日数も、会社ごとの対応の速さを測る材料です。

③訪問査定で売り出し価格を詰める|1週間〜2週間

訪問査定では、現地を見たうえで実際に売りに出せる金額が示されます。

担当者が確認するのは、建物の傷みと前面道路との接し方です。
境界標の有無や隣地からの越境物も見られます。
屋根や外壁、床下の状態まで確認する会社もあります。

日程の調整を含めた所要は1週間〜2週間程度です。
買取業者の場合は、現地確認から金額の提示までが数日で終わることもあります。

遠方で立ち会えないなら、鍵を預けて対応してもらえるか、代理の立ち会いが可能かを事前に確かめてください。
近隣に親族がいれば、立ち会いを頼むのも手です。

当日は、家財の量や不具合の場所を一緒に見てもらいます。
写真だけでは伝わらない部分が金額に反映されるためです。
所要時間は30分〜1時間程度です。

④査定額の根拠を確認して比べる|提示後すぐ

金額そのものより、算出の根拠と前提条件を聞くほうが判断に役立ちます。

1つ目は、どの取引事例と比べたのかです。
事例の場所や時期、面積を聞けば、比較の妥当性がわかります。
2つ目は、建物と土地をそれぞれいくらで見ているのかです。
解体費や家財の撤去費が差し引かれているかも確かめてください。

3つ目は、提示された金額で売れる見込みの期間です。
売れなかった場合に次にどうするかまで説明できる担当者は、根拠を持って金額を出しています。

3社ほどに同じ質問をすると、答えの精度の差は明らかです。
金額の高さだけで選ぶと、売れないまま値下げを重ねることになります。
根拠を数字で示せる担当者を選ぶほうが、売却までの見通しは立てやすくなります。

空き家の相談・査定の前に避けたい4つのこと

相談の前に手を動かすほど、選択肢は狭まり、出費だけが確定します。

避けたいこと起きる不利益
自己判断で解体する費用が戻らず、翌年の土地の固定資産税も上がる
リフォームや家財の撤去を先に発注するかけた費用が売却価格に乗らない
1社だけの査定で決める相場が見えず、比べる基準を持てない
断定的な説明をそのまま受け入れる裏づけのない金額や条件で契約してしまう

4つに共通するのは、価格の見当がつく前に戻せない判断をしてしまう点です。
解体も発注も契約も、いったん進めれば元には戻せません。

先に動きたくなるのは、家をきれいにしたほうが高く売れるという感覚があるためです。
実際には、費用をかけた分がそのまま価格に乗るとはかぎりません。

どれも、相談を1本入れるだけで避けられる失敗です。
査定は無料で受けられるものが多く、順番を変えるだけで手元に残る金額は変わります。

4つのうち、解体と発注は費用が確定する判断です。
査定と契約は、比べる相手を増やすだけで防げます。
いずれも、先に金額を知っておけば防げる話です。
まずは現状のまま相談するところから始めてください。

相談前に自己判断で解体しない

解体は戻せない判断で、費用と税負担の両方が動きます。

解体費は建物の構造と広さで変わります。
公表されている目安は、木造で1坪あたり3万円〜5万円です。
鉄骨造で6万円〜7万円、鉄筋コンクリート造で6万円〜8万円という水準が示されています(NPO法人空家・空地管理センターほかが公表している目安)。
庭木の伐根が必要な場合や、重機が入らない立地では、さらに上振れします。

建物を取り壊すと住宅用地の特例が外れ、翌年の土地の固定資産税が上がります。
売れるまでの期間が延びるほど、負担は重くなる一方です。

古家付き土地として現況のまま売れる場合もあります。
解体して更地にするかどうかは、解体前と解体後の査定額の差を見てから決めてください。

相談前にリフォームや家財の撤去を先に発注しない

かけた費用が、そのまま売却価格に乗るとはかぎりません。

買主の好みと合わないリフォームは評価されません。
壁紙や設備を新しくしても、上乗せ分が価格に反映されない例も多いです。
買主が入居後に自分で直す前提で探している例も多くあります。

家財は、買取なら現況のまま引き取れる場合があります。
先に撤去費を払わずに済むなら、浮いた分が手元に残る計算です。
撤去が必要かどうかは、査定の場で確かめられます。

自治体の補助金は、工事に着手する前の申請を条件とするものが多くあります。
先に発注すると補助の対象外です。

掃除や換気のように費用がかからない範囲は、先に済ませておいても損はありません。
写真の印象が変わるためです。
費用が発生する作業だけを保留してください。

1社だけの査定で決めない

空き家は建物の評価が会社ごとに割れるため、1社の金額では相場が見えません。

同じ物件でも、仲介と買取では価格の考え方が違います。
提示額が分かれる理由は、地元に強い会社と広域で展開する会社で買主の見込みが違う点です。
築古の家ほど、会社ごとの差は大きく開きます。

3社ほどを目安に依頼し、金額だけでなく根拠と売却期間の見込みを並べて比べてください。
数字が近ければ、示された金額帯が相場です。

極端に高い査定額が出たときは、媒介契約を取るための提示である場合があります。
根拠を確かめてから判断してください。
3社の内訳は、仲介2社と買取1社のように種類を分けるのがおすすめです。
同じ種類だけを並べても、選べる幅は広がりません。

仲介2社と買取1社のように種類を分けて依頼するなら、買取側はまとめて申し込める窓口が便利です。
ベンナビ不動産売却では、築古や遠方の空き家を扱う会社へ無料で買取査定を依頼できます。

断定的な説明をそのまま受け入れない

将来の価格を断定する説明や、契約を急がせる説明が出たら、その場で判断を保留してください。

宅地建物取引業法は、断定的判断を提供して勧誘する行為を禁じています。
迷惑を覚えさせるような時間帯の電話や訪問も禁止の対象です。
「今より値上がりする」といった説明は、宅地建物取引業法の規制に触れるおそれがあります。

「いまだけ高く売れる」といった表示も、裏づけがなければ景品表示法の優良誤認や有利誤認に当たるおそれがあります。

その場で契約書に署名せず、書面を持ち帰って他社と比べましょう。
判断を急がせない相手のほうが、落ち着いて比べられます。
説明の内容に不安が残る場合は、宅地建物取引業の免許番号を確かめ、都道府県の窓口へ相談する方法もあります。
免許番号の記載先は名刺や契約書面です。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索/不当景品類及び不当表示防止法|e-Gov 法令検索

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【ベンナビ不動産売却の特徴】

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  • 最短3日で買取に対応
  • 弁護士費用・登記費用・ごみ処理費用が0円
  • 司法書士・弁護士と連携し、複雑な権利関係にも対応
  • 300万円以下から1億円超の物件まで対応

築年数が古い、家財が残っているなど、ほかの業者では断られやすい空き家でも相談できます。
まずは「ベンナビ不動産売却」で、無料査定を申し込むところから始めましょう。

空き家を売りたいときの相談に関するよくある質問

Q

空き家の売却相談や査定にお金はかかりますか?

A

不動産会社や買取業者の査定は、無料で受けられるものが多くあります。
税理士や不動産鑑定士には時間単位の料金がかかる場合もあり、税理士で1時間あたり1万円〜3万円程度が目安です(各士業が公表している相談料の水準)。
初回無料の窓口もあるため、申し込む前に費用の有無を確かめておいてください。

Q

名義が亡くなった親のままでも相談できますか?

A

相談と査定は、名義が変わっていなくても受けられます。
売買契約に進む前提は、相続登記を終えて自分が名義人になっていることです。
登記の手続きと査定は並行して進められるため、司法書士に登記を依頼しながら不動産会社に査定を依頼する形でも構いません。

Q

相談したら売らなければいけませんか?

A

査定を受けても、媒介契約や売買契約を結ぶ義務は生じません。
媒介契約は、結んだあとでも契約期間の満了や解除で終了できる契約です。
専任媒介と専属専任媒介の場合は、解除の時期や理由によって、解除までにかかった費用の負担を求められることもあります。
提示された金額に納得できなければ、そのまま保有を続ける判断もできます。
金額を知る段階と、売ると決める段階は別のものです。

Q

田舎や再建築不可の空き家でも相談できますか?

A

仲介では買主が見つかりにくい物件でも、買取業者が対象とすることがあります。
自治体の空き家バンクという受け皿もあり、全国の情報をまとめたサイトは国土交通省が整備済みです。
一度断られた経験があっても、扱う物件の幅は会社ごとに違うため、複数に当たる価値があります。

Q

相談してから引き渡しまでどれくらいかかりますか?

A

仲介の場合、売り出しから成約までは3ヵ月〜6ヵ月程度、引き渡しまではさらに1ヵ月〜3ヵ月が目安です(不動産会社各社が公表している目安)。
買取の場合は数日〜1ヵ月程度で完了することもあります。
名義変更や確定測量が必要なら、手続きにかかる日数を上乗せして見込みます。

まとめ|空き家を売りたいときは相談先を決めるところから

空き家の売却は、売り方を選ぶところからではなく、相談先を決めるところから始まります。

相談先は6つあります。
売る相手を見つける窓口は、不動産仲介会社と不動産買取業者の2つです。
売れる状態に整える窓口は自治体、司法書士、税理士、弁護士の4つです。

築年数が浅く立地がよいなら仲介から、築古や遠方や家財ありなら買取から当たります。
名義や相続人が未整理なら専門家が先です。

査定の前に整えるのは、登記事項証明書、購入時の資料、家財と建物の現況の3点です。
1つでも欠けると、査定額は幅の広い概算にとどまります。

ベンナビ不動産売却では、空き家や共有持分などの訳あり不動産について、無料査定と買取相談を受け付けています。
相談先に迷っているなら、まず金額の幅を確かめるところから始めてみてください。

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クラルス法律会計事務所
監修者

クラルス法律会計事務所 久保 勇二

所属:大阪弁護士会

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