空き家

相続した空き家を売却する方法|相続登記・分け方・特例の期限を解説

相続した空き家を売却する方法|相続登記・分け方・特例の期限を解説

親が住んでいた実家を相続したものの、誰も住まないまま空き家になっている。
売却したいと考えながら、何から手をつければよいのかがわからない。
そのまま数年が過ぎてしまうケースは珍しくありません。

相続した空き家の売却が止まるのは、通常の不動産売却にはない3つの前提があるためです。
名義を相続人に変えること、相続人が複数なら分け方を決めること、税の特例の期限を把握することの3点です。
順番を誤ると、解体費が無駄になったり控除を取り逃したりします。

本記事でまず整理するのは、相続した空き家を売却するまでの前提です。
あわせて相続人が複数いるときの分け方3通り、売却方法3つ、譲渡所得を減らせる3つの仕組みを解説します。
読み終えるころには、いま着手すべき手続きと売り方を判断できるようになります。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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相続した空き家を売却する前に決める3つのこと

相続した空き家の売却は、名義・分け方・期限の3点を決めるところから始まります。
どれか1つでも未確定のまま売却活動に入ると、買主が決まったあとの決済直前で手続きが止まります。

3点は互いに連動する関係です。
名義を相続人に変えるには遺産分割で分け方を決める必要があり、登記が終わって初めて売主になれます。
税の特例には相続開始日を起点とする期限があるため、全体を逆算して動く必要があります。

空き家は住んでいる家の売却と違い、現地の管理や残置物の処分といった前工程も必要です。
まずは自分のケースがどこで止まっているかを確認しましょう。

決めること期限の目安決めないまま進めた場合
名義[相続登記]取得を知った日から3年以内決済直前で契約が止まる
分け方[遺産分割]法律上の期限はない相続人が増えて協議が重くなる
特例を使う期限相続開始から3年経過日の属する年末控除が使えず税負担が増える

進める順番は、分け方の合意、相続登記、売却活動の開始です。
期限は3つの工程を通して意識しておく必要があります。

売主になれるのは相続登記を終えた名義人だけ

登記名義人でなければ、空き家の売主にはなれません。
買主へ所有権を移す登記は現在の名義人から順につないでいくため、名義が被相続人のままでは連続性が途切れるからです。

相続登記は2024年4月1日から申請が義務づけられました。
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象になります。
義務化より前に相続した不動産も対象に含まれるため、何年も前に相続した実家であっても申請は必要です。

申請には被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
集めるだけで1ヵ月を超えることもあるため、売却を決めた時点で着手しておきましょう。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

相続人が複数なら遺産分割で売却方針を決める

相続人が複数いる場合は、遺産分割で誰が空き家を取得するかを決めてから売却に進みます。
遺産分割が終わるまで、相続財産は相続人全員の共有状態にあるためです。

売却を前提にするなら、分割協議の段階で「売って代金を分ける」方針まで決めておきましょう。
取得者を決めるだけでは、あとから代金の配分でもめる余地が残ります。

合意した内容をまとめた書面が遺産分割協議書です。
協議書は相続登記の添付書類になり、売買契約でも相続の経緯を示す資料として使います。

作成にあたっては、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えます。
遠方に住む相続人や連絡が取りにくい相続人がいる場合、書類のやり取りに時間がかかりがちです。

協議がまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法もあります。
ただし調停には数ヵ月から1年以上かかるため、特例の期限を先に確かめておきましょう。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

空き家の特例は相続開始日から3年で期限が来る

相続した空き家には、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特別控除があります。
控除には期限があり、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。

起算点は被相続人が亡くなった日です。
たとえば2024年5月に相続が開始した場合、3年を経過する日は2027年5月にあたり、2027年12月31日が売却の期限になります。

制度そのものにも適用期限があります。
国税庁によれば、対象になるのは令和9年12月31日までの譲渡です。
相続の時期にかかわらず、期日を過ぎた売却には使えません。

売却活動に要する期間は数ヵ月です。
期限の年末に間に合わせるには、少なくとも半年前には査定と売り方の決定を終えておく必要があります。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

相続人が複数いる空き家の分け方は3通り

相続人が複数いる空き家の分け方は3通り

相続人が複数いる空き家の分け方は、換価分割、代償分割、共有のまま売却の3通りです。
空き家に誰も住む予定がないのであれば、売って現金で分ける換価分割が手続きの少ない選び方になります。

分け方を決めないまま放置すると、状況は年ごとに重くなります。
相続人の1人が亡くなればその相続人が新たに加わり、協議の相手が増えるためです。
10年放置すれば、面識のない親族と話し合う事態にもなりかねません。

どの分け方を選ぶかで、代金の受け取り方も手続きの重さも変わります。
3つの違いを先に整理しておきましょう。

分け方代金の受け取り方向いているケース注意点
換価分割売却代金を割合で分ける誰も住む予定がない売れるまで金額が確定しない
代償分割取得者が他の相続人へ金銭を払う1人が住む、または貸す取得者に支払い原資がいる
共有のまま売却各自が持分に応じて受け取る全員の足並みがそろう1人でも反対すると売れない

代償分割では、取得者が支払いの原資を用意します。
共有のまま売る場合、契約から決済まで全員の関与が続く形です。
相続人の人数が多いほど、換価分割の手軽さが際立ちます。

換価分割|売却して代金を分ける

換価分割は、空き家を売って現金にしてから、相続人どうしで分ける方法です。
誰も住む予定のない実家では、換価分割を選ぶケースが目立ちます。
現金は割合どおりに分けやすく、評価額をめぐる争いが起きにくいためです。

進め方は2通りあります。
相続人の代表者1人の名義に登記してから売る方法と、相続人全員の共有名義で登記して売る方法です。
代表者名義にすると、契約や決済の手続きが1人で済みます。

代表者名義にする場合は、換価分割であることを遺産分割協議書に明記しましょう。
記載がないと、代表者から他の相続人への代金の配分が贈与とみなされるおそれがあります。

売却価格が決まるまで、手元に入る金額は確定しません。
相続税の納税資金に充てる予定があるなら、申告期限との兼ね合いも確認しておきましょう。

代償分割|1人が取得して他の相続人に金銭を払う

代償分割は、相続人の1人が空き家を取得し、他の相続人へ相続分に応じた金銭を渡す方法です。
誰かが住み続ける場合や、賃貸に出して活用する予定がある場合に向いています。

代償金の額を決める基準は不動産の評価額です。
評価の方法には固定資産税評価額、相続税評価額、実勢価格などがあり、どれを使うかで金額が変わります。
相続人の間で評価方法を先に合意しておきましょう。

取得者には代償金を用意する資力が求められます。
空き家の評価額が高いほど負担は重くなり、住宅ローンのような借入れで賄うことも簡単ではありません。

誰も使う予定がない空き家では、代償金を払ってまで取得する利点は小さくなります。
管理と固定資産税の負担が取得者に残るためです。

共有のまま売却するには全員の同意がいる

共有名義のまま空き家を売る場合、共有者全員の同意が必要になります。
共有物の処分は各共有者が単独ではおこなえず、全員の合意によって決めるものと民法で定められているためです。

同意が必要な場面は契約時だけではありません。
媒介契約、売買契約、決済と引き渡し、所有権移転登記のそれぞれで共有者全員の署名や押印が求められます。
遠方の相続人がいる場合、書類のやり取りだけで日程が延びがちです。

代表者へ委任状を出して手続きをまとめる方法もあります。
ただし委任状にも実印と印鑑証明書が必要で、事前準備の量そのものは減りません。

共有物全体としての売却は、1人でも反対すれば不可能です。
方針が割れている場合は、売却前に分け方を決め直すほうが早く進みます。

方針が割れたまま進まない場合は、権利関係の整理について弁護士へ早めに相談してください。
ベンナビ不動産売却では、共有名義のままの不動産でも無料で査定を依頼でき、弁護士や司法書士と連携する会社が対応します。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

相続した空き家の売却方法は3つ

相続した空き家の売却方法は、建物を残して仲介で売る、解体して更地で売る、買取業者に直接売るの3つです。
建物の状態と特例の残り期間から、どれで進めるかを決めます。

老朽化が進んでいる、残置物が多い、期限が近いという条件が重なるケースでは、買取が現実的な選択肢になります。
買主を探す期間がかからず、引き渡しの時期を読めるためです。

なお、3つは排他ではありません。
仲介で3ヵ月ほど売り出して反響が少なければ、買取へ切り替える進め方もできます。
まずは3つの価格と期間の違いを押さえておきましょう。

売却方法価格の目安引き渡しまでの期間向いている空き家
仲介[建物あり]市場価格とほぼ同水準3ヵ月〜6ヵ月建物が使え、立地がよい
解体して更地市場価格から解体費を差し引いた水準4ヵ月〜7ヵ月建物の傷みが激しい
買取市場価格の5割〜7割2週間〜1ヵ月残置物が多い、期限が近い

買取価格の水準には公的な統計がありません。
5割〜7割という幅は、不動産の買取業者各社が経験則として公表している目安です。
金額は物件ごとに上下します。
立地や建物の状態によっては、目安の下限を下回ることもあります。

建物を残したまま仲介で売る

仲介は、不動産会社に買主を探してもらう売り方です。
市場価格に近い金額をねらえる一方、買主が現れるまでの期間は読めません。
売却活動の目安は3ヵ月で、条件によっては半年を超えることもあります。

売却の依頼にあたって結ぶのが、不動産会社との媒介契約です。
契約の種類は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つで、複数社に依頼できるかどうかと報告義務の頻度が異なります。

立地がよく建物が使える状態であれば、仲介が価格面で有利です。
築年数が古くても、リフォーム前提の買主や土地としての需要が見込める地域なら買い手はつきます。

引き渡しまでに残置物の撤去を求められるケースも多くあります。
家財の処分費は数十万円規模になることもあり、売却価格から差し引いて手取りを見積もりましょう。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

解体して更地で売る

建物の傷みが激しい場合は、解体して更地で売る方法があります。
更地は買主が用途を選べるため、購入を検討する層が広い点も利点です。
ただし解体費は売主の負担で、木造住宅であれば100万円台になることも珍しくありません。

解体するかどうかは、査定を受けてから判断しましょう。
先に解体してしまうと、建物付きのほうが高く売れるケースだった場合に費用が無駄になります。

空き家の特別控除を使う場合、取り壊しの時期にも決まりがあります。
令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡した年の翌年2月15日までに取り壊せば要件を満たすというのが国土交通省の示す扱いです。
売却前の解体にこだわる必要はありません。

解体後は土地の上に住宅がなくなるため、固定資産税の住宅用地の特例が外れます。
年をまたいで売れ残ると、翌年の税額が上がる点も踏まえて時期を決めましょう。

買取業者に直接売る

買取は、不動産会社が直接の買主になる売り方です。
買主を探す期間がかからず、査定から引き渡しまで2週間〜1ヵ月程度で進みます。
特例の期限が迫っているケースでは、期間を読めることが利点になります。

価格は市場価格の5割〜7割が目安です。
業者が再販するまでの改修費やリスクを差し引くためで、仲介より低くなるのが一般的です。
公的な統計はなく、幅は各社の公表値にもとづきます。

買取業者の強みは、残置物が残ったままでも引き取れる点です。
家財の処分費や解体費を売主が負担せずに済む場合、手取りで比べると差が縮まることもあります。

複数の業者に査定を依頼して、金額と引き渡し条件を並べて比べましょう。
1社だけの提示では、提示された金額が妥当かどうかを判断できません。

売却の期限が近い相続空き家は無料査定で買取の条件も比べておく

空き家の特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年末で期限が切れます。
仲介での売却活動に必要な期間は3ヵ月〜6ヵ月です。
残り時間から逆算すると、間に合わないおそれがあります。

ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の無料査定と買取相談を受け付けています。
残置物が残ったままの空き家、老朽化した実家、共有名義のままの不動産や再建築ができない土地も対象です。

査定は無料で、金額と引き渡し時期を聞いたうえで仲介を続ける判断もできます。
査定を受けたからといって、売却を決める必要はありません。

期限まで1年を切っている場合は、仲介と買取の条件を並べて比べておきましょう。
いくらで買い取ってもらえるかがわかれば、仲介の売り出し価格をどこまで下げるかの判断もつきます。

相続した空き家の売却で譲渡所得を減らせる3つの仕組み

相続した空き家の売却で譲渡所得を減らせる3つの仕組み

空き家を売って利益が出た場合、譲渡所得に対して税金がかかります。
相続した空き家には、譲渡所得を減らせる仕組みが3つあります。
空き家の特別控除、取得費加算の特例、概算取得費の3つです。

3つのうち空き家の特別控除と取得費加算の特例は、どちらか一方しか使えません。
控除額の大きい側を選ぶことになるため、売却前にどちらが有利かを確かめておきましょう。

なお、税額の計算方法や確定申告の書き方は本記事では扱いません。
要件と期限に絞って整理します。
3つの仕組みは効果も期限も異なるため、表で違いを確認しておきましょう。

仕組み効果期限主な要件
空き家の特別控除譲渡所得から最高3,000万円相続開始から3年経過日の属する年末昭和56年5月31日以前の建築
取得費加算の特例納めた相続税の一部を取得費に加算相続税の申告期限の翌日以後3年相続税を納めていること
概算取得費売却代金の5%を取得費とみなす期限なし取得費がわからないこと

空き家の特別控除と取得費加算の特例は選択適用です。
概算取得費は取得費が不明な場合の計算方法で、どちらの特例とも併せて使えます。
売却の前に、自分がどの仕組みを使えるかを確かめておきましょう。

空き家の3,000万円特別控除

空き家の特別控除は、被相続人が住んでいた家を相続した相続人が売る場合に、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です。
国税庁の要件では、建物の建築年と居住状況が問われます。

対象になるのは、昭和56年5月31日以前に建築された家屋です。
区分所有建物の登記がされていないこと、相続開始の直前に被相続人以外の居住者がいなかったことも条件になります。
譲渡対価の上限は1億円です。

控除額は相続人の人数で変わります。
令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上いる場合、1人あたりの控除額は2,000万円です。
制度の適用期限は令和9年12月31日の譲渡までです。

申告の際は、登記事項証明書、市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書、売買契約書の写しを提出します。
建物を残して売る場合は耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写しも加わります。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

相続税の取得費加算の特例

取得費加算の特例は、相続税を納めた人が相続財産を売ったときに、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
取得費が増えれば譲渡所得は減り、減った分だけ税額が下がります。

適用の条件は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡することです。
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月のため、相続開始からは実質3年10ヵ月が期限にあたります。

相続税を納めていない場合は使えません。
基礎控除の範囲に収まって申告が不要だったケースは、取得費加算の特例の対象外です。
まず納税の有無を確認しましょう。

空き家の特別控除との併用はできず、どちらか一方を選びます。
小規模宅地等の特例は相続税を計算する段階の制度で、譲渡所得の計算とは別の話です。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

取得費がわからないときの概算取得費

譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を引いて計算します。
取得費は被相続人が買ったときの金額を引き継ぐのが原則です。
ただし古い実家では、購入時の売買契約書が残っていないことも多くあります。

国税庁によれば、取得費がわからない場合は売った金額の5%相当額を取得費にできます。
3,000万円で売却したなら150万円が取得費です。

ただし概算取得費を使うと、実際の取得費より低くなることがほとんどです。
取得費が小さくなるぶん譲渡所得は大きく出て、税額も増えます。

売買契約書が見つからない場合でも、通帳の入出金記録、当時の分譲パンフレット、住宅ローンの返済予定表などが取得費の裏づけになることがあります。
概算取得費に切り替える前に、実額を示す資料を探しておきましょう。

相続した空き家を売却するときの4つの注意点

相続した空き家の売却では、後回しにすると取り返しがつかなくなる論点がいくつかあります。
名義の変更、特例の期限、放置による行政上の扱い、家財と管理の負担の4つです。

  • 名義変更の着手時期
  • 特例の期限からの逆算
  • 放置による固定資産税の増加
  • 残置物と遠方管理の費用

いずれも先に手を打っておけば、あとは進める順番の問題に収まります。
名義と期限の2点を最初に押さえておけば、あとの手戻りを減らせます。

4つに共通するのは、時間が経つほど選択肢が狭まるという性質です。
名義を変えないまま年月が過ぎれば協議の相手が増え、期限を過ぎれば税負担が跳ね上がります。
放置すれば固定資産税が上がり、家財は判断できる人がいなくなります。

売却を決めた時点で、4つの状況を一度確認しておきましょう。
どれも早く動くほど選択肢が残ります。

相続登記を後回しにすると売却直前で止まる

買主が決まっても、登記名義が被相続人のままでは決済に進めません。
所有権移転登記ができないため、代金の受け渡しそのものが成立しないからです。

相続登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要です。
本籍地を何度も移していると、複数の自治体に請求することになり、収集だけで1ヵ月を超えることもあります。
決済日が決まってから着手しても間に合いません。

放置している間に相続人の1人が亡くなれば、亡くなった人の相続人が新たな協議の相手に加わります。
協議の相手が増え、話がまとまるまでの期間はさらに延びます。

司法書士に依頼する場合も、書類集めの期間は変わりません。
売却を決めた時点で登記の着手を並行させましょう。
査定の依頼と同時に進めれば、売り方が決まるころには名義の準備も整います。

3年の期限を過ぎると特別控除が使えなくなる

空き家の特別控除の期限を過ぎると、譲渡所得の全額が課税対象になります。
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得にあたり、税率は20.315%になります。

内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。
譲渡所得が2,000万円出た場合、控除を使えるかどうかで税額は400万円以上変わります。

仲介で買主を探すなら3ヵ月〜6ヵ月、書類の準備を含めれば半年以上を見込んでおいてください。
期限の年末から逆算して着手時期を決めましょう。

期限まで1年を切っている場合は、仲介だけに絞らず買取も含めて出口を並べて比べておくと判断が早くなります。
控除の金額と売却価格の差を天秤にかける場面も出てきます。

放置を続けると管理不全空家に指定されるおそれがある

空き家を放置したままにすると、行政から管理不全空家に指定されることがあります。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく枠組みで、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態が対象です。

勧告を受けた土地は、固定資産税の住宅用地の特例の対象外です。
特例が外れれば課税標準額が上がり、税額は大きく増えます。
売れないまま持ち続けるほど、維持費の負担は重くなります。

指定につながりやすいのは、草木が敷地からはみ出している、郵便物があふれている、屋根や外壁が破損しているといった状態です。

遠方に住んでいて現地を見られない場合は、管理を代行するサービスを使う方法もあります。
ただし費用がかかり続けるため、売却の判断を先送りする理由にはなりません。

【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索

残置物と遠方管理の負担を先に見積もる

相続した空き家には、家財がそのまま残っていることがほとんどです。
仏壇、写真、衣類など相続人の判断が要るものが多く、処分の手配だけで数週間かかります。

処分費は物量と地域で変わり、一戸建て1棟分で数十万円規模になることもあります。
仲介では引き渡しまでの撤去を求められることが多いため、手取りの計算に入れておきましょう。

遠方に住んでいる場合は、往復の交通費と現地対応の日程も負担になります。
相続登記の書類集め、査定の立ち会い、決済と、現地へ足を運ぶ場面は複数回あります。

処分費の見積もりは査定の前に取り、実行は査定の結果を見てから判断しましょう。
残置物ごと引き取れる買取業者に依頼すれば、処分費が不要になる場合があります。

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相続した空き家の売却に関するよくある質問

Q

相続登記をしないまま空き家を売却できますか

A

相続登記は決済までに済ませておく手続きです。
登記名義人でなければ買主へ所有権を移せないため、契約を結んでも引き渡しに進めません。
相続登記は2024年4月から申請が義務づけられ、取得を知った日から3年以内という期限もあります。

Q

相続した空き家はいつまでに売却すればよいですか

A

特別控除を使うなら、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。
売却活動には3ヵ月〜6ヵ月かかるため、期限の半年前には査定と売り方の決定を終えておきましょう。

Q

相続人が3人以上のとき特別控除はいくらになりますか

A

1人あたり2,000万円になります。
令和6年1月1日以後の譲渡が対象で、相続人が2人までであれば1人あたり3,000万円のままです。
人数は空き家を相続した相続人の数で数えます。

Q

老人ホームに入居していた親の家でも特例は使えますか

A

要件を満たせば使えます。
介護保険法の要介護認定などを受けて老人ホームに入居していた場合が対象です。
入居から相続までの間、実家を貸したり他の親族が住んだりしていないことが条件になります。

Q

残置物が残ったままでも売却できますか

A

売却できます。
仲介では引き渡しまでの撤去を求められることが多いものの、買取であれば残置物ごと引き取れる場合があります。
処分費の見積もりを取ってから、どちらで進めるかを判断しましょう。

まとめ|相続した空き家の売却は名義・分け方・期限を決めてから査定へ

相続した空き家の売却は、名義・分け方・期限の3点を決めるところから始まります。
登記名義を相続人に変え、相続人が複数なら遺産分割で方針を決め、特例の期限を相続開始日から逆算します。

分け方は換価分割、代償分割、共有のまま売却の3通りです。
誰も住む予定がないなら換価分割が手続きの少ない選び方になります。
売却方法は仲介、更地、買取の3つです。
建物の状態と残り期間で選びます。

税の面では、空き家の特別控除と取得費加算の特例が選択適用の関係にあります。

まず着手すべきは、名義の確認と査定の依頼です。
名義の状態がわかれば手続きが決まり、査定を受ければ売り方を判断できます。

残置物が残ったままの空き家や老朽化した実家は、仲介では買主が限られる物件です。
ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の無料査定と買取相談を受け付けています。
期限まで時間があるうちに、いくらで売れるのかを確かめるところから始めてみてください。

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