空き家

空き家売却の流れ8ステップ|相続登記から確定申告まで期間と必要書類を解説

空き家売却の流れ8ステップ|相続登記から確定申告まで期間と必要書類を解説

親から相続した実家が空き家のままになっていて、そろそろ売却したいと考えている方は少なくありません。
ただ、いざ動こうとすると何から手をつければよいのかがわかりません。

空き家の売却で踏む工程は、名義の確認から翌年の確定申告まで8つです。
それぞれの工程で必要な書類も、かかる期間も違います。
順番を間違えると、解体費が無駄になったり、税金の控除を取り逃したりします。

本記事では、空き家売却の流れを8ステップに分けて整理しました。
各段階でやること、必要な書類、期間の目安、費用が発生するタイミングまでを順に解説します。
読み終えるころには、いま自分が着手すべき工程が1つに絞れます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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空き家売却の流れは8ステップ|完了までの目安は3ヵ月〜6ヵ月

空き家売却の流れは8ステップ|完了までの目安は3ヵ月〜6ヵ月

空き家の売却は、相続登記から翌年の確定申告まで8つのステップで進みます。
前半は売主が単独で進められる準備の工程で、後半は不動産会社とともに進める工程です。

8ステップのうち時間がかかるのは、相続登記の書類集めと売却活動の2つの区間です。
相続登記は戸籍をさかのぼって集める必要があるため、1ヵ月以上かかることも珍しくありません。
売却活動は買主が現れるまで期間が読めないため、3ヵ月を超えることも想定内です。

仲介で売るか買取業者に売るかによって、引き渡しまでの期間は大きく変わります。
売り方の選び方はSTEP3で扱います。
まずは全体の骨格から確認していきましょう。

空き家は住んでいる家の売却と違い、名義の確認や現地の管理といった前工程が加わります。
全体像を先に押さえておけば、どの工程を自分で進め、どこから不動産会社に任せるかを判断できます。

空き家売却の8ステップ全体像

空き家売却の8ステップは、STEP1からSTEP3までが売主の準備、STEP4以降が不動産会社と進める工程に分かれます。

ステップやること主な相手先
STEP1相続登記で名義を変える法務局・司法書士
STEP2必要書類をそろえ残置物と解体を判断する市区町村・処分業者
STEP3査定を依頼して売り方を決める不動産会社
STEP4媒介契約を結ぶ不動産会社
STEP5売却活動をおこなう不動産会社
STEP6売買契約を結ぶ買主・不動産会社
STEP7決済と引き渡しをおこなう買主・司法書士
STEP8翌年に確定申告をする税務署

STEP1からSTEP2までは、不動産会社に相談する前でも自分で進められます。
査定から契約までを早められるのは、名義の確認と書類集めを先に済ませた場合です。

STEP3以降は不動産会社とともに進める工程です。
空き家は現地の確認や通電の手配が必要になるため、遠方に住んでいる場合は早めに相談先を決めておくと段取りが組みやすくなります。

STEP8の確定申告だけは、引き渡しの翌年におこなう手続きです。
売却が終わってから数ヵ月あくため、必要な書類を保管したまま忘れずに手続きを進める必要があります。
売買契約書と領収書は申告まで手元に残しておきましょう。

完了までにかかる期間の目安

空き家の売却が完了するまでの目安は、合計で3ヵ月〜6ヵ月です。
内訳は準備に1ヵ月〜2ヵ月、売却活動に3ヵ月、契約から引き渡しに1ヵ月〜2ヵ月となります。

準備期間の長さは、相続登記が済んでいるかどうかで変わります。
名義が被相続人のままの場合、戸籍謄本を出生までさかのぼって集める作業が必要です。
相続人が多い場合や本籍地が何度も変わっている場合は、書類がそろうまでに1ヵ月以上かかります。

売却活動の期間は物件によって差があります。
不動産会社各社が公表する目安では、売却活動の期間は通常3ヵ月程度、古い物件では3ヵ月以上です。

期限がある場合は逆算が要ります。
相続した空き家の特別控除には適用期限があるため、期限から逆に売却活動の開始時期を決めておくと取り逃しを防げます。

STEP1:相続登記で名義を相続人に変える

空き家売却の最初の工程は、相続登記です。
登記名義人でなければ売主になれないため、名義が亡くなった方のままでは売買契約を結べません。

相続登記は2024年4月から申請が義務づけられました。
売却するかどうかにかかわらず、相続で不動産を取得した方には申請義務があります。
2024年4月より前に開始した相続も対象で、期限は2027年3月31日です。

相続人が複数いる場合は、誰の名義にするかを先に決めます。
共有名義のままでも売却はできますが、その場合は相続人全員の合意が必要になります。
手続きを進めやすくするなら、売却を担当する相続人の単独名義にする方法も選択肢です。

相続登記には期限があり、放置すると過料の対象になります。
売却を急いでいない場合でも、名義変更だけは早めに済ませておくほうが安全です。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

相続登記は2024年4月から義務化された

相続登記は、相続によって不動産を取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります。
正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象になります。

申請でそろえる書類は次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 不動産を取得する方の住民票
  • 固定資産評価証明書

遺産分割協議で名義人を決めた場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書も加わります。

登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。
評価額1,000万円の不動産なら4万円になります。

書類集めが負担になる場合は、司法書士に依頼する方法もあります。
手続きを自分で進めるか専門家に任せるかの判断材料は、戸籍の複雑さと期限との兼ね合いです。

相続人がすぐに確定できない場合は、法務局の相続人申告登記という簡易な手続きもあります。
申告をすれば義務を果たしたことになりますが、名義は変わりません。
売却には、別途で相続登記の申請が必要です。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

相続人が複数いるときは遺産分割協議で売却方針を決める

相続人が複数いる場合、空き家を共有名義のまま売却するには相続人全員の合意が必要です。
1人でも反対すれば売却できません。

そこで実務では、遺産分割協議の段階で売却方針まで決めておく方法がとられます。
代表的な方法は換価分割で、不動産を売却して現金化したうえで相続人の間で分ける形です。
売却を担当する相続人の単独名義に変え、売却代金を分配します。

もう1つは代償分割です。
1人が不動産を取得し、ほかの相続人にはその分に見合う金銭を支払います。
空き家を売らずに使い続けたい相続人がいる場合の方法です。

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停という手続きがあります。
ただし時間がかかるため、売却を急ぐなら早い段階で方針をすり合わせておくほうが現実的です。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

STEP2:必要書類をそろえ、残置物と解体の要否を判断する

名義の見通しが立ったら、売却に使う書類をそろえます。
書類は登記関係、測量関係、税関係の3系統です。

同時に、家財が残っている場合の処分と、建物を解体するかどうかを検討します。
査定を受ける前の段階では、見積もりを取るところまでにとどめます。
処分や解体を先に実行してしまうと、査定の結果しだいでは費用が無駄になるためです。

空き家は長く放置されているほど、書類の所在がわからなくなりがちです。
権利証や測量図が見つからない場合もあるため、早めに探し始めるようおすすめします。

書類がそろわないまま査定に進むと、出てくる価格は精度の低いものです。
とくに境界が確定していない土地は、測量の要否で費用が数十万円単位で変わります。
手元にある資料を先に整理しておきましょう。

売却に必要な書類をそろえる

空き家の売却に必要な書類は、登記識別情報と測量図が中心になります。
あわせて必要になるのが、固定資産税納税通知書と印鑑証明書です。

書類入手先備考
登記識別情報自宅で保管いわゆる権利証
登記事項証明書法務局名義と抵当権を確認する
測量図・境界確認書自宅で保管・法務局境界未確定なら測量が必要
固定資産税納税通知書市区町村から送付評価額と税額を確認する
印鑑証明書市区町村発行から3ヵ月以内のもの

登記識別情報が見つからない場合でも売却はできます。
司法書士による本人確認情報の作成など、代わりの手続きがあるためです。
ただし別途費用がかかるため、まずは自宅を探してみてください。

境界が確定していない土地は、測量から始めることになります。
隣地所有者の立ち会いが必要になるため、見込む期間は1ヵ月〜3ヵ月です。

相続した空き家では、建物の図面や過去のリフォーム履歴が残っていることもあります。
買主への説明材料になるため、見つかったら保管しておきましょう。
建築確認済証や検査済証があると、再建築の可否を確認しやすくなります。

残置物の処分は査定前に見積もりだけ取る

家財や家電が残っていても、空き家は売却できます。
処分するかどうかは、費用の見積もりを取ってから判断するほうが確実です。

不動産会社や片づけ業者が公表する目安では、一戸建ての家財道具の処分費は20万円〜50万円です。
物量や搬出のしやすさで金額は変わるため、複数の業者から見積もりを取って比べます。

買取業者に売る場合、家財を残したままの引き渡しも可能です。
処分費を売主が負担せずに済むため、荷物が多い空き家では有力な選択肢になります。

なお、片付けを始める前に貴重品の確認を済ませてください。
権利証や通帳、遺言書が家の中に残っていることがあります。
処分業者に任せる前に、書類の入った引き出しや仏壇まわりを見ておきましょう。

解体するかどうかと解体の時期を決める

建物を解体して更地にするかどうかは、査定を受けてから判断します。
更地のほうが買主の幅は広がりますが、解体費を売主が負担することになるためです。

公表されている目安では、解体費は木造で坪4万円〜5万円、鉄骨造で坪6万円〜7万円、鉄筋コンクリート造で坪7万円〜8万円です。
30坪の木造住宅なら120万円〜150万円が目安になります。

解体する場合は、実施する時期に気をつけてください。
住宅が建っている土地には固定資産税の住宅用地の特例が適用されますが、更地にすると特例が外れて税額が上がります。

固定資産税は毎年1月1日時点の現況で課税されます。
年内に解体すると翌年度から税額が上がるため、解体は年が明けてからおこなうのが基本です。
売却の時期と合わせて、不動産会社と相談しながら決めましょう。

STEP3:査定を依頼して売り方を決める

STEP3:査定を依頼して売り方を決める

査定は、空き家がいくらで売れるかを知る工程です。
同時に、仲介で売るか買取業者に売るかを決める分岐点にもなります。

空き家の売り方は、そのまま売る、更地にして売る、買取業者に売るの3つに大きく分かれます。
価格の高さとスピードは逆の方向に動くため、選ぶ基準はどちらを優先するかです。

老朽化が進んでいる、家財が残っている、再建築ができないといった事情がある空き家は、仲介では買主が限られます。
査定の段階で、仲介と買取の両方の条件を聞いておくと判断しやすくなります。

査定を受けるまでは、解体もリフォームも実行しないでください。
査定額を見ないまま費用をかけると、回収できないまま手取りが減ります。
売り方が決まってから工事の要否を判断します。

空き家の売り方は「そのまま」「更地」「買取」の3つ

空き家の売り方は3つあり、手取りを優先するならそのまま仲介に出す方法、早さと確実さを優先するなら買取が向いています。

売り方価格の目安期間の目安向いている物件
そのまま仲介市場価格3ヵ月〜6ヵ月住める状態を保っている
更地にして仲介市場価格−解体費4ヵ月〜7ヵ月建物の傷みが激しい
買取業者に売る市場価格の6割〜8割程度数週間〜1ヵ月残置物・老朽化・訳あり

表の価格と期間は各社が公表している目安です。
買取価格に公的な統計はなく、物件の条件や業者で幅が出ます。
実際の金額と日程は査定で確認してください。

リフォームしてから売る方法もあります。
かけた費用を売却価格に上乗せできるとは限りません。
工事期間中は売却活動ができないため、選べるのは費用の回収見込みが立つ場合です。

自治体が運営する空き家バンクを使う方法もあります。
掲載は無料ですが、買主が地域の移住希望者などに限られやすく、成約までの期間は読みにくくなります。

売り方の選択を大きく左右する要素は、期限の有無です。
特例の期限が近い場合や管理の負担が重い場合は、価格より確実さを優先する判断もあります。
査定の段階で見込み額と期間を並べて比べておきましょう。

査定は複数社に依頼して根拠を比べる

査定は3社程度に依頼して、金額そのものではなく価格の根拠を比べます。
査定額は不動産会社によって異なり、高い金額を出した会社がそのまま高く売ってくれるとは限らないためです。

査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。
机上査定は物件情報だけで概算を出す方法、訪問査定は現地を見て建物の状態まで踏まえる方法です。
空き家は傷み具合が価格に影響するため、訪問査定を受けるほうが実態に近い数字が出ます。

比べるのは、近隣の成約事例、想定している売却期間、価格の設定根拠の3点です。
根拠を具体的に示せる会社は、売れなかったときの見直しも早く提案してくれます。

あわせて、空き家の取り扱い実績があるかを確認しておきましょう。
空き家は通電や通水の手配、残置物の扱いといった点で、居住中の物件とは進め方が異なります。

仲介と買取では引き渡しまでの期間が変わる

仲介と買取では、引き渡しまでの期間が大きく変わります。
仲介は買主が見つかるまで期間が読めず、買取は業者が直接買い取るため日程を確定しやすくなります。

仲介の場合、売却活動に3ヵ月程度、売買契約から引き渡しまでにさらに1ヵ月〜2ヵ月が目安です。
買主が住宅ローンを使う場合は、金融機関の審査期間も加わります。

買取の場合は、査定から引き渡しまで数週間で完了する例があります。
買取業者各社が公表する目安では、買取価格は市場価格より2割〜4割程度低い水準です。
価格が下がるぶん、期間と確実さを得る形です。

相続した空き家の特別控除には期限があります。
期限が近づいている場合は、仲介にこだわらず買取も含めて条件を比べたほうが、手元に残る金額は大きくなりやすいです。

特例の期限が近い空き家は、仲介の結果を待つ時間そのものが手取りを減らします。
ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産を扱う会社へ無料で買取の査定を依頼でき、引き渡しまでの日程を先に確かめられます。

STEP4〜5:媒介契約を結んで売却活動を始める

売り方が決まったら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約は宅地建物取引業法にもとづく契約で、依頼内容を書面で取り決めます。

媒介契約には3つの型があり、違いは依頼できる会社の数と報告の頻度です。
複数社に任せたいのか、1社にまとめて任せたいのかで選ぶ型が変わります。

契約を結ぶと売却活動が始まります。
広告の掲載から内覧の対応まで不動産会社が進めますが、空き家では売主側の準備も欠かせない工程です。

専任媒介と専属専任媒介の契約期間は、宅地建物取引業法で3ヵ月以内と定められています。
期間が切れるタイミングは、価格や売り方を見直す区切りになります。
1社に任せきりにせず、進捗を数字で確認しながら進めましょう。
買取業者に直接売る場合は媒介契約を結ばず、業者と売買契約を直接結ぶ形になります。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

STEP4 媒介契約は一般・専任・専属専任の3種類から選ぶ

媒介契約は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類です。
複数社に競わせたいなら一般媒介、1社に任せて定期報告を受けたいなら専任系が向いています。

契約の型依頼できる社数自分で買主を探す報告頻度契約期間
一般媒介複数社できる定めなし定めなし
専任媒介1社できる2週間に1回以上3ヵ月以内
専属専任媒介1社できない1週間に1回以上3ヵ月以内

専任媒介と専属専任媒介では、不動産流通機構のネットワークへの物件登録が義務づけられています。
登録によってほかの不動産会社にも物件情報が共有されるため、1社に絞っても買主の間口は同じです。

一般媒介は複数社に依頼できる反面、報告義務がないため進捗が見えにくくなります。
遠方に住んでいて自分で状況を追いにくい場合に管理しやすいのは、報告のある専任系です。

空き家の売却では、専任媒介を選ぶ方が多い傾向にあります。
現地の鍵の管理や内覧の立ち会いを1社に任せられるためです。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

STEP5 売却活動の期間は3ヵ月が一つの目安

売却活動の期間は3ヵ月が一つの区切りになります。
専任媒介と専属専任媒介の契約期間が3ヵ月以内と定められているためです。

売却活動では、不動産会社が物件情報をポータルサイトに掲載し、問い合わせに対応し、内覧を調整します。
売主が関わるのは、内覧の日程調整と現地の準備です。

空き家の内覧には準備が要ります。
電気と水道が止まっていると、室内が暗く水回りも確認できないためです。
内覧が入りそうな時期には、電気の再開と定期的な換気をしておくと印象が変わります。

築年数の古い空き家は、3ヵ月を超えることもあります。
契約更新のタイミングで、価格と売り方をあらためて見直しましょう。

草木の手入れや郵便物の整理も、売却期間中は続ける必要があります。
放置された印象があると、内覧での評価が下がるためです。

反響が少ないときは価格と売り方を見直す

売り出してから3ヵ月たっても問い合わせが数件に満たない場合は、価格の設定か売り方のどちらかを見直します。

価格の見直しは、近隣の成約事例をもとにおこないます。
売り出し価格が相場より高いと、ポータルサイトの検索条件から外れて閲覧すらされない状態です。
不動産会社に問い合わせ件数と閲覧数を確認し、数字を見ながら調整します。

売り方を変える方法もあります。
中古住宅として売り出していた物件を古家付き土地に変えると、購入後に建て替えを考えている層が主な買い手です。
逆に、更地にする前提で価格を組み直す選択肢もあります。

それでも動きが出ない場合は、買取への切り替えを検討します。
売れない期間が延びるほど、管理費と固定資産税の負担が積み上がるためです。

STEP6〜7:売買契約から決済・引き渡しまで

買主が決まったら、売買契約を結びます。
契約日と決済日は分かれるのが一般的で、その間隔は1ヵ月〜2ヵ月です。

契約日には、重要事項の説明を受けたうえで契約書に署名し、手付金を受け取ります。
決済日におこなうのは、残代金の受け取り、所有権移転登記の申請、鍵の引き渡しです。

契約から決済までの期間には、買主の住宅ローン審査や、売主側の残置物の撤去が入ります。
引き渡しの条件は契約書で決まるため、当日になって慌てないよう内容を確認しておきましょう。

買取業者に売る場合は、契約と決済を同じ日にまとめることもあります。
住宅ローンの審査が入らず、日程を短縮しやすいためです。
引き渡しまでの期間を優先するなら、契約の段取りも査定の際に確認しておきましょう。

STEP6 売買契約では手付金を受け取り引き渡し条件を決める

売買契約では、買主から手付金を受け取ります。
手付金は売買代金の10%程度とするのが一般的です。

契約書では、引き渡しの時期、残置物の扱い、境界の明示方法を取り決めます。
空き家の売却で争点になりやすいのは、家財をどこまで撤去して引き渡すかです。
撤去する範囲は契約書の文言で明確にしておきます。

契約時には印紙税がかかります。
租税特別措置法の軽減措置により、売買代金が1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超1億円以下の場合は3万円です。

契約の前には、宅地建物取引士から買主に重要事項の説明がおこなわれます。
売主が把握している建物の不具合は、告知書に記載して買主に伝える対象です。

空き家は長く使われていないため、給排水の状態を把握できていないことがあります。
わからない点は推測で書かず、確認できていない旨をそのまま記載します。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

STEP7 決済と同時に所有権移転登記と鍵を引き渡す

決済日には、残代金の受領、所有権移転登記の申請、鍵の引き渡しが同じ場でおこなわれます。
売主と買主のほか、不動産会社と司法書士、金融機関の担当者が集まる形が一般的です。

売主が用意する書類は次のとおりです。

  • 登記識別情報
  • 実印と印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 本人確認書類

抵当権が残っている場合は、金融機関から抹消に必要な書類を受け取ります。

固定資産税は、引き渡し日を基準に日割りで精算します。
1年分を売主が納付済みのため、引き渡し日以降の分を買主から受け取る形です。

遠方に住んでいて決済に立ち会えない場合は、司法書士に委任する方法があります。
事前に書類のやりとりが必要になるため、余裕をもって不動産会社に相談しておきましょう。

決済の場では、電気やガス、水道の解約手続きの状況も確認します。
空き家で契約を止めている場合は、止めている事実を買主に伝えておきます。

引き渡し後の契約不適合責任の範囲を確認しておく

引き渡した後に建物の不具合が見つかった場合、売主が責任を負うことがあります。
契約不適合責任と呼ばれる仕組みで、契約の内容に適合しない状態だったときに買主が修補や減額を求められます。

そのため、責任を負う期間と範囲は契約書で定めておくことが大切です。
個人が売主の場合、引き渡しから3ヵ月間に限定するといった取り決めがよく用いられます。

売主が知っている不具合は、告知書に書いて買主に伝えます。
雨漏り、シロアリ被害、給排水管の不具合などが対象です。
知りながら伝えなかった場合は、期間を限定していても責任を免れません。

買取業者に売る場合に結ばれることがあるのは、契約不適合責任を免除する取り決めです。
長く放置していて建物の状態を把握しきれない空き家では、責任の範囲が判断材料になります。

【参考】民法|e-Gov 法令検索

買い手が決まらない空き家は無料査定で買取の条件も比べておく

売却活動が長引くほど、負担は積み上がります。
空き家の管理費、固定資産税、火災保険料は売れるまで払い続けることになり、相続した空き家の特別控除には期限があるためです。

仲介で3ヵ月たっても反響が少ない空き家は、買取という出口を並べて比べておくと判断が早くなります。
ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の買取相談を無料で受け付けています。
残置物が残ったままの空き家や老朽化した実家、再建築ができない土地や共有持分も対象です。

査定は無料で、条件を聞いたうえで仲介を続ける判断もできます。
売れない期間を延ばす前に、いくらで買い取ってもらえるのかを1度確かめておきましょう。

査定を受けても、そのまま仲介を続ける選択は残ります。
金額と引き渡し時期を聞いたうえで、仲介を続けるか切り替えるかを選べます。

STEP8:翌年の確定申告で使える特例を申告する

空き家を売って利益が出た場合、翌年に確定申告をおこないます。
申告期間は原則として2月16日から3月15日までです。

売却の税金には控除の特例がいくつかあります。
特例は、確定申告をして初めて適用されます。
税額が0円になる場合でも、申告そのものは必要です。

相続した空き家には専用の特別控除があり、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円までを差し引けます。
ほかにも取得費加算や低未利用土地の控除があるため、自分の物件がどれに当たるかを確認しましょう。

申告に必要な書類は、売買契約書と取得時の契約書、仲介手数料の領収書です。
特例を使う場合は、市区町村が発行する確認書も加わります。
書類を集めるのに時間がかかるため、年内に準備を始めておきましょう。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

譲渡所得が出たら翌年2月16日〜3月15日に確定申告する

確定申告が必要かどうかは、譲渡所得が出たかどうかで決まります。
譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

取得費は、売った不動産を買ったときの代金と諸費用から、建物の使用による価値の減少分を差し引いた金額です。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、解体費など売却のために直接かかった費用を指します。

税率は所有期間で変わります。
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得で20.315%、5年以下なら短期譲渡所得で39.63%です。
相続した不動産は、被相続人が取得した日を引き継いで計算します。

取得費がわからない場合は、売却代金の5%を概算取得費として使えます。
ただし実際の取得費より低くなることが多いため、売買契約書が残っていないか探しておきましょう。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

相続した空き家は3,000万円の特別控除を使える場合がある

相続した空き家を売却した場合、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円までを控除できます。
被相続人の居住用財産を売ったときの特例と呼ばれる仕組みです。

主な要件は3つあります。
1つ目は、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋であることです。
2つ目として、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を終えることが求められます。
3つ目は、耐震基準を満たすよう改修するか、建物を取り壊してから売却する点です。
売却代金が1億円以下であることも要件になります。
2024年1月1日以後の譲渡では、対象の家屋等を取得した相続人が3人以上の場合、控除額の上限は2,000万円です。

区分所有建物の登記がされている建物は対象外です。
分譲マンションを相続した場合はこの特例を使えないため、ほかの控除を検討します。

申告では、市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書を添付します。
発行までに時間がかかることがあるため、売却が決まった段階で役所に問い合わせておきましょう。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

取得費加算と低未利用土地の控除も確認する

3,000万円の特別控除が使えない場合でも、ほかの控除を検討できます。
相続税を納めたなら取得費加算、売却代金が低額なら低未利用土地の控除が候補になります。

取得費加算の特例は、納めた相続税の一部を取得費に上乗せできる仕組みです。
相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却することが条件になります。
取得費が増えるぶん譲渡所得が圧縮され、税額が下がります。

低未利用土地等の100万円控除は、使われていない土地を流通させるための特例です。
売却価格500万円以下で所有期間5年超といった要件があります。

特例には併用できない組み合わせがあります。
どれを使うかで税額が変わるため、売却前に税務署か税理士に確認しておくと安心です。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

空き家売却で費用と税金が発生するタイミング

空き家売却で費用と税金が発生するタイミング

空き家売却の費用は4つのタイミングに分かれます。
売り出す前と契約時、引き渡し時、そして翌年の申告時です。
それぞれ支払う相手も金額の性質も違います。

手元から現金を出す必要があるのは、売り出す前の測量費、解体費、残置物の処分費です。
売却代金が入る前に負担するため、資金の準備が要ります。

仲介手数料は、売買契約時と引き渡し時に半額ずつ支払う形が一般的です。
売却代金から充当できるため、手出しの負担は小さくなります。

空き家の売却では、居住中の物件にはかからない費用が加わります。
残置物の処分費や、通電と通水を再開するための費用です。
売り出す前にどこまで手を入れるかで総額が変わるため、査定の段階で見込み額を確認しておきましょう。

費用の一覧と目安

空き家売却でかかる費用は、仲介手数料、印紙税、登記費用が基本です。
物件の状況によって、測量費、解体費、残置物の処分費が加わります。

費目目安発生タイミング
測量費35万円〜80万円売り出す前
残置物の処分費20万円〜50万円売り出す前〜引き渡し前
解体費木造で坪4万円〜5万円売り出す前
印紙税1万円〜3万円契約時
仲介手数料売却額の3%+6万円と消費税契約時と引き渡し時
抵当権抹消・登記費用1万円〜3万円引き渡し時

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通省の告示で定められています。
売買代金が400万円を超える場合は、売買代金の3%に6万円を加えた額に消費税を足した金額が上限です。

測量費、解体費、残置物の処分費は、公的な統計がありません。
表の金額は不動産会社や施工業者が公表している目安であり、地域や物件の条件で変わります。
実際の金額は見積もりで確認してください。

買取業者に売る場合は、仲介手数料がかからない点が違いになります。
業者が直接の買い主になり、仲介という取引の形をとらないためです。

【参考】宅地建物取引業法|e-Gov 法令検索

売却後にかかる税金

売却して利益が出た場合、所得税と住民税がかかります。
納付のタイミングは売却の翌年以降になるため、資金を残しておく必要があります。

長期譲渡所得の税率20.315%の内訳は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。
短期譲渡所得の39.63%は、所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%で構成されます。

所得税の納付期限は、確定申告の期限と同じです。
住民税は翌年度の課税として反映されるため、6月ごろから支払いが始まります。
給与所得者の場合は、給与からの天引きか自分で納付するかを選べます。

特例を使って税額が0円になる場合でも、確定申告は必要です。
申告しなければ特例が適用されず、後から課税されることになります。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

空き家売却の流れでつまずきやすい4つの注意点

空き家売却で手が止まりやすいのは、名義と期限、書類と売却期間の4点です。
いずれも準備の段階で対処しておけば避けられます。

とくに名義と期限は、後から取り返しがつきません。
契約の日程に間に合わなくなるのは、買主が決まってから名義変更に着手した場合です。
控除の期限を過ぎてしまうと、数百万円単位で手取りが変わることもあります。

売却を先送りしたまま放置を続けると、税負担が変わる場合もあります。
順に確認していきましょう。

つまずきの多くは、工程の順番を入れ替えたときに起きます。
査定より先に解体する、名義を確認しないまま売却活動を始めるといった進め方です。
順番どおりに進めるだけで避けられる手戻りは少なくありません。
とくに相談の多い4点を順に取り上げます。

名義変更を後回しにすると契約直前で止まる

相続登記は、査定と並行して着手します。
買主が決まっても名義が変わっていなければ引き渡せないためです。

戸籍集めに時間がかかるのは、被相続人が転籍を繰り返している場合や、相続人が兄弟姉妹に及ぶ場合です。
除籍謄本や改製原戸籍を複数の市区町村から取り寄せることになり、郵送でのやりとりだけで数週間かかります。

不動産の所在地が遠方でも、法務局への申請は郵送やオンラインで可能です。
現地に出向く必要はありません。

自分で進めるのが難しい場合は、司法書士に依頼する方法があります。
費用は事案によって幅があるため、複数の事務所に見積もりを取って比べてください。

査定を受ける段階で、名義の状況を不動産会社に伝えておきましょう。
登記の完了時期を見込んだうえで、売却活動の開始日を決められます。

【参考】不動産登記法|e-Gov 法令検索

特例の期限から逆算してスケジュールを組む

相続した空き家の特別控除には期限があります。
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を終える必要があります。

起算点は相続の開始日、つまり被相続人が亡くなった日です。
相続登記をした日でも、空き家になった日でもありません。
まず起算点を確認したうえで、残り期間を数えましょう。

逆算する際は、売却活動に3ヵ月、契約から引き渡しに1ヵ月〜2ヵ月を見込みます。
さらに相続登記と書類集めに1ヵ月〜2ヵ月かかるため、期限の8ヵ月前には動き出しておきたいところです。

期限が半年を切っている場合は、仲介だけで進めるとリスクが残ります。
買取であれば日程を確定しやすいため、両方の条件を並べて比べる方法が現実的です。

【参考】租税特別措置法|e-Gov 法令検索

売却期間は余裕をもって見積もる

築年数の古い空き家は、3ヵ月で買主が決まらないことがあります。
半年程度を見込んでおくと、途中で焦って値下げする事態を避けられます。

長引きやすいのは、駅から遠い物件や接道が狭い物件です。
再建築ができない土地や建物の傷みが激しい家も同じ傾向にあります。
買主の層が限られるため、母数そのものが少なくなります。

売れない期間にも、費用の負担は続いたままです。
固定資産税、火災保険料、庭木の手入れや通気のための管理費が続きます。
遠方に住んでいる場合に加わるのが、管理を業者に委託する費用です。

期間が読めない場合は、期限を先に決めておく方法があります。
たとえば3ヵ月で反響がなければ価格を見直す、半年で決まらなければ買取に切り替えるといった基準です。

放置を続けると管理不全空家に指定されるおそれがある

売却も活用もせずに放置し続けると、市区町村から空き家の管理について指導を受けることがあります。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく仕組みです。

同法では、そのまま放置すれば倒壊などのおそれがある空き家を特定空家、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家を管理不全空家と位置づけています。
管理不全空家は2023年の法改正で加えられました。

市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなります。
特例が外れると土地の固定資産税の負担が大きく増えるため、放置を続けるほど費用面では不利です。

指定を受ける前に売却の判断をしておくことが、結果として負担を抑える近道になります。
管理の見通しが立たない空き家は、早い段階で査定を受けておきましょう。

管理の見通しが立たない空き家は、指定を受ける前に金額を知っておくと判断が早くなります。
ベンナビ不動産売却では、老朽化した家や残置物が残ったままの家も無料で査定を受け付けています。

【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索

空き家の売却の悩みは「ベンナビ不動産売却」で解決しよう

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空き家売却の流れに関するよくある質問

Q

空き家の売却にはどれくらいの期間がかかりますか

A

準備に1ヵ月〜2ヵ月、売却活動に3ヵ月、契約から引き渡しに1ヵ月〜2ヵ月で、合計3ヵ月〜6ヵ月が目安です。
相続登記が未了の場合や、築年数の古い物件では半年を超えることもあります。

Q

相続登記をしないまま売却できますか

A

登記名義人でなければ売主になれないため、相続登記を済ませてから売却します。
相続登記は2024年4月から申請が義務づけられており、取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。

Q

空き家を売却したら必ず確定申告が必要ですか

A

売却によって譲渡所得が出たかどうかが、申告の要否を分ける基準です。
特例を使って税額が0円になる場合でも、申告しなければ特例が適用されません。
損失が出た場合は申告義務がないものの、控除を受けられることがあります。

Q

遠方に住んでいても空き家を売却できますか

A

売却できます。
相続登記は郵送やオンラインで申請でき、決済に立ち会えない場合は司法書士に委任する方法があります。
内覧の立ち会いも不動産会社が代行するのが一般的です。

Q

家財が残ったままでも売却できますか

A

売却できます。
仲介の場合は引き渡しまでに撤去する取り決めが多いものの、買取であれば残置物を残したまま引き渡せることがあります。
処分費の見積もりを取ってから判断しましょう。

まとめ|空き家売却の流れは8ステップ・名義の確認と査定から始める

空き家売却は8ステップで進みます。
出発点は相続登記と書類の準備で、査定と媒介契約を経て売却活動に入る流れです。
買主が決まれば売買契約と引き渡しに進み、翌年の確定申告で完了します。
完了までの目安は3ヵ月〜6ヵ月です。

順番を守ることが手戻りを防ぎます。
名義を変えないまま売却活動を始めれば契約直前で止まり、査定を受ける前に解体すれば費用は無駄です。
特別控除には期限があるため、起算点からの逆算も欠かせません。

まず着手すべきは、名義の確認と査定の依頼です。
名義の状態がわかれば必要な手続きが決まり、査定を受ければ仲介と買取のどちらで進めるかを判断できます。

残置物が残ったままの空き家や傷みが激しい家は、仲介では買主が限られる物件です。
ベンナビ不動産売却では、訳あり不動産の無料査定と買取相談を受け付けています。
売れない期間を延ばす前に、いくらで売れるのかを確かめるところから始めてみてください。

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監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。