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既存不適格とは?違反建築物との違いと売却・建て替えの可否を解説
相続した実家や長く所有している建物について、不動産会社や役所から「既存不適格にあたります」と告げられた方は少なくありません。
違法な建物なのかどうか判断できず、次の一手を決めかねている方も多くいます。
本記事で扱うのは、既存不適格の意味と違反建築物との違いです。
該当するかを調べる手順、住宅ローンや建て替えへの影響、売却時の注意点まで扱います。
読み終えるころには、保有と売却のどちらに進むかを判断する材料がそろいます。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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既存不適格とは建てたあとの法改正で現行の基準に合わなくなった建物

既存不適格建築物とは着工した時点の法令には適合していた建物を指します。
のちの法改正や都市計画の変更によって、現行の基準に合わなくなった状態です。
違法な状態ではなく、建築基準法3条2項によって現行規定の適用が外れている建物です。
混同されやすい違反建築物と並べながら、意味を確かめていきましょう。
既存不適格建築物|建築時は適法で、あとの法改正により現行基準に合わなくなった建物
既存不適格建築物とは、着工の時点では法令に適合していた建物です。
のちの法改正や都市計画の変更によって、現行の基準に適合しなくなった状態を指します。
根拠は建築基準法3条2項です。
法令の規定が施行または適用される際に現に存在する建築物が適合しない場合、適合しない規定を適用しないと定めています。
所有者に落ち度がなくても既存不適格は生じるという点が特徴です。
一方で、適合しない部分について是正命令を受けることも原則としてありません。
身近な例は、1981年5月末までに建築確認を受けた旧耐震基準の住宅です。
現行の耐震基準を満たしていなくても、建て替えや増築をしない限り法律上は適法な建物として扱われます。
築40年を超える戸建てやマンションでは珍しい状態ではなく、全国に相当数が残っています。
違反建築物|建築の時点から法令に違反していた建物
違反建築物とは着工の時点ですでに法令に違反していた建物、または建築確認を受けた内容と異なる建て方をした建物です。
典型例は、確認申請を出さずに増築したケースや、申請図面より広い床面積で建ててしまったケースです。
完了検査を受けたあとに違法な増築をした場合も違反建築物にあたります。
違反建築物には行政処分の対象になるという重い不利益があります。
根拠は建築基準法9条1項です。
特定行政庁は建築主や所有者などに対し、除却・移転・改築・修繕・使用禁止・使用制限といった是正措置を命じることができます。
命令に従わない場合には罰則が科されるため、違反建築物と判明した段階で建築士に相談し、是正の可否を確かめましょう。
既存不適格と違反建築物の違いは着工時点で適法だったかどうか
既存不適格と違反建築物を切り分ける基準は、着工の時点で法令に適合していたかどうかの1点だけです。
着工時に適法なら既存不適格、着工時から違法なら違反建築物と整理できます。
両者の扱いの差は、行政処分の有無だけでなく、住宅ローンや売却のしやすさにも及ぶ点に注意してください。
| 比較項目 | 既存不適格建築物 | 違反建築物 |
|---|---|---|
| 着工時点の適法性 | 適法だった | 違法だった |
| 是正命令の有無 | 原則として受けない | 特定行政庁から命じられる |
| 住宅ローンの通りやすさ | 金融機関により審査が厳しくなる | 融資を断られる場合が大半 |
| 売買の可否 | 可能 | 可能だが買主が極端に限られる |
| 建て替え時の扱い | 現行基準が適用される | 現行基準が適用される |
手元に検査済証が残っていれば、完了検査に合格した記録があるため、着工時点では適法だった可能性が高いといえます。
検査済証があって以後の増築もなければ既存不適格、無確認の増築があれば違反建築物、と切り分けてください。
着工時は適法でも、後から無確認で増築した部分だけが違反という混在型もあります。
建物全体を一括で判断せず、増築の履歴まで含めて確認しましょう。
建物が既存不適格になる4つの原因

既存不適格は、法改正と都市計画の変更という2系統の出来事から生まれます。
建築基準法3条2項は、規定が施行された時点ですでに建っていた建築物を対象にしています。
つまり所有者に落ち度がなくても既存不適格になる仕組みです。
代表的な4つの原因を順に見ていきましょう。
接道義務の追加や道路の指定変更で敷地が基準を満たさなくなった
建築基準法43条1項は、建築物の敷地が道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。
ただし道路の定義は狭いです。
建築基準法上の道路は、同法42条1項により原則として幅員4メートル以上に限られます。
同法が施行された1950年より前に建った家や、細い路地の奥にある家には、接道の条件を満たさない敷地が残りました。
幅員4メートル未満の道でも、同法42条2項により特定行政庁が指定したものは道路とみなされます。
ただし道路の中心線から水平距離2メートルの線が境界線とみなされる点に注意してください。
建て替えの際は敷地を後退させる必要が生じ、使える敷地面積は実質的に減ります。
接道の条件を満たさない敷地は再建築不可物件にもなりやすいため、建て替えを考えているなら先に役所で道路の種別を確認しましょう。
建ぺい率・容積率の引き下げで建物の面積が上限を超えた
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
建築基準法53条と52条にもとづく上限は用途地域ごとに定められており、都市計画の見直しで引き下げられる場合があります。
引き下げの影響は建物側に及びました。
建てたときは基準内だった建物が現行の上限を超え、既存不適格に変わってしまうわけです。
面積オーバー型かどうかは、建築計画概要書に記載された数値と現在の指定を比べれば判定できます。
延べ床面積を敷地面積で割った数字が現在の容積率の上限を超えていれば、既存不適格に該当します。
建て替えの際に規模がどれだけ縮むかはデメリットの章で扱うため、まずは自分の建物が上限を超えているかを確かめましょう。
耐震基準の改正で現行の構造基準を満たさなくなった
耐震基準は1981年6月1日に大きく改正され、以降の基準は新耐震基準と呼ばれます。
判定の基準になるのは竣工日ではなく、建築確認を受けた日です。
1981年6月以降に完成した建物でも、確認が5月末までなら旧耐震基準にあたります。
旧耐震のまま使われている建物は、現行の構造基準に適合しない既存不適格です。
木造住宅については2000年にも改正がありました。
地盤調査にもとづく基礎の設計、柱と土台をつなぐ接合金物、耐力壁のバランス配置が求められています。
2000年5月以前に確認を受けた木造住宅は、新耐震基準であっても現行の仕様を満たさない場合があります。
耐震診断を受ければ評価が数値で出るため、改修と売却のどちらが有利かを比べる材料として活用しましょう。
用途地域の変更で今は建てられない用途の建物になった
建築基準法48条は、用途地域ごとに建てられる建築物の種類を制限しています。
第一種低層住居専用地域で認められる店舗や事務所の用途は、ごく限られた範囲です。
都市計画で用途地域が変更されると、変更前は適法だった店舗併用住宅や小規模な工場でも扱いが変わります。
現在の地域では新築できない用途の建物になってしまう形です。
用途が原因の既存不適格は、建て替えの際に同じ使い方を継続できないという形で表面化します。
建物の用途を変える場合にも制限があり、同法87条により、特殊建築物への用途変更では建築確認の規定が準用されます。
今の使い方を続けたいのか、建て替えて別の使い方に変えたいのかを整理してから、役所の建築指導課に相談しましょう。
自分の建物が既存不適格かどうかを調べる3つの方法

既存不適格かどうかは、手元の書類、役所での資料取得、現況との照合という順で調べられます。
書類が残っていなくても役所の記録から追えるため、専門家に依頼する前におおよその見当をつけられます。
3つの手順を順に確認していきましょう。
①建築確認済証と検査済証が残っているかを確認する
建築確認済証は着工前に交付される書類で、計画が建築基準関係規定に適合していると確認された証明です。
検査済証は、工事完了後の検査に合格したときに交付される書類です。
建築基準法7条5項は、建築物と敷地が建築基準関係規定に適合していると認めたときに、建築主へ交付しなければならないと定めています。
2つの書類がそろっていれば、着工から完成まで適法に進んだ建物だと判断できます。
検査済証が見つからない場合でも、違反建築物と決まるわけではない点に注意してください。
1990年代までは完了検査を受けない建物が多く、適法に建てながら検査済証だけがないケースが相当数あります。
書類が見つからない場合は、次の手順で役所の記録を確認しましょう。
②役所の建築指導課で建築計画概要書と台帳記載事項証明書を取得する
建築計画概要書とは建築確認申請の内容の要点をまとめた閲覧用の書類です。
建築主・敷地面積・建築面積・延べ床面積・用途地域などが記載されています。
建築基準法93条の2は、特定行政庁が確認申請書や計画概要書を一般の閲覧に供しなければならないと定めています。
閲覧の窓口は市区町村の建築指導課です。
あわせて台帳記載事項証明書を取得すれば、建築確認と完了検査の日付や番号が分かります。
取得にかかる手数料は数百円程度で、必要な情報は物件の所在地と建築時期です。
建物が古く記録が残っていない場合は、記録なしと窓口で回答されます。
記載された建ぺい率・容積率・用途地域と、現在の都市計画情報を突き合わせる作業に進みましょう。
③現在の都市計画情報と概要書の数値を突き合わせてズレを確かめる
現在の用途地域・建ぺい率・容積率は、市区町村が公開している都市計画情報のウェブサイトで住所から検索できます。
前面道路の幅員と種別は、同じ窓口の道路種別図や道路台帳で確認してください。
建築計画概要書の数値と現在の指定を比べ、どこにズレがあるかを見れば、既存不適格の原因を絞り込めます。
ズレが見つかったら、建て替えたときに確保できる延べ床面積を建築士や不動産会社に試算してもらいましょう。
規模が分かって初めて、修繕と売却を比べられます。
権利関係が共有になっている場合や、隣地との境界が定まっていない場合は調査だけで止まりがちです。
査定とあわせて弁護士・司法書士に相談できる窓口を使えば、調査と売却の判断を一度に進められます。
既存不適格の建物はそのまま使い続けても是正義務はない
既存不適格の建物は、そのまま住み続ける限り現行基準に合わせる義務がありません。
建築基準法3条2項が、規定の施行の際に現に存在する建築物へ適合しない規定を適用しないと定めているためです。
ただし工事に着手すると扱いが変わります。
適用が外れる場面と緩和措置をあわせて押さえましょう。
増築・改築・大規模の修繕に着手すると現行の基準が適用される
建築基準法3条3項3号は、適用除外が外れる場面を定めています。
増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替の工事に着手した建築物が対象です。
着工後は建物全体に現行の基準が及ぶため、増築部分だけでなく既存部分も現行基準に適合させる必要が生じます。
建て替えは新築として扱われるため、当然に現行基準が適用されます。
大規模の修繕とは、同法2条14号により、主要構造部の一種以上について行う過半の修繕を指す用語です。
主要構造部にあたるのは壁・柱・床・はり・屋根・階段で、内装のリフォームや設備の交換は該当しません。
外壁や屋根に手を入れる規模の工事を計画しているなら、着工前に建築士へ大規模の修繕にあたるかを確認しましょう。
一定範囲の増築なら緩和措置で現行基準の適用を受けずに済む
建築基準法86条の7第1項は、緩和措置を定めています。
政令で定める範囲内の増築等であれば、3条3項3号にかかわらず一部の規定を適用しないという内容です。
対象になる規定には、構造耐力・耐火性能・容積率・建ぺい率・接道義務などが含まれます。
小規模な増築であれば、既存部分をすべて現行基準に直さずに工事を進められます。
具体的な範囲は建築基準法施行令137条の2以下が定めており、増築部分の床面積の割合などが判断材料です。
適用の可否は建物の構造や規模で変わるため、計画段階で建築士と特定行政庁に確認してください。
緩和が使えるかどうかで工事費は大きく変わります。
増築の計画を業者に伝える段階で、緩和の適用範囲に収まる規模を提案してもらいましょう。
例外として耐震診断が義務づけられる建物がある
戸建て住宅や小規模なアパートには、耐震診断の義務はありません。
耐震改修促進法には、耐震診断の義務が定められています。
不特定多数が利用する大規模な建築物や、避難路沿いの一定の建築物が対象です。
病院・店舗・旅館などで一定規模を超えるものが対象です。
さらに建築基準法10条1項は、特殊建築物など一定の建築物にあたる既存不適格建築物への勧告を定めています。
劣化が進み、放置すれば著しく保安上危険になるおそれがあると認められる場合が対象です。
同条3項では、建築物が著しく保安上危険であると認められる場合に、特定行政庁が所有者へ必要な措置を命じられると定めています。
是正義務がないとはいえ、危険な状態の放置は避けてください。
所有する建物が診断の対象かどうかは、所在地の自治体が公表する耐震改修促進計画で確認しましょう。
対象になった場合は診断費用の補助制度を設けている自治体も多く、窓口で併せて確認できます。
既存不適格の建物を持ち続けるメリット
既存不適格の建物には不利益ばかりが目立ちますが、保有を続ける側から見た利点もあります。
現行基準が適用されないのは建築基準法3条2項の効果で、住み続ける限り利点は続きます。
2つのメリットを確認していきましょう。
現行基準では建てられない規模や配置のまま使い続けられる
容積率や建ぺい率が引き下げられた土地では、既存不適格の建物のほうが、建て替え後に建てられる建物より広く造られています。
同じ広さを新たに確保する手段がないため、今ある床面積そのものが希少な価値になります。
道路斜線制限や日影規制が強化された地域では、同じ位置に同じ高さの建物を建て直せない場合も出てきました。
3階建ての住宅が2階建てにしか建て替えられない例も、都心部の住宅地では珍しくありません。
建て替えを前提に考えると不利にしか見えませんが、修繕して使い続ける前提なら評価は変わります。
耐震補強と設備更新にかかる費用を建築士に試算してもらい、建て替え費用と並べて比べましょう。
補強費用のほうが安く収まるなら、広い床面積を維持したまま使い続ける判断が合理的です。
固定資産税など保有コストの負担が軽くなりやすい
家屋の固定資産税は、固定資産税評価額に税率をかけて算出されます。
評価額は経年減点補正率によって築年数とともに下がり、木造住宅では新築時のおおむね2割程度が下限とされています。
既存不適格の建物は築年数が古い場合が多く、毎年の家屋分の税負担は新築より軽い水準です。
注意したいのは、建物を解体した場合の土地の税額です。
住宅が建っている土地には住宅用地の特例が適用されます。
200平方メートル以下の部分は課税標準額が6分の1に軽減されますが、解体すると特例が外れて税額が上がります。
毎年の納税通知書に記載された家屋の評価額を見て、負担の水準を具体的に把握してください。
賃貸に出して収益を得る道も含め、保有と売却の収支を並べて比べましょう。
既存不適格の建物を持ち続ける4つのデメリット

既存不適格の建物には、資金・建て替え・価格・安全性の4方向に不利益が生じます。
違法な状態ではないのに不利益が出るのは、金融機関と買主が現行基準への適合を前提に評価するためです。
4つのデメリットを順に見ていきましょう。
住宅ローンの審査が通りにくく買主が限られる
金融機関は融資の担保として不動産の価値を評価しますが、現行基準に適合しない建物は担保評価が下がります。
容積率超過や接道義務を満たさない物件では、融資そのものを断る金融機関も少なくありません。
結果として買える人は現金購入者に絞られ、売り出しても反応は乏しい状態です。
売り出す前に、買主がローンを使えるかどうかを金融機関や不動産会社に確認しておきましょう。
フラット35のように独自の技術基準を設けている商品では、適合証明を取得できれば利用できる場合があります。
資金調達の見通しを先に立てておけば、売却期間の見積もりが現実的になります。
買主がローンを使えない前提なら、現金を用意できる買取業者を早い段階から候補に入れましょう。
建て替えると現行基準が適用され今より小さい建物になる
建て替えは新築と同じ扱いになるため、建築基準法3条2項による適用除外は及びません。
現行の建ぺい率・容積率・接道義務・高さ制限がすべて適用され、同じ延べ床面積を確保できない場合があります。
容積率が200%から150%へ引き下げられた土地なら、単純計算で延べ床面積は4分の3になります。
接道の条件を満たさない敷地では、そもそも建て替え自体ができません。
建築確認を受けられないため、解体してしまうと更地のまま活用できない土地が残ります。
建て替え後に確保できる面積を建築士に試算してもらってから、保有と売却の方針を決めましょう。
試算の結果、今の建物より2割以上狭くなるようなら、建て替えずに売却する判断が現実的になります。
売却価格が相場より下がりやすい
価格は下がります。
買主がローンを使いにくいうえ、建て替え後の規模も縮むためです。
価格が下がる理由は、買える人の母数が減る点と、再建築したときの価値が低くなる点の2つです。
値下がりの度合いは、原因が接道なのか容積率なのか耐震なのかによって大きく変わります。
下落幅について公的な統計は存在しません。
接道を満たさず再建築ができない物件については、訳あり物件を扱う買取業者の公表値で市場価格の5割から7割程度が目安です。
容積率超過だけが原因の物件は建て替え自体が可能なため、下げ幅は接道不足型より小さくとどまる傾向です。
業者ごとに前提が異なるため、いずれも幅のある目安として捉えてください。
1社の提示額だけで判断せず、複数社の査定を比べたうえで、金額の根拠を説明できる相手を選びましょう。
地震や火災への安全性と火災保険の条件で不利になる
旧耐震基準の建物は、震度6強から7程度の揺れに対する検証を経ていないため、現行基準の建物より倒壊の危険が高くなります。
用途地域の変更で防火地域や準防火地域に指定された場合も、現行の防火性能を満たさない状態が続きます。
費用面で影響が大きいのは、地震保険の割引を受けられない点です。
地震保険には建築年割引と耐震等級割引があり、対象は1981年6月以降に新築された建物や、耐震等級の証明がある建物に限られます。
旧耐震のままでは割引が適用されず、保険料の負担は現行基準の建物より重くなります。
耐震改修の費用と保険料の差額を並べて、改修と売却のどちらが有利かを比べましょう。
自治体の耐震診断・改修の補助制度を使えば、改修費用の一部を賄えます。
既存不適格の建物は売却できる
既存不適格建築物の売買を禁じる法令はなく、通常の不動産と同じように売却できます。
ただし仲介では、宅地建物取引業法35条により取引士が買主へ建築基準法上の制限を書面で説明する決まりです。
事実を隠したまま売却を進める余地はありません。
売り方は仲介・買取・解体して土地として売る、の3通りです。
| 売り方 | 価格の目安 | 引き渡しまでの期間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 仲介 | 買取より高くなりやすい | 3か月〜1年以上 | 期限に余裕があり隣地所有者に打診できる人 |
| 買取 | 仲介より下がる | 数日〜1か月程度 | 相続や転居で期限が決まっている人 |
| 解体して土地として売る | 再建築の可否で大きく変わる | 解体2か月+売却期間 | 再建築が可能だと確認できた人 |
仲介で売る|時間はかかるが価格は買取より高くなりやすい
仲介とは、不動産会社に依頼して買主を探してもらう売り方です。
現金購入を検討している買主や、隣地の所有者が見つかれば、買取より高い価格で売れる場合があります。
とくに隣地所有者にとっては、土地をまとめて接道や面積の条件を満たせるため、価格の折り合いがつきやすくなります。
一方で、買主がローンを使いにくいため売却期間は長引きがちです。
売主は引き渡し後も契約不適合責任を負うため、既存不適格の内容を伝え漏らすと、後から損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
売り出してから3か月ほど反応がなければ、買取への切り替えも検討してください。
期限に余裕があり、隣地への打診が可能な立地なら、まず仲介から始めましょう。
買取業者に売る|価格は下がるが引き渡しまでが早い
買取とは、不動産会社が直接の買主になって物件を買い取る売り方です。
買主を探す期間が不要なため、数日から1か月程度で現金化できます。
訳あり不動産を専門に扱う業者は、再建築不可の物件を賃貸として運用したり、隣地と一体化して活用したりする手法を持っています。
仲介で売れなかった建物に値がつく場合も珍しくありません。
価格は仲介より下がるものの、契約不適合責任を免責とする契約が一般的で、売却後のトラブルを避けやすい点は利点です。
相続税の納付期限や転居の予定が決まっているなら、買取を軸に検討しましょう。
ベンナビ不動産売却では、既存不適格や再建築不可の物件について無料査定を受けられます。
解体して土地として売る|再建築の可否を先に確かめる
更地は買主が使い道を描きやすく、建物付きより売りやすくなる場合も多いです。
接道の条件を満たさない敷地では、解体すると再建築できない更地が残る点に注意してください。
建物を壊した瞬間に住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税も上がってしまう点に注意してください。
解体費用は木造住宅で坪あたり3万円から5万円程度が一般的な目安で、30坪なら90万円から150万円程度の負担です。
費用を負担したうえで売れない土地が残る事態を避けるため、解体を決める前に役所の建築指導課で再建築の可否を確認しましょう。
再建築ができないと判明した場合は、建物を残したまま買取に切り替える判断が現実的です。
建物が古くても、賃貸として運用できる状態なら値がつく可能性は残ります。
既存不適格の建物を売るときの3つの注意点
既存不適格の建物を売る際は、告知・情報提供・価格判断の3点を押さえる必要があります。
事実を伏せたまま売却すると、引き渡し後に契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除へ発展する事態を招きかねない点に注意してください。
3つの注意点を順に確認していきましょう。
既存不適格である事実を買主に必ず伝える
宅地建物取引業法35条は、重要事項説明の義務を定めています。
宅建業者は契約の成立までの間に、宅地建物取引士をして重要事項を書面で説明させなければなりません。
説明の対象は、建築基準法にもとづく建ぺい率・容積率・用途地域などの制限です。
どの規定に適合していないかが説明されるため、既存不適格の事実は買主に伝わります。
重要事項説明は宅建業者の義務ですが、売主が把握している事実を業者へ渡さなければ、説明の内容も正確になりません。
建築計画概要書や台帳記載事項証明書、過去の増築の記録をそろえて業者に提出しましょう。
増築の履歴が資料に残っていない場合は、記録なしという事実も含めて伝えてください。
口頭で伝えるだけでなく、渡した資料の一覧を書面やメールで残しておくと、後の争いを防げます。
建て替えたときに確保できる規模を数値で示せるようにする
建て替え後の規模が分からないままだと、買主は最も不利な想定で値付けをします。
現行の建ぺい率・容積率で建てられる延べ床面積を先に算出してください。
買主の判断材料になり、値引き交渉の根拠を崩せます。
接道の条件を満たしているかどうかも、あわせて確認してください。
建築士や不動産会社にボリュームチェックを依頼し、建てられる建物の想定図面と数値を用意してください。
費用は数万円から十数万円程度で、売却価格への影響を考えれば回収できる範囲です。
用意した数値は売り出し資料に載せ、内見時に示せるようにしておきましょう。
建て替えの想定図面があれば、買主は住み替え後の暮らしを具体的に描けます。
結果として、価格の根拠をめぐる交渉が短く済みます。
1社の査定額だけで売却先を決めない
既存不適格の建物は、業者ごとに再生や再販の手法が異なるため、査定額の開きが大きくなりがちです。
接道を満たさない土地を隣地とまとめて活用できる業者と、活用の手立てを持たない業者とでは、算出する価格が数百万円単位で変わります。
複数社に同じ条件で査定を依頼し、金額を横に並べて比べましょう。
比較する際は、査定額の根拠、契約不適合責任を免責とするかどうか、引き渡しの時期の3点を各社に同じ質問で確かめてください。
根拠を説明できない業者は候補から外しましょう。
査定は3社程度に依頼すれば、価格帯の幅を把握できます。
共有名義や相続登記が済んでいない場合は、査定の前に権利関係を整理してください。
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既存不適格に関するよくある質問
既存不適格の読み方を教えてほしい
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法令や実務では「既存不適格建築物」という語で使われ、建築基準法3条2項の適用を受ける建築物を指します。
「きそんふてきかく」と読まれる場合もありますが、行政の窓口や不動産取引の場面では「きぞん」が一般的です。
既存不適格かどうかは自分で調べられるのか知りたい
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専門家に依頼する前に、おおよその見当をつけられます。
取得した書類の建ぺい率・容積率・用途地域を、現在の都市計画情報と比べてください。
最終的な判断は建築士に依頼しましょう。
既存不適格の物件を購入しても問題ないのかを知りたい
購入自体に法的な問題はありません。
購入後は住宅ローンの審査が厳しくなり、建て替えると今より小さい建物になります。
売却時に買主が限られる点も含め、了解したうえで判断してください。
価格の安さだけで決めず、建て替え後に確保できる面積を確認してから購入しましょう。
容積率オーバーのマンションは売れるのか知りたい
売買は可能ですが、住宅ローンの審査で不利になりやすく、買主が現金購入者に限られる場合があります。
建て替えの際は現行の容積率が適用されるため、従前と同じ戸数を確保できず、区分所有者の負担が増える点も価格に反映されます。
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既存不適格を是正しないと罰則があるのか知りたい
既存不適格であること自体に罰則はありません。
建築基準法3条2項により、適合しなくなった規定は既存不適格建築物に適用されないためです。
そのまま使い続けても違法にはなりません。
著しく保安上危険な状態に至った場合は、同法10条にもとづく勧告や命令を受け、命令に従わなければ罰則の対象になります。
違反建築物とは扱いが異なり、通常は是正命令の対象からも外れます。
まとめ|既存不適格は違法建築ではなく売却もできるが建て替えで規模が縮む
既存不適格とは、着工の時点では適法だった建物が、のちの法改正や都市計画の変更で現行の基準に合わなくなった状態を指します。
着工時から違法だった違反建築物とは異なり、建築基準法3条2項により是正義務も罰則もない状態です。
一方で、増築や大規模の修繕に着手すると現行基準が適用され、建て替えでは今より小さい建物になります。
自分の建物が該当するかどうかは、3段階で調べられます。
検査済証の確認、役所での建築計画概要書の取得、現在の都市計画情報との照合の順です。
売却は仲介・買取・解体して土地として売るの3通りから選べますが、住宅ローンが使いにくいため価格は相場より下がります。
売る際は既存不適格の事実を必ず伝え、建て替え後に確保できる規模を数値で示し、複数社の査定を比べましょう。
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