再建築不可物件

再建築不可物件の調べ方は3つ 役所で確認する5項目と必要書類を解説

再建築不可物件の調べ方は3つ 役所で確認する5項目と必要書類を解説

相続した実家や空いたままの一戸建てについて、建て替えできる土地なのか判断がつかない所有者は少なくありません。
本記事では、再建築不可かどうかを確かめる3つの経路と必要書類、役所で確認する5項目を解説します。
判明後にとれる4つの選択肢まで示すので、読み終えた日に次の一手を決められる内容です。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

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再建築不可物件とは建て替えができない土地のこと

再建築不可物件とは建て替えができない土地のこと

再建築不可物件とは、いま建っている建物を解体すると、新たな建物を建てられなくなる土地です。
法令上の用語ではなく、建築基準法の接道義務を満たさない土地などを呼ぶ通称になります。
判定の軸は前面道路の種類・幅員・接道の長さの3点です。

再建築不可になる主な要因は次のとおりです。

要因内容
前面道路が建築基準法上の道路でない通路・水路・農道など、法律上の道路に該当しない道にしか接していない
道路の幅員が4メートル未満幅員が足りず、後退を条件とするみなし道路の指定もない
接する長さが2メートル未満旗竿地の竿部分などが狭く、接道の長さが足りない
市街化調整区域にある接道を満たしていても、都市計画法にもとづく許可がなければ建て替えできない場合がある

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

接道義務|敷地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接する義務

接道義務とは、建築物の敷地が道路に一定の長さ以上接していなければならないという建築基準法の定めをいいます。
火災や地震のときに住民が逃げ、消防車や救急車が入れる経路を確保する狙いがあります。
道路側に求められるのは原則として4メートル以上の幅員で、敷地側に求められるのは2メートル以上の接道です。

2つの数値は両方を満たす必要があります。
幅員が5メートルある道路でも、敷地が1.8メートルしか接していなければ建て替えはできません。
旗竿地は判定でつまずきやすい形です。
竿にあたる細長い通路部分は、最も狭い箇所の幅で判定されます。
入口が2メートルあっても、途中で1.9メートルに狭まっていれば接道義務を満たしません。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

建築基準法上の道路|42条1項の5区分と2項のみなし道路に限られる

建築基準法上の道路とは、幅員4メートル以上で法律が列挙する5つの区分か、幅員が足りなくても特定行政庁の指定を受けたみなし道路のいずれかに当たる道をいいます。
目の前がアスファルトで舗装されていても、5区分に当てはまらなければ法律上の道路とは扱われません。

種類内容
道路法による道路国道・都道府県道・市町村道
都市計画法などによる道路開発行為や土地区画整理事業で築造された道路
既存道路建築基準法の適用時にすでに存在していた幅員4メートル以上の道
計画道路2年以内に事業が執行される予定として特定行政庁が指定した道路
位置指定道路私人が築造し、特定行政庁から位置の指定を受けた道

見落としやすい道は、住宅地の中にある私道や、農道・水路をふさいで通路として使っている道です。
長年にわたり車が通っていても、位置指定を受けていなければ道路には当たりません。

逆に、見た目が細い路地でも既存道路として認められている道はあります。
見た目と法律上の扱いは一致しないと考えて窓口で確かめてください。
幅員4メートル未満でも建築が認められるみなし道路は、5区分とは別枠で特定行政庁が指定します。
前面の道が私道であれば、位置指定を受けているかどうかを窓口で確認してください。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

市街化調整区域|原則として新築や建て替えが制限される区域

市街化調整区域とは、都市計画法にもとづき市街化を抑制すると位置づけられた区域です。
農地や山林を守る目的で線引きされており、住宅の新築や建て替えには原則として都市計画法にもとづく開発許可か建築許可が必要になります。

接道義務とは別系統の制限である点に注意してください。
道路の幅も接道の長さも満たしているのに、区域区分を理由に建て替えできない土地は各地にあります。
道路の確認だけで安心せず、区域区分まで必ず調べてください。

既存宅地の扱いや、線引き前から建っている住宅の建て替え許可は、運用が自治体ごとに分かれます。
都市計画課で区域区分を確認し、許可の可否だけでなく条件まで聞いてください。
線引きの時期によっては、従前と同規模の住宅なら建て替えを認める運用もあります。

【参考】都市計画法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件かどうかの調べ方は3つある

再建築不可かどうかは、役所の窓口・自治体の道路情報サイト・専門家への依頼という3つの経路で調べられます。
確実性を優先するなら役所の窓口から始めてください。

調べ方費用期間確実性向くケース
役所の窓口交通費のみ半日程度高い物件の近くに住んでいて自分で動ける
自治体の道路情報サイト無料30分程度中程度まず当たりを付けたい
専門家に依頼無料〜数万円数日〜2週間高い遠方に住んでいる、境界が未確定

役所の建築指導課で確認する

物件がある自治体の建築指導課では、前面道路の種別と幅員を道路台帳で確認できます。
再建築の可否についても、窓口で担当者から回答を得られます。
道路の維持管理は道路管理課の担当ですが、建築の可否を判断する窓口は建築指導課です。

来庁前に電話を1本入れてください。
地番を伝えて必要な資料を聞いておけば、当日に書類が足りず出直す事態を避けられます。
相談は予約制の自治体もあります。

窓口の回答は口頭が中心で、書面は交付されないケースがほとんどです。
担当課名・担当者名・回答日・道路の区分を窓口でメモしてください。
売却や工事の相手方に説明するとき、記録の有無で話の通りやすさが変わります。
道路台帳の写しを有償で交付する自治体もあるため、写しの可否も併せて聞いておきましょう。

自治体の道路情報マップで調べる

指定道路図とは自治体が指定した道路の位置と種別を地図上に示した資料です。
多くの自治体は指定道路図や都市計画図をウェブで公開しており、前面道路の種別と用途地域を無料で確認できます。
「自治体名 指定道路図」「自治体名 都市計画情報」で検索すると該当ページに届きます。

ただし公開範囲は自治体ごとに差があると理解しておいてください。
みなし道路の指定が反映されていない地図や、更新が数年前で止まっている地図も見受けられました。
地図上で道路に見えても、法律上の道路と断定はできません。

ウェブでの確認は下調べに留めてください。
売却の価格交渉やリフォームの発注といった判断は、窓口の回答を得てからおこないましょう。
地図の凡例に更新年月が記載されている場合は、必ず日付を確認してから読み進めてください。

不動産会社や土地家屋調査士に調査を依頼する

自分で役所へ行けない場合は、訳あり不動産を扱う不動産会社や土地家屋調査士に役所調査を代行してもらえます。
依頼先ごとに調べられる範囲は別です。

依頼先調べられる範囲費用の考え方
訳あり不動産を扱う不動産会社道路種別・幅員・再建築の可否・売却時の価格帯査定と一体で無料の会社が多い
土地家屋調査士上記に加えて境界の確定・接道長さの実測測量の範囲に応じて数万円から
建築士・設計事務所再建築や大規模修繕の可否、必要な申請調査費として実費

売却を前提としない相談でも無料で受け付ける会社は少なくありません。
まず1社に現況を伝え、調査の範囲と費用を確認しましょう。

依頼するときは、役所調査の結果をどの形で受け取れるかを先に確かめてください。
口頭の報告だけでは、後日の交渉材料になりません。
境界が確定しておらず、隣地所有者との話し合いが必要になる場合は、調査と並行して弁護士に相談すると進めやすくなります。
土地の権利をめぐる交渉は、当事者同士だと感情的な対立に発展しやすいためです。
ベンナビ不動産売却なら、提携する弁護士・司法書士にも相談できます。

再建築不可物件の調べ方で必要になる4つの書類

役所へ行く前に、登記事項証明書・公図・地積測量図・建物図面の4点をそろえてください。
いずれも法務局の窓口かオンラインで取得でき、手数料は2026年8月時点の金額です。

書類わかること取得先手数料(書面請求)
登記事項証明書所在・地番・面積・所有者法務局・オンライン600円
公図土地の位置と隣地との並び法務局・オンライン500円
地積測量図土地の面積と境界点法務局・オンライン500円
建物図面敷地内での建物の配置法務局・オンライン500円

【参考元】登記手数料について|法務省

登記事項証明書|土地と建物の所有者・地番・面積がわかる書類

登記事項証明書とは土地や建物の所在・地番・面積・所有者などの登記情報を証明する書類です。
窓口で「地番を教えてください」と言われたとき、証明書があればすぐ答えられます。

住所の表記には注意が必要です。
郵便物に使う住居表示と、登記に使う地番は一致しません。
「〇〇町3丁目5番12号」で請求しても該当なしと返されるため、権利証や固定資産税の納税通知書で地番を確かめてから請求してください。

手数料は書面請求で1通600円です。
オンライン請求なら郵送で520円、法務局の窓口受取で490円まで下がります。
急ぎでなければオンラインを選ぶと負担が軽くなります。
土地と建物は別々の登記になっているため、両方を請求してください。
建物だけ取得しても、敷地の面積や所有者は確認できません。

【参考元】登記手数料について|法務省

公図|土地の位置と隣地との並びがわかる地図

公図とは土地の位置と形状の概略、隣接する土地との並びを示した図面です。
敷地がどの土地に接しているかを目で追えるため、接道の有無に当たりを付ける用途に向いています。

読み取りのコツは、道路部分に地番が振られているかを見る点です。
地番が付いていれば、前面の道は誰かが所有する私道である可能性が高まります。
私道であれば、位置指定を受けているかどうかが再建築の可否を分ける基準です。

公図は精度が高い図面ではありません。
明治期の地図をもとにした地域もあり、形状が現況とずれるケースがあります。
位置関係の把握までに留め、寸法の判断には使わないでください。
地図等情報の手数料は書面請求で500円、オンライン請求なら郵送470円・窓口交付440円です。

【参考元】登記手数料について|法務省

地積測量図|土地の面積と境界の位置を示した測量図

地積測量図とは登記された土地の面積と境界点の位置を示した図面です。
道路に接する辺の長さが記載されている場合、接道が2メートルを満たすかどうかを数値で確認できます。

ただし全ての土地に備え付けがあるとは限らない点に注意してください。
分筆や地積更正の登記をしたときに提出される図面のため、昔から筆界が変わっていない土地では存在しないケースが目立ちます。

備え付けがないと分かった時点で、土地家屋調査士へ相談してください。
現況測量なら数万円程度から依頼でき、接道の長さだけを確かめる目的にも使えます。
境界標が失われている土地では、隣地所有者の立ち会いを求める確定測量が必要になります。
確定測量は費用も期間もふくらむため、売却時期から逆算して着手しましょう。

【参考元】登記手数料について|法務省

建物図面|敷地内での建物の配置と形状を示す図面

建物図面とは敷地に対する建物の位置と各階の形状を示した図面です。
建物が敷地のどこに建っているかを確認でき、窓口で状況を説明する材料になります。

図面と現況が食い違う土地もあります。
増築部分が登記されていない場合、図面より建物が大きい状態になっているためです。
未登記の増築があると、売却時に買主から是正を求められます。

現況と図面が違うと気づいたら、建物の外観と増築部分の写真を持参してください。
窓口での説明が具体的になり、担当者から得られる回答も踏み込んだ内容になります。
建物図面は各階平面図とセットで交付されるため、請求時に両方を指定しましょう。
昭和期に建てられた住宅では、そもそも図面が備え付けられていない場合もあります。
図面が存在しないときは、固定資産税の課税明細で床面積を確認してください。

【参考元】登記手数料について|法務省

再建築不可物件かを役所で確認するときの5つのチェック項目

再建築不可物件かを役所で確認するときの5つのチェック項目

窓口では、道路と敷地について何を確認すれば可否が確定するかを押さえておく必要があります。
1項目でも欠けると判断は確定しません。

前面道路が建築基準法上の道路に該当するか

最初に確認するのは、前面道路が建築基準法上の道路に当たるかどうかです。
該当しなければ、幅員や接道の長さを満たしていても再建築はできません。

道路の種別の根拠は、自治体の道路台帳です。
地番を示して照会すれば、担当者が台帳を確認して回答します。
回答は道路の区分を示す名称で返ってくるため、聞いた表記どおりに書き留めてください。
分類名を控えておくと、不動産会社や建築士へ相談するときに話が早く進みます。

法律上の道路に該当しないと分かっても、建築の道が完全に断たれるわけではありません。
一定の要件を満たせば、特定行政庁の認定や許可を受けて建築できる場合もあるためです。
窓口では、認定と許可のどちらの余地があるかまで聞いておくと次の手が決まります。

前面道路の幅員が4メートル以上あるか

道路の幅員を確かめる根拠は、台帳に記載された数値です。
現地でメジャーを当てた実測値とは食い違う場合があるため、判断の根拠は台帳の数値に置いてください。

4メートル未満だった場合は、次にみなし道路の指定を受けているかどうかを聞いてください。
指定を受けた道であれば、敷地の後退を条件に建築できます。
地域によっては6メートル以上を求める区域もあるため、基準となる幅員も併せて確認しましょう。

幅員の数値は、敷地の後退量にも直結します。
担当者に数値を読み上げてもらい、メモの誤りがないか復唱して確かめてください。
台帳の幅員が場所によって変わる道もあります。
敷地の前面だけでなく、道路の起点から終点までどの区間の数値かを併せて確認しておくと、のちの手戻りを防げます。

敷地が道路に2メートル以上接しているか

接道の長さの判定基準は、敷地の中で最も狭い部分です。
通路状の敷地では、途中で幅が2メートルを下回っていれば接道義務を満たしません。

確認には地積測量図と現況の両方を使ってください。
図面の数値が2メートルぎりぎりの場合、境界標の位置が動いていると判定が覆ります。
境界が未確定なら、確定測量で数値を固めてから判断しましょう。

接道の長さは、間口が広くても途中の狭まりで判定される点に注意してください。
門扉や塀の位置ではなく、筆界の位置で測ります。
わずかに不足しているだけなら、隣地の一部を買い取るか借りれば要件を満たせる場合があります。
隣地所有者との交渉が必要になるため、条件面で折り合わないときは弁護士に相談してください。

セットバックが必要かどうか

セットバックとは道路の中心線から一定の距離まで敷地を後退させる措置をいいます。
みなし道路に接する敷地では、道の中心線から水平距離2メートルの線が道路の境界線とみなされます。

道路の反対側が川や崖であるときは、後退量の考え方が別です。
崖側の境界線から道の側へ4メートルの線が境界とみなされ、後退量は片側だけで大きくなります。
窓口では、対向地の状況も含めて後退量を確認してください。

後退した部分は敷地面積に算入できません。
建ぺい率と容積率の計算から外れるため、建てられる建物の規模は小さくなります。
土地60坪のうち3坪を後退に取られれば、建ぺい率と容積率の基準になるのは残る57坪です。
後退部分には塀や門も設置できないため、外構の計画にも影響します。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

都市計画区域と用途地域の区分

区域区分と用途地域は都市計画課で確認してください。
接道を満たしていても、区域を理由に建て替えが制限される土地があるためです。

代表例は市街化調整区域です。
ほかにも土砂災害の特別警戒区域や災害危険区域に指定されていると、建築に制限がかかります。
接道の確認だけで調査を終えると、制限を見落とします。

許可の運用は自治体ごとに幅がある点にも注意しましょう。
「建て替えできますか」ではなく「どの許可を取れば建て替えできますか」と聞いてください。
条件まで引き出せれば、次に動くべき手続きが具体的になります。
用途地域によっては、建ぺい率や容積率の上限が現在の建物より厳しくなっている場合もあります。
同じ規模で建て替えられるかどうかも、併せて確認しておきましょう。

再建築不可物件と判明したあとにとれる4つの選択肢

再建築不可物件と判明したあとにとれる4つの選択肢

再建築不可と確定しても、取りうる手は残っています。
隣地の取得・セットバック・認定や許可の申請・売却の4つから選んでください。

選択肢メリットデメリット向くケース
隣地の一部を取得再建築が可能になり資産価値が上がる隣地所有者の同意と購入費が必要隣地と良好な関係がある
セットバック費用が比較的軽く再建築できる敷地が狭くなり建てられる規模が縮むみなし道路の指定がある
認定・許可の申請土地を手放さずに建築できる審査に時間がかかり結果が読めない周囲に広い空地がある
買取業者へ売却現況のまま短期間で手放せる再建築できる土地より価格が下がる早く負担を解消したい

隣地所有者の協力を得られるなら取得を第一に検討し、得られない場合は売却を選びましょう。

隣地の一部を購入して接道義務を満たす

接道が不足している幅の分だけ隣地を買い取れば、再建築が可能になります。
土地の評価が上がるため、将来の売却価格にも反映されます。

必要な幅だけを分筆して購入する形が一般的です。
費用は購入代金のほかに、分筆登記の費用と測量費がかかります。
数十センチの取得でも測量は必要になるため、見積もりを先に取ってください。

取得できる幅は隣地の使い方にも左右されます。
隣家の駐車場や庭にかかる範囲であれば、交渉は難しくなります。
隣地所有者が売却に応じないときは、通行地役権の設定が次善策です。

ただし地役権では接道義務を満たせないため、建築の可否とは切り離して考える必要があります。
権利の設定は当事者間の合意が前提となるので、条件が折り合わないときは弁護士に交渉を任せましょう。

セットバックして道路の幅員4メートルを確保する

セットバックは、前面道路がみなし道路に指定されている場合に取れる手段です。
指定がなければ後退しても建築は認められないため、窓口で指定の有無を先に確かめてください。

道路中心線から2メートル後退すれば、建て替えの要件を満たせます。
工事としては塀や門を後退させる程度で済むケースが多く、費用は他の手段より軽く収まります。

引き換えに敷地は狭くなる点に注意してください。
後退部分は建ぺい率と容積率の計算から外れるため、建てられる建物は現在より小さくなる前提で計画を立ててください。
対向地がすでに後退を済ませていれば、自分の負担分だけで幅員4メートルに届く場合もあります。
後退部分の舗装費用を助成する自治体もあるため、建築指導課で制度の有無を尋ねましょう。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

接道義務の例外にあたる認定または許可を申請する

接道義務を満たさない敷地でも、例外として建築が認められる制度があります。
認定と許可の2種類があり、要件も手続きも別です。

区分要件手続き
認定幅員4メートル以上の道に2メートル以上接し、利用者が少数の小規模な建築物特定行政庁の認定
許可敷地の周囲に広い空地があるなど、避難と通行の安全が確保される建築物建築審査会の同意を得たうえで特定行政庁が許可

許可は建築審査会の同意を前提とするため、申請から結果が出るまで数ヵ月かかります。
審査会は月1回程度の開催が一般的で、書類に不備があるとさらに先送りになる点に注意しましょう。

一度許可を得ても、次回の建て替えが保証されるわけではありません。
許可は個別の計画に対して出されるため、建物の規模や用途を変えれば改めて申請が必要です。
申請には敷地の測量図や配置図、周辺の空地の状況を示す資料が要ります。
建築士に作成を依頼する費用も見込んでください。
認定の基準は自治体が要領として公表している例が多く、事前相談で見通しを立てられます。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

再建築不可物件の買取を扱う業者へ売却する

再建築不可物件を扱う買取業者は、現況のまま買い取れます。
隣地との交渉や許可の申請を自分で抱えずに手放せる点が、仲介との大きな違いです。

仲介で売り出すと、買主が住宅ローンの審査に通りにくく、売却が長期化します。
金融機関にとって再建築不可の土地は担保評価が難しく、融資額も伸びにくいためです。
結果として現金購入できる買主に限られ、買い手が見つかるまで固定資産税を払い続けることになります。

買取価格は再建築できる土地の3割から5割程度、仲介で売れる場合は5割から7割程度とする不動産会社の公表値が目立ちます。
公的な統計はないため、複数社の査定で幅を確かめてください。
業者の見極め方は次のとおりです。

特徴見るポイント
再建築不可の買取が得意な業者過去の買取事例で道路種別や再建築の可否まで公開している
権利関係の整理が得意な業者司法書士・弁護士と提携し、登記や交渉まで一括で扱える
現況引き渡しに対応する業者残置物の撤去費や解体費を売主に負担させない

共有名義のまま、あるいは相続登記が済んでいない状態では、売却の前に権利関係を整える必要があります。
相続人が複数いる場合は、全員の合意を先に取り付けてください。

再建築不可物件でも建築確認なしでできるリフォームの範囲

建て替えができなくても、建築確認が不要な範囲であればリフォームは可能です。
2025年4月1日に施行された建築基準法の改正で、確認申請が必要になる工事の範囲が広がりました。

建築確認が不要な工事

判定の軸は、工事が主要構造部の過半に及ぶかどうかです。
壁・柱・床・はり・屋根・階段のうち、いずれかの過半を修繕または模様替する工事が「大規模の修繕・模様替」に当たります。
過半に及ばない工事なら、建築確認を受けずに進められます。

確認申請が不要な工事の例は次のとおりです。

  • 内装の張り替え、間仕切り壁の変更
  • キッチン・浴室・トイレなど設備の交換
  • 外壁の塗り替え、屋根ふき材の葺き替えやカバー工法
  • 耐震補強のうち、構造部の過半に及ばないもの

いずれも、工事の範囲が過半に達しないという前提での扱いになります。
着工前に施工会社へ判定の根拠を書面で示してもらい、控えを保管してください。
口頭のやり取りだけで進めると、工事の途中で申請が必要と分かり、中断する事態を招きます。
過半かどうかの判定は面積ではなく部材の本数で見る場合もあり、判断が分かれる領域です。
迷ったら着工前に建築指導課へ相談しましょう。

【参考】建築基準法|e-Gov 法令検索

建築確認が必要になる工事

2025年4月1日の改正で、階数2以上または延べ面積200平方メートル超の建築物は、新2号建築物に区分されました。
新2号建築物では、大規模の修繕や模様替にも建築確認が要ります。
木造2階建ての戸建て住宅は、大半が新2号建築物です。

再建築不可物件では、そもそも建築確認の申請が通りません。
接道義務を満たさない敷地に対して確認済証は交付されないためです。
木造2階建ての家で屋根や柱の過半を取り替える工事は、実質的に実施できないと考えてください。

平屋かつ延べ面積200平方メートル以下の建築物は、新3号建築物に区分されます。
新3号建築物は建築の際に確認が必要となる一方、大規模の修繕・模様替は対象から外れます。
手持ちの物件が新2号と新3号のどちらに当たるかで打てる手が変わるため、建物図面で階数と延べ面積を確かめましょう。
申請不要の範囲に工事を収めるか、売却へ切り替えるかを早い段階で決めてください。

【参考元】建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し|国土交通省

再建築不可物件を調べるときにやってはいけない3つの行動

調査の入口で判断を誤ると、結論をやり直すことになります。
安く売ってしまってから誤りに気づいても、取り戻せません。

不動産会社の口頭説明だけで再建築不可と判断する

不動産会社の担当者が役所調査をせず、周辺の状況から推測して話している場合があります。
前面道路が狭い、旗竿地であるといった見た目だけで再建築不可と説明されるケースです。

誤った前提を受け入れると、本来の価値より安く売る結果につながります。
再建築できる土地と再建築不可の土地では、価格が数百万円単位で変わります。

役所の台帳で道路種別を自分で確認してください。
時間が取れない場合でも、別の不動産会社か土地家屋調査士にセカンドオピニオンを求めましょう。
査定を受ける際は、再建築不可と判断した根拠を書面で示すよう求めてください。
根拠を出せない会社は候補から外して構いません。
1社の説明だけで結論を出さない姿勢が、資産を守ります。

過去の建築確認済証があるから建て替えられると考える

建築確認済証は、建築した当時の基準に適合していた事実を示す書類です。
現在も建て替えできる状態にあるかどうかは、別に確かめる必要があります。

建築当時は適法でも、のちの法改正や道路の指定変更によって基準を満たさなくなった建物を既存不適格といいます。
建築基準法は1950年の制定後も改正を重ねており、接道義務が現在の形になる前に建った住宅は各地に残ったままです。

手元に確認済証があっても、現在の基準での可否を窓口で確認してください。
古い書類は物件の履歴を示す資料として役立ちますが、将来の建築を保証する書類ではありません。

逆に、確認済証が見当たらない場合でも建て替えできる土地はあります。
書類の有無ではなく、道路と敷地の現在の状態で判断してください。

再建築不可とわかった物件を放置する

再建築不可と分かった時点で、活用か売却かを決めてください。
放置しても固定資産税は課され続け、建物の傷みは進みます。

管理が不十分な空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき管理不全空家等に該当すると判断される対象です。
市町村長から改善の勧告を受けた時点で、敷地は住宅用地の特例から外れます。
特例が外れれば固定資産税の課税標準が最大6倍になり、負担は一気に重くなる計算です。
建物が倒壊したり外壁が落下したりして第三者に損害が出れば、所有者が賠償責任を負います。

相続人が複数いる場合、方針が決まらないまま年数だけが過ぎがちです。
共有者の一人が反対して手続きが止まっているなら、早い段階で弁護士に相談してください。

【参考元】空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov 法令検索

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再建築不可物件の調べ方に関するよくある質問

Q

再建築不可かどうかは登記事項証明書でわかりますか

A

登記事項証明書だけでは判断できません。
証明書に載るのは所在・地番・面積・所有者で、前面道路の種別や幅員は記載されないためです。
証明書は物件を特定する資料として使い、可否の判定は役所の建築指導課で受けてください。

Q

再建築不可物件は買わないほうがよいですか

A

価格の安さと利回りの高さに魅力はありますが、住宅ローンが組みにくく、売却時の買い手も限られます。
建物が倒壊すると建て替えできないため、修繕費を継続して見込む必要があります。
投資目的なら出口の想定を先に固めてください。

Q

取り壊したら建て替えはできないのか

A

接道義務を満たさないまま解体すると、新たな建物は建てられません。
更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税も上がります。
解体は、隣地の取得やセットバックで再建築の要件を満たしてから検討してください。

Q

再建築不可物件の調べ方に費用はかかりますか

A

役所での確認は無料で、書類代として2,000円程度がかかります。
自治体の道路情報サイトを使えば費用はかかりません。
土地家屋調査士に測量まで依頼する場合は、範囲に応じて数万円からの費用を見込んでください。

まとめ|再建築不可かどうかは前面道路と接道の長さを役所で確認すればわかる

再建築不可かどうかは、役所の建築指導課で確定できます。
まず登記事項証明書・公図・地積測量図・建物図面の4点をそろえてください。
窓口では、道路の種別・幅員・接道の長さ・セットバックの要否・区域区分の5項目を確認します。

手元に書類がそろっていれば、窓口での確認は半日で終わります。
再建築不可と分かったあとは、隣地の取得・セットバック・認定や許可の申請・買取業者への売却の4択から選んでください。
隣地所有者や共有者との交渉が必要になった段階で弁護士に相談すると、解決が早まります。
調べた結果を記録として残しておけば、売却や工事の相談で使える資料になります。
まずは「ベンナビ不動産売却」の無料査定と無料相談を活用して、自分にどのような選択肢があるか確認してみてください。

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監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。