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空き家バンクとは?仕組み・メリット・デメリットと登録の流れをわかりやすく解説
空き家バンクとは市区町村が地域の空き家情報を集めてウェブサイトなどに公開し、買いたい人や借りたい人へつなぐ仕組みです。
相続した実家を持て余したまま、費用をかけずに載せられる制度があると聞いて調べ始めた方も多いと思います。
もっとも、自治体が売買の交渉まで代行してくれるわけではありません。
本記事の前半では、空き家バンクの仕組みと不動産会社の仲介との違いを整理します。
後半は実務の話です。
登録できる物件の条件、手続きの流れ、買い手がつかない場合に残る選択肢まで解説します。
読み終えたときの到達点は、自分の空き家を登録すべきか別の手段を選ぶべきかを判断できる状態です。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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空き家バンクとは自治体が空き家の情報を公開して買い手・借り手とつなぐ仕組み
空き家バンクは、空き家の所有者から登録を受けた自治体が、物件情報を自前のサイトなどに掲載する制度です。
全国で空き家が増え、放置された建物が周辺の安全や景観を損なう例が問題になったため、流通を後押しする狙いで各地に広がりました。
まずは制度の骨格を3つの角度から押さえます。
| 用語 | 一言でいうと |
|---|---|
| 空き家バンク | 自治体が空き家情報を公開して利用希望者へつなぐ制度 |
| 全国版空き家・空き地バンク | 自治体を横断して物件を検索できる国の情報基盤 |
| 空家等 | 居住その他の使用がされていない状態が常態になった建築物と敷地 |
| 特定空家等 | 倒壊のおそれや衛生上の問題があり放置が不適切と認められる空家等 |
空き家バンク|自治体が空き家情報を公開して利用希望者へつなぐ制度
空き家バンクとは市区町村が所有者から登録を受け付けて物件情報を公開する制度をいいます。
運営するのは自治体か、自治体から委託を受けた団体です。
所在地や価格、間取り、写真が掲載されます。
掲載を見た人が自治体の窓口へ問い合わせると、所有者へ連絡が入り、両者の交渉が始まる流れです。
登録に手数料はかからず、売買と賃貸のどちらでも利用できます。
というのも、価格を決めるのも、買い手と条件をすり合わせるのも所有者側の役割だからです。
自治体は情報を載せて場をつくるところまでを担います。
制度の名称は「空き家情報バンク」など自治体ごとにさまざまです。
なお、空家等対策の推進に関する特別措置法には「空家等」の定義があります。
居住などの使用がされていない状態が常態になった建築物と敷地が対象です。
年に数回でも別荘として使っていれば空家等には当たりません。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov 法令検索)
全国版空き家・空き地バンク|自治体を横断して検索できる国の情報基盤
全国版空き家・空き地バンクとは、各自治体の空き家情報を横断して検索できるようにした国の情報基盤です。
自治体ごとにサイトが分かれていると、移住先を広く探している人は物件を見つけられません。
国土交通省は課題を受けて全国版の構築を支援しました。
公募で選ばれた株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社が、それぞれサイトを運営しています。
2017年10月の試行運用を経て、2018年4月から本格運用に入りました。
国は構築費用の一部を負担していますが、運営そのものは2社が独立しておこなっています。
国土交通省の公表資料によると、2026年7月末時点で1,148自治体が参加し、うち744自治体が物件情報を掲載中です。
成約実績は約26,000件とされています。
自分の地域の自治体が参加していれば、登録した物件が全国から検索される状態になります。
掲載対象|戸建てや土地が中心で築古の建物も登録できる
空き家バンクに載る物件は、戸建て住宅と土地が大半を占めます。
マンションの一室を扱う自治体もありますが少数です。
市場では買い手がつきにくい築40年以上の木造住宅、農地や山林が付いた物件、蔵や納屋が残る古民家なども登録できます。
不動産会社が扱いたがらない低価格帯の物件を流通させる点に、制度の存在意義があるためです。
一方で、店舗や工場などの事業用建物、賃貸中の物件、すでに解体が決まっている建物は対象外とする自治体が目立ちます。
農地付きの物件は農地法の許可手続きが別に必要になるため、自治体が農業委員会と調整したうえで掲載する運用が一般的です。
自分の物件が対象に入るかどうかは、住所地の自治体の要綱で確認できます。
空き家バンクと不動産会社の仲介は「情報の公開」と「売買の代行」で役割が分かれる

空き家バンクと不動産会社の仲介は、どちらも買い手を探す手段ですが担う範囲が違います。
自治体は情報を載せるところまでを引き受け、価格交渉や契約書の作成は当事者または宅地建物取引業者の仕事です。
両者の違いを表で押さえたうえで、3つの論点を順に見ていきます。
| 比較項目 | 空き家バンク | 不動産会社の仲介 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 自治体または委託先の団体 | 宅地建物取引業の免許を受けた事業者 |
| 販売活動 | 情報の掲載が中心 | 広告掲載・購入希望者への営業をおこなう |
| 価格の決め方 | 所有者が自分で設定する | 査定額をもとに担当者と相談して決める |
| 仲介手数料 | 個人間で直接契約すれば不要 | 成約時に法定上限の範囲で発生する |
| 契約書の作成 | 所有者側で用意する場合がある | 宅地建物取引業者が作成する |
| 対象になりやすい物件 | 市場価値が低い築古の戸建て・土地 | 需要が見込める立地・状態の物件 |
費用をかけず時間をかけて買い手を待てるなら空き家バンク、売却期限があり販売活動を任せたいなら不動産会社の仲介が向いています。
両方を併用できるかどうかは自治体の要綱で決まるため、登録の前に確認してください。
運営主体|自治体は媒介せず情報を載せる立場にとどまる
宅地建物取引業法には、免許が必要な行為の範囲が定められています。
宅地や建物の売買・交換をおこなう行為と、売買・交換・貸借の代理や媒介をおこなう行為が対象です。
業として営めば宅地建物取引業に該当します。
ただし同法には、国と地方公共団体には適用しないという定めもあります。
自治体が免許を問われる場面はありません。
それでも実務上は媒介に踏み込まず、情報を掲載して当事者を引き合わせる範囲にとどめる運用が標準です。
契約実務の責任は、免許を持つ事業者が負う体制にしているためです。
媒介に踏み込まない立場のため、自治体の担当者に「いくらで売れますか」と尋ねても査定額は返ってきません。
価格の根拠がほしい場合は、宅地建物取引業者へ査定を依頼するか、近隣の成約事例を自分で調べてください。
売買契約の締結や重要事項の説明を求める場面でも、自治体は窓口になりません。
販売活動|広告や購入希望者への営業は自治体がおこなわない
不動産会社に仲介を依頼すると、担当者が販売活動を引き受けます。
レインズや物件ポータルサイトへの掲載、購入希望者への紹介、内見の同行までが範囲です。
売り出し価格が高すぎれば値下げの提案も入ります。
買い手を能動的に探す動きが伴う点が、仲介の中心的な価値です。
空き家バンクには同じ動きがありません。
自治体の担当範囲は、登録された情報の掲載と、問い合わせの取り次ぎまでです。
写真の撮り直しや説明文の改善を提案する自治体もありますが、購入を迷っている人へ働きかける営業活動までは実施しません。
掲載後に反応がない状態が続いても、自治体側から打開策が示されるとは限らないため、所有者が価格や見せ方を見直す姿勢が求められます。
仲介手数料|宅建業者が入るかどうかで負担が変わる
空き家バンクの手数料は、契約の形で変わります。
所有者と購入希望者が直接契約すれば仲介手数料は不要です。
多くの自治体は地元の宅地建物取引業協会と協定を結び、契約実務を会員業者へ引き継ぐ運用です。
業者が媒介に入れば、売主は宅地建物取引業法が定める上限の範囲で仲介手数料を払います。
低価格の空き家には報酬の特例があります。
国土交通省によると、2024年7月1日から扱いが変わりました。
売買価格800万円以下の低廉な空家等では、宅地建物取引業者が売主と買主のそれぞれから最大33万円(税込)まで報酬を受け取れます。
売買価格が100万円の物件でも、上限まで請求されれば33万円の手数料がかかる計算になります。
手取り額を試算するときは、業者が入るかどうかと手数料の上限を先に自治体へ確認してください。
【参考元】国土交通省「消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」
空き家バンクに登録する売主側のメリット
空き家バンクに登録する利点は、費用をかけずに買い手を探せる点に集約されます。
市場では相手にされにくい物件でも門前払いにならず、自治体という後ろ盾が買い手の安心材料です。
売主側の利点を3つに分けて説明します。
掲載費用がかからない
空き家バンクへの登録と掲載は、ほぼすべての自治体で無料です。
物件ポータルサイトへ有料広告を出す場合と違い、売れるまでの期間が延びても掲載料が積み上がりません。
売り急ぐ事情がなく、時間をかけて相手を待てる所有者にとって、費用面の負担の軽さは大きな利点です。
さらに、掲載期間に上限を設けない自治体も多く、1年を超えて掲載を続けられます。
つまり、媒介契約のように3ヵ月ごとの更新手続きが発生しない分、放置していても掲載が消える心配は小さいといえます。
所有者の連絡先や物件の状態が変わった場合は、自治体へ届け出る義務を課す要綱が一般的です。
登録したまま放置せず、年に一度は掲載内容を見直してください。
掲載中に建物の傷みが進めば、写真と実際の状態が食い違い、内見後に断られる原因になります。
市場で値がつきにくい物件でも登録できる
不動産会社は、成約したときの手数料が労力に見合わない物件の取り扱いを断る場合があります。
売買価格が数十万円の築古住宅、接道が不十分で建て替えができない土地、山間部の物件などが典型例です。
空き家バンクは流通の促進が目的のため、資産価値の低さを理由に登録を拒む運用は取りません。
不動産会社に相談して断られた経験がある物件こそ、空き家バンクの出番になります。
もっとも、登録できる状態と売れる状態は別の話です。
共有名義のまま登記が動かせない物件や、相続人が確定していない物件は、登録の前提となる権利関係の整理でつまずきます。
権利関係に不安があるなら、査定から名義の整理まで一括で扱える窓口へ相談してください。
弁護士や司法書士と連携している窓口なら、手続きの順番を間違えずに進められます。
自治体が窓口になるため買い手が安心しやすい
移住を検討している人にとって、遠方の不動産を個人から買う判断には不安が伴います。
空き家バンクでは自治体が窓口に立ち、地域の生活情報や支援制度も併せて案内する形です。
買い手が抱く警戒心も和らぎます。
移住相談窓口や地域おこし協力隊と連携し、見学ツアーや体験滞在を用意する自治体もあります。
売主側から見れば、購入意欲の高い相手が集まりやすい仕組みです。
単に安い物件を探している人ではなく、物件のある地域へ住む前提で見に来る人が問い合わせてくるためです。
地域に愛着を持つ買い手へ引き継げる点を重視する所有者にとって、価格以外の価値が残る売り方になります。
近所付き合いが続く集落では、引き継ぐ相手の人柄を確かめてから売りたいという希望も根強いところです。
自治体が間に入る流れなら、相手の移住目的や家族構成を事前に把握したうえで交渉に進めます。
空き家バンクに登録する売主側のデメリット
空き家バンクは万能の制度ではありません。
登録しただけで買い手が現れるわけではなく、交渉の負担も所有者側です。
期待値を先に調整しておくと、動かない期間を無駄にせずに済みます。
売主側が引き受ける負担を4つに分けて整理します。
販売活動をしてもらえない
自治体は物件情報を掲載しますが、購入希望者を探して働きかける活動はおこないません。
掲載写真の枚数や説明文の分量にも制限があり、物件の魅力を十分に伝えきれない場合が大半です。
周辺の生活環境や日当たり、庭の広さなど、現地を見ればわかる長所が伝わらないまま埋もれるケースは珍しくありません。
対策は、所有者側で写真を撮り直して自治体へ差し替えを依頼する方法です。
晴れた日の外観、室内の各部屋、庭や駐車スペース、最寄り駅やスーパーまでの距離を添えると問い合わせが増えます。
掲載内容を自治体任せにせず、自分で作り込む姿勢が結果を分ける要素です。
地域の学校や病院までの距離、近隣に住む世帯の様子といった生活情報も添えると、移住を検討する買い手の判断材料になります。
交渉とトラブル対応は所有者の自己責任になる
空き家バンクで購入希望者と直接やりとりする場合、価格交渉も引き渡し時期の調整も所有者が担います。
契約書の作成や重要事項の確認まで自分で進めると、雨漏りや傾きを伝え忘れて後から損害賠償を求められる事態につながります。
引き渡し後に発覚した不具合をめぐる争いは、当事者同士では決着がつきにくい類型です。
自治体は当事者間の紛争に介入しません。
要綱にも「取引に関して生じた紛争は当事者間で解決する」と明記する例が大半です。
トラブルを防ぐには、宅地建物取引業者へ契約実務を任せるか、契約書の内容を弁護士に確認してもらう方法が現実的です。
自治体が地元の宅地建物取引業協会と協定を結んでいれば、会員業者を紹介してもらえる場合もあります。
登録の申し込み時に、業者の紹介を受けられるかどうかを確認してください。
成約まで時間がかかりやすい
空き家バンクの利用者は、移住先を探している層が中心です。
仕事や子どもの学校の都合と折り合いをつけながら物件を選ぶため、問い合わせから契約までに数ヵ月かかる例が目立ちます。
移住相談から現地見学、体験滞在を経て決断に至る流れなら、1年近くかかる場合も普通です。
売却期限がある所有者にとって、時間の読めなさは大きな負担になります。
相続税の納付期限が迫っている場合や、施設入居費用に充てたい場合が典型例です。
現金化の時期が決まっているなら、空き家バンクだけに頼る判断は避けてください。
期限がある場合は、買取など期日を確定できる方法と並行して検討する姿勢が現実的です。
空き家バンクへの掲載を続けながら買取の査定を受ければ、待つ選択と売る選択を同じ条件で比べられます。
登録しても買い手がつかない物件がある
空き家バンクに登録すれば必ず売れるわけではありません。
買い手がつかない物件には共通点があります。
買い手がつかない主な要因は次の4つです。
- 周辺の相場と比べて価格が高い
- 屋根や基礎の傷みが激しく修繕費が読めない
- 掲載写真が暗く室内の様子が分からない
- 地域そのものに住宅需要が乏しい
登録から半年を過ぎても問い合わせが1件も来ない場合は、価格と見せ方を見直す時期にあたります。
価格と写真を直しても動かないなら、空き家バンクにこだわらず出口を変える判断が必要です。
訳あり不動産を扱う買取業者へ査定を依頼すれば、現金化までの期間と金額を数字で比較できます。
弁護士・司法書士と連携している窓口なら、権利関係ごと引き受けてもらえます。
買主・移住希望者側から見た空き家バンクのメリット
売り方を考えるうえで、買い手が何に価値を感じているかを知る意味は大きいといえます。
空き家バンクの利用者が評価しているのは、価格の安さだけではありません。
一般の物件サイトに出ない物件との出会いや、自治体の支援制度も理由です。
買い手側の視点を3つ挙げます。
相場より安い価格で取得できる場合がある
空き家バンクに掲載される物件は、100万円台から500万円台の価格帯が中心です。
市場流通しにくい築古住宅が多いため、同じ地域の中古住宅より低い価格で取得できる場合があります。
無償譲渡を条件に掲載する物件も一部にあり、登記費用と税金の負担だけで所有権を得られるケースもあるほどです。
安さには理由があります。
取得後に必要な修繕費が売買価格を上回る例も多く、水回りの全面改修や屋根の葺き替えを含めれば数百万円規模の出費です。
買い手は購入価格と改修費の合計で判断するため、売主側も修繕が必要な箇所を把握しておくと交渉が進めやすくなります。
屋根や外壁、水回りの状態を業者に見てもらい、概算の見積もりを取っておいてください。
一般の物件サイトに出ない物件に出会える
不動産会社が扱わない物件は、大手の物件ポータルサイトに載りません。
農地や山林が付いた敷地、蔵や離れが残る古民家、集落の中にある広い土地などが典型例です。
田舎暮らしや店舗兼住宅、農業を始めたい人には、他では見つからない選択肢が並びます。
全国版空き家・空き地バンクには、古民家や農地付き、島暮らし、温泉地域といったテーマ別の特集があります。
特定の暮らし方を求める買い手が能動的に探しに来る導線があるため、条件が個性的な物件ほど埋もれにくい環境です。
売主側から見れば、一般の物件サイトでは短所として扱われる条件が、長所として評価される場になります。
畑が付いた敷地や広い納屋は、記載を省かずに前面へ出してください。
移住支援金や改修補助を併用できる自治体がある
多くの自治体は、空き家バンクの成約者を対象に補助制度を設けています。
改修費の一部補助、引っ越し費用の助成、家財の処分費用の補助などが代表例です。
東京圏から地方へ移住して就業や起業をする世帯を対象とする移住支援金を、空き家バンクの利用と組み合わせられる自治体もあります。
買い手にとって、補助制度の有無は購入判断を左右する要素です。
売主側も自分の物件が対象になる制度を把握し、問い合わせが来た際に案内できるようにしておくと成約率が上がります。
制度の内容と予算枠は年度ごとに変わるため、自治体の担当課へ最新の情報を確認してください。
補助の対象が「空き家バンクを通じて成約した物件に限る」と定められている自治体もあり、個人売買では使えない場合があります。
空き家バンクの登録物件に買主・移住希望者側が感じる不安
買い手が問い合わせをためらう理由を知っておくと、掲載前に手を打てます。
空き家バンクの物件に対する主な不安材料は、引き渡し後の修繕負担と資金調達の2点です。
売主が先回りして情報を出せば、成約までの距離が縮まります。
現況有姿での引き渡しが前提になりやすい
空き家バンクの物件は、売主が修繕をしない状態のまま引き渡す条件が一般的です。
買い手は、雨漏りやシロアリの被害、給排水設備の不具合を自分の負担で直す前提で検討します。
設備の状態が分からないまま購入を決める判断は難しく、問い合わせの段階で二の足を踏む買い手が出ます。
売主側の対策は、分かっている不具合を先に開示する方法です。
屋根の状態や給湯器の設置年、水道とガスの開栓可否、雨漏りの有無を掲載情報へ書き添えてください。
買い手が改修費を見積もれるようになります。
隠して後から発覚する展開より、先に伝えて価格に反映する進め方のほうが結果的に有利です。
引き渡し後の請求を避ける意味でも、不具合の開示は売主自身を守る手段になります。
改修費が想定より膨らむ場合がある
築40年を超える木造住宅では、内装の張り替えだけで済むケースは多くありません。
断熱材の追加や耐震補強、給排水管の交換、電気容量の増設まで手を入れれば、費用は数百万円規模です。
購入価格が100万円でも総額では新築に近づく場合があり、買い手は慎重に試算します。
自治体の改修補助を使えば負担は下がりますが、着工前の申請を条件とする制度が大半です。
契約を急いで先に工事を始めると補助を受けられません。
売主が制度の申請時期を把握して案内できると、買い手の資金計画が立ちやすくなり交渉が前に進みます。
年度替わりの4月から受付を始め、予算に達した時点で締め切る制度が多いため、申し込みの時期も併せて伝えてください。
築古の建物は住宅ローンの審査が通りにくい
金融機関は、建物の担保価値と法令適合性を審査します。
木造の耐用年数を大きく超えた建物は、担保評価が付きにくく融資が下りない場合があります。
接道が不十分で再建築ができない土地も同じ扱いです。
買い手が現金を用意できないと、購入意欲があっても契約に至りません。
対応策の1つは、リフォーム費用まで含めて借りられる住宅ローンです。
地方銀行や信用金庫の移住者向け商品を紹介する自治体もあります。
売主としては、登記の状態や境界の確定状況を整えておいてください。
境界が未確定のままだと測量を求められ、決済が数ヵ月遅れる展開もあります。
隣地との立会いが必要になれば、さらに時間がかかります。
売却を決めた段階で、法務局と自治体で公図と地積測量図を確認しておいてください。
空き家バンクに登録できる物件の条件

登録を申し込む前に、自分の空き家が要件を満たすかを確かめてください。
自治体ごとに細部は違いますが、共通する条件は4つに集約されます。
要件を満たさない場合は先に手当てが必要になるため、早めの確認が近道になります。
自治体の区域内にある空き家であること
空き家バンクは、自治体が自分の区域の空き家を対象に運営する制度です。
隣接する市町村の物件は登録できません。
居住などの使用がされていない状態が前提となるため、賃貸中の物件や店舗として営業中の建物は対象外です。
現在住んでいる家を将来の売却に向けて先に登録する扱いは、多くの自治体で認められています。
「近く転居予定」と申込書に記載すれば受け付ける運用です。
空き家になる時期が決まっているなら、退去を待たずに自治体へ相談すると掲載の開始が早まります。
転居の予定日と、引き渡しに応じられる最短の時期を伝えておけば、購入希望者との日程調整もまとまりやすくなります。
二世帯住宅の一部だけが空いている場合など、判断が分かれる状態も担当課へ相談してください。
建築基準法などの法令に違反していないこと
建築基準法は、建築物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています。
建築基準法でいう道路は、原則として幅員4メートル以上のものです。
したがって、幅員4メートル未満の私道にしか接していない土地では、建て替えができない場合があります。
建築基準法42条2項でみなし道路として扱われる道に接していれば、建て替えは可能です。
接道が足りない敷地でも、同法43条2項の認定や許可を受けて建築できる場合があります。
違反状態の建物や再建築できない土地は、登録を認めない自治体があります。
登録できたとしても、買い手には制約を必ず伝えてください。
再建築ができない物件は住宅ローンの審査も通りにくく、買い手が限られます。
接道の状況が分からない場合は、法務局で公図と地積測量図を取り寄せるか、自治体の建築指導課へ確認してください。
増築部分の登記が漏れている、検査済証が見当たらないといった状態も登録の障害になります。
書類が揃わない物件は、早めに専門家へ相談すると手戻りが減ります。
所有権や共有関係が整理されていること
登録には、申込者が所有者本人であるか、所有者から委任を受けている状態が求められます。
相続した実家の名義が亡くなった親のままだと、まず相続登記を済ませなければ登録に進めません。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内の申請が必要になりました。
兄弟で共有している物件を売るときは、共有者全員の同意が要ります。
1人でも反対すれば手続きは止まったままです。
連絡が取れない共有者がいれば、話し合いすら始まりません。
共有者との調整や相続人の確定でつまずく例は多いところです。
権利関係の整理から扱える窓口へ相談してください。
弁護士・司法書士と連携している窓口なら、名義の問題を残したまま時間だけが過ぎる展開を避けられます。
ほかの不動産会社と媒介契約を結んでいないこと
すでに不動産会社と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる物件は、空き家バンクへの登録を断られる場合があります。
専任型の契約では、依頼者が自分で見つけた相手と直接契約できる範囲が制限され、二重の窓口が生まれると混乱するためです。
一般媒介契約であれば併用を認める自治体もあります。
どちらの契約形態かは媒介契約書の表題で確認できます。
仲介を依頼中の物件を登録したい場合は、不動産会社と自治体の双方に事前確認を取ってください。
無断で登録して契約違反に問われる事態は避けたいところです。
専任媒介契約は原則3ヵ月で期間が満了するため、更新をせずに終了させてから登録へ進む選択もあります。
契約の残り期間を確認したうえで、どちらを先に進めるかを決めてください。
空き家バンクへの登録から成約までの流れ

登録の手続きは、申し込みから引き渡しまで5つの段階に分かれます。
自治体によって書類名や順序は多少異なるものの、大枠は共通です。
全体像を先に押さえておくと、どこで時間がかかるかを見通せます。
自治体へ登録を申し込む|書類の準備に1週間〜1ヵ月
住所地の自治体の窓口かウェブサイトから、空き家バンク登録申込書を入手して提出します。
添付書類は、次の5点が中心です。
- 登記事項証明書
- 物件の位置図と間取り図
- 建物の外観と内部の写真
- 本人確認書類
- 相続した物件は、相続登記が完了した後の登記事項証明書
申込書には、売買と賃貸のどちらを希望するかを記入します。
あわせて書き込むのは、希望価格や設備の状況、修繕の要否です。
希望価格は自分で決める必要があります。
近隣の成約事例を調べるか、宅地建物取引業者へ査定を依頼して目安をつかんでください。
相場より高い設定にすると問い合わせが止まり、掲載期間だけが伸びます。
国土交通省の土地総合情報システムでは、周辺で実際に取引された価格を無料で調べられます。
現地調査と審査を受ける|2週間〜1ヵ月
申し込みを受けた自治体は、担当者が現地を訪れて建物の状態と周辺環境を確認します。
倒壊のおそれがある建物や、明らかに法令に違反している建物は、登録を見送られる対象です。
所有者の立ち会いを求める自治体が多く、鍵の準備と当日の同行が必要になります。
調査から登録可否の連絡までは、2週間から1ヵ月程度が目安です。
書類の不備があるとさらに時間がかかります。
急いで掲載したい場合は、申込書の記入漏れと添付書類の不足がないかを提出の前に確認してください。
倒壊のおそれを理由に見送られた場合でも、危険な部分を撤去すれば再申請できる自治体があります。
断られた理由と再申請の可否を、その場で担当者に聞いておいてください。
空き家バンクに登録され情報が公開される|審査の通過後すぐ
登録が認められると、自治体のサイトに物件情報が掲載されます。
全国版空き家・空き地バンクへ情報を提供している自治体では、所有者の同意を得たうえで全国版にも掲載されます。
同意がないと全国版には載らないため、より広く買い手を探したい場合は申込時に同意の意思を伝えてください。
掲載後は、物件を見た人からの問い合わせが自治体経由で届きます。
返答が遅れると買い手の関心が離れるため、連絡が取りやすい電話番号とメールアドレスを登録しておく対応が有効です。
遠方に住んでいて現地案内が難しいなら、鍵の預け先や案内を代行してもらえるかを自治体へ相談してください。
掲載後の対応まで決めておくと、問い合わせを取りこぼしません。
購入希望者と交渉して契約する|数ヵ月〜1年
購入希望者が現れると、自治体が両者を引き合わせます。
以降の交渉は当事者同士でおこなうか、自治体と協定を結んだ宅地建物取引業者が間に入る形です。
価格や引き渡し時期、修繕の負担区分、残置物の処分方法を1つずつ詰めます。
合意した内容は売買契約書にまとめます。
残置物の扱いは、もめやすい論点の1つです。
家具や仏壇、農機具を残したまま引き渡すのか、売主が処分してから引き渡すのかを、契約書に明記してください。
処分費用の負担を口約束で済ませると、引き渡し直前に費用の押し付け合いが起きます。
家財の量が多い物件では、処分費だけで数十万円かかる場合もあります。
見積もりを取ってから、負担者と上限額を書面に落としてください。
引き渡しと登記手続きをおこなう|契約から1ヵ月前後
売買代金の決済と同時に、鍵と関係書類を買主へ引き渡します。
併せて所有権移転登記を申請します。
登記は司法書士へ依頼するのが一般的で、費用は登録免許税と報酬を合わせて数万円から十数万円が目安です。
負担者は買主とする慣行が多いものの、当事者間の取り決めで決まります。
引き渡しが済んだら、固定資産税の精算と、電気・ガス・水道の名義変更を進めます。
固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分が課されるため、引き渡し日を基準に日割りで精算する扱いが通例です。
精算の方法も契約書に書き込んでおくと、後の行き違いを防げます。
火災保険の解約と返戻金の受け取り、水道の閉栓手続きも忘れやすい項目です。
引き渡し当日までにやるべき手続きを一覧にして、買主と共有しておいてください。
空き家バンクの利用で受けられる補助金と支援制度
自治体は、空き家バンクの利用と組み合わせて使える補助制度を用意しています。
売主が使える制度と買主が使える制度の両方があり、内容は自治体ごとにさまざまです。
代表的な3つの類型を押さえておくと、自分の自治体の制度を調べるときに迷いません。
改修費の補助は自治体ごとに上限が異なる
空き家バンクの登録物件を改修する場合に、工事費の一部を補助する制度が広く設けられています。
補助率は工事費の2分の1程度、上限は50万円から100万円程度に設定する自治体が多く見られます。
対象になるのは水回りの改修、内装の張り替え、屋根や外壁の補修などです。
申請の時期には注意が必要です。
着工前の申請を条件とする制度が大半で、工事を始めてから申請しても対象になりません。
予算枠に達した時点で受付を終了する制度もあるため、年度の早い時期に自治体へ問い合わせてください。
補助の対象工事は自治体が指定しており、地元の施工業者に依頼する条件が付く例も見られます。
工事を頼む相手を決める前に、要件を確認しておくと申請でつまずきません。
解体費や家財処分費の補助を設ける自治体もある
老朽化が進んだ建物は、解体して土地として売るほうが早く決まる場合があります。
老朽危険空家の除却に対して費用の一部を補助する制度を持つ自治体もあり、上限は50万円前後が目安です。
家財道具の処分費用を補助する制度を併設する自治体もあります。
ただし建物を解体すると、住宅用地に対する固定資産税の特例が外れて土地の税負担が上がります。
解体を先に済ませてから売れ残れば、負担だけが増える結果です。
解体の判断は、買い手の見込みと補助金の額を並べて比べてから決めてください。
建物を残したまま土地として売り出し、買主が解体する条件で契約する方法もあります。
解体費の負担を価格に織り込めば、税負担が増える前に手放せます。
移住支援金は居住要件や年数の条件がつく
地方への移住を後押しする支援金には、対象者の要件があります。
東京23区に一定期間在住または通勤していた人が地方へ移住し、就業や起業をする場合が対象です。
支給額は世帯で最大100万円程度、単身で最大60万円程度が目安で、18歳未満の子どもがいる世帯には加算があります。
支援金には、移住先に5年以上住み続ける要件が付くのが通例です。
条件を満たさずに転出すると返還を求められます。
申請の期限も転入後1年以内などと定められており、期限を過ぎれば対象外です。
売主が制度を把握していれば、問い合わせてきた買い手へ「支援金の対象地域です」と伝えられ、検討を後押しできます。
制度の対象地域と金額は自治体ごとに違うため、最新の情報を自治体の移住相談窓口で確認してください。
空き家バンクで買い手がつかない空き家に残る選択肢
半年から1年掲載しても問い合わせが来ない場合、待ち続ける判断は得策ではありません。
管理費と固定資産税は毎年かかり、建物の傷みも進む一方です。
空き家バンク以外に取りうる出口は3つあります。
| 選択肢 | 向いている物件 | 現金化までの目安 | 手取りの傾向 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社の仲介 | 立地がよく建物の状態も保たれている物件 | 3ヵ月〜1年 | 市場価格に近い水準 |
| 買取業者への直接売却 | 築古・再建築不可・共有名義など事情がある物件 | 数日〜1ヵ月 | 仲介より低いが確実 |
| 賃貸や管理サービス | 賃貸需要がある地域の物件 | 売却しない | 賃料収入と管理費の差額 |
不動産会社の仲介に切り替える
駅や商業施設に近く、建物の傷みも進んでいない物件なら、宅地建物取引業者に仲介を依頼する方法が有力です。
物件ポータルサイトへの掲載と購入希望者への営業を任せられ、価格交渉と契約実務も担当者が引き受けます。
空き家バンクにない販売活動が加わる分、買い手に届く範囲が広がります。
依頼するときは、複数社に査定を出してもらい、査定額の根拠を説明できる会社を選んでください。
査定額の高さだけで決めると、売れないまま値下げを繰り返す展開になります。
空き家の売却実績を持つ会社であれば、残置物の処分や境界の確定まで含めた段取りが可能です。
一方、成約時には仲介手数料が発生し、売れるまでの期間も読めません。
空き家バンクと一般媒介契約を併用できるかどうかも、依頼の前に確認してください。
買取業者へ直接売却する
買取は、業者が買主となって物件を直接買い取る方法です。
買い手を探す期間が不要なため、数日から1ヵ月程度で現金化できます。
再建築ができない土地や共有名義の物件など、仲介では買い手がつきにくい物件でも対象になります。
買取価格は仲介での成約価格より低くなるのが一般的です。
買取業者が改修や再販にかかる費用とリスクを織り込んで価格を決めるためです。
買取相場を示す公的統計は存在せず、業者が公表する水準にも幅があります。
依頼先を選ぶ基準は、自分の空き家の事情を得意とする業者かどうかです。
共有名義なら弁護士・司法書士と連携して持分だけでも買い取れる体制があるかを見てください。
再建築ができない土地なら、隣地との交渉まで自社で進める知見があるかが判断材料になります。
維持費だけが出ていく状態なら、無料査定で金額と引き渡し時期を確認したうえで判断してください。
弁護士・司法書士と連携している窓口なら、共有者との調整や相続登記の未了も同時に扱えます。
賃貸や管理サービスで保有を続ける
売却を急がず、賃貸に切り替える方法もあります。
移住者向けの賃貸需要がある地域なら、リフォームして貸し出す方法が有効です。
自治体によっては、賃貸に出す空き家の改修費を補助する制度を用意しています。
賃貸中の物件は空き家バンクに登録できなくなる点も押さえてください。
売却も賃貸も選ばない場合は、空き家管理サービスの利用を検討してください。
管理を怠って建物が傷むと、勧告を受けて固定資産税の負担が増えるおそれもあります。
サービスの内容は、月1回程度の通風や通水、郵便物の確認、外観の点検の代行です。
料金は月5,000円から1万円程度が中心になります。
管理を続ければ建物の劣化を遅らせられますが、費用は毎月かかり続けます。
空き家バンクを利用するときの注意点
登録の前後で見落としやすい点を4つ挙げます。
契約に関する取り決めと、放置した場合の税負担が中心です。
先に確認しておけば、引き渡し後の争いや想定外の出費を防げます。
契約不適合責任の範囲を契約書で決めておく
売買契約では、引き渡した物件が契約の内容に適合しない場合、売主が修補や代金減額、損害賠償の責任を負います。
築古の空き家では雨漏りやシロアリの被害が後から見つかる例が多く、責任の範囲を決めないまま引き渡すと請求を受けるおそれがあります。
個人間の売買では、契約不適合責任を負わない、または一定期間に限って負うと特約で定める扱いが一般的です。
ただし売主が不具合を知りながら伝えなかった場合、特約があっても責任を免れません。
特約の書き方に迷ったら、宅地建物取引業者か弁護士に契約書を確認してもらってください。
個人が用意した契約書では、責任を負わない範囲が曖昧なまま残る例が目立ちます。
引き渡し前に一度専門家の目を通しておけば、後の請求を防げます。
建物の不具合や過去の事件事故は買い手に伝える
雨漏りや傾き、シロアリの被害、給排水設備の故障といった不具合は、把握している範囲をすべて伝えてください。
建物内で自殺や他殺、長期間気づかれなかった死亡があった場合も、買い手の判断に影響する事実として告げる必要があります。
国土交通省は2021年10月に、宅地建物取引業者が人の死に関する事案をどう扱うかを示すガイドラインを公表しました。
賃貸では概ね3年が目安とされる一方、売買には期間の定めがありません。
伝えるかどうかを自分で判断せず、事実を宅地建物取引業者や自治体へ共有したうえで扱いを決めてください。
隠した事実が後から判明すると、契約の解除や損害賠償に発展します。
【参考元】国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
制度の内容は自治体ごとに異なる
登録できる物件の範囲や掲載期間、宅地建物取引業者の関与の有無、補助金の額は、自治体ごとに定めが違います。
ほかの市町村の記事や体験談を自分の物件へ当てはめると、条件の違いで手続きが止まります。
確認すべき窓口は、住所地の市区町村の空き家対策担当課です。
移住定住推進課、建築住宅課、企画政策課など、名称は自治体によって変わります。
要綱と申込書はウェブサイトで公開されている場合が多いため、問い合わせの前に目を通しておくと話が早く進みます。
近隣の市町村と条件を比べても意味はなく、判断の基準になるのは物件がある自治体の要綱だけです。
改正されている場合もあるため、公開日が古い資料は担当課で最新版を確認してください。
空き家を放置すると固定資産税の負担が増える場合がある
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を引き下げる特例があります。
地方税法の定めでは、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1、200平方メートルを超える部分は3分の1です。
ただし例外があります。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、特定空家等または管理不全空家等として勧告を受けた敷地は、特例の対象から外れます。
市町村長が特定空家等と判断するのは、放置すれば倒壊のおそれがあるなど周辺の生活環境の保全に支障がある空家等です。
助言・指導を経たうえで勧告を出します。
管理不全空家等についても、指導しても状態が改善しない場合に勧告ができる仕組みです。
勧告を受ければ土地の税負担が上がります。
買い手を待つ間も草刈りと通風は続けてください。
【参考】地方税法(e-Gov 法令検索)
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov 法令検索)
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空き家バンクに関するよくある質問
空き家バンクとは何ですか?
市区町村が空き家の情報を集めてウェブサイトなどに公開し、買いたい人や借りたい人へつなぐ制度です。
登録と掲載は無料で、売買と賃貸の両方に利用できます。
価格の設定と購入希望者との交渉は所有者側が担当し、自治体は情報を掲載する範囲までを引き受けます。
空き家バンクと不動産屋の違いは何ですか?
自治体は情報を公開するところまでを担当し、不動産会社は広告掲載や購入希望者への営業、契約実務まで代行します。
宅地建物取引業法は売買の媒介を業として営む場合に免許を求めています。
同法は自治体には適用されませんが、自治体は媒介に踏み込まず情報提供にとどめる運用が標準です。
販売活動を任せたい場合は不動産会社への依頼が向いています。
空き家バンクのデメリットは?
販売活動がない点、交渉とトラブル対応を所有者が担う点、成約まで時間がかかりやすい点の3つが主な負担になります。
登録すれば必ず売れるわけではなく、価格や建物の状態によっては問い合わせが1件も来ないまま時間が過ぎる場合もあります。
空き家バンクは無料ですか?
登録と掲載の費用は、ほぼすべての自治体で無料です。
自治体が空き家の流通を促す目的で制度を運営しているためです。
一方、宅地建物取引業者が契約実務に入る場合は仲介手数料が発生します。
所有権移転登記の費用、測量費、残置物の処分費なども別途かかるため、手取り額を計算するときは諸費用を差し引いて考えてください。
空き家バンクに登録すれば必ず売れますか?
登録は成約を保証する仕組みではありません。
掲載を続けても買い手が現れない主な要因は、周辺の相場より高い価格設定と、読めない修繕費です。
地域そのものに住宅需要が乏しい場合も同じ結果になります。
半年たっても反応がなければ、価格と掲載写真を見直すか、仲介や買取へ切り替える判断が必要です。
空き家バンクに登録できないと言われたらどうすればよいですか?
断られた理由を自治体に確認してください。
相続登記が未了、共有者の同意が取れていないといった理由なら、司法書士や弁護士に依頼して権利関係を整えれば登録できます。
倒壊のおそれや再建築の不可が理由の場合は、訳あり物件を扱う買取業者へ査定を依頼する方法が現実的です。
まとめ|空き家バンクは情報公開の仕組みで売買の代行はしない
空き家バンクは、自治体が空き家の情報を無料で公開して買い手や借り手につなぐ制度です。
費用をかけずに掲載でき、市場で値がつきにくい物件でも登録できる点が利点になります。
一方で販売活動はなく、価格交渉もトラブル対応も所有者の役割として残ります。
登録に進むなら、相続登記と共有者の同意を先に片付け、建物の不具合を開示したうえで写真と説明文を作り込んでください。
半年たっても問い合わせが来ない場合は、価格の見直しか、仲介・買取への切り替えを検討する時期にあたります。
維持費と固定資産税は待っている間も出ていくため、判断を先送りにしないでください。
共有名義や相続登記の未了で手続きが止まっているなら、権利関係の整理と査定を同時に扱える窓口へ相談すると近道になります。
ベンナビ不動産売却の無料査定で金額と引き渡し時期を確認し、空き家バンクを続けるかどうかを数字で決めてください。
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弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。