事故物件を調べるサイト5つと、サイトに載らない物件を確認する方法を解説
「気になる物件が事故物件かもしれない」と感じたとき、まず思い浮かぶのは大島てるでの検索です。
ただし大島てるに炎のアイコンが出なかったからといって、事故物件ではないとは言い切れません。
調べる手段は、サイトで探す方法と現地や書面で確かめる方法に分かれます。
サイトで拾えるのは投稿された情報と公的機関が公表した住戸だけで、民間の物件の大半は対象外です。
本記事では、事故物件を調べられるサイト5つを守備範囲と限界で比較します。
サイトに載らない物件を不動産会社への質問と書面で確認する手順も解説します。
国土交通省のガイドラインにもとづいて、不動産会社がどこまで調べる義務を負い、どこから告げる義務が生じるかも整理しました。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
事故物件の範囲を決める3つの物差し
事故物件という言葉に、法令上の定義はありません。
実務の基準は、国土交通省が2021年10月に公表した告知のガイドラインです。
心理的瑕疵という枠の内側にあるかどうかと、告知の対象になる死が起きたかどうかで扱いが決まります。
- 心理的瑕疵|事故物件が収まる一番外側の枠
- 告知の対象になる死|枠の内側で事故物件として扱われる死
- 告知の対象にならない死|枠の外側に出る自然死と日常の事故
| 死の態様 | 告知の対象になるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 自殺・他殺 | なる | 買主や借主の判断に重要な影響を及ぼす事案として扱われる |
| 火災による死亡 | なる | 事件性や周知性が高くなりやすい事案として扱われる |
| 特殊清掃や大規模リフォームを伴った死 | なる | 発見の遅れが判断へ影響する事案として扱われる |
| 老衰や病死などの自然死 | 原則としてならない | 居住用不動産で当然に予想される死とされる |
| 入浴中の溺死や階段からの転落 | 原則としてならない | 日常生活のなかで生じた不慮の事故とされる |
【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)
心理的瑕疵|事故物件が収まる一番外側の枠
心理的瑕疵(かし)とは、建物や設備に不具合がなくても、住むことへの抵抗を生む事情を指します。
柱も配管も傷んでいないのに買主や借主が敬遠する点が、雨漏りやシロアリ被害といった物理的な不具合との違いです。
抵抗の感じ方は人によって幅が大きく、まったく気にしない買主も一定数います。
とはいえ買い手の母数が減るため、価格は下がりやすくなります。
売却までの期間も長引きがちです。
心理的瑕疵には、人の死のほかに、暴力団事務所が近隣にある、過去に大きな事件が起きたといった事情も含まれます。
心理的瑕疵のうち事故物件と呼ばれるのは、人の死が関わる場合に限られます。
つまり事故物件は、心理的瑕疵という広い枠のなかにある一部分です。
枠全体を調べるのではなく、人の死に関する履歴に絞って調べれば足ります。
告知の対象になる死|枠の内側で事故物件として扱われる死
告知の対象になる死は、自殺、他殺、火災による死亡の3つが代表例です。
発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームが行われた死も対象に入ります。
特殊清掃とは、遺体が長期間発見されなかった住居で、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービスを指します。
老衰や病死自体は告知の対象外ですが、特殊清掃が入った時点で扱いは別です。
国土交通省のガイドラインには、事件性や周知性、社会に与えた影響が特に高い事案の扱いも書かれています。
期間の経過にかかわらず告知の対象になるという内容です。
報道が大きかった事案は、何年たっても伝えられます。
物件がどれに当たるかは、死の態様で切り分けてください。
自殺・他殺・火災死・特殊清掃の4つに当てはまるなら、告知されるはずの物件だと考えて不動産会社に確認しましょう。
【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)
告知の対象にならない死|枠の外側に出る自然死と日常の事故
老衰や病死などの自然死は、原則として告げなくてよいとされています。
自宅での死亡のうち老衰や病死は約9割を占めるとされています。
一般的な死であるという理由から、国土交通省は告知不要と整理しました。
日常生活のなかで生じた不慮の事故による死も、自然死と同じ扱いになります。
具体例は、入浴中の溺死や転倒、階段からの転落、食事中の誤嚥です。
いずれも住宅で起こりうる死として、判断への影響は低いと整理されています。
裏を返すと、告知されていない物件でも、過去に人が亡くなっている場合があるということです。
「告知事項なし」は「誰も亡くなっていない」を意味しません。
ただし自然死であっても、長期間にわたって人知れず放置され、特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は告知の対象に変わります。
死因ではなく、特殊清掃の有無で線が引かれる点を押さえてください。
事故物件を調べられるサイト5つ

調べられるサイトは大きく5系統です。
全国を面で見るなら大島てる、公的な確度を取るならUR賃貸住宅とJKK東京を使います。
履歴が開示された物件を探すなら専門サイト、物件数を優先するなら大手ポータルサイトが向いています。
1つのサイトだけでは足りず、併用が前提です。
- 大島てる|地図上の炎アイコンで全国の投稿情報を確認できる
- UR賃貸住宅の特別募集住宅|UR都市機構が公表する住戸を確認できる
- JKK東京の特定物件|東京都住宅供給公社が公表する住戸を確認できる
- 事故物件専門の物件サイト|心理的瑕疵の度合いが示された物件を確認できる
- 大手ポータルサイト|告知事項ありのフリーワード検索で絞り込める
| サイト | 運営 | 対象 | 対象エリア | 情報の出どころ |
|---|---|---|---|---|
| 大島てる | 民間企業 | 賃貸・売買 | 全国 | 利用者からの投稿 |
| UR賃貸住宅 特別募集住宅 | 独立行政法人都市再生機構 | 賃貸 | 全国のUR賃貸住宅 | 運営主体による公表 |
| JKK東京 特定物件 | 東京都住宅供給公社 | 賃貸 | 東京都内の公社住宅 | 運営主体による公表 |
| 事故物件専門の物件サイト | 事故物件を扱う不動産会社 | 賃貸・売買 | 取扱いエリア内 | 売主・貸主からの開示 |
| 大手ポータルサイト | 不動産情報サービス各社 | 賃貸・売買 | 全国 | 掲載する不動産会社の登録 |
大島てる|地図上の炎アイコンで全国の投稿情報を確認できる
大島てるとは、事故物件の情報を地図上に炎のアイコンで表示する公示サイトです。
全国を対象に無料で検索でき、情報源は利用者からの投稿です。
パソコンでは、トップページの検索窓に住所や物件名を入力すると該当地点へ移動します。
スマートフォンでは、トップページの新着情報から物件を1件開き、詳細画面を閉じると地図が表示されます。
地図が出たあとは、住所検索と拡大縮小で目的の地点まで移動してください。
炎のアイコンをタップすると、発生時期と概要が表示されます。
投稿の日付が古い場合もあるため、表示された内容は不動産会社への質問文をつくる材料として使いましょう。
注意したいのは、炎のアイコンがない場合でも事故物件ではないとは言えない点です。
投稿がなければ何も表示されないため、検索結果が空でも「調べ終えた」根拠にはなりません。
UR賃貸住宅の特別募集住宅|UR都市機構が公表する住戸を確認できる
特別募集住宅とは、前の入居者が亡くなった住戸として、UR都市機構が募集条件を明示したうえで公表している住宅を指します。
全国のUR賃貸住宅が対象です。
運営元が独立行政法人であるため、投稿制のサイトと比べて情報の確度は高くなります。
一定期間の家賃割引が設定される場合もありますが、割引率と期間は募集ごとに変わるため、募集要項で必ず確認してください。
一方で調べられる範囲はUR賃貸住宅に限られます。
民間の賃貸物件と売買物件は対象外になるため、UR以外を検討している場合は別の手段へ進みましょう。
UR賃貸住宅を候補に入れているなら、特別募集住宅の一覧を先に見ておくと、条件と価格の関係を把握しやすくなります。
JKK東京の特定物件|東京都住宅供給公社が公表する住戸を確認できる
特定物件とは、孤独死や自死があった住戸として、東京都住宅供給公社が公表している住宅を指します。
対象は東京都内の公社住宅です。
公社が運営元であるため、公表されている内容の確度は高くなります。
家賃の割引が設定される場合もありますが、条件は募集ごとに異なるため、公社の募集要項で確認しましょう。
調べられる範囲は東京都内の公社住宅だけです。
都外の物件を検討している場合、特定物件の一覧を見ても該当は出てきません。
都外を検討しているなら、大島てるでの検索と不動産会社への質問に進んでください。
都内の公社住宅を候補に入れているなら、特定物件の一覧と一般の募集を見比べてください。
同じ間取りで家賃がどれだけ違うかを並べると、割引の幅と履歴の重さの関係が見えてきます。
公社住宅は募集時期が限られるため、気になる住戸があれば申込期間も一緒に確認しておきましょう。
事故物件専門の物件サイト|心理的瑕疵の度合いが示された物件を確認できる
事故物件専門の物件サイトとは、心理的瑕疵のある物件を専門に扱う不動産会社が、自社の取扱物件を掲載しているサイトを指します。
心理的瑕疵の度合いを段階表示するなど、履歴を開示したうえで募集する点に特徴があります。
掲載物件は履歴が開示されている前提です。
したがって、隠れた事故物件を洗い出す用途には向きません。
承知したうえで割安な物件を探す用途に向いています。
掲載件数は大手ポータルサイトに比べて少なめです。
希望のエリアで該当が出ない場合も多いため、単独の手段としては使わないでください。
売買物件を探している場合は、履歴が開示された物件を先に見ておくと、価格がどの程度下がるかの相場観をつかめます。
大手ポータルサイト|告知事項ありのフリーワード検索で絞り込める
大手ポータルサイトのフリーワード検索に「告知事項あり」「心理的瑕疵」と入力すると、該当する物件を絞り込めます。
SUUMOやLIFULL HOME’Sなど、普段使っているサイトで操作できます。
物件数の多さが最大の利点です。
エリアや家賃の条件と組み合わせて検索すれば、候補のなかから告知事項のある物件だけを抜き出せます。
とはいえ「告知事項あり」は事故物件に限った表示ではありません。
近隣に嫌悪施設がある、設備に重大な不具合があるといった理由でも付く表示です。
逆に、告知事項があるのに検索用のキーワードが登録されていない物件もあります。
内容までは書かれていない場合が多いため、気になる物件を見つけたら不動産会社へ個別に問い合わせてください。
表示の有無だけで判断を終えると、肝心の理由がわからないまま契約に進むことになります。
サイトだけでは事故物件を判別しきれない3つの理由
サイト検索で何も出てこなかったとしても、事故物件ではないとは言えません。
投稿制サイトには網羅性がなく、公的サイトは対象が限られ、ポータルサイトの表示は事故物件以外でも付くためです。
- 大島てるの情報は投稿制のため網羅性も正確性も保証されない
- 公的サイトは対象が公営住宅と一部エリアに限られる
- 告知事項ありの表示は事故物件以外の事情でも付く
3系統はいずれも単独では判定材料になりません。
サイトで拾えなかった部分は、不動産会社への質問と書面の確認で埋めていきます。
大島てるの情報は投稿制のため網羅性も正確性も保証されない
大島てるはユーザー投稿を情報源としています。
仕組み上、誤差は2方向に生じます。
投稿されなかった事故物件は載らず、逆に誤った投稿が残っている場合もある点に注意してください。
投稿の削除や訂正が制度として保証されているわけでもありません。
すでに解決した事案や、住所を取り違えた投稿が長く残る場合があります。
表示された内容を事実として扱わないでください。
したがって大島てるは、判定の道具ではなく質問の材料として使うのが適切です。
炎のアイコンが出たら、発生時期と概要をメモして不動産会社にぶつけます。
出なかった場合も、調査が終わったとは考えず次の手段に進みましょう。
判断材料は、あくまで不動産会社からの回答と書面で取ります。
投稿の有無は、質問を組み立てるための入口にすぎません。
公的サイトは対象が公営住宅と一部エリアに限られる
UR賃貸住宅とJKK東京で確認できるのは、各運営主体が管理する住戸だけです。
UR賃貸住宅は全国のUR物件、JKK東京は東京都内の公社住宅に限られます。
日本の賃貸住宅の大半は民間の物件です。
民間の賃貸や売買物件を探している人にとって、公的サイトは起点になりません。
検索して該当が出ないのは当然の結果になります。
公的サイトが有効なのは、UR賃貸住宅や公社住宅を候補に入れている場合だけです。
候補に入っていないなら、時間をかけて調べる必要はありません。
民間の物件を検討しているなら、大島てるでの検索を済ませたあと、不動産会社への質問へ早めに移ってください。
公的サイトを何度も見直しても、民間物件の履歴は出てきません。
時間の配分は、質問と書面の確認に寄せたほうが結果につながります。
告知事項ありの表示は事故物件以外の事情でも付く
「告知事項あり」とは、買主や借主の判断に影響する事情がある物件に付く表示です。
人の死に限った表示ではありません。
人の死以外でも、近隣に嫌悪施設がある、給排水設備に重大な不具合がある、隣地との境界で争いが続いているといった事情で付きます。
表示だけを見ても、何が理由かの判断は困難です。
反対に、表示が付いていないから安全だとも言えません。
ポータルサイトへの登録は掲載する不動産会社の運用に左右されるため、記載が漏れる場合があります。
表示を見つけたら、内容を問い合わせて回答を確かめてください。
「告知事項の内容を具体的に教えてください」と尋ねれば、人の死に関する事案かどうかは判別できます。
表示がない物件についても、質問だけは必ず行いましょう。
サイトに載らない事故物件を確認する4つの方法

サイト検索の次に取るべき手段は4つです。
法的な意味を持つのは不動産会社への質問と書面の確認の2つで、相場比較と内見は補助的な手がかりになります。
- 不動産会社に告知事項の有無を質問して回答を文面で残す
- 重要事項説明書と物件状況等報告書の記載を照合する
- 周辺相場と比べて価格や家賃が不自然に安くないかを確認する
- 内見で一部だけ新しい内装や不自然な改装がないかを確認する
| 確認方法 | 確認できること | 法的な意味 | 記録の残しやすさ |
|---|---|---|---|
| 不動産会社への質問 | 会社が把握している事案の有無と内容 | 問われた場合は告げる必要が生じる | メールなら容易 |
| 重要事項説明書・物件状況等報告書 | 売主が申告した過去の事案 | 契約前の説明義務と売主の申告に直結する | 書面が交付される |
| 周辺相場との比較 | 説明の付かない価格差の有無 | なし | 自分で記録する |
| 内見での改装痕の確認 | 部分的な改装や補修の跡 | なし | 写真とメモで残す |
不動産会社に告知事項の有無を質問して回答を文面で残す
国土交通省のガイドラインには、買主や借主から事案の有無を問われた場合の扱いが定められています。
宅地建物取引業者は、調査を通じて判明した点を告げる必要があります。
発覚からの経過期間や死因を問わず、質問された時点で説明の対象です。
つまり、質問して初めて出てくる情報も存在します。
黙って待っていても伝えられない事案があるため、次の3つを必ず聞いてください。
- 過去に告知事項として扱われた事案はありますか
- 過去に室内で人が亡くなった事実はありますか
- 特殊清掃が入った履歴はありますか
やり取りはメールなど文面で行い、回答を原文のまま残してください。
入居後に事案が判明した場合、記録が責任を追及する材料になります。
口頭だけでは、後から「聞かれていない」と主張される余地が残ったままです。
告知の範囲や回答の内容に納得できないときは、契約を進める前に弁護士へ相談すると判断材料を増やせます。
重要事項説明書と物件状況等報告書の記載を照合する
宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に重要事項を説明しなければなりません。
説明にあたるのは宅地建物取引士で、重要事項を記載した書面の交付も必要になります。
宅地建物取引業法第35条が定める重要事項説明の義務です。
説明の場は、履歴を確かめる正式な機会になります。
物件状況等報告書(告知書)とは、売主が物件の状態や過去の事案を自ら記入する書面です。
売買契約で使われる主要な書式には、事件・事故に関する項目が含まれています。
2つの書面は突き合わせて読んでください。
確認すべき状態は2つです。
- 重要事項説明書に記載がないのに、物件状況等報告書には記載がある
- 両方とも空欄になっている
どちらかに当てはまるなら、説明の場で理由を尋ねましょう。
空欄の理由が「売主が把握していないため」なのか「該当がないため」なのかで意味は大きく変わります。
曖昧な回答のまま署名せず、書面に追記してもらいましょう。
【参考】宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)
周辺相場と比べて価格や家賃が不自然に安くないかを確認する
事故物件は買い手や借り手の母数が減るため、価格が下がりやすくなります。
ただし築年数や立地でも価格は下がるため、安さだけで判定はできません。
比べ方は具体的に決めてください。
同じ地域、同じ間取り、近い築年数の物件を3件以上並べ、家賃や価格の差を数字で確認します。
差が2割を超えるなら、理由を説明できるかどうかを検討する段階に入ります。
確認するのは次の5点です。
- 築年数
- 駅からの距離
- 階数と方角
- 設備の古さ
- 管理状態
5点で説明が付くなら、心理的瑕疵を疑う根拠にはなりません。
5点をすべて確認しても説明が付かない安さだけが、手がかりとして残ります。
説明の付かない価格差を見つけたら、安い理由を不動産会社に直接尋ねてください。
理由を明示しない場合は、候補から外して構いません。
内見で一部だけ新しい内装や不自然な改装がないかを確認する
一室だけ壁紙や床材が新しい、浴室だけ改装されているといった部分的な改装は、特殊清掃や部分補修の跡である場合があります。
内見では見る箇所を先に決めて臨みましょう。
確認する箇所は次の5か所です。
- 壁紙
- 床材
- 浴室
- 洗面所
- 押し入れやクローゼットの内側
押し入れやクローゼットの内側は改装の対象から外れやすく、元の状態が残っている場合が多いため、比較の基準に使えます。
経年劣化による補修や前の入居者の原状回復でも、部分的な張り替えは起こります。
判断の基準は、隣接する部屋との落差です。
1室だけが極端に新しい状態は、理由を尋ねる対象になります。
気づいた点は写真に残し、内見中に理由を尋ねてください。
回答は帰宅後にメールで確認し直すと記録が残ります。
改装の理由をはっきり説明できない物件は、契約前に弁護士へ相談してから判断すると安全です。
不動産会社は自発的にネットや近隣を調べる義務を負っていない
「不動産会社に聞けばすべてわかる」という前提は成り立ちません。
国土交通省のガイドラインによれば、宅地建物取引業者の調査義務は売主・貸主・管理業者への照会で果たしたことになります。
周辺住民への聞き込みやインターネットサイトの調査までは、義務の範囲外です。
- 調査義務は売主や貸主への告知書の照会で果たしたことになる
- 買主や借主が質問した場合は期間の経過にかかわらず告げる必要がある
- 賃貸は概ね3年で告知が不要になるが売買に期間の定めはない
調査義務は売主や貸主への告知書の照会で果たしたことになる
媒介を行う宅地建物取引業者は、売主や貸主に対して告知書への記載を求めることにより、調査義務を果たしたものとされます。
告知書に記載されなかった事案が後から判明しても、重大な過失がない限り、調査は適正になされたと扱われます。
照会先から「不明」と回答された場合や、回答自体がなかった場合も同じです。
照会を行った事実をもって、調査はなされたものと解されます。
さらにガイドラインは、自発的な調査義務の範囲についても明記しています。
売主・貸主・管理業者以外への聞き込みや、インターネットサイトの調査については、原則として義務の対象外です。
したがって「告知事項はありません」という回答は、「照会したが出てこなかった」を意味する場合があります。
回答を受け取ったら、誰に照会した結果かまで確認してください。
【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)
買主や借主が質問した場合は期間の経過にかかわらず告げる必要がある
一方でガイドラインは、質問された場合の扱いを原則とは別に定めています。
買主や借主から事案の有無を問われたときは、発覚から経過した期間や死因にかかわらず、調査を通じて判明した点を告げる必要があります。
社会的影響の大きさから把握しておくべき事情があると認識した場合も同様です。
「3年たてば聞いても無駄」という理解は誤りになります。
3年という区切りが示すのは、宅地建物取引業者が自発的に告げるべき原則の範囲だけです。
買主や借主が自分から質問した場合の扱いは、原則とは別に定められています。
調査先から不明と回答されたときは、不明である旨を告げれば足りるとされています。
不明という回答であった事実そのものが記録です。
だからこそ、質問する行為自体に価値があります。
賃貸でも売買でも、内見の段階で必ず質問し、回答を文面で受け取ってください。
賃貸は概ね3年で告知が不要になるが売買に期間の定めはない
告知が不要になる時期は、賃貸と売買で扱いが分かれます。
| 取引の種類 | 原則として告げなくてよくなる時期 | 例外 |
|---|---|---|
| 賃貸借 | 発生または発覚から概ね3年を経過した後 | 事件性・周知性・社会に与えた影響が特に高い事案 |
| 売買 | ガイドライン上の期間の定めはない | ― |
賃貸借取引で3年の区切りが働くのは、自然死以外の死が発生した場合と、特殊清掃が行われた死が発覚した場合の2つです。
発生または発覚から概ね3年を経過した後は、原則として借主に告げなくてよいとされています。
売買取引について、ガイドラインは同様の期間を定めていません。
ただし賃貸でも、事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高い事案は例外です。
報道が大きかった事案は、3年を過ぎても告知の対象として扱われます。
賃貸を検討しているなら、サイト検索と現地確認の比重を上げてください。
売買を検討しているなら、書面の確認に時間をかけたほうが確実です。
調べてもわからない事故物件が残る2つのケース
どれだけ調べても、検索では拾えないケースが2つ残ります。
いずれも質問と書面が最後の手段です。
- 物件名やオーナーが変わって過去の情報とつながらないケース
- 事故後に短期の入居者を挟んで履歴が途切れて見えるケース
不確実性を完全に消す方法はありません。
所有や運営の変更、告知を避ける意図など背景はさまざまですが、取れる対策は共通しています。
物件名やオーナーが変わって過去の情報とつながらないケース
建物名が変わると、大島てるでの検索も報道の検索も過去の情報に行き着かなくなります。
名称の変更は、所有者が変わったときや大規模修繕を終えたときに起こりやすくなります。
旧名称を特定する手段は3つです。
- 登記事項証明書の表題部に記録された建物の表示を確認する
- 地図サービスの過去の街路画像で外観と看板を見る
- 建物名ではなく住所で検索し直す
登記事項証明書は法務局で誰でも取得できます。
旧名称が判明したら、名称を変えて大島てるとウェブ検索をやり直してください。
住所での検索も併せて行うと、名称に依存しない情報を拾えます。
旧名称で調べても見つからない場合は、建物名が変わった時期と理由を不動産会社に尋ねましょう。
変更の経緯を説明できるかどうかで、対応の誠実さも判断できます。
事故後に短期の入居者を挟んで履歴が途切れて見えるケース
事故物件ロンダリングとは、事故の発生後に短期間だけ別の入居者を住まわせ、次の入居者への告知を避けようとする手法を指します。
国土交通省のガイドラインは、入居者を挟んだ事実を告知不要の要件として定めていません。
短期入居を挟んだからといって、告知の義務が消えるわけではない点は同じです。
実務上は告知されない例も指摘されているため、入居履歴を自分で確認してください。
確認する項目は、直前の入居者の入居期間と契約形態の2つです。
入居期間が半年に満たない、定期借家契約になっているといった状態は、理由を尋ねる対象になります。
不自然な短期入居が見つかったら、退去の理由まで含めて質問してください。
回答を文面で残しておけば、後から事案が判明した場合の材料になります。
事故物件と知らずに契約したあとに取れる3つの手段
すでに契約したあとで事故物件だと判明した場合も、取れる手段は残っています。
期限があるため、気づいた時点で動いてください。
- 契約不適合責任として代金の減額や損害賠償、契約の解除を求める
- 不適合を知ってから1年以内に売主へ通知する
- 宅地建物取引業者が故意に告げなかった場合は監督官庁へ申し出る
契約不適合責任として代金の減額や損害賠償、契約の解除を求める
引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対し、修補や代替物の引渡しによる追完を請求できます。
追完に応じないときは、代金の減額、損害賠償、契約の解除へ進めます。
民法第562条以下が定める契約不適合責任にもとづく権利です。
心理的瑕疵が契約不適合に当たるかどうかは、事案ごとの判断になります。
争点になりやすいのは、告知の有無、事案からの経過期間、価格に織り込まれていたかどうかの3点です。
告知がないまま相場並みの価格で購入した場合、主張は通りやすくなります。
逆に、相場より大幅に安い価格で購入し、告知事項ありの表示も出ていた場合は、承知のうえで契約したと評価される余地があります。
賃貸では、契約の解除と損害賠償の請求が主な争点です。
転居費用や仲介手数料の負担をどこまで求められるかが実際の争点です。
【参考】民法(e-Gov 法令検索)
不適合を知ってから1年以内に売主へ通知する
契約の内容に適合しない目的物を引き渡された買主には、通知の期限が課されています。
不適合を知った時から1年以内に通知しないと、次の4つがいずれもできなくなります。
民法第566条が定める期間制限です。
- 追完の請求
- 代金減額の請求
- 損害賠償の請求
- 契約の解除
起算点は「知った時」であり、引き渡しを受けた時ではありません。
購入から5年後に判明した場合でも、判明した日から1年間は請求できます。
ただし、消滅時効の期限は、権利を行使できることを知った時から5年、または引渡しから10年です。
例外もあります。
期間の制限が適用されないのは、売主が引渡しのときに不適合を知っていた場合、または重大な過失によって知らなかった場合です。
事案を把握していながら黙って売却した売主は、1年の経過を理由に責任を免れられません。
宅地建物取引業者が故意に告げなかった場合は監督官庁へ申し出る
宅地建物取引業者には、契約の締結を勧誘する際の禁止行為が定められています。
相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げない行為や、事実と異なる説明をする行為が対象です。
宅地建物取引業法第47条第1号に定めがあり、告知すべき事案を知りながら伏せた場合は禁止行為に当たります。
申し出先は、免許を出した行政庁です。
- 1つの都道府県だけに事務所がある業者:都道府県の宅地建物取引業の担当課
- 複数の都道府県に事務所がある業者:国土交通省の地方整備局
免許番号の冒頭を見れば、どちらの免許かを確認できます。
行政への申し出は、業者への監督処分を求める手続きであり、損害を回復する手続きではありません。
代金の減額や損害賠償は、民事上の請求として別扱いです。
2つの手続きは並行して進められます。
行政の調査で事実関係が明らかになれば、民事の請求でも有利な材料になります。
【参考】宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)
自分が所有する物件を調べるときに確認する2つのポイント
相続で取得した物件は、前の所有者の時代に何があったかがわからない場合が多くなります。
調べずに売ると、後から責任を問われるのは自分です。
売却の前に2点を片づけてください。
- 過去の入居者の退去理由と特殊清掃の履歴を管理会社に確認する
- 物件状況等報告書に記載すべき範囲を把握する
過去の入居者の退去理由と特殊清掃の履歴を管理会社に確認する
照会先は物件の種別で変わります。
賃貸に出していた物件は管理会社、分譲マンションは管理組合や管理業者、戸建ては前の所有者や近隣が窓口になります。
確認する項目は5つです。
- 退去日
- 退去の理由
- 原状回復の範囲
- 特殊清掃の有無
- 火災保険や孤独死保険の適用履歴
順に聞き取ってください。
保険の適用履歴は記録が残りやすく、事実確認の裏付けになります。
管理会社が交代している場合は、前の管理会社への照会も依頼しましょう。
管理委託契約の引き継ぎ書類に、原状回復の記録が残っている場合があります。
相続で取得して記録がまったく残っていない場合は、判明しなかった旨を告知書に記載すれば足ります。
わからないまま「なし」と書く対応だけは避けてください。
物件状況等報告書に記載すべき範囲を把握する
国土交通省のガイドラインは、告げる際に伝える内容を4項目に限っています。
事案の発生時期、場所、死因、特殊清掃が行われた事実の4つです。
売主や管理業者に照会して判明した内容を、加工せずに伝えれば足ります。
一方で、伝える必要がない情報も明示されました。
亡くなった方や遺族の名誉と生活の平穏に配慮する必要があるためです。
告げなくてよいのは次の情報になります。
- 亡くなった方の氏名・年齢・住所
- 家族構成
- 具体的な死の態様や発見状況
書きすぎと書き足りなさの両方を避ける基準は、上記の4項目に収まっているかどうかです。
4項目を埋めたうえで、不明な項目には「不明」と記載します。
記載すべきか迷う履歴が出てきたら、記載したうえで不動産会社に相談してください。
判断に迷う段階で弁護士に確認しておくと、売却後の紛争を避けやすくなります。
事故物件を調べるときにやってはいけない3つの行動
調べる側にも守るべき線があります。
3点はいずれも、法的な責任につながる可能性があります。
- 近隣住民に故人や遺族の情報を詮索する
- サイトの情報だけで事故物件だと断定して口外する
- 告知事項を伏せたまま売却や転貸を進める
近隣住民に故人や遺族の情報を詮索する
聞いてよい範囲と踏み込みすぎる範囲は分けてください。
「建物で過去に何かありましたか」までは一般的な質問の範囲です。
「誰が、どのように亡くなったのか」まで踏み込むと、詮索に変わります。
国土交通省のガイドラインも、告げる際には亡くなった方や遺族の名誉および生活の平穏に十分配慮し、不当に侵害しないよう求めています。
専門家である宅地建物取引業者にすら求められる配慮は、調べる側にとっても同じです。
遺族が近隣に住み続けている場合もあります。
詮索が広まれば、名誉毀損やプライバシーの侵害として責任を問われる可能性が生じます。
情報は不動産会社を経由して取るのが基本です。
近隣への聞き込みは、あくまで補助的な手段にとどめてください。
サイトの情報だけで事故物件だと断定して口外する
投稿制のサイトに載っている情報は、裏付けが確認されていません。
事実として断定し、第三者へ広めた場合、物件の所有者や管理会社から責任を問われる可能性があります。
交流サイトへの投稿や、地域の知人への言及も同じです。
物件が特定できる形で「事故物件だ」と発信すれば、内容が誤っていた場合に信用毀損や業務妨害の問題へ発展します。
確認は当事者間で行ってください。
不動産会社や売主に直接尋ね、回答を記録に残す方法であれば、誰の権利も侵害しません。
得た情報は、自分が契約するかどうかの判断にだけ使いましょう。
判断材料と発信材料は切り分けてください。
家族や同居予定者へ共有する範囲であれば問題は生じませんが、物件が特定できる形で外部へ出す行為は避けます。
告知事項を伏せたまま売却や転貸を進める
把握している事案を伏せて売却や転貸を進めると、後から契約の解除や損害賠償に発展します。
値下げを避けたつもりが、結果として大きな損失になります。
事案が表に出る確率は高めです。
買主が入居後に近隣から聞く、リフォーム業者から伝わる、投稿サイトに掲載される、といった経路があるためです。
さらに、売主が引渡しのときに不適合を知っていた場合、買主の通知期間の制限は適用されません。
伏せて売った売主は1年という区切りによる保護を受けられず、責任が長く残ったままです。
告知したうえで価格に織り込み、履歴を前提に買い取る相手を探すほうが損失は小さく収まります。
売却先の選び方を、告知を前提とした方向へ切り替えてください。
履歴を承知で買い取る事業者なら、値引きの幅は交渉の対象になります。
事故物件の告知や売却でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ
告知の要否も、契約不適合に当たるかどうかも、事案ごとの判断になります。
争いになっている場合は、早い段階で弁護士に相談してください。
弁護士に相談すべき場面は3つです。
- 告知がなかったとして買主や借主から請求を受けている
- 自分の物件で告知すべき範囲が判断できない
- 買主と価格の減額幅で折り合いがつかない
弁護士に依頼すれば、相手方との交渉、内容証明郵便や合意書の作成、訴訟に発展した場合の対応まで任せられます。
相手が不動産会社の場合、法律の知識に差があるまま個人で交渉すると不利な条件を飲まされかねません。
期限のある請求も含まれるため、判明した段階での相談が有効です。
初回の相談を無料としている事務所もあり、費用の見通しを聞いたうえで依頼するかを決められます。
事故物件に関する悩みは「ベンナビ不動産」で解決しよう
ベンナビ不動産は、訳あり不動産を対象に無料査定と直接買取を行うサービスです。
事故物件のように仲介では買い手が付きにくい物件も、査定の対象です。
- 査定は無料で、24時間365日受け付けている
- 買取が成立した場合の弁護士費用・登記費用・ごみ処理費用は0円
- 司法書士や弁護士と連携し、権利関係が複雑な物件にも対応する
告知が必要な物件でも、履歴を前提として査定するため、隠す必要はありません。
相続で取得して履歴がわからない物件についても、確認の進め方から相談できます。
【参考元】ベンナビ不動産(realestate.bennavi.jp)
まずは物件の状況を伝えて、査定額と手放すまでの期間を確認してみてください。
※提携する弁護士へ個別に依頼した場合、別途弁護士費用が発生します。
買取に伴う費用の負担範囲は、査定時にご確認ください。
事故物件を調べる方法に関するよくある質問
大島てるに載っていなければ事故物件ではない?
投稿がないだけの可能性があります。
大島てるは利用者の投稿で成り立つため、誰も投稿していない事故物件は表示されません。
検索結果が空だったとしても、不動産会社への質問と書面の確認は行ってください。
大手ポータルサイトで事故物件だけを表示できる?
フリーワード検索に「告知事項あり」と入力すれば絞り込めます。
表示される物件には、近隣の嫌悪施設や設備の不具合など、人の死とは無関係な事情の物件も含まれます。
内容は物件ごとに問い合わせて確認しましょう。
事故物件かどうかを聞いたら教えてくれる?
買主や借主から問われた場合、宅地建物取引業者は調査を通じて判明した点を告げる必要があります。
売主や管理業者から不明と回答されていた場合は、不明である旨が伝えられます。
回答はメールで受け取り、記録として残してください。
賃貸で3年が過ぎた事故物件は調べようがない?
賃貸では発生または発覚から概ね3年で自発的な告知は不要になりますが、質問された場合の説明は別扱いです。
経過期間にかかわらず、判明した点を告げる必要があります。
サイト検索と現地確認を併用したうえで、必ず質問してください。
事故物件を相続したら売れなくなる?
告知したうえで買い取る事業者があるため、売却は可能です。
仲介では買い手が見つかるまで時間がかかりますが、買取なら期間を短く抑えられます。
まずは無料査定で価格と期間の見通しを立ててから、仲介と買取を比べましょう。
まとめ|事故物件はサイト5つと書面質問の2段構えで調べる
事故物件を調べる手順は2段構えです。
まず、次の5つのサイトで面を押さえます。
- 大島てる
- UR賃貸住宅の特別募集住宅
- JKK東京の特定物件
- 事故物件専門の物件サイト
- 大手ポータルサイト
次に、不動産会社への質問と書面の確認で確度を上げてください。
サイト検索で何も出てこなくても、調べ終えた状態にはなりません。
宅地建物取引業者は、自発的にネットや近隣を調べる義務を負っていないからです。
他方、買主や借主から問われた場合は、経過期間にかかわらず判明した点を告げる必要があります。
質問する行為が、最も確実な手段になります。
物件を所有している側は、管理会社への照会で履歴を確定させ、告知の範囲を押さえてから売却に進んでください。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。