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事故物件の定義とは?法律上の基準と自分の物件が該当するかの判定方法を解説
事故物件とは過去に人が亡くなった住宅のうち、買主や借主が心理的な抵抗を感じる事情があるものを指す俗称です。
なお法律に定義はなく、不動産取引の現場では「心理的瑕疵(かし/法的な欠陥)」という言葉で整理されます。
相続した実家や所有するアパートで居住者が亡くなり、不動産会社から「事故物件になる」と説明された所有者は少なくありません。
人の死がすべて事故物件として扱われるわけではない点を先に押さえてください。
告知の要否を分けるのは、死因や特殊清掃の有無です。
売れないと決めつける前に、自分の物件が告知の必要な物件に当たるかを切り分けてください。
事故物件という言葉の位置づけを整理し、国土交通省のガイドラインが定める告知の線引きを示します。
売主自身が負う責任の範囲と、売却するときの注意点も本文で扱う内容です。
読み終えるころには、自分の物件が該当するかを判定し、次にとる行動を決められる状態になります。

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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事故物件に法令上の定義はなく心理的瑕疵の有無で判断される
事故物件は法律で定められた用語ではありません。
宅地建物取引業法にも民法にも「事故物件」という条文はなく、不動産業界の慣行として使われてきた呼び方です。
不動産取引では、買主や借主の判断に影響する欠陥を「瑕疵(かし/法的な欠陥)」と呼びます。
そして人の死に関わる事情は、5つある瑕疵のうち心理的瑕疵に分類されます。
訳あり物件が抱える瑕疵は、心理的瑕疵・物理的瑕疵・環境的瑕疵・法的瑕疵・権利関係の瑕疵の5つに整理するのが一般的です。
うち事故物件は心理的瑕疵の一部にあたり、5類型のなかで範囲が狭い区分に位置づけられます。
定義がない言葉のため、不動産会社によって指し示す範囲がずれる場面も起こります。
売主が押さえるべきは、言葉の呼び方ではなく、買主へ告げる必要があるかどうかです。
まず、混同されやすい3つの用語の関係を確認してください。
| 用語 | 意味 | 法令上の位置づけ |
|---|---|---|
| 心理的瑕疵 | 買主や借主が心理的な抵抗を感じる事情がある状態 | 民法の契約不適合責任で問題になる |
| 事故物件 | 心理的瑕疵のうち人の死が原因となった物件を指す俗称 | 定義した法令はない |
| 告知事項あり | 募集図面などで事案の存在を示す実務上の表記 | 宅地建物取引業法の説明義務にもとづく実務慣行 |
心理的瑕疵|買主や借主が心理的な抵抗を感じる事情がある状態
心理的瑕疵とは建物や土地に物理的な欠陥がなくても、住むことに心理的な抵抗を感じる事情がある状態をいいます。
抵抗の原因は人の死に限りません。
近隣に墓地や火葬場、暴力団事務所などの嫌悪される施設がある場合も、心理的な抵抗を生む事情です。
ただし施設が原因となる場合を環境的瑕疵と呼び分ける実務も多く、境界は統一されていません。
国土交通省は、ある事案が心理的瑕疵にあたるかどうかを一律には線引きしていません。
影響がどれだけ続くかも、事案の内容や周知の度合い、物件の立地によって変わるという整理です。
時代や社会の変化にともなって評価が動く可能性にも触れています。
つまり人の死が原因となった場合だけを取り出した呼び方が、事故物件です。
事故物件|心理的瑕疵のうち人の死が原因となった物件を指す俗称
事故物件とは過去に人が亡くなり、買主や借主の判断に影響を与えると考えられる住宅を指す言葉です。
自死や他殺、火災による死亡が典型例に挙がります。
なお範囲を決める条文はないため、どこまでを事故物件と呼ぶかは説明する人によって幅が出る言葉です。
似た言葉に「訳あり物件」と「いわくつき物件」があります。
訳あり物件は5類型すべてを含む広い呼び方で、再建築ができない土地や共有名義の不動産も対象です。
いわくつき物件もほぼ同じ広さで使われる俗称です。
3つの言葉のうち、事故物件が指す範囲は人の死に関わる事案に限られます。
不動産会社と話すときは、どの範囲の話をしているかを最初に確認しておいてください。
「訳ありなので安くなる」と説明された場合でも、理由が人の死とは限りません。
再建築の可否や共有名義が理由なら、対応する手段も別になります。
告知事項あり|募集図面などで事案の存在を示す実務上の表記
告知事項ありとは物件広告や募集図面に付けられ、買主や借主に伝えるべき事案が存在すると示す表記をいいます。
不動産会社が「事故物件」という言葉を広告に使う場面はほとんどありません。
実務での表記は、告知事項ありや「心理的瑕疵あり」です。
表記があっても、内容が人の死に限られるとは限りません。
近隣の環境や建物の不具合が理由の場合も、同じ表記が使われます。
告知が必要な事案があるのに表記が漏れているケースも起こります。
買主の立場で表記を見つけたときは、不動産会社に事案の内容を尋ねてください。
所有する物件を売りに出す前なら、過去にどのような事案があったかを管理会社や前の所有者へ確認し、記録として残しておくと安全です。
確認が取れない事案が残るなら、ベンナビ不動産売却の提携弁護士に相談してください。
事故物件かどうかは死因・特殊清掃・経過期間の3点で判定する

自分の物件が告知の必要な物件にあたるかは、亡くなった原因、特殊清掃がおこなわれたかどうか、事案からどれだけ経過したかの3つの軸で切り分けられます。
基準を示したのが、国土交通省が2021年(令和3年)10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。
そこで3点を軸に告知の範囲が整理されました。
3軸のいずれかに当てはまれば、告知が必要な物件として扱ってください。
3軸すべてで該当しない場合は、原則として告知の対象になりません。
なお判定に必要な情報は、売主の手元で確認できるものです。
亡くなった経緯は親族や管理会社に、清掃の内容は依頼した業者の記録に残っています。
判定の対応関係は次の表のとおりです。
| 判定軸 | 該当しない場合 | 該当する場合 |
|---|---|---|
| 死因 | 老衰や病死などの自然死、入浴中の事故など日常生活の中での不慮の死 | 自死、他殺、火災による死亡 |
| 特殊清掃 | 発見が早く通常の清掃で足りた | 長期間発見されず特殊清掃や大規模リフォームをおこなった |
| 経過期間 | 賃貸で発生または発覚からおおむね3年を過ぎた | 賃貸で3年以内、売買は期間を問わない |
死因|自然死と日常生活の中での不慮の死は原則として該当しない
老衰や持病による病死といった自然死は、原則として告知の対象になりません。
なぜなら居住用の住宅で自然死が起きるのは、当然に予想される出来事だからです。
国土交通省は人口動態統計をもとに、自宅での死亡のうち老衰や病死が9割を占めると示しました。
また裁判例でも、自然死について心理的瑕疵にあたらないと判断したものがあります。
日常生活の中で起きた不慮の事故による死亡も、自然死と同じ扱いを受けます。
自宅の階段からの転落、入浴中の溺死や転倒、食事中の誤嚥(ごえん/食べ物が気管に入ること)が具体例です。
いずれも住宅で生じうる出来事として、買主や借主の判断に重要な影響を与える可能性は低いと整理されています。
賃貸と売買のどちらでも、原則として告げなくてかまいません。
特殊清掃|自然死でも特殊清掃がおこなわれた場合は告知の対象になる
特殊清掃とは、亡くなった住居で原状回復のためにおこなう消臭・消毒や清掃のサービスをいいます。
自然死や日常生活の中での不慮の死であっても、長期間にわたって人知れず放置され、特殊清掃や大規模リフォームに至ったケースでは扱いが変わります。
買主や借主が契約を結ぶかどうかの判断に重要な影響を与えるため、告知が必要です。
孤独死が該当しやすいのは、発見までの期間が長引くからです。
そもそも孤独死という言葉自体は、死因を表しません。
老衰や病死であっても発見が遅れて特殊清掃をおこなえば告知の対象になり、早期に発見されて通常の清掃で足りたなら対象外です。
判定を分けるのは死因ではありません。
特殊清掃や大規模リフォームが必要になったかどうかで決まります。
清掃の範囲が告知の要否を左右する境目のため、判断に迷うなら弁護士へ確認してください。
経過期間|賃貸はおおむね3年、売買には期間の定めがない
賃貸借取引では、告知が必要な期間の目安が示されています。
対象となるのは、自然死以外の死亡が起きたケースと、自然死で特殊清掃をおこなったケースの2つです。
発生または発覚からおおむね3年を過ぎたあとは、原則として借主に告げなくてかまいません。
特殊清掃をおこなった場合の起算点は、死亡した時点ではなく事案が発覚した時点です。
一方、売買取引に期間の定めは置かれていません。
ガイドラインが3年の目安を示したのは賃貸に限られます。
売却する場面へ直接は当てはめられないため注意してください。
したがって何年前の事案であっても、買主の判断に重要な影響を与えると考えられるなら告げる必要が残ります。
自分の物件で3年基準を使えるかどうか迷うなら、売却の前に弁護士や司法書士へ確認しておきましょう。
国土交通省のガイドラインは告げなくてよい場合を3つ定めている

国土交通省のガイドラインは、宅地建物取引業者が果たすべき告知義務の判断基準を示した文書です。
事故物件の定義を決めたものではない点に注意してください。
あくまで「どの範囲まで告げれば宅地建物取引業法の義務を果たしたといえるか」を、裁判例や取引実務をふまえて整理した指針にあたります。
対象となるのは住宅として使われる不動産です。
オフィスなどの事業用不動産で起きた事案は、ガイドラインの対象から外されました。
契約を結ぶかどうかの判断に与える影響が一様でないためです。
自宅や賃貸アパートを売る場面なら、ガイドラインの基準を直接の判断材料に使えます。
告げなくてよいと整理されたのは次の3つで、あわせて例外にあたる場合も確認します。
- 死因が自然死または日常生活の中での不慮の死だったケース
- 賃貸で発生または発覚からおおむね3年が過ぎたケース
- 取引の対象に含まれない場所で起きたケース
- 3つに当たっても告げる必要が残るケース
【参考元】宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課/2021年10月公表)
自然死または日常生活の中での不慮の死が発生した場合
対象の不動産で自然死または日常生活の中での不慮の死が起きた場合、原則として告知は不要です。
賃貸借取引と売買取引のどちらでも扱いは変わりません。
なぜなら老衰や持病による病死は住宅で当然に起こりうる出来事であり、統計上も自宅での死亡の大半を占めるためです。
裁判例でも、自然死について心理的瑕疵にあたるとの主張を退けたものがあります。
買主や借主の判断に重要な影響を与える可能性が低いと評価されているためです。
発見が遅れ、特殊清掃や大規模リフォームをおこなった場合は例外にあたります。
自然死であっても告げる必要が生じるため、清掃の内容まで確認しておいてください。
原状回復にどこまで手を入れたかは、依頼した業者の見積書や請求書から確認できます。
書類が残っていない場合の扱いは、提携弁護士のいるベンナビ不動産売却へ相談すると整理が進みます。
賃貸で自然死以外の死からおおむね3年が経過した場合
賃貸借取引では、自然死以外の死亡が起きたケースと、自然死で特殊清掃をおこなったケースが期間の対象になります。
事案の発生(特殊清掃をおこなった場合は発覚)からおおむね3年を過ぎたあとは、原則として借主へ告げなくてかまいません。
いつまで伝えるべきかは、事件性や周知の度合い、社会に与えた影響しだいです。
過去の裁判例をふまえて、3年という目安が置かれました。
集合住宅の共用部分のうち、借主が日常生活で通常使用する場所は、取引の対象となる部屋と同じ扱いを受けます。
共用の玄関やエレベーター、廊下、階段が当てはまります。
ベランダなど専用で使える部分も同じ扱いです。
住み心地の良さに影響を与えるかどうかが、区分の基準です。
所有するアパートで共用部分の事案を把握しているなら、次の募集までに3年を過ぎているかを確認してください。
隣接住戸や日常生活で通常使用しない共用部分で発生した場合
取引の対象に含まれない隣の住戸で事案が起きた場合は、賃貸と売買のどちらでも原則として告げなくてかまいません。
買主や借主が日常生活で通常使用しない共用部分も同じ扱いです。
たとえば隣室で自死があったケースや、居住者がふだん立ち入らない設備室での事案が該当します。
線引きの基準は、住み心地の良さに影響を与える場所かどうかです。
日常的に通る玄関や廊下は取引対象と同じ扱いを受ける一方、通常使用しない区画は対象から外れます。
判断に迷う構造の建物では、管理組合や管理会社に共用部分の区分を確認してください。
事件性が高い事案なら、隣室であっても告げる必要が残ります。
隣室の事案を理由に値引きを求められた場合も、応じる義務が当然に生じるわけではありません。
3つの場合に当てはまっても告げる必要が残る場合
3つのどれかに当てはまっても、事件性や周知の度合い、社会に与えた影響が特に高い事案は例外です。
報道が大きく扱った事案が挙げられ、経過した期間にかかわらず告げる必要が残ります。
買主や借主から事案の有無を尋ねられた場合も同じです。
期間や死因に関係なく、調査で判明した内容を伝えなければなりません。
告げる内容は、事案が起きた時期と場所、死因、特殊清掃をおこなったかどうかの4点です。
なお特殊清掃をおこなった場合は、死亡した時期ではなく発覚した時期を伝えます。
亡くなった方や遺族の名誉と生活の平穏には配慮してください。
氏名・年齢・住所・家族構成や、具体的な死亡の様子、発見時の状況まで伝える必要はありません。
売主の告知義務は宅地建物取引業者の告知義務とは別に生じる
ガイドラインが定めているのは、宅地建物取引業者が負う義務の判断基準です。
売主自身が負う責任は、別に民法から生じます。
仲介した不動産会社がガイドラインどおりに対応していても、売主の民事上の責任が自動的に消えるわけではありません。
そもそも売主の責任は契約不適合責任と呼ばれ、引き渡した目的物が契約の内容に適合しない場合に生じる責任です。
個人どうしの売買でも同じ責任を負います。
宅地建物取引業者を通さなければ責任が生じないという扱いにはなりません。
売主が事案を認識しているなら、取引の形式にかかわらず告知の必要性を検討してください。
買取業者へ直接売る場合も、相手が事情を知ったうえで買うかどうかで結論が変わります。
押さえるべき3点を順に確認します。
- 免責の特約はどこまで働くのか
- 告げなかった場合に何を請求されるのか
- 伝えた記録をどう残すのか
売主は知りながら告げなかった事実の責任を免れられない
不動産の売買では、売主が契約不適合責任を負わないと定める特約がしばしば置かれています。
中古住宅や相続した空き家の売買で使われる「契約不適合責任免責」の条項が代表例です。
特約自体は有効に成立します。
ただし民法は、特約を結んだ場合でも、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れられないと定めました。
したがって過去に自死があった事実を知りながら黙って売却すれば、免責の特約があっても責任を追及される可能性が残ります。
売主が知らなかった事案まで責任を負うわけではありません。
告知書に「知る限りで事案はない」と正確に記載する対応が、現実的な備えです。
相続した実家のように事情を把握しきれない物件では、確認した範囲を書き添えておくと立場を守れます。
【参考】民法(e-Gov 法令検索)
告知を怠ると契約解除や損害賠償を請求される場合がある
引き渡された不動産が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して追完(ついかん/契約どおりの状態にする対応)を求められます。
補修や代替物の引き渡しが具体例です。
追完に応じられないなら、代金の減額や損害賠償の請求、契約の解除へ進みます。
実際、過去の事案を告げずに売却したケースでは、買主から売買代金の返還や損害賠償を求められる例が実際にあります。
民法は請求できる期間にも制限を置き、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、いずれの請求もできない仕組みとしました。
売主が引き渡しの時点で不適合を知っていた場合や、重大な不注意で知らなかった場合は、1年の制限が働きません。
事案を認識しながら黙っていた売主は、長期間にわたって責任を問われます。
買主から請求を受けた段階でも、支払う義務があるかどうかは弁護士に判断を仰げます。
【参考】民法(e-Gov 法令検索)
告知書(物件状況等報告書)に記載して伝えた記録を残す
告知書とは、物件状況等報告書とも呼ばれ、売主が把握している物件の状態を買主へ伝えるために作成する書面です。
過去の事件や事故に関する項目が、主要な不動産関係団体の書式にあらかじめ設けられています。
人の死に関する事案も、記載欄に沿って伝える形です。
ただし口頭で伝えただけでは、後から「聞いていない」と主張された際に証明が難しくなります。
国土交通省も、後日のトラブルを防ぐ観点から書面の交付による告知が望ましいと示しました。
事案の有無や内容がはっきりしない場合は、不明である旨を記載すれば足ります。
無理に断定せず、把握している範囲を正確に書いてください。
事故物件に当たる物件を売るときの注意点
告知が必要な物件と判定されても、売却できなくなるわけではありません。
告知したうえで売る方法を選べば、取引は問題なく成立します。
むしろリスクが大きいのは、告知を避けようとする行動のほうです。
売却を進める前に押さえておきたいのは、価格の考え方、期間を置く判断の是非、売却手段の選び方の3点です。
値引きを迫られたときに応じる基準を持っておくと、交渉で不利になりません。
売り出す前に特殊清掃やリフォームを済ませるかどうかも、費用対効果で判断が分かれます。
清掃済みでも告知の必要性は消えないため、費用をかける前に告知の要否を先に確定させてください。
売却手段については、仲介と買取の違いを次の表で整理します。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却先 | 一般の買主 | 不動産会社 |
| 価格の傾向 | 買取より高くなりやすい | 仲介より低くなりやすい |
| 期間 | 買主が見つかるまで数ヵ月〜1年以上 | 数日〜数週間 |
| 告知の相手 | 買主 | 買い取る不動産会社 |
| 向いている人 | 期間に余裕があり価格を優先したい人 | 早く手放したい人、近隣に知られたくない人 |
値下がりの幅は事案の内容で変わり決まった相場はない
事故物件がいくら値下がりするかを示す公的な統計はありません。
「相場より2割から3割下がる」といった数字も見かけるはずです。
根拠は各社が独自に集計した取引実績であり、全国一律の基準として使える数字ではありません。
参照するときは、どこが公表した数値かを確認したうえで幅として受け取ってください。
値下がり幅を左右するのは、事案の内容、発生からの経過期間、立地の需給の3点です。
人の死が周辺で広く知られている場合と、記録上だけ残っている場合とでは影響が変わります。
都市部で住宅需要が強い地域なら、値下がり幅が小さく収まる例も見られます。
査定を1社だけで判断せず、複数の評価を比べて実際の水準をつかんでください。
提示された金額の妥当性に不安が残るなら、ベンナビ不動産売却の無料査定で比較材料を増やせます。
告知事項ありの表記を避けるために時間を置く方法は取らない
賃貸のおおむね3年という目安を売買へ持ち込み、期間が過ぎるまで売却を待つ判断は避けてください。
売買取引に期間の定めはなく、時間を置いても告知の必要性は消えません。
そのうえ数年寝かせても告知事項ありの表記が外れる保証はなく、待った期間だけ負担が積み上がります。
住まない住宅を持ち続ける間も、固定資産税と都市計画税は毎年かかる負担です。
建物の傷みが進めば、修繕費や解体費用の負担も増えます。
管理が行き届かない状態が続いた場合のリスクは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく特定空家の指定です。
指定を受けたうえで市町村から改善の勧告を受けると、固定資産税を軽くする住宅用地の特例から外れます。
待つ判断は、売却価格の回復より負担の増加につながりやすいと考えてください。
【参考】空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov 法令検索)
買主が限られるため仲介と買取を並行して比べる
告知が必要な物件は買主の対象が狭まるため、仲介では買主が見つかるまで時間がかかります。
そのため価格を優先して時間をかけられるなら仲介、期間を優先するなら買取という判断が基本です。
どちらが有利かは物件の条件で変わります。
両方の窓口へ同時に相談し、提示された条件を並べて比べてください。
買取を選ぶなら、訳あり不動産を扱った実績がある会社を選ぶと話が早く進みます。
心理的瑕疵のある物件を扱う会社は、再販までの見通しを持って査定します。
結果として通常の不動産会社より買取価格が付きやすい点が特徴です。
特殊清掃やリフォームを自社で手配できるか、権利関係が複雑な案件で司法書士と連携しているかも、依頼先を選ぶ材料です。
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事故物件の定義に関するよくある質問
孤独死があった物件は必ず事故物件になりますか
必ず該当するとは限りません。
孤独死という言葉は死因を表さず、老衰や病死であれば自然死として扱われます。
判定を分けるのは、発見までに時間がかかり特殊清掃や大規模リフォームをおこなったかどうかです。
早期に発見され通常の清掃で足りた場合は、原則として告知の対象になりません。
病死や老衰でも告知は必要ですか
原則として必要ありません。
老衰や持病による病死は住宅で当然に予想される出来事とされ、買主や借主の判断に重要な影響を与える可能性は低いという整理です。
ただし発見が遅れて特殊清掃をおこなった場合と、買主や借主から尋ねられた場合は、告げる必要があります。
事故物件かどうかを自分で調べる方法はありますか
売主であれば、管理会社や前の所有者、相続した場合は他の相続人に確認するのが確実です。
買主の立場では、募集図面の「告知事項あり」の記載を確認し、不動産会社へ内容を尋ねてください。
ガイドラインでは、尋ねられた宅地建物取引業者は調査で判明した内容を伝える必要があるとされています。
告知義務を果たせば事故物件でも売却できますか
売却できます。
告知は取引を妨げる手続きではなく、あとからの紛争を防ぐための手順です。
むしろ事案を伏せて売却するほうが、契約解除や損害賠償を請求されるリスクの大きい選択です。
買主が限られる分だけ時間はかかるものの、買取を選べば数日から数週間で手放せます。
まとめ|事故物件の定義は死因・特殊清掃・経過期間の3点で判定する
事故物件を定義した法令はなく、実務では心理的瑕疵の有無で判断されます。
線引きの基準は、国土交通省が2021年10月に公表した人の死の告知に関するガイドラインです。
そのうえで自分の物件が該当するかは、死因・特殊清掃の有無・経過期間の3点で判定してください。
老衰や病死などの自然死と、日常生活の中での不慮の死は原則として対象外です。
発見が遅れて特殊清掃をおこなった場合は告知が必要になります。
おおむね3年という目安は賃貸だけの基準であり、売買に期間の定めはありません。
宅地建物取引業者の告知義務とは別に、売主自身も民法上の責任を負います。
知りながら告げなかった事実については、責任を負わない特約を結んでいても免れられません。
告知書に把握している範囲を正確に記載し、記録として残してください。
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