相続物件

古家付き土地の売却は3パターン! 条件別の選び方と手順・必要書類・つまずきやすい点を解説

古家付き土地の売却は3パターン! 条件別の選び方と手順・必要書類・つまずきやすい点を解説

相続した実家が築40年を超え、固定資産税と草刈りの負担だけが毎年積み上がっている方は少なくありません。
解体すれば100万円以上かかると聞き、手を止めたまま何年も過ぎてしまいます。

古家付き土地の売り方は3通りです。
建物を残したまま仲介で売る方法、建物を残したまま買取に出す方法、解体して更地で売る方法です。
選ぶ基準は4つあります。
急いでいるか、解体費用を先に出せるか、建て替えができる土地か、共有者の同意があるかで決まります。

本記事で解説するのは、3通りの売り方の違いと条件別の選び方です。
あわせて売却の手順と必要書類、費用と税金、契約前に潰しておくつまずきやすい点も扱います。

読み終えるころには、自分の物件で取るべき売り方を1つ選び、査定の依頼から契約書の確認まで次の行動を決められます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。

古家付き土地とは建物の価格を0円として土地の価格で売り出す土地

古家付き土地に法律上の定義はなく、建物の価格を0円として土地の価格だけで売り出す土地を指します。
近い言葉との違いを先に整理します。

  • 古家|木造で築20〜25年を超え建物の査定価格が0円になった住宅
  • 古家付き土地|建物を残したまま土地の価格で売り出す売り方
  • 中古住宅|建物に価格をつけて土地とセットで売り出す売り方
  • 現況渡し|建物を残したまま今の状態で引き渡す取り決め
  • 更地渡し|売主が解体を終えてから引き渡す取り決め
用語建物の価格の扱い引き渡し時の状態
古家付き土地0円として土地価格のみで売り出す建物が残ったまま
中古住宅建物にも価格をつけて売り出す建物が残ったまま
更地建物が存在しない土地だけ

古家|木造で築20〜25年を超え建物の査定価格が0円になった住宅

古家とは、老朽化が進んで建物としての市場価値がほとんど残っていない住宅を指す呼び名です。
法律で築年数の線引きが決まっているわけではありません。

判断の材料になるのが木造住宅の法定耐用年数22年という数字です。
税務上の減価償却を計算するための年数で、22年を過ぎた住宅は帳簿上の価値が残りません。

査定の実務では、木造の建物価格は築20〜25年でゼロと評価されるのが一般的です。
築40年を超えると、買主の多くは取り壊しを前提に物件を見にきます。

自分の実家が築25年を超えているなら、建物に値段がつく前提で売却計画を立てるのは避けてください。
土地の価格を基準に考えたほうが、査定額とのずれが小さくなります。

古家付き土地|建物を残したまま土地の価格で売り出す売り方

古家付き土地とは、物件の種類ではなく売り出し方の呼び名です。
建物を解体せずに残し、価格は土地だけで提示するのが特徴です。

土地を探している買主に届けるための表現でもあります。
「中古戸建て」と広告に出すと住宅として住みたい層しか反応しませんが、「古家付き土地」と出せば建て替え目的の買主にも届きます。

価格の決まり方は2つです。
建物にまだ利用価値があると判断された場合、土地価格がそのまま提示価格になります。
取り壊しが前提なら、土地価格から解体費用を差し引いた金額が提示価格になります。

築年数が浅く設備も生きているなら前者、雨漏りや傾きがあるなら後者と考えてください。
どちらに当たるかで、値引き交渉の余地が100万円単位で変わります。

中古住宅|建物に価格をつけて土地とセットで売り出す売り方

中古住宅とは、建物にも価格をつけたうえで土地と一緒に売り出す売り方です。
古家付き土地との分岐点は、建物がそのまま住める状態にあるかどうかにあります。

建物の価格が査定に乗るかどうかで、売り出し価格の総額が変わります。
リフォーム済みで給排水も屋根も手を入れてある住宅なら、中古住宅として売るほうが有利です。

反対に、長く空き家だった実家は内装の傷みが進み、建物に値段がつきません。
無理に中古住宅として売り出すと、価格が高すぎて問い合わせが入らない状態が続きます。

不動産会社に査定を依頼するときは、中古住宅と古家付き土地の両方で査定額を出してもらってください。
2つの金額を並べれば、どちらで売り出すべきかを自分で判断できます。

現況渡し|建物を残したまま今の状態で引き渡す取り決め

現況渡しとは、建物や庭を今ある状態のまま買主に引き渡す取り決めです。
解体は買主が引き渡しを受けたあとに自分で手配します。

売主にとっては解体費用も工期も負わずに済む反面、どこまでを「今の状態」に含めるかで揉めやすくなります。
室内に残った家具、物置、ブロック塀、庭木の扱いは人によって受け止め方がまちまちです。

トラブルを避けるには、残したまま引き渡すものと撤去してから引き渡すものを一覧にして、売買契約書に添付してください。
口頭で「現況のままで」と伝えただけでは、引き渡し当日に撤去を求められる場合があります。

古い実家では、隣地にはみ出した庭木の枝や、境界をまたぐブロック塀が争点になりやすくなります。
契約前に敷地を一周し、対象物を書き出しておきましょう。

更地渡し|売主が解体を終えてから引き渡す取り決め

更地渡しとは、売主が建物の解体を終えて土地だけの状態にしてから引き渡す取り決めです。
解体費用と解体にかかる期間は売主が負います。

解体工事には近隣への挨拶、足場の設置、廃材の搬出が含まれ、木造30坪でおおむね2週間から1か月かかります。
引き渡し日から逆算し、余裕をもって業者に発注してください。

注意したいのが地中埋設物です。
解体して掘り返した結果、旧建物のコンクリート基礎や使われなくなった浄化槽、古い井戸が出てくる場合があります。
撤去費用は数十万円単位で追加になり、負担は売主に回ります。

更地渡しを選ぶなら、地中埋設物が出た場合の費用負担をどちらが持つかを契約書に書き込んでおいてください。
書いていなければ、引き渡し直前に交渉が振り出しに戻ります。

古家付き土地の売り方は仲介・買取・更地化の3通り

古家付き土地は、建物を残して仲介で売る、建物を残して買取に出す、解体して更地で売るの3通りで手放せます。
価格は更地が高くなりやすく、手放すまでの期間は買取が短く済みます。

  • 仲介で古家付きのまま売ると価格は高いが3〜6か月かかる
  • 買取で古家付きのまま売ると1か月程度で現金化できる
  • 解体して更地で売ると価格は上がるが解体費用を先に払う
売り方主な買主期間の目安価格の水準解体費用の負担者
古家付きのまま仲介一般の購入希望者3〜6か月土地価格から解体費用ぶんを値引き買主。値引きの形で売主も実質負担
古家付きのまま買取不動産会社1か月程度仲介の6〜7割程度買主
解体して更地で仲介一般の購入希望者4〜8か月3通りのうち最も高い売主

価格と期間が逆方向に動く点を押さえてください。
高く売ろうとすれば時間がかかり、早く手放そうとすれば価格が下がる関係にあります。

仲介で古家付きのまま売ると価格は高いが3〜6か月かかる

仲介とは、不動産会社に買主探しを任せ、見つかった一般の購入希望者と売買契約を結ぶ方法です。
不動産会社各社の公表値では、成約までの期間は3〜6か月が目安になります。

期間が長引きやすいのは、築古の建物が敬遠されるためです。
土地を探している買主から見ると、古家付き土地は解体費用が上乗せされ、新築の着工時期も読みにくい物件に映ります。
更地と並んでいれば、更地が先に売れます。

さらに、買主は購入後の解体費用や改修費用も自分で負担する立場です。
負担する金額ぶんを価格から引いてほしいと考えるため、仲介会社を通じた値引き交渉が入る前提で構えてください。

売り出す前に解体費用の見積もりを取っておけば、交渉の場で応じる上限を自分で決められます。

買取で古家付きのまま売ると1か月程度で現金化できる

買取とは、不動産会社が自ら買主となって物件を直接買い取る方法です。
買主を探す期間が要らないため、査定から決済まで1か月程度で完了します。

代わりに価格は下がります。
各社の公表値では、買取価格は仲介で売った場合の6〜7割程度です。
差額は、買い取った会社が負う再販までの費用と売れ残るリスクにあたります。

一方で、解体や残置物の処分、契約不適合責任の免責をまとめて引き受ける会社が多く、売主の手離れは早く済みます。
相続した実家が遠方にあり、片付けに何度も通えない場合には現実的な選択肢です。

権利関係が整理できていない物件では、買取でも値がつかない場合が出てきます。
共有者や相続登記の問題を抱えているなら、査定と同時に弁護士へ相談し、売れる状態に整えてから進めてください。

解体して更地で売ると価格は上がるが解体費用を先に払う

解体して更地にすると、買主は建て替えでも駐車場でも自由に使えるため、問い合わせの数が増え、価格も上向きます。
3通りのうち、最も高い価格がつきやすい売り方になります。

資金の流れには気をつけてください。
解体費用は工事の完了後に業者へ支払うため、売却代金が入る前に自己資金から出す形になります。
木造30坪ならおおむね90万円から150万円を先に用意してください。

売れ残った場合の負担も見込んでおきましょう。
住宅が建っている土地には固定資産税の軽減が適用されますが、解体して更地になると軽減が外れ、翌年から税額が上がります。

解体に踏み切るのは、周辺で更地の成約事例があり、半年以内に売れる見込みが立ってからにしてください。
見込みが立たないうちに解体すると、税負担だけが増えた土地を抱えることになります。

古家付きのまま売るか解体するかは4つの条件で決まる

古家付きのまま売るか解体するかは4つの条件で決まる

売り方を決める条件は4つあります。
急いでいるか、解体費用を先に出せるか、建て替えができる土地か、共有者がいるかです。
条件が重なる場合は、建て替えができるかどうかを最優先で確かめてください。

  • 半年以内に手放したいなら古家付きのまま買取に出す
  • 解体費用を先に出せて建て替えできる土地なら更地にして売る
  • 再建築できない土地なら建物を残したまま売る
  • 共有者や相続人が複数いるなら全員の同意を得てから売り出す

半年以内に手放したいなら古家付きのまま買取に出す

転居の日程が決まっている、納税資金の期限が迫っているなど、半年以内に現金化する必要があるなら買取を選んでください。
価格が下がっても、期限に間に合うほうが結果として損が小さくなります。

時間の計算をすると理由がはっきりします。
仲介は成約まで3〜6か月、決済と引き渡しにさらに1か月前後を見込んでください。
解体を挟めば1〜2か月、確定測量が要れば3〜4か月が上乗せされます。

期限に追われて売り出し価格を下げ続けた結果、最終的な成約価格が買取価格と大差なくなる例も珍しくありません。
値下げを重ねるより、初めから買取で確定させる道を選んでください。

空き家のまま持ち続ける場合の支出も並べて比べてください。
固定資産税、火災保険、草刈りや通水のための交通費が毎年出ていきます。

解体費用を先に出せて建て替えできる土地なら更地にして売る

解体費用を自己資金で用意でき、建築基準法上の道路に接している土地なら更地を選んでください。
更地にしたほうが最終的な手取りは増えやすくなります。
買主の層が広がるため、成約までの期間も短く済む場合が多くなります。

判断は数字で行いましょう。
解体業者から見積もりを取り、不動産会社には「古家付きの場合」と「更地の場合」の2通りの査定額を出してもらいます。
更地の査定額から古家付きの査定額を引いた差が解体費用を上回れば、更地化に合理性があります。

差額が解体費用と同程度にとどまるなら、手間と工期のぶんだけ古家付きのまま売るほうが有利です。

解体の時期も手取りに影響します。
固定資産税は毎年1月1日時点の状態で判定されるため、年内に解体すると翌年ぶんの軽減が外れます。
買主が決まってから解体する段取りにして、余分な税負担を避けてください。

再建築できない土地なら建物を残したまま売る

建築基準法は、建築物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています。
建築基準法上の道路は、原則として幅員4メートル以上のものに限られます。

条件を満たさない土地に建っている家は、いま建っていても、解体すると新しい建物を建てられない扱いです。
昔の基準で建てられた住宅が、現行の基準に合わないまま残っている状態です。
解体した瞬間、建物を建てられない土地に変わってしまいます。

例外もあります。
敷地の周囲に広い空地があるなど、一定の基準に適合する建築物は例外の対象です。
特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可すれば、建築が認められます。
ただし許可は事前の協議が前提で、必ず下りるとは限りません。

解体を検討する前に、市区町村の建築指導課で接道の状況と許可の見込みを確認してください。
判断が分かれる土地では、弁護士に相談したうえで売り方を決めましょう。

【参考】建築基準法第43条|e-Gov 法令検索

共有者や相続人が複数いるなら全員の同意を得てから売り出す

土地が共有名義になっている場合、土地全体を売るには共有者全員の同意が必要です。
自分の持分だけなら単独で売れますが、持分だけを買う相手は限られ、価格も大きく下がります。

登記名義が亡くなった親のままなら、先に相続登記を済ませてください。
名義人と売主が一致しないと、決済の日に所有権移転の登記を申請できず、売買契約そのものが進みません。

相続登記には期限もあるため、早めに動いてください。
相続によって不動産の所有権を取得した人は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に登記を申請する義務を負います。
正当な理由なく怠れば、10万円以下の過料の対象になります。

遺産分割がまとまらない、連絡の取れない相続人がいるといった状態なら、売却より先に弁護士へ相談してください。
話し合いの窓口を代理人に任せれば、親族と直接やり取りせずに進められます。

【参考】不動産登記法第76条の2・第164条|e-Gov 法令検索

古家付き土地を売却する手順は6ステップ

古家付き土地を売却する手順は6ステップ

売却は権利関係と境界の確認から始まります。
査定から媒介契約、売買契約、引き渡しまで進み、翌年の確定申告で終わります。
全体で4〜8か月を見込んでください。
最初の権利関係の確認を飛ばすと、契約の直前で手続きが止まります。

①登記名義と境界の状態を確認する

最初にやるのは、法務局で登記事項証明書を取得し、名義と抵当権の状態を確かめる作業です。
オンライン請求なら1通480円で、郵送でも受け取れます。

名義が亡くなった親のままなら相続登記、住宅ローンが残っているなら抵当権の抹消が売却前に必要になります。
金融機関への完済連絡と抹消書類の取り寄せに2週間ほどかかる点も見込んでおきましょう。

あわせて、手元の書類に確定測量図があるかを確認してください。
隣地所有者の立ち会いを経て境界を確定させた図面で、なければ測量に3〜4か月かかります。
売り出しの直前に気づくと、引き渡し日を動かす事態を招きます。

古い実家では、登記簿上の面積と実測の面積が違っている場合もあるので気をつけてください。
売り出す前の段階で不動産会社に図面を見せ、測量が要るかどうかを判定してもらいましょう。

②複数の不動産会社に査定を依頼する

査定は3社以上に依頼してください。
古家付き土地の査定額は、建物を残す前提か取り壊す前提かで前提条件が変わるため、会社ごとに開きが出ます。

依頼するときは、古家付きのまま売る場合と更地にして売る場合の2通りで金額を出してもらいましょう。
並べて比較すれば、解体費用をかける価値があるかを自分で判断できます。

同じ時期に解体業者からも見積もりを取っておきます。
値引き交渉が入ったとき、応じてよい上限を数字で持っておけるからです。

査定額の根拠を書面で示さない会社は候補から外してください。
周辺の成約事例と補正の内訳を出せる会社であれば、売り出し価格の設定も現実的になります。
権利関係に不安がある物件では、弁護士と連携している窓口に相談すると手戻りが減ります。

③媒介契約を結んで売り出す

売却を任せる会社が決まったら媒介契約を結びます。
契約は3種類あり、他社にも同時に依頼できるかどうかと、報告義務の頻度が異なります。

種類他社への同時依頼自分で買主を見つけた場合売主への報告義務
一般媒介できる直接契約できる定めなし
専任媒介できない直接契約できる2週間に1回以上
専属専任媒介できない会社を通す必要がある1週間に1回以上

古家付き土地は買主が限られるため、1社に注力してもらえる専任媒介か専属専任媒介を選ぶ売主が多数です。

専任媒介では媒介契約から7日以内、専属専任媒介では5日以内に、不動産流通機構のレインズへ登録する義務が会社側に生じます。
登録されれば他社の担当者も物件情報を閲覧できるため、1社に任せても買主を探す網は広がります。

売り出しの条件も決めておきましょう。
現況渡しか更地渡しかを広告に明記しておくと、前提の違いによる問い合わせ後の食い違いを防げます。
売り出しから3か月たっても内見が入らない場合は、価格の見直しを検討してください。

④売買契約を結ぶ

買主が決まったら売買契約を結び、手付金を受け取ります。
契約書には印紙を貼るため、金額に応じた印紙をあらかじめ用意しておきます。

手付金は売買代金の5〜10%を受け取るのが一般的です。
買主は手付金を放棄すれば契約を解除できるため、いつまで解除を認めるかを日付で決めておきます。
期日を定めずに契約すると、引き渡しの直前まで撤回の可能性が残ります。

古家付き土地の契約では、次の4点を文言として残してください。

  • 契約不適合責任を免責する範囲と、免責する不具合の一覧
  • 引き渡し時の建物の状態(現況渡しか更地渡しか)
  • 残置物のうち撤去するものと残すもの
  • 境界の明示方法と、確定測量図の有無

免責は「現状有姿で引き渡す」の一文では足りません。
現状有姿は物件を今のまま引き渡す約束にすぎず、責任を消す効力までは持たないためです。
免責したい不具合を一つずつ書き出して添付してください。

更地渡しで契約する場合は、解体完了の期日と費用の負担者、地中埋設物が出たときの扱いも条項に入れます。

⑤決済と引き渡しをおこなう

決済日には売主、買主、双方の不動産会社、司法書士が集まります。
残代金の入金を確認した時点で、司法書士が所有権移転の登記を申請します。
決済は平日の午前中に金融機関の一室でおこなうのが一般的で、所要時間は1時間ほどです。

売主が用意するのは次の書類と物品です。

  • 登記済権利証または登記識別情報
  • 印鑑証明書と実印
  • 本人確認書類
  • 鍵一式

抵当権が残っていれば、金融機関から受け取った抹消書類も持参します。
書類に不備があると当日中に登記を申請できず、決済そのものが延期になります。
前日までに司法書士と持ち物を照合してください。

固定資産税は引き渡し日を境に日割りで精算し、買主から受け取る形が一般的です。
関東では1月1日、関西では4月1日を起算日とする慣行があるため、どちらで計算するかを契約時に決めておきます。

引き渡し当日までに、室内と敷地の残置物をすべて撤去しておいてください。
引き渡し後に発覚すると、買主が撤去費用を請求してきます。

⑥売却した翌年に確定申告をする

売却によって利益が出た場合、売った翌年の2月16日から3月15日までに、住所地の税務署へ確定申告をします。

利益が出なかった場合の申告は原則として不要です。
例外は3,000万円の特別控除を使うときで、控除後の税額がゼロでも申告しなければ適用を受けられません。
控除を当てにしている方は、申告を前提に準備を進めてください。

申告に必要なのは、売買契約書の写し、取得したときの契約書、仲介手数料や測量費の領収書です。
取得したときの契約書が見つからないと、取得費を実額で計上できず税額が跳ね上がります。

申告を怠ると無申告加算税が加算されます。
売却の前に譲渡所得を試算し、納税資金を売却代金から取り分けておきましょう。

古家付き土地の売却に必要な書類

必ず要るのは登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、本人確認書類の3点です。
古家付き土地では、確定測量図と建築確認済証があるかどうかで売り出し方と価格が変わります。

書類入手先古家付き土地で要る理由取得の目安
登記事項証明書法務局名義と抵当権の状態を確認する即日
固定資産評価証明書・納税通知書市区町村登録免許税の計算と税額の精算に使う即日〜1週間
確定測量図・境界確認書手元/土地家屋調査士境界を買主に示す手元になければ3〜4か月
建築確認済証・検査済証手元/市区町村再建築できる土地かを買主が確認する手元になければ台帳記載事項証明で代替
建物図面・設備の説明書手元建物を残す前提の買主が判断材料にする即日
実印・印鑑証明書・本人確認書類市区町村登記申請と契約に使う即日

建築確認済証が見つからない場合は、市区町村で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取得してください。
書類がまったくないと、買主は再建築の可否を判断できず、価格交渉の材料にされます。

確定測量図がない場合は、現況測量図と隣地所有者の署名がある境界確認書をそろえる方法もあります。
ただし買主が金融機関の融資を使う場合は、確定測量図の提出を求められるのが一般的です。

書類のなかには、市区町村の窓口へ出向かなければ取得できないものも含まれます。
遠方の実家を売るなら、郵送請求に対応しているかを先に確認しておいてください。

古家付き土地の売却にかかる費用

仲介手数料と登記費用はどの売り方でも発生し、解体費用と測量費用は売り方と土地の状態によって出るかどうかが変わります。

  • 仲介手数料は売却価格の3%+6万円に消費税を加えた額が上限
  • 解体費用は木造で1坪あたり3〜5万円が目安
  • 測量費用は境界を確定させる場合で45万〜80万円程度
  • 登記費用は抵当権抹消と相続登記の有無で変わる
費用項目目安額発生する売り方
仲介手数料売却価格1,000万円で約39.6万円仲介のみ発生し買取では不要
解体費用木造30坪で90万〜150万円更地渡し/現況渡しでは買主が負担
測量費用45万〜80万円確定測量図がない場合
登記費用抵当権抹消は不動産1個につき1,000円+司法書士報酬ローン残債や相続登記がある場合
印紙税契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円すべて

金額はいずれも2025年時点の一般的な目安で、地域や現場の条件によって上下します。
最終的な金額は見積もりで確定させてください。

仲介手数料は売却価格の3%+6万円に消費税を加えた額が上限

売買代金が800万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売却価格×3%+6万円」に消費税を加えた額になります。
1,000万円で成約したなら、36万円に消費税を加えた39万6,000円が上限です。

800万円以下の物件には別の上限が設けられており、現在は33万円が上限とされています。
古家付き土地は低価格帯の取引も多いため、事前に上限額を確認しておきましょう。

支払いは契約時に半額、決済時に残額とする分割が一般的です。
売却代金が入る前に半額を用意する必要があるため、手元資金を確保しておいてください。

買取を選んだ場合、不動産会社が直接の買主になるため仲介手数料はかかりません。
買取価格が仲介より低くても、手数料のぶんだけ差は縮まります。

解体費用は木造で1坪あたり3〜5万円が目安

木造住宅の解体費用は1坪あたり3〜5万円が目安で、30坪なら90万円から150万円程度になります。
構造によって単価は変わるため、次の表で確かめてください。

構造1坪あたりの目安30坪の場合
木造3〜5万円90万〜150万円
鉄骨造6〜7万円180万〜210万円
鉄筋コンクリート造7〜8万円210万〜240万円

単価は解体業者や不動産会社が公表している目安で、公的な統計は存在しません。
実際の金額は現場ごとに見積もりで決まります。

室内に家財が残っている場合の処分費、アスベストを含む建材の除去費、重機が入らない現場での手壊し費用は、いずれも別途の上乗せです。
前面道路が狭い住宅地では、上乗せが数十万円になる場合もあります。

自治体によっては、老朽化した危険な空き家の解体に補助金を出しています。
着工してからでは申請できない制度が多いため、契約前に市区町村の窓口へ確認してください。

見積もりを依頼するときは、廃材の処分費と整地までを含んだ総額で出してもらいましょう。
項目が抜けていると、着工後に追加請求が届きます。

測量費用は境界を確定させる場合で45万〜80万円程度

測量には現況測量と確定測量の2種類があります。
現況測量は既存の境界標をもとに面積を測る作業で、確定測量は隣地所有者の立ち会いを経て境界そのものを確定させる作業です。

売却で求められるのは確定測量で、費用は45万〜80万円程度、完了までは3〜4か月かかります。
依頼先は土地家屋調査士です。

前面道路が公道の場合、道路管理者である役所との協議も必要になります。
協議に時間がかかり、期間が半年近くに延びる場合もあります。

測量費用は売主の負担とする慣行です。
測量の結果、登記簿より実測面積が広ければ、差分を売り出し価格に反映できます。

手元に確定測量図があれば作業は不要です。
まず書類を確認し、なければ査定を依頼する段階で土地家屋調査士に相談してください。
売り出してから着手すると、買主を待たせる結果になります。

登記費用は抵当権抹消と相続登記の有無で変わる

売却に伴う登記のうち、売主が負担するのは抵当権抹消登記と相続登記です。
所有権移転登記の費用は買主が負担する慣行になっています。

抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
土地と建物で2個と数えるため、一般的な戸建てなら2,000円になります。
司法書士に依頼する場合は報酬が1万〜2万円ほど加わります。

相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。
評価額1,000万円の不動産なら4万円です。
司法書士へ依頼すると、報酬として6万〜10万円程度が加わります。

相続登記は自分で申請する方法もあります。
ただし相続人が複数いる場合や、戸籍をさかのぼる範囲が広い場合は手間が大きく、司法書士へ依頼したほうが確実です。

古家付き土地の売却でかかる税金と使える特例

古家付き土地の売却でかかる税金と使える特例

利益が出れば譲渡所得税がかかり、所有期間が5年を超えていれば税率は20.315%になります。
マイホームか相続した空き家であれば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例を使える場合があります。

  • 譲渡所得税の税率は所有期間5年超で20.315%になる
  • 印紙税は売買契約書に貼る税金で軽減措置が続いている
  • 固定資産税は引き渡し日で日割り精算する
  • マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は住まなくなって3年で期限を迎える
  • 相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除は昭和56年5月31日以前の家屋が対象

譲渡所得の計算式は「収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額」です。

譲渡所得税の税率は所有期間5年超で20.315%になる

譲渡所得税の税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば20.315%、5年以下なら39.63%になります。
倍近い差がつくため、所有期間の判定は必ず確認してください。

判定日は売った日ではなく、売った年の1月1日である点に注意が要ります。
2021年6月に取得した土地を2026年8月に売る場合、実際の保有期間は5年2か月です。
ただし2026年1月1日時点では4年7か月にとどまり、短期の税率が適用されます。

相続した不動産は、亡くなった方が取得した日をそのまま引き継ぎます。
親が30年前に買った実家なら、相続した翌年に売っても長期の税率が適用されます。

取得したときの契約書が見つからない場合に使うのが、譲渡価額の5%を取得費とみなす概算取得費です。
1,000万円で売れば取得費は50万円にしかならず、税額は大きく膨らみます。
まずは契約書を探してください。

【参考元】No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁

印紙税は売買契約書に貼る税金で軽減措置が続いている

印紙税は、不動産の売買契約書に収入印紙を貼って納める税金です。
契約金額に応じて税額が決まり、軽減措置の適用中は本則より安くなります。

契約金額本則の税額軽減後の税額
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円

軽減措置は2027年3月31日までに作成される契約書に適用されます。
古家付き土地の取引は1,000万円前後の価格帯が多く、印紙代は1万円前後です。

売主と買主が契約書を1通ずつ保管する場合、それぞれが自分の契約書に印紙を貼ります。
原本を1通だけ作り、売主が写しを持つ形にして、印紙代を抑えてください。

印紙を貼り忘れたまま契約すると、税務署が本来の印紙税額の3倍にあたる過怠税を課します。
契約を交わす前に、金額に合う印紙を郵便局などで購入しておきましょう。
貼った印紙には、売主と買主それぞれが消印を押します。

固定資産税は引き渡し日で日割り精算する

固定資産税は、毎年1月1日時点で登記されている所有者に1年分が課税されます。
年の途中で売っても納税義務者は変わらないため、引き渡し日を境に日割りした金額を買主から受け取って精算します。

住宅が建っている土地は軽減の対象です。
200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に引き下げられます。

都市計画税にも同様の軽減があり、200平方メートル以下の部分は3分の1、超える部分は3分の2になります。
古家を残したまま売り出せば、売れるまでの間も税額は軽減されたままです。

軽減は建物が建っている状態に対して適用されます。
解体して更地にすると翌年から外れるため、解体の時期は税負担も含めて判断してください。

【参考】地方税法第349条の3の2|e-Gov 法令検索

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は住まなくなって3年で期限を迎える

自分が住んでいた家と敷地を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。
所有期間の長短を問わず使えるため、利益が3,000万円以内なら税額はゼロになります。

期限が付くのは、すでに引っ越している場合です。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らなければ適用されません。
2023年5月に転居したなら、2026年12月31日が期限になります。

家屋を取り壊してから敷地を売る場合の条件は2つです。
1つ目は、取り壊した日から1年以内に譲渡契約を結ぶ点です。
2つ目は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る点になります。

取り壊してから契約するまでの間に、敷地を駐車場などとして貸すと適用外になります。
更地のまま置いておいてください。

【参考元】No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除は昭和56年5月31日以前の家屋が対象

相続した実家を売る場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。
適用されるのは2027年12月31日までにおこなう譲渡までです。

主な要件は次の4点です。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 相続してから売るまで、事業用・貸付用・居住用に使っていないこと

耐震の要件もあります。
譲渡の時点で一定の耐震基準を満たしているか、家屋を取り壊しているかのいずれかが必要です。
譲渡した年の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを終えた場合も対象になります。

控除額には人数による制限が入りました。
2024年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を相続した相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2,000万円に下がります。

要件の判定は細かく、耐震改修の時期や貸付けの有無で結論が変わります。
相続した実家を売るなら、契約前に税理士や弁護士へ確認してください。

【参考元】No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

古家付き土地を高く売るためにやっておくこと

解体費用の見積もりを取り、境界を確定させ、残置物を空にしてから売り出せば、値引き交渉の余地を減らせます。
いずれも売り出したあとでは間に合いません。

  • 解体費用の見積もりを取って値引きに応じる上限を決める
  • 確定測量図をそろえて境界を明示できる状態にする
  • 家財と残置物をすべて処分してから引き渡す

解体費用の見積もりを取って値引きに応じる上限を決める

古家付き土地の買主は、購入後に解体費用を負担します。
負担するぶんを価格から引いてほしいと考えるため、値引き交渉が入る前提で構えてください。

備えとして、解体業者2〜3社から見積もりを取り、最も安い金額を「応じてよい上限」として先に決めておきましょう。
150万円と言われても、手元の見積もりが100万円なら100万円までで線を引けます。

見積書は交渉の材料としても使えます。
買主へ見積書を提示して、根拠のない値引き要求を数字で押し返してください。
地域の相場を把握しているという姿勢が伝わり、交渉そのものが短くなります。

見積もりを取らずに交渉に臨むと、相手の提示額が妥当かどうかを判断できません。
査定を依頼する段階で、解体業者にも並行して声をかけてください。

確定測量図をそろえて境界を明示できる状態にする

不動産を売る売主は、買主に対して土地の境界を示す義務を負います。
境界があいまいなままでは買主が住宅ローンの審査を通せず、契約が成立しません。

相続で引き継いだ古い土地にありがちなのが、登記簿の面積と実測の面積の食い違いです。
測量技術が未発達だった時代の記録が残っていたり、隣地との認識がずれていたりするためです。

確定測量には3〜4か月かかります。
売り出してから着手すると、買主を待たせたうえに引き渡し日を動かす結果になり、契約が白紙に戻りかねません。

立ち会いの日程調整だけで1か月以上かかるのは、隣地の所有者が高齢だったり、相続で名義が変わっていたりする場合です。

手元に確定測量図があるかを、査定を依頼する前に確認してください。
なければ、査定の依頼と同時に土地家屋調査士へ発注しておきましょう。

家財と残置物をすべて処分してから引き渡す

家の中に残った家具や衣類は一般廃棄物にあたります。
解体業者が持つのは産業廃棄物の運搬許可であり、一般廃棄物を運び出せない会社が多いため、売主が先に処分する必要があります。

残置物があると、買主が処分費用を見込んで値引きを求めてくるのが通例です。
トラック1台ぶんの処分でも数万円から十数万円かかるため、交渉の材料として使われます。

処分は、自治体の粗大ごみ回収と不用品回収業者を組み合わせると費用を抑えられます。
回収日が限られる自治体では、引き渡し日から逆算して1〜2か月前には申し込んでください。

仏壇や写真など、親族の同意が要るものは早めに相談しておきましょう。
処分の判断が遅れると、引き渡し日に間に合わなくなります。

古家付き土地の売却でつまずきやすい点

つまずきやすいのは4点あります。
契約不適合責任の免責、アスベスト、相続登記、固定資産税です。
いずれも契約前に確認すれば防げます。

  • 契約不適合責任を免責しても知っていた欠陥を伝えなければ責任は残る
  • 昭和年代の建物はアスベストの有無を調べてから引き渡す
  • 相続登記が済んでいないと売買契約に進めない
  • 建物を解体すると翌年から固定資産税が上がる

契約不適合責任を免責しても知っていた欠陥を伝えなければ責任は残る

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約の内容に合っていない場合に、買主が売主へ請求できる権利をまとめた呼び名です。
買主が求められるのは次の4つになります。

  • 修補などの履行の追完
  • 代金の減額
  • 損害賠償
  • 契約の解除

築古の建物には何らかの不具合があるため、売買契約では責任を免除する特約を結ぶのが通例です。
免責には限界もあります。
民法は、担保責任を負わない特約を結んだ場合でも、売主が知りながら買主に告げなかった事実については責任を免れないと定めています。

把握している不具合は告知書にすべて書き出してください。
雨漏り、シロアリの被害、給排水管の詰まり、傾きが典型です。
そのうえで、免責する項目を一覧にして契約書に添付します。

宅地建物取引業者が自ら売主となる契約では、引き渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約を結べません。
個人が売主の場合には制限がかからず、全部免責の特約も有効です。

【参考】民法第572条|e-Gov 法令検索

【参考】宅地建物取引業法第40条|e-Gov 法令検索

昭和年代の建物はアスベストの有無を調べてから引き渡す

アスベストは、断熱材や外壁の建材として1970年代から1990年代前半に広く使われていました。
屋根材、外壁のスレート、天井の吹付け材、配管の保温材に含まれている場合があります。

含まれていると、解体時に飛散を防ぐ養生と専門の処理が必要になり、費用が数十万円から百万円単位で上乗せされます。
買主が解体を担う古家付き土地では、費用の増加がそのまま値引き交渉の材料です。

調べずに引き渡して後から発覚すると、売主が知っていたと判断されれば責任を問われかねません。
免責の特約を結んでいても、知りながら告げなかった事実には及びません。

昭和年代に建てられた住宅を売るなら、解体業者や専門の調査会社に事前調査を依頼してください。
結果は告知書に反映し、買主に書面で伝えます。

相続登記が済んでいないと売買契約に進めない

登記名義が亡くなった親のままでは、決済の日に所有権移転の登記を申請できません。
名義人と売主が一致しないためです。
売買契約を結ぶ前に、相続登記を済ませてください。

相続登記に必要な書類は次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 相続人全員の戸籍と住民票
  • 遺産分割協議書と印鑑証明書

戸籍をさかのぼる範囲が広いと、収集だけで1〜2か月かかります。
2024年3月からは最寄りの市区町村の窓口で戸籍を広域交付で請求できるようになり、本籍地が遠方でも手間は減りました。
郵送で取り寄せる場合は、往復の日数も見込んでください。

遺産分割がまとまらない場合、法定相続分どおりに登記する方法もあります。
ただし共有状態になるため、売却には全員の同意が必要になり、結局は話し合いを避けられません。

連絡が取れない相続人がいる、話し合いが平行線をたどっているといった状態なら、弁護士に間に入ってもらってください。
代理人が窓口になれば、親族と直接やり取りせずに手続きを進められます。

建物を解体すると翌年から固定資産税が上がる

固定資産税は毎年1月1日時点の状態で判定されます。
1月1日の時点で更地になっていると、当年分は住宅用地の軽減を受けられません。

軽減の効果は大きく、200平方メートル以下の部分では課税標準が6分の1です。
軽減が外れると、土地の税額は3倍から4倍に増える場合があります。

売却の見通しが立たないうちに解体すると、売れ残っている間ずっと増えた税額を払い続けることになります。
周辺で更地の成約事例がなければ、解体は待ってください。

解体した事実は、市区町村が家屋の滅失登記や現地調査によって把握します。
申告しなければ軽減が続くわけではありません。

買主が決まってから解体する段取りにすれば、負担する期間は最小限です。
更地渡しで契約し、決済までの間に工事を終える進め方が現実的です。

古家付き土地の売却でトラブルになっているなら弁護士に相談するのがおすすめ

次の4つの状態に当てはまるなら、不動産会社ではなく弁護士に相談してください。
いずれも権利関係の争いにあたり、不動産会社が代理して交渉できない領域だからです。

  • 共有者と売却の可否や価格で意見が割れている
  • 相続登記が済んでおらず、遺産分割の話し合いが止まっている
  • 隣地所有者と境界の位置で認識が食い違っている
  • 引き渡し後に建物の欠陥を追及され、損害賠償を求められている

弁護士に依頼すると、代理人として共有者や隣地所有者との交渉を任せられます。
親族と直接やり取りせずに済むため、感情のもつれで話が止まる事態を避けられます。
境界の争いが訴訟に発展した場合も、引き続き代理を任せられる点が強みです。

ベンナビ不動産では、提携する弁護士と司法書士に相談したうえで売却を進められます。
買取が成立した場合の弁護士費用と登記費用は0円で、権利関係を整理してから査定に進む流れを取れます。

相談の前に、登記事項証明書と固定資産税の納税通知書、経緯をまとめたメモを用意しておいてください。
費用の目安も初回の相談で確認できます。

古家付き土地の売却に関する悩みは「ベンナビ不動産」で解決しよう

ベンナビ不動産は、共有持分や空き家、再建築不可の土地といった売りにくい不動産の査定と買取に対応しています。
古家付き土地も対象で、仲介では買主が見つからなかった物件も相談できます。

強みは、弁護士と司法書士との連携です。
共有者との調整、相続登記、境界の確認までを専門家と一緒に進められるため、権利関係が整理できていない状態からでも着手できます。
買取が成立した場合の弁護士費用、登記費用、ごみの処理費用はいずれも0円です。

相談は無料で、査定だけの利用もできます。
売るかどうかを決めていない段階でも、いくらで売れる物件かを把握しておけば、解体するかどうかの判断材料になります。

まずは無料相談を利用して、自分にどのような選択肢があるか確認してみてください。

古家付き土地の売却に関するよくある質問

Q

古家付き土地の解体費用は誰が払う?

A

契約の取り決めで決まります。
現況渡しなら買主、更地渡しなら売主が負担するのが基本です。
古家付きのまま売る場合も、買主から解体費用ぶんの値引きを求められる形で、実質的に売主が一部を負担する結果になります。
負担者と時期は売買契約書に明記してください。

Q

古家付き土地を売却するのにどれくらいの期間がかかる?

A

仲介なら3〜6か月、買取なら1か月程度が目安です。
解体を挟むと1〜2か月、確定測量が必要なら3〜4か月が上乗せされます。
売り出す前の準備に時間がかかるため、引き渡したい時期から逆算して着手してください。

Q

古家付き土地を売却すると消費税はかかる?

A

個人が自宅や相続した実家を売る場合、土地にも建物にも消費税はかかりません。
消費税がかかるのは仲介手数料や司法書士報酬です。
事業として不動産を売買している場合は、建物部分が課税対象になります。

Q

築何年から古家付き土地として売り出す?

A

明確な基準はありません。
木造では築20〜25年で建物の査定価格が0円になるため、築25年を超えたら古家付き土地として売り出す候補です。
築40年を超えると、買主の多くが取り壊しを前提に物件を見にきます。

Q

古家付き土地は買主が住宅ローンを組める?

A

組める場合があります。
建物が残っていれば住宅ローンの対象になりやすく、更地では土地先行融資やつなぎ融資が必要になります。
ただし築年数や再建築の可否によって金融機関の判断は分かれるため、買主の資金計画は早い段階で確認してください。

まとめ|古家付き土地の売り方は3通り・4つの条件で選び分ける

古家付き土地は、建物を残して仲介で売る、建物を残して買取に出す、解体して更地で売るの3通りで手放せます。
半年以内に現金化したいなら買取を選んでください。
解体費用を先に出せて建て替えできる土地なら更地、再建築できない土地や共有者との調整が残っているなら古家付きのままが向いています。

契約の場面では、免責と告知を一組で進めてください。
知っている不具合を告知書に書き出したうえで免責の一覧を添付しなければ、引き渡し後に買主が責任を追及してきます。

次にやるのは、不動産会社への査定依頼と解体業者への見積もり依頼です。
2つの数字がそろえば、解体するかどうかを自分で判断できます。

監修者

株式会社アシロ 社内弁護士

所属:第二東京弁護士会

弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。